説明

水稲用籾殻燻炭育苗マット

【課題】適度の固さで、破損しにくく、取り扱いが容易で、適度の保型性と通気性と吸水性と保水性を備えた安全な水稲用の育苗マットを提供する。
【解決手段】籾殻燻炭を主材料とし、これにアバカ繊維を加えて水により混練したものを脱水して板状に成形して水稲用籾殻燻炭育苗マットを構成する。籾殻燻炭を80〜90重量%、アバカ繊維を20〜10重量%の比率で混練すると、より良好な水稲用籾殻燻炭育苗マットが得られる。籾殻燻炭を用いるので、軽量で取り扱いが容易、吸水性と保水性が良好、肥料の持ちがよい、安価に入手できる、土壌改良効果がある、根腐れを生じない、無害である。一方、アバカ繊維を用いるので、繊維が比較的長いので、籾殻燻炭を担持するのに十分で、保形性があるが、田植機による掻き取り動作に支障を来さない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、種籾を播種して、田植えの適期までの間、稲苗を育てる水稲用の籾殻燻炭育苗マットに関する。
【背景技術】
【0002】
機械植え用の稲苗は、長方形状の浅い皿形の育苗箱に床土を敷き、これに種をまいて発芽させ、所要の期間、保温、灌水を行って育てている。ところが、良質の培養土の入手が困難で、比較的高価であり、また重く運搬性が悪い等の問題があった。
そこで、このような培養土に代わって、例えば、サトウキビ繊維、籾殻燻炭、古紙繊維、デンプン質を混練して結合させ蒸発乾固させた苗床が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58-63333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のサトウキビ繊維を用いた苗床は、比較的硬質で、衝撃に弱く、破損しやすいため、取り扱いが困難であり、作業性が悪い。また、水分を含ませるともろくなりすぎて、保型性に劣る。籾殻燻炭を用いると、固形化し難く取扱いが困難となる。古紙繊維を用いると、古紙に残留したインクが土壌を汚染するおそれがある。デンプン質を添加すると、腐敗し易いなどの問題がある。
したがって、この出願に係る発明は、適度の固さで、破損しにくく、取り扱いが容易で、適度の保型性と通気性と吸水性と保水性を備えた安全な水稲用籾殻燻炭育苗マットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この出願に係る発明においては、籾殻燻炭を主材料とし、これにアバカ繊維を加えて水により混練したものを脱水して板状に成形して水稲用籾殻燻炭育苗マットを構成した。
上記籾殻燻炭を80〜90重量%、アバカ繊維を20〜10重量%の比率で混練すると、より良好な水稲用籾殻燻炭育苗マットが得られる。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明によれば、アバカ繊維間に籾殻燻炭が均等に分散して担持され、適度の固さで保型性があり、破損しにくく、取り扱いが容易で、適度の保水性と通気性と吸水性と保水性を備えた安全な水稲用籾殻燻炭育苗マットが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
混練タンク中に、籾殻燻炭を85重量%、アバカ繊維を15重量%の比率で投入し、これらが合計の重量比で0.6%〜1.0%となる量の水を加えて混練する。アバカ繊維は、長さが3〜12mm で、平均6mm程度である。
【0008】
混練後、特殊抄紙機で抄いて脱水し、厚さ15mmの板状に成形する。籾殻燻炭は粉砕され、アバカ繊維間に均等に分散して担持される。
【0009】
バカス、竹、葦、アカシヤ、ユーカリ等の繊維を比較試験したが、アバカ繊維が最も少量で、籾殻燻炭を担持したマットが成形できる。
【0010】
アバカ繊維は籾殻燻炭に比べると高価であるから極力使用量を少なくすべきであるが、混合比率で10重量%未満、すなわち、籾殻燻炭が90重量%を越えると衝撃に弱く、破損しやすいため、取り扱いを慎重にすることが要求されるので、作業性が悪化する。
【0011】
この育苗マットは、田植え機械用の育苗箱の大きさに合わせて成形する。使用に当たっては、このマットを育苗箱に入れて灌水し、その上に播種し、さらにその上に覆土したうえ、再度灌水して発芽を待つ。
【0012】
籾殻燻炭を用いる利点は、軽量で取り扱いが容易、吸水性と保水性が良好、肥料の持ちがよい、安価に入手できる、土壌改良効果がある、根腐れを生じない、無害である等の点である。
【0013】
一方、アバカ繊維を用いる利点は、繊維が比較的長いので、籾殻燻炭を担持するのに十分で、保形性があるが、田植機による掻き取り動作に支障を来さない点である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾殻燻炭を主材料とし、これにアバカ繊維を加えて水により混練したものを脱水して板状に成形してなる水稲用籾殻燻炭育苗マット。
【請求項2】
籾殻燻炭80〜90重量%、アバカ繊維20〜10重量%である請求項1に記載の水稲用籾殻燻炭育苗マット。

【公開番号】特開2012−24003(P2012−24003A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164485(P2010−164485)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000001890)三和テッキ株式会社 (134)
【Fターム(参考)】