説明

水素供給装置、エネルギー供給システムおよび水素貯蔵カートリッジ

【課題】 高い効率で水素またはエネルギーを供給する水素供給装置、エネルギー供給システムおよびこれらに用いられる水素貯蔵カートリッジを提供する。
【解決手段】 水素貯蔵カートリッジ(2)を保持し、電力の供給を受けて水素貯蔵カートリッジ(2)を加熱する複数の加熱装置(C1−Cn)を有する保持部(31)と、複数の加熱装置(C1−Cn)への電力の供給を制御する制御部(33)と、水素の供給量を算出するための物理量を検出し、制御部(33)に検出値を入力する感知部(34)と、を備え、制御部(33)は水素の供給状態を把握し、水素貯蔵カートリッジ(2)から水素を放出するための加熱条件を、加熱部位を変更することによって制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱により水素を吸蔵放出する水素貯蔵体を用いて、水素またはエネルギーを供給する水素供給装置、エネルギー供給システムおよび水素貯蔵カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コイルの電磁誘導を用いた加熱方法により水素を放出させ供給するシステムが知られている(たとえば特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載される水素生成装置は、炭化水素化合物を含有する原料を封入した水素ガス生成筒内に、ニッケル製の発熱体を有する発熱部を設け、コイルの電磁誘導により発熱体を加熱し、原料を熱分解させて水素ガスを生成している。このような水素生成装置により、触媒を不要にし、加熱までの起動時間を短縮している。
【0004】
また、特許文献2に記載される水素貯蔵・供給システムは、ベンゼン等の水素貯蔵体またはシクロヘキサン等の水素供給体を収納する原料貯蔵タンクと、ニッケル多孔質体等の触媒を収納する筒状体と、原料を供給するコンプレッサと、水素が伴う液滴を分離する熱交換器および活性炭等と、液化したベンゼンやシクロヘキサンを回収する回収タンクと、触媒を加熱する電磁誘導コイルとから構成されており、水素貯蔵体の水素化反応または水素供給体の脱水素反応を利用して、水素の貯蔵または供給を行なっている。この水素貯蔵・供給システムにおいて、電磁誘導コイルは、ニッケル多孔質体等の触媒を高周波誘導により加熱可能なように構成されている。このような水素貯蔵・供給システムにより、家庭内の電力の負荷変動に迅速にリスポンスできる燃料電池システムを構成することを可能にしている。
【特許文献1】特開2003−206102号公報
【特許文献2】特開2003−321202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の水素供給装置では、すでに水素が放出された部分を含め、水素貯蔵容器内の水素貯蔵体全体を一様に加熱するため、供給した熱が無駄に消費され、熱効率が低下する。すなわち、水素の放出に用いられるエネルギーの効率が低下する。
【0006】
一方、近年、環境問題等の要請から、水素エネルギーを利用するシステムの需要が高まっている。特に、水素エンジンや燃料電池を利用した発電システム、それを応用した家庭用コジェネレーションシステム、水素自動車、燃料電池自動車等には、高効率な水素供給装置が求められている。
【0007】
本発明は、高い効率で水素またはエネルギーを供給する水素供給装置、エネルギー供給システムおよびこれらに用いられる水素貯蔵カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る水素供給装置は、水素貯蔵カートリッジを保持し、電力の供給を受けて前記水素貯蔵カートリッジを加熱する複数の加熱装置を有する保持部と、前記複数の加熱装置への電力の供給を制御する制御部と、水素の供給量を算出するための物理量を検出し、前記制御部に検出値を入力する感知部と、を備え、前記制御部は前記水素の供給状態を把握し、前記水素貯蔵カートリッジから水素を放出するための加熱条件を、加熱部位を変更することによって制御することを特徴としている。
【0009】
このように、本発明の水素供給装置は、水素の供給状態を把握し、供給量が所定量以下になったときには水素貯蔵カートリッジを加熱することによって水素を供給する。この際、水素貯蔵体の加熱を有効に行うために、水素貯蔵カートリッジの加熱位置を変更することが可能である。これにより、すでに水素を放出し終えた水素貯蔵体の加熱を防ぎ、水素を放出することが可能な水素貯蔵体を加熱して、高い効率で水素を供給することができる。
【0010】
また、本発明の水素供給装置は、前記加熱装置が、交流電流を供給したときに交番磁界を発生させるコイルを備えることを特徴としている。これにより、誘電加熱で直接に容器または水素貯蔵体等を発熱させることができ、水素放出に用いられるエネルギーの損失を低減することができる。その結果、さらに高効率に水素を供給させることができる。
【0011】
また、本発明の水素供給装置は、前記加熱装置が、電熱ヒータであることを特徴としている。これにより、水素貯蔵カートリッジを構成する部材のすべてが絶縁体である場合であっても、熱伝導により水素貯蔵体を加熱することができる。また、比較的に簡易な設計で水素供給装置を構成することができる。
【0012】
また、本発明のエネルギー供給システムは、上記の水素供給装置と、前記水素供給装置により供給される水素を燃料として、電気的エネルギーまたは機械的エネルギーを生成するエネルギー生成装置と、前記エネルギー生成装置の廃熱を、熱媒体を流動させることにより、または熱伝導により前記水素貯蔵カートリッジに伝える熱伝導部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
このように、本発明のエネルギー供給システムは、エネルギー生成装置の廃熱を、水素供給装置における水素の放出に利用している。これにより、エネルギー供給システム全体のエネルギー供給の効率を高めることができる。
【0014】
また、本発明のエネルギー供給システムは、上記の水素供給装置と、都市ガスの配管に接続され、前記配管から供給された都市ガスを水素に改質し供給するガス改質装置と、前記水素供給装置または前記ガス改質装置により供給される水素を燃料として、電気的エネルギーまたは機械的エネルギーを生成するエネルギー生成装置と、前記エネルギー生成装置の廃熱を、熱媒体を流動させることにより、または熱伝導により前記水素貯蔵カートリッジおよび前記ガス改質装置の少なくとも一方に伝える熱伝導部と、を備えることを特徴としている。
【0015】
このように、本発明のエネルギー供給システムは、エネルギー生成装置の廃熱を、水素供給装置における水素の放出、またはガス改質装置における水素ガスへのガスの改質に利用している。これにより、エネルギー供給システム全体のエネルギー供給の効率を高めることができる。
【0016】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジは、上記の誘導加熱式の水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、前記水素貯蔵体を収容する導電体の水素貯蔵容器と、を備えることを特徴としている。
【0017】
これにより、コイルに交流電流を供給して導電体の水素貯蔵容器に交番磁界を発生させることで、誘導電流を発生させ、水素貯蔵容器を発熱させることができる。したがって、水素貯蔵体が絶縁体である場合にも、高効率に水素を供給することが可能になる。
【0018】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジは、上記の誘導加熱式の水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な導電体の水素貯蔵体と、前記水素貯蔵体を収容する絶縁体の水素貯蔵容器と、を備えることを特徴としている。
【0019】
これにより、コイルに交流電流を供給して導電体の水素貯蔵体に交番磁界を発生させることで、誘導電流を発生させ、水素貯蔵体を発熱させることができる。したがって、熱伝導によらず水素貯蔵体を直接加熱することができ、さらに高効率に水素を供給することが可能になる。
【0020】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジは、上記の誘導加熱式の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な絶縁体の水素貯蔵体と、誘導加熱により発熱し、前記水素貯蔵体を加熱する導電体と、前記水素貯蔵体および前記導電体を収容する絶縁体の水素貯蔵容器と、を備えることを特徴としている。
【0021】
これにより、コイルに交流電流を供給してカートリッジ内の導電体に交番磁界を発生させることで、誘導電流を発生させ、導電体を発熱させることによって水素貯蔵体を加熱することができる。したがって、水素貯蔵容器および水素貯蔵体の両方が絶縁体である場合にも、高効率に水素を供給することが可能になる。
【0022】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジは、上記の誘導加熱式の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な絶縁体の水素貯蔵体と、前記水素貯蔵体に混合される複数の導電性を有する粉粒体と、前記水素貯蔵体および前記粉粒体を収容する絶縁体の水素貯蔵容器と、を備えることを特徴としている。
【0023】
これにより、コイルに交流電流を供給して導電性を有する粉粒体に交番磁界を発生させることで、誘導電流を発生させ、水素貯蔵容器22を発熱させることができる。したがって、水素貯蔵容器22および水素貯蔵体の両方が絶縁体である場合にも、高効率に水素を供給することが可能になる。
【0024】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジは、上記の誘導加熱式の水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、誘導加熱により発熱する発熱体と、体積抵抗率と比透磁率との積が0.03μΩm以下である材料により形成され、前記水素貯蔵体および前記発熱体とを収容する水素貯蔵容器と、を備えることを特徴としている。
【0025】
このように、水素貯蔵容器は、体積抵抗率と比透磁率との積が、非常に小さい材料により構成されているため、水素貯蔵容器では電力が消費されず、容器内部の発熱体により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体を加熱することができる。
【0026】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジは、上記の誘導加熱式の水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、誘導加熱により発熱する発熱体と、実質的にアルミニウムまたは銅により形成され、前記水素貯蔵体および前記発熱体を収容する水素貯蔵容器と、を備えることを特徴としている。
【0027】
このように、水素貯蔵容器は、銅やアルミニウムのように体積抵抗率または比透磁率が、非常に小さい材料により構成されているため、水素貯蔵容器では電力が消費されず、容器内部の発熱体により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体を加熱することができる。
【0028】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジは、上記の誘導加熱式の水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、体積抵抗率と比透磁率との積が0.3μΩm以上である材料により形成され、誘導加熱により発熱する発熱体と、体積抵抗率と比透磁率との積が0.03μΩm以下である材料により形成され、前記水素貯蔵体および前記発熱体を収容する水素貯蔵容器と、を備えることを特徴としている。
【0029】
このように、水素貯蔵容器の材料についての体積抵抗率と比透磁率との積が、発熱体の材料についての体積抵抗率と比透磁率との積に比べて、非常に小さい。その結果、水素貯蔵容器では電力が消費されず、容器内部の発熱体により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体を加熱することができる。
【0030】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジは、上記の誘導加熱式の水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、誘導加熱により発熱する発熱体と、前記水素貯蔵体および前記発熱体を収容する水素貯蔵容器と、を備え、前記発熱体の体積抵抗率をρ1、比透磁率をμ1とし、前記水素貯蔵容器の体積抵抗率をρ2、比透磁率をμ2とするとき、(ρ1×μ1)/(ρ2×μ2)≧10であることを特徴としている。
【0031】
このように、水素貯蔵容器の材料についての体積抵抗率と比透磁率との積が、発熱体の材料についての体積抵抗率と比透磁率との積に比べて、1/10以上小さい。その結果、水素貯蔵容器では電力が消費されず、容器内部の発熱体により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体を加熱することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る水素供給装置によれば、すでに水素を放出した水素貯蔵体へ供給する熱量を低減させ、水素の放出に用いられるエネルギーに対して、高い効率で水素を供給させることができる。
【0033】
また、本発明に係る水素供給装置によれば、誘電加熱で直接に容器または水素貯蔵体等を発熱させることができ、水素放出に用いられるエネルギーの損失を低減することができる。その結果、さらに高効率に水素を供給させることができる。
【0034】
また、本発明に係る水素供給装置によれば、水素貯蔵カートリッジを構成する部材のすべてが絶縁体である場合であっても、熱伝導により水素貯蔵体を加熱することができる。また、比較的に簡易な設計で水素供給装置を構成することができる。
【0035】
また、本発明に係るエネルギー供給システムによれば、エネルギー生成装置の廃熱を、水素供給装置における水素の放出に利用している。これにより、エネルギー供給システム全体のエネルギー供給の効率を高めることができる。
【0036】
また、本発明に係るエネルギー供給システムによれば、エネルギー生成装置の廃熱を、水素供給装置における水素の放出、またはガス改質装置における水素ガスへのガスの改質に利用している。これにより、エネルギー供給システム全体のエネルギー供給の効率を高めることができる。
【0037】
また、本発明に係る水素貯蔵カートリッジによれば、コイルに交流電流を供給して導電体の水素貯蔵容器22に交番磁界を発生させることで、誘導電流を発生させ、水素貯蔵容器22を発熱させることができる。したがって、水素貯蔵体が絶縁体である場合にも、高効率に水素を供給することが可能になる。
【0038】
また、本発明に係る水素貯蔵カートリッジによれば、熱伝導によらず水素貯蔵体を直接加熱することができ、さらに高効率に水素を供給することが可能になる。
【0039】
また、本発明に係る水素貯蔵カートリッジによれば、水素貯蔵容器および水素貯蔵体の両方が絶縁体である場合にも、高効率に水素を供給することが可能になる。
【0040】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジによれば、水素貯蔵容器は、体積抵抗率と比透磁率との積が、非常に小さい材料により構成されているため、水素貯蔵容器では電力が消費されず、容器内部の発熱体により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体を加熱することができる。
【0041】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジによれば、水素貯蔵容器は、銅やアルミニウムのように体積抵抗率または比透磁率が、非常に小さい材料により構成されているため、水素貯蔵容器では電力が消費されず、容器内部の発熱体により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体を加熱することができる。
【0042】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジによれば、水素貯蔵容器の材料についての体積抵抗率と比透磁率との積が、発熱体の材料についての体積抵抗率と比透磁率との積に比べて、非常に小さい。その結果、水素貯蔵容器では電力が消費されず、容器内部の発熱体により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体を加熱することができる。
【0043】
また、本発明の水素貯蔵カートリッジによれば、水素貯蔵容器の材料についての体積抵抗率と比透磁率との積が、発熱体の材料についての体積抵抗率と比透磁率との積に比べて、1/10以上小さい。その結果、水素貯蔵容器では電力が消費されず、容器内部の発熱体により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体を加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0045】
(実施形態1)
図1は、エネルギー供給システム1の構成図である。図1に示すように、エネルギー供給システム1は、水素貯蔵カートリッジ2、水素供給装置3、水素流通管4、ホルダ5、ガス改質装置6、都市ガス供給管7、水素供給管8、水素エンジン9、および水蒸気流通管10により構成されている。なお、一般的技術としてガス経路上にはガスの流通のためにバルブを設けるが、ここでは図面上バルブを省略して表している。
【0046】
図2は、水素貯蔵カートリッジ2の断面図である。水素貯蔵カートリッジ2は、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体21と、水素貯蔵体21を収容する水素貯蔵容器22とを備えている。水素貯蔵体21の材料には、導電性を有するものとして、La−Ni系、Ti−Cr−V系などの水素吸蔵合金やカーボンナノチューブなどのカーボン系材料があげられる。一方、絶縁体の材料として、NaAlH4などアラネート系材料、リチウム系材料等が用いられる。
【0047】
水素貯蔵容器22は、気密な構造を有しており、使用される水素貯蔵体21の特性に応じて適当な温度、圧力に耐えうる材料および形状が選ばれる。図2に示される水素貯蔵容器22の外形は、円筒形状であるが、角の丸い四角柱の形状としてもよい。
【0048】
水素供給装置3が誘導加熱の方式をとる場合には、水素貯蔵体21および水素貯蔵容器22の少なくともいずれか一方の材料を、導電体とする。これにより、コイルに交流電流を供給して導電体に交番磁界を発生させ、誘導電流を発生させて、水素貯蔵容器22または水素貯蔵体21を発熱させることができる。水素貯蔵体21が絶縁体である場合にも、高効率に水素を供給することが可能になる。
【0049】
また、水素貯蔵体21に導電性材料を用いる場合には、水素貯蔵容器22の材料を絶縁体にする。これにより、熱伝導によらず水素貯蔵体21を直接加熱することができ、さらに高効率に水素を供給することが可能になる。
【0050】
なお、図3に示すように、水素貯蔵体21および水素貯蔵容器22の両方の材料が絶縁体であっても、導電体として複数の金属球26を水素貯蔵体21と混合して、金属球26を誘導加熱することとしてもよい。また、金属球26の代わりに、金属の棒状体を配置しても良いし、金属粉等の導電性を有する粉粒体を混合してもよい。これにより、水素貯蔵容器22および水素貯蔵体21のいずれに対しても誘導加熱できない場合であっても、高効率に水素を供給することが可能になる。水素供給装置3が抵抗加熱の方式をとる場合には、水素貯蔵体21および水素貯蔵容器22の材料について、特に導電性の限定はない。
【0051】
水素貯蔵体21は、水素貯蔵容器22内において、仕切り板23により仕切られており、水素の流通口24まで水素貯蔵体21が入り込まないように保持されている。仕切り板23は水素貯蔵体21の粉粒は通さないが、水素ガスを通すフィルタとしても機能する。流通口24には、バルブ25が設けられている。
【0052】
水素供給装置3は、保持部31、制御部33、圧力センサ34、流量センサ34aを備えている。また、外部に面した位置には、水素貯蔵カートリッジ内の水素が空になったことを知らせるランプやブザー等を備えている。図4は、保持部31の断面図である。保持部31は、水素貯蔵カートリッジ2を保持する。保持部31は、開閉可能に構成され、水素貯蔵カートリッジ2を収納する。なお、一端から挿入する方式で構成されてもよい。複数の水素貯蔵カートリッジ2を保持できるように、保持部31は複数設けられていてもよい。保持部31は、円筒形状の本体部32により水素貯蔵カートリッジ2を固定する。
【0053】
本体部32には、長手方向沿って、複数のコイルC1〜Cnが設けられている。複数のコイルC1〜Cnは、加熱装置として機能する。これにより、誘電加熱で直接に水素貯蔵容器22または水素貯蔵体21等を発熱させることができ、水素放出に用いられるエネルギーの損失を低減することができる。その結果、さらに高効率に水素を供給させることができる。
【0054】
加熱可能な部分に偏りがない方が効率がよいため、複数のコイルC1〜Cnは等間隔で一様に設けられているのが望ましい。複数のコイルC1〜Cnは、それぞれ独立に電力の供給を受けて、コイルの内側に交番磁界を発生させ、導体に誘導電流を流して加熱することにより、水素貯蔵カートリッジを加熱する。なお、コイルの代わりに、電熱ヒータを用いてもよい。その場合には、抵抗加熱により、特定の電熱ヒータにより、水素貯蔵カートリッジ2の一部が、水素貯蔵容器22の外部から熱伝導により加熱される。これにより、水素貯蔵カートリッジ2を構成する部材のすべてが絶縁体である場合であっても、熱伝導により水素貯蔵体21を加熱することができる。また、比較的に簡易な設計で水素供給装置3を構成することができる。
【0055】
また、本体部32には、長手方向沿って、複数の熱電対T1〜Tmが設けられている。熱電対についても、温度測定が可能な部分に偏りがない方が正確に測温できるため、複数の熱電対T1〜Tmは等間隔で一様に設けられているのが望ましい。図4に示すように、間隔は特に、コイルC1〜Cnと同じである必要はない。なお、熱電対の代わりに、測温抵抗体を用いてもよい。
【0056】
図5は、水素供給装置3の電気的構成を表わすブロック図である。制御部33は、複数のコイルC1〜Cnと電気的に接続され、それぞれのコイルへの電力の供給を制御する。また、制御部33は、圧力センサ34、および流量センサ(マスフローメータ)34aに電気的に接続されている。圧力センサ34は、感知部として水素ガスの圧力を検出し、制御部33に検出した検出値を入力する。圧力センサ34としては、一般的に用いられる圧力センサを用いることができる。流量センサ34aは、感知部として水素の流量を測定し、制御部33に測定値を入力する。圧力センサ34および流量センサ34aは、水素流通管4内に配置されている。
【0057】
制御部33は、圧力あるいは水素ガス流量を感知して水素の供給状態を把握し、さらに水素供給量の過不足を判断して水素の供給量を調節する。この場合、水素貯蔵カートリッジ2内の水素貯蔵体21からの有効な水素放出を実施するため、カートリッジの一方から順次加熱をしていくように制御される。具体的には複数のコイルC1〜Cnの中から水素を放出させるのに必要な温度に加熱するコイルを変更する。なお、所定温度以上の過熱防止については、熱電対T1〜Tmにより制御される。これにより、すでに水素を放出し終えた水素貯蔵体21の加熱を防ぎ、水素を放出することが可能な水素貯蔵体21を加熱して、高い効率で水素を供給することができる。
【0058】
図5に示すように、制御部33は、流量センサ用受信部35a、圧力センサ用受信部35、高周波電源36、出力選択回路37、温度センサ用受信部38および中央制御回路39から構成される。流量センサ用受信部35aは、流量センサ34aに接続され、流量センサ34aからの検出信号を受信し、中央制御回路39に信号を入力する。圧力センサ用受信部35は、圧力センサ34に接続され、圧力センサ34からの検出信号を受信し、中央制御回路39に信号を入力する。
【0059】
高周波電源36は、誘導加熱に必要な高周波を発生する。一般的に誘導加熱に用いられる高周波電源で十分であり、特に出力、周波数またはサイズ等は限定されない。出力選択回路37は、高周波電源36が発振した高周波について、コイルC1〜Cnへ高周波の出力を選択する。温度センサ用受信部38は、温度センサとしての熱電対T1〜Tmからの信号を受信し、中央制御回路39に信号を入力する。
【0060】
中央制御回路39は、出力選択回路37が選択する出力値を出力選択回路37に入力し、コイルに供給する電力を制御する。中央制御回路39は、温度センサ用受信部35からの入力信号をもとに、水素貯蔵カートリッジ2の特定のコイルにより加熱された部分の温度が一定の温度になるように、出力値を決定する。その一方で、流量センサ34aおよび圧力センサ34の検出値の時間変化をモニタし、水素の供給量を制御する。中央制御回路39は、具体的にはCPUにより構成される。なお、中央制御回路39は、水素供給量の時間変化をモニタする間、水素供給管8のバルブ(図示せず)を閉じて圧力センサ34の検出値から水素供給量をモニタするように制御してもよい。また、バルブを閉じることなく、流量センサで流出する水素の量を検出し、水素供給装置3からホルダ5への水素の供給量を算出することとしてもよい。
【0061】
また、中央制御回路39は、上述の如く、水素供給量の制御を行う。この制御は、各コイルへの出力値を変更することにより行う。中央制御回路39には、あらかじめコイルの優先順位が設定されており、コイルの変更はこの優先順位にしたがって行なわれる。たとえば、コイルの優先順位は、保持部31の一端から他端に向かうように、C1、C2、C3、・・・、Cnという順位に設定されている。順位は、この逆の順位でもよいが、保持部31の一端から他端に向かう順位であることが好ましい。また、中央制御回路39は、ガス改質装置6と電気的に接続されており、コイルの変更時に次の順位のコイルが無い場合には、ガス改質装置6が動作するように、信号を送信する。
【0062】
なお、上記の水素供給装置3は、感知部として圧力センサ34および流量センサ34aを備えているが、圧力センサ34または流量センサ34aのいずれか一方のみを備える構成をとってもよい。その場合には、圧力センサ34または流量センサ34aのうちで設置された方に対応して、圧力センサ用受信部35または流量センサ用受信部35aが設置される。このように感知部は少なくとも一つ設置されていればよく、水素の供給状態を把握可能にするものであれば、特に種類は限定されない。
【0063】
水素流通管4は、水素貯蔵カートリッジ2から供給される水素ガスをホルダ5に導入する。ホルダ5は、水素貯蔵カートリッジ2が放出した、水素ガスを一時的に貯留する。上記圧力センサ34は、ホルダ5内部のガス圧を検出している。ホルダ5を設けることにより、水素ガスの消費量の変化に対応することができ、供給量の平準化を図ることができる。また、たとえば、水素供給装置3の駆動に一時的に支障をきたしても、ホルダ5の水素を使用することで供給の安定性が確保できる。
【0064】
ガス改質装置6は、都市ガス供給管7に接続され、都市ガスを水素ガスに改質し、水素流通管4を介して、ホルダ5に水素ガスを供給する。ガス改質装置6は、水素供給装置3を補助する装置として設けられており、水素供給装置3からの水素の供給が不足したときに使用される。
【0065】
ガス改質装置6は、一般的に知られる改質装置である。たとえば、ガス改質装置6は、都市ガスやLPガス等の炭化水素系燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器、PEFCの出力低下の原因となる改質ガス中の一酸化炭素を低減するシフト器・選択酸化器、および改質器を加熱する燃焼器の4つの反応器から構成される。
【0066】
改質器では、都市ガスやLPガス等の炭化水素系燃料に水を加え、水蒸気改質により水素リッチな改質ガスを生成する。シフト器は、改質ガス中のCOをCO2に変成させることによって、改質ガス中の水素濃度をさらに上げながらCO濃度を低減させる。燃焼器は、都市ガスやLPガスと空気との燃焼反応により、燃焼ガスを生成し、燃焼ガスが保有する燃焼熱を改質器の昇温に利用する。
【0067】
水素供給管8は、ホルダ5に貯留された水素を水素エンジン9に供給する。水素供給管8は、バルブ(図示せず)を有し、バルブはホルダ5の圧力変化をモニタする間、中央制御回路39により、閉じるように制御される。エネルギー生成装置としての水素エンジン9は、一般的に知られる水素の燃焼を動力とするエンジンであり、大きさ、形状等について限定はされない。エンジンに発電装置を取り付けることにより、発電することとしてもよい。なお、水素エンジン9の代わりに燃料電池により、発電してもよい。直接的には、水素エンジン9の場合には運動エネルギーが生成され、燃料電池の場合には電気的エネルギーが生成される。燃料電池は、水素を燃料とするものであればよく、たとえば固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、アルカリ型燃料電池等を用いることができる。
【0068】
水蒸気流通管10は、熱伝導部として、水素エンジン9から排出される水蒸気を熱媒体として水素供給装置3またはガス改質装置6に導入する。このように、エネルギー供給システム1は、水素エンジン9の廃熱を、水素供給装置3における水素の放出、またはガス改質装置6における水素ガスへのガスの改質に利用している。これにより、エネルギー供給システム1全体のエネルギー供給の効率を高めることができる。
【0069】
次に、エネルギー供給システム1の動作について説明する。図6は、エネルギー供給システム1の特徴的な動作を示すフローチャートの一例である。まず、動作を開始すると、水素供給装置3の中央制御回路39は、初期設定に基き各コイルC1〜Cnの出力を決定し、出力選択回路37に信号を入力する。具体的には、最初の順位のコイルC1に電力を供給し(ステップS1)、その周囲の水素貯蔵体21を加熱して、水素を放出するのに必要な温度以上にする。最初の順位に設定されるコイルは、コイルCnであってもよい。
【0070】
次に、中央制御回路39は、流量センサ用受信部35aを介して、水素の流量を流量センサ34aからの信号によりモニタする。また、圧力センサ用受信部35を介して、ホルダ5内部の圧力を圧力センサ34からの信号により、モニタする。そして、水素流量および圧力の時間変化から、水素供給装置3からの単位時間あたりの水素供給状況を認識し(ステップS2)、水素供給量が過剰か否かを判断する(ステップS3)。水素供給量が過剰な場合は、加熱を一時中断する(ステップS4)。水素供給量が過剰でない場合は、さらに水素供給量が不足しているか否かを判断する(ステップS5)。
【0071】
一方、水素供給装置3からの水素供給量が不足していないと判断した場合には、ステップS2に戻る。水素供給装置3からの水素供給量が不足していると判断した場合には、次の順位のコイルCi+1があるか否かを判断する(ステップS6)。次の順位のコイルCi+1があると判断した場合には、次の順位のコイルCi+1に電力を供給する(ステップS7)。コイルへは、その周辺の水素貯蔵体21が水素を放出するのに必要な温度以上になるように電力を供給する。このようにコイルによる加熱は順次、次の順位の水素貯蔵カートリッジへ移っていく。次の順位のコイルCi+1がないと判断した場合には、さらに別の水素貯蔵カートリッジ2があるか否かを判断する(ステップS8)。水素貯蔵カートリッジ2がある場合には、次の水素貯蔵カートリッジを作動させる信号を送信し(ステップS9)、ステップS13に移行する。水素貯蔵カートリッジ2内の水素が空になった信号は、ランプやブザー等に送信されユーザに通知される。
【0072】
別の水素貯蔵カートリッジ2がない場合には、ガス改質装置6があるか否かを判断する(ステップS10)。ガス改質装置6がない場合には、水素供給を停止することを知らせるための信号を送信し(ステップS11)、ステップS13に移行する。ガス改質装置6がある場合には、ガス改質装置6を作動させる信号を送信し(ステップS12)、水素貯蔵カートリッジ2が空であることを示す信号を送信して(ステップS13)、動作を終了する。このように、補助装置としてガス改質による水素発生装置が配置されている場合は、水素貯蔵カートリッジ2内に貯蔵される水素がなくなった段階で、ガス改質装置6が作動することとなる。
【0073】
なお、上記の実施形態において、水素供給装置3は、加熱装置としてのコイルまたは電熱ヒータを複数有しているが、単一の加熱装置をモータ等の動力を利用する移動装置により、移動させて水素貯蔵カートリッジ2の加熱部位を変える方式を採ってもよい。その場合、移動装置は、水素貯蔵カートリッジ2の長手方向の軸に沿って、加熱装置の停止位置を変更する機能を有するものであればよい。中央制御回路39の制御により、水素の単位時間あたりの供給量が所定量以下になったときに、移動装置を動作させて加熱装置の停止位置を変更させる。これにより、上記の実施形態と同様にすでに水素を放出し終えた水素貯蔵体の加熱を防ぎ、水素を放出することが可能な水素貯蔵体を加熱して、高い効率で水素を供給することができる。
【0074】
(実施形態2)
上記の実施形態の図3に示す水素貯蔵カートリッジは、水素貯蔵容器22に、複数の金属球26を水素貯蔵体21と混合して封入するが、このような構成の水素貯蔵カートリッジにエネルギー効率のよい材料の水素貯蔵容器、水素貯蔵体および金属球等の発熱体を用いることも可能である。
【0075】
図7は、水素貯蔵カートリッジ40の断面図である。水素貯蔵カートリッジ40は、加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体41と、発熱体46と、これらを収容する水素貯蔵容器42とから構成されている。水素貯蔵体41の材料には、NaAlH4などアラネート系材料、リチウム系材料等が用いられる。水素貯蔵体41には、発熱体46が混合されている。なお、発熱体46の形状は球に限定されず、板状や棒状の形状であってもよいし、粉粒体であってもよい。また、3次元構造体であっても良い。
【0076】
誘導加熱における入力電力Pは、以下の数式に示すように、被加熱物の体積抵抗率ρの平方根、比透磁率μの平方根、加熱コイル電流の周波数fの平方根、コイルの巻数Nの2乗、電流Iの2乗に比例する。入力電力Pは、大きいほど誘導加熱により熱に変換される電気的エネルギーが大きいことを意味する。
【0077】
【数1】

したがって、発熱体46の材料は、鉄やSUS等の高い体積抵抗率または高い比透磁率を有するものであることが好ましい。たとえば、鉄の体積抵抗率は0.17μΩmで、比透磁率は200であるため、それらの積は、34μΩmである。また、SUSの体積抵抗率は0.7μΩmで、比透磁率は1であるため、それらの積は、0.7μΩmである。
【0078】
水素貯蔵容器42は、気密な構造を有しており、使用される水素貯蔵体41の特性に応じて適当な温度、圧力に耐えうる材料および形状が選ばれる。水素貯蔵容器42の材料は、電磁波を吸収し難いものが適しており、銅やアルミニウム等の低い体積抵抗率または低い比透磁率を有するものであることが好ましい。これにより、水素貯蔵容器42では電力が消費されず、発熱体46により電力が熱に変わり、効率的に水素貯蔵体41を加熱することができる。たとえば、アルミニウムの体積抵抗率は0.027μΩmで、比透磁率は1であるため、それらの積は、0.027μΩmである。また、銅の体積抵抗率は0.017μΩmで、比透磁率は1であるため、それらの積は、0.017μΩmである。
【0079】
水素貯蔵容器42には、アルミニウムを含め、体積抵抗率と比透磁率との積が0.03μΩm以下である材料が好適である。一方、発熱体46の材料は、体積抵抗率と比透磁率との積が0.3μΩm以上であれば、水素貯蔵容器42の材料のものの10倍以上となりエネルギー効率がよく好適である。すなわち、水素貯蔵容器42では電力が消費されず、容器内部の発熱体46により電力が熱になるため、効率的に水素貯蔵体41を加熱することができる。なお、図7に示される水素貯蔵容器42の外形は、円筒形状であるが、角の丸い四角柱の形状としてもよい。

水素供給装置は誘導加熱の方式をとる。コイルに交流電流を供給して、交番磁界を発生させ、誘導電流により発熱体46を発熱させることができる。この際、水素貯蔵容器42の内部の発熱体46が効率良く発熱するように、水素貯蔵容器42の材料、容器内部の発熱体46の材料に応じて、コイル電流、周波数が設定される。水素貯蔵体41は、水素貯蔵容器42内において、仕切り板43により仕切られており、水素の流通口44まで水素貯蔵体41が入り込まないように保持されている。仕切り板43は水素貯蔵体41の粉粒は通さないが、水素ガスを通すフィルタとしても機能する。流通口44には、バルブ45が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るエネルギー供給システムの構成図である。
【図2】本発明に係る水素貯蔵カートリッジの断面図である。(実施形態1)
【図3】本発明に係る水素貯蔵カートリッジの断面図である。(実施形態1)
【図4】本発明に係る水素供給装置の保持部の断面図である。
【図5】本発明に係る水素供給装置の電気的構成を示すブロック図である。(実施形態1)
【図6】本発明に係るエネルギー供給システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る水素貯蔵カートリッジの断面図である。(実施形態2)
【符号の説明】
【0081】
1 エネルギー供給システム
2 水素貯蔵カートリッジ
3 水素供給装置
4 水素流通管
5 ホルダ
6 ガス改質装置
7 都市ガス供給管
8 水素供給管
9 水素エンジン(エネルギー生成装置)
10 水蒸気流通管(熱伝導部)
21 水素貯蔵体
22 水素貯蔵容器
26 金属球(導電体)
31 保持部
32 本体部
33 制御部
34 圧力センサ(感知部)
34a 流量センサ(感知部)
35 圧力センサ用受信部
35a 流量センサ用受信部
36 高周波電源
37 出力選択回路
38 温度センサ用受信部
39 中央制御回路
C1-Cn コイル(加熱装置)
T1-Tm 熱電対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素貯蔵カートリッジを保持し、電力の供給を受けて前記水素貯蔵カートリッジを加熱する複数の加熱装置を有する保持部と、
前記複数の加熱装置への電力の供給を制御する制御部と、
水素の供給量を算出するための物理量を検出し、前記制御部に検出値を入力する感知部と、を備え、
前記制御部は前記水素の供給状態を把握し、前記水素貯蔵カートリッジから水素を放出するための加熱条件を、加熱部位を変更することによって制御することを特徴とする水素供給装置。
【請求項2】
前記加熱装置は、交流電流を供給したときに交番磁界を発生させるコイルを備えることを特徴とする請求項1記載の水素供給装置。
【請求項3】
前記加熱装置は、電熱ヒータであることを特徴とする請求項1記載の水素供給装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の水素供給装置と、
前記水素供給装置により供給される水素を燃料として、電気的エネルギーまたは機械的エネルギーを生成するエネルギー生成装置と、
前記エネルギー生成装置の廃熱を、熱媒体を流動させることにより、または熱伝導により前記水素貯蔵カートリッジに伝える熱伝導部と、を備えることを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の水素供給装置と、
都市ガスの配管に接続され、前記配管から供給された都市ガスを水素に改質し供給するガス改質装置と、
前記水素供給装置または前記ガス改質装置により供給される水素を燃料として、電気的エネルギーまたは機械的エネルギーを生成するエネルギー生成装置と、
前記エネルギー生成装置の廃熱を、熱媒体を流動させることにより、または熱伝導により前記水素貯蔵カートリッジおよび前記ガス改質装置の少なくとも一方に伝える熱伝導部と、を備えることを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項6】
請求項2記載の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、
加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、
前記水素貯蔵体を収容する導電体の水素貯蔵容器と、を備えることを特徴とする水素貯蔵カートリッジ。
【請求項7】
請求項2記載の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、
加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な導電体の水素貯蔵体と、
前記水素貯蔵体を収容する絶縁体の水素貯蔵容器と、を備えることを特徴とする水素貯蔵カートリッジ。
【請求項8】
請求項2記載の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、
加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な絶縁体の水素貯蔵体と、
誘導加熱により発熱し、前記水素貯蔵体を加熱する導電体と、
前記水素貯蔵体および前記導電体を収容する絶縁体の水素貯蔵容器と、を備えることを特徴とする水素貯蔵カートリッジ。
【請求項9】
請求項2記載の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、
加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な絶縁体の水素貯蔵体と、
前記水素貯蔵体に混合される複数の導電性を有する粉粒体と、
前記水素貯蔵体および前記粉粒体を収容する絶縁体の水素貯蔵容器と、を備えることを特徴とする水素貯蔵カートリッジ。
【請求項10】
請求項2記載の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、
加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、
誘導加熱により発熱する発熱体と、
体積抵抗率と比透磁率との積が0.03μΩm以下である材料により形成され、前記水素貯蔵体および前記発熱体とを収容する水素貯蔵容器と、を備えることを特徴とする水素貯蔵カートリッジ。
【請求項11】
請求項2記載の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、
加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、
誘導加熱により発熱する発熱体と、
実質的にアルミニウムまたは銅により形成され、前記水素貯蔵体および前記発熱体を収容する水素貯蔵容器と、を備えることを特徴とする水素貯蔵カートリッジ。
【請求項12】
請求項2記載の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、
加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、
体積抵抗率と比透磁率との積が0.3μΩm以上である材料により形成され、誘導加熱により発熱する発熱体と、
体積抵抗率と比透磁率との積が0.03μΩm以下である材料により形成され、前記水素貯蔵体および前記発熱体を収容する水素貯蔵容器と、を備えることを特徴とする水素貯蔵カートリッジ。
【請求項13】
請求項2記載の前記水素供給装置に用いられる水素貯蔵カートリッジであって、
加熱することにより、水素の貯蔵および放出が可能な水素貯蔵体と、
誘導加熱により発熱する発熱体と、
前記水素貯蔵体および前記発熱体を収容する水素貯蔵容器と、を備え、
前記発熱体の体積抵抗率をρ、比透磁率をμとし、前記水素貯蔵容器の体積抵抗率をρ、比透磁率をμとするとき、(ρ×μ)/(ρ×μ)≧10であることを特徴とする水素貯蔵カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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