説明

水道用メータホルダー

【課題】水道用メータを地面に埋設する形態でセットする場合、スペースの確保が困難になってきており、新しい設置スペースの開拓が必要となってきている一方、メータの指針表示面が設置スペースに対して固定的であるため、設置スペースが環境条件によって限定され、検針作業にも影響してくる問題があった。
【解決手段】両ホルダーのメータ支持部にメータ支持ピースを回動可能に嵌着し、メータ支持ピースに、ホルダー端部に設定されたローラキャッチ6に嵌合するキーパーを付設した操作ハンドル5を設定して、ハンドル操作により挟着支持した水道用メータを任意の角度に回動操作できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メータの両端を着脱可能に支持して配管部に連結する水道用メータホルダーに関し、特に、戸建て住宅などスペースが限定される場合に、壁や塀などの垂直面や狭隘な部位に設置してメータを検針し易くセットできるようにした水道用メータホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水道用メータは地面に埋設する形態でセットされ、蓋を開けて上から覗き込む形で検針作業が行われてきたが、各戸への引込み配管にメータを連結する手間を省くため、あらかじめ水道配管と連結して設置する水道用メータホルダーが用いられてきている。
【0003】
メータホルダーへの水道用メータの支持は、対向する一方のホルダーを締付けホルダー、他方を受けホルダーとして締付けホルダーのスライダーを受けホルダーに向けて推進させ、メータ端面を受けホルダーの受け面に押し付け圧着させて対峙ホルダー間にメータを挟着支持することが行われてきた。
【0004】
また、締付けホルダーと受けホルダーは、水道用メータを支持する基盤としてホルダーベースと一体的に固定されるホルダーポートによって固定され、メータ嵌入スペースとしての面間距離は締付けホルダーのスライダー進退距離に限定されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
上記のような、メータホルダーの固定的な構造に対して例えば特許文献1に記載のように、メータの両端にホルダーベースとは別体に構成され、逆止弁ユニット等、水道配管との接続調整機構を内蔵してホルダーに着接する一対のアタッチメントを装着するように構成してホルダーベース全体の構成に流動的な対応可能性を与えることも提案されてきている。
【0006】
更に、ホルダーベースの2次側には、配管部からメータへの逆流を防止するためカートリッジ式の逆止弁ユニットが設定されるが、ユニットの設定は、例えば特許文献2に記載のように、収容スペース内にユニットを収容し、座金を嵌めてメータピースで押さえ、ガスケットを嵌着してメータの着合端を着合する等、固定的な手段が講じられてきている。
【0007】
なお、メータホルダーベース介装用ではないが、逆止弁座と弁体をユニットとしてカートリッジ式にしたものとして、例えば特許文献3に記載のような逆止弁が存在する。
【特許文献1】特開2003−83778号公報
【特許文献2】特開2003−279397号公報
【特許文献3】特開平11−94104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近時、都市部などでは水道用メータを地面に埋設する形態でセットするスペースの確保が困難になってきており、新しいメータ設置スペースの開拓が必要となってきている一方、メータの指針表示面が設置スペースに対して固定的であるため、設置スペースが環境条件によって限定され、検針作業にも影響してくる問題があった。
【0009】
また、設置スペースの環境条件を地面に限定した場合、地面に専用スペースを確保する必要があるほか、凹陥する設置スペース内には泥水やゴミが浸入するので、設置スペース内の清掃を怠るとメータセット内に泥水やゴミが浸入する恐れがあり、故障に繋がる問題もあった。
【0010】
更に、地面への埋設形態の場合には給水管との連結も側方に限定されざるを得ないため、メータホルダー本体を設定する、例えば、縦、横、斜めと言った向き、或いは天井に天地を反転して設定する場合の部位に制約が加えられ、給水管に対して水平を保たなければならないと言った問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記した課題に対応しようとするものであり、締着ホルダーと受けホルダーのメータ支持部にメータ支持ピースを回動可能に嵌着すると共に、ホルダーのメータ支持ピースに、垂直方向に把手を設け、ホルダー端部に設定されたローラキャッチに嵌合するキーパーを付設した操作ハンドルを設定して、ハンドル操作により挟着支持した水道用メータを任意の角度に回動操作できるようにして、メータの指針表示面を自由に回動して検針作業員の目線に合わせることができるようにした。
【0012】
また、対向するメータ支持ピースの対向下端部を連結体によって連結固定するようにしメータ支持ピースによるメータ支持力を安定させると共に、メータ支持ピースの回動端縁が当接するストッパー突起を設定してハンドル可動角を固定して設置スペースの環境条件に対応した安定力を与えるようにした。
【0013】
更に、メータホルダー本体両側の配水管連結部に、それぞれ、回動可能なエルボ型継手体を設定するようにし、設置スペースに配管された給水管の位置に対応してメータホルダー本体の配水管連結部を回動移行させて、自由な連結を可能として設置スペースの選定範囲を拡大した。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のようにメータの指針表示面の回動を可能にすることによって検針作業員の目線に合わせた検針作業が行えると共に、メータホルダー設置スペースの配置場所の選定範囲を広げ、設置スペースの環境に合わせてメータの指針表示面の向きを変えることができるので、住宅の壁や塀などの垂直面、或いは傾斜面にもホルダーを設定することができ、設置スペースの節約と確保に貢献できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例を示すもので、水道用メータを着装した状態における要部を切欠断面とした水道用メータホルダーの全体正面図
【図2】同じく、メータホルダー本体両側のエルボ型継手を外し、要部を切欠或いは透視面とした水道用メータホルダーの全体平面図
【図3】同じく、2次側メータ支持ピースに付設した操作ハンドルとローラーキャッチの関係を示す図1のXーXラインによる断面図
【図4】同じく、メータを回動させて指針表示面を可動角一杯に傾斜させた状態における、メータ支持ピースに付設した操作ハンドルとローラーキャッチ及びストッパー突起の関係を示す図1のXーX断面図
【図5】同じく、2次側メータ支持ピースに操作ハンドルを固定するローラーキャッチを付設するのに代えて可動角の上限位置と下限位置にストッパー突起を設定した実施例を示す図1のXーXラインによる断面図
【図6】同じく、メータ支持ピース連結体の1例を示す台盤状連結体の斜視図
【図7】同じく、メータ支持ピース連結体の1例を示す棒状連結杆の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明すると、1はホルダーベースの本体で、両側に対峙する1次側の締付けホルダー1aと2次側の受けホルダー1bの一対から成り、メータ支持ピース2a、2bがそれぞれ回動可能に嵌着されている。
【0017】
1次側ホルダー1aは、内側端面にメータAの端部に着合する嵌着部21が設けられたメータ支持ピース2aを回動可能に嵌着すると共に、同嵌着部21をメータAの端部着合端に対して圧接させるために前進後退の作動をする締着筒4が嵌装され、締着筒4の前進により1次側ホルダー1aが締付けホルダー、2次側ホルダー1bが受けホルダー、として水道メータAの両端に圧着してメータAをベース本体1の中軸レベルに支持し、その1次側背後に止水栓ユニット14が嵌装され外側端部に設けられた配管連結構造部11に設定されたエルボ型継手13を介して給水支管P1と連結するようになっている。
【0018】
締着筒4には回動ハンドル41が設けられ、締着筒4を回動することによりホルダー1a内径の雌螺子12と螺合する締着筒4の後端部外表に刻設された雄螺子42が締着筒4を螺進退させ、メータ支持ピース2aを介して水道メータAの両端を圧着或いは解離できるようになっている。
【0019】
2次側ホルダー1bは1次側ホルダー1aと同じくメータAの端部に着合する嵌着部21が設けられたメータ支持ピース2bを回動可能に嵌着し、メータ支持ピース2bの内側端面にはメータAの端部に着合する嵌着部21が設けられると共に、その背後に逆止弁ユニット3が嵌装され、外側端部には配管連結構造部11が設けられ、エルボ型継手13を介して給水支管P2と連結する。
【0020】
逆止弁ユニット3は2次側ホルダー1bに設定された嵌入スペース31に着脱可能に嵌合され、嵌入スペース31の上部開口部32のキャップ33を外せば、容易に着脱交換できるようになっている。
【0021】
メータ支持ピース2bには、ホルダー1bに設定されたローラキャッチ6に嵌合するキーパー61を付設した操作ハンドル5が設定され、ハンドル5を手前にひけば、挟着支持した水道用メータAを任意の角度に回動操作できるようになっている。また、キーパー61はハンドル座板51の側部垂直面に付設され、ハンドル5が垂直状態にある位置においてローラキャッチ6の挟着爪62、62の間に挿入嵌合されハンドル位置の安定が保たれる。
【0022】
2次側ホルダー1bの下端部には、2次側メータ支持ピース2bに取り付けられたハンドル座板51の締着ビス52の頭部が回動端縁として当接するストッパー突起53が設定され、これによりハンドル5の回動範囲と可動角が固定され、ハンドル操作の安定が得られる。なお、他の実施例として操作ハンドルの固定にローラーキャッチを付設するのに代えて可動角の上限位置にもストッパー突起54を設定し、下限位置のストッパー突起53とによってハンドル5の回動範囲と可動角が固定することもできる。
【0023】
以上は2次側ホルダーに操作ハンドル5を設定した場合の実施例についてのものでバランス的に安定した形態であるが、水道メータの設置環境によっては1次側ホルダーに操作ハンドル5を設定することも可能であり、或いは1次側、2次側の双方に設定することもできる。
更に、メータ支持ピース2aと2bは、ホルダー1aと1bにそれぞれ回動可能に嵌着されているので、水道用メータAに対する締着筒4の前進による締着圧のみでは水道用メータAの支持力や回動操作が不安定となるため、メータ支持ピース2aと2bの対向下端部を連結体7によって連結固定するようにする。
【0024】
連結体7は台盤状の本体の1次側に、メータ支持ピース2aの下端部に植設されたピン22を摺動可能に嵌入する溝73を備えた嵌着部71、2次側にメータ支持ピース2bの下端部に着接するビス孔を備えた着接部72を形成して成り、メータ支持ピース2aと2bを1次側において面間距離の調整が可能なように連結し、締着筒4を前進させて水道メータAをホルダー1aと1b間に圧締固定するものである。
【0025】
この時、連結体7の嵌着部71の摺動溝73に嵌入されたピン22は締着筒4の前進と共に溝内を前進してホルダー間の面間距離を縮め圧着距離に同調する。連結体7は本体を必ずしも上記のような台盤状に構成する必要はなく、棒状の連結杆に構成すれば重量面でも材料コスト面でも有利である。
【0026】
以上のように構成したホルダーベース1は、先ず、止水栓14を閉栓して設置スペースに配管された給水支管P1、P2の配管位置に対応してエルボ型継手13を回動して継手口を合わせ、1次側、2次側それぞれのエルボ型継手13と給水支管P1、P2を連結接合する。
【0027】
次いで、回動ハンドル41を回動して締着筒4を後退状態とし、ホルダー1aと1bの間にメータ支持ピース2aと2bを介してメータAを嵌装して、回動ハンドル41の回動操作により締着筒4を前進させれば、水道メータAがホルダー1aと1bの間に締着固定され、メータ支持ピース2aと2bの回動操作によって水道メータAも一体に回動する。
【0028】
水道メータAがホルダー1aと1bの間に締着固定されれば、1次側の止水栓14を開栓すれば水流はホルダー1aの流路からメータAを通過してホルダー1bの流路に流通して流量等の計測が行われるものである。
【0029】
本発明は以上のように構成したので、メータの指針表示面を回動させて検針作業員の目線に合わせた検針作業が行えると共に、設置スペースの環境に合わせてメータの指針表示面の向きを変えることができるので、メータホルダー設置スペースの配置場所の選定範囲を広げ、住宅の壁や塀などの垂直面、或いは傾斜面にもホルダーを設定することができ、設置スペースの節約と確保に貢献できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る水道用メータホルダーは、設置スペースの環境に合わせてメータの指針表示面の向きを変えることができ、メータホルダー設置スペースの配置場所の選定範囲が広げられて、住宅の壁や塀などの垂直面、或いは傾斜面にもホルダーを設定することが可能となるので、水道施設産業上に高度の利用価値を有するものである。
【符号の説明】
【0031】
1 ホルダーベース本体
1a 1次側ホルダー
1b 2次側ホルダー
11 配管連結構造部
12 1次側ホルダー内径の雌螺子
13 エルボ型継手
14 止水栓ユニット
21 水道メータ端部着合嵌着部
2a 1次側メータ支持ピース
2b 2次側メータ支持ピース
22 メータ支持ピースの連結体嵌着植設ピン
3 逆止弁ユニット
31 逆止弁ユニット嵌入スペース
32 嵌入スペースの上部開口部
33 上部開口部のキャップ
4 締着筒
41 締着筒の回動ハンドル
42 締着筒の後端部外表に刻設された雄螺子
5 操作ハンドル
51 ハンドル座板
52 ハンドル座板の締着ビス
53 操作ハンドルのストッパー突起
54 操作ハンドルのストッパー突起
6 ローラキャッチ
61 嵌合キーパー
62 ローラキャッチの挟着爪
7 メータ支持ピース連結体
71 連結体の支持ピース嵌着部
72 連結体の支持ピース着接部
73 連結体嵌着部の摺動溝
A 水道用メータ
P1 1次側給水支管
P2 2次側給水支管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する締着ホルダーと受けホルダーの間に水道メータの両側端面を挟着支持する水道用メータホルダーにおいて、両ホルダーのメータ支持部にメータ支持ピースを回動可能に嵌着すると共に、何れか一方、或いは双方のホルダーのメータ支持ピースに操作ハンドルを設定して、メータ支持ピース間に挟着支持した水道用メータをハンドル操作により任意の角度に回動操作できるようにしたことを特徴とする水道用メータホルダー
【請求項2】
メータ支持ピースに設定した操作ハンドルにキーパーを付設すると共に、ホルダーの端部にローラキャッチを設定して前記操作ハンドルに付設したキーパーが所定の回動位置において前記ローラキャッチに嵌合するようにした請求項1記載の水道用メータホルダー
【請求項3】
ホルダーの胴部に、操作ハンドルを設定したメータ支持ピースの回動端縁が当接するストッパー突起を設定するようにした請求項1又は請求項2記載の水道用メータホルダー
【請求項4】
対向するメータ支持ピースの対向下端部を連結体によって連結固定するようにした請求項1又は請求項2又は請求項3記載の水道用メータホルダー
【請求項5】
メータホルダー本体両側の配水管連結部に、それぞれ、回動可能なエルボ型継手体を設定するようにした請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の水道用メータホルダー

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−196971(P2011−196971A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67274(P2010−67274)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000201593)前澤給装工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】