説明

水解性防漏シート

【課題】着用時の防漏性と、廃棄後の水解性とに優れる、吸収性物品用の水解性防漏シートを提供すること。
【解決手段】水解性基材層と、当該水解性基材層の上の非水溶性且つ生分解性の樹脂層とを含む水解性防漏シートであって、上記水解性防漏シートの平面方向の引裂き強度が、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とにおいて、両方とも0.15N/40mm以下であることを特徴とする、吸収性物品用の水解性防漏シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水解性基材層と、当該水解性基材層の上の非水溶性且つ生分解性の樹脂層とを含む、吸収性物品用の水解性防漏シートに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の生理用ナプキン、おりもの吸収パッド、失禁者用パッド等の吸収性物品は、非水解性の材料を含むので、使用後は、トイレに設置された収納箱に廃棄し、回収の上処分される必要がある。しかし、使用済みの吸収性物品を、廃棄する際に、誤って水洗トイレに流してしまうと、水洗トイレの配管を詰まらせる場合がある。従って、使用後にそのまま水洗トイレに流すことができる、水解性材料、及びそれらを含む吸収性物品の検討が行われている。
【0003】
特に、吸収性物品において、液不透過性のバックシートは、使用時には、経血、尿等の排泄物に対して液不透過性を有する必要があるが、当該使用時の液不透過性と、廃棄後の水解性とを両立することは難しく、種々の検討が続けられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、水溶性樹脂シートの一面に撥水層が積層され、水溶性樹脂シートの他面に水解性基材が積層されている衛生パッド用防漏シートが記載されている。
すなわち、特許文献1に記載の防漏シートは、水解性基材、水溶性樹脂シート、及び撥水層の3層構造を有し、撥水層及び水溶性樹脂シートの2層により、吸収された液体を、衛生パッド内に保持し、漏れを防ぐ設計がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−333933号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の防漏シートは、水溶性樹脂を含むため、吸収性物品に用いられた場合に、大量の水分との接触、長時間の水との接触、多湿条件等の下において、耐水性が著しく低下する問題点がある。特許文献1に記載の防漏シートはまた、一方の面のみに撥水層を含むため、他方の面は防漏効果を有せず、他方の面から汗等が侵入した場合には、防漏シートが溶解する恐れがある。さらに、特許文献1に記載の防漏シートは、3層構造を有し、そして撥水層を硬化させる必要があるため、生産効率が悪く、コストがかかる問題点がある。特許文献1に記載の防漏シートはまた、撥水層が、硬化の際に、水溶性樹脂シートと化学結合し、防漏シートの水解性が低下する問題点があった。
従って、本発明は、着用時の防漏性と、廃棄後の水解性とに優れる、吸収性物品用の水解性防漏シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水解性基材層と、当該水解性基材層の上の非水溶性且つ生分解性の樹脂層とを含む、吸収性物品用の水解性防漏シートであって、上記水解性防漏シートの平面方向の引裂き強度が、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とにおいて、両方とも0.15N/40mm以下であることを特徴とする水解性防漏シートにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
水解性基材層と、当該水解性基材層の上の非水溶性且つ生分解性の樹脂層とを含む、吸収性物品用の水解性防漏シートであって、
上記水解性防漏シートの平面方向の引裂き強度が、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とにおいて、両方とも0.15N/40mm以下である、
ことを特徴とする、上記水解性防漏シート。
【0009】
[態様2]
上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層面側からの耐水圧が、300mm以上である、態様1に記載の水解性防漏シート。
[態様3]
温度36℃及び相対湿度90%の条件の下、3時間貯蔵した後に、上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層面側からの耐水圧が300mm以上である、態様1又は2に記載の水解性防漏シート。
【0010】
[態様4]
シェイクフラスコ法において、48時間後の分散率が、50質量%以上である、態様1〜3のいずれか一つに記載の水解性防漏シート。
[態様5]
上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層の膜厚が、5〜18μmの範囲にあり、そして上記水解性基材の坪量が、5〜25g/m2の範囲にある、態様1〜4のいずれか一つに記載の水解性防漏シート。
【0011】
[態様6]
上記水解性基材層の上に、溶融された非水溶性且つ生分解性の樹脂を積層することにより形成された、態様1〜5のいずれか一つに記載の水解性防漏シート。
[態様7]
上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層が、ポリ乳酸から形成され、そして上記水解性基材層が、水解ティッシュから形成される、態様1〜6のいずれか一つに記載の水解性防漏シート。
【0012】
[態様8]
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体を含む吸収性物品であって、
上記液不透過性のバックシートが、態様1〜7のいずれか一つに記載の水解性防漏シートから形成されている、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
【発明の効果】
【0013】
本発明の、吸収性物品用の水解性防漏シートは、着用時の防漏性と、廃棄後の水解性とに優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の水解性防漏シートの実施形態の1つの断面図である。
【図2】図2は、本発明の水解性防漏シートの、水解性について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の、吸収性物品用の水解性防漏シートについて、以下、詳細に説明する。
本発明の、吸収性物品用の水解性防漏シート(以下、「本発明の水解性防漏シート」と称する場合がある)は、図1に示されるように、水解性基材層2と、水解性基材層2の上の、非水溶性且つ生分解性の樹脂層3とを含む。
【0016】
[非水溶性且つ生分解性の樹脂層]
本発明に係る非水溶性且つ生分解性の樹脂層は、本発明の水解性防漏シートに、防漏性を付与する層である。上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層は、非水溶性であるため、図1において、上方から、尿、経血等の液体が接近してきた場合に、耐水性を示すことができる。また、上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層は、非水溶性であるため、図1において、下方から、尿、経血等の液体が接近してきた場合であっても、一定の耐水性を示すことができる。
【0017】
上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層を構成する樹脂としては、非水溶性であり且つ生分解性を有するものであれば、特に制限されず、当技術分野で公知の樹脂を採用することができるが、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が挙げられ、流通量が多く、コストの観点から、ポリ乳酸が好ましい。
【0018】
なお、生分解性を有する樹脂であっても、非水溶性でないもの、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)等の水溶性樹脂は、本発明に係る非水溶性且つ生分解性の樹脂層を構成する樹脂に含まれない。
従来の水解性防漏シートは、水溶性樹脂を撥水剤でコーティングすることにより、撥水性と、水解性(又は水への溶解性)とを両立しているが、撥水剤の効果は一時的であり、一定の時間、水滴等をはじくことはできるが、長時間、撥水性を保持することはできない。また、撥水剤は、水蒸気等の水分に対して、撥水性を示すことはできないため、高湿度条件下では、水溶性樹脂が水分により軟化し、防漏性が低下する場合がある。
【0019】
なお、本明細書において、「生分解性」は、微生物の作用により分解されうることを意味する。
また、本明細書において、「非水溶性」は、25℃において、純水100gに対する溶解度が、1.0g以下であることを意味する。上記溶解度は、文献等に記載の値をそのまま採用し、判断することができるが、溶解度が不明な場合には、25℃の純水100gに、溶解度を測定すべき試料を添加し、軽く攪拌しながら、24時間後に上記試料が溶解したか否かで判断することができる。
【0020】
[水解性基材層]
本発明の水解性防漏シートにおいて、水解性基材層は、当該基材自体が水解性を有し、そして本発明の水解性防漏シートの製造時に、その強度を補完し、また、廃棄時には、水中に早急に水解し、上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層を構成する樹脂を、水中で微細な断片に分断されやすくするように作用する。
【0021】
本発明の水解性防漏シートでは、非水溶性且つ生分解性の樹脂を、溶融し、フィルム化(層化)することにより、非水溶性且つ生分解性の樹脂層を形成することができるが、廃棄時に水流の力で分断されることを考慮して、その膜厚を薄くすると、連続生産ラインにおいてフィルムが破断する場合がある。従って、水解性基材層は、非水溶性且つ生分解性の樹脂層の強度を補完し、連続生産ラインで、非水溶性且つ生分解性の樹脂層が破断することを防止する機能をも有する。
【0022】
水解性基材層が、上記非水溶性且つ生分解性の樹脂層を構成する樹脂を、水中で微細な断片に分断されやすくする理由を、水解性基材層が、水解ティッシュである場合を用いて説明する。
図2は、本発明の水解性防漏シートの水解性について説明するための図である。図2に示される水解性防漏シート1は、水解性基材層としての水解ティッシュ2’の層と、その上の非水溶性且つ生分解性の樹脂層3とを含む。図2に示される水解性防漏シート1では、非水溶性且つ生分解性の樹脂層3が、パルプの集合体である水解ティッシュ2’の上に形成されているため、その厚さに分布が生じ、部分的に、厚さが厚い領域と、厚さが薄い領域4とを有する。
【0023】
図2に示される水解性防漏シート1が、水洗トイレ等の水中に廃棄されると、水解ティッシュ2は、水中に迅速に水解する。非水溶性且つ生分解性の樹脂層3は、非水溶性であるため、そのままでは水中に、溶解、水解等はしないが、部分的に、厚さの薄い領域4を有するため、配管内、浄化槽内等で加えられた水流の力により、相対的に強度の弱い、厚さの薄い領域4のところで、非水溶性且つ生分解性の樹脂層3が引き裂かれ、微細な断片に分断される。微細な断片に分断された、非水溶性且つ生分解性の樹脂層3は、配管内、浄化槽内で詰まりにくく、そして後に微生物により分解されることができる。なお、図2は、本発明の水解性防漏シートの水解性について説明するための図であり、非水溶性且つ生分解性の樹脂層の膜厚の分布が、かなり拡大されて記載されている。
【0024】
なお、本発明の水解性防漏シートは、図2に示されるような実施形態、すなわち、非水溶性且つ生分解性の樹脂層が顕著な膜厚不均一性を有する実施形態に限定されるものではなく、均一な膜厚を有していてもよい。非水溶性且つ生分解性の樹脂層が均一な膜厚を有している場合であっても、水流の力により、微細な断片に分断されることができる。
【0025】
上記水解性基材層としては、当技術分野で、水解性基材として用いられているものであれば、特に制限されないが、例えば、水解ティッシュ、水溶紙、水解性不織布等が挙げられ、コストの観点からは、水解ティッシュが好ましい。
なお、本明細書において、「水解性」は、水洗トイレに流した場合等の、軽い水流にさらされた際に、水中で崩壊する性質を意味し、水解ティッシュ等のパルプ単位にほぐれるものだけでなく、水に溶解する性質、すなわち、水溶性をも含む概念である。
【0026】
[水解性防漏シート]
本発明の水解性防漏シートにおいて、水解性基材層の坪量は、約5〜約25g/m2であることが好ましく、約7〜約22g/m2であることがより好ましく、そして約9〜約20g/m2であることがさらに好ましい。上記坪量が約5g/m2を下回ると、本発明の水解性防漏シートの強度を補完する機能が不十分となる傾向があり、そして上記坪量が約20g/m2を上回ると、本発明の水解性防漏シートの剛性が高くなる、コスト的に不利になる等の傾向がある。
【0027】
本発明の水解性防漏シートにおいて、非水溶性且つ生分解性の樹脂層の厚さは、約5〜約18μmであることが好ましく、約6〜約17μmであることがより好ましく、そして約7〜約16μmであることがさらに好ましい。上記坪量が約5μmを下回ると、本発明の水解性防漏シートの防漏性が不十分となる場合があり、そして上記坪量が約18μmを上回ると、非水溶性且つ生分解性の樹脂層が水流の力により分断されにくくなり、配管、浄化槽等が詰まる原因となる場合がある。
【0028】
本発明の水解性防漏シートは、その平面方向の引裂き強度が、第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向の2方向において、約0.15N/40mm以下であり、約0.12N/40mm以下であることが好ましく、約0.09N/40mm以下であることがより好ましく、そして約0.06N/40mm以下であることがさらに好ましい。上記引裂き強度が、約0.15N/40mm超であると、非水溶性且つ生分解性の樹脂層が水流の力により分断されにくくなり、配管、浄化槽等が詰まる原因となる場合がある。
なお、上記引き裂き強度は、吸収性物品に用いられた場合に、着用中に加わる体圧等の力により破断しないことを考慮すると、約0.03N/40mm以上であることが好ましい。
【0029】
なお、上記引裂き強度において、互いに直交する第1の方向及び第2の方向を対象とするのは、製造時に加えられる力、例えば、引き延ばし力により、搬送方向と、搬送方向と直交する方向(以下、単に「直交方向」と称する場合がある)との引裂き強度に差異が生ずる場合があるからである。
従って、第1の方向及び第2の方向としては、例えば、製造時の搬送方向、及び直交方向が挙げられる。
【0030】
上記引裂き強度は、JIS K 6772:1994の7.5「引裂試験」に従って測定することができる。
なお、本明細書において、幅40mm当りの引裂き強度(N)を、N/40mmと表記する。
【0031】
本発明の水解性防漏シートは、非水溶性且つ生分解性の樹脂層面側からの耐水圧が、約300mm以上であることが好ましく、約320mm以下であることがより好ましく、そして約340mm以下であることがさらに好ましい。上記耐水圧が、約300mm未満であると、防漏性が不十分となり、吸収性物品に用いられた場合に、体液等が漏れる原因となる場合がある。
【0032】
本発明の水解性防漏シートは、温度36℃及び相対湿度90%の条件の下、3時間貯蔵した後に、非水溶性且つ生分解性の樹脂層面側からの耐水圧が、約300mm以上であることが好ましく、約320mm以下であることがより好ましく、そして約340mm以下であることがさらに好ましい。上記耐水圧が、約300mm未満であると、吸収性物品等の高湿条件下で用いられた場合に、防漏性が低下し、体液等が漏れる原因となる場合がある。
【0033】
なお、本明細書において、温度36℃及び相対湿度90%の条件の下、3時間貯蔵した後の耐水圧を、単に、「高湿度下耐水圧」と称し、温度36℃及び相対湿度90%の条件の下、3時間貯蔵した後の耐水性を、「高湿度下耐水性」と称する場合がある。
上記耐水圧、及び高湿度下耐水圧は、JIS L 1092:2009の7.1.1「A法(低水圧法)」に従って測定した水位、より具体的には、試験片の裏側に3カ所から水が出たときの水位を意味する。
【0034】
本発明の水解性防漏シートは、シェイクフラスコ法において、48時間後の分散率が、約50質量%以上であることが好ましく、約60質量%以上であることがより好ましく、約70質量%以上であることがさらに好ましく、そして約80質量%以上であることが最も好ましい。上記分散率が約50質量%未満であると、浄化槽内の機器に絡みつきやすくなり、浄化槽の正常な機能を妨げる障害原因となるからである。
【0035】
上記シェイクフラスコ法の手順は、以下の通りである。
(1)800mLの蒸留水が入っている1000mLのフラスコ内に、10cm×10cmの正方形の試料を入れ、振とう速度240rpmで、48時間、シェーカー(IWAKI社製 SHKV−200)で振とうする。
【0036】
(2)シェイクフラスコ法試験後のサンプルを、2メッシュ(線径:1.5mm、目開き:11.2mm、空間率:77.8%)の金網にて濾し取り、試験前のシート乾燥質量をM0とし、そして金網上に残ったシート繊維の乾燥質量をM1として、以下の式:
分散率(%)=100×(M0−M1)/M0
に基づいて分散率を計算する。
【0037】
また、上記(1)の後、分散状態を目視で評価する。
評価基準は、以下の通りである。
A:原形を留めないレベルまで分散している。
B:一部原形を留めるが、3つ以上に分散している。
C:原形を留めている。
本発明の水解性防漏シートとしては、評価Aであることが最も好ましく、そして評価Bであることが好ましい。
【0038】
本発明の水解性防漏シートの製法は、特に制限されないが、例えば、本発明の水解性防漏シートは、(i)水解性基材を、所望の坪量に調整して、水解性基材層を形成し、次いで、(ii)水解性基材層の上に、非水溶性且つ生分解性の樹脂層を形成する樹脂を溶融押出し、水解性基材層の上に、非水溶性且つ生分解性の樹脂層を積層することにより、形成することができる。
【0039】
なお、連続生産する場合において、水解性基材層の上に、非水溶性且つ生分解性の樹脂層を積層した後、積層物を搬送方向に張力をかけると、非水溶性且つ生分解性の樹脂層が搬送方向に延伸され、非水溶性且つ生分解性の樹脂層内の結晶が搬送方向に配向し、形成される水解性防漏シートの、搬送方向の引裂き強度が高くなる場合がある。従って、本発明の水解性防漏シートを連続生産する場合には、搬送方向の張力を、あまり高くしないことが好ましい。
【0040】
本発明の、吸収性物品用の水解性防漏シートは、吸収性物品の、液不透過性のバックシートとして用いられうる。上記吸収性物品としては、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体を含むものが挙げられ、上記吸収性物品の例として、生理用ナプキン、パンティーライナー、使い捨ておむつ、失禁パッド、汗取りシート、ペットシート等が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下、例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
水解性基材として、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)50質量%と、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)50質量%とを含み、坪量15g/m2を有する、水解非クレープティッシュを準備した。上記水解非クレープティッシュの上に、非水溶性且つ生分解性の樹脂層として、ポリ乳酸(ユニチカ(株)製、テラマック)を、膜厚が10μmとなるように、260℃で溶融押出しし、上記水解非クレープティッシュに積層し、シートNo.1を形成した。
【0042】
[製造例2]
ポリ乳酸の膜厚を8μmとした以外は、製造例1と同様にし、シートNo.2を形成した。
[製造例3]
ポリ乳酸の膜厚を15μmとした以外は、製造例1と同様にし、シートNo.2を形成した。
【0043】
[製造例4]
ポリ乳酸を、ポリ乳酸(東レ(株)製,エコディア)70質量%と、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(BASF社製,エコフレックス)30質量%とのブレンドに変更した以外は、製造例1と同様にして、シートNo.4を形成した。
なお、上記ブレンドは、それぞれのペレットを混合し、次いで、溶融混合することにより形成された。
【0044】
[製造例5]
ポリ乳酸(ユニチカ(株)製,テラマック)を、ポリブチレンサクシネート(三菱化学(株)製,GS−pla)に変更した以外は、製造例1と同様にし、シートNo.5を形成した。
[製造例6]
ポリ乳酸(ユニチカ(株)製,テラマック)を、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製,セルグリーン)に変更した以外は、製造例1と同様にし、シートNo.6を形成した。
【0045】
[製造例7]
水解非クレープティッシュを、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)50%と、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)50%とを含み、坪量15g/m2の、水解クレープティッシュ(クレープ率10%)に変更した以外は、製造例1と同様にし、シートNo.7を形成した。
【0046】
[比較製造例1]
水解性基材として、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)50%と、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)50%とを含み、坪量15g/m2を有する、水解クレープティッシュを準備した。上記水解クレープティッシュの上に、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製,エコマティAX)を、膜厚が18μmとなるように、約230℃で溶融押出しした。ポリビニルアルコール層の上に、5質量%の白金触媒を含むシリコーン系撥水剤(信越化学工業(株)製,KS−3705)を、坪量が1g/m2となるようにグラビア印刷し、紫外線を照射し、上記撥水剤をUV硬化させることにより、シートNo.8を形成した。
【0047】
[比較製造例2]
ポリ乳酸(東レ(株)製,エコディア)を、Tダイを用いて、膜厚が20μmとなるようにフィルム化し、次いで、膜厚が15μmとなるように、搬送方向に一軸延伸(延伸倍率162%)し、搬送方向の結晶配向性が高いシートNo.9を形成した。
【0048】
[実施例1〜7、並びに比較例1及び2]
シートNo.1〜9に関して、シート坪量、引裂き強度、水解性(分散率、目視)、耐水圧、及び高湿度下耐水圧を評価した。試験方法は、本明細書において上述したとおりであり、そして耐水圧、及び高湿度下耐水圧は、(非水溶性且つ生分解性の)樹脂層側から測定した値である。また、引裂き強度に関しては、3回の測定の平均値を採用し、水解性に関しては、3回の平均値を採用し、そして耐水圧及び高湿度下耐水圧に関しては、5回の測定の平均値を採用した。
結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例1〜7の水解性防漏シートは、比較例1の防漏シートと同等の水解性及び耐水性を有し、そして比較例1の防漏シートよりも高湿度下耐水性に優れる。
実施例1〜7の水解性防漏シートはまた、搬送方向及び直交方向において、引裂き強度が0.15N/40mmであり、廃棄時に水流の力により分断されることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 水解性防漏シート
2 水解性基材層
2’ 水解ティッシュ
3 非水溶性且つ生分解性の樹脂層
4 厚さの薄い領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水解性基材層と、当該水解性基材層の上の非水溶性且つ生分解性の樹脂層とを含む、吸収性物品用の水解性防漏シートであって、
前記水解性防漏シートの平面方向の引裂き強度が、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とにおいて、両方とも0.15N/40mm以下である、
ことを特徴とする、前記水解性防漏シート。
【請求項2】
前記非水溶性且つ生分解性の樹脂層面側からの耐水圧が、300mm以上である、請求項1に記載の水解性防漏シート。
【請求項3】
温度36℃及び相対湿度90%の条件の下、3時間貯蔵した後に、前記非水溶性且つ生分解性の樹脂層面側からの耐水圧が300mm以上である、請求項1又は2に記載の水解性防漏シート。
【請求項4】
シェイクフラスコ法において、48時間後の分散率が、50質量%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水解性防漏シート。
【請求項5】
前記非水溶性且つ生分解性の樹脂層の膜厚が、5〜18μmの範囲にあり、そして前記水解性基材の坪量が、5〜25g/m2の範囲にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水解性防漏シート。
【請求項6】
前記水解性基材層の上に、溶融された非水溶性且つ生分解性の樹脂を積層することにより形成された、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水解性防漏シート。
【請求項7】
前記非水溶性且つ生分解性の樹脂層が、ポリ乳酸から形成され、そして前記水解性基材層が、水解ティッシュから形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水解性防漏シート。
【請求項8】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体を含む吸収性物品であって、
前記液不透過性のバックシートが、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水解性防漏シートから形成されている、
ことを特徴とする、前記吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−205725(P2012−205725A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73234(P2011−73234)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】