説明

氷を破壊する方法、電動船艇、及び、その使用

本発明は、3つの船殻を備える電動船艇、即ち、トリマラン(4)を用いて氷を破壊するための方法に関し、中央船殻(3)と、推進装置(9)と、左側船殻(1)及び右側船殻(2)と、前記3つの船殻が取り付けられるデッキ(5)とを含む。本発明に従った方法において、氷はトリマランの中央船殻で破壊される。本発明は、3つの船殻を備える電動船艇、即ち、トリマラン(4)にも関し、中央船殻(3)と、推進装置(9)と、左側船殻(1)及び右側船殻(2)と、前記3つの船殻が取り付けられるデッキ(5)とを含む。本発明に従ったトリマランにおいて、推進装置(9)は中央船殻(3)に配置され、中央船殻の長手方向にあるキール(7)は、破氷のための中央船殻の底部の船首(3a)に配置される。本発明は、破氷のためのトリマラン(4)の使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、以下に提示される独立項の前文に従った氷を破壊する方法、電動トリマラン、及び、氷を破壊するためのトリマランの使用である。
【背景技術】
【0002】
トリマランによって、3つの船殻(hull)を有する船、ボート、又は、他の船艇が意味される。本出願において、中央船殻及び側部船殻の用語は、船殻のために使用される。トリマランは、帆船及び内燃機船の両方として既知である。トリマランの3つの船殻の目的は、船艇の安定性を増大することである。3つの船殻は、大きなデッキ地域の形成も可能にする。
【0003】
従来技術のトリマランの殆どは、氷の多い条件で移動するよう設計されておらず、それらは氷条件では極めて不満足に機能する。従来技術のトリマランで何とか氷を破壊しようとするならば、3つの別個の溝が氷内に容易に形成され、破壊された氷の断片は、船艇の船殻の間に詰め込まれる。よって、総破壊抵抗は大きくなる。殆どの破氷船は1つの船殻を有するが、破氷特性の目的のために、それらの船殻形状に関する決定がなされなければならず、その決定は船艇の開放水面特性を低下する。
【0004】
特許公報RU2171203C1にはトリマランが示されており、その船首には水圧破氷装置が取り付けられている。側部船殻の方向に開口する氷分離ウェッジが、船艇の中央船殻内に配置されている。水中翼が中央船殻と側部船殻との間に配置されている。氷は水圧氷切断装置で船艇の前で適切なサイズの断片に切断される。船殻の下の水は空気で飽和され、水中翼の助けを得て、トリマランは氷の上に持ち上がり、然る後、切断装置によって切断される氷は、船艇の重さで破砕される。特にそれは氷切断装置及びトリマランの船首に取り付けられるべきエアバックを必要とするので、この解決法は極めて複雑である。加えて、本公報に従った氷切断装置を備えるトリマランは、氷切断以外の使用のためには不満足に位置付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に現れる上述の問題を低減し或いは解消さえすることが本発明の目的である。
【0006】
本発明の目的は、氷がトリマランで破壊され得る、並びに、氷を破壊するために著しく少量のエネルギが必要とされる方法を達成することである。
【0007】
氷を破壊する氷条件において、さらに、開放水面においても優秀に移動し得る、並びに、両方の環境において特に安定的な船艇を達成することも、本発明の目的である。
【0008】
氷を破壊するときに、小さな波形成抵抗、摩擦抵抗、及び、小さな全抵抗を有する船艇を達成することも、本発明の目的である。
【0009】
氷を破壊するために著しく少量のエネルギを必要とする破氷船艇を達成することが、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
とりわけ、上述の目的を達成するために、本発明に従った氷を破壊する方法、電動トリマラン、及び、氷を破壊するためのトリマランの使用は、同封の独立項の特徴部分中に提示されるものによって特徴付けられる。
【0011】
この本文中に述べられる例示的な用途及び利点は、適用可能であるときには、それが常に特に指摘されていなくとも、本発明に従った氷を破壊する方法、電動トリマラン、及び、氷を破壊するためのトリマランの使用に当て嵌まる。
【0012】
中央船殻と、推進装置と、右側船殻と、左側船殻と、3つの船殻が取り付けられるデッキとを含む、3つの船殻を備える電動船艇、即ち、トリマランを用いて氷を破壊するための本発明に従った典型的な方法において、氷はトリマランの中央船殻によって破壊される。本方法の大きな利点は、例えば、船殻から突出する別個の破氷装置は、破氷のために必要とされず、破氷はトリマランの中央船殻で遂行されることである。船首に向かって船の船尾から見られるときに、右側船殻は中央船殻の右側にあり、左側船殻は中央船殻の左側にある。トリマランにとって典型的な方法において、側部船殻は主船殻とは別個であり、それによって、船艇は特に安定的である。
【0013】
本発明の実施態様に従った方法において、中央船殻の低勾配船首は、氷の上に部分的に配置され、トリマランの船首にあるキールが、先ず氷を打ち、氷が破壊し始める線をその中に創成し、然る後、中央船殻の底部は、氷を著しく下方に押すことによって、氷を打ち且つ破壊するので、氷が中央船殻と著しく同一の幅の地域を破壊する。
【0014】
本発明の実施態様に従った方法において、船艇の長手方向において中央船殻よりもさらに後方に位置付けられる側部船殻は、中央船殻の船首よりも著しく後に氷を打つ。中央船殻が、それらよりも既に前に、氷内に中央船殻の幅を有する通路を破壊するとき、側部船殻が氷を破壊することはより容易である。
【0015】
本発明の実施態様に従った方法において、側部船殻は、船艇の垂直方向において中央船殻よりも高く位置付けられる。この理由のために、側部船殻は、驚くほど容易に少なくとも部分的に氷の上に上がり、氷カバーの縁部を下方に曲げることによって、驚くほど少量のエネルギで氷を破壊するので、側部船殻は、氷を完全に貫通することによって氷を破壊する必要はない。それによって、破氷抵抗は驚くほど小さい。側部船殻の故に、船艇は開放水面及び氷条件の両方においても極めて安定的である。
【0016】
本発明の実施態様に従った方法において、側部船殻は、中央船殻の両側に残る氷を下に曲げ、よって、破壊するので、本質的に側部船殻を含む船艇全体の幅の被破壊通路が氷内に形成される。
【0017】
本発明の実施態様に従った方法において、側部船殻は、本質的に氷を貫通することなしに、氷を下に曲げ、よって、破壊する。側部船殻は、氷を下方に曲げ、驚くほど少量のエネルギで、本質的にそれらの場所で、氷を破壊することができる。何故ならば、中央船殻は、氷内にそれ自体の幅の通路を先ず破壊し、然る後、側部船殻によって押圧される氷場の縁部は、側部船殻に関して中央船殻の側部上に支持を有さないからである。側部船殻によって下に曲げられる氷断片は、中央船殻とより高く位置付けられる側部船殻との間に詰め込まれ得ず、それによって、破氷時の抵抗は驚くほど小さいままである。
【0018】
本発明の実施態様に従った方法において、トリマランの主推進力は、中央船殻内に位置付けられる推進装置内に形成される。推進装置が中央船殻内に配置されるとき、それは氷の多い水内でも水と良好に接触するようになり得るし、水から効果的に漕ぎ出し得る。何故ならば、中央船殻は、氷を十分に小さな断片に破壊するからである。
【0019】
本発明に従った3つの船殻を備える典型的な電動船艇、即ち、トリマランは、中央船殻と、推進装置と、右側船殻及び左側船殻と、3つの船殻が取り付けられるデッキとを含む。本発明に従った典型的なトリマランにおいて、推進装置は中央船殻内に配置され、中央船殻の長手方向のキールが、氷を破壊するために中央船殻の底部の船首に配置される。その破氷特性に加えて、キールは、船艇の船首及び底部を保護し且つ強化もする。本発明に従った船艇は、氷の多い条件及び氷の無い水内の両方において良好に移動することができ、本質的に両方において安定的である。船艇のデッキ地域は、対応する長さの1つの船殻を備える船艇と比較して驚くほど大きく配置され得る。
【0020】
本発明の極めて有利な実施態様によれば、キールは、側部プレートと本質的に同一レベルにある。
【0021】
本発明の実施態様によれば、キールの高さは、40〜100mm、好ましくは、50〜70mmであり、幅は、20〜60mm、好ましくは、30〜50mmである。本発明の実施態様によれば、キールの強調された突出部分は、中央船殻の底部の船首の部分に対して船の長手方向に配置されており、それを用いて、氷は主として破壊され、それによって、それは氷を破壊するときに氷を最も多く打つ。強調された突出部分によって、それを取り囲む中央船殻の底部からのキールの高さが、例えば、40〜100mm、或いは、好ましくは、50〜70mmであることが意味される。ある適用において、キールの強調された突出部分は、水線より約1メートル上で始まり、水線から後向きに2〜8メートル続く。実施態様において、キールは、本質的に船殻全体の長さを有する。本発明の適用によれば、狭いキールは、両側船殻の底部にも配置され、そのキールは、特に氷曲げ特性を向上する。
【0022】
本発明の適用において、トリマランの中央船殻の長さと幅との間の関係は、少なくとも5であり、好ましくは、5〜20、極めて好ましくは、6〜15、特に好ましくは、7〜10である。よって、中央船殻は、驚くほど長く且つ狭く、とりわけ、この故に、それ及び船艇全体は、小さな波形成抵抗及び摩擦抵抗を有する。本発明の実施態様に従った船艇は、開放水面において、1よりも大きいフルード数で機能し得る。氷を破壊するときも、狭い船殻の全抵抗は小さい。ある適用によれば、トリマランの長さは10〜300メートルであり、他によれば、10〜200メートルであり、さらに他によれば、100〜300メートルである。ある適用によれば、トリマランの長さは10〜40メートルであり、好ましくは、11〜30メートルである。ある適用において、トリマランは約18〜22mの長さであり、その最大幅は9〜11mであり、それによって、中央船殻の幅は3〜5mであり、側部船殻の幅は0.5〜1.5mであり、側部船殻と中央船殻との間の距離は1.5〜2mである。
【0023】
本発明の適用において、側部船殻の船首は、船艇の長手方向にいて中央船殻の船首よりも本質的にさらに後方に位置付けられる。トリマランの回転特性は、側部船殻が中央船殻よりも明らかにさらに後方に位置付けられるときに、特に良好である。本発明の特に有利な特性は、側部船殻が中央船殻よりも本質的にさらに後方に位置付けられるトリマランが、それが氷場内に破壊した通路内で回転し得るし、それによって、通路から逃げ得ることである。この種類の回転は、1つの船殻が氷を破壊し得る船艇ではしばしば驚くほど困難であり、その船艇は、一般的には、船首の形状によって、破壊された通路内に舵取られて戻る。
【0024】
本発明の適用において、中央船殻の底部は、船艇の垂直方向において側部船殻の底部よりも本質的に低い。
【0025】
本発明の適用において、水に対する中央船殻の底部の入射角は、10〜45°(度)であり、好ましくは、13〜25°、特に好ましくは、14〜20°である。そのような低勾配の入射角の故に、船艇の船首は、破氷時に、氷の上に部分的に容易に上り、然る後、船艇の船首及び正面部分の底部は、氷を動作の方向に対して傾斜下方並びに斜め前方に押すので、氷は比較的少量のエネルギで破壊して断片になる。
【0026】
本発明の適用において、中央船殻の幅は、船殻の中間地点から船尾に向かって長手方向に減少するか或いは同一のままである。この理由のために、氷は中間船殻と側部船殻との間に容易に詰め込まれ得ない。氷を破壊するとき、側部船殻によって曲げられる氷は、いずれにしても側部船殻と中央船殻との間に容易に詰め込まれ得ない。何故ならば、側部船殻は、は、中央船殻よりも高く上に位置付けられ、氷縁部を主に下方に曲げることのよって、それを破壊するからである。
【0027】
本発明の適用において、側部船殻の後部は、船艇の長手方向において中央船殻の後部と本質的に同一レベルに達する。
【0028】
本発明の適用において、中央船殻の積載量(carrying capacity)は、船艇の外容積の50〜99%、好ましくは、70〜90%、特に好ましくは、80〜90%に対応する。中央船殻が船艇の重量のそのような大きな部分を支持するならば、船艇の技術は、主として中央船殻に集中され得る。大きな外容積(displacement)を備える中央船殻は、それが長いにも拘わらず、驚くほど細く作成され得る。よって、波抵抗及び破氷抵抗は小さい。
【0029】
本発明の適用において、船艇は、中央船殻並びに右側船殻及び左側船殻に加えて、船艇が、例えば、4、5、6、又は、7個の船殻を有するよう、少なくとも1つの船殻を含む。本発明の適用において、船艇は、中央船殻並びに右側船殻及び左側船殻に加えて、2つの補助船殻を含み、それらの船首は、船艇の長手方向において側部船殻の船首よりのさらに後方に位置付けられる。右側補助船殻は、船首に向かって船艇の船尾から見られるときに、右側船殻の右側に位置付けられ、左側補助船殻は、左側船殻の左側に位置付けられる。破氷時、中央船殻は、氷内の中央船殻の幅の地域を先ず破壊する。右側船殻及び左側船殻は、中央船殻よりも後に氷を打ち、本質的に側部船殻の幅で中央船殻の両側に残される氷を下に曲げ、よって、破壊する。側部船殻よりも後でさえも、破壊通路が補助船殻の互いからの距離に本質的に対応するよう、補助船殻は氷を打ち、より多くの氷を曲げる。
【0030】
氷を破壊するためのトリマランの本発明に従った典型的な使用において、トリマランは、この明細書に示される本発明の実施態様の1つに対応する。
【0031】
本発明は、添付の概略図を参照して以下により詳細に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1には、正面から、即ち、船艇の船首の方向から見られるものとして、本発明の第一実施態様に従ったトリマラン4が示されており、そのトリマランは、中央船殻3、左側船殻1、右側船殻2、及び、デッキ5を含み、全ての3つの船殻はデッキに取り付けられている。中央船殻3は、船艇の主船殻を形成し、図面によれば、それは側部船殻1,2よりも広く、船艇4の外容積の最大部分、この実施例では、約85%を支持している。側部船殻1,2は、垂直方向において、中央船殻3よりも高く上にあり、従って、水中でさほど深く浮かばず、それらは船艇4を極めて安定にする。図面において、水面は番号6で印されている。図面からは、極めて大きなデッキも見ることができ、それは、1つの船殻を備える船艇と比較して、本発明に従ったトリマランの利点の1つである。中央船殻の底部の船首部分において、船艇の横方向における本質的に中央には、キール7があり、それは氷の破壊を特に良く増進する。
【0033】
図2は、側部から見られるような本発明の第一実施態様のトリマラン4を示している。図面からは、水面に対する中央船殻3の底部の入射角αが著しく低勾配である、この実施例では、約20°であることを見ることができる。その低勾配入射角の故に、中央船殻の前端部は、氷条件では氷の上に部分的に上がり、それを下向きに押すことによって氷を破壊し、それによって、破壊に必要なエネルギ量は、氷が本質的に水面6の方向に打ち込まれて断片にされる場合に比べて著しくより小さい。側部船殻1は、側部船殻の船首1aが長手方向において中央船殻の船首よりも本質的にさらに後に、この実施例では、中央船殻の中間地点の傍にあるよう、中央船殻3に対して位置付けられている。側部船殻1の底部の船首部分11aは、中央船殻の中間地点の底部31aよりも著しくより高く上にあり、それは船艇4の長手方向における同一地点に位置付けらている。水面6に対する側部船殻1の入射角も、中央船殻3のそれと同じぐらいほぼ低勾配であり、従って、側部船殻1は氷条件において氷の上に部分的に容易に上がり、下に曲がり、よって、それらの下の氷を破壊する。また、中央船殻3よりも高く上にある側部船殻1の場所は、側部船殻1が氷の上に部分的に至り、氷の上に部分的に留まることを助ける。
【0034】
図3は、下から、即ち、船の底部から見られるような本発明の第一実施態様に従ったトリマランを示している。全ての3つの船殻1,2,3は、本質的に長く細く成形されている。中央船殻3の長さと幅との間の関係は、ほぼ6つの部分から成る。図面から、中央船殻3は、その長手方向の中間地点で、即ち、側部船殻の船首1a,2aが位置付けられるのとほぼ同一地点で、その最大幅にある。この実施例において、中央船殻3の幅は、長手方向に中間地点から船尾に向かって減少している。中央船殻3と側部船殻1,2との間の空間は、側部船殻の船首1a,2aの地点から船艇の船尾4bに向かって移動するときに、水面の方向に本質的により狭くならない。とりわけ、この設計の故に、氷は中央船殻と側部船殻との間に蓄積し得ない。
【0035】
図4は、本発明の第二実施態様に従ったトリマランが氷8を破壊する状況を示している。本図面は、トリマランの上から見られるように示されている。図面を可能な限り明瞭にするために、本図面はトリマランの3つの船殻1,2,3のみを示している。図面から、トリマランの中央船殻の船首3a、及び、特に底部の船首部分から突出するよう強調されているキール7が、破壊されるべき氷8を初めに打つべきことを見ることができる。キール7は、中央船殻3を通じて見ることができるよう図面中に示されている。中央船殻3は、氷8内に本質的に中央船殻3の幅の通路を破壊する。中央船殻の後方部分に位置付けられる推進装置9が水から効率的に漕ぎ出し得るよう、中央船殻は氷を小さな断片に破壊する。船艇の長手方向において中央船殻よりもさらに後方に位置付けられる側部船殻1,2は、中央船殻の船首3aよりも著しく後に氷8を打つ。典型的には、側部船殻1,2は、船艇の垂直方向において中央船殻3よりも高く上に位置付けられ、従って、そのような訳で、側部船殻は氷を完全に通り抜けず、氷が下に曲げられ、よって、ほぼ側部船殻1,2の地点で破壊されるよう、それらは氷8を下方に押すだけである。氷は記述の方法で少量のエネルギで比較的容易に曲げられる。何故ならば、下方に押される氷縁部は、側部船殻1,2から見られるように、中央船殻3の側部上で既に支持を有さないからである。中央船殻は氷を小さな断片15に破壊するが、屈曲によって側部船殻によって破壊される氷区画16は大きいままであるが、破壊された通路の幅Lと同等以下の幅を備える船艇が、氷を破壊することなしに、トリマランによって破壊された通路内を容易に移動し得るよう、依然として別個であることを見ることができる。
【0036】
特に本発明に従ったトリマランの破氷能力が本出願中において強調されているが、本発明に従ったトリマランは開放水面においても優秀に働くことが付記されなければならない。
【0037】
図面は本発明の好適な用途を示している。それらは当業者に既知或いは自明であるような、本発明の主要着想の観点から無関係な事柄を別個に示していない。本発明が上述の実施例にのみ限定されず、本発明は以下に提示される請求項の範囲内で変化し得ることは当業者に明らかである。従属項は本発明の幾つかの可能な実施態様を提示しており、それらは、そのようなわけで、本発明の保護の範囲を制約するものと考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第一実施態様に従ったトリマランを正面から、即ち、船首の方向から示す正面図である。
【図2】本発明の泰一実施態様に従ったトリマランを側方から示す側面図である。
【図3】本発明の第一実施態様に従ったトリマランを下方から、即ち、船の底から示す底面図である。
【図4】本発明の第二実施態様に従ったトリマランが氷を破壊する状況を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央船殻と、推進装置と、右側船殻と、左側船殻と、前記3つの船殻が取り付けられるデッキとを含む、3つの船殻を備える電動船艇、即ち、トリマランを用いて氷を破壊する方法であり、当該方法において、氷は前記トリマランの前記中央船殻によって破壊される方法であって、
前記船艇の長手方向において前記中央船殻よりもさらに後方に位置付けられる前記側部船殻は、前記中央船殻の船首よりも実質的に後に氷を打つことによって、前記側部船殻を含む前記船艇全体の幅を本質的に有する被破壊通路が氷内に形成されるよう、前記側部船殻は、前記中央船殻の側部上に残される氷を下に曲げ、よって、破壊することを特徴とする方法。
【請求項2】
当該方法において、前記中央船殻の低勾配船首が氷の上に部分的に配置され、前記トリマランの前記船首内のキールが、先ず氷を打ち、氷が破壊し始める線をその中に創成し、然る後、前記中央船殻の前記底部は、氷を著しく下方に押すことによって、氷を打ち且つ破壊するので、氷が中央船殻と著しく同一の幅の地域を破壊することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記側部船殻は、前記船艇の垂直方向において前記中央船殻よりも高く上に位置付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記側部船殻は、氷を本質的に貫通することなしに、氷を下に曲げ、よって、破壊することを特徴とする、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記トリマランの主推進力は、前記中央船殻内に位置付けられる前記推進装置で形成されることを特徴とする、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
3つの船殻を備える電動船艇、即ち、トリマランであり、推進装置がその中に配置される中央船殻と、右側船殻及び左側船殻と、前記3つの船殻が取り付けられるデッキとを含み、前記中央船殻の長手方向のキールが、氷を破壊するために前記中央船殻の底部の船首部分に配置されるトリマランであって、前記側部船殻の船首は、前記中央船殻の前記船首よりも前記船艇の長手方向において本質的にさらに後方に位置付けられることを特徴とするトリマラン。
【請求項7】
前記キールは、前記側部プレートと本質的に同一レベルにあることを特徴とする、請求項6に記載のトリマラン。
【請求項8】
前記中央船殻の長さと幅との間の関係は、5を超え、好ましくは、5〜20、極めて好ましくは、6〜15、特に好ましくは、7〜10であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のトリマラン。
【請求項9】
前記中央船殻の前記底部は、当該トリマランの垂直方向において前記側部船殻の底部よりも本質的により下に位置付けられることを特徴とする、請求項6乃至8のうちのいずれか1項に記載のトリマラン。
【請求項10】
水に対する前記中央船殻の前記底部の入射角は、10〜45°、好ましくは、13〜25°、特に好ましくは、14〜20°であることを特徴とする、請求項6乃至9のうちのいずれか1項に記載のトリマラン。
【請求項11】
前記中央船殻の幅は、長手方向において前記船殻の中間地点から船尾に向かって減少するか或いは同一のままであることを特徴とする、請求項6乃至10のうちのいずれか1項に記載のトリマラン。
【請求項12】
前記中央船殻の積載量は、前記船殻の外容積の50〜99%、好ましくは、70〜90%、特に好ましくは、80〜90%に対応することを特徴とする、請求項6乃至11のうちのいずれか1項に記載のトリマラン。
【請求項13】
トリマランが請求項6乃至12のうちのいずれか1項に記載のトリマランに従うことを特徴とする、氷を破壊するためのトリマランの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−514723(P2009−514723A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538373(P2008−538373)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【国際出願番号】PCT/FI2006/000358
【国際公開番号】WO2007/054607
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508133444)