説明

水道蛇口監視システム

【課題】水道の蛇口の閉め忘れの放置を適切に防止できる水道蛇口監視システムを提供する。
【解決手段】蛇口12の蛇口流路13を開閉し得る電磁弁23を有する止水装置2と、その止水装置2を制御する制御装置3とを備えている。制御装置3は、蛇口12が設置された台所から人が退室しその退室状態で設定時間が経過し、且つ、その設定時間が経過した際に、蛇口12に水道水が流れていることを検出した場合に、止水装置2の電磁弁23を、蛇口流路13が閉鎖するように作動させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道の蛇口の状況を監視する水道蛇口監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば人検知装置によって人の行動状態を検知してそのときに使用するエネルギー使用を検知して適切な範囲かどうかを判定して省エネルギーのための警告をおこなう省エネルギーシステムが提案されている(特許文献1参照)。より詳しくは、この省エネルギーシステムは、例えば、便所の水洗蛇口に検知装置を設け水洗状況を検知するとともに、便座への着座の有無と便量と水洗量に関しての標準使用状況を基準値として記憶しておく。そして、判定装置によって、少量の便で多量の水洗を使用したり、便座への着座が無い状態で水洗が使用された場合、基準値を逸脱したと判定し、警告を行いうるようにしたものである。
【特許文献1】特開平9−120491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、例えば水道の蛇口を閉め忘れた場合にまで、警告を行うというものではない。
【0004】
本発明は、水道の蛇口の閉め忘れの放置を適切に防止できる水道蛇口監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、家屋に設けられた水道の蛇口の閉め忘れの放置を防止するための放置防止装置と、その放置防止装置を制御する制御装置とを備えた蛇口監視システムであって、前記制御装置は、前記家屋における蛇口が設置された部屋から人が退室してその退室状態で予め設定した設定時間が経過し、且つ、その設定時間が経過した際に、前記蛇口に水道水が流れていることを検出した場合に、蛇口を閉め忘れたとの判定をし、前記判定をした場合に、前記放置防止装置を作動させるよう制御することを特徴とする水道蛇口監視システムである。
【0006】
請求項2のように、前記放置防止装置は、前記蛇口又はその蛇口に連結された水道配管における蛇口近傍に、それらに形成された流路を開閉し得るように設けられた流路開閉弁を有する止水装置を備え、前記制御装置は、前記判定をした場合に、止水装置の流路開閉弁を、前記流路が閉鎖するように作動させるよう制御することが好ましい。
【0007】
請求項3のように、前記放置防止装置は、蛇口の閉め忘れを人に知らせる報知装置を備え、前記制御装置は、前記判定をした場合に、報知装置を作動させるよう制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1によれば、制御装置は、蛇口を閉め忘れたとの判定をし、その場合に、放置防止装置を作動させるよう制御する。こうすることにより、蛇口の閉め忘れの放置を防止でき、水道水の無駄な使用を抑えることができる。
【0009】
又、その蛇口の閉め忘れの判定を、家屋における蛇口が設置された部屋から人が退室しその退室状態で予め設定した設定時間が経過し、且つ、その設定時間が経過した際に、前記蛇口に水道水が流れていることを検出した場合に行う。これにより、例えば一度に水道水を多量に、或いは長時間にわたって流したような場合に、蛇口の閉め忘れでないにもかかわらず蛇口を閉め忘れたとの判定をしてしまうようなことを防止できる。従って、蛇口の閉め忘れを、正確且つ確実に検出でき、効率の良いものにできる。
【0010】
又、例えば蛇口を設けた部屋としての台所から、水道水を使用している途中に何らかの理由で退室し短時間で戻ってくる場合には、蛇口を閉め忘れたとの判定を行うことのないものにできる。従って、蛇口の閉め忘れの放置を適切に検出でき、使用に際して便利なものにできる。
【0011】
請求項2によれば、放置防止装置は、蛇口又はその蛇口に連結された配管における蛇口近傍に、それらに形成された流路を開閉し得るように設けられた流路開閉弁を有する止水装置を備えたものとする。そして、制御装置は、上記判定をした場合に、止水装置の流路開閉弁を、流路が閉鎖するように作動させるよう制御するため、蛇口を閉め忘れた場合には、水道水を確実に止めることができる。
【0012】
請求項3によれば、放置防止装置は、蛇口の閉め忘れを人に知らせる報知装置を備えたものとする。そして、制御装置は、上記判定をした場合に、報知装置を作動させるよう制御するため、蛇口を閉め忘れていることを家人に知らせることができる。従って、家人は、その報知によって、蛇口を閉め忘れた場合には、蛇口を閉めることができ、蛇口の閉め忘れを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態 の水道蛇口監視システムを施した家屋の部屋としての台所の要部の概略説明図、図2は、そのシステムに用いられる止水装置を説明するためのブロック図、図3は、そのシステムに用いられる制御装置を説明するためのブロック図である。
【0014】
第1実施形態の水道蛇口監視システムは、図1に示すように、家屋における部屋としての台所10に設置されており、止水装置2と、その止水装置2の作動を制御する制御装置3とを備えている。
【0015】
この台所10には、流し台11が設けられている。又、その流し台11には、蛇口12が設けられている。この蛇口12は、内部に水道水を流す蛇口流路13を備えている。そして、この蛇口12の基端側は、水道配管14に連結されている。これにより、水道配管14の内部に形成された流路14aと蛇口流路13とが連通されている。
【0016】
又、この蛇口12の上部には、カラン(水栓)15が回転可能に設けられており、カラン15を回転操作することにより、蛇口12の先端に設けられた吐出口16から水道水が適宜出せるように構成されている。
【0017】
止水装置2は、蛇口12の(カラン15の)閉め忘れの放置を防止するための放置防止装置としてのもので、流路開閉弁としての電磁弁23を備えている。この実施形態の電磁弁23は、蛇口流路13に、流路開閉可能に配設されている。又、この実施形態の電磁弁23は、止水装置2に設置された電池を電源にしてその電池から通電されることにより作動し、蛇口流路13を閉鎖又は開放する。
【0018】
又、止水装置2は、図2に示すように、電磁弁作動部24を備えている。又、電磁弁作動部24は、電磁弁閉鎖開始部25と、受信部26とを備えている。
【0019】
電磁弁閉鎖開始部25は、制御装置3から、後述の電磁弁閉鎖開始信号を受信した場合に、その受信した信号に基いて電磁弁23を、蛇口流路13を閉鎖するように作動させる。又、受信部26は、例えば制御装置3から電磁弁閉鎖開始信号を受信する。
【0020】
又、止水装置2は、図示しないが、記録装置であるメモリ、CPU、表示装置である表示部、入力装置であるボタンキー、制御装置3と通信するための通信インターフェース等を備えている。
【0021】
そして、上記CPUは、図2の電磁弁閉鎖開始部25の電磁弁閉鎖開始部25及び受信部26として機能する。
【0022】
制御装置3は、止水装置2に制御信号を有線又は無線(この実施形態では、無線)によって送信することにより作動を制御する。この第1実施形態の制御装置3は、入退室検出装置と、水流検出装置とを備えている。
【0023】
入退室検出装置は、家人が台所10に入室及び退室した場合にそれらを検出するもので、この実施形態では、図1に示すように台所10の壁面に設置され複数の赤外線センサ32a(図1では1つだけ図示している)から構成されている。
【0024】
水流検出装置は、蛇口12の蛇口流路13に水道水が流れている場合にそれを検出するもので、この実施形態では、図1に示すように蛇口流路13に設置された水流検出センサ34aから構成されている。
【0025】
又、第1実施形態の制御装置3は、図3に示すように、蛇口12を閉め忘れたか否かを判定する蛇口閉め忘れ判定部31と、送信部35とを備えている。
【0026】
又、蛇口閉め忘れ判定部31は、入退室判定部32と、退室設定時間経過判定部33と、水道水流れ判定部34とを備えている。
【0027】
入退室判定部32は、家人が台所10に入退室したか否かを判定するもので、上記赤外線センサ32aによる検出データに基づいて判定する。詳しくは、入退室判定部32は、いずれかの赤外線センサ32aによって台所10に入ってきた家人を検出した場合にその検出データに基づいて台所10への入室があったとの判定をする。一方、入室があったとの判定をした後、いずれの赤外線センサ32aによっても家人を検出しなくなった場合にその検出データに基づいて台所10から退室したとの判定をする。
【0028】
退室設定時間経過判定部33は、上記入退室判定部32によって家人が台所10から退室したとの判定をしてから、その退室状態で設定時間が経過したか否か、即ち、上記退室したとの判定をしてから、設定時間が経過する前に再度入室したか否かの判定をする。
【0029】
尚、この設定時間は、例えば5分、60分、120分等、家人が任意に設定できる。又、家人が任意に設定できることにより、種々の用途に適応でき、例えば水道水を設定時間だけ流して物品を冷やすような場合にも、使用できる。
【0030】
水道水流れ判定部34は、蛇口12の蛇口流路13に水道水が流れているか否かを、上記水流検出センサ34aによる検出データに基づいて判定する。
【0031】
そして、蛇口閉め忘れ判定部31は、以下の場合に、蛇口12を閉め忘れたとの判定をする。即ち、上記入退室判定部32によって退室したとの判定をし、退室設定時間経過判定部33によってその判定から退室状態で設定時間が経過したとの判定をした場合であって、且つ、その設定時間が経過したとの判定をした時点で、水道水流れ判定部34によって蛇口12に水道水が流れているとの判定をした場合である。
【0032】
又、制御装置3は、蛇口閉め忘れ判定部31によって、蛇口を閉め忘れたとの判定をした場合、蛇口流路13を閉鎖するように電磁弁23を作動開始させる旨の信号である電磁弁閉鎖開始信号を生成する。送信部35は、例えばその電磁弁閉鎖開始信号を、止水装置2に送信する。
【0033】
又、制御装置3は、図示しないが、記録装置であるメモリ、CPU、表示装置である表示部、入力装置であるボタンキー、止水装置2と通信するための通信インターフェース等を備えている。そして、上記CPUは、図3の蛇口閉め忘れ判定部31、入退室判定部32、退室設定時間経過判定部33、水道水流れ判定部34、送信部35として機能する。
【0034】
次に、この第1実施形態のシステムの動作について、図4に基づいて説明する。まず、制御装置3は、台所10に家人が入室したか否かを、入退室判定部32によって判定する(図4、ステップS1)。
【0035】
このステップS1において、制御装置3は、未だ入室されないとの判定をした場合、入室されるのを待つ。一方、ステップS1において、制御装置3は、入室したとの判定をした場合、台所10から家人が退室したか否かを、入退室判定部32によって判定する(図4、ステップS2)。
【0036】
ステップS2において、制御装置3は、未だ退室されないとの判定をした場合、退室されるのを待つ。一方、ステップS2において、制御装置3は、退室したとの判定をした場合、設定時間経過前に再度台所10に家人が入室したか否かを、退室設定時間経過判定部33によって判定する(図4、ステップS3)。
【0037】
ステップS3において、制御装置3は、再度入室したとの判定をした場合、制御を上記ステップS2に戻す。一方、ステップS3において、制御装置3は、設定時間経過前に再度入室されない、即ち、退室状態で設定時間が経過したとの判定をした場合、蛇口12に水道水が流れているか否かを、水道水流れ判定部34によって判定する(図4、ステップS4)。
【0038】
ステップS4において、制御装置3は、蛇口12に水道水が流れていないとの判定をした場合、制御を上記ステップS1に戻す。一方、ステップS4において、制御装置3は、蛇口12に水道水が流れているとの判定をした場合、蛇口閉め忘れ判定部31によって、蛇口を閉め忘れたとの判定をする。又、制御装置3は、電磁弁閉鎖開始信号を生成し、それを止水装置2に送信する。
【0039】
電磁弁閉鎖開始信号を受信した止水装置2は、受信した信号に基いて電磁弁23を、蛇口流路13を閉鎖するように作動させる。これにより、蛇口流路13に流れていた水道水が止まる。従って、蛇口を閉め忘れて蛇口流路13に水道水が流れていてもそれを止めることができ、水道水の無駄使いを抑えることができる。
【0040】
尚、この実施形態では、電磁弁23が蛇口流路13を閉鎖した場合、制御装置3に設けられたランプ(図示せず)が点滅して家人にその状態が判るようになっている。又、制御装置3に設けられた解除ボタン(図示せず)を押圧操作することにより、閉鎖した電磁弁23が作動して蛇口流路13を開放するようになっている。ただし、閉鎖した電磁弁23を開放する方法は、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0041】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の水道蛇口監視システムは、図5に示すように、先の第1実施形態における止水装置2に代え、放置防止装置として、報知装置4を備えている。
【0042】
この実施形態の報知装置4は、音を発生する音発生部41と、光を点滅させる点滅部42とを備えている。
【0043】
又、報知装置4は、図6に示すように報知作動部43を備えている。この報知作動部43は、音発生開始部44と、点滅開始部45とを備えている。音発生開始部44は、制御装置3から送信されてくる報知装置の作動を開始する旨の制御信号である報知装置作動開始信号を受信した場合に、音発生部41の作動を開始させる。
【0044】
点滅開始部45は、制御装置3から送信されてくる報知装置作動開始信号を受信した場合に、点滅部42の作動を開始させる。
【0045】
また、第2実施形態の制御装置3は、報知装置4に制御信号を有線又は無線(この実施形態では、無線)によって送信することにより作動を制御する。又、第2実施形態の制御装置3は、蛇口を閉め忘れたとの判定をした場合、上記報知装置作動開始信号を生成し、送信部35によって、報知装置4に送信する。その他は、先の第1実施形態のものと同構成を採る。
【0046】
次に、この第2実施形態のシステムの動作について、図7に基づいて説明する。この第2実施形態においては、先の第1実施形態におけるステップS1〜ステップS4と同じステップを採る(図7、ステップS11〜ステップS14)。
【0047】
そして、ステップS14において、制御装置3は、水道水流れ判定部34によって蛇口流路13に水道水が流れているとの判定をし、蛇口閉め忘れ判定部31によって蛇口を閉め忘れたとの判定をした場合に、報知装置作動開始信号を生成する。そして、その生成した報知装置作動開始信号を報知装置4に送信する。
【0048】
報知装置作動開始信号を受信した報知装置4は、受信した報知装置作動開始信号に基いて音発生部41の作動を開始させ、音を発生させるとともに、その受信した報知装置作動開始信号に基いて点滅部42の作動を開始させ、光を点滅させる。
【0049】
これにより、蛇口を閉め忘れて蛇口12から水道水が流れている場合には、家人に知らせ注意を促すことができ、蛇口の閉め忘れの放置を防止できる。
【0050】
尚、上記第2実施形態では、報知装置4は、音を発生させるとともに、光を点滅させているが、この形態のものに限らず、例えば音発生と光点滅とのいずれか一方により家人に知らせるものであっても良い。
【0051】
又、報知装置4は、本発明の水道蛇口監視システム専用のものでも良いが、例えば火災報知装置等の他の報知装置に付設したもので良く、適宜変更できる。
【0052】
又、上記第1及び第2実施形態では、本発明の水道蛇口監視システムを台所に施したが、本発明の水道蛇口監視システムを実施する部屋は、水道の蛇口を設置した部屋であれば良く、例えば洗面室、トイレ室であっても良く、適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態の水道蛇口監視システムを施した台所の要部の概略図である。
【図2】その第1実施形態の水道蛇口監視システムに用いられる止水装置を説明するためのブロック図である。
【図3】その第1実施形態の水道蛇口監視システムに用いられる制御装置を説明するためのブロック図である。
【図4】第1実施形態の水道蛇口監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】第2実施形態の水道蛇口監視システムを施した台所の要部の概略図である。
【図6】その第2実施形態の水道蛇口監視システムに用いられる報知装置を説明するためのブロック図である。
【図7】第2実施形態の水道蛇口監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
2 止水装置
3 制御装置
4 報知装置
10 台所
12 蛇口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋に設けられた水道の蛇口の閉め忘れの放置を防止するための放置防止装置と、その放置防止装置を制御する制御装置とを備えた蛇口監視システムであって、
前記制御装置は、前記家屋における蛇口が設置された部屋から人が退室してその退室状態で予め設定した設定時間が経過し、且つ、その設定時間が経過した際に、前記蛇口に水道水が流れていることを検出した場合に、蛇口を閉め忘れたとの判定をし、前記判定をした場合に、前記放置防止装置を作動させるよう制御することを特徴とする水道蛇口監視システム。
【請求項2】
前記放置防止装置は、前記蛇口又はその蛇口に連結された水道配管における蛇口近傍に、それらに形成された流路を開閉し得るように設けられた流路開閉弁を有する止水装置を備え、
前記制御装置は、前記判定をした場合に、止水装置の流路開閉弁を、前記流路が閉鎖するように作動させるよう制御することを特徴とする請求項1記載の水道蛇口監視システム。
【請求項3】
前記放置防止装置は、蛇口の閉め忘れを人に知らせる報知装置を備え、
前記制御装置は、前記判定をした場合に、報知装置を作動させるよう制御することを特徴とする請求項1記載の水道蛇口監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−287210(P2009−287210A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138527(P2008−138527)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】