説明

水田除草機

【課題】
本発明は株間の除草機能も備えた廉価な水田除草機を提供することである。
【解決手段】
従来の水田除草機は條間の除草を行うものが主流であった。これに対して流体を噴出することにより株間の除草も行うものも提案されているが、具体的にはその実施も困難であり、仮に実施されていても、センサーや制御用の複雑な電子回路により高価なものになると思われる。本発明は空気などの流体の噴出を少なくとも一部が可撓性である気体噴出体を設けて行うことにより、株間の除草機能も備えた廉価な水田除草機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は株間の除草機能も備えた水田除草機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在水田での作業のうち田植と稲刈は殆んど機械化されている。ところが田植えの後は草取りという大きな作業がある。草取り作業は、畝の方向を条としたその間の条間と、各条に植えられた稲株の間の株間で行わなければならない。一般に条間より株間のほうが狭い。しかしながら草取り作業を機械で行うには満足行くものが無く、特に株間の作業は困難であった。移植後7〜10日の時期には雑草の発芽が始まるにもかかわらず、稲株は活着不十分のため回転などのような機械的な攪拌は稲を浮きあがらせてしまう。そこで草取り作業はもっぱら除草剤で行うのが主流であった。ところが近年無農薬農法が要求されるようになり稲株活着前から雑草の発芽を抑制することが可能な高性能の水田除草機が必要になった。
【0003】
それに対して、株間の作業を噴出する空気や水等の流体で行うというものが特開2002-84813(特許文献1)と特開2002-84305(特許文献2)で提案されている。これは株をセンサーで検出して流体の噴出を制御しようというものであるが、具体的な技術はなんら開示されていない。
【0004】
【特許文献1】特開2002-84813
【特許文献2】特開2002-84305
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は株間の除草機能も備えた廉価な水田除草機を提供することである。
【0006】
前記文献に示すものは次のような欠点がある。
(1)前述したように、活着前の未成熟な稲株をどのようにセンサーで検出し、流体の噴出をどのように制御するかの電子回路は全く開示されていない。
(2)仮にセンサーや電子回路が作れたとしてもそれは高価なものになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は株間の除草を、先端に錘部材を設け、そこにある噴出穴から空気などを噴出させるようにした少なくとも一部が可撓性である気体噴出体で行うようにしたものである。除去すべき雑草は発芽直前か、またはまだ根が充分着いていないため、空気などの気体噴出で田の土壌表面がかき回されることで雑草が土壌から離れる、或いは土壌表面そのものが雑草の根ごと水中に舞い上がるために雑草が除去されるものである。錘部材は気体噴出体に空気などが送りこまれない時には自身の重量のために田の土壌の上を、具体的には稲の上やその近傍を引きずって移動することになる。空気などを送りこんだ場合送り込んだ空気などが噴出穴から噴出すると同時に噴出の反動で土壌から離れ、気泡放出後錘部材は水中の底まで沈みこみ、田の土壌を叩く。この往復動作の中で空気などの噴出圧と錘部材の叩く作用とで、土壌表面がかき回されることを効率的に行なうことができる。
【0008】
このような可撓性である細いパイプ気体噴出体で行えば、それがたとえ稲株に乗り上げても、気体噴出体も稲自体も自由に変形するため稲を損傷することなく通過できるので、別にセンサー等は必要で無く、当然制御のための電子回路も不要である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、特に雑草の発芽が始まる前の稲株が活着不十分な時期に廉価な水田除草機を提供することが可能になった。この時期の発芽防止と除草の作用が、その後の雑草の成育を止めるために、最も重要で効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1と図2は本発明になる水田除草機の実施例を示す全体の正面図と側面図であり、図3はその斜視図である。
【0011】
図において1-1及び1-2は條間を除草する除草ローターであり、夫々電気モーター2-1及び2-2で駆動される。図示ししていないが同じものが反対側に二個ずつある。このように除草ローターが独立して駆動されることにより方向転換の場合、夫々の除草ローターを停止、あるいは正逆回転することでその作業が容易である。3-1,3-2はフロートである。4は後述する気体噴出機構で図示していないが同じものが他に三個ある。これはゴム材や軟質塩ビ或いはシリコンの外径8mmから12mmの柔らかい中空パイプで構成され、先端には錘となるステンレス材や真鍮材の錘部材をつけてある。5はそれに空気を送るブロワー、6はそのブロワー5と電気モーター2-1などの電源用バッテリーである。7は操舵である。
【0012】
4の気体噴出機構には少なくとも一部が可撓性である気体噴出体8(以下単に気体噴出体という)が複数個設けられている。
【0013】
図4と図5は気体噴出機構の他の実施例を示す側面図と正面図であり、図6は用部拡大斜視図である。図に於いて9は気体噴出体の先端に設けられた錘部材である。このようにすることに気体噴出体が柔らかいゴムなどで力が弱くてもそれを補強し気体噴出の勢いに逆らって噴出口を土壌に接近させて維持することが出来る。10は錘部材9に設けられた噴出穴であり、噴出口は下向きが効果的である。これは空気の泡を土壌に吹き付けることが出来、土壌をかき混ぜることが出来ると共に、錘部分が反力で浮き上がり、空気が放出した後に錘部が土壌表面を叩くことで、雑草の根ごと土壌から剥ぎ取る効果があるのである。噴出口は柔らかい気体噴出体に設けるよりその恒久性が益す。図4では見えない側にもう一個あり複数個あればより効果的である。また気体噴出体は固定体13に固定され水田除草機の進行の直角方向に対してじぐざぐになっている。こうすることにより各々の気体噴出体の間の隙間が充分な大きさになり稲株及び水田にある塵などの通過が容易になる。
【0014】
11は水田除草機の進行の直角方向に対して、気体噴出体の動きを制限することにより、必要な部分、特に噴出体が除草ローターの通らない部分や稲株の近傍にあることが大切であり、気体噴出が集中するようその気体噴出体の両側に設けられたガイドである。気体噴出体はガイドの間を3次元的に動くため、稲株近傍の土壌を効果的にかき混ぜることができる。図4に2点鎖線で示すよう水田除草機の進行の方向に対しては自由に動く。図では二個あるが場合によっては一個でも良い。また気体噴出体は位置調整機構12により上下に動かすことが出来るので稲株の状況に応じその位置が設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明になる水田除草機の実施例を示す正面図である。
【図2】本発明になる水田除草機の実施例を示す側面図である。
【図3】本発明になる水田除草機の実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明になる水田除草機の気体噴出機構の実施例を示す側面図である。
【図5】本発明になる水田除草機の気体噴出機構の実施例を示す正面図である。
【図6】本発明になる水田除草機の気体噴出機構の実施例を示す用部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1-1、1-2 除草ローター
2-1、2-2 電気モーター
3-1、3-2 フロート
4 気体噴出機構
5 ブロワー
6 電源用バッテリー
7 操舵
8 少なくとも一部が可撓性である気体噴出体
9 錘部材
10 噴出穴
11 ガイド
12 位置調整機構
13 固定体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が可撓性である気体噴出体の先端に錘部材が設けられ且つ前記錘部材に噴出穴が設けられている水田除草機。
【請求項2】
少なくとも一部が可撓性である気体噴出体が複数個ある請求項1に記載の水田除草機。
【請求項3】
少なくとも一部が可撓性である複数個の気体噴出体が条方向に対してじぐざぐに設けられている請求項2に記載の水田除草機。
【請求項4】
少なくとも一部が可撓性である気体噴出体の条側にガイドを設けた請求項1または請求項2または請求項3に記載の水田除草機。
【請求項5】
ガイドが気体噴出体の両方にある請求項4に記載の水田除草機。
【請求項6】
除草ローターが独立して駆動されることを特徴とする水田除草機

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−22722(P2008−22722A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195799(P2006−195799)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(301065814)日精電機株式会社 (8)
【出願人】(506245866)
【出願人】(592126658)株式会社エムケー (1)
【Fターム(参考)】