説明

水産用サブユニットワクチン

水産会用サブユニットワクチンであって、抗原融合タンパク質及び適当なベクター或いは補佐剤を含み、前記抗原融合タンパク質は、アミノ酸端末(amino terminal)からカルボキシル端末(carboxyl terminal)まで、順次に:SEQ ID No: 8のような配列を有する緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A (exotoxin A)の受容体結合区及びトランスロケーションドメイン(translocation domain)タンパク質と;魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質と;SEQ ID No: 10のような配列を有するタンパク質シグナルペプチド(signal peptide)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産用サブユニットワクチン、特に、遺伝子組み換え技術を利用して、魚類の疾病抗原タンパク質と緑膿菌外毒素Aの受容体結合区及びトランスロケーション・ドメインのタンパク質、及びKDELタンパク質のシグナルペプチド融合によって抗原融合タンパク質を形成した水産用サブユニットワクチンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
伝染性膵臓壊死症(Infectious Pancreatic Necrosis (IPN)は、高度の伝染力を持った魚類の疾病であり、その分布は全世界にわたっており、伝染性膵臓壊死症ウィルス(Infectious Pancreatic Necrosis Virus IPNV)によって引き起こされるものである、伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)は、二段リボ核酸ウイルス科(birnavirus)に属し、二つの二段リボ核酸断片(dsRNA)を有する遺伝子であり、非エンベロープ型正二十面体の顆粒で、A段の遺伝子は長さ3.2Kb、主としてVP2(一次構造殻タンパク質)、VP3(二次構造殻タンパク質)、及びVP4(タンパク質酵素)としてコーディングされる。
【0003】
IPNV感染の宿り主は、サケ、マス類を主体とするが、その他の経済的魚類及び貝類(例えば、うなぎ、カマス,タラ、ティラピア、ドジョウ、サバヒー、ハマグリなど)もIPNV感染が発見されている。
IPNVの主な感染対象は、飼育はじめのサケ、マス類の稚魚で、飼育はじめの数週間及びその後の淡水時期にもIPNV感染疫病発生の危険性がある。
ところが、1980年代中期に既に海水への適応が完了したサケの稚魚(post-smolt)もIPNVに感染し、疫病が発生した事情がある、チリー、アメリカ及びノルウェイなど主な大西洋サケ(Atlantic salmon)養殖国でも、伝染性膵臓壊死症(IPN)の形跡が見られる。
ノルウェイのサケ養殖場では、伝染性膵臓壊死症(IPN)は最もひどい伝染疾患の一つであり、淡水時期のサケがIPNVに感染して死亡する死亡率は100%に達し、一方海水時期のサケがIPNVに感染して死亡する死亡率は10〜20%から70%まで上昇することがある。
そのため、IPNVのサケ養殖に対する影響は甚大で、少しでも注意が足りないと、重大な経済的損失を招く。
【0004】
ワクチン接種は現在サケ養殖業がIPNV感染をコントロールする最も重要な要因である、従来の抗IPNV水産用ワクチンは、主として死毒ワクチン及びサブユニットワクチン(subunit vaccine)の二種類を含む。
死毒ワクチン製品の研究開発には、その他のウィルス感染のない細胞株を取得しなければならないが、現在魚の細胞株はまだ普及しておらず、且つ選択機会が少ない、そのため死毒ワクチン製品の発展は容易でなく、コストも高くつく。
一方、サブユニットワクチンは、遺伝子工学技術によって操作できる、よく見掛けるサブユニットワクチンは、大腸菌を利用して発現されるVP2タンパク質、或いは昆虫桿状ウィルス(Insect Baculovirus)によってIPNVの構造タンパク質を発現することによって、サケ体内特定の抗体反応を誘導させたものである。
しかし、これらワクチンによる保護効果は養殖業で必要とする標準に達することが出来ない。
【0005】
サブユニットワクチンが保護するに足る免疫力を誘導できない原因は下記の通りである。
(1)ワクチン中の抗原は免疫反応を誘導するキーポイント細胞に適当に対応していない。
(2)ワクチン中の抗原は外来ルート(exogenous route)によって捕捉されて、免疫反応を誘導するキーポイント細胞の細胞質の中に入り込んで小胞体と結合することが出来ない。
(3)従って、ワクチン中の抗原はエフェクタセル(effector cell)へ正確に現れることが出来ない。
【0006】
これによって分かるように、前記従来の水産用サブユニットワクチンには、尚幾多の欠点があり、よい設計とは言いがたく、改良がまたれていた。
【0007】
近年来、バイオテクノロジーの快速な発展により、遺伝子工学の方法によって、遺伝子を修飾・変更し、元来人体或いは動物体に有害な微生物を、医療或いは農業における応用価値のある道具とすることが出来るようになった、その中で、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)がそのよい例である。
緑膿菌が嚢胞性線維症患者に感染すると、患者に慢性呼吸道感染が現れ、慢性肺炎に変化し、若し感染免疫力が欠如するガン患者或いはひどく焼けどした患者の場合は、急性肺炎或いは菌毒素血症が出現し易い。
感染者が病気に至る主な原因は、緑膿菌によって生じる緑膿菌外毒素A(exotoxin A)である。
【0008】
緑膿菌外毒素Aのタンパク質構造には、主として三つの区域が有る、区域Iは、受容体結合区で、哺乳動物細胞膜のα2-マクログロブリン・低密度リポタンパク(α2-macroglobulin/LDL)細胞受容体(receptor)との結合を行い、更に細胞のエンドサイトーシス(endocytosis)によって細胞の内膜体(endosome)へ入り込み、緑膿菌外毒素Aが内膜体中のタンパク質分解酵素によって切断された後、緑膿菌外毒素Aの区域II(即ちトランスロケーションドメイン(translocation domain)タンパク質)は区域II及び毒性を有する区域IIIを含有する断片を、内膜体から細胞質内に転移させ、ゴルジ体(Golgi body)及び小胞体(endoplasmic reticulum ER)と結合し、毒性を有する区域IIIの断片によって細胞中タンパク質の合成を抑制し、最後に細胞を死亡させる。
【0009】
現在、緑膿菌の医療上の用途は主として抗癌薬物の開発であり、抗体と緑膿菌外毒素Aを結合して免疫毒素となし、抗体を誘導媒介として該免疫毒素を特定細胞(例えばガン細胞)へ入り込ませ、これら細胞のタンパク質合成を抑制し、特定細胞の成長を破壊する目的を達成する。
【0010】
本発明者は、前記従来の水産用サブユニットワクチンに派生する各項の欠点及び緑膿菌の遺伝工程上における応用に鑑み、極力新規改善を試み、且つ長年苦心研鑽の末、ついに本件水産用サブユニットワクチンの研究開発に成功した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、遺伝子組み換え技術を利用して、魚類の疾病抗原タンパク質と受容体結合タンパク質及びトランスロケーションタンパク質、及びタンパク質のシグナルペプチド融合によって、抗原が正確な細胞と結合すると共に、該細胞内に入り込み、抗原が正確にエフェクタセル上に現れることを確保することによって、魚類のウィルス感染に抵抗するに足る免疫力を誘導して、水産用サブユニットワクチンを提供することに有る。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、遺伝子組み換え技術を利用して、サブユニットワクチンを研究開発することによって、製造プロセスが簡単で、低コスト、純度の高い、安全性が優れた水産用サブユニットワクチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記発明の目的を達成するため、本発明者は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A(exotoxin A)の受容体結合区(即ち:外毒素タンパク質の区域I)及びトランスロケーションタンパク質(即ち:外毒素タンパク質の区域II)を魚類疾病抗原タンパク質の輸送タンパク質とした(以下PEタンパク質と呼ぶ)。
このほかに、本発明者は、小胞体保留シグナル(ER retention signal,即ちKEDLタンパク質シグナルペプチド(signal peptide)(タンパク質のC端末にKEDLタンパク質シグナルペプチドを有するものは、小胞体へ保留される)を使用して、魚類疾病抗原タンパク質が間違いなく正確に小胞体へ送られることを確保した。
【0014】
本発明者は、PEタンパク質(外毒素タンパク質の区域I及び区域IIを含み、そのアミノ酸配列は、SEQ ID No: 8に示す通り)を、魚類疾病抗原タンパク質のアミノ酸端末(amino terminal, N端末)と結合させ、且つKEDLタンパク質シグナルペプチド(そのアミノ酸配列はSEQ ID No: 10に示す通り)を、魚類疾病抗原タンパク質のカルボキシル端末(carboxyl terminal, C端末)と結合させ、PEタンパク質及びKEDLタンパク質シグナルペプチド融合後の魚類疾病抗原タンパク質(以下抗原融合タンパク質と呼ぶ)がPEタンパク配列に導かれて、外毒素タンパク質の区域Iを経由してCD8+ T細胞(CD8+ T cells)の受容体(receptor)と結合して、正確な細胞(即ちCD8+ T細胞)を見つけ、更に細胞のエンドサイトーシスによってCD8+ T細胞の内膜体へ入り込んだ後、外毒素タンパク質の区域II及びKEDLタンパク質シグナルペプチドに導かれて、魚類疾病抗原タンパク質が間違いなくCD8+ T細胞の小胞体と結合して、魚類体内に十分な免疫力が生じるように誘導した。
【0015】
このように、本発明に係る水産用サブユニットワクチンは、抗原融合タンパク質及び適当なベクター或いは補佐剤を含む、前記抗原融合タンパク質はN端末からC端末まで順次(1)緑膿菌外毒素Aの受容体結合区及びトランスロケーションドメインタンパク質(即ちPEタンパク質);(2)魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質;(3)タンパク質シグナルペプチド、を含む。
【0016】
好ましい実施例において、前記PEタンパク質は、SEQ ID No: 8に示すようなアミノ酸配列であり;前記タンパク質シグナルペプチドは、SEQ ID No: 10に示すようなKEDLタンパク質シグナルペプチドである。
【0017】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、伝染性造血器壊死症ウイルス(Infectious Hematopoietic Necrosis Virus, IHNV)のGタンパク質(SEQ ID No: 22)及び/或いはNタンパク質(SEQ ID No: 24)、神経壊死症原因ウイルス (Nervous Necrosis Virus, NNV)のRNA2タンパク質(SEQ ID No: 26)、ハタ イリドウイルス(Grouper Iridovirus, GIV)の外皮タンパク(Major Capsid protein, MCP;SEQ ID No: 28)及び/或いは錐體膜タンパク質(myristylated membrane protein, MMP;SEQ ID No: 30)、コイ春ウイルス血症ウイルス(Spring Viremia of Carp Virus, SVCV)のGタンパク質(SEQ ID No: 32)及び/或いはNタンパク質(SEQ ID No: 34)、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(Viral Hemorrhagic Septicemia Virus, VHSV)のGタンパク質(SEQ ID No: 36)及び/或いはNタンパク質(SEQ ID No: 38)、伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)のウイルスタンパク質VP2 (SEQ ID No: 1或いはSEQ ID No: 4)などである。
【0018】
好ましい実施例において、前記ウィルス抗原性タンパク質は、伝染性膵臓壊死ウィルス(IPNV)のウイルスタンパク質VP2配列で、SEQ ID No: 1或いはSEQ ID No: 4のような配列を有する。
【0019】
別の好ましい実施例では、前記ウィルス抗原性タンパク質は、前記IPNVのウイルスタンパク質VP2の抗原区、即ちIPNVのウイルスタンパク質VP2第173から第431番目のアミノ酸配列(SEQ ID No: 3或いはSEQ ID No: 6に示すように)である。
【0020】
本発明に使用した抗原融合タンパク質は、遺伝子クローニング方式によるもので、PEタンパク質をコード化した遺伝子配列(SEQ ID No: 7に示すように)、魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質をコード化した遺伝子配列及びKEDLタンパク質シグナルペプチドをコード化した遺伝子配列(SEQ ID No: 9に示すように)を発現ベクターシステムの中にクローニングして、抗原融合タンパク質をコード化した遺伝子配列を含有する質体を形成し、更に前記質体を発現宿り主の中へクローニングし、タンパク質を誘導して発現させた後抽出して、抗原融合タンパク質を取得したものである。
【0021】
前記魚類疾病を引き起こすウィルスは:伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)-該抗原性タンパク質はGタンパク質(その遺伝子配列はSEQ ID No: 21に示すように)及び/或いはNタンパク質(その遺伝子配列はSEQ ID No: 23に示すように)である;神経壊死症原因ウイルス (NNV)-該抗原性タンパク質はRNA2タンパク質(その遺伝子配列はSEQ ID No: 25に示すように)である;ハタ イリドウイルス(GIV)-該抗原性タンパク質は外皮タンパク(MCP;その遺伝子配列はSEQ ID No: 27に示すように)及び/或いは錐體膜タンパク質(MMP;その遺伝子配列はSEQ ID No: 29に示すように)である;コイ春ウイルス血症ウイルス(SVCV)-該抗原性タンパク質はGタンパク質(その遺伝子配列はSEQ ID No: 31に示すように)及び/或いはNタンパク質(その遺伝子配列はSEQ ID No: 33に示すように)であるり、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)-該抗原タンパク質はGタンパク質(その遺伝子配列はSEQ ID No: 35に示すように)及び/或いはNタンパク質(その遺伝子配列はSEQ ID No: 37に示すように)であり、伝染性膵臓壊死ウィルス(IPNV)、該抗原性タンパク質はウイルスタンパク質VP2 (その遺伝子配列はSEQ ID No: 2或いはSEQ ID No: 5に示すように)などである。
【0022】
好ましい実施例において、前記魚類疾病を引き起こすウィルスは、伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)であり、その抗原融合タンパク質はSEQ ID No: 12或いはSEQ ID No: 14に示すようなアミノ酸配列を有し、抗原融合タンパク質をコード化した遺伝子配列はSEQ ID No: 11或いはSEQ ID No: 13に示すようなヌクレオチド配列を有する。
【0023】
前記発現ベクターは、pETベクターシステム及びpGEXベクターシステムなどを含み、ただしこれらに限らない。
好ましい実施例において、前記発現ベクターはpET24aである;前記発現宿り主は大腸菌(Escherichia coli)を含み、ただしこれに限らない、好ましい実施例において、前記発現宿り主は大腸菌(E. coli) BL21である。
【0024】
前記補佐剤は、水酸化アルミニウムゲル、明礬、フロイント不完全アジュバント、オイル状補佐剤、水溶性補佐剤、或いは水中油中水型補佐剤(water-in-oil-in-water W/O/W )を含み、ただしこれらに限らない。
好ましい実施例において、前記補佐剤はオイル状補佐剤である。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る水産用サブユニットワクチンは、その他従来の技術に比べ、更に下記のような長所が有る。
(1)本発明に係る水産用サブユニットワクチンは、遺伝子組み換え技術を利用して、抗原性タンパク質とPEタンパク質(即ち緑膿菌外毒素Aのトランスロケーション・ドメインのタンパク質)及びKEDLタンパク質シグナルペプチドに対して組み替え融合を行うことによって、抗原の細胞中における表現を促進し、より好ましい免疫効果を得られ、魚類が比較的高い免疫力を獲得できる。
(2)本発明に係る水産用サブユニットワクチンは、遺伝子組み換え技術を利用して研究開発したサブユニットワクチンであり、生産工程が簡単で、コストが安く、純度の高い、安全性が優れているなどの長所が有る。
【0026】
上記した、詳細な説明は、本発明の実行可能な実施例についての具体的説明である、但し前記実施例は本発明の特許請求範囲を制限するものではなく、凡そ本発明の技芸精神を逸脱せずになされる等価実施或いは変更、例えば:異なる抗原タンパク質配列及びワクチンベクター、補佐剤など変化の等価実施例は、全て本案の特許請求範囲に含まれるものとする。
【0027】
以上を総合して、本案は方法形態上確かに創造的であるのみならず、且つ従来の物品に比べ、前記多項目の効能を増進しており、既に新規性及び進歩性の法定発明特許の要件を十分満たしておるものとして、ここに請求を提出する次第である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る水産用サブユニットワクチンの抗原融合タンパク質発現ベクター(pET24-PE-VP2-KDEL)の構築策略見取り図である。
【図2】SDS-PAGE電気泳動後、coomassie blueによって大腸菌BL 21のタンパク質発現量を分析したもの;図2(a)第一ライン:pET24a ベクターを含む大腸菌BL21のタンパク質抽出物;図2(a)第2-3ライン:pET24a-VP2-015ベクターを含む大腸菌BL21のタンパク質抽出物(第2ラインは純化しないもの、第3ラインは純化したもの);第4-5ラインは:pET24a-VP2-016ベクターを含む大腸菌BL21のタンパク質抽出物(第4ラインは純化しないもの、第5ラインは純化したもの);図2(b)第6-7ラインは:pET24a-PE-VP2-015-KDELベクターを含む大腸菌BL21のタンパク質抽出物(第6ラインは純化しないもの、第7ラインは純化したもの);第8-9ラインは:p ET24a-PE-VP2-016-KDELベクターを含む大腸菌BL21のタンパク質 抽出物(第8ラインは純化しないもの、第9ラインは純化したもの)である。
【図3】実施例3の中の各試験組の免疫保護率である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)のVP2ウイルスタンパク質(viral protein)の断片を例にとって、本発明に係る水産用サブユニットワクチンの実行可能な実施例の具体的説明とする。
【実施例】
【0030】
実施例1 抗原融合タンパク質発現ベクター(pET24-PE-VP2-KDEL)の構築
本実施例では、伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)のVP2ウイルスタンパ質の断片を水産用サブユニットワクチンの抗原とし、且つ前記VP2タンパク質断片のN端末上に緑膿菌外毒素Aの受容体結合区及びトランスロケーションドメインのタンパク質(即ち:PEタンパク質)を加え、前記VP2タンパク質断片のC端末上にKDELタンパク質シグナルペプチドを加えて、抗原融合タンパク質(PE-VP2-KDEL)を形成した。
【0031】
前記抗原融合タンパク質(PE-VP2-KDEL)は、遺伝子クローニング技術によって、各タンパク質をコード化した遺伝子配列を発現ベクターの中へ転入し、抗原融合タンパク質発現ベクター(pET24a-PE-VP2-KDEL)を形成し、且つ前記抗原融合タンパク質発現ベクターを誘導して前記抗原融合タンパク質(PE-VP2-KDEL)を発現させて得られたものである;前記抗原融合タンパク質発現ベクター(pET24a-PE-VP2-KDEL)の構築策略は図1に示す通りである。
先ず、KDELタンパク質シグナルペプチドのコード化された遺伝子配列を取って、pET24a質体の中へクローニングし、pET24a-KDEL質体を形成した(図1(a)、(b)に示すように)。
それから、IPNV VP2タンパク質第173個から第431個までコード化されたアミノ酸遺伝子配列を取り、前記pET24a-KDEL質体の中へクローニングして、pET24a-VP2-KDEL質体を形成した(図1(b)、(c)に示すように)。
最後に、PEタンパクの遺伝子配列を前記pET24a-VP2-KDEL質体の中へクローニングして、pET24a-PE-VP2-KDEL質体を形成した(図1(c)、(d)に示すように)。
【0032】
1.pET24a-KEDL質体の構築
KDELタンパク質シグナルペプチド (SEQ ID No: 10)の コード化された遺伝子配列はSEQ ID No: 9に示すように、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction, PCR)によって増幅(amplification)されたものである、KEDL特異性プライマー(KEDL specificity primers)の配列は下記の通りである。
正方向プライマー(Hind III制限酵素の切断部位を含有):
5’-CCCAAGCTTCTCAAAAAAGACGAACTGAGAGATGAACTGAAAGA-3’ (SEQ ID No: 15)
Hind III
逆方向プライマー(Xho I制限酵素の切断部位を含有):
5’-GTGCTCGAGTCATTACAGTTCGTCTTTCAGTTCATCT-3’ (SEQ ID No: 16)
Xho I
PCR反応条件は、94℃で3分間反応後、95℃で 1分間、55℃で 1分間、72℃で 20秒,合計五回の循環で、最後に72℃で1分間伸長反応(elongation)を行った;それぞれPCR産物とpET24aベクターでダブル制限酵素切断(Hind III及びXho I二種類の制限酵素で酵素切断反応を行った)を行い、更に酵素切断後のPCR産物とpET24aベクターで純化及び接合(ligation)作用を行って、PCR産物をpET24aベクターへクローンしてpET24a-KEDL質体を形成し、且つpET24a-KEDL質体をクローニング作用(transformation)によって宿り主細胞大腸菌(E. coli) RR1の中へ送り込み、大量増殖を行うと共に、配列決定を行い、増殖したPCR産物の配列に間違いがないことを確認した。
【0033】
2.pET24a-VP2-KDEL質体の構築
本実施例において使用したIPNV VP2タンパク質は二種類の配列を有し、それぞれVP2-015タンパク質及びVP2-016タンパク質である、そのタンパク質の全長配列はSEQ ID No: 1及びSEQ ID No: 4に示す通りで、両者の差異は、VP2-015タンパク質において、第217、221、247番目のアミノ酸配列はそれぞれTATで有る;一方、VP2-016タンパク質において、第217、221、247番目のアミノ酸配列はそれぞれPTAである。
【0034】
本実施例では、それぞれVP2-015タンパク質及びVP2-016タンパク質第173から431番目のアミノ酸配列を使用して抗原とした;VP2-015タンパク質第173から431番目のアミノ酸をコード化した(そのアミノ酸配列はSEQ ID No: 3に示す通り)遺伝子配列はSEQ ID No: 2に示す通り、そしてVP2-016タンパク質第173から431番目のアミノ酸をコード化した(そのアミノ酸配列はSEQ ID No: 6に示す通り)の遺伝子配列はSEQ ID No: 5に示す通りであり、それぞれポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅を行った、VP2特異性プライマー(VP2 specificity primers)の配列は下記の通りである。
正方向プライマー(EcoR I制限酵素の切断部位を含有):
5’-CGGAATTCCCATACGTCCGCCTAGAGGAC-3’ (SEQ ID No: 17)
EcoR I
逆方向プライマー(Hind III制限酵素の切断部位を含有):
5’-CCCAAGCTTCGTGATTTCGTTGAAGA-3’ (SEQ ID No: 18)
Hind III
PCR反応条件は、94℃で5分間反応後、94℃で 1分間、55℃で 1分間、72℃で 1分間、合計30回の循環で、最後に72℃で7分間反応して伸長反応を行った;PCR産物と前記pET24a-KEDL質体をそれぞれダブル制限酵素切断を行い、(EcoR I及びHind IIIの二種類の制限酵素によって酵素切断反応を行った、)更に酵素切断後のPCR産物とpET24a-KEDL質体によって純化及び接合作用を行い、PCR産物をpET24a-KEDL質体へクローンしてpET24a-VP2-015-KEDL質体及びpET24a-VP2-016-KEDL質体を形成すると共に、前記二種類のpET24a-VP2-KEDL質体をクローニング作用(transformation)によって宿り主細胞大腸菌(E. coli) RR1の中へ送り込み、大量増殖を行うと共に、配列決定を行い、増殖したPCR産物の配列に間違いがないことを確認した。
【0035】
3.pET24a-PE-VP2-KDEL質体の構築
PEタンパク質(SEQ ID No: 8)をコード化した遺伝子配列はSEQ ID No: 7に示す通りで、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅を行ったものである、PE特異性プライマー(PE specificity primers)の配列は下記の通りである、
正方向プライマー(BamH I制限酵素切断部位を含有):
5’-CGGGATCCGCCGAAGAAGCTTTCGACCTCTGGAACGAATGC-3’ (SEQ ID No: 19)
BamH I
逆方向プライマー(EcoR I制限酵素切断部位を含有):
5’-CGGAATTCGCAGGTCAGGCTCACCAC-3’ (SEQ ID No: 20)
EcoR I
PCR反応条件は、94℃で5分間反応後、95℃で 1分間、55℃で 1分間、72℃で 1.5分間、合計30回の循環で、最後に72℃で7分間反応して伸長反応を行った;PCR産物と前記pET24a-VP2-015-KEDL質体或いはpET24a-VP2-016-KEDL質体をそれぞれダブル制限酵素切断を行い(BamH I及びEcoR Iの二種類の制限酵素で酵素切断反応を行った),更に酵素切断後のPCR産物とpET24a-VP2-015-KEDL質体或いはpET24a-VP2-016-KEDL質体を純化及び接合作用を行って、PCR産物をpET24a-VP2-015-KEDL質体或いはpET24a-VP2-016-KEDL質体へクローニングして、pET24a-PE-VP2-015-KEDL質体(その上にはPE-VP2-015-KEDL抗原融合タンパク質の遺伝子配列がある、SEQ ID No: 11に示すように)を形成し、或いはpET24a-PE-VP2-016-KEDL質体(その上にはPE-VP2-016-KEDL抗原融合タンパク質の遺伝子配列がある、SEQ ID No: 13に示すように)、且つpET24a-PE-VP2-015-KEDL質体或いはpET24a-PE-VP2-016-KEDL質体をクローニング作用(transformation)によって宿り主大腸菌(E. coli BL21)の中へ送り込むと共に、配列決定を行って増殖したPCR産物の配列に間違いがないことを確認した。
【0036】
4.pET24a-VP2質体の構築
IPNVのVP2抗原性タンパク質断片(PEタンパク質及びKDELタンパク質シグナルペプチドを含まない)を対照として、それぞれVP2-015タンパク質及びVP2-016タンパク質第173から431番目のアミノ酸配列を抗原とした;VP2-015タンパク質第173から431番目のアミノ酸(そのアミノ酸配列はSEQ ID No: 3に示す通り)をコード化した遺伝子配列はSEQ ID No: 2に示す通り、VP2-016タンパク質第173から431番目のアミノ酸(そのアミノ酸配列はSEQ ID No: 6に示す通り)をコード化した遺伝子配列はSEQ ID No: 5に示す通りで、それぞれポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した、VP2特異性プライマー(VP2 specificity primers)の配列は下記の通り:
正方向プライマー(EcoR I制限酵素切断部位を含有):
5’-CGGAATTCCCATACGTCCGCCTAGAGGAC-3’ (SEQ ID No: 17)
EcoR I
逆方向プライマー(Hind III制限酵素切断部位を含有):
5’-CCCAAGCTTCGTGATTTCGTTGAAGA-3’ (SEQ ID No: 18)
Hind III
PCR反応条件は、94℃で5分間反応後、94℃で 1分間、55℃で 1分間、72℃で 1分間、合計30回循環を行い、最後に72℃で7分間反応して伸長反応を行った;それぞれPCR産物とpET24aベクターをダブル制限酵素切断(EcoR I及びHind III2種類の制限酵素で酵素切断反応を行った)を行い、更に酵素切断後のPCR産物とpET24aベクターに対して純化及び接合作用を行い、PCR産物をpET24aベクターへクローニングしてpET24a-VP2-015質体及びpET24a-VP2-016質体を形成し、且つ前記2種類のpET24a-VP2質体をそれぞれクローニング作用によって発現宿り主大腸菌(E. coli BL21)の中へ送り込むと共に、配列決定を行って増殖したPCR産物の配列が間違いないことを確認した。
【0037】
実施例2 ワクチンの調製
1.抗原融合タンパク質の発現
前記クローニング作用を経てpET24a-PE-VP2-015-KEDL質体或いはpET24a-PE-VP2-016-KEDL質体を含有する大腸菌BL21、及びpET24a-VP2-015質体或いはpET24a-VP2-016質体を含有する大腸菌BL21を、それぞれ50 μg/mlの kanamycinを含有するLB液体培養基を37℃で宵越し培養した後、10 mlの培養液に990 mlの50 μg/ml kanamycinを含有するLB液体培養基内に加え、37℃で3時間250 rpmで振動培養した後、更に1 ml 1M IPTG (最終濃度は1 mM)を加えて抗原融合タンパク質(即ちPE-VP2-015-KEDL抗原融合タンパク、そのアミノ酸配列はSEQ ID No: 12に示す通り;或いはPE-VP2-016-KEDL抗原融合タンパク質、そのアミノ酸配列はSEQ ID No: 14に示す通り)の発現を誘導した、IPTGを加えて引き続き3時間培養した;続いて、4℃で30分間6,500 xg遠心分離した後、上清液を除去、遠心分離済みの細胞団塊を回収し、且つ細胞団塊を-70℃下において使用に備えた。
【0038】
2.抗原融合タンパク質の抽出
前記細胞団塊を200 mlリン酸塩緩衝溶液(PBS)で新たに懸濁し、均一に混合した後、4℃で15分間6,500 xg遠心分離し、且つ上清液を除去、遠心分離済みの細胞団塊を回収した;前記ステプを少なくとも2回繰り返した後、100 ml 1x IBの洗浄緩衝液(20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 10 mM EDTA, 1% Triton X-100)によって細胞団塊を新たに懸濁し、且つ細胞懸濁液を氷の上に置き、細胞が破裂したとき高温が発生するのを防いだ;続いて、100 μg/mlのリゾチーム(lysozyme)を、30℃下で30分間おいて細胞を溶解し、且つ超音波振動(sonication)或いは高速均質乳化機(polytron)で細胞溶液を、前記溶液の粘り気がなくなるまで処理した;その後、10分間以上10,000 xg遠心分離を行い、上清液を除去後、100 ml 1x IB洗浄緩衝液で徹底的に改めて該沈殿物を懸濁した;前記遠心分離及び懸濁のステップを、沈殿物が白色になるまで繰り返した;続いて、更に100 ml 1x IB洗浄緩衝液で新たに該沈殿物を懸濁し、且つ懸濁液を重量が分かっている遠心分離管の中に移し、10分間以上10,000 xg遠心分離を行って、タンパク質内封入体(inclusion bodies)を収集し、徹底的に上清液を除去した後、前記タンパク質内封入体の重量を計った。
【0039】
続いて、SDS-PAGEで前記タンパク質内封入体の状態を検査した、その結果は図2に示す通り、抗原融合タンパク質PE-VP2-015-KEDL (図2(b)第6、7ラインに示すように)或いはPE-VP2-016-KEDL (図2(b)第8、9ラインに示すように)の分子量は71kDaで、PEタンパク質及びKDELシグナルペプチドを含まないVP2-015タンパク質断片(図2(a)第2、3ラインに示すように)及びVP2-016タンパク質断片(図2(a)第4、5ラインに示すように)の分子量は28kDaであった。
【0040】
3.ワクチンの調製
抗原融合タンパク質PE-VP2-015-KDEL (SEQ ID No: 12)、抗原融合タンパク質PE-VP2-016-KDEL (SEQ ID No: 14)、VP2-015抗原性タンパク質(SEQ ID No: 3)、及びVP2-016抗原性タンパク質(SEQ ID No: 6)をそれぞれ一価ワクチンとして調製した:各抗原融合タンパク質或いは抗原性タンパク質を含有するタンパク質内封入体を、直接リン酸緩衝液(PBS)で分散して定量化を行い、1mlのワクチン中に10ミクロングラム(μg)の抗原融合タンパク質或いはVP2抗原性タンパク質を含有させ、且つ油中水型乳化剤(water-in-oil emulsion)で埋封し、4℃下に置いて使用に備えた。
【0041】
実施例3 サケの抗ウィルス試験
試験に使われたサケの基本データは下記の通り:

サケの銀毛化(smoltification)期間の養殖環境は下記の通り:

サケ抗ウィルス試験は試験組4組と対照組1組に分け、どの組も30匹のサケを含み、ワクチンを腹腔注射(intraperitoneal injection, i.p.)法によってサケ体内へ接種、サケ一匹のワクチン注射量は0.1 ml、即ちサケ一匹に付き1ミクロングラム(μg)の抗原融合タンパク質或いはVP2抗原性タンパク質を注射;抗ウィルス試験の設計は下記の通り:

試験組と対照組の試験は2回繰り返し、ワクチン接種後900℃日して(温度に日数を掛け、若し温度が20℃なら45日要し;若し温度が10℃なら90日要す)、試験組サケを塩水環境下に移す:

全てのサケは皆標準手順に従って飼育、未感染(naive)サケに1.0x105 TCID50/ml伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)を感染した強毒株血清型Sp 遺伝子型TAT (serotype Sp and genotype TAT)を腹腔注射(i.p.)して、感染帯菌者(challenge carrier)として同居感染させた;試験用サケを塩水環境へ移して1日後、どの組にも皆6匹(被試験魚数の20%)の感染帯菌者を入れ、対照組と試験組の死亡状況を観察且つ記録した、観察期間中対照組の死亡が60%以上になった時初めて統計分析を行い、免疫保護率(relative percent survival, R.P.S.)を計算し、且つカイ二乗検定(chi-square test)で統計分析した、免疫保護率(R.P.S.)の計算方式は下記の通り:
免疫保護率(R.P.S.) = [1- (試験組死亡率/対照組死亡率)] x 100%
続いて、試験サケを犠牲にして血液及び前腎(head kidney)を採取、血漿を収集且つ冷凍して、酵素免疫分析法(ELISA)で分析を行った、前腎はウィルス培養試験用として死亡魚の死亡が確実にIPNVによることを確保した。
各組の免疫保護率(R.P.S.)は図3に示す通り、試験組1 (抗原性タンパク質VP2-015を含有するワクチンを接種)の免疫保護率(R.P.S.)は6%、対照組(ワクチン未接種)と顕著な差異はなかった(対照組は図3に表示せず、免疫保護率の計算方式によれば、対照組の免疫保護率は0%);試験組2 (抗原融合タンパク質PE-VP2-015-KDELを含有するワクチンを接種)は23%の免疫保護率があった、且つ試験組1と比べると、両者には顕著な差異(p<0.01)があった;そして試験組3 (抗原性タンパク質VP2-016を含有するワクチンを接種)の免疫保護率は12%で、対照組に比べ(ワクチン未接種)保護効果があり、且つ両者には顕著な差異 (p<0.05) があった;試験組4 (抗原融合タンパク質PE-VP2-016-KDELを含有するワクチンを接種)の免疫保護率は39%で、且つ試験組3と比較すると、両者には顕著な差異(p<0.01)があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産用サブユニットワクチンであって、
抗原融合タンパク質及び適当なベクター或いは補佐剤を含み、
前記抗原融合タンパク質は、アミノ酸端末(amino terminal)からカーボキシル端末(carboxyl terminal)まで順次:
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A (exotoxin A)の受容体結合区及びトランスロケーションドメイン(translocation domain)タンパク質と;
魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質と;
タンパク質シグナルペプチド(signal peptide)を含むことを特徴とする、
水産用サブユニットワクチン
【請求項2】
前記緑膿菌外毒素Aの受容体結合区及びトランスロケーションドメインタンパク質はSEQ ID No: 8のような配列を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項3】
前記タンパク質シグナルペプチドは、SEQ ID No: 10のような配列を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項4】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 22タンパク質配列の伝染性造血器壊死症ウィルス(Infectious Hematopoietic Necrosis Virus, IHNV) のGタンパク質或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項5】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 24タンパク質配列の伝染性造血器壊死症ウィルス( IHNV)のNタンパク質或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項6】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 26タンパク質配列の神経壊死症原因ウィルス(Nervous Necrosis Virus, NNV) RNA2タンパク質或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項7】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 28タンパク質配列のハタ イリドウィルス(Grouper Iridovirus, GIV)の外皮タンパク(Major Capsid protein, MCP)或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項8】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 30タンパク質配列のハタ イリドウィルス(GIV)の錐体膜タンパク質(myristylated membrane protein, MMP)或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項9】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 32タンパク質配列のコイ春ウィルス血症ウィルス(Spring Viremia of Carp Virus, SVCV) のGタンパク質或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項10】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 34タンパク質配列のコイ春ウィルス血症ウィルス(SVCV) のNタンパク質或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項11】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 36タンパク質配列のウィルス性出血性敗血症(Viral Hemorrhagic Septicemia Virus, VHSV) のGタンパク質或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項12】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 38タンパク質配列のウィルス性出血性敗血症(VHSV) のNタンパク質或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項13】
前記魚類疾病を引き起こすウィルス抗原性タンパク質は、SEQ ID NO: 1或いはSEQ ID NO: 4タンパク質配列の伝染性膵臓壊死症ウィルス(Infectious Pancreatic Necrosis Virus, IPNV)のウィルスタンパク質VP2或いはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項14】
前記補佐剤は、水酸化アルミニウムゲル、明礬、フロイント不完全アジュバント、オイル状補佐剤、水溶性補佐剤、或いは水中油中水型補佐剤(water-in-oil-in-water W/O/W )であることを特徴とする請求項1に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項15】
抗伝染性膵臓壊死症(Infectious Pancreatic Necrosis, IPN)の水産用サブユニットワクチンであって、抗原融合タンパク質及び薬学的に受容可能なベクターを含み、前記抗原融合タンパク質は、アミノ酸端末からカルボキシル基端末まで順次:
緑膿菌外毒素Aの受容体結合区及びトランスロケーションドメインタンパク質と;
抗伝染性膵臓壊死症のウィルス抗原性タンパク質と;
タンパク質シグナルペプチド(signal peptide)と、を含むことを特徴とする。
【請求項16】
前記緑膿菌外毒素Aの受容体結合区及びトランスロケーションドメインタンパク質は、SEQ ID No: 8のような配列を有することを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項17】
前記抗伝染性膵臓壊死症のウィルス抗原性タンパク質は、抗伝染性膵臓壊死症ウィルス(Infectious Pancreatic Necrosis Virus, IPNV)のウィルスタンパク質VP2であり、SEQ ID No: 1のような配列を有することを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項18】
前記抗伝染性膵臓壊死症のウィルス抗原性タンパク質は抗伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)のウィルスタンパク質VP2第173から第431番目のアミノ酸配列であり、SEQ ID No: 3のような配列を有することを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項19】
前記抗伝染性膵臓壊死症のウィルス抗原性タンパク質は、抗伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)のウィルスタンパク質VP2であり、SEQ ID No: 4のような配列を有することを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項20】
前記抗伝染性膵臓壊死症のウィルス抗原性タンパク質は抗伝染性膵臓壊死症ウィルス(IPNV)のウィルスタンパク質VP2第173から第431番目のアミノ酸配列であり、SEQ ID No: 6のような配列を有することを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項21】
前記タンパク質シグナルペプチドは、SEQ ID No: 10のような配列を有することを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項22】
前記抗原融合タンパク質は、SEQ ID No: 12の配列を有することを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項23】
前記抗原融合タンパク質は、SEQ ID No: 14のような配列を有することを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。
【請求項24】
前記補佐剤は、水酸化アルミニウムゲル、明礬、フロイント不完全アジュバント、オイル状補佐剤、水溶性補佐剤、或いは水中油中水型補佐剤(W/O/W )であることを特徴とする請求項15に記載の水産用サブユニットワクチン。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−505391(P2011−505391A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536304(P2010−536304)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003438
【国際公開番号】WO2009/070929
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510155173)福又達股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】