説明

水素ガスの体内吸入装置

【技術課題】吸入する水素ガス濃度を任意に設定して抗酸化作用による治療効果を高める。
【解決手段】水素ガス発生装置1に、電気分解用電流値を制御するための電気分解電流値制御装置25を取り付け、水素ガス発生装置1で発生した水素ガスを前記鼻孔カニューラ3に導く導管の一部に空気混合器14を取り付けて、空気ポンプ15から送られて来た空気と水素ガスをこの混合器14で混合することにより、水素ガスの濃度を調整したものを鼻孔カニューラ3側に送出する。混合器14と鼻孔カニューラ3間に、水素ガス濃度検出センサ17を設け、水素ガス濃度検出センサ17で検出される水素ガスの濃度により、水素ガス発生装置1に印加される電流値を前記電気分解電流値制御装置25を用いてフィードバック制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性酸素の働きを抑える水素ガスを鼻孔カニューラを用いて直接体内に吸引するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素には、有害な抗酸化物質だけを抑制する作用があることが知られている。そこで、この水素を得る方法として、特開2005‐95808には、陽極板と陰極板から成る攪拌具によりコップ内の水を攪拌して水素を分解生成する提案がある。
しかし、この提案は、飲料水であることから、水素を体内において吸収するのに時間がかかると共に、水素量も不確かであり、吸入効果も限られているという問題がある。
この問題を解決するために、鼻孔カニューラを用いて直接水素ガスを体内に吸入する方法とその装置が、特開2005‐87257号公報に掲載されている。
しかし、この直接吸入法は、水素ガスの濃度を自由に調整して、吸入目的に合った水素ガスの濃度が得られないという問題がある。
【特許文献1】特開2005‐95808号公報
【特許文献2】特開2005‐87257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、鼻孔カニューラを用いて直接体内に水素ガスを吸入する装置において、吸入目的に合った濃度に水素ガスを調整して吸入効果を高めることができる吸入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、a.水素ガス発生装置により水を電気分解して発生した水素ガスを鼻孔カニューラを用いて体内に吸入するための水素ガス吸入装置において、
b.前記水素ガス発生装置には、電気分解用電流値を制御するための電気分解電流値制御装置を取り付けたこと、
c.前記水素ガス発生装置で発生した水素ガスを前記鼻孔カニューラに導く導管の一部に空気混合器を取り付けて、空気ポンプから送られて来た空気と水素ガスをこの混合器で混合することにより、水素ガスの濃度を調整したものを前記鼻孔カニューラ側に送出するように構成したこと、
d.前記混合器と鼻孔カニューラ間に、水素ガス濃度検出センサを設けたこと、
e.前記水素ガス濃度検出センサで検出される水素ガスの濃度により、この水素ガスの濃度を設定値に制御するために、前記水素ガス発生装置に供給される電流値を前記電気分解電流値制御装置を用いてフィードバック制御するための制御器を設けたこと、
f.を特徴とするものである。
【0005】
更に、請求項2に記載の発明において、請求項1に記載の水素ガスの体内吸入装置において、前記鼻孔カニューラに送り込む水素ガスの濃度を、前記空気混合器で混合される水素ガスと空気との混合比率で決定するように、水素ガス発生装置で発生する水素ガス量と、前記空気ポンプから送り出される空気量を制御するように構成して成ることを特徴とするものである。
この発明によると、鼻孔カニューラに送り込む水素ガスの量を一定に又は任意に決定することができる。
【0006】
更に、請求項3に記載の発明において、請求項1又は2に記載の水素ガスの体内吸入装置において、前記電気分解電流値を手動により任意に設定するための手動電流制御器を取り付けて成ることを特徴とするものである。
この発明によると、手動で任意に水素ガスの濃度を決定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記のとおり、吸入する水素ガスの濃度を任意に調整できるため、個人差や治療目的に応じて抗酸化作用に最適な水素ガスの濃度に調整できる効果がある。
【実施例】
【0008】
図1は、本発明に係る水素ガス発生装置で発生した水素ガスを鼻孔カニューラを用いて吸入している状況の説明図、図2は、水素ガス発生装置と水素ガス濃度制御装置の説明図、図3は、水素ガス発生装置の詳細な説明図である。
先ず、図1において、1は水素ガス発生装置であって、この装置は、蓋1bと把手1c付の可搬式ボックス1a内に収納されている。2はコントロールボックス、3は鼻孔カニューラ、4は吸入チューブ、5は吸入チューブ接続口、6は水素ガス濃度計、7は水素ガス濃度コントロールツマミ、8、9はランプ、10は空気流量計、11は水素ガス流量計、12はフィルタ付の空気吸引口である。
【0009】
次に、水素ガス発生装置1について、その構成を図3に基づいて詳細に説明する。
図3において、符号の30は電解セルであって、このセル30内はイオン交換膜31として例えばデュポン株式会社の商品名:ナフィオンが中心に配置されて陽極室34と陰極室35に分けられ、陽極室34には陽極板32が、陰極室35には陰極板33が組み込まれている。なお本実施例において、陽極板32としてチタニウムのメッシュに白金メッキしたもの、陰極板33も同質の素材を使用してイオン交換膜31に出来るだけ近接させて配置させて用いているが、公知の構造から成る陽極板と陰極板で電極を構成しても良い。陽極板32、陰極板33にはそれぞれ給電用の陽極端子36と陰極端子37が取付けられ、この端子36、37には図2の電源21及び電流値制御装置25から延長した電源線22、23がそれぞれ結ばれている。
【0010】
38はキャップ52付の水素側サージタンクであって、この水素側サージタンク38の低部は、ポンプ入口38a、循環ポンプ40、流入管46を介して陰極室35の下部に接続され、陰極室35の上部は、流出管42を介して水素側サージタンク38に接続されている。
39はキャップ50及び酸素ガス送出51付の酸素側サージタンクであって、この酸素側サージタンク39の低部はポンプ入口39a、循環ポンプ41、流入管47を介して陽極室34の低部に接続され、陽極室34の上部は流出管43を介して酸素側サージタンク39に接続されている。図中40a、41aは循環ポンプ40、41のモータである。
【0011】
55は水面レベル制御バルブ、45は水素側サージタンク38の低部とバルブ55を結ぶ水位調整管、45はバルブ55と酸素側サージタンク39の低部を結ぶ水位調整管である。
54は水素ガス送出管であって、この送出管54は、水素側サージタンク38から水素ガス送出管54を介して洗浄ビン48内と接続されている。49は鼻孔カニューラ3のチューブ4を接続するための接続口、53は水素側サージタンク38内の水位と水素ガス圧を検出するためのセンサである。同時に発生する酸素ガスは必要無いため、酸素出口51から排気される。
【0012】
なお、水素側サージタンク38には水面レベルセンサと圧力センサ53が設置され、鼻孔カニューラ3の閉塞など何らかの事故によって異常に圧力が上昇した場合は装置の電源が自動的に切れる。また水素側サージタンク38と酸素側サージタンク39内部の水面高さに大きな差が発生すると水圧差でイオン交換膜31を痛めるため、同じ圧力センサ53で低い圧力変化も検出して水面レベル制御用電磁バルブ55を開閉することによって水面レベルを一定にさせる。
電気分解する水が減少した場合は水面レベルセンサ53からの信号で自動的に電源は停止する。
【0013】
電解セル30内は、水素側サージタンク38と酸素側サージタンク39に結ばれていることにより、水が満たされている。この状態で陽極板32と陰極板33に電圧が印加されると、セル30内において電気分解が行われ、陰極板33側に水素が発生する。この水素は、水素送出管42から水素側サージタンク38内に水と一緒に流入し、このサージタンク38内で気水分離が行われ、水素ガスは送出管54から洗浄ビン48内に入り、洗浄後、接続口49からチューブ4を経由して鼻孔カニューラ3に至り、ここから患者の体内に吸入される。
装置の運転により、陽極板32と陰極板33の表面に付着した気泡は、陽極室34と陰極室35内に循環ポンプ40、41の作用により水が強制循環しているため、気泡はこの強制循環により流され、よって電解効率が低下するのが防止される。
【0014】
図2は、水素ガス発生装置1と水素ガス濃度制御装置を示すもので、この制御装置は、水素ガス発生装置1で発生した水素ガスを導管13でガス混合器14に導き、ここで流量可変式の小型空気ポンプ15から送出された空気と混合し、導管18を経由して前記吸入チューブ4の接続口5に至る。19は、前記水素ガス導管13に取り付けられた水素ガス流量計、20は空気ポンプ15からガス混合器14に至る空気導管16に取り付けられた空気流量計、17は空気混合器14から送出された水素ガス濃度を検出するための水素ガスセンサであって、このセンサ17で検出される水素ガス濃度は、信号線17aを経由してコントローラ24に送られ、このコントローラ24は、前記した水素ガス濃度コントロールツマミ7で設定された水素ガス濃度になるように、電気分解電流電源21に取り付けられた電流値制御装置25をフィードバック制御することにより、水素ガスの発生量をコントロールすることができる。
なお、上記は水素ガス濃度を自動制御する場合であるが、ツマミ7の切り替えで手動により水素ガス濃度を制御することもできる。
また、電源として、本実施例はバッテリーを使用しているが、AC電源を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】水素ガス発生装置で発生した水素ガスを吸入している状態の説明図
【図2】水素ガス発生装置と水素ガス濃度制御装置の説明図
【図3】水素ガス発生装置の説明図
【符号の説明】
【0016】
1 水素ガス発生装置
3 鼻孔カニューラ
4 水素ガス吸入チューブ
7 水素ガス濃度コントロールツマミ
15 空気ポンプ
17 水素ガス濃度センサ
20 ガス混合器
21 電源
24 コントローラ
25 電流値制御装置
30 電解セル
38 水素側ガスサージタンク
39 酸素側サージタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.水素ガス発生装置により水を電気分解して発生した水素ガスを鼻孔カニューラを用いて体内に吸入するための水素ガス吸入装置において、
b.前記水素ガス発生装置には、電気分解用電流値を制御するための電気分解電流値制御装置を取り付けたこと、
c.前記水素ガス発生装置で発生した水素ガスを前記鼻孔カニューラに導く導管の一部に空気混合器を取り付けて、空気ポンプから送られて来た空気と水素ガスをこの混合器で混合することにより、水素ガスの濃度を調整したものを前記鼻孔カニューラ側に送出するように構成したこと、
d.前記混合器と鼻孔カニューラ間に、水素ガス濃度検出センサを設けたこと、
e.前記水素ガス濃度検出センサで検出される水素ガスの濃度により、この水素ガスの濃度を設定値に制御するために、前記水素ガス発生装置に供給される電流値を前記電気分解電流値制御装置を用いてフィードバック制御するための制御器を設けたこと、
f.を特徴とする水素ガスの体内吸入装置。
【請求項2】
前記鼻孔カニューラに送り込む水素ガスの濃度を、前記空気混合器で混合される水素ガスと空気との混合比率で決定するように、水素ガス発生装置で発生する水素ガス量と、前記空気ポンプから送り出される空気量を制御するように構成して成る請求項1に記載の水素ガスの体内吸入装置。
【請求項3】
前記電気分解電流値を手動により任意に設定するための手動電流制御器を取り付けて成る請求項1又は2に記載の水素ガスの体内吸入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−5881(P2009−5881A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169856(P2007−169856)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(390024855)シンワ工業株式会社 (5)