説明

水道配管系の流体機器撤去方法及びそれに用いられる撤去操作治具

【課題】水道管に螺合接続されている第1接続部材及びこれに螺合接続されている第2接続部材を少ない作業工程数で能率良く確実に撤去する。
【解決手段】第1・第2接続部材6,7を相対回転規制手段Aで連結する工程と、水道管2に第1・第2接続部材6,7を水密状態で囲繞する作業用ケース17を取付ける工程と、第2接続部材7に撤去操作治具Bの撤去操作軸23を連結する工程と、作業用ケース17に撤去操作治具Bの撤去作業ケース27を取付ける工程と、撤去操作軸23を第1接続部材6の螺合解除側に回転操作して、相対回転規制手段Aで連結された第1・第2接続部材6,7を水道管2から取り外す工程と、撤去操作軸23の引き出し操作で第1・第2接続部材6,7を撤去作業ケース27内に移送し、作業用仕切弁16を閉弁操作した状態で撤去作業ケース27を作業用ケース17から撤去する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管の管壁に形成された分水用ネジ孔に、乙形の分水栓や甲形の分水栓の下胴等の第1接続部材が螺合接続され、この第1接続部材に空気弁や甲形の分水栓の上胴等の第2接続部材が螺合接続されている水道配管系において、前記第1接続部材及び第2接続部材を不断水状態で撤去する水道配管系の流体機器撤去方法及びそれに用いられる撤去操作治具に関する。
【背景技術】
【0002】
水道配管系の流体機器撤去方法としては、下記特許文献1に示すように、水道管の分水用ネジ孔に螺合接続された甲形の分水栓を不断水状態で撤去する方法が提案されている。
この方法に用いられている甲形の分水栓は、水道管の分水用ネジ孔に螺合接続される第1接続部材としての下胴と、当該下胴に螺合接続されるL字状の分岐流路及び当該分岐流路の屈曲箇所に対して分水用ネジ孔に上下方向で相対向する状態で連通形成されるコマ操作通路を備え、かつ、前記コマ操作通路に分岐流路の屈曲箇所を通過して下胴の流路を遮断可能な位置にまで移動操作可能な閉栓コマを内装してある第2接続部材としての上胴とから構成されている。
【0003】
そして、従来の水道配管系の流体機器撤去方法では、
前記分水栓の閉栓コマを下胴の流路を遮断する位置に移動操作し、上胴の上下中間位置に突出形成されている分岐管部の開口端部を閉止したのち、前記上胴に、開弁操作されている作業用開閉弁を螺合接続する工程と、
前記作業用開閉弁に、前記閉栓コマに螺合連結可能なスピンドルを備えたコマ取外し機を固定連結し、前記作業用開閉弁の内部を通して送り込まれるスピンドルの先端のネジ部を閉栓コマのネジ部に螺合連結し、スピンドルを引上げ操作して閉栓コマを開閉バルブに連結されているコマ取外し機の作業用ケース内に回収したのち、前記作業用開閉弁を閉弁操作し、当該作業用開閉弁からコマ取外し機を撤去する工程と、
前記作業用開閉弁に、前記下胴の流路を遮断する拡径状態と流路を通過可能な縮径状態とに切り替え操作可能な閉塞具と、当該閉塞具を操作するスピンドルとを備えた閉塞挿入機を固定連結し、前記スピンドルを操作して閉塞具を下胴内に送り込み、当該閉塞具を拡径状態に操作して下胴の流路を遮断する工程と、
前記閉塞具とスピンドルとの連結を解除し、拡径状態にある閉塞具を下胴に残置したまま、それ以外の閉塞挿入機の構成部材を閉弁操作された作業用開閉弁から撤去し、さらに、前記下胴から作業用開閉弁を撤去する工程と、
前記下胴に、引抜きプラグを相対回転不能な状態で外装固定し、下胴及び引抜きプラグが通過可能な分岐管部及び開閉弁を備えたサドル付き分水栓を、前記下胴及び引抜きプラグを密封する状態で水道管に外装固定する工程と、
前記サドル付き分水栓に、前記引抜きプラグに螺合連結可能なスピンドルを備えた下胴取外し機を固定連結し、前記スピンドルを送込んでその先端のネジ部を引抜きプラグのネジ部に螺合連結し、スピンドルの上部に設けたハンドルを下胴の螺合解除側に回転操作して、下胴を水道管から取り外す工程と、
前記下胴取外し機のスピンドルを引上げ操作し、下胴及び引抜きプラグを開閉弁よりも下流側に回収したのち、前記開閉弁を閉弁操作する工程と、
から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−024178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の水道配管系の流体機器撤去方法では、水道管から分水栓の下胴を取り外すまでに、第2接続部材である分水栓の上胴に作業用開閉弁を取付ける工程、作業用開閉弁に連結したコマ取外し機で分水栓内の閉栓コマを撤去したのち、作業用開閉弁からコマ取外し機を撤去する工程、作業用開閉弁に連結した閉塞挿入機の閉塞具で下胴の流路を遮断する工程、拡径状態にある閉塞具を下胴に残置したまま、それ以外の閉塞挿入機の構成部材を作業用開閉弁から撤去し、さらに、下胴から作業用開閉弁を撤去する工程、下胴に引抜きプラグを相対回転不能な状態で外装固定し、下胴及び引抜きプラグを密封する状態で水道管にサドル付き分水栓を外装固定し、サドル付き分水栓に固定連結した下胴取外し機のスピンドルを送込んでその先端のネジ部を引抜きプラグのネジ部に螺合連結し、下胴取外し機のハンドルを下胴の螺合解除側に回転操作して、下胴を水道管から取り外す工程といった多くの工程が必要で、流体機器撤去作業に多くの手間と時間を要していた。
【0006】
しかも、前記水道管と分水栓との接続箇所から漏水が発生している場合には、水道管にサドル付き分水栓を外装固定する工程までは漏水が続くことになり、これを回避するためには別途漏水防止処理作業を行う必要がある。
【0007】
さらに、前記分水栓内の閉栓コマが作動不能に陥っている場合には、閉塞挿入機の閉塞具を挿入するための通路を確保することができないため、上述の流体機器撤去方法を実施することができなくなる不都合がある。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、前記水道管に螺合接続されている第1接続部材及びこれに螺合接続されている第2接続部材を少ない作業工程数で能率良く確実に撤去することができ、しかも、水道管と第1接続部材との螺合接続箇所から漏水等が発生していても、この漏水対策を撤去作業工程の比較的早い時期に確実に行うことのできる水道配管系の流体機器撤去方法及びそれに用いられる撤去操作治具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の特徴構成は、水道管の管壁に形成された分水用ネジ孔に第1接続部材が螺合接続され、この第1接続部材に第2接続部材が螺合接続されている水道配管系において、前記第1接続部材及び第2接続部材を不断水状態で撤去する水道配管系の流体機器撤去方法であって、
前記第1接続部材と第2接続部材とを相対回転規制手段で離脱不能に連結する工程と、
前記水道管に、前記第1・第2接続部材を水密状態で囲繞可能で、且つ、第1・第2接続部材が通過可能な作業用開口部に作業用仕切弁を装備してある作業用ケースを取付ける工程と、
前記第1接続部材又は第2接続部材に撤去操作治具の撤去操作軸を連結する工程と、
前記作業用ケースに、前記第1・第2接続部材を収納可能な撤去操作治具の撤去作業ケースを、前記第2接続部材又は第1接続部材に連結された撤去操作軸を貫通支持させた状態で取付ける工程と、
前記撤去操作軸を第1接続部材の螺合解除側に回転操作して、前記相対回転規制手段で連結された第1・第2接続部材を水道管から取り外す工程と、
前記撤去操作軸の引き出し操作で第1・第2接続部材を撤去作業ケース内に移送し、前記作業用仕切弁を閉弁操作した状態で撤去作業ケースを作業用ケースから撤去する工程と、
を備えた点にある。
【0010】
上記構成によれば、前記第1・第2接続部材を不断水状態で水道管から撤去する際、第1接続部材と第2接続部材とを相対回転規制手段で離脱不能に連結することによって、第1・第2接続部材を相対回転が規制された一体物として操作することができるから、第1接続部材から第2接続部材を取り外したのち、第1接続部材を水道管から取り外すといった順次撤去作業手順を採る必要がない。
【0011】
しかも、前記相対回転規制手段で連結された第1・第2接続部材を、水道管に取付けられる作業用ケースで水密状態に囲繞するため、例えば、水道管と第1接続部材との螺合接続箇所等から漏水が発生していても、この漏水箇所の止水処理を前記作業用ケースを使用して撤去作業工程の比較的早い時期に行うことができる。
【0012】
また、前記作業用ケースの作業用仕切弁が開弁操作されている状態では、この作業用ケースの作業用開口部を通して第1・第2接続部材が外部に臨む状態にあるから、第1接続部材又は第2接続部材に対する撤去操作軸の連結作業を確実、容易に行うことができる。
【0013】
さらに、前記作業用ケースに撤去操作治具の撤去作業ケースが取付けられた状態では、作業用ケースの作業用仕切弁を開弁操作しても、第1・第2接続部材を水密状態で囲繞し続けることができるから、この状態で撤去作業ケースに貫通支持させた撤去操作軸を、第1接続部材の螺合解除側に回転操作することにより、相対回転規制手段で連結されている第1・第2接続部材を水道管から同時に取り外すことができる。
【0014】
その後は、前記撤去操作軸を引き出し操作して第1・第2接続部材を撤去作業ケース内に取り出し、作業用仕切弁を閉弁操作した状態で撤去作業ケースを作業用ケースから撤去するだけで済む。
【0015】
したがって、前記水道管に螺合接続されている第1接続部材及びこれに螺合接続されている第2接続部材を少ない作業工程数で能率良く確実に撤去することができ、しかも、水道管と第1接続部材との螺合接続箇所から漏水等が発生していても、この漏水対策を撤去作業工程の比較的早い時期に確実に行うことができる。
【0016】
尚、前記作業用仕切弁付きの作業用ケースは、第1・第2接続部材を水密状態で囲繞する関係で少し大きくなるが、その大きさが問題にならない場合には、前記作業用仕切弁付きの作業用ケースを、水道管に最終的に固定される割T字管又はサドル付き分水栓としてそのまま使用することも可能である。
【0017】
本発明による第2の特徴構成は、前記撤去作業ケースの撤去工程後において、
前記作業用ケースに、水道管の分水用ネジ孔を止水可能な止水手段と、当該止水手段の操作軸を貫通支持する状態で作業用ケースに水密状態で連結される取付け手段とを備えた止水治具を取付け、この止水治具の止水手段を開弁操作された作業用仕切弁を通して水道管の分水用ネジ孔に送り込み、当該止水手段の操作軸を止水操作して分水用ネジ孔を止水する工程と、
前記止水治具の止水手段のみを止水状態で水道管に残置したまま、当該止水治具の取付け手段と前記作業用ケースとを水道管から撤去する工程と、
前記止水治具の止水手段が挿通可能な分岐管部及び開閉弁を備えた割T字管を水道管に外装固定し、止水解除操作された止水手段を開弁操作された開閉弁の下流側に取り出し、開閉弁を閉弁操作した状態で止水手段を撤去する工程と、
が備えられている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記作業用ケースに取付けた止水治具の止水手段で水道管の分水用ネジ孔を止水したのち、この止水手段のみを止水状態で水道管に残置したまま、止水治具の取付け手段と作業用仕切弁を備えた作業用ケースとを水道管から撤去する。
水道管に外装固定される割T字管の分岐管部及び開閉弁は、水道管の分水用ネジ孔を止水する止水手段が通過可能な大きさであればよいので、作業用仕切弁付きの作業用ケースに比して割T字管をコンパクトに構成することができる。
前記割T字管を水道管に外装固定したのちは、操作軸で止水解除操作された止水手段を開弁操作されている開閉弁の下流側に取り出し、開閉弁を閉弁操作した状態で止水手段を撤去するだけで済む。
【0019】
本発明による第3の特徴構成は、前記第1接続部材が乙形の分水栓であり、前記第2接続部材が空気弁である点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記乙形の分水栓と空気弁とを不断水状態で水道管から撤去する際、分水栓と空気弁とを相対回転規制手段で離脱不能に連結することによって、分水栓と空気弁とを一体物として操作することができるから、分水栓から空気弁を取り外したのち、分水栓を水道管から取り外すといった順次撤去作業手順を採る必要がない。
しかも、前記相対回転規制手段で連結された分水栓と空気弁とを、水道管に取付けられる作業用ケースで水密状態に囲繞するため、例えば、分水栓が開弁状態で作動不能な状態にあっても、作業用ケース内において分水栓と空気弁とを同時に水道管から取り外すことができるから、水道管に螺合接続されている分水栓と空気弁とを少ない作業工程数で能率良く確実に撤去することができる。
【0021】
本発明による第4の特徴構成は、前記第1接続部材が甲形の分水栓の下胴であり、前記第2接続部材が甲形の分水栓の上胴である点にある。
【0022】
上記構成によれば、前記甲形の分水栓を不断水状態で水道管から撤去する際、甲形の分水栓を構成する下胴と上胴とを相対回転規制手段で離脱不能に連結することによって、下胴と上胴とを一体物として操作することができるから、下胴から上胴を取り外したのち、下胴を水道管から取り外すといった順次撤去作業手順を採る必要がない。
【0023】
しかも、前記相対回転規制手段で連結された下胴と上胴とを、水道管に取付けられる作業用ケースで水密状態に囲繞するため、例えば、甲形の分水栓が開弁状態で作動不能な状態にあっても、作業用ケース内において下胴と上胴とを同時に水道管から取り外すことができるから、水道管に螺合接続されている甲形の分水栓の下胴と上胴とを少ない作業工程数で能率良く確実に撤去することができる。
【0024】
本発明による第5の特徴構成は、前記相対回転規制手段で分水栓と空気弁とを離脱不能に連結する工程が、前記分水栓と空気弁とに亘る部位に、周方向で複数に分割され、且つ、そのうちの少なくとも一つに分水栓の栓筐体に突出形成された弁操作軸用の軸受部に対して分水栓の螺合解除側の回転操作方向から係合可能な係合部が設けられた分割固定筒体を、栓筐体の径方向外方から装着するステップと、複数の分割固定筒体同士を締結具で固定連結するステップと、前記分割固定筒体と空気弁とを溶接又は締結具で固定するステップとから構成されている点にある。
【0025】
上記構成によれば、前記分水栓と空気弁とに亘る部位に、周方向で複数の分割固定筒体を径方向外方から装着して、分割固定筒体同士を締結具で固定連結した状態では、少なくとも一つの分割固定筒体に設けられた係合部が分水栓の栓筐体に突出形成された弁操作軸用の軸受部に対して螺合解除側の回転操作方向から係合可能な状態にあり、軸受部を利用して分水栓と分割固定筒体との相対回転を確実に阻止することができる。
【0026】
しかも、この状態では分割固定筒体の装着姿勢が確定又は略確定しているから、分割固定筒体と空気弁とを溶接又は締結具で固定する作業を確実、容易に行うことができる。
【0027】
本発明による第6の特徴構成は、前記撤去操作治具の撤去操作軸を空気弁に連結する工程が、前記空気弁の弁筐体の上面の複数箇所に突出形成されているネジ筒部にボルトで固定されているカバーを取り外すステップと、前記撤去操作軸の下端部に固定連結又は固着された撤去用連結板を、前記ネジ筒部に対して相対回転不能に係合させた状態で前記空気弁の弁筐体の上面に装着するステップ、前記撤去用連結板の上方への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止具を、前記ネジ筒部に螺合固定するステップとから構成されている点にある。
【0028】
上記構成によれば、前記カバーが取り外された弁筐体の上面に撤去操作軸の下端部に固定連結又は固着された撤去用連結板を装着すると、当該撤去用連結板が弁筐体の上面の複数箇所に突出形成されているネジ筒部に対して相対回転不能な状態で係合するから、前記ネジ筒部に、撤去用連結板の上方への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止具を螺合固定するだけで済む。
【0029】
したがって、空気弁の弁筐体の上面の複数箇所に突出形成されているカバー取付け用のネジ筒部を、前記撤去用連結板との相対回転を阻止するための回り止め用の当り部、及び、抜け出し阻止具を螺合固定するための取付け部に兼用構成するから、撤去操作治具を空気弁に連結するための構造の簡素化を図りながら、撤去操作治具を空気弁に能率良く確実に連結することができる。
【0030】
本発明による第7の特徴構成は、上記第3、第5又は第6の特徴構成で記載の水道配管系の流体機器撤去方法に用いられる前記撤去操作治具であって、前記空気弁を構成する弁筐体と当該弁筐体の上面の複数箇所に突出形成されているネジ筒部にボルトで固定されるカバーとのうち、前記カバーが取り外された弁筐体のネジ筒部に対して相対回転不能な状態で係合する貫通孔又は切欠きを備えた撤去用連結板と、当該撤去用連結板の上方への抜け出し移動を阻止する状態で前記ネジ筒部に螺合固定される抜け出し阻止具と、前記撤去用連結板に固定連結又は固着される撤去操作軸とが備えられているとともに、前記撤去用連結板と抜け出し阻止具との間に、空気弁の弁筐体と撤去用連結板との相対姿勢の変更を一定範囲内で許容する融通が設けられている点にある。
【0031】
上記構成によれば、前記カバーが取り外された弁筐体の上面に撤去操作軸の下端部に固定連結又は固着された撤去用連結板を装着すると、当該撤去用連結板の貫通孔又は切欠きが弁筐体の上面の複数箇所に突出形成されているネジ筒部に対して相対回転不能な状態で係合するから、前記ネジ筒部に、撤去用連結板の上方への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止具を螺合固定するだけで済む。
【0032】
それ故に、空気弁の弁筐体の上面の複数箇所に突出形成されているカバー取付け用のネジ筒部を、前記撤去用連結板との相対回転を阻止するための回り止め用の当り部、及び、抜け出し阻止具を螺合固定するための取付け部に兼用構成するから、撤去操作治具を空気弁に連結するための構造の簡素化を図りながら、撤去操作治具を空気弁に能率良く確実に連結することができる。
【0033】
しかも、前記撤去用連結板と抜け出し阻止具との間に設けられた融通によって、空気弁の弁筐体と撤去用連結板との相対姿勢の変更を一定範囲内で許容することができるから、前記水道管に固定された作業用ケース及び撤去作業ケースの上下方向の中心線に対して分水栓及び空気弁の上下方向の中心線が少し傾動している場合でも、その傾動代が弁筐体と撤去用連結板との間での融通による相対姿勢の変更操作範囲内であれば、そのままの状態で撤去操作治具を空気弁に固定連結して分水栓及び空気弁を螺合解除側に回転操作することができる。
【0034】
それ故に、水道管に固定されている作業用ケースの姿勢を空気弁の中心線の傾動に対応して変更する必要がないため、撤去操作治具を空気弁に能率良く確実に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態を示す水道配管系の施工前の一部切欠き側面図
【図2】分水栓と空気弁とを相対回転規制手段で固定連結したときの一部切欠き側面図
【図3】相対回転規制手段の拡大断面図
【図4】相対回転規制手段の水平断面図(a)と正面図(b)
【図5】水道管に作業用ケースの分割ケース本体を固定連結したときの一部切欠き側面図
【図6】分割ケース本体に作業用仕切弁を固定連結して作業用ケースを構成したときの一部切欠き側面図
【図7】空気弁の弁筐体の上面に撤去用連結板を取付ける直前の断面図
【図8】空気弁の弁筐体と撤去用連結板及び撤去操作軸との分解斜視図
【図9】空気弁の弁筐体に撤去用連結板及び撤去操作軸を固定連結したときの一部切欠き側面図
【図10】作業用仕切弁に撤去作業ケースを取付ける直前の断面図
【図11】作業用仕切弁に撤去作業ケースを取付けたときの断面図
【図12】分水栓及び空気弁を水道管から分離操作するときの断面図
【図13】分離した分水栓及び空気弁を撤去作業ケース内に回収したときの断面図
【図14】作業用仕切弁に止水治具を取付けたときの断面図
【図15】止水治具のフランジ板の平面図(a)と横断面図(b)
【図16】止水治具の止水手段で水道管の分水用ネジ孔を止水したときの断面図
【図17】作業用ケースを撤去するときの一部切欠き側面図
【図18】止水手段の操作軸を第3飛び出し防止手段で固定したときの一部切欠き側面図
【図19】第3飛び出し防止手段の平面図(a)と正面図(b)及び側面図(c)
【図20】止水手段の操作軸に割T字管の上側分割管部を装着したときの一部切欠き側面図
【図21】水道管に割T字管を固定したときの一部切欠き側面図
【図22】止水手段の操作軸から第2飛び出し防止手段を撤去したときの一部切欠き側面図
【図23】止水手段の操作軸を撤去したときの一部切欠き側面図
【図24】本発明の第2実施形態を示し、分水栓と空気弁とを別形態の相対回転規制手段で固定連結したときの一部切欠き側面図
【図25】本発明の第3実施形態を示し、空気弁に撤去操作治具の撤去操作軸を連結したときの断面図
【図26】本発明の第4実施形態を示し、甲形の分水栓の下胴と上胴とを相対回転規制手段で固定連結したときの一部切欠き側面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第1実施形態〕
図1は、上水が流動する水道配管系の一部の管路構造の一例を示し、配管経路に沿って配置された鋳鉄管や鋼鉄管等で構成される両第1水道管1の受口管部1Aにわたって、同じく鋳鉄管や鋼鉄管等で構成される第2水道管(短管)2の両端側の挿口管部2Aが嵌合接続されているとともに、前記両受口管部1Aの連結フランジ1Bには、当該両受口管部1Aの内周面と両挿口管部2Aの外周面との間に介装されるシール材(図示せず)を管軸芯方向から圧縮可能な押輪3がボルト4・ナット5で締め付け連結されている。
【0037】
前記第2水道管2の管壁の頂部に形成された分水用ネジ孔2aには、第1接続部材の一例である乙形の分水栓6の栓筐体6Aの下部に形成された接続雄ネジ部6aが水密状態で螺合接続され、この分水栓6の栓筐体6Aの上部側に形成された接続雌ネジ部(図示せず)には、第2接続部材の一例である空気弁7の弁筐体7Aの下部に形成された接続雄ネジ部7aが水密状態で螺合接続されている。
【0038】
前記分水栓6の栓筐体6Aの上下中間部には、栓筐体6A内の弁体(図示せず)を開閉操作する弁操作軸6Bを支承する軸受部6Cが突出形成されている。
【0039】
次に、上記の水道配管系において、第1・第2水道管1,2での上水の流れを維持した不断水状態で分水栓6及び空気弁7を撤去する水道配管系の流体機器撤去方法及びそれに用いられる撤去操作治具Bについて詳述する。
【0040】
〔1〕図2、図3は、前記分水栓6と空気弁7とを相対回転規制手段Aで離脱不能で且つ実質的に相対回転不能に固定連結する工程を示す。
前記相対回転規制手段Aは、図4に示すように、前記分水栓6の栓筐体6Aの主要部及び空気弁7の弁筐体7Aの下側筒部7bに外装可能な内径を有し、且つ、周方向で複数に分割構成(当該実施形態では二分割)された分割固定筒体10A,10Bと、当該分割固定筒体10A,10Bの周方向両端部に一体形成された連結片10a,10b同士を固定連結するボルト11a・ナット11bからなる締結具11を主要構成として備えている。
【0041】
前記一方の分割固定筒体10Aの周方向中央部には、前記分水栓6の軸受部6Cに対して弁操作軸6Bの軸芯に沿う方向から外嵌する円筒状の係合部12を固着して、当該係合部12の内周面と軸受部6Cの外面との間に形成されている空隙の寸法範囲内での分水栓6と両分割固定筒体10A,10Bとの分水栓6の上下方向の分水軸芯(上下方向の中心線)周りでの相対回転を許容するものの、空隙の寸法範囲以上の分水栓6と両分割固定筒体10A,10Bとの相対回転を接当阻止するように構成されている。
【0042】
前記両分割固定筒体10A,10Bにおける空気弁7の下側筒部7bに対応する周方向複数箇所(当該実施形態では合計8箇所)には、両分割固定筒体10A,10Bと空気弁7の下側筒部7bとを溶接で固着するための溶接用貫通孔13が形成されている。
【0043】
前記両分割固定筒体10A,10Bと空気弁7の下側筒部7bとが溶接で固着された状態では、前記空気弁7を分水栓6の螺合解除側に回転操作すると、前記係合部12が分水栓6の軸受部6Cに対して当該分水栓6の螺合解除側の回転操作方向から係合することになる。
【0044】
そのため、前記相対回転規制手段Aで分水栓6と空気弁7とを離脱不能に連結する工程としては、前記分水栓6と空気弁7とに亘る部位に、周方向で複数に分割(当該実施形態では二分割)され、且つ、そのうちの一つに分水栓6の栓筐体6Aに突出形成された弁操作軸6B用の軸受部6Cに対して分水栓6の螺合解除側の回転操作方向から係合可能な係合部12が設けられた両分割固定筒体10A,10Bを、栓筐体6A及び弁筐体7Aの径方向外方から装着するステップと、両分割固定筒体10A,10B同士を締結具11で固定連結するステップと、前記両分割固定筒体10A,10Bと空気弁7とを溶接で固定するステップとから構成されることになる。
【0045】
〔2〕図5、図6は、前記第2水道管2に、前記分水栓6と空気弁7とを水密状態で囲繞可能で、且つ、分水栓6と空気弁7とが通過可能な作業用開口部15に作業用仕切弁16を装備してある作業用ケース17を取付ける工程を示す。
【0046】
前記作業用ケース17は、第2水道管2に外装可能な大きさで周方向で複数に分割構成(当該実施形態では二分割)された分割ケース体17A,17Bのうち、上方側に位置する分割ケース体17Aには、前記分水栓6と空気弁7の外周を覆う連結筒状ケース体17Cが形成されているとともに、前記分割ケース体17A,17Bの周方向両端部には、ボルト18a・ナット18bからなる第2締結具18で固定連結される連結片17a,17bが一体形成されている。
【0047】
前記両分割ケース体17A,17Bの連結片17a,17bが第2締結具18で固定連結された状態では、両分割ケース体17A,17Bに保持されたシール材19が圧縮され、作業用ケース17が第2水道管2に水密状態で固定連結される。
【0048】
前記連結筒状ケース体17Cの先端側に連設されている連結フランジ17Dの外周部の下流側角部には、図5及び図6に示すように、連結フランジ17Dに外嵌装着された作業用仕切弁16の弁ケース16Aの連結筒部16B内の奥側の環状入隅部との間でシール材20を水密状態に保持するためのテーパー状のシール受け面17dが形成されているとともに、前記連結フランジ17Dの外周部の上流側角部には、弁ケース16Aの連結筒部16Bの周方向複数箇所に径方向外方から螺合された固定ボルト21の先端側のテーパー押圧面21aと当接して、前記シール材20が圧縮される側に弁ケース16Aを連結フランジ17Dに引き寄せ固定するためのテーパー状の当り面17eが形成されている。
【0049】
〔3〕図7〜図9は、前記空気弁7に撤去操作治具Bの撤去操作軸23を連結する工程を示し、前記空気弁7の弁筐体7Aの構成部材である天板7Bの上面の複数箇所(当該実施形態では二箇所)に突出形成されている円筒状のネジ筒部7Cにボルト7Dで固定されているカバー7E(図6参照)を取り外すステップと、前記撤去操作軸23の下端部に固定連結された平面視略十字形状の撤去用連結板24を、前記ネジ筒部7Cに対して相対回転不能に係合させた状態で前記弁筐体7Aの天板7Bの上面に装着するステップ、前記撤去用連結板24の上方への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止具25を、前記ネジ筒部7Cに螺合固定するステップとから構成されている。
【0050】
前記撤去操作治具Bは、図10に示すように、上端にレンチ等の人為操作具で回転操作するための角軸状の回転操作軸部23Aを備えた前記撤去操作軸23と、当該撤去操作軸23の下端に一体形成された連結板23Bにボルト26で固定連結される前記撤去用連結板24と、前記ネジ筒部7Cに螺合固定される前記抜け出し阻止具25と、前記分水栓6及び空気弁7を収納可能な撤去作業ケース27とから構成されている。
【0051】
前記撤去用連結板24は、図7〜図9に示すように、天板7Bの四隅を弁筐体7Aに固定連結するボルト7F・ナット7Gの隣接間を通して入り込み可能な大きさに構成されているとともに、前記一対のネジ筒部7Cに対して90度異なる向き姿勢で選択的に係合可能で、且つ、係合状態では相対回転を阻止する貫通孔24aと、前記撤去操作軸23の連結板23Bに形成された複数(当該実施形態では4箇所)の挿通孔23aに挿通されたボルト26と螺合するネジ孔24bとが形成されている。
【0052】
尚、この実施形態では、前記撤去用連結板24に、前記カバー7Eが取り外された弁筐体7Aのネジ筒部7Cに対して相対回転不能な状態で係合する貫通孔24aを形成したが、この貫通孔24aに変えて撤去用連結板24の外側縁に開口する半円状又はU字状等の切欠きを形成して実施してもよい。
【0053】
前記抜け出し阻止具25は、前記撤去用連結板24の貫通孔24aの内径よりも大径の抜け出し阻止板25Aと、当該抜け出し阻止板25Aを前記ネジ筒部7Cに固定するボルト25Bとから構成されている。
【0054】
そして、図9に示すように、前記撤去用連結板24の板厚を前記ネジ筒部7Cの高さよりも小なる寸法に形成して、当該撤去用連結板24の上面と抜け出し阻止板25Aの下面との間に、空気弁7の天板7Bの上面と撤去用連結板24との相対姿勢の変更を一定範囲内で許容するための第1可動用空隙S1が形成されているとともに、前記撤去用連結板24の貫通孔24aの内径を前記ネジ筒部7Cの最大外径よりも大径に形成して、撤去用連結板24の貫通孔24aの内周面とネジ筒部7Cの外周面との間に、空気弁7の天板7Bの上面と撤去用連結板24との相対姿勢の変更を一定範囲内で許容するための第2可動用空隙S2が形成されている。
【0055】
前記第1可動用空隙S1と第2可動用空隙S2とをもって、前記撤去用連結板24と抜け出し阻止具25との間において、空気弁7の弁筐体7Aと撤去用連結板24との相対姿勢の変更を一定範囲内で許容する融通が構成されている。
【0056】
前記融通を構成する第1可動用空隙S1と第2可動用空隙S2とにより、空気弁7の弁筐体7Aと撤去用連結板24との相対姿勢の変更を一定範囲内で許容することができるから、前記第2水道管2に固定された作業用ケース17及び撤去作業ケース27の中心線に対して分水栓6及び空気弁7の中心線が少し傾動している場合でも、その傾動代が弁筐体7Aと撤去用連結板24との間での両空隙S1,S2による相対姿勢の変更操作範囲内であれば、そのままの状態で撤去操作治具Bを空気弁7に固定連結して分水栓6及び空気弁7を螺合解除側に回転操作することができる。
【0057】
〔4〕図10、図11は、前記作業用ケース17に、前記分水栓6及び空気弁7を収納可能な撤去操作治具Bの撤去作業ケース27を、前記空気弁7に連結された撤去操作軸23を水密状態で貫通支持させた状態で取付ける工程を示す。
【0058】
前記撤去作業ケース27は、前記作業用仕切弁16の弁ケース16Aの下流側連結フランジ16Cにボルト28・ナット29で固定連結される連結フランジ27Aを備えた大径の下側ケース部27Bと、当該下側ケース部27Bに連設される小径の上側ケース部27Cとを備え、前記上側ケース部27Cの連結フランジ27Dには、前記撤去操作軸23を摺動並びに回転操作自在に水密状態で貫通支持する軸支承部27aを備えたフランジ蓋27Eがボルト28・ナット29で固定連結されている。
【0059】
前記撤去作業ケース27の下側ケース部27Bには、撤去作業状況を外部から目視確認するための確認窓30と、前記分水栓6及び空気弁7が第2水道管2から取り外されたことを該第2水道管2の分水用ネジ孔2aからの噴出水によって確認するための開閉弁31付きの配水管32が設けられている。
【0060】
前記フランジ蓋27Eの軸支承部27aには、撤去操作軸23の外周面との間を水密状態に密封するOリング33が設けられ、この軸支承部27aとの接触箇所を支点にして撤去操作軸23が揺動操作可能に構成されている。
【0061】
そのため、前記第2水道管2に固定された作業用ケース17及び撤去作業ケース27の中心線に対して分水栓6及び空気弁7の中心線が少し傾動している場合でも、前記第1可動用空隙S1及び第2可動用空隙S2による空気弁7の弁筐体7Aと撤去用連結板24との相対姿勢の変更に伴って、撤去操作軸23をフランジ蓋27Eに対して揺動操作することができるので、分水栓6及び空気弁7を螺合解除側にスムーズに回転操作することができる。
【0062】
〔5〕図12は、前記撤去作業ケース27のフランジ蓋27Eと撤去操作軸23の上端部との間に、分水栓6の螺合解除側への撤去操作軸23の回転操作を許容しながら水圧による撤去操作軸23の上方への飛び出し移動を阻止する第1飛び出し防止手段Cを装着する工程を示す。
【0063】
前記第1飛び出し防止手段Cを構成するに、撤去操作軸23の上端側に形成された小径軸部23b(図11参照)には、左右一対の第1係止環35を備えた取付けアーム36が上方から外嵌保持されているとともに、前記撤去作業ケース27のフランジ蓋27Eには左右一対の第2係止環37が設けられ、上下方向で相対応する両第1・第2係止環35,37にわたって、二つの係止フック38A,38Bと巻取り及び繰り出し可能なチェーン38Cとを備えた手巻きウインチ38が装着されている。
【0064】
前記両手巻きウインチ38のチェーン38Cの各々には、水圧による撤去操作軸23の上方への飛び出し移動を阻止し得る状態で、分水栓6の螺合解除側への撤去操作軸23の回転操作に伴う当該撤去操作軸23の上方への移動を許容する融通(緩み代)が設けられている。
【0065】
また、前記撤去操作軸23の小径軸部23bの上端部に形成された雄ネジ部23c(図11参照)には、取付けアーム36の上方への抜け出し移動を接当阻止する当り部材39が螺合装着されている。
【0066】
〔6〕図13は、前記撤去操作軸23を分水栓6の螺合解除側に回転操作して、前記相対回転規制手段Aで連結された分水栓6及び空気弁7を第2水道管2から取り外す工程と、前記撤去操作軸23の引き出し操作で分水栓6及び空気弁7を撤去作業ケース27内に移送する工程、及び、前記作業用仕切弁16を閉弁操作した状態で撤去作業ケース27を作業用ケース17から撤去する工程とを示す。
【0067】
具体的には、前記撤去操作軸23の回転操作軸部23Aにレンチ等の人為回転操作具を装着して、撤去操作軸23を分水栓6の螺合解除側に回転操作すると、相対回転規制手段Aで連結された分水栓6及び空気弁7が螺合解除側に一体的に回転し、分水栓6の接続雄ネジ部6aが第2水道管2の分水用ネジ孔2aから離脱分離される。
【0068】
このとき、分水栓6及び空気弁7に作用する水圧によって撤去操作軸23に上方への飛び出し力が付加されても、撤去操作軸23は第1飛び出し防止手段Cによって所定位置に保持される。
【0069】
前記第1飛び出し防止手段Cの両手巻きウインチ38を緩み操作しながら撤去操作軸23を撤去作業ケース27の連結フランジ27Dに対して上方に引き出し操作し、分水栓6及び空気弁7を撤去作業ケース27の下側ケース部27B内に収納したのち、作業用仕切弁16の回転操作ハンドル16D(図6参照)を操作して開弁操作位置にある弁体16Eを閉弁操作位置に切り替え、作業用仕切弁16から分水栓6及び空気弁7を保持している撤去操作治具Bの撤去作業ケース27を撤去する。
【0070】
〔7〕図14は、前記作業用ケース17の作業用仕切弁16に、第2水道管2の分水用ネジ孔2aを止水可能な止水手段D1と、当該止水手段D1の操作軸42を貫通支持する状態で作業用ケース17に水密状態で連結される取付け手段D2とを備えた止水治具Dを取付ける工程を示す。
【0071】
前記止水治具Dの取付け手段D2は、作業用仕切弁16の弁ケース16Aの下流側連結フランジ16Cに、閉弁操作位置にある弁体16Eの上面との間に前記止水手段D1の止水部を収納可能な収納空間S3を形成するフランジ蓋41をボルト28・ナット29で水密状態に固定連結して構成されている。
【0072】
このフランジ蓋41には、図15に示すように、止水手段D1の操作軸42を挿通するための軸挿通孔41aと、止水作業を外部から目視確認するための左右一対の確認孔41b、及び、作業用仕切弁16の下流側連結フランジ16Cにボルト止めするためのボルト挿通孔41cとが形成されている。
【0073】
前記フランジ蓋41の下面における軸挿通孔41aの周縁部には、止水手段D1の操作軸42の外周面との間を水密状態に維持するためのOリング43を備えた軸受板44が水密状態でボルト45にて固定されているとともに、前記フランジ蓋41の下面における確認孔41bの周縁部には、アクリル板製の透明板46が水密状態でボルト45にて固定されている。
【0074】
前記フランジ蓋41の軸受板44に貫通支持された操作軸42は、軸受板44に保持されているOリング43に対して上下方向に摺動自在で、且つ、Oリング43との接触箇所を支点として揺動操作可能に構成されている。
【0075】
前記止水手段D1の操作軸42は、筒状の外側操作軸42Aと、この外側操作軸42A内を軸芯方向に摺動自在に貫通する内側操作軸42Bとから構成されている。そのうち、外側操作軸42Aの内端部(図14の下方側端部)には、円環状の押圧面を備えた第1押圧部材50が螺合固定され、内側操作軸42Bの内端部には、第1押圧部材50の押圧面と軸芯方向で相対向する円環状の押圧面を備えた第2押圧部材51が螺合固定されているとともに、前記両押圧部材50,51の押圧面間には、当該両押圧部材50,51の相対近接移動による軸芯方向からの挟圧に伴って拡径状態に弾性変形して、第2水道管2の分水用ネジ孔2aを閉塞して止水するゴム製の弾性閉塞体52が外装されている。
【0076】
前記第1押圧部材50と第2押圧部材51及び弾性閉塞体52とをもって止水手段D1の止水部が構成されている。
【0077】
前記内側操作軸42Bの外端側軸部に形成されたネジ部42bには、外側操作軸42Aの外端面に当接した状態での螺合操作に連れて内側操作軸42Bを外側操作軸42Aに対して軸線方向の外方側(図14の上方側)に移動させることにより、両押圧部材50,51の相対近接移動によって弾性閉塞体52を拡径状態に弾性変形させる拡径操作ナット53が螺合されているとともに、前記外側操作軸42Aの外端部(図14の上方側端部)には、操作軸42を押し引き操作するための操作アーム54が着脱自在に設けられている。
【0078】
〔8〕図16は、前記止水治具Dの止水手段D1を開弁操作された作業用仕切弁16を通して第2水道管2の分水用ネジ孔2aに送り込み、当該止水手段D1の操作軸42を止水操作して分水用ネジ孔2aを止水する工程を示す。
【0079】
具体的には、前記止水治具Dの操作軸42を押し込み操作して、取付け手段D2の収納空間S3内に位置する止水手段D1を開弁操作状態にある作業用仕切弁16を通して第2水道管2の分水用ネジ孔2a内に送り込んだのち、前記拡径操作ナット53を人為力で締め付け側に螺合操作させると、外側操作軸42Aに対して内側操作軸42Bが外方側に引き出され、これに伴う両押圧部材50,51の相対近接移動によって弾性閉塞体52が拡径状態に弾性変形されて分水用ネジ孔2aが止水される。
【0080】
このとき、前記操作アーム54の両端に設けた第3係止環55と前記フランジ蓋41の左右二箇所に設けた第4係止環56とにわてって、前記第1飛び出し防止手段Cの手巻きウインチ38を装着し、第2水道管2の分水用ネジ孔2aを止水する止水手段D1が水圧で飛び出すことを確実に防止している。
【0081】
〔9〕図17、図18は、前記止水手段D1の操作軸42の上端部と両第1水道管1との間に、第2水道管2の分水用ネジ孔2aを止水する止水手段D1が水圧で飛び出すことを防止する第2飛び出し防止手段Eを装着する工程と、作業用ケース17の両分割ケース体17A,17Bの固定連結を解除したのち、上方側の分割ケース体17Aと作業用仕切弁16及びフランジ蓋41を操作軸42に沿って上昇させる工程、前記止水手段D1の操作軸42の下端部と両第1水道管1との間に、第2水道管2の分水用ネジ孔2aを止水する止水手段D1が水圧で飛び出すことを防止する第3飛び出し防止手段Fを装着する工程と、前記止水治具Dの止水手段D1のみを止水状態で第2水道管2に残置したまま、当該止水治具Dの取付け手段D2と前記作業用ケース17とを第2水道管2から撤去する工程を示す。
【0082】
前記第2飛び出し防止手段Eを構成するに、前記内側操作軸42Bの外端側軸部に形成されたネジ部42bに、左右一対の補強リブ60aを形成してある反力受け部材60の左右中央部を貫通状態で外嵌装着して、止水手段D1の拡径操作ナット53と内側操作軸42Bのネジ部42bに螺合したナット61とで挾持固定する。
【0083】
さらに、前記反力受け部材60の左右両端部に設けた第5係止環62と前記両第1水道管1に巻回状態で脱着可能に挾持固定された外装固定バンド63のネジ軸63Aに設けられた第6係止環64とにわたって、前記第1飛び出し防止手段Cの手巻きウインチ38と同一構造の手巻きウインチ38を装着し、水圧に抗して止水手段D1を止水状態に維持する。
【0084】
そして、前記第2飛び出し防止手段Eによって止水手段D1を止水状態に維持している状態において、前記作業用ケース17の両分割ケース体17A,17Bの連結片17a,17b同士を固定連結しているボルト18a・ナット18bを分解し、下側の分割ケース体17Bは第2水道管2の下方側を通して撤去するとともに、上側の分割ケース体17Aは、作業用仕切弁16及びフランジ蓋41と一体的に操作軸42に沿って上方に移動させる。
【0085】
次に、両外装固定バンド63のネジ軸63Aにわたって、第2水道管2の分水用ネジ孔2aを止水する止水手段D1が水圧で飛び出すことを防止する第3飛び出し防止手段Fを装着する。
この第3飛び出し防止手段Fは、図19に示すように、前記操作軸42及び両外装固定バンド63のネジ軸63Aを両側方から挾持固定するための半円弧状の第1・第2挾持凹部65a、65bを形成してある一対の挾持杆65と、両挾持杆65の長手方向の複数箇所を締め付け固定するボルト66・ナット67とを備え、前記挾持杆65の第1挾持凹部65aの下面側部位には、第1押圧部材50の上面側に当接して止水手段D1が水圧で上方に移動することを防止する半割り筒状当り部68が一体形成されている。
【0086】
次に、前記反力受け部材60の両第5係止環62と両第1水道管1に巻回状態で脱着可能に挾持固定された外装固定バンド63の第6係止環64とにわたって装着されている手巻きウインチ38を撤去したのち、前記内側操作軸42Bのネジ部42bに螺合したナット61を取り外して、この内側操作軸42Bから反力受け部材60を抜き出す。
【0087】
さらに、前記内側操作軸42Bに拡径操作ナット53を残したまま、外側操作軸42Aに装着されている操作アーム54を分解して撤去し、当該操作アーム54、第1飛び出し防止手段C、上側の分割ケース体17A、作業用仕切弁16及びフランジ蓋41を止水手段D1の操作軸42から撤去する。
【0088】
〔10〕図20〜図23は、前記止水治具Dの止水手段D1が挿通可能な分岐管部70及び開閉弁71を備えた割T字管72を第2水道管2に外装固定する工程と、前記分岐管部70の連結フランジ70Aに、止水回収用作業ケース73の連結フランジ73Aを水密状態でボルト74・ナット75にて固定連結する工程と、止水解除操作された止水手段D1の止水部を開弁操作された開閉弁71を通して止水回収用作業ケース73内に取り出し、開閉弁71を閉弁操作した状態で止水手段D1を撤去する工程を示す。
【0089】
具体的には、図20に示すように、前記止水手段D1の操作軸42に、前記割T字管72を構成する周方向で複数(当該実施形態では3分割)に分割された分割管状連結体72A,72B、72Bのうち、分岐管部70及び開閉弁71を備えた上側の分割管状連結体72Aを装着し、前記止水手段D1の操作軸42の上端部と両第1水道管1との間に、第2水道管2の分水用ネジ孔2aを止水する止水手段D1が水圧で飛び出すことを防止する前記第2飛び出し防止手段Eを装着する。
【0090】
前記第2飛び出し防止手段Eの装着工程は、前記〔9〕で述べたように、内側操作軸42Bのネジ部42bに外嵌装着した反力受け部材60を、止水手段D1の拡径操作ナット53と内側操作軸42Bのネジ部42bに螺合したナット61とで挾持固定したのち、反力受け部材60の両第5係止環62と両第1水道管1に挾持固定された外装固定バンド63の第6係止環64とにわたって手巻きウインチ38を装着する。
【0091】
次に、図21に示すように、前記両外装固定バンド63のネジ軸63Aにわたって装着されている第3飛び出し防止手段Fを撤去し、前記上側の分割管状連結体72Aを操作軸42に沿って第2水道管2の所定装着位置に下降させ、この上側の分割管状連結体72Aと下側の両分割管状連結体72B,72Bとをボルト76・ナットで水密状態に固定連結する。
【0092】
その後、前記拡径操作ナット53を人為力で緩める側に螺合操作すると、外側操作軸42Aに対して内側操作軸42Bが内方側に移動され、これに伴う第1・第2押圧部材50,51の相対離間移動によって弾性閉塞体52が元の縮径状態に弾性復帰し、第2水道管2の分水用ネジ孔2aの止水が解除される。
【0093】
前記第2飛び出し防止手段Eの両手巻きウインチ38を緩み操作しながら操作軸42を止水回収用作業ケース73に対して上方に引き出し操作して、止水手段D1の止水部を分岐管部70及び開閉弁71を通して止水回収用作業ケース73内に収納し、開閉弁71を操作して開弁操作位置にある弁体71Aを閉弁操作位置に切り替えたのち、図23に示すように、割T字管72の分岐管部70から止水手段D1を保持する止水回収用作業ケース73を撤去する。
【0094】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記相対回転規制手段Aの両分割固定筒体10A,10Bに溶接用貫通孔13を形成して、両分割固定筒体10A,10Bと空気弁7の下側筒部7bとを溶接で固着したが、図24に示すように、前記両分割固定筒体10A,10Bにおける空気弁7の下側筒部7bに対応する周方向複数箇所に、両分割固定筒体10A,10Bと空気弁7の下側筒部7bとを径方向から締め付け固定するための固定ボルト(締結具の一例)78を設けて実施してもよい。
【0095】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、上述の各実施形態では、前記分割固定筒体10A,10Bの一つに、分水栓6の軸受部6Cに外嵌する円筒状の係合部12を固着して、分水栓6と両分割固定筒体10A,10Bとの相対回転を接当阻止するように構成したが、前記係合部12を設けずに、前記分割固定筒体10A,10Bと分水栓6とをボルトや溶接等の適宜の固定手段で固定してもよい。
【0096】
〔第3実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記空気弁7に撤去操作治具Bの撤去操作軸23を連結するにあたって、弁筐体7Aの天板7Bの上面に形成されているカバー7Eを取付けるためのネジ筒部7Cを利用したが、空気弁7が解体不能な状況にある場合では、図25に示すように、前記撤去操作軸23の連結板23Bに、空気弁7の上部に上方から外装可能な筒状で、且つ、その周方向の複数箇所に空気弁7の弁筐体7Aの外周面に対して径方向外方から締め付け固定操作可能な固定ボルト79を備えた連結カバー80をボルト26で固定連結して、前記連結カバー80の複数の固定ボルト79の締め付け固定操作により、撤去操作治具Bの撤去操作軸23と空気弁7とを固定連結してもよい。
【0097】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、前記連結カバー80の少なくとも一部を、前記分水栓6の一部と側面視で重合する位置にまで下方に延長して、この連結カバー80の延長カバー部分と第1接続部材の一例である分水栓6とを、ボルトや溶接等の適宜の固定手段で固定してもよい。この場合、前記連結カバー80が前記相対回転規制手段Aを兼用構成することになる。
【0098】
〔第4実施形態〕
上述の第1実施形態では、水道管1の管壁に形成された分水用ネジ孔2aに螺合接続される第1接続部材を乙形の分水栓6から構成し、第1接続部材に螺合接続される第2接続部材を空気弁から構成したが、図26に示すように、前記第1接続部材を甲形の分水栓82の下胴83から構成し、前記第2接続部材を甲形の分水栓82の上胴84から構成してもよい。
【0099】
前記下胴83の下半部には、水道管2の管壁に形成された分水用ネジ孔2aに螺合接続可能なネジ筒部83Aが形成されているとともに、下胴83上半部には、流路閉止位置に進入操作されたゴム製の閉栓コマ85を水密状態で収納するコマ収納部83Bが形成されている。
【0100】
前記上胴84には、下胴83の流路83aに連通接続されるL字状の分岐流路84aと、当該分岐流路84aの屈曲箇所に対して分水用ネジ孔2aに上下方向で相対向する状態で連通形成されるコマ操作通路84bとが形成されているとともに、前記上胴84の下端筒部84Aの内周面には、下胴83のコマ収納部83Bの外周面に形成された雄ネジに螺合する雌ネジが形成されている。
【0101】
さらに、前記上胴84の上下中間部に突出形成された分岐管部84Bの外周面に形成された雄ネジには第1キャップ86が水密状態で螺合されているとともに、前記上胴84の上端筒部84Cの外周面に形成された雄ネジには第2キャップ87が水密状態で螺合されている。
【0102】
この第4実施形態の図26においては、甲形の分水栓82の下胴83と上胴84とを相対回転不能に固定連結する相対回転規制手段Aが装着されており、この相対回転規制手段Aは、前記下胴83及び上胴84に外装可能な内径を有し、且つ、周方向で複数(当該実施形態では二分割)に分割構成された分割固定筒体10A,10Bと、当該分割固定筒体10A,10B同士を固定連結する締結具(図示せず)を主要構成として備えている。
【0103】
前記一方の分割固定筒体10Aの周方向中央部には、前記上胴84の分岐管部84Bに外嵌する円筒状の係合部12を固着して、上胴84と両分割固定筒体10A,10Bとの相対回転を接当阻止するように構成されているとともに、前記分割固定筒体10A,10Bの下端部の周方向複数箇所には、下胴83の外周面に形成された六角形の回転操作面83bに対して径方向外方から締め付け固定することにより、両分割固定筒体10A,10Bとの相対回転を接当阻止する固定ボルト88が設けられている。
【0104】
さらに、前記両分割固定筒体10A,10Bの天板部には、撤去操作治具Bの撤去操作軸23の連結板23Bがボルト26で固定連結されている。
これ以降の下胴83及び上胴84の撤去工程は、上述の第1実施形態の図5〜図23に基づいて説明した撤去工程と実質的に同一である。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0105】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記分水栓6と空気弁7とに亘る部位に外装固定可能な分割固定筒体10A,10Bに、分水栓6の栓筐体6Aに突出形成された弁操作軸6B用の軸受部6Cに外嵌する筒状の係合部12を設けたが、この係合部12を、軸受部6Cに対して分水栓6の螺合解除側の回転操作方向から係合可能な板状や棒状等の突起部に構成してもよく、さらに、この突起部を複数の分割固定筒体10A,10Bに形成してもよい。
【0106】
(2)前記相対回転規制手段Aとしては、乙形の分水栓6や甲形の分水栓82における下胴83等の第1接続部材と空気弁7や甲形の分水栓82における上胴84等の第2接続部材とを、離脱不能な状態で相対回転を規制できるものであれば、如何なる構造のものを採用してもよい。
【0107】
(3)上述の第1実施形態では、前記撤去用連結板24を、前記撤去操作軸23の下端に一体形成された連結板23Bにボルト26で固定連結したが、前記撤去操作軸23の下端に撤去用連結板24を一体形成してもよい。
【0108】
(4)上述の第1実施形態では、前記止水手段D1の止水部を、前記第1押圧部材50と第2押圧部材51及び弾性閉塞体52とから構成して、第1押圧部材50と第2押圧部材51との相対近接移動に伴う弾性閉塞体52の径方向外方への弾性変形により第2水道管2の分水用ネジ孔2aを止水するように構成したが、前記止水部を、第2水道管2の分水用ネジ孔2aに螺合可能なテーパーネジを形成してある止水コマから構成してもよい。
【0109】
(5)上述の第1実施形態では、両第1水道管1の受口管部1Aにわたって接続された第2水道管2に、第1接続部材としての乙形の分水栓6及び第2接続部材としての空気弁7が接続されている場合を例に挙げて説明したが、水道管としては水道配管系の一部を構成するものであれば、フランジ接合などの他の接合手段で接合された管路構造にも適用することができる。
【0110】
(6)上述の第1実施形態では、前記撤去操作治具Bの撤去操作軸23を第2接続部材の一例である空気弁7の弁筐体7Aに固定連結したが、前記撤去操作軸23を、前記空気弁7の外側を通して第1接続部材の一例である乙形の分水栓6の栓筐体6Aに固定連結してもよい。
さらに、前記撤去操作軸23を、空気弁7と分水栓6との両方に固定連結して、当該撤去操作軸23を、前記空気弁7と分水栓6とを離脱不能で且つ実質的に相対回転不能に固定連結する相対回転規制手段Aに兼用構成させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本願発明は、水道管に螺合接続されている第1接続部材及びこれに螺合接続されている第2接続部材を少ない作業工程数で能率良く確実に撤去することができ、しかも、水道管と第1接続部材との螺合接続箇所から漏水等が発生していても、この漏水対策を撤去作業工程の比較的早い時期に確実に行うことのできる水道配管系の流体機器撤去方法及びそれに用いられる撤去操作治具として良好に利用することができる。
【符号の説明】
【0112】
A 相対回転規制手段
B 撤去操作治具
D 止水治具
D1 止水手段
D2 取付け手段
2 水道管(第2水道管)
2a 分水用ネジ孔
6 第1接続部材(乙形の分水栓)
6A 栓筐体
6B 弁操作軸
6C 軸受部
7 第2接続部材(空気弁)
7A 弁筐体
7C ネジ筒部
7D ボルト
7E カバー
10A 分割固定筒体
10B 分割固定筒体
11 締結具
12 係合部
15 作業用開口部
16 作業用仕切弁
17 作業用ケース
23 撤去操作軸
24 撤去用連結板
24a 貫通孔
25 抜け出し阻止具
27 撤去作業ケース
42 操作軸
72 割T字管
78 固定ボルト
82 甲形の分水栓
83 第1接続部材(下胴)
84 第2接続部材(上胴)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管の管壁に形成された分水用ネジ孔に第1接続部材が螺合接続され、この第1接続部材に第2接続部材が螺合接続されている水道配管系において、前記第1接続部材及び第2接続部材を不断水状態で撤去する水道配管系の流体機器撤去方法であって、
前記第1接続部材と第2接続部材とを相対回転規制手段で離脱不能に連結する工程と、
前記水道管に、前記第1・第2接続部材を水密状態で囲繞可能で、且つ、第1・第2接続部材が通過可能な作業用開口部に作業用仕切弁を装備してある作業用ケースを取付ける工程と、
前記第1接続部材又は第2接続部材に撤去操作治具の撤去操作軸を連結する工程と、
前記作業用ケースに、前記第1・第2接続部材を収納可能な撤去操作治具の撤去作業ケースを、前記第2接続部材又は第1接続部材に連結された撤去操作軸を貫通支持させた状態で取付ける工程と、
前記撤去操作軸を第1接続部材の螺合解除側に回転操作して、前記相対回転規制手段で連結された第1・第2接続部材を水道管から取り外す工程と、
前記撤去操作軸の引き出し操作で第1・第2接続部材を撤去作業ケース内に移送し、前記作業用仕切弁を閉弁操作した状態で撤去作業ケースを作業用ケースから撤去する工程と、
を備えた水道配管系の流体機器撤去方法。
【請求項2】
前記撤去作業ケースの撤去工程後において、
前記作業用ケースに、水道管の分水用ネジ孔を止水可能な止水手段と、当該止水手段の操作軸を貫通支持する状態で作業用ケースに水密状態で連結される取付け手段とを備えた止水治具を取付け、この止水治具の止水手段を開弁操作された作業用仕切弁を通して水道管の分水用ネジ孔に送り込み、当該止水手段の操作軸を止水操作して分水用ネジ孔を止水する工程と、
前記止水治具の止水手段のみを止水状態で水道管に残置したまま、当該止水治具の取付け手段と前記作業用ケースとを水道管から撤去する工程と、
前記止水治具の止水手段が挿通可能な分岐管部及び開閉弁を備えた割T字管を水道管に外装固定し、止水解除操作された止水手段を開弁操作された開閉弁の下流側に取り出し、開閉弁を閉弁操作した状態で止水手段を撤去する工程と、
が備えられている請求項1記載の水道配管系の流体機器撤去方法。
【請求項3】
前記第1接続部材が乙形の分水栓であり、前記第2接続部材が空気弁である請求項1又は2記載の水道配管系の流体機器撤去方法。
【請求項4】
前記第1接続部材が甲形の分水栓の下胴であり、前記第2接続部材が甲形の分水栓の上胴である請求項1又は2記載の水道配管系の流体機器撤去方法。
【請求項5】
前記相対回転規制手段で分水栓と空気弁とを離脱不能に連結する工程が、前記分水栓と空気弁とに亘る部位に、周方向で複数に分割され、且つ、そのうちの少なくとも一つに分水栓の栓筐体に突出形成された弁操作軸用の軸受部に対して分水栓の螺合解除側の回転操作方向から係合可能な係合部が設けられた分割固定筒体を、栓筐体の径方向外方から装着するステップと、複数の分割固定筒体同士を締結具で固定連結するステップと、前記分割固定筒体と空気弁とを溶接又は締結具で固定するステップとから構成されている請求項3記載の水道配管系の流体機器撤去方法。
【請求項6】
前記撤去操作治具の撤去操作軸を空気弁に連結する工程が、前記空気弁の弁筐体の上面の複数箇所に突出形成されているネジ筒部にボルトで固定されているカバーを取り外すステップと、前記撤去操作軸の下端部に固定連結又は固着された撤去用連結板を、前記ネジ筒部に対して相対回転不能に係合させた状態で前記空気弁の弁筐体の上面に装着するステップ、前記撤去用連結板の上方への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止具を、前記ネジ筒部に螺合固定するステップとから構成されている請求項3又は5記載の水道配管系の流体機器撤去方法。
【請求項7】
請求項3、5又は6記載の水道配管系の流体機器撤去方法に用いられる前記撤去操作治具であって、前記空気弁を構成する弁筐体と当該弁筐体の上面の複数箇所に突出形成されているネジ筒部にボルトで固定されるカバーとのうち、前記カバーが取り外された弁筐体のネジ筒部に対して相対回転不能な状態で係合する貫通孔又は切欠きを備えた撤去用連結板と、当該撤去用連結板の上方への抜け出し移動を阻止する状態で前記ネジ筒部に螺合固定される抜け出し阻止具と、前記撤去用連結板に固定連結又は固着される撤去操作軸とが備えられているとともに、前記撤去用連結板と抜け出し阻止具との間に、空気弁の弁筐体と撤去用連結板との相対姿勢の変更を一定範囲内で許容する融通が設けられている撤去操作治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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