説明

水銀灯の点灯時に消費される電力を削減するHID電力削減装置。

【課題】水銀灯の点灯動作を保ち、安全で適格に電力削減を行うことができる。
【解決手段】水銀灯の点灯動作特性を考慮して、入力電圧・始動電流・始動及び再動作を確実に行う回路構成を集約させた。水銀灯へ供給される入力電圧を確認し、省エネモードになった状態でも正常な点灯が行えるように、電圧検知回路2の設定ツマミ5で検知する電圧の設定を行う。周囲温度が極端に低い場合と、水銀灯の点灯始動から定格に達するまでの時間を考慮して、タイマー回路2で5分間の遅延時間を設定している。その後、省エネモードに移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水銀灯の点灯時に消費される電力を削減するために用いるHID電力削減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、水銀灯個々で電力削減を行う装置が利用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の水銀灯の電力削減を目的とした装置は個々に用いられるため、高所に取り付けられている所で作業を行わなければならないことと、設置されている灯数に応じ工事費が嵩み、装置導入にあたって費用対効果面で問題があった。
【0004】
本発明は、水銀灯の数に応じ制御する容量が容易に選択できることと、点滅操作を行う既存の分電盤近辺に設置するため、工事費負担が軽く保守面でも有利である。その装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のHID電力削減装置においては水銀灯の点滅動作の特性を考慮して回路を構成したものである。
【0006】
構成回路の要素として、寒冷地においては放電管の特性上、点灯機能が低下すること、また他の環境においても始動時の電圧変動が点灯開始に影響を与えるため、省エネモードへの切り換わりのタイミングが必要である。
【0007】
その切り換わる時点で50Hz・60Hzの交流の半波時間を超えるとチラツキ・不点灯の要因となるため、切り換わり速度が問題となる。
【0008】
省エネモードに移行する判断として、入力電圧を検知してモードの可否を決定する必要がある。
【0009】
この時、始動時における電流も検知し、併せてモードの可否を決定する。
【0010】
省エネモードの状態で適正な電圧を得られなかった場合には、そのモードを解除する必要がある。また、省エネモード以外の条件においても適正な電圧の範囲で行わなければならない。そのためには変圧器の出力電圧のタップが複数必要となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以下説明するように構成されているので、次に記載されるような効果を奏する。
【0012】
既存の水銀灯の数量と、それを操作する分電盤の回路数に応じ、その容量に適した無駄のない電力削減装置が提供できる。
【0013】
水銀灯の点灯動作を考慮した入力・出力電圧と、始動時の電流を検知して制御を行うため、安定した条件で電力削減が可能となる。
【0014】
設置場所の条件が良いため工事も容易であり、本装置を導入する費用も経済的となり、費用対効果の面で有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の実施の形態を、実施例に基づき図面を参照して説明する。
【0016】
図1において、水銀灯の数量に応じた容量に適合した変圧器(1)を決定する。
この時、電力削減の見込みをタップ設定端子台(7)から選択する。
【0017】
水銀灯へ供給される入力電圧を確認し、省エネモードになった状態でも正常な点灯が行えるように、電圧検知回路(2)の設定ツマミ(5)で検知する電圧の設定を行う。
【0018】
周囲温度が極端に低い場合と、水銀灯の点灯始動から定格に達するまでの時間を考慮して、タイマー回路(2)で約5分間の遅延時間を設定している。その後、省エネモードに移行させる。
【0019】
併せて電流検知モニター回路(3)の電流値を設定し、水銀灯の始動電流を検知させてバイパスモードを維持させ、定格電流を検知した時点から省エネモードに移行させる。
【0020】
バイパスから省エネモードに切り換える、また逆の動作はRY2(6)が行う。切り換わる時点では、水銀灯に加わる電圧は電気的に瞬時無電圧の状態である。この時間が50Hz・60Hzの交流半波以上になると、水銀灯はチラツキ・不点灯を起こす場合がある。これを防ぐため、RY2(6)の応答速度は8msec以内となっている。
【0021】
RY1(4)とRY2(6)の接点のチャタリング動作を防ぐために、タイマー回路(2)で動作移行に遅延時間を設定している。
【0022】
水銀灯の点灯中、本装置内の変圧器は発熱するため、機器収納箱(11)の前面にフィルタ付きの放熱口を設ける。
【0023】
端子台TB1(8)に入力・出力端子を設け、本装置の電気的保護を目的に主幹ブレーカを取り付けた。
【実施例】
【0024】
水銀灯を多く使用している第1・2種エネルギー管理指定工場の電力削減を目的に多方面で活用されている。
【産業上の利用可能性】
【0025】
地球環境に寄与するエネルギー使用の合理化を推進するための省エネルギーを目的とした本装置は産業上、大いに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】HID電力削減装置の回路構成図である。
【図2】HID電力削減装置の外観図である。
【図3】HID電力削減装置の機器配置図である。
【符号の説明】
【0027】
(1) 変圧器(切換タップ付き)
(2) タイマー・電圧検知回路基板
(3) 電流検知モニター
(4) 制御リレー RY1
(5) 電圧設定ツマミ
(6) 切換コンタクタ RY2
(7) 出力電圧タップ設定端子台
(8) 入力・出力端子台
(9) 主幹ブレーカ
(10)放熱口(フィルター付き)
(11)機器収納箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水銀灯のチラツキと不点灯を防止し、適正な電圧で電力削減を行うために、出力電圧を検知する回路(2)(5)を組み込んだHID電力削減装置。
【請求項2】
水銀灯の点灯時に流れる始動電流を検知し、定格電流に到達した後から電力削減を開始する回路(3)を組み込んだHID電力削減装置。
【請求項3】
水銀灯の点灯開始から定格に達する間、電力削減を制御する遅延時間が設定できる回路(2)を組み込んだHID電力削減装置。
【請求項4】
適正な電圧を任意に出力し、電力削減が行えるタップに設定した変圧器(1)(7)を組み込んだHID電力削減装置。
【請求項5】
応答速度が8msec以内のコンタクタ(6)を使用して、定格出力から電力削減に移行する切換時のチラツキをなくす回路を構成したHID電力削減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−287638(P2007−287638A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138259(P2006−138259)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(504337590)
【出願人】(504346433)
【出願人】(504337626)
【Fターム(参考)】