説明

汚れ防止装置

【課題】コンロで調理をしていると、油跳ね等が手前に向かって生じる場合があり、その油跳ね等により調理者の衣服が汚れるという不具合が生じる。なお、腹巻き状の汚れ防止具を調理者が衣服の上に装着するものを提案されているが、見栄えが悪い。
【解決手段】カウンタトップCTの下面に引き出し自在であって、克引き出した状態で上方に屈曲する支持部材2を設け、その支持部材2の先端に架設した保持部材3に、本体1内に巻回された汚れ防止スクリーンを取り付けて、本体1から汚れ防止スクリーン1を引き出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルトインコンロで調理する際に、油跳ねなどによる調理者の衣服の汚れを防止する汚れ防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンロでの調理中は油跳ね等が生じ、コンロの周辺が汚れる。そのため、コンロの左右および奥側に板部材を立てて、油跳ね等が板部材で遮られて周囲に飛び散らないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、このものではコンロの奥側と左右方向への油跳ね等は遮蔽することができるが、手前側への油跳ね等を遮蔽することができない。コンロの手前側には調理者が立っているので、手前側に油跳ね等が生じると、油跳ね等が調理者の衣服に付着して衣服が汚れるという不具合が生じる。
【0004】
そこで、調理者の腹部に衣服の上から巻く腹巻き状の汚れ防止具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9-210375号公報(図1)
【特許文献2】特開2002-155407号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2記載の汚れ防止具は、衣服を覆うので油跳ね等が衣服にかかることは防止することができる。ただし、汚れ防止具を装着したままでは調理者の見栄えが悪く、コンロの前から離れる際には、取り外すことが望まれる。
【0006】
ところが、調理中にコンロと他の位置とを頻繁に往復するような場合に、コンロを離れる際に毎回汚れ防止具を外したのでは極めて煩雑で使い勝手が悪いという不具合が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、使い勝手のよい汚れ防止装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による汚れ防止装置は、ビルトイン式のコンロの手前側に位置し、調理中における調理者の衣服前面への汚れを防止する汚れ防止装置において、コンロの左右に、手前に引き出し自在であって、引き出した状態で上方に屈曲させることのできる1対の支持部材を設け、これら支持部材の先端部分を連結部材によって相互に連結するとともに、カウンタトップの手前側端部近傍に、先端縁が連結部材に取り付けられた巻き取り自在の汚れ防止スクリーンを設けたことを特徴とする。
【0009】
汚れ防止スクリーンは連結部材に取り付けられているので、連結部材が手前に引き出されると、汚れ防止スクリーンも手前に引き出される。支持部材は引き出された状態で上方に屈曲するので、支持部材を上方に屈曲させると汚れ防止スクリーンも上方へ立ち上がり、コンロに対して調理者を覆う状態になる。その状態で油跳ね等が手前に向かって生じると、汚れ防止スクリーンによって油跳ね等が遮蔽される。
【0010】
なお、IHコンロでは手前側に若干ながら磁束が漏洩する場合があるが、上記汚れ防止スクリーンが電磁波を遮蔽する機能を備えていれば、漏洩した磁束が汚れ防止スクリーンで遮蔽されて調理者に漏洩磁束が作用することが防止される。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、コンロでの調理中に油跳ね等が手前側に向かって生じても、汚れ防止スクリーンが油跳ね等を遮断し、油跳ね等が調理者の衣服を汚すことを防止することができる。なお、汚れ防止スクリーンはカウンタトップ側に取り付けられているので、何ら取り外すような操作をすることなく、調理者はコンロから離れることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照して、1は本発明による汚れ防止装置の本体である。この本体1はIH式のコンロSが取り付けられているカウンタトップCTの手前側の端縁に固定されている。更に図2を参照して、この本体1の左右には1対の支持部材2が配置されている。この支持部材2は帯状の鉄材で形成されており、後述する磁石11に吸着され得るように構成されている。また、支持部材2はカウンタトップCTの下面に取り付けられたレール21によって、前後方向に引き出し自在に保持されている。ところで、コンロSはカウンタトップCTに開設された窓穴WH内に吊設されており、両レール21はその窓穴WHの左右両側に各々位置するように設けられている。
【0013】
図3を参照して、両支持部材2の各々の先端は左右方向に長手の連結部材3に連結されている。そして、その連結部材3には本体1内に巻回状態で収納されている汚れ防止スクリーン4が取り付けられている。
【0014】
本体1の下面に指を挿入すると、連結部材3に触れることができる。そして、指を連結部材3に掛けて手前に引き出すと、両支持部材2は連結部材3と共に手前に引き出される。更に汚れ防止スクリーン4は本体1から引き出される。なお、汚れ防止スクリーン4は巻き取り方向に付勢力が常に作用しているので、連結部材3が引き出されると、巻き取り方向の付勢力によって張った状態になる。
【0015】
同図(a)の仮想線で示す状態から更に連結部材3を手前に引き出すと、支持部材2の途中位置に形成した関節部22が本体1の手前側に露出する。その状態で連結部材3を上方に引き上げると、支持部材2は関節部22で屈曲し、同図(b)に示す上方に起立した状態になる。そして、支持部材2は磁石11に吸着され、起立した状態が保持される。
【0016】
図4を参照して、両支持部材2が起立した状態では、汚れ防止スクリーン4がコンロSを手前側から覆うことになる。その結果、コンロSで調理中に油跳ね等が生じても、油跳ね等は汚れ防止スクリーン4に遮られて、汚れ防止スクリーン4の更に手前に位置する調理者の衣服まで到達することがない。
【0017】
なお、汚れ防止スクリーン4はベースとなる難燃性の布地の表面に撥水加工や撥油加工が施されたものが望ましい。そして、汚れ防止スクリーン4が汚れたら、本体1から汚れ防止スクリーン4を大きく水平に引き出した状態で、汚れ防止スクリーン4の表面を拭けばよい。
【0018】
ところで、汚れ防止スクリーン4のベースの布地は、難燃性のほか、電磁波を遮蔽する機能を持たせておき、コンロSから手前側に漏洩する磁束を汚れ防止スクリーン4で遮蔽して、調理者に作用させないようにすることが望ましい。また、上記実施の形態では、汚れ防止装置をカウンタトップCTに取り付けたが、コンロSやその他の部材等に取り付けてもよい。
【0019】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】レールの取付位置を示す図
【図3】支持部材の引き出し状態を示す図
【図4】汚れ防止スクリーンを引き出した状態を示す図
【符号の説明】
【0021】
1 本体
2 支持部材
3 連結部材
4 防止スクリーン
11 磁石
21 レール
22 関節部
CT カウンタトップ
S コンロ
WH 窓穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルトイン式のコンロの手前側に位置し、調理中における調理者の衣服前面への汚れを防止する汚れ防止装置において、コンロの左右に、手前に引き出し自在であって、引き出した状態で上方に屈曲させることのできる1対の支持部材を設け、これら支持部材の先端部分を連結部材によって相互に連結するとともに、カウンタトップの手前側端部近傍に、先端縁が連結部材に取り付けられた巻き取り自在の汚れ防止スクリーンを設けたことを特徴とする汚れ防止装置。
【請求項2】
上記汚れ防止スクリーンは電磁波を遮蔽する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の汚れ防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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