説明

水田作業機

【課題】 水田作業機において、機体の後部に水田作業装置を昇降自在に支持した場合、機体及び水田作業装置の全長を短くする。
【解決手段】 水田作業装置に左右方向に配置された支持フレーム18の下側に、接地体9を昇降自在に支持して、支持フレーム18の上側に検出部51を備える。支持フレーム18を上下方向に貫通し上下方向に移動自在に支持された連係部材45を備えて、連係部材45の下部を接地体9に接続し、連係部材45の上部を検出部51に接続する。検出部51の検出に基づいて、水田作業装置が田面から設定高さに維持されるように、昇降機構を作動させる昇降制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の後部に水田作業装置(苗植付装置や直播装置等)を昇降自在に支持した水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
水田作業機の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているように、機体の後部に苗植付装置(水田作業装置に相当)(特許文献1の図1のA)を昇降自在に支持して、苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダ(昇降機構に相当)(特許文献1の図1の10)を備え、苗植付装置が田面から設定高さに維持されるように昇降機構を作動させる昇降制御手段を備えているものがある。
【0003】
特許文献1では、左右方向に配置された支持フレーム(特許文献1の図2及び図3の43)に、フィードケースや伝動ケースを連結して、苗植付装置を構成しており、支持フレームの下側に、接地フロート(接地体に相当)(特許文献1の図2,3,10の42)を昇降自在に支持している。支持フレームの前側上方にポテンショメータ(検出部に相当)(特許文献1の図10の54)が備えられており、支持フレームの前側において、ポテンショメータと接地フロートの前部とに亘って、連係ロッド(連係部材に相当)(特許文献1の図10の56)が接続されている。
【0004】
接地フロートは田面(特許文献1の図10のP)に接地追従するので、接地フロートの位置を田面の位置と見なすことができ、ポテンショメータにより田面(接地フロート)から苗植付装置までの高さを検出することができる。
これにより、田面に接地追従する接地フロートに対して、苗植付装置が上下動しようとすると、苗植付装置の上下動がポテンショメータによって検出され、ポテンショメータの検出値に基づいて、苗植付装置が田面から設定高さに維持されるように(苗植付装置による苗の植付深さが設定深さに維持されるように)、油圧シリンダが作動する(昇降制御手段に相当)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−16号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、支持フレームの前側に連係ロッドが配置されているので、支持フレームから前側に連係ロッドが出っ張るような状態になっている。これにより、機体(後輪)との干渉を避ける為に、連係ロッドの出っ張りが存在する分だけ、苗植付装置の位置を後側に移動させる必要があるので、機体及び苗植付装置の全長を短くすると言う面で改善の余地があった。
本発明は水田作業機において、機体の後部に水田作業装置を昇降自在に支持した場合、機体及び水田作業装置の全長を短くすることができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、水田作業機において次のように構成することにある。
機体の後部に水田作業装置を昇降自在に支持して、水田作業装置を昇降駆動する昇降機構を備える。水田作業装置に左右方向に配置された支持フレームの下側に、接地体を昇降自在に支持して、支持フレームの上側に検出部を備える。支持フレームを上下方向に貫通し上下方向に移動自在に支持された連係部材を備えて、連係部材の下部を接地体に接続して、連係部材の上部を検出部に接続する。検出部の検出に基づいて、水田作業装置が田面から設定高さに維持されるように、昇降機構を作動させる昇降制御手段を備える。
【0008】
(作用)
本発明の第1特徴によると、検出部の検出に基づいて水田作業装置が田面から設定高さに維持されるように昇降機構を作動させる昇降制御手段を備え、接地体と検出部とを接続する連係部材を備える場合、支持フレームを上下方向に貫通し上下方向に移動自在に連係部材を支持している。
このように連係部材が支持フレームを上下方向に貫通して備えられるので、支持フレームの前側に連係部材が位置しておらず、支持フレームから前側に連係部材が出っ張るような状態になっていない。従って、連係部材の出っ張りが存在しない分だけ、水田作業装置の位置を前側に移動させることができるのであり、水田作業装置を機体(後輪)に接近させることができる。
【0009】
本発明の第1特徴によると、連係部材が支持フレームを上下方向に貫通して備えられるので、支持フレームの後側に連係部材が位置しておらず、支持フレームの後側に位置する水田作業装置の各部に、連係部材が干渉するような状態が少なくなる。
既存の部材と言ってよい支持フレームによって連係部材が上下方向に移動自在に支持されるので、連係部材を上下方向に移動自在に支持する専用の支持部材が不要になる(専用の支持部材を備えたとしても、小規模のものでよくなる)。
【0010】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、水田作業機において、機体の後部に水田作業装置を昇降自在に支持した場合、連係部材の出っ張りが存在しない分だけ、水田作業装置の位置を前側に移動させることができて、水田作業装置を機体(後輪)に接近させることができ、機体及び水田作業装置の全長を短くすることができて、水田作業機の操作性及び操縦性を向上させることができた。
【0011】
本発明の第1特徴によると、支持フレームの後側に位置する水田作業装置の各部に、連係部材が干渉するような状態が少なくなるので、支持フレームの後側に位置する水田作業装置の各部の配置の自由度及び融通性を高めることができた。連係部材を上下方向に移動自在に支持する専用の支持部材が不要になって(専用の支持部材を備えたとしても、小規模のものでよくなって)、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0012】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の水田作業機において次のように構成することにある。
支持フレームの前側部と略同じ位置又は支持フレームの前側部よりも後側に、接地体の前部が位置するように構成する。
【0013】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、支持フレームの前側部と略同じ位置又は支持フレームの前側部よりも後側に、接地体の前部が位置しているので、支持フレームから前側に接地体の前部が出っ張るような状態になっていない。これにより、前項[I]に記載のように、連係部材の出っ張りが存在しない分だけ水田作業装置の位置を前側に移動させる際に、接地体の前部が妨げになることはなく、水田作業装置の位置を前側に無理なく移動させることができる。
【0014】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、接地体の前部が妨げになることはなく、水田作業装置の位置を前側に無理なく移動させることができるようになり、機体及び水田作業装置の全長を短くすることができて、水田作業機の操作性及び操縦性を向上させることができた。
【0015】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の水田作業機において次のように構成することにある。
接地体の後部を横軸芯周りに揺動自在に支持することにより、接地体を昇降自在に支持して、連係部材の下部を接地体の前部に接続する。連係部材の移動軌跡と接地体の前部の移動軌跡との差を吸収する融通部を、連係部材の下部と接地体の前部との接続部分に備える。
【0016】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
接地体を昇降自在に支持する場合、接地体の後部を横軸芯周りに揺動自在に支持することにより、接地体を昇降自在に支持して、連係部材の下部を接地体の前部に接続するように構成することが多い(特許文献1の図10参照)。これにより、接地体の後部を支点として接地体の前部は、円弧状の移動軌跡を描くことになる。
これに対し、前項[I]に記載のように、支持フレームを上下方向に貫通し上下方向に移動自在に支持された連係部材は、直線状の移動軌跡を描くことになる。
【0017】
本発明の第3特徴によると、連係部材の移動軌跡と接地体の前部の移動軌跡との差を吸収する融通部を、連係部材の下部と接地体の前部との接続部分に備えているので、接地体の前部が円弧状の移動軌跡を描き、連係部材が直線状の移動軌跡を描いても、両方の移動軌跡の差が融通部により吸収されて、連係部材と接地体とが無理なく接続される。
【0018】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、接地体の後部を横軸芯周りに揺動自在に支持することにより、接地体を昇降自在に支持して、連係部材の下部を接地体の前部に接続するように構成した場合、連係部材と接地体とが無理なく接続されるようになって、昇降制御手段を精度よく作動させることができるようになった。
【0019】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第1〜第3特徴の水田作業機のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
水田作業装置と機体との間に対地作業装置を備える。
【0020】
(作用)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
例えば特許文献1のように、水田作業装置と機体との間に対地作業装置(特許文献1の図1,2,3のB)を備える場合、本発明の第4特徴によると、支持フレームから前側に連係部材が出っ張るような状態になっていないので、水田作業装置と機体との間に対地作業装置を無理なく備えることができる。
【0021】
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、水田作業装置と機体との間に対地作業装置を無理なく備えることができて、水田作業装置及び対地作業装置を適切に作動させることができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部に、リンク機構3により4条植型式の苗植付装置5(水田作業装置に相当)が昇降自在に支持され、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4(昇降機構に相当)が備えられて、水田作業機の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0023】
次に、苗植付装置5について説明する。
図1,4,5に示すように、苗植付装置5は、フィードケース17、右及び左の伝動ケース6、右及び左の伝動ケース6の後部の右及び左側部に回転駆動自在に支持された2個の回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた2個の植付アーム8、センターフロート9(接地体に相当)、右及び左のサイドフロート10、4個の苗のせ面を備えて左右方向に往復横送り駆動される苗のせ台11等を備えて構成されている。左右方向に配置された支持フレーム18にフィードケース17、右及び左の伝動ケース6が後向きに固定されており、リンク機構3の後部に接続された支持部材19の下部の前後軸芯P1(図2及び図3参照)周りに、フィードケース17がローリング自在に支持されている(苗植付装置5が前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている)。
【0024】
図2,3,4に示すように、右及び左の伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持されて、苗のせ台11の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。支持フレーム18の右及び左側部に、右及び左の支持フレーム26が固定され上下方向に配置されて、右及び左の支持フレーム26の上部及び下部に亘って支持フレーム20,28が固定されている。苗のせ台11の上部の前面にガイドレール27が固定されており、右及び左の支持フレーム26に支持されたローラー21に、ガイドレール27及び苗のせ台11が横移動自在に支持されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、支持アーム29が支持部材19に固定されて上方に延出されており、ガイドレール27の右及び左側部に固定されたブラケット27aと、支持アーム29とに亘って右及び左のバネ47が接続されている。右及び左のバネ47により苗植付装置5が機体と平行な姿勢に付勢されているのであり、苗のせ台11が往復横送り駆動されるのに伴って、右又は左のバネ47が引き延ばされると、右又は左のバネ47の付勢力により苗植付装置5の右又は左への傾斜が抑えられる。
【0026】
図1,2,5に示すように、運転座席12の後側に、肥料を貯留するホッパー13、及び2つの植付条に対応した2個の繰り出し部14が備えられて、繰り出し部14の横側にブロア15が備えられている。センターフロート9に2個の作溝器16が固定され、右及び左のサイドフロート11に1個の作溝器16が固定されて、4個の作溝器16が備えられており、繰り出し部14と作溝器16とに亘って4本の搬送ホース22が接続されている。図1に示すように、右及び左のマーカー83が支持フレーム18の右及び左横側部に備えられており、右及び左のマーカー83が田面Gに接地して指標を形成する作用姿勢(図1参照)、及び田面Gから上方に離れた格納姿勢に操作自在に構成されている。
【0027】
[2]
図1,2,3,4に示すように、エンジン(図示せず)の動力が植付クラッチ23(図10参照)及びPTO軸24を介して、支持フレーム18を貫通する入力軸25に伝達されて、入力軸25からフィードケース17に伝達される。入力軸25の動力がフィードケース17の横送り変速機構(図示せず)を介して、苗のせ台11を往復横送り駆動する横送り軸(図示せず)に伝達され、入力軸25の動力がフィードケース17の伝動チェーン30、伝動ケース6に亘って架設された伝動軸31、右及び左の伝動ケース6の入力軸32、伝動チェーン33、少数条クラッチ34及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達される。フィードケース17、右及び左の伝動ケース6に亘って円筒状のカバー36が固定されており、カバー36により伝動軸31が覆われている。
【0028】
植付クラッチ23が伝動状態に操作されると、苗のせ台11が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台11の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。植付クラッチ23が遮断状態に操作されると、苗のせ台11の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止する。
【0029】
図1に示すように、エンジン(図示せず)の動力が施肥クラッチ37(図10参照)を介して繰り出し部14に伝達されており、施肥クラッチ37により繰り出し部14の作動及び停止を行う。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー13から肥料が所定量ずつ繰り出し部14によって繰り出され、ブロア15の送風により肥料が搬送ホース22を通って作溝器16に供給されるのであり、作溝器16を介して肥料が田面Gに供給される。
【0030】
[3]
次に、苗植付装置5の昇降制御機構について説明する。
図2,5,6に示すように、支持フレーム18の右及び左側部に固定されたブラケット39の横軸芯P2周りに支持軸41が回転自在に支持されて、支持軸41に固定された支持アーム41aが後方に延出されており、支持軸41の支持アーム41aの後端の横軸芯P3周りに、センターフロート9、右及び左のサイドフロート10の後部が上下に揺動自在に支持されている。人為的に操作可能な植付深さレバー42が支持軸41に固定されて前方上方に延出されており、支持フレーム18,28及びフィードケース17に亘って固定されたレバーガイド43に、植付深さレバー42が挿入されている。
【0031】
図5,6,10に示すように、植付深さレバー42により支持軸41の支持アーム41aを回動操作して、横軸芯P3(センターフロート9、右及び左のサイドフロート10)の位置を上下に変更することにより、植付設定高さA1(設定深さ)(田面Gから支持軸41(横軸芯P2)までの高さ)を変更することができるのであり、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることにより、横軸芯P3(センターフロート9、右及び左のサイドフロート10)の位置を固定して、植付設定高さA1(設定深さ)を設定することができる。
【0032】
図5,6,7に示すように、センターフロート9の前部の左側部にブラケット9aが固定され、前後方向(図10の紙面左右方向)に沿った長孔9b(融通部に相当)がブラケット9aに備えられている。支持フレーム18の前後中央部に連係部材45が貫通して上下方向に配置され、支持フレーム18に固定されたガイド部材84に沿って、連係部材45が上下方向に直線状に移動自在に支持されており、連係部材45の下部がセンターフロート9のブラケット9a(長孔9b)に接続され、連係部材45の上部にブラケット45aが固定されている。
【0033】
図5,6,7に示すように、支持フレーム18にブラケット46が固定されて、ブラケット46の前後軸芯P4周りに天秤状の連係アーム48が揺動自在に支持されている。支持フレーム18の前後中央部に連係ロッド49が貫通して上下方向に配置され、支持フレーム18に固定されたガイド部材85に沿って、連係ロッド49が上下方向に直線状に移動自在に支持されており、連係ロッド49の上部が連係アーム48の端部に接続され、連係ロッド49の下部が支持軸41に固定された連係アーム41bに接続されている。
【0034】
図6,7,10に示すように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する機械操作式の制御弁50が機体に備えられており、制御弁50にワイヤ51(検出部に相当)のインナー51aが接続されている。ワイヤ51のアウター51bが連係部材45のブラケット45aに固定されており、ワイヤ51のインナー51aが連係アーム48の端部に接続されている。
【0035】
図6,7,10に示す状態においてセンターフロート9が田面Gに接地追従するので、連係部材45及び連係部材45のブラケット45aは田面Gから一定の高さに位置している。植付深さレバー42がレバーガイド43に係合して固定されているので、支持軸41の連係アーム41b及び連係ロッド49により、連係アーム48が苗植付装置5に固定された状態(前後軸芯P4周りに揺動しない状態)となっている。
【0036】
以上の構造により、機体の姿勢変化等により苗植付装置5が上下動すると、連係アーム48が苗植付装置5と一緒に上下動して、連係アーム48によりワイヤ51のインナー51aが押し引き操作され、ワイヤ51のインナー51aにより制御弁50が操作される。制御弁50により作動油の給排操作が行われ、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、植付設定高さA1(設定深さ)が維持される(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持される)(昇降制御機構)。
【0037】
図6,7,10に示すように、植付深さレバー42により横軸芯P3(センターフロート9、右及び左のサイドフロート10)の位置を変更すると、新たな植付設定高さA1(設定深さ)が設定される。これに伴い支持軸41の連係アーム41b及び連係ロッド49により、連係アーム48の姿勢が前後軸芯P4周りに変更されて、連係部材45のブラケット45aと連係アーム48の端部との上下間隔(ワイヤ51のインナー51aの出ている長さ)が、植付設定高さA1(設定深さ)の変更に関係なく、制御弁50の中立位置に対応するものに維持される。
【0038】
この場合、図5及び図6に示すように、支持フレーム18の前側部18aと略同じ位置又は支持フレーム18の前側部18aよりも後側(図6の紙面右側)に、センターフロート9の前部、右及び左のサイドフロート10の前部が位置している。
図3及び図5に示すように、PTO軸24及び入力軸25に対して苗植付装置5の右側部に、植付深さレバー42及びレバーガイド43が配置されている。PTO軸24及び入力軸25に対して苗植付装置5の左側部に、センターフロート9のブラケット9a、連係部材45、ブラケット46、連係アーム48、連係ロッド49及び支持軸41の連係アーム41bが配置されている。
【0039】
図6及び前述のように、機体の姿勢変化等により苗植付装置5が上下動すると、苗植付装置5から見れば、センターフロート9が後部の横軸芯P3周りに上下に揺動することになり、センターフロート9の前部(ブラケット9a)は円弧状の移動軌跡を描くことになる。これに対し、連係部材45の下部は上下方向に直線状の移動軌跡を描くことになる。これにより、センターフロート9の前部(ブラケット9a)が円弧状の移動軌跡を描き、連係部材45の下部が直線状の移動軌跡を描いても、両方の移動軌跡の差がセンターフロート9のブラケット9aの長孔9bにより吸収されて、センターフロート9が後部の横軸芯P3周りに無理なく上下に揺動し、連係部材45が上下方向に無理なく移動する(連係部材45の下部がセンターフロート9のブラケット9a(長孔9b)に無理なく接続された状態)。
【0040】
[4]
次に、苗植付装置5の昇降操作について説明する。
図1及び図10に示すように、前輪1を操向操作する操縦ハンドル52の右横側に昇降操作レバー53が備えられて、昇降操作レバー53は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降操作レバー53と制御弁50、植付及び施肥クラッチ23,37とが機械的に連係されている。
【0041】
図10に示すように、昇降操作レバー53を上昇位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が上昇位置に操作されて苗植付装置5が上昇する。昇降操作レバー53を中立位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が中立位置に操作されて苗植付装置5の昇降が停止する。
【0042】
図10に示すように、昇降操作レバー53を下降位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が下降位置に操作されて苗植付装置5が下降し、センターフロート9が田面Gに接地すると、前項[3]に記載の昇降制御機構が作動する。昇降操作レバー53を植付位置に操作すると、前述の昇降操作レバー53を下降位置に操作した状態に加えて、植付及び施肥クラッチ23,37が伝動状態に操作される。
【0043】
[5]
次に、苗植付装置5と機体との間に備えられる整地装置54(対地作業装置に相当)について説明する。
図2,3,4に示すように、支持フレーム18の左側部に支持フレーム55が固定されて、支持フレーム55にボス部材64が固定され、伝動軸31及び入力軸32の横軸芯P5周りに、伝動ケース56がボス部材64に上下に揺動自在に支持されている。支持フレーム18の右側部に支持フレーム57が固定されて、支持フレーム57の横軸芯P5(伝動軸31及び入力軸32の横軸芯P5)周りに、支持アーム58が上下に揺動自在に支持されており、伝動ケース56及び支持アーム58に亘って、断面正方形状の駆動軸61が回転自在に支持されている。
【0044】
図9に示すように、合成樹脂により一体的に形成された小幅の回転体62が備えられている。回転体62はボス部62a、ボス部62aに形成された断面正方形状の取付孔62b、ボス部62aから放射状に延出されたアーム部62c、アーム部62cの端部に接続された凸状の整地部62dを備えて構成されており、隣接するアーム部62cの間に大きな空間62eが形成されている。
【0045】
図3及び図4に示すように、多数の回転体62のボス部62a(取付孔62b)に駆動軸61が挿入されて、回転体62が駆動軸61に固定されており、駆動軸61に中央、右及び左の3個のスペーサ63が外嵌されて、複数の回転体62が4組に分けられ、間に隙間が生じるように位置が決められている。4組の回転体62において、隣接する回転体62のアーム部62c(空間62e)の位相(位置)がずれるように(隣接する回転体62のアーム部62cと空間62eとの位相(位置)が一致するように)、回転体62の位相がずらされて駆動軸61に固定されている。
【0046】
図2,3,4に示すように、駆動軸61、回転体62、伝動ケース56及び支持アーム58等により、整地装置54が構成されている。苗植付装置5(センターフロート9、右及び左のサイドフロート10)と機体(右及び左の後輪2)との間に、整地装置54が備えられており、伝動ケース56及び支持アーム58が横軸芯P5周りに上下に揺動することによって、整地装置54が昇降自在に支持されている。
【0047】
図2及び図4に示すように、整地装置54の横幅と略同じ横幅を備えたカバー60が支持フレーム18の前部に固定されて、カバー60が整地装置54の後方に位置し、センターフロート9、右及び左のサイドフロート10の前方に位置するように構成されており、整地装置54から後方に飛散する泥が、センターフロート9、右及び左のサイドフロート10に堆積しないようにしている。この場合、植付設定高さA1(設定深さ)が最低位置(設定深さが最深位置)に設定されても、カバー60の下端部が田面Gに接地しないように、カバー60の下端部の位置が設定されている。
【0048】
[6]
次に、整地装置54の駆動構造について説明する。
図4に示すように、入力軸32に接続された伝動軸66が、ボス部材64及び伝動ケース56の内部に配置されており、伝動ケース56の内部において伝動軸66にトルクリミッター59が外嵌され、トルクリミッター59と駆動軸61とに亘って伝動チェーン67が巻回されている。左の伝動ケース6及びボス部64に亘って円筒状のカバー36が固定されており、カバー36により伝動軸66が覆われている。
【0049】
前項[2][4]に記載のように、植付クラッチ23(図10参照)が伝動状態に操作されると、苗のせ台11が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台11の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付けるのであり、伝動軸31及び入力軸32の動力が整地装置54に伝達されて、回転体62(整地装置54)が図2の紙面反時計方向に回転駆動される。植付クラッチ23(図10参照)が遮断状態に操作されると、苗のせ台11の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止するのであり、回転体62(整地装置54)が停止する。
【0050】
この場合、回転体62(整地装置54)が、機体の走行速度よりも高速で回転駆動される(右及び左の後輪2の外周部の周速度よりも、回転体62(整地装置54)の外周部の周速度が高速になるように回転駆動される)。これにより、植付アーム8の前方の田面Gが回転体62(整地装置54)によって整地(代掻き)されるのであり、回転体62(整地装置54)から後方に飛散する泥が、カバー60によって止められる。
【0051】
図1,3,4に示すように、平面視でL字状で丸棒状の右及び左のガード部材65が、支持フレーム55,57の横軸芯P7周りに回転、及び横軸芯P7に沿ってスライド自在に支持されている。図1,3,4及び図2の一点鎖線に示す状態は、右及び左のガード部材65を第1姿勢に固定している状態である。第1姿勢において、右及び左のガード部材65が、伝動ケース56及び支持アーム58の基部(横軸芯P5)付近の右及び左の横外側に位置し、ガイドレール38の右及び左の横外側に位置して、伝動ケース56及び支持アーム58の基部(横軸芯P5)付近、ガイドレール38の右及び左側部が、右及び左のガード部材65によって保護される。
【0052】
この場合、後述する[8]及び図2に示すように、操作スイッチ80及び昇降操作レバー53により整地装置54が上方位置A3に上昇しても、伝動ケース56及び支持アーム58の中間部が右及び左のガード部材65に干渉しないように構成されている(左のガード部材65との干渉を避ける為の凹部56aが、伝動ケース56の中間部の上部に形成されている)。
【0053】
図1,3,4及び図2の一点鎖線に示す第1姿勢での固定を解除して、右及び左のガード部材65を横軸芯P7周りに下方に回転させ、横軸芯P7に沿って左右中央側に押し込み、第2姿勢で固定する。第2姿勢において、右及び左のガード部材65が、伝動ケース56及び支持アーム58の中間部の右及び左の横外側を上側から下側に交差するように下方に延出され、作業位置A4の整地装置54やセンターフロート9、右及び左のサイドフロート10、作溝器16よりも下方に突出する状態となるのであり、第1姿勢A5よりも左右中央側に入り込んだ状態となる。
これにより、苗植付装置5を下降させることにより、右及び左のガード部材65によって苗植付装置5を地面に支持させることができるのであり、右及び左のガード部材65を苗植付装置5のスタンドとして使用することができる。
【0054】
図2に示すように、側面視において、植付アーム8が苗を田面Gに植え付ける際の植付アーム8の先端の移動軌跡B1に対し、移動軌跡B1の前側(図2の紙面左側)に伝動ケース56及び支持アーム58の基部(横軸芯P5)が位置している。センターフロート9の前部の前側(図2の紙面左側)、右及び左のサイドフロート10の前部の前側(図2の紙面左側)に、回転体62(整地装置54)が位置している。支持軸41(横軸芯P2)が、伝動ケース56及び支持アーム58の基部(横軸芯P5)の前側(図2の紙面左側)に位置しており、支持軸41の支持アーム41aと、伝動ケース56及び支持アーム58とが交差する状態となっている。
【0055】
[7]
次に整地装置54の昇降駆動構造について説明する。
図2,3,8に示すように、左の支持フレーム26にブラケット26aが固定されて、板材を折り曲げて構成された支持部材68が、左の支持フレーム26のブラケット26aにボルト連結されており、支持部材68に固定されたボス部68a(左の支持フレーム26よりも左右中央側に位置する)に、操作軸69が回転自在に支持されている。支持部材68の後側部(苗のせ台11側)において、操作軸69に扇型ギヤ70及び操作アーム71が固定されている。左の支持フレーム26のブラケット26aと支持部材68との間から操作アーム71が突出しており、操作アーム71と伝動ケース56とに亘って左の連係ロッド72が接続されている。左の支持フレーム26に固定されたブラケット26cと伝動ケース56とに亘って左のバネ82が接続されており、左のバネ82により伝動ケース56が上方に付勢されている。
【0056】
図2,3,8に示すように、支持部材68の後側部(苗のせ台11側)において、電動モータ73及び減速機構74が固定されて、減速機構74のピニオンギヤ74aが扇型ギヤ70に咬合しており、電動モータ73及び減速機構74が袋状のカバー75によって覆われている。支持部材68の前側部において、カバーで覆われた制御装置40が固定されて、操作軸69の角度を検出するポテンショメータ76が固定されており、ポテンショメータ76の検出値が制御装置40に入力されている。
【0057】
図2,3,8に示すように、右の支持フレーム26にブラケット26b(右の支持フレーム26よりも左右中央側に位置する)が固定されて、右の支持フレーム26のブラケット26bの前後軸芯P6周りに、正面視(図3参照)で「く」字状の操作アーム77が揺動自在に支持されている。扇型ギヤ70に固定されたブラケット70aと操作アーム77の端部とに亘って、操作ロッド78が接続されており、操作アーム77の端部と支持アーム58とに亘って右の連係ロッド72が接続されている。右の支持フレーム26に固定されたブラケット26dと支持アーム58とに亘って右のバネ82が接続されており、右のバネ82により支持アーム58が上方に付勢されている。
【0058】
図2,3,8に示すように、電動モータ73及び減速機構74により扇型ギヤ70が図8の紙面反時計方向に回転駆動されると、操作アーム71が上方に駆動されて、左の連係ロッド72により伝動ケース56が上昇する。扇型ギヤ70により操作ロッド78を介して操作アーム77が図3の紙面時計方向に回転駆動されて、右の連係ロッド72により支持アーム58が上昇する。これにより、整地装置54が上昇する。
逆に、電動モータ73及び減速機構74により扇型ギヤ70が図8の紙面時計方向に回転駆動されると、操作アーム71が下方に駆動されて、左の連係ロッド72により伝動ケース56が下降する。扇型ギヤ70により操作ロッド78を介して操作アーム77が図3の紙面反時計方向に回転駆動されて、右の連係ロッド72により支持アーム58が下降する。これにより、整地装置54が下降する。
【0059】
図10に示すように、苗植付装置5(センターフロート9、右及び左のサイドフロート10)が田面Gに接地しても、回転体62(整地装置54)が田面Gに接地しない上方位置A3が設定されて、苗植付装置5(センターフロート9、右及び左のサイドフロート10)が田面Gに接地すると、回転体62(整地装置54)も田面Gに接地する作業位置A4が設定されており、上方及び作業位置A3,A4の範囲で整地装置54が昇降する。
【0060】
図3及び図4に示すように、操作アーム71及び左の支持フレーム26のブラケット26cが、伝動ケース56の上方で伝動ケース56よりも左右中央側に位置し、操作アーム77及び右の支持フレーム26のブラケット26dが、支持アーム58の上方で支持アーム58よりも左右中央側に位置している。これにより、操作アーム71及び左の支持フレーム26のブラケット26cから、左の連係ロッド72及び左のバネ82が左斜め外方下方に延出される状態となり、操作アーム77及び右の支持フレーム26のブラケット26dから、右の連係ロッド72及び右のバネ82が右斜め外方下方に延出される状態となっている。
【0061】
図3及び図4に示すように、制御装置40、電動モータ73及び減速機構74が、伝動ケース56と同じ左側部(左の支持フレーム26)に備えられており、制御装置40、電動モータ73及び減速機構74が、左の支持フレーム26よりも左右中央側に位置して、右及び左の支持フレーム26の間(左の支持フレーム26と支持部材19(支持アーム29)との間)に位置している。
【0062】
[8]
次に、整地装置54の整地制御について説明する。
図3,5,10に示すように、支持フレーム18にポテンショメータ44が固定され、支持軸41に固定された連係アーム41cがポテンショメータ44の検出部に接続されており、ポテンショメータ44により支持軸41の角度が検出される。ポテンショメータ44の検出値が制御装置40に入力されており、制御装置40において,ポテンショメータ44の検出値に基づいて、植付設定高さA1(設定深さ)を認識することができるのであり、ポテンショメータ76の検出値に基づいて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さを認識することができる。
【0063】
図10に示すように、回転体62(整地装置54)による整地(代掻き)にとって、作業位置A4において適正な高さである整地設定高さA2(整地深さ)が制御装置40に設定されている。これにより前項[3]に記載のように、植付深さレバー42によって植付設定高さA1(設定深さ)が設定(変更)されると、ポテンショメータ44,76の検出値に基づいて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さが、作業位置A4において整地設定高さA2(整地深さ)となるように、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が昇降される。
【0064】
前項[3]及び図10に示すように、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、植付設定高さA1(設定深さ)が維持されると(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持されると)、苗植付装置5と一緒に整地装置54が昇降されて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さが、作業位置A4において整地設定高さA2(整地深さ)に維持される。
【0065】
図3及び図10に示すように、ポテンショメータ式のダイヤル設定器79が支持部材68に備えられて、ダイヤル設定器79の設定信号が制御装置40に入力されており、ダイヤル設定器79により整地設定高さA2(整地深さ)を低側(深側)及び高側(浅側)に調節することができる。
ダイヤル設定器79を標準位置に操作していると、整地設定高さA2(整地深さ)に変更はない。植付深さレバー42をレバーガイド43の一目盛りだけ操作した際の植付設定高さA1(設定深さ)の変更量に対して、ダイヤル設定器79を低側(深側)及び高側(浅側)に操作することにより、最大で前述の植付設定高さA1(設定深さ)の変更量を越える範囲(約150%)に、整地設定高さA2(整地深さ)を低側(深側)及び高側(浅側)に変更することができる。
【0066】
図3及び図10に示すように、プッシュオン・プッシュオフ式の操作スイッチ80が支持部材68に備えられており、操作スイッチ80の操作信号が制御装置40に入力されている。昇降操作レバー53が植付位置に操作されたことを検出するリミットスイッチ81が備えられて、リミットスイッチ81の検出信号が制御装置40に入力されており、リミットスイッチ81により植付及び施肥クラッチ23,37が伝動及び遮断状態が認識される。
【0067】
図10に示すように、操作スイッチ80がON位置に操作されている場合において、昇降操作レバー53が植付位置に操作されると(植付及び施肥クラッチ23,37が伝動状態に操作されると)、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が作業位置A4に下降する。昇降操作レバー53が下降位置、中立位置及び上昇位置に操作されると(植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作されると)、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が上方位置A3に上昇する。
【0068】
図10に示すように、操作スイッチ80がOFF位置に操作されている場合、昇降操作レバー53に関係なく(植付及び施肥クラッチ23,37の伝動及び遮断状態に関係なく)、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が上方位置A3に上昇する。例えば、センターフロート9、右及び左のサイドフロート10を田面Gに接地させた状態で、センターフロート9、右及び左のサイドフロート10により田面Gを整地しながら旋回する場合(スライディングターン)に対して、操作スイッチ80をOFF位置に操作することが有効である。
【0069】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、ワイヤ51を廃止し、支持フレーム18(苗植付装置5)に対する連係部材45の上下位置を検出するポテンショメータ(図示せず)(検出部に相当)を備えるように構成してもよい。これにより、ポテンショメータの検出値に基づいて、田面G(センターフロート9)から苗植付装置5までの高さ(苗の植付深さ)を検出して、田面G(センターフロート9)から苗植付装置5までの高さ(苗の植付深さ)が、植付設定高さA1(設定深さ)となるように、制御装置40及び制御弁50、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されるように構成する。
【0070】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、電動モータ73及び減速機構74を廃止し、人為的に操作される昇降レバー(図示せず)を扇型ギヤ70に固定して、昇降レバーの操作により整地装置54を昇降するように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、水田作業装置及び対地作業装置として、ペースト状の肥料を田面に供給する施肥装置、直播装置、薬剤散布装置及び米ぬか散布装置、溝切り器(不耕起田植用の溝)、溝切り器(排水用の溝)、シート敷設装置(ロール状に巻かれたシート(雑草防止用)を田面に展開させながら敷設する)を備えてもよい。
対地作業装置を水田作業装置に支持するのではなく、機体の後部から延出されたリンク機構(図示せず)に対地作業装置を支持するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】苗植付装置及び整地装置の側面図
【図3】苗植付装置及び整地装置の正面図
【図4】苗植付装置及び整地装置の平面図
【図5】センターフロート、右及び左のサイドフロートの付近の平面図
【図6】センターフロート、連係部材及び植付深さレバーの付近の側面図
【図7】センターフロートの前部の左側部の付近の正面図
【図8】左の支持フレーム、電動モータ及び減速機構、扇型ギヤの付近の正面図
【図9】回転体の斜視図
【図10】苗植付装置と整地装置との連係状態を示す図
【符号の説明】
【0072】
4 昇降機構
5 水田作業装置
9 接地体
9b 融通部
18 支持フレーム
18a 支持フレームの前側部
45 連係部材
51 検出部
54 対地作業装置
P3 横軸芯
G 田面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部に水田作業装置を昇降自在に支持して、前記水田作業装置を昇降駆動する昇降機構を備え、
前記水田作業装置に左右方向に配置された支持フレームの下側に、接地体を昇降自在に支持して、前記支持フレームの上側に検出部を備え、
前記支持フレームを上下方向に貫通し上下方向に移動自在に支持された連係部材を備えて、前記連係部材の下部を接地体に接続し、前記連係部材の上部を検出部に接続して、
前記検出部の検出に基づいて、前記水田作業装置が田面から設定高さに維持されるように、前記昇降機構を作動させる昇降制御手段を備えてある水田作業機。
【請求項2】
前記支持フレームの前側部と略同じ位置又は支持フレームの前側部よりも後側に、前記接地体の前部が位置するように構成してある請求項1に記載の水田作業機。
【請求項3】
前記接地体の後部を横軸芯周りに揺動自在に支持することにより、前記接地体を昇降自在に支持して、前記連係部材の下部を接地体の前部に接続し、
前記連係部材の移動軌跡と接地体の前部の移動軌跡との差を吸収する融通部を、前記連係部材の下部と接地体の前部との接続部分に備えてある請求項1又は2に記載の水田作業機。
【請求項4】
前記水田作業装置と機体との間に対地作業装置を備えてある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の水田作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−237062(P2008−237062A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80004(P2007−80004)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】