水質計
水質計は、互いに異なる金属で形成され、検査対象の液に浸けられたとき、液中の不純物濃度に比例した検知電圧を発生する一対のセンサ電極1a,1bと、検知電圧を非反転増幅してCPU3に出力する演算増幅器OP1と、一方のセンサ電極1aに一端が接続された抵抗R0と、検知電圧を所定の分圧比で分圧した電圧を抵抗R0の他端に印加する分圧器2とを備える。CPU3は、測定モードにおいては演算増幅器OP1から入力された信号を演算処理して塩素濃度を求め、演算結果をLCD4に表示させ、検知電圧の校正モードにおいては所定濃度の塩素を含む液中に一対のセンサ電極1a,1bを浸けた時の検知電圧が所定濃度における基準電圧と略一致するように分圧器2の分圧比を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象の液体の水質、特に水道水に含まれる残留塩素の濃度や、液中の溶存オゾン、溶存酸素、溶存水素、溶存二酸化炭素の測定用として好適に用いられる水質計に関する。
【背景技術】
【0002】
日本公開特許第2002−214220号公報は、水道水中の残留塩素濃度を測定するための水質計を開示している。この水質計は、異種の金属で形成された一対の電極を有し、これら一対の電極を検査対象の液に浸けて、電極間に発生する起電圧から液中の塩素濃度を検査する。一対の電極の内の一方は白金線、他方は銀線にて形成され、銀線からなる電極は液中に浸けられる部位に塩化銀被膜が形成されており、これら一対の電極でセンサを構成する。そして、このセンサを検査対象の液中、例えば水道水に浸けると、一対の電極間に液中の塩素濃度に応じた起電圧が発生する。
【0003】
ここで、一対の電極を検査対象の液中に漬けたときに電極間に発生する起電圧から液中の塩素濃度を求めるのであるが、個々のセンサ毎に起電圧のばらつきが大きいため、塩素濃度の検出精度が低かった。図18aは塩素濃度が0%(浄水)、0.4ppm(水道水の残留塩素濃度)、0.9ppm、1.5ppmの液に複数個のセンサを漬けた時の起電圧を示し、高濃度側では起電圧が飽和する傾向があり、センサ間で起電圧のばらつきが大きくなっていた。例えば325mVの起電圧を発生する塩素濃度は0.6ppm〜1.5ppmの間でばらついている(図18a中のd1)。
【0004】
このような起電圧のばらつきは、一方の電極表面の塩化銀皮膜に生じたクラックなどの影響で発生するものと考えられる。図17は一対の電極からなるセンサ1の等価回路図である。塩化銀皮膜に発生したクラックなどによって、起電圧を発生する電圧源Eと並列にインピーダンス要素Z2が接続されることになり、このインピーダンス要素Z2のインピーダンス値が個々のセンサでばらつくことで、起電圧にばらつきが発生するものと本発明者らは考えた。尚、図17中のZ1はセンサの内部インピーダンスである。
【0005】
このように電極間に発生する起電圧が個々のセンサでばらつくのであるが、起電圧のばらつきは高濃度側で顕著であり、起電圧の傾きは複数のセンサで略同じになっている。したがって、例えば0.4ppmの液中にセンサを浸けた時の起電圧が所定の基準電圧(例えば200mV)となるように、高濃度側の領域で各センサの起電圧に一定電圧を加算又は減算することで、各センサの起電圧を校正することが可能であるが、このような校正手法(以下、シフト校正と言う)では起電圧のばらつきを低減する効果が不十分であった。図18bはシフト校正を行った後の起電圧を示しているが、例えば325mVの起電圧を発生する塩素濃度は0.8ppm〜1.55ppmの間でばらついており(図18b中のd2)、さらなる検査精度の向上が望まれている。
【0006】
また、上述のように電極間に発生する起電圧は高濃度側で飽和する傾向があり、起電圧の線形性が悪化するために、検査対象の液体の水質を精度良く検出することができなかった。
【発明の開示】
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、検査対象の液体の水質を精度良く検出できる水質計を提供する。
【0008】
ところで、上述のような起電圧のばらつきは、一方の電極の塩化銀皮膜に生じたクラックなどの影響で、電圧源Eと並列に接続されるインピーダンス要素Z2が発生し、このインピーダンス要素Z2のインピーダンス値が個々のセンサでばらつくことによって発生するものと推測される。そこで本発明者らは、図4aに示すように一対のセンサ電極と並列に抵抗値が可変のインピーダンス要素Z3を接続し、所定濃度の塩素を含む液中に両センサ電極を浸けた時の出力電圧V1が所定濃度における基準電圧と一致するように、インピーダンス要素Z3のインピーダンス値を調整することで、起電圧のばらつきを低減できると考えた。
【0009】
すなわち、本発明にかかる水質計は以下の構成を備える。
【0010】
一対のセンサ電極、これらのセンサ電極は互いに異なる金属で形成され、水に浸して使用される、このセンサ電極はその両端間に水に含まれた不純物の濃度に比例する検知電圧を発生する;
検出手段、この検出手段は検知電圧の電圧値から溶質の濃度を検出して検出結果を出力する;
インピーダンス調整手段、このインピーダンス調整手段は、両センサ電極を基準濃度の液に漬けた状態で両センサ電極間に発生する検知電圧が上記の基準濃度に対応する基準電圧に一致するように両センサ電極の両端間の入力インピーダンスを調整する。
【0011】
従って、本発明の水質計は、インピーダンス調整手段によって、基準濃度の液に一対のセンサ電極を浸けた状態で、両センサ電極間に発生する検知電圧が基準電圧と略一致するように両センサ電極間の入力インピーダンスを調整しているので、両センサ電極間の出力インピーダンスのばらつきを補正して、両センサ電極間に発生する起電圧のばらつきを低減し、溶質の濃度の検知精度を向上させることができる。
【0012】
ここで、図4bに示すように一対の電極間に起電圧V1が発生した時にプラス側となる電極に抵抗R0の一端を接続するとともに、電極間に発生する起電圧V1が両端間に印加される可変抵抗VRの中間タップに抵抗R0の他端を接続したような回路を考えると、抵抗R0の他端には起電圧V1を所定の分圧比で分圧した電圧V2が印加されることになる。そして、可変抵抗VRの抵抗値を調整することで、抵抗R0の他端に印加される電圧V2が変化して、抵抗R0の両端間に印加される電圧が変化するので、電圧V2を調整することによって、電極間に接続されたインピーダンス要素Z3(抵抗R0および可変抵抗VRからなる)のインピーダンス値を調整することができると考えられる。
【0013】
而して、上記のインピーダンス調整手段が、両センサ電極の両端間に直列接続された抵抗および分圧器と、この分圧器の分圧比を制御する分圧比制御手段とを備え、分圧器が、両センサ電極間に発生する検知電圧を、分圧比制御手段によって設定された分圧比で分圧した分圧電圧を発生して、検知電圧と分圧電圧との差分電圧を上記の抵抗に印加させるとともに、分圧比制御手段が、検知電圧の校正モードを与え、この校正モードにおいて上記の基準濃度における検知電圧が上記の基準電圧と一致するように上記分圧比を設定することも好ましい。両センサ電極の両端間に分圧器を介して接続される抵抗には、検知電圧と分圧器の分圧電圧との差分の電圧が印加されるから、分圧比制御手段が、分圧器の分圧比を調整して抵抗に印加される電圧を調整することで、両センサ電極間の抵抗を含めた入力インピーダンスを調整することができる。
【0014】
また、上記の分圧器が、上記の検知電圧を分圧する第1及び第2の分圧抵抗と、調整抵抗およびスイッチ手段の直列回路とを備え、上記の直列回路が少なくとも何れか一方の分圧抵抗の両端間に接続され、上記の分圧比制御手段が上記スイッチ手段をオン/オフすることで分圧比を変化させることも好ましく、分圧器の分圧比を複数通りに切り替えることができる。
【0015】
また、本発明に係る他の水質計は以下の構成を備える。
【0016】
一対のセンサ電極、これらのセンサ電極は互いに異なる金属で形成され、水に浸して使用される、このセンサ電極はその両端間に、水に含まれた不純物の濃度に比例する検知電圧を発生する;
検出手段、この検出手段は検知電圧の電圧値から溶質の濃度を検出して検出結果を出力する;
インピーダンス要素、このインピーダンス要素は両センサ電極の間に接続され、そのインピーダンス値は検知電圧の非線形性を改善可能な抵抗値である。
【0017】
両センサ電極の間にインピーダンス要素を接続することによって、検知電圧の非線形性が改善されるぐらいまで、両センサ電極間の出力インピーダンスが低下するので、検出対象物の濃度の検知精度を向上させることができる。なお背景技術で説明した従来の水質計においても、一対のセンサ電極の間に抵抗器を接続しているが、この抵抗器は、センサ電極間の出力インピーダンスが高い場合にノイズがのりやすいという問題を改善するために、ノイズの低減を目的として接続されたものであり、その抵抗値は10MΩと高く、検知電圧の非線形性を改善する効果は得られなかった。
【0018】
ここで、検知電圧にオフセット電圧を重畳するオフセット電圧印加手段と、検知電圧にオフセット電圧を重畳して得た電圧を所定のゲインで増幅して検出手段に出力する増幅手段とを設け、上記検出手段は増幅手段からの入力電圧の電圧値をもとに溶質の濃度を検出しており、検知電圧の校正モードを与え、この校正モードにおいて、両センサ電極を基準濃度の液に漬けた状態で両センサ電極間に発生する検知電圧が上記の基準濃度に対応する基準電圧に一致するようにオフセット電圧およびゲインを設定する設定手段を備えることも好ましい。
【0019】
また、インピーダンス要素のインピーダンス値としては1kΩ以上且つ1MΩ以下とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水質計の回路図である。
【図2】同上の水質計の外観図である。
【図3a】同上の水質計のヘッド部を示す要部の断面図である。
【図3b】同上の水質計のヘッド部を示す要部の側面図である。
【図4a】同上の検知電圧の補正方法を説明する説明図である。
【図4b】同上の検知電圧の補正方法を説明する説明図である。
【図5a】同上の水質計の検知電圧を校正する前の出力特性図である。
【図5b】同上の水質計の検知電圧を校正した後の出力特性図である。
【図6】同上の溶存オゾンの濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図7】同上の溶存酸素の濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図8】同上の溶存二酸化炭素の濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図9】同上の溶存水素の濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る水質計の回路図である。
【図11】補正抵抗の抵抗値を2kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図12】補正抵抗の抵抗値を20kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図13】補正抵抗の抵抗値を100kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図14】補正抵抗の抵抗値を200kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図15】補正抵抗の抵抗値を390kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図16】補正抵抗の抵抗値を1MΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図17】従来のセンサの等価回路図である。
【図18a】従来の水質計の検知電圧をシフト校正する前の出力特性図である。
【図18b】従来の水質計の検知電圧をシフト校正した後の出力特性図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る水質計を示す。この水質計は、互いに異なる金属により形成され、検査対象の液に浸けられたときに液中の不純物濃度に比例した検知電圧を発生する一対のセンサ電極1a,1bからなるセンサ1と、検査対象の液中(例えば残留塩素を含む水)に一対のセンサ電極1a,1bを浸けた時にプラス側となるセンサ電極1aに一端が接続された抵抗R0と、検知電圧V1を所定の分圧比で分圧した電圧V2を抵抗R0の他端に印加する分圧器2と、CPU3とを備え、一対のセンサ電極1a,1bの内、プラス側のセンサ電極1aは演算増幅器OP1の非反転入力端に接続されている。
【0022】
演算増幅器OP1は非反転増幅器を構成し、出力端と反転入力端との間には抵抗R1、応答調整用のコンデンサC1からなる並列回路を接続してあり、この抵抗R1の抵抗値と、反転入力端とグランドとの間に接続した抵抗R2の抵抗値とで利得が設定されている。そして、演算増幅器OP1により増幅された検知電圧はCPU3の入力端子P6に入力される。
【0023】
また分圧器2は、演算増幅器OP1の反転入力端とグランドとの間に直列に接続された第1及び第2の分圧抵抗R3,R4と、第1及び第2の分圧抵抗R3,R4の接続点に非反転入力端が接続された演算増幅器OP2と、第1及び第2の分圧抵抗R3,R4の接続点とCPU3の接続端子P1〜P5との間にそれぞれ接続された複数(本実施形態では例えば5個)の調整抵抗R5〜R9と、CPU3に内蔵されて調整抵抗R5〜R9とグランドとの間にそれぞれ接続された5つのスイッチ手段34とで構成される。ここに、演算増幅器OP2はボルテージフォロアの非反転増幅器を構成し、非反転入力端の入力電圧と、出力電圧とが等しく、その出力電圧を抵抗R0の他端に印加している。
【0024】
CPU3の入力端子P6には演算増幅器OP1により増幅された検知電圧が入力されており、この検知電圧を内蔵するA/D変換部でA/D変換して塩素濃度を演算により求め、液晶ディスプレイ(以下LCDと言う)4に塩素濃度の検出値を表示させる。またCPU3の出力端子P1〜P5には調整抵抗R5〜R9の一端が接続されており、CPU3が内蔵するスイッチ手段34を個別に入切して、出力端子P1〜P5をグランドに接続するか、又は、ハイインピーダンス状態に切り替えることで、調整抵抗R5〜R9が選択的に第2の分圧抵抗R4に並列接続される。この時、第2の分圧抵抗R4と調整抵抗R5〜R9との合成インピーダンスが変化して、分圧器2の分圧比が変化するので、抵抗R0に印加される電圧V2の電圧値を変化させることができる。すなわち、CPU3の演算機能により、検査対象の液中に一対のセンサ電極1a,1bを浸けた時にセンサ電極1a,1b間に発生する起電圧から液中の塩素濃度を検出する検出手段31と、上記スイッチ手段34をオン/オフすることで分圧器2の分圧比を設定する分圧比設定手段33と、検知電圧の校正モードを与え、校正モードにおいて分圧器2の分圧比を決定し、分圧比設定手段33を用いてスイッチ手段34を選択的にオン/オフすることで分圧器2の分圧比を制御する校正手段32とが構成される。
【0025】
またCPU3の入力端子P7には測定開始用スイッチSW1の操作信号が入力され、入力端子P8には校正開始用スイッチSW2の操作信号が入力される。スイッチSW1,SW2は、それぞれ、一端がグランドに接続されるとともに、他端が抵抗R10,R11を介して一定電圧にプルアップされている。而して、スイッチSW1,SW2をオン/オフすることで入力端子P7,P8の電圧レベルがロー又はハイに反転してCPU3に操作信号が与えられ、CPU3が測定モード或いは校正モードで動作を開始する。
【0026】
図2は本実施形態の水質計の外観図であり、上述した図1に示す回路を樹脂成型品からなるハウジング5に内装してある。また、ハウジング5にケーブル6を介して接続されたセンサ本体7の先端部にはヘッド10が設けられ、このヘッド10に一対のセンサ電極1a,1bからなるセンサ1が設けられている。なおハウジング5の前面にはLCD4や、スイッチSW1,SW2の操作部8a,8bなどが配置されている。
【0027】
また、図3aはヘッド10の拡大断面図、図3bはヘッド10の拡大側面図であり、ヘッド10は細長い筒状に形成されており、その内部の中空部はセンサ本体7内に連通し、先端側が開口している。ヘッド10の先端部には、ヘッド10内の水密性を確保した状態で固定部材11が装着されており、この固定部材11には一対のセンサ電極1a,1bが固定されている。またヘッド10の中空部内には2本のリード線12a,12bが配設されており、各リード線12a,12bの後端部はケーブル6の心線に接続され、ケーブル6の心線を介してハウジング5内部に納装された図1の回路に接続されている。また、各リード線12a,12bの前端部は固定部材11の前側凹部13内に突出して、それぞれセンサ電極1a,1bに接続されており、前側凹部13内に充填された封止材14で固定されている。
【0028】
一対のセンサ電極1a,1bは、一方のセンサ電極1bが白金線、他方のセンサ電極1aが銀線にて形成されている。各センサ電極1a,1bの後端側は固定部材11の前側凹部13内において封止材14に埋設固定される埋設部として形成され、前端側は封止材14から前方に向けて突出する検知部として形成されている。銀線からなるセンサ電極1aには上述した検知部の表面のみに塩化銀被膜が形成され、埋設部の表面には塩化銀被膜は形成されておらず、このため、センサ電極1aとリード線12aとの接続部には塩化銀被膜は形成されることがないから、センサ電極1aとリード線12aとの電気的接続が塩化銀被膜によって阻害されることはない。
【0029】
更に、ヘッド10の先端には、固定部材11及びセンサ電極1a,1bの検知部を覆うようにキャップ体15が取り付けられ、これによりセンサ電極1a,1bの検知部が保護される。キャップ体15には、二つの平行並列なスリット状の開口部16が形成されており、この開口部16により、キャップ体15の内側と外側とが連通されている。この開口部16はキャップ体15の側面から前端面を通って反対側の側面に亘るように形成されている。またキャップ体15には各開口部16の両端部に、この開口部16と連通すると共にキャップ体15の内側と外側とを連通する連通孔17が形成されており、この連通孔17は各開口部16の幅よりも大径に形成されている。ここに、開口部16および連通孔17は、液中の塩素濃度を測定する際にキャップ体15の内側に水道水等の検査対象の液体を浸入させてセンサ電極1a,1bの検知部をこの液体に浸漬させたり、液中の塩素濃度を測定した後にキャップ体15の内側から液体を排出したりするためのものである。
【0030】
次に本実施形態の水質計の動作について説明する。
【0031】
まず検査対象の液中(例えば水道水)の塩素濃度を測定する測定モードについて説明する。スイッチSW1の操作部をオン操作すると、CPU3の入力端子P7に操作信号が与えられ、CPU3が測定モードで動作する。そして、スイッチSW1の操作後にヘッド10を検査対象の液中に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この場合はセンサ電極1aがプラス極となり、起電圧によって抵抗R0に電圧V1が発生し、この電圧V1が検知電圧として演算増幅器OP1の非反転入力端に入力されて、非反転増幅されCPU3の入力端子P6に入力される。CPU3(検出手段31)では、入力端子P6に入力された検知電圧を内蔵するA/D変換部でA/D変換して塩素濃度を演算により求め、LCD4に塩素濃度の検出値を表示させる。ここで、演算増幅器OP1の非反転入力端と反転入力端とは同電位になるので、電圧V1を抵抗R3と抵抗R4〜R9の合成抵抗とで分圧した電圧V2が抵抗R0の他端側に印加されており、一対のセンサ電極1a,1bの両端間に並列接続されたインピーダンス要素(抵抗R0を含む)のインピーダンス値が所望の値に調整される。
【0032】
次に検知電圧のばらつきを校正する校正モードについて説明する。スイッチSW2の操作部をオン操作すると、CPU3の入力端子P8に操作信号が与えられ、CPU3が校正モードで動作する。
【0033】
CPU3の動作モードを校正モードに切り替えた状態で、ヘッド10を基準濃度(例えば1.5ppm)の塩素を含む水に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この場合はセンサ電極1aがプラス極となり、起電圧によって抵抗R0に電圧V1が発生し、この電圧V1が演算増幅器OP1により非反転増幅されて、CPU3の入力端子P6に入力される。CPU3は、入力端子P6に入力された検知電圧を内蔵するA/D変換部でA/D変換して塩素濃度を演算により求める。そして、CPU3の校正手段32が、分圧比設定手段33を用いてスイッチ手段34をオン/オフし、抵抗R5〜R9を選択的に抵抗R4に並列接続することで、分圧器2の分圧比を調整する。このとき、抵抗R0の他端に印加する電圧V2が調整され、それによってセンサ電極間の入力インピーダンスが変化するので、校正手段32は、分圧器2の分圧比を、入力端子P6の電圧レベル(つまり検知電圧V1)が基準濃度に対応した基準電圧と略一致するような分圧比に決定する。ここにCPU3の演算機能により実現される校正手段32と分圧比設定手段33とで分圧比制御手段が構成され、この分圧比制御手段と、抵抗R0と、分圧器2とでインピーダンス調整手段が構成される。
【0034】
なおCPU3では、校正モードで動作を開始してから一定期間(例えば5秒経過時から30秒経過時までの間)、所定のサンプリング時間毎に検知電圧V1が基準電圧よりも高ければ抵抗R4〜R9の合成抵抗値(すなわちインピーダンス要素Z3の抵抗値)を下げて分圧器2の分圧比を小さくするとともに、検知電圧V1が基準電圧よりも低ければ抵抗R4〜R9の合成抵抗値を上げて分圧器2の分圧比を高くしており、一定期間の間で最も小さい抵抗R4〜R9の合成抵抗値を設定値として記憶し、以後の測定モードではその設定値で決まる分圧比で分圧した電圧を抵抗R0に印加する。
【0035】
このように分圧器2が、一対のセンサ電極1a,1b間に発生した起電圧を所定の分圧比で分圧して得た電圧を抵抗R0の他端側に印加しているので、基準濃度の塩素を含む液中に浸けたときの検知電圧をもとに、一対のセンサ電極1a,1bの両端間に接続された、抵抗R0を含む入力インピーダンスのインピーダンス値を擬似的に変化させることができ、一対のセンサ電極1a,1b間に発生する起電圧のばらつきを低減して、塩素濃度の検知精度を向上させることができる。
【0036】
ここで、図5aは複数のセンサを塩素濃度が0%(浄水)、0.4ppm(水道水の残留塩素濃度)、0.9ppm、1.5ppmの液にそれぞれ浸けた時の起電圧について上述の校正処理を行った結果を示しており、例えば約220mVの起電圧を発生するときの塩素濃度のばらつきd3は0.83〜1.13ppmであり、従来の塩素計に比べて起電圧のばらつきが小さくなり、測定精度を向上させることができた。
【0037】
またCPU3は上記の方法で検知電圧の校正を行った後にシフト校正を行うようにしても良い。上記の校正動作が終了した後にヘッド10を所定濃度(例えば0.4ppm)の塩素を含む液に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この起電圧によって抵抗R0に電圧V1が発生し、この電圧V1が検知電圧として演算増幅器OP1の非反転入力端に入力されて、非反転増幅されCPU3の入力端子P6に入力される。このときCPU3は、入力端子P6の電圧レベル(つまり検知電圧)を所定濃度(0.4ppm)における基準電圧(例えば100mV)と略一致させるためのバイアス量を求めて、このバイアス値を記憶し、以後の測定モードでは高濃度側の領域において入力端子P6の電圧レベルに上記のバイアス値を加算又は減算することで、センサ電極1a,1bの起電圧をシフト校正すれば良く、起電圧のばらつきをさらに低減することができる。図5bは、図5aの測定結果に対してさらにシフト校正を行った結果を示し、例えば約220mVの起電圧を発生するときの塩素濃度のばらつきd4は0.9〜1.1ppmであり、±10%の誤差範囲に収まっているので、測定精度をさらに向上させることができた。
【0038】
ところで、上記の説明では液中に溶解される溶質として塩素を例に説明したが、溶質を塩素に限定する趣旨のものではなく、センサ電極1a,1bが感度を有している溶質であれば、どのような溶質でも良く、例えば溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、溶存水素の内の少なくとも1つが溶質として液中に溶解している場合でも溶質の濃度測定が可能である。
【0039】
図6は溶存オゾンの濃度(体積百分率)と起電圧(mV)との関係を示す図、図7は溶存酸素の濃度と起電圧との関係を示す図、図8は溶存二酸化炭素の濃度と起電圧との関係を示す図、図9は溶存水素の濃度と起電圧との関係を示す図であり、溶質である溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、或いは溶存水素の濃度と起電圧とが略比例関係にある。すなわちセンサ電極1a,1bが、液中の溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、或いは溶存水素に対して感度を有しているので、両電極1a,1bの起電圧から溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、溶存水素の濃度を検出することが可能であり、これらの測定対象についても上述と同様の校正処理を行うことで、起電圧のばらつきを小さくして、測定精度を向上させることができる。なお、溶存水素の場合には負の電圧が発生する。
(第2の実施形態)
図10に本発明の第2の実施形態に係る水質計を示す。尚、水質計の機械的な構造は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0040】
この水質計は、互いに異なる金属により構成され、検査対象の液に浸けたときに液中の不純物濃度に比例した検知電圧Vaを発生する一対のセンサ電極1a,1bからなるセンサ1と、検知電圧Vaの非線形性を改善するために一対のセンサ電極1a,1bの間に接続されたインピーダンス要素としての抵抗R12と、センサ電極1a,1bの検知電圧Vaにオフセット電圧Vbを重畳させるオフセット電圧印加部20と、オフセット電圧印加部20により重畳されるオフセット電圧Vbを複数の電圧値の中から択一的に選択する設定部20aと、オフセット電圧Vbが重畳された検知電圧(Va+Vb)を増幅する検知電圧増幅回路21と、CPU3と、EEPROM22と、LCD4とを備えている。
【0041】
検知電圧増幅回路21は演算増幅器OP1を用いた非反転増幅回路からなり、一対のセンサ電極1a,1bの内、プラス側のセンサ電極1aが演算増幅器OP1の非反転入力端子に接続されている。また演算増幅器OP1の出力端と反転入力端との間には、抵抗R1および応答調整用のコンデンサC1からなる並列回路を接続してあり、演算増幅器OP1の反転入力端と回路のグランドとの間には抵抗R2が接続されている。また演算増幅器OP1の反転入力端にはゲイン調整用の抵抗R13,R14の一端が接続されており、抵抗R13,R14の他端はCPU3の出力端子P12,P13にそれぞれ接続されている。また演算増幅器OP1の出力端はCPU3の入力端子P11に接続されている。
【0042】
ここで、CPU3の出力端子P12,P13はオープンコレクタ出力からなり、出力端子P12,P13をグランドに接続すると、抵抗R2と並列に抵抗R13,R14が接続される。演算増幅器OP1の利得は、反転入力端とグランドとの間に接続される抵抗R2,R13,R14と、反転入力端と出力端との間に接続された抵抗R1との抵抗比で決定されるので、CPU3が出力端子P12,P13を開放又は短絡することで、演算増幅器OP1の利得を4通りに切り替えることができる。
【0043】
またEEPROM22には、出力の校正時において、設定部20aにより設定されたオフセット電圧値Vbと、検知電圧増幅回路21のゲインとが記憶されている。なお本実施形態では記憶部としてEEPROMを用いているが、不揮発性のメモリであればどのようなメモリでも良く、またバックアップ電源を設けたRAMで構成しても良い。
【0044】
CPU3の入力端子P11には演算増幅器OP1により増幅された検知電圧Vcが入力されており、この入力電圧Vcを内蔵するA/D変換部でA/D変換して塩素濃度を求め、LCD4に塩素濃度の検出値を表示させている。
【0045】
またCPU3の入力端子P14には測定開始用スイッチSW1の操作信号が入力され、入力端子P15には校正開始用スイッチSW2の操作信号が入力される。スイッチSW1,SW2は、それぞれ、一端がグランドに接続されるとともに、他端が抵抗R10,R11を介して一定電圧にプルアップされている。而して、スイッチSW1,SW2をオン/オフすることで、入力端子P14,P15の電圧レベルがロー又はハイに反転してCPU3に操作信号が与えられ、CPU3が測定モード或いは校正モードで動作を開始する。
【0046】
次に本実施形態の水質計の動作について説明する。
【0047】
まず検査対象の液中(例えば水道水)の塩素濃度を測定する測定モードについて説明する。スイッチSW1の操作部8aをオン操作すると、CPU3の入力端子P14に操作信号が与えられ、CPU3が測定モードで動作する。そして、スイッチSW1の操作後にヘッド10aを検査対象の液中に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入する。この時、センサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬されて、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この場合はセンサ電極1aがプラス極となり、起電圧によって抵抗R12の両端間に電圧Vaが発生する。そして、オフセット電圧印加部20が電圧Vaにオフセット電圧Vbを重畳し、重畳後の電圧(Va+Vb)が演算増幅器OP1によって所定のゲインGで非反転増幅されて、増幅された電圧信号VcがCPU3の入力端子P11に入力される。このとき、CPU3では、入力端子P11に入力された電圧信号Vcを内蔵するA/D変換部でA/D変換し、電圧信号Vcから液中の塩素濃度を演算により求めており、塩素濃度の演算結果をLCD4に表示させる。
【0048】
図11〜図16は、それぞれ、抵抗R12の抵抗値を2kΩ、20kΩ、100kΩ、200kΩ、390kΩ、1MΩとした場合に、複数のセンサを塩素濃度が0%(浄水)、0.4ppm(水道水の残留塩素濃度)、0.9ppm、1.5ppmの液にそれぞれ浸けた時の起電圧を示しており、これらの測定結果より従来の水質計に比べて検知電圧の線形性を改善できたことが判る。なお、両センサ電極1a,1b間に接続した抵抗R12の抵抗値が小さすぎると、センサ電極1a,1b間に流れる電流が増加して、電極の寿命が短くなり、またセンサ電極1a,1b間に発生する起電圧が小さくなって、演算増幅器OP1に分解能の小さい高価な素子を使用しなければならないので、抵抗R12の抵抗値を1kΩ以上とするのが好ましい。また抵抗R12がない場合に比べれば線形性は改善されているが、抵抗R12の抵抗値を大きくするにつれて、検知電圧の線形性が悪化する傾向にあるので、抵抗R12の抵抗値は1MΩ以下とするのが好ましい。
【0049】
次に塩素濃度の検出値を校正する校正モードについて説明する。スイッチSW2の操作部8bをオン操作すると、CPU3の入力端子P15に操作信号が与えられ、CPU3がオフセット電圧Vbの校正モードで動作する。そして、スイッチSW2の操作後にヘッド10aを浄水(つまり不純物の濃度が0%の試液)中に浸けて、液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生し、この検知電圧をもとにCPU3が塩素濃度を演算により求めて、LCD4に表示させる。このときユーザは、LCD4の表示を見ながら設定部20aを操作し、LCD4の表示が0になるようにオフセット電圧Vbを調整しており、CPU3は、調整終了後にセンサ電極1a,1bを液中から上げた時に入力端子P11に入力される電圧Vcからオフセット電圧Vbを求めており、このオフセット電圧VbをEEPROM22に記憶させる。なお、図2では図示を省略しているが、ハウジング5の表面には設定部20aの操作釦が設けられている。
【0050】
オフセット電圧Vbの校正が終了すると、操作部8bを再度操作するなどしてゲインの校正モードに移行させる。このとき、ヘッド10aを所定の基準濃度(例えば1.5ppm)の塩素を含む液に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この場合はセンサ電極1aがプラス極となり、起電圧によって抵抗R12の両端間に電圧Vaが発生し、オフセット電圧印加部20によりオフセット電圧Vbが重畳され、重畳後の電圧信号(Va+Vb)が演算増幅器OP1によって非反転増幅され、CPU3の入力端子P11に入力される。CPU3は、入力端子P11に入力された電圧信号Vcを内蔵するA/D変換部でA/D変換し、この電圧信号Vcから塩素濃度を演算して、演算結果をLCD4に表示させており、CPU3は出力端子P12、P13を開放又は短絡することで演算増幅器OP1のゲインGを切り替え、塩素濃度の演算結果が試料の塩素濃度(例えば1.5ppm)に最も近くなるゲインに演算増幅器OP1のゲインGを設定する。そして、ゲインの校正作業が終了すると、CPU3は設定されたゲインGをEEPROM22に記憶させる。
【0051】
以上のようにして出力の校正が行われ、校正時に設定されたオフセット電圧VbおよびゲインGはEEPROM22に記憶されており、以後の測定ではCPU3がEEPROM22からオフセット電圧VbおよびゲインGを読み出し、オフセット電圧印加部20によるオフセット値および検知電圧増幅回路21のゲインをEEPROMに記憶された値にセットしているので、オフセット電圧VbやゲインGの設定が変更された場合にも容易に対応でき、回路の構成を簡単にできる。
【0052】
ところで、上記の説明では液中に溶解される溶質として塩素を例に説明したが、溶質を塩素に限定する趣旨のものではなく、センサ電極1a,1bが感度を有する全ての媒質に本発明を適用可能である。例えばセンサ電極1a,1bは、第1の実施形態で説明したように溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、及び溶存水素に対して感度を有しているので、溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、溶存水素の内の少なくとも1つが溶質として液中に溶解している場合でもセンサ電極1a,1bの起電圧から溶質の濃度を検出することが可能であり、これらの測定対象についても上述と同様に一対のセンサ電極1a,1b間に所定の抵抗値の抵抗R12を接続することで、検知電圧の線形性を改善でき、また上述と同様の校正処理を行うことも可能である。
【0053】
なお、上記のように、本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は、添付クレームにおいて限定した以外は、その特定の実施形態に制約されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象の液体の水質、特に水道水に含まれる残留塩素の濃度や、液中の溶存オゾン、溶存酸素、溶存水素、溶存二酸化炭素の測定用として好適に用いられる水質計に関する。
【背景技術】
【0002】
日本公開特許第2002−214220号公報は、水道水中の残留塩素濃度を測定するための水質計を開示している。この水質計は、異種の金属で形成された一対の電極を有し、これら一対の電極を検査対象の液に浸けて、電極間に発生する起電圧から液中の塩素濃度を検査する。一対の電極の内の一方は白金線、他方は銀線にて形成され、銀線からなる電極は液中に浸けられる部位に塩化銀被膜が形成されており、これら一対の電極でセンサを構成する。そして、このセンサを検査対象の液中、例えば水道水に浸けると、一対の電極間に液中の塩素濃度に応じた起電圧が発生する。
【0003】
ここで、一対の電極を検査対象の液中に漬けたときに電極間に発生する起電圧から液中の塩素濃度を求めるのであるが、個々のセンサ毎に起電圧のばらつきが大きいため、塩素濃度の検出精度が低かった。図18aは塩素濃度が0%(浄水)、0.4ppm(水道水の残留塩素濃度)、0.9ppm、1.5ppmの液に複数個のセンサを漬けた時の起電圧を示し、高濃度側では起電圧が飽和する傾向があり、センサ間で起電圧のばらつきが大きくなっていた。例えば325mVの起電圧を発生する塩素濃度は0.6ppm〜1.5ppmの間でばらついている(図18a中のd1)。
【0004】
このような起電圧のばらつきは、一方の電極表面の塩化銀皮膜に生じたクラックなどの影響で発生するものと考えられる。図17は一対の電極からなるセンサ1の等価回路図である。塩化銀皮膜に発生したクラックなどによって、起電圧を発生する電圧源Eと並列にインピーダンス要素Z2が接続されることになり、このインピーダンス要素Z2のインピーダンス値が個々のセンサでばらつくことで、起電圧にばらつきが発生するものと本発明者らは考えた。尚、図17中のZ1はセンサの内部インピーダンスである。
【0005】
このように電極間に発生する起電圧が個々のセンサでばらつくのであるが、起電圧のばらつきは高濃度側で顕著であり、起電圧の傾きは複数のセンサで略同じになっている。したがって、例えば0.4ppmの液中にセンサを浸けた時の起電圧が所定の基準電圧(例えば200mV)となるように、高濃度側の領域で各センサの起電圧に一定電圧を加算又は減算することで、各センサの起電圧を校正することが可能であるが、このような校正手法(以下、シフト校正と言う)では起電圧のばらつきを低減する効果が不十分であった。図18bはシフト校正を行った後の起電圧を示しているが、例えば325mVの起電圧を発生する塩素濃度は0.8ppm〜1.55ppmの間でばらついており(図18b中のd2)、さらなる検査精度の向上が望まれている。
【0006】
また、上述のように電極間に発生する起電圧は高濃度側で飽和する傾向があり、起電圧の線形性が悪化するために、検査対象の液体の水質を精度良く検出することができなかった。
【発明の開示】
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、検査対象の液体の水質を精度良く検出できる水質計を提供する。
【0008】
ところで、上述のような起電圧のばらつきは、一方の電極の塩化銀皮膜に生じたクラックなどの影響で、電圧源Eと並列に接続されるインピーダンス要素Z2が発生し、このインピーダンス要素Z2のインピーダンス値が個々のセンサでばらつくことによって発生するものと推測される。そこで本発明者らは、図4aに示すように一対のセンサ電極と並列に抵抗値が可変のインピーダンス要素Z3を接続し、所定濃度の塩素を含む液中に両センサ電極を浸けた時の出力電圧V1が所定濃度における基準電圧と一致するように、インピーダンス要素Z3のインピーダンス値を調整することで、起電圧のばらつきを低減できると考えた。
【0009】
すなわち、本発明にかかる水質計は以下の構成を備える。
【0010】
一対のセンサ電極、これらのセンサ電極は互いに異なる金属で形成され、水に浸して使用される、このセンサ電極はその両端間に水に含まれた不純物の濃度に比例する検知電圧を発生する;
検出手段、この検出手段は検知電圧の電圧値から溶質の濃度を検出して検出結果を出力する;
インピーダンス調整手段、このインピーダンス調整手段は、両センサ電極を基準濃度の液に漬けた状態で両センサ電極間に発生する検知電圧が上記の基準濃度に対応する基準電圧に一致するように両センサ電極の両端間の入力インピーダンスを調整する。
【0011】
従って、本発明の水質計は、インピーダンス調整手段によって、基準濃度の液に一対のセンサ電極を浸けた状態で、両センサ電極間に発生する検知電圧が基準電圧と略一致するように両センサ電極間の入力インピーダンスを調整しているので、両センサ電極間の出力インピーダンスのばらつきを補正して、両センサ電極間に発生する起電圧のばらつきを低減し、溶質の濃度の検知精度を向上させることができる。
【0012】
ここで、図4bに示すように一対の電極間に起電圧V1が発生した時にプラス側となる電極に抵抗R0の一端を接続するとともに、電極間に発生する起電圧V1が両端間に印加される可変抵抗VRの中間タップに抵抗R0の他端を接続したような回路を考えると、抵抗R0の他端には起電圧V1を所定の分圧比で分圧した電圧V2が印加されることになる。そして、可変抵抗VRの抵抗値を調整することで、抵抗R0の他端に印加される電圧V2が変化して、抵抗R0の両端間に印加される電圧が変化するので、電圧V2を調整することによって、電極間に接続されたインピーダンス要素Z3(抵抗R0および可変抵抗VRからなる)のインピーダンス値を調整することができると考えられる。
【0013】
而して、上記のインピーダンス調整手段が、両センサ電極の両端間に直列接続された抵抗および分圧器と、この分圧器の分圧比を制御する分圧比制御手段とを備え、分圧器が、両センサ電極間に発生する検知電圧を、分圧比制御手段によって設定された分圧比で分圧した分圧電圧を発生して、検知電圧と分圧電圧との差分電圧を上記の抵抗に印加させるとともに、分圧比制御手段が、検知電圧の校正モードを与え、この校正モードにおいて上記の基準濃度における検知電圧が上記の基準電圧と一致するように上記分圧比を設定することも好ましい。両センサ電極の両端間に分圧器を介して接続される抵抗には、検知電圧と分圧器の分圧電圧との差分の電圧が印加されるから、分圧比制御手段が、分圧器の分圧比を調整して抵抗に印加される電圧を調整することで、両センサ電極間の抵抗を含めた入力インピーダンスを調整することができる。
【0014】
また、上記の分圧器が、上記の検知電圧を分圧する第1及び第2の分圧抵抗と、調整抵抗およびスイッチ手段の直列回路とを備え、上記の直列回路が少なくとも何れか一方の分圧抵抗の両端間に接続され、上記の分圧比制御手段が上記スイッチ手段をオン/オフすることで分圧比を変化させることも好ましく、分圧器の分圧比を複数通りに切り替えることができる。
【0015】
また、本発明に係る他の水質計は以下の構成を備える。
【0016】
一対のセンサ電極、これらのセンサ電極は互いに異なる金属で形成され、水に浸して使用される、このセンサ電極はその両端間に、水に含まれた不純物の濃度に比例する検知電圧を発生する;
検出手段、この検出手段は検知電圧の電圧値から溶質の濃度を検出して検出結果を出力する;
インピーダンス要素、このインピーダンス要素は両センサ電極の間に接続され、そのインピーダンス値は検知電圧の非線形性を改善可能な抵抗値である。
【0017】
両センサ電極の間にインピーダンス要素を接続することによって、検知電圧の非線形性が改善されるぐらいまで、両センサ電極間の出力インピーダンスが低下するので、検出対象物の濃度の検知精度を向上させることができる。なお背景技術で説明した従来の水質計においても、一対のセンサ電極の間に抵抗器を接続しているが、この抵抗器は、センサ電極間の出力インピーダンスが高い場合にノイズがのりやすいという問題を改善するために、ノイズの低減を目的として接続されたものであり、その抵抗値は10MΩと高く、検知電圧の非線形性を改善する効果は得られなかった。
【0018】
ここで、検知電圧にオフセット電圧を重畳するオフセット電圧印加手段と、検知電圧にオフセット電圧を重畳して得た電圧を所定のゲインで増幅して検出手段に出力する増幅手段とを設け、上記検出手段は増幅手段からの入力電圧の電圧値をもとに溶質の濃度を検出しており、検知電圧の校正モードを与え、この校正モードにおいて、両センサ電極を基準濃度の液に漬けた状態で両センサ電極間に発生する検知電圧が上記の基準濃度に対応する基準電圧に一致するようにオフセット電圧およびゲインを設定する設定手段を備えることも好ましい。
【0019】
また、インピーダンス要素のインピーダンス値としては1kΩ以上且つ1MΩ以下とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水質計の回路図である。
【図2】同上の水質計の外観図である。
【図3a】同上の水質計のヘッド部を示す要部の断面図である。
【図3b】同上の水質計のヘッド部を示す要部の側面図である。
【図4a】同上の検知電圧の補正方法を説明する説明図である。
【図4b】同上の検知電圧の補正方法を説明する説明図である。
【図5a】同上の水質計の検知電圧を校正する前の出力特性図である。
【図5b】同上の水質計の検知電圧を校正した後の出力特性図である。
【図6】同上の溶存オゾンの濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図7】同上の溶存酸素の濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図8】同上の溶存二酸化炭素の濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図9】同上の溶存水素の濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る水質計の回路図である。
【図11】補正抵抗の抵抗値を2kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図12】補正抵抗の抵抗値を20kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図13】補正抵抗の抵抗値を100kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図14】補正抵抗の抵抗値を200kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図15】補正抵抗の抵抗値を390kΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図16】補正抵抗の抵抗値を1MΩとした場合の塩素濃度と起電圧との関係を示す図である。
【図17】従来のセンサの等価回路図である。
【図18a】従来の水質計の検知電圧をシフト校正する前の出力特性図である。
【図18b】従来の水質計の検知電圧をシフト校正した後の出力特性図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る水質計を示す。この水質計は、互いに異なる金属により形成され、検査対象の液に浸けられたときに液中の不純物濃度に比例した検知電圧を発生する一対のセンサ電極1a,1bからなるセンサ1と、検査対象の液中(例えば残留塩素を含む水)に一対のセンサ電極1a,1bを浸けた時にプラス側となるセンサ電極1aに一端が接続された抵抗R0と、検知電圧V1を所定の分圧比で分圧した電圧V2を抵抗R0の他端に印加する分圧器2と、CPU3とを備え、一対のセンサ電極1a,1bの内、プラス側のセンサ電極1aは演算増幅器OP1の非反転入力端に接続されている。
【0022】
演算増幅器OP1は非反転増幅器を構成し、出力端と反転入力端との間には抵抗R1、応答調整用のコンデンサC1からなる並列回路を接続してあり、この抵抗R1の抵抗値と、反転入力端とグランドとの間に接続した抵抗R2の抵抗値とで利得が設定されている。そして、演算増幅器OP1により増幅された検知電圧はCPU3の入力端子P6に入力される。
【0023】
また分圧器2は、演算増幅器OP1の反転入力端とグランドとの間に直列に接続された第1及び第2の分圧抵抗R3,R4と、第1及び第2の分圧抵抗R3,R4の接続点に非反転入力端が接続された演算増幅器OP2と、第1及び第2の分圧抵抗R3,R4の接続点とCPU3の接続端子P1〜P5との間にそれぞれ接続された複数(本実施形態では例えば5個)の調整抵抗R5〜R9と、CPU3に内蔵されて調整抵抗R5〜R9とグランドとの間にそれぞれ接続された5つのスイッチ手段34とで構成される。ここに、演算増幅器OP2はボルテージフォロアの非反転増幅器を構成し、非反転入力端の入力電圧と、出力電圧とが等しく、その出力電圧を抵抗R0の他端に印加している。
【0024】
CPU3の入力端子P6には演算増幅器OP1により増幅された検知電圧が入力されており、この検知電圧を内蔵するA/D変換部でA/D変換して塩素濃度を演算により求め、液晶ディスプレイ(以下LCDと言う)4に塩素濃度の検出値を表示させる。またCPU3の出力端子P1〜P5には調整抵抗R5〜R9の一端が接続されており、CPU3が内蔵するスイッチ手段34を個別に入切して、出力端子P1〜P5をグランドに接続するか、又は、ハイインピーダンス状態に切り替えることで、調整抵抗R5〜R9が選択的に第2の分圧抵抗R4に並列接続される。この時、第2の分圧抵抗R4と調整抵抗R5〜R9との合成インピーダンスが変化して、分圧器2の分圧比が変化するので、抵抗R0に印加される電圧V2の電圧値を変化させることができる。すなわち、CPU3の演算機能により、検査対象の液中に一対のセンサ電極1a,1bを浸けた時にセンサ電極1a,1b間に発生する起電圧から液中の塩素濃度を検出する検出手段31と、上記スイッチ手段34をオン/オフすることで分圧器2の分圧比を設定する分圧比設定手段33と、検知電圧の校正モードを与え、校正モードにおいて分圧器2の分圧比を決定し、分圧比設定手段33を用いてスイッチ手段34を選択的にオン/オフすることで分圧器2の分圧比を制御する校正手段32とが構成される。
【0025】
またCPU3の入力端子P7には測定開始用スイッチSW1の操作信号が入力され、入力端子P8には校正開始用スイッチSW2の操作信号が入力される。スイッチSW1,SW2は、それぞれ、一端がグランドに接続されるとともに、他端が抵抗R10,R11を介して一定電圧にプルアップされている。而して、スイッチSW1,SW2をオン/オフすることで入力端子P7,P8の電圧レベルがロー又はハイに反転してCPU3に操作信号が与えられ、CPU3が測定モード或いは校正モードで動作を開始する。
【0026】
図2は本実施形態の水質計の外観図であり、上述した図1に示す回路を樹脂成型品からなるハウジング5に内装してある。また、ハウジング5にケーブル6を介して接続されたセンサ本体7の先端部にはヘッド10が設けられ、このヘッド10に一対のセンサ電極1a,1bからなるセンサ1が設けられている。なおハウジング5の前面にはLCD4や、スイッチSW1,SW2の操作部8a,8bなどが配置されている。
【0027】
また、図3aはヘッド10の拡大断面図、図3bはヘッド10の拡大側面図であり、ヘッド10は細長い筒状に形成されており、その内部の中空部はセンサ本体7内に連通し、先端側が開口している。ヘッド10の先端部には、ヘッド10内の水密性を確保した状態で固定部材11が装着されており、この固定部材11には一対のセンサ電極1a,1bが固定されている。またヘッド10の中空部内には2本のリード線12a,12bが配設されており、各リード線12a,12bの後端部はケーブル6の心線に接続され、ケーブル6の心線を介してハウジング5内部に納装された図1の回路に接続されている。また、各リード線12a,12bの前端部は固定部材11の前側凹部13内に突出して、それぞれセンサ電極1a,1bに接続されており、前側凹部13内に充填された封止材14で固定されている。
【0028】
一対のセンサ電極1a,1bは、一方のセンサ電極1bが白金線、他方のセンサ電極1aが銀線にて形成されている。各センサ電極1a,1bの後端側は固定部材11の前側凹部13内において封止材14に埋設固定される埋設部として形成され、前端側は封止材14から前方に向けて突出する検知部として形成されている。銀線からなるセンサ電極1aには上述した検知部の表面のみに塩化銀被膜が形成され、埋設部の表面には塩化銀被膜は形成されておらず、このため、センサ電極1aとリード線12aとの接続部には塩化銀被膜は形成されることがないから、センサ電極1aとリード線12aとの電気的接続が塩化銀被膜によって阻害されることはない。
【0029】
更に、ヘッド10の先端には、固定部材11及びセンサ電極1a,1bの検知部を覆うようにキャップ体15が取り付けられ、これによりセンサ電極1a,1bの検知部が保護される。キャップ体15には、二つの平行並列なスリット状の開口部16が形成されており、この開口部16により、キャップ体15の内側と外側とが連通されている。この開口部16はキャップ体15の側面から前端面を通って反対側の側面に亘るように形成されている。またキャップ体15には各開口部16の両端部に、この開口部16と連通すると共にキャップ体15の内側と外側とを連通する連通孔17が形成されており、この連通孔17は各開口部16の幅よりも大径に形成されている。ここに、開口部16および連通孔17は、液中の塩素濃度を測定する際にキャップ体15の内側に水道水等の検査対象の液体を浸入させてセンサ電極1a,1bの検知部をこの液体に浸漬させたり、液中の塩素濃度を測定した後にキャップ体15の内側から液体を排出したりするためのものである。
【0030】
次に本実施形態の水質計の動作について説明する。
【0031】
まず検査対象の液中(例えば水道水)の塩素濃度を測定する測定モードについて説明する。スイッチSW1の操作部をオン操作すると、CPU3の入力端子P7に操作信号が与えられ、CPU3が測定モードで動作する。そして、スイッチSW1の操作後にヘッド10を検査対象の液中に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この場合はセンサ電極1aがプラス極となり、起電圧によって抵抗R0に電圧V1が発生し、この電圧V1が検知電圧として演算増幅器OP1の非反転入力端に入力されて、非反転増幅されCPU3の入力端子P6に入力される。CPU3(検出手段31)では、入力端子P6に入力された検知電圧を内蔵するA/D変換部でA/D変換して塩素濃度を演算により求め、LCD4に塩素濃度の検出値を表示させる。ここで、演算増幅器OP1の非反転入力端と反転入力端とは同電位になるので、電圧V1を抵抗R3と抵抗R4〜R9の合成抵抗とで分圧した電圧V2が抵抗R0の他端側に印加されており、一対のセンサ電極1a,1bの両端間に並列接続されたインピーダンス要素(抵抗R0を含む)のインピーダンス値が所望の値に調整される。
【0032】
次に検知電圧のばらつきを校正する校正モードについて説明する。スイッチSW2の操作部をオン操作すると、CPU3の入力端子P8に操作信号が与えられ、CPU3が校正モードで動作する。
【0033】
CPU3の動作モードを校正モードに切り替えた状態で、ヘッド10を基準濃度(例えば1.5ppm)の塩素を含む水に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この場合はセンサ電極1aがプラス極となり、起電圧によって抵抗R0に電圧V1が発生し、この電圧V1が演算増幅器OP1により非反転増幅されて、CPU3の入力端子P6に入力される。CPU3は、入力端子P6に入力された検知電圧を内蔵するA/D変換部でA/D変換して塩素濃度を演算により求める。そして、CPU3の校正手段32が、分圧比設定手段33を用いてスイッチ手段34をオン/オフし、抵抗R5〜R9を選択的に抵抗R4に並列接続することで、分圧器2の分圧比を調整する。このとき、抵抗R0の他端に印加する電圧V2が調整され、それによってセンサ電極間の入力インピーダンスが変化するので、校正手段32は、分圧器2の分圧比を、入力端子P6の電圧レベル(つまり検知電圧V1)が基準濃度に対応した基準電圧と略一致するような分圧比に決定する。ここにCPU3の演算機能により実現される校正手段32と分圧比設定手段33とで分圧比制御手段が構成され、この分圧比制御手段と、抵抗R0と、分圧器2とでインピーダンス調整手段が構成される。
【0034】
なおCPU3では、校正モードで動作を開始してから一定期間(例えば5秒経過時から30秒経過時までの間)、所定のサンプリング時間毎に検知電圧V1が基準電圧よりも高ければ抵抗R4〜R9の合成抵抗値(すなわちインピーダンス要素Z3の抵抗値)を下げて分圧器2の分圧比を小さくするとともに、検知電圧V1が基準電圧よりも低ければ抵抗R4〜R9の合成抵抗値を上げて分圧器2の分圧比を高くしており、一定期間の間で最も小さい抵抗R4〜R9の合成抵抗値を設定値として記憶し、以後の測定モードではその設定値で決まる分圧比で分圧した電圧を抵抗R0に印加する。
【0035】
このように分圧器2が、一対のセンサ電極1a,1b間に発生した起電圧を所定の分圧比で分圧して得た電圧を抵抗R0の他端側に印加しているので、基準濃度の塩素を含む液中に浸けたときの検知電圧をもとに、一対のセンサ電極1a,1bの両端間に接続された、抵抗R0を含む入力インピーダンスのインピーダンス値を擬似的に変化させることができ、一対のセンサ電極1a,1b間に発生する起電圧のばらつきを低減して、塩素濃度の検知精度を向上させることができる。
【0036】
ここで、図5aは複数のセンサを塩素濃度が0%(浄水)、0.4ppm(水道水の残留塩素濃度)、0.9ppm、1.5ppmの液にそれぞれ浸けた時の起電圧について上述の校正処理を行った結果を示しており、例えば約220mVの起電圧を発生するときの塩素濃度のばらつきd3は0.83〜1.13ppmであり、従来の塩素計に比べて起電圧のばらつきが小さくなり、測定精度を向上させることができた。
【0037】
またCPU3は上記の方法で検知電圧の校正を行った後にシフト校正を行うようにしても良い。上記の校正動作が終了した後にヘッド10を所定濃度(例えば0.4ppm)の塩素を含む液に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この起電圧によって抵抗R0に電圧V1が発生し、この電圧V1が検知電圧として演算増幅器OP1の非反転入力端に入力されて、非反転増幅されCPU3の入力端子P6に入力される。このときCPU3は、入力端子P6の電圧レベル(つまり検知電圧)を所定濃度(0.4ppm)における基準電圧(例えば100mV)と略一致させるためのバイアス量を求めて、このバイアス値を記憶し、以後の測定モードでは高濃度側の領域において入力端子P6の電圧レベルに上記のバイアス値を加算又は減算することで、センサ電極1a,1bの起電圧をシフト校正すれば良く、起電圧のばらつきをさらに低減することができる。図5bは、図5aの測定結果に対してさらにシフト校正を行った結果を示し、例えば約220mVの起電圧を発生するときの塩素濃度のばらつきd4は0.9〜1.1ppmであり、±10%の誤差範囲に収まっているので、測定精度をさらに向上させることができた。
【0038】
ところで、上記の説明では液中に溶解される溶質として塩素を例に説明したが、溶質を塩素に限定する趣旨のものではなく、センサ電極1a,1bが感度を有している溶質であれば、どのような溶質でも良く、例えば溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、溶存水素の内の少なくとも1つが溶質として液中に溶解している場合でも溶質の濃度測定が可能である。
【0039】
図6は溶存オゾンの濃度(体積百分率)と起電圧(mV)との関係を示す図、図7は溶存酸素の濃度と起電圧との関係を示す図、図8は溶存二酸化炭素の濃度と起電圧との関係を示す図、図9は溶存水素の濃度と起電圧との関係を示す図であり、溶質である溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、或いは溶存水素の濃度と起電圧とが略比例関係にある。すなわちセンサ電極1a,1bが、液中の溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、或いは溶存水素に対して感度を有しているので、両電極1a,1bの起電圧から溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、溶存水素の濃度を検出することが可能であり、これらの測定対象についても上述と同様の校正処理を行うことで、起電圧のばらつきを小さくして、測定精度を向上させることができる。なお、溶存水素の場合には負の電圧が発生する。
(第2の実施形態)
図10に本発明の第2の実施形態に係る水質計を示す。尚、水質計の機械的な構造は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0040】
この水質計は、互いに異なる金属により構成され、検査対象の液に浸けたときに液中の不純物濃度に比例した検知電圧Vaを発生する一対のセンサ電極1a,1bからなるセンサ1と、検知電圧Vaの非線形性を改善するために一対のセンサ電極1a,1bの間に接続されたインピーダンス要素としての抵抗R12と、センサ電極1a,1bの検知電圧Vaにオフセット電圧Vbを重畳させるオフセット電圧印加部20と、オフセット電圧印加部20により重畳されるオフセット電圧Vbを複数の電圧値の中から択一的に選択する設定部20aと、オフセット電圧Vbが重畳された検知電圧(Va+Vb)を増幅する検知電圧増幅回路21と、CPU3と、EEPROM22と、LCD4とを備えている。
【0041】
検知電圧増幅回路21は演算増幅器OP1を用いた非反転増幅回路からなり、一対のセンサ電極1a,1bの内、プラス側のセンサ電極1aが演算増幅器OP1の非反転入力端子に接続されている。また演算増幅器OP1の出力端と反転入力端との間には、抵抗R1および応答調整用のコンデンサC1からなる並列回路を接続してあり、演算増幅器OP1の反転入力端と回路のグランドとの間には抵抗R2が接続されている。また演算増幅器OP1の反転入力端にはゲイン調整用の抵抗R13,R14の一端が接続されており、抵抗R13,R14の他端はCPU3の出力端子P12,P13にそれぞれ接続されている。また演算増幅器OP1の出力端はCPU3の入力端子P11に接続されている。
【0042】
ここで、CPU3の出力端子P12,P13はオープンコレクタ出力からなり、出力端子P12,P13をグランドに接続すると、抵抗R2と並列に抵抗R13,R14が接続される。演算増幅器OP1の利得は、反転入力端とグランドとの間に接続される抵抗R2,R13,R14と、反転入力端と出力端との間に接続された抵抗R1との抵抗比で決定されるので、CPU3が出力端子P12,P13を開放又は短絡することで、演算増幅器OP1の利得を4通りに切り替えることができる。
【0043】
またEEPROM22には、出力の校正時において、設定部20aにより設定されたオフセット電圧値Vbと、検知電圧増幅回路21のゲインとが記憶されている。なお本実施形態では記憶部としてEEPROMを用いているが、不揮発性のメモリであればどのようなメモリでも良く、またバックアップ電源を設けたRAMで構成しても良い。
【0044】
CPU3の入力端子P11には演算増幅器OP1により増幅された検知電圧Vcが入力されており、この入力電圧Vcを内蔵するA/D変換部でA/D変換して塩素濃度を求め、LCD4に塩素濃度の検出値を表示させている。
【0045】
またCPU3の入力端子P14には測定開始用スイッチSW1の操作信号が入力され、入力端子P15には校正開始用スイッチSW2の操作信号が入力される。スイッチSW1,SW2は、それぞれ、一端がグランドに接続されるとともに、他端が抵抗R10,R11を介して一定電圧にプルアップされている。而して、スイッチSW1,SW2をオン/オフすることで、入力端子P14,P15の電圧レベルがロー又はハイに反転してCPU3に操作信号が与えられ、CPU3が測定モード或いは校正モードで動作を開始する。
【0046】
次に本実施形態の水質計の動作について説明する。
【0047】
まず検査対象の液中(例えば水道水)の塩素濃度を測定する測定モードについて説明する。スイッチSW1の操作部8aをオン操作すると、CPU3の入力端子P14に操作信号が与えられ、CPU3が測定モードで動作する。そして、スイッチSW1の操作後にヘッド10aを検査対象の液中に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入する。この時、センサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬されて、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この場合はセンサ電極1aがプラス極となり、起電圧によって抵抗R12の両端間に電圧Vaが発生する。そして、オフセット電圧印加部20が電圧Vaにオフセット電圧Vbを重畳し、重畳後の電圧(Va+Vb)が演算増幅器OP1によって所定のゲインGで非反転増幅されて、増幅された電圧信号VcがCPU3の入力端子P11に入力される。このとき、CPU3では、入力端子P11に入力された電圧信号Vcを内蔵するA/D変換部でA/D変換し、電圧信号Vcから液中の塩素濃度を演算により求めており、塩素濃度の演算結果をLCD4に表示させる。
【0048】
図11〜図16は、それぞれ、抵抗R12の抵抗値を2kΩ、20kΩ、100kΩ、200kΩ、390kΩ、1MΩとした場合に、複数のセンサを塩素濃度が0%(浄水)、0.4ppm(水道水の残留塩素濃度)、0.9ppm、1.5ppmの液にそれぞれ浸けた時の起電圧を示しており、これらの測定結果より従来の水質計に比べて検知電圧の線形性を改善できたことが判る。なお、両センサ電極1a,1b間に接続した抵抗R12の抵抗値が小さすぎると、センサ電極1a,1b間に流れる電流が増加して、電極の寿命が短くなり、またセンサ電極1a,1b間に発生する起電圧が小さくなって、演算増幅器OP1に分解能の小さい高価な素子を使用しなければならないので、抵抗R12の抵抗値を1kΩ以上とするのが好ましい。また抵抗R12がない場合に比べれば線形性は改善されているが、抵抗R12の抵抗値を大きくするにつれて、検知電圧の線形性が悪化する傾向にあるので、抵抗R12の抵抗値は1MΩ以下とするのが好ましい。
【0049】
次に塩素濃度の検出値を校正する校正モードについて説明する。スイッチSW2の操作部8bをオン操作すると、CPU3の入力端子P15に操作信号が与えられ、CPU3がオフセット電圧Vbの校正モードで動作する。そして、スイッチSW2の操作後にヘッド10aを浄水(つまり不純物の濃度が0%の試液)中に浸けて、液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生し、この検知電圧をもとにCPU3が塩素濃度を演算により求めて、LCD4に表示させる。このときユーザは、LCD4の表示を見ながら設定部20aを操作し、LCD4の表示が0になるようにオフセット電圧Vbを調整しており、CPU3は、調整終了後にセンサ電極1a,1bを液中から上げた時に入力端子P11に入力される電圧Vcからオフセット電圧Vbを求めており、このオフセット電圧VbをEEPROM22に記憶させる。なお、図2では図示を省略しているが、ハウジング5の表面には設定部20aの操作釦が設けられている。
【0050】
オフセット電圧Vbの校正が終了すると、操作部8bを再度操作するなどしてゲインの校正モードに移行させる。このとき、ヘッド10aを所定の基準濃度(例えば1.5ppm)の塩素を含む液に浸けて、検査対象の液をかき混ぜると、液中に浸けられたキャップ体15の内側に液体が浸入してセンサ電極1a,1bの検知部が液体に浸漬され、センサ電極1a,1b間に塩素濃度に応じた起電圧が発生する。この場合はセンサ電極1aがプラス極となり、起電圧によって抵抗R12の両端間に電圧Vaが発生し、オフセット電圧印加部20によりオフセット電圧Vbが重畳され、重畳後の電圧信号(Va+Vb)が演算増幅器OP1によって非反転増幅され、CPU3の入力端子P11に入力される。CPU3は、入力端子P11に入力された電圧信号Vcを内蔵するA/D変換部でA/D変換し、この電圧信号Vcから塩素濃度を演算して、演算結果をLCD4に表示させており、CPU3は出力端子P12、P13を開放又は短絡することで演算増幅器OP1のゲインGを切り替え、塩素濃度の演算結果が試料の塩素濃度(例えば1.5ppm)に最も近くなるゲインに演算増幅器OP1のゲインGを設定する。そして、ゲインの校正作業が終了すると、CPU3は設定されたゲインGをEEPROM22に記憶させる。
【0051】
以上のようにして出力の校正が行われ、校正時に設定されたオフセット電圧VbおよびゲインGはEEPROM22に記憶されており、以後の測定ではCPU3がEEPROM22からオフセット電圧VbおよびゲインGを読み出し、オフセット電圧印加部20によるオフセット値および検知電圧増幅回路21のゲインをEEPROMに記憶された値にセットしているので、オフセット電圧VbやゲインGの設定が変更された場合にも容易に対応でき、回路の構成を簡単にできる。
【0052】
ところで、上記の説明では液中に溶解される溶質として塩素を例に説明したが、溶質を塩素に限定する趣旨のものではなく、センサ電極1a,1bが感度を有する全ての媒質に本発明を適用可能である。例えばセンサ電極1a,1bは、第1の実施形態で説明したように溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、及び溶存水素に対して感度を有しているので、溶存オゾン、溶存酸素、溶存二酸化炭素、溶存水素の内の少なくとも1つが溶質として液中に溶解している場合でもセンサ電極1a,1bの起電圧から溶質の濃度を検出することが可能であり、これらの測定対象についても上述と同様に一対のセンサ電極1a,1b間に所定の抵抗値の抵抗R12を接続することで、検知電圧の線形性を改善でき、また上述と同様の校正処理を行うことも可能である。
【0053】
なお、上記のように、本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は、添付クレームにおいて限定した以外は、その特定の実施形態に制約されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成を備える水質計
一対のセンサ電極、これらのセンサ電極は互いに異なる金属で形成され、水に浸して使用される、このセンサ電極はその両端間に水に含まれた不純物の濃度に比例する検知電圧を発生する;
検出手段、この検出手段は検知電圧の電圧値から溶質の濃度を検出して検出結果を出力する;
インピーダンス調整手段、このインピーダンス調整手段は、両センサ電極を基準濃度の液に漬けた状態で両センサ電極間に発生する検知電圧が上記の基準濃度に対応する基準電圧に一致するように両センサ電極の両端間の入力インピーダンスを調整する。
【請求項2】
請求項1に記載の水質計において、上記のインピーダンス調整手段は、両センサ電極の両端間に直列接続された抵抗および分圧器と、この分圧器の分圧比を制御する分圧比制御手段とを備える;
分圧器は、両センサ電極間に発生する検知電圧を、分圧比制御手段によって設定された分圧比で分圧した分圧電圧を発生して、検知電圧と分圧電圧との差分電圧を上記の抵抗に印加させる;
分圧比制御手段は、検知電圧の校正モードを与え、この校正モードにおいて上記の基準濃度における検知電圧が上記の基準電圧と一致するように上記分圧比を設定する。
【請求項3】
請求項2に記載の水質計において、上記の分圧器は、上記の検知電圧を分圧する第1及び第2の分圧抵抗と、調整抵抗およびスイッチ手段の直列回路とを備える;
上記の直列回路は少なくとも何れか一方の分圧抵抗の両端間に接続される;
上記の分圧比制御手段は上記スイッチ手段をオン/オフすることで分圧比を変化させる。
【請求項4】
以下の構成を備える水質計
一対のセンサ電極、これらのセンサ電極は互いに異なる金属で形成され、水に浸して使用される、このセンサ電極はその両端間に、水に含まれた不純物の濃度に比例する検知電圧を発生する;
検出手段、この検出手段は検知電圧の電圧値から溶質の濃度を検出して検出結果を出力する;
インピーダンス要素、このインピーダンス要素は両センサ電極の間に接続され、そのインピーダンス値は検知電圧の非線形性を改善可能な抵抗値である。
【請求項5】
請求項4に記載の水質計において、検知電圧にオフセット電圧を重畳するオフセット電圧印加手段と、検知電圧にオフセット電圧を重畳して得た電圧を所定のゲインで増幅して検出手段に出力する増幅手段とを設け、上記検出手段は増幅手段からの入力電圧の電圧値をもとに溶質の濃度を検出しており、検知電圧の校正モードを与え、この校正モードにおいて、両センサ電極を基準濃度の液に漬けた状態で両センサ電極間に発生する検知電圧が上記の基準濃度に対応する基準電圧に一致するようにオフセット電圧およびゲインを設定する設定手段を備える。
【請求項6】
請求項4または請求項5の何れかに記載の水質計において、インピーダンス要素のインピーダンス値が1kΩ以上且つ1MΩ以下である。
【請求項1】
以下の構成を備える水質計
一対のセンサ電極、これらのセンサ電極は互いに異なる金属で形成され、水に浸して使用される、このセンサ電極はその両端間に水に含まれた不純物の濃度に比例する検知電圧を発生する;
検出手段、この検出手段は検知電圧の電圧値から溶質の濃度を検出して検出結果を出力する;
インピーダンス調整手段、このインピーダンス調整手段は、両センサ電極を基準濃度の液に漬けた状態で両センサ電極間に発生する検知電圧が上記の基準濃度に対応する基準電圧に一致するように両センサ電極の両端間の入力インピーダンスを調整する。
【請求項2】
請求項1に記載の水質計において、上記のインピーダンス調整手段は、両センサ電極の両端間に直列接続された抵抗および分圧器と、この分圧器の分圧比を制御する分圧比制御手段とを備える;
分圧器は、両センサ電極間に発生する検知電圧を、分圧比制御手段によって設定された分圧比で分圧した分圧電圧を発生して、検知電圧と分圧電圧との差分電圧を上記の抵抗に印加させる;
分圧比制御手段は、検知電圧の校正モードを与え、この校正モードにおいて上記の基準濃度における検知電圧が上記の基準電圧と一致するように上記分圧比を設定する。
【請求項3】
請求項2に記載の水質計において、上記の分圧器は、上記の検知電圧を分圧する第1及び第2の分圧抵抗と、調整抵抗およびスイッチ手段の直列回路とを備える;
上記の直列回路は少なくとも何れか一方の分圧抵抗の両端間に接続される;
上記の分圧比制御手段は上記スイッチ手段をオン/オフすることで分圧比を変化させる。
【請求項4】
以下の構成を備える水質計
一対のセンサ電極、これらのセンサ電極は互いに異なる金属で形成され、水に浸して使用される、このセンサ電極はその両端間に、水に含まれた不純物の濃度に比例する検知電圧を発生する;
検出手段、この検出手段は検知電圧の電圧値から溶質の濃度を検出して検出結果を出力する;
インピーダンス要素、このインピーダンス要素は両センサ電極の間に接続され、そのインピーダンス値は検知電圧の非線形性を改善可能な抵抗値である。
【請求項5】
請求項4に記載の水質計において、検知電圧にオフセット電圧を重畳するオフセット電圧印加手段と、検知電圧にオフセット電圧を重畳して得た電圧を所定のゲインで増幅して検出手段に出力する増幅手段とを設け、上記検出手段は増幅手段からの入力電圧の電圧値をもとに溶質の濃度を検出しており、検知電圧の校正モードを与え、この校正モードにおいて、両センサ電極を基準濃度の液に漬けた状態で両センサ電極間に発生する検知電圧が上記の基準濃度に対応する基準電圧に一致するようにオフセット電圧およびゲインを設定する設定手段を備える。
【請求項6】
請求項4または請求項5の何れかに記載の水質計において、インピーダンス要素のインピーダンス値が1kΩ以上且つ1MΩ以下である。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【国際公開番号】WO2005/047880
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515430(P2005−515430)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016638
【国際出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【出願人】(593210961)エフアイエス株式会社 (39)
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/016638
【国際出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【出願人】(593210961)エフアイエス株式会社 (39)
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