説明

水質測定方法

【課題】水処理装置からの処理水の水質の測定を無駄のないように定期的に行う。
【解決手段】水処理装置からの処理水の水質測定方法であって、前記水処理装置を通る給水の所定積算通水流量F毎に、または前記水処理装置を通る給水の所定積算通水時間T毎に水質の測定を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水処理装置からの処理水の水質測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ボイラ,温水器あるいは冷却器等の冷熱機器類への給水ラインには、所定水質の給水を供給するために、水処理装置が設けられている。この水処理装置としては、たとえば給水中の硬度分を除去する軟水装置を挙げることができ、この軟水装置は、たとえばボイラ缶体内壁面へのスケール付着を防止するために、ボイラへの給水ラインに設けられる。
【0003】
前記軟水装置は、イオン交換樹脂により、原水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度分を除去するようになっている。そして、前記イオン交換樹脂が硬度分と置換して飽和状態になる前に、前記イオン交換樹脂へ塩水を供給してそのイオン交換能力を回復させる再生作動が行われる。
【0004】
再生作動は、原水の硬度と前記イオン交換樹脂の容量とに基づいて前記軟水装置における軟水化処理流量,すなわち採水流量を算出し、前記軟水装置における通水流量が採水流量に達したときに行われるようになっている。また、前記軟水装置における単位時間あたりの平均通水流量が一定であれば、前記軟水装置における通水時間から通水流量が分かるため、採水流量に達するまでの通水時間を算出し、この通水時間になったとき、再生作動が行われるようになっている場合もある。いずれの場合における再生タイミングも、前記イオン交換樹脂が飽和状態になる前となっている。
【0005】
しかし、たとえば原水に含まれる硬度分の量が増える場合や、前記イオン交換樹脂が劣化している場合は、再生作動が行われる前に、前記イオン交換樹脂が飽和状態になって軟水化処理能力が低下し、前記軟水装置からの処理水において硬度漏れが起きることがある。そこで、前記軟水装置が正常に機能しているか否か,すなわち前記軟水装置からの処理水において硬度漏れが起きているか否かを監視するため、処理水の硬度の測定が行われるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−177019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、前記軟水装置は、この軟水装置からの処理水が供給される前記ボイラの運転状況に応じ、通水状態と通水停止状態とを繰り返して運転されている。したがって、前記軟水装置が正常に機能しているか否かを監視するという測定の目的に照らすと、定期的に測定を行う必要はあるものの、前記軟水装置の使用状態とは無関係に測定を行うことは、無駄な測定が行われることになる。とくに、硬度を測定する際に試薬を使用するなど、測定に関わる消耗品を有する測定方法において、前記軟水装置の使用状態とは無関係に測定が行われることは、ランニングコストが高くなるため好ましくない。
【0007】
また、従来の硬度測定方法においては、一定の間隔で測定が行われるようになっているため、硬度漏れが起きてからこれを検出するまでに時間がかかるおそれがある。硬度漏れをなるべく早く検出するためには測定間隔を短くすればよいが、測定頻度が多くなってしまうため、測定に関わる消耗品を有する測定方法においては好ましくない。ここで、硬度漏れが起きる可能性は、前記軟水装置を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が多くなり、硬度分除去量が多くなるほど高くなる。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする第一の課題は、水処理装置からの処理水の水質の測定を無駄のないように定期的に行うことである。
【0009】
この発明が解決しようとする第二の課題は、測定頻度を抑えつつ、水処理装置からの処理水の水質異常をより早く検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、水処理装置からの処理水の水質測定方法であって、前記水処理装置を通る給水の所定積算通水流量毎に、または前記水処理装置を通る給水の所定積算通水時間毎に水質の測定を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水質測定方法において、前記所定積算通水流量または前記所定積算通水時間によって定まる処理水の水質測定間隔にあっては、前記水処理装置の水処理能力を回復させる再生作動または洗浄作動の終了時からの前記水処理装置を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が、所定測定間隔切替流量または所定測定間隔切替時間に到達する前と後とで異なる水質測定間隔とし、前記所定測定間隔切替流量または前記所定測定間隔切替時間に到達した後の水質測定間隔を、前記所定測定間隔切替流量または前記所定測定間隔切替時間に到達する前の水質測定間隔より短くすることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の水質測定方法において、前記水処理装置からの処理水の測定値が異常値であるとき、測定値が正常値であるときの水質測定間隔よりも短い間隔で次の測定を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2または3に記載の水質測定方法において、前記水処理装置は軟水装置であり、処理水の水質として前記軟水装置からの処理水の硬度を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、前記水処理装置を通る給水の所定積算通水流量毎に、または前記水処理装置を通る給水の所定積算通水時間毎に水質の測定を行うことにより、前記水処理装置の使用状態に応じて測定を行うことができ、定期的な測定を無駄のないように行うことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、前記水処理装置における再生作動終了時または洗浄作動終了時からの前記水処理装置を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が多くなり、前記水処理装置の水処理能力が低下して処理水の水質が悪化する可能性が高くなったときにだけ、測定頻度を多くすることができる。これにより、全体的な測定頻度を抑えつつも、前記水処理装置からの処理水における水質異常をより早く検出することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記水処理装置からの処理水の測定値が複数回異常値であると処理水の水質異常と判定する場合に、測定値が異常値となったとき、測定値が正常値であるときの測定間隔よりも短い間隔で次の測定を行うことで、前記水処理装置からの処理水の硬度漏れをより早く検出することができる。そして、処理水の測定値が正常値であるときの測定は、異常値であるときの測定間隔よりも長い間隔で行われるので、測定頻度を抑えることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、前記軟水装置の使用状態に応じてこの軟水装置からの処理水の硬度の測定を行うことができ、定期的な測定を無駄のないように行うことができる。また、硬度の測定頻度をできるだけ抑えつつ、前記軟水装置からの処理水の水質異常として、硬度漏れをより早く検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、この発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
まず、この発明の第一実施形態について説明する。図1は、この発明に係る水質測定方法を実施する水処理システムの一例を示す概略的な説明図、図2は、この発明に係る水質測定方法の第一実施形態における測定タイミングの説明図である。
【0019】
まず、本発明に係る水質測定方法を実施する水処理システムの構成について説明する。図1に示す水処理システムは、軟水処理システムであり、水処理装置として軟水装置1を備えている。この軟水装置1には原水ライン2と処理水ライン3とが接続されている。前記軟水装置1は、前記原水ライン2から供給された原水中の硬度分,すなわちカルシウムイオンやマグネシウムイオンを、イオン交換樹脂によってナトリウムイオンやカリウムイオンなどの一価の陽イオンと置換させ、軟水を生成するようになっている。そして、前記軟水装置1において生成された軟水が、処理水として前記処理水ライン2へ流出するようになっている。
【0020】
前記処理水ライン3には、硬度測定装置4および流量測定装置5が設けられている。さらに、前記処理水ライン3には、通水バルブ6が設けられている。前記硬度測定装置4および前記流量測定装置5の測定値は、制御部7へ入力されるようになっている。また、前記通水バルブ6は、前記制御部7により制御されるようになっており、この通水バルブ6を開状態にしたときに、前記軟水装置1における通水が行われるようになっている。
【0021】
ここで、前記硬度測定装置4は、たとえば前記処理水ライン3からサンプリングされた試料水へ、硬度測定用試薬を添加したときの発色により硬度を測定する装置である。この硬度測定用試薬を用いる装置は、より具体的には、試料水を所定量収容した透明容器(図示省略)へ硬度測定用試薬を添加して、その反応による試料水の色相の変化を吸光度や透過率から検出し、給水の硬度を測定するものである。
【0022】
さて、この発明に係る水質測定方法について説明する。第一実施形態の水質測定方法は、前記軟水装置1からの処理水の硬度測定方法であり、前記硬度測定装置4における測定方法である。
【0023】
具体的には、前記制御部7は、前記軟水装置1を通る給水の所定積算通水流量F(図2参照)毎に前記硬度測定装置4へ測定指令信号を出力し、測定を行わせる。より詳細に説明すると、前記軟水装置1を通る給水の通水流量は、前記流量測定装置5によって測定され、その測定値は前記制御部7へ入力される。そして、前記制御部7は、前回硬度測定時(前記軟水装置1における再生作動終了後における初めての測定にあっては、再生作動終了時)からの積算通水流量が前記所定積算通水流量Fになったとき、前記硬度測定装置4へ測定指令信号を出力する。
【0024】
また、前記制御部7は、たとえば前記流量測定装置5が故障した場合、前記軟水装置1を通る給水の所定積算通水時間T(図2参照)毎に前記硬度測定装置4へ測定指令信号を出力し、測定を行わせる。より詳細に説明すると、前記軟水装置1を通る給水の通水時間としては、前記通水バルブ6の開時間を用いる。この通水バルブ6の開時間は、この通水バルブ6を制御する前記制御部7によって把握される。したがって、前記制御部7は、前回硬度測定時(前記軟水装置1における再生作動終了後における初めての測定にあっては、再生作動終了時)からの積算通水時間,すなわち前記通水バルブ6の積算の開時間が、前記所定積算通水時間Tになったとき、前記硬度測定装置4へ測定指令信号を出力する。
【0025】
ここで、前記所定積算通水流量Fは、前記軟水装置1における軟水化処理流量,すなわち採水流量に応じて設定される(たとえば、採水流量の10%等)。また、前記所定積算通水時間Tは、前記軟水装置1における単位時間当たりの平均通水流量が一定であるとみなすと、採水流量に到達するまでの前記軟水装置1の給水の積算通水時間に応じて設定される。前記所定積算通水流量F毎に測定を行う場合における硬度測定間隔と、前記所定積算通水時間T毎に測定を行う場合における硬度測定間隔は、同じものとなっている。ちなみに、採水流量は、(前記軟水装置1において除去できる硬度分の量)/(原水の硬度)で求められる。また、採水流量に到達するまでの前記軟水装置1の給水の積算通水時間は、(前記軟水装置1において除去できる硬度分の量)/{(原水の硬度)×(前記軟水装置1における単位時間当たりの平均通水流量)}で求められる。そして、これらの式において、前記軟水装置1において除去できる硬度分の量は、前記軟水装置1におけるイオン交換樹脂の容量に応じて定まるものであり、前記制御部7に記憶されている。また、原水の硬度は、予め測定されて前記制御部7に記憶されたものである。さらに、前記軟水装置1における単位時間当たりの平均通水流量は、予め前記制御部7に記憶されている。
【0026】
前記硬度測定装置4は、前記制御部7からの測定指令信号が入力されると測定を行い、その測定値を前記制御部7へ出力する。前記制御部7は、前記硬度測定装置4から入力された測定値が、正常値であるか異常値であるかの判定,すなわち予め設定された所定の硬度値を超えているか否かの判定を行う。そして、前記制御部7は、前記硬度測定装置4の測定値が、複数回連続して異常値であると判定した場合、硬度漏れと判定する。
【0027】
以上説明した硬度測定方法によれば、前記軟水装置1を通る給水の前記所定積算通水流量F毎または前記所定積算通水時間T毎に硬度の測定を行うようになっており、硬度測定間隔が前記軟水装置1を通る給水の前記所定積算通水流量Fまたは前記軟水装置1を通る前記所定積算通水時間Tによって定まっている。これにより、前記軟水装置1の使用状態に応じて定期的な測定を行うことができる。したがって、図2に示すように、前記軟水装置1が通水停止状態のときがあっても、従来のように所定時間毎に測定を行う場合と比べて、定期的な測定を無駄のないように行うことができる。これにより、前記硬度測定装置4における硬度測定用試薬の使用量を抑制することができ、測定に関わるランニングコストを低減させることができる。
【0028】
(第二実施形態)
つぎに、この発明に係る水質測定方法の第二実施形態について説明する。図3は、この発明に係る水質測定方法の第二実施形態における測定タイミングの説明図である。
【0029】
第二実施形態の水質測定方法は、前記第一実施形態と同様に、図1に示す軟水処理システムにおいて実施され、前記軟水装置1からの処理水の硬度測定方法,すなわち前記硬度測定装置4における測定方法である。以下の説明では、前記第一実施形態と共通するものとなる説明については省略する。
【0030】
この第二実施形態の硬度測定方法においては、前記第一実施形態とは異なり、前記軟水装置1における再生作動終了時からの前記軟水装置1を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が、所定測定間隔切替流量FF(図2においては、FF=FF1+FF2)または所定測定間隔切替時間TT(図2においては、TT=TT1+TT2)に到達する前と後とで異なる硬度測定間隔になっている。前記所定測定間隔切替流量FFまたは前記所定測定間隔切替時間TTは、前記軟水装置1におけるイオン交換樹脂の容量に応じて設定されるものであり、前記所定測定間隔切替流量FFに到達したときに硬度測定間隔を切り替える場合と、前記所定測定間隔切替時間TTに到達したときに硬度測定間隔を切り替える場合とでは、硬度測定間隔を切り替えるタイミングは同じものとなっている。具体的には、前記所定測定間隔切替流量FFまたは前記所定測定間隔切替時間TTは、再生作動終了時からの前記軟水装置1の給水の積算通水流量または積算通水時間が多くなり、前記軟水装置1における積算硬度分除去量が多くなった時点,たとえば再生作動終了時からの前記軟水装置1における積算硬度分除去量が、前記軟水装置1において除去できる硬度分の量の80〜90%程度になるときの積算通水流量または積算通水時間に設定される。
【0031】
ここで、再生作動終了時からの前記軟水装置1を通る給水の積算通水流量は、前記流量測定装置5によって測定され前記制御部7へ入力された流量の再生作動終了時からの積算値である。また、前記再生作動終了時からの前記軟水装置1を通る給水の積算通水時間は、前記制御部7によって把握される前記通水バルブ6の開時間の再生作動終了時からの積算値である。
【0032】
さて、硬度測定間隔について具体的に説明する。前記所定測定間隔切替流量FFまたは前記所定測定間隔切替時間TTに到達する前の硬度測定間隔は、図3においては所定積算通水流量F1(図2における前記所定積算通水流量Fと同じ流量)または所定積算通水時間T1になっている(図2における前記所定積算通水時間Tと同じ長さ)。一方、前記所定測定間隔切替流量FFまたは前記所定測定間隔切替時間TTに到達した後の硬度測定間隔は、前記所定積算通水流量F1よりも少ない所定積算通水流量F2または前記所定積算通水時間T1よりも短い所定積算通水時間T2になっており、測定間隔が短くなっている。ここで、前記所定積算通水流量F1毎に測定を行う場合における硬度測定間隔と、前記所定積算通水時間T1毎に測定を行う場合における硬度測定間隔は、同じものとなっている。また、前記所定積算通水流量F2毎に測定を行う場合における硬度測定間隔と、前記所定積算通水時間T2毎に測定を行う場合における硬度測定間隔は、同じものとなっている。
【0033】
以上説明した第二実施形態の硬度測定方法によれば、前記軟水装置1における再生作動終了時からの積算硬度分除去量が多くなり、前記軟水装置1の軟水化処理能力の低下による硬度漏れが起きる可能性が高くなったときにだけ、硬度測定間隔を短くして測定頻度を多くすることができる。これにより、全体的な測定頻度を抑えつつも、前記軟水装置1からの処理水における硬度漏れをより早く検出することができる。
【0034】
(第三実施形態)
つぎに、この発明に係る水質測定方法の第三実施形態について説明する。図4は、この発明に係る水質測定方法の第三実施形態における測定タイミングの説明図である。
【0035】
第三実施形態の水質測定方法は、前記第一,第二実施形態と同様に、図1に示す軟水処理システムにおいて実施され、前記軟水装置1からの処理水の硬度測定方法,すなわち前記硬度測定装置4における測定方法である。以下の説明では、前記第一,第二実施形態と共通するものとなる説明については省略する。
【0036】
第三実施形態の硬度測定方法においては、前記制御部7は、前記硬度測定装置4の測定値が、前記所定の硬度値以下,すなわち正常値であるとき、この測定からの前記軟水装置1を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が、前記所定積算通水流量F1または前記所定積算通水時間T1になると、次の測定を行うべく前記硬度測定装置4へ測定指令信号を出力する。ちなみに、前記軟水装置1の再生作動終了後の初めての測定にあっては、前記制御部7は、再生作動終了時からの前記軟水装置1を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が、前記所定積算通水流量F1または前記所定積算通水時間T1になると、前記硬度測定装置4へ測定指令信号を出力する。
【0037】
一方、前記制御部7は、前記硬度測定装置4の測定値が前記所定の硬度値を超えているとき,すなわち測定値が異常値であるとき、この測定からの前記軟水装置1を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が、所定積算通水流量F3または所定積算通水時間T3になると、次の測定を行うべく前記硬度測定装置4へ測定指令信号を出力する。ここで、前記所定積算通水流量F3は前記所定積算通水流量F1より少なく、また前記所定積算通水時間T3は前記所定積算通水時間T1よりも短くなっている。したがって、前記硬度測定装置4の測定値が異常値であるときは、測定値が正常値であるときの硬度測定間隔よりも短い間隔で次の測定が行われる。ちなみに、前記所定積算通水流量F3または前記所定積算通水時間T3は、前記所定積算通水流量F2または前記所定積算通水時間T2と同じかあるいは少なく設定される。また、前記所定積算通水流量F3毎に測定を行う場合における硬度測定間隔と、前記所定積算通水時間T3毎に測定を行う場合における硬度測定間隔は、同じものとなっている。
【0038】
前記制御部7は、前記硬度測定装置4の測定値が異常値から正常値に戻ったとき、この測定からの前記軟水装置1を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が、前記所定積算通水流量F1または前記所定積算通水時間T1になると、前記硬度測定装置4へ測定指令信号を出力して次の測定を行わせ、測定間隔を元に戻す。
【0039】
以上説明した第三実施形態の硬度測定方法によれば、前記硬度測定装置4の測定値が異常値であるとき、測定値が正常値であるときの硬度測定間隔よりも短い間隔で次の測定を行うことで、前記軟水装置1からの処理水の硬度漏れをより早く検出することができる。そして、前記硬度測定装置4の測定値が正常値であるときの測定は、異常値であるときの硬度測定間隔よりも長い間隔で行われるので、測定頻度を抑えることができる。
【0040】
以上、この発明を前記各実施形態によって説明したが、この発明は、前記各実施形態に限られるものでないことはもちろんである。たとえば、前記水処理装置は軟水装置に限られるものではなく、給水中の不純物を濾材によって濾過する濾過装置や、給水中に溶存する次亜塩素酸ナトリウムなどに由来する酸化剤を粒状の活性炭により吸着除去する酸化剤除去装置などであってもよい。前記水処理装置が前記濾過装置である場合、この濾過装置からの処理水の濁度を測定する。また、前記水処理装置が前記酸化剤除去装置である場合、この酸化剤除去装置からの処理水の酸化剤濃度(たとえば、残留塩素濃度)を測定する。そして、前記水処理装置が前記濾過装置である場合、第二実施形態においては、前記濾過装置の再生作動終了時からの前記濾過装置を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が所定測定間隔切替流量または所定測定間隔切替時間に到達した後の濁度測定間隔を、前記所定測定間隔切替流量または前記所定測定間隔切替時間に到達する前の濁度測定間隔よりも短くする。また、前記水処理装置が前記酸化剤除去装置である場合、第二実施形態においては、前記酸化剤除去装置の洗浄作動終了時からの前記酸化剤除去装置を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が所定測定間隔切替流量または所定測定間隔切替時間に到達した後の酸化剤濃度測定間隔を、前記所定測定間隔切替流量または前記所定測定間隔切替時間に到達する前の酸化剤濃度測定間隔よりも短くする。
【0041】
また、本発明にあっては、前記流量測定装置5が設けられていなくてもよい。この場合、前記軟水装置1を通る給水の所定積算通水時間毎に硬度の測定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明に係る水質測定方法の第一実施形態を実施する軟水処理システムの一例を示す概略的な説明図である。
【図2】この発明に係る水質測定方法の第一実施形態における測定タイミングの説明図である。
【図3】この発明に係る水質測定方法の第二実施形態における測定タイミングの説明図である。
【図4】この発明に係る水質測定方法の第三実施形態における測定タイミングの説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 軟水装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理装置からの処理水の水質測定方法であって、
前記水処理装置を通る給水の所定積算通水流量毎に、または前記水処理装置を通る給水の所定積算通水時間毎に水質の測定を行うことを特徴とする水質測定方法。
【請求項2】
前記所定積算通水流量または前記所定積算通水時間によって定まる処理水の水質測定間隔にあっては、前記水処理装置の水処理能力を回復させる再生作動または洗浄作動の終了時からの前記水処理装置を通る給水の積算通水流量または積算通水時間が、所定測定間隔切替流量または所定測定間隔切替時間に到達する前と後とで異なる水質測定間隔とし、前記所定測定間隔切替流量または前記所定測定間隔切替時間に到達した後の水質測定間隔を、前記所定測定間隔切替流量または前記所定測定間隔切替時間に到達する前の水質測定間隔より短くすることを特徴とする請求項1に記載の水質測定方法。
【請求項3】
前記水処理装置からの処理水の測定値が異常値であるとき、測定値が正常値であるときの水質測定間隔よりも短い間隔で次の測定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の水質測定方法。
【請求項4】
前記水処理装置は軟水装置であり、処理水の水質として前記軟水装置からの処理水の硬度を測定することを特徴とする請求項1,2または3に記載の水質測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−151572(P2008−151572A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338262(P2006−338262)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)