説明

汚染土壌中の重金属等の不溶化方法

【課題】長期間の保存や運搬等で、空気や水と接する、または、地中の地下水に含まれる硫酸イオン等の影響を受けないで、安定して保存できる重金属等で汚染された土壌を不溶化する方法を提供する。
【解決手段】汚染土壌にマグネシウム成分80%、カルシウム成分10%、シリコン成分3.5%、イオウ成分3%、アルミニウム1.5%を混合した塩基性物質を添加又は混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に添加又は混合することにより、重金属等で汚染された土壌を安定して不溶化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属等で汚染された土壌を不溶化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重金属等で汚染された土壌の処理方法としては、「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針および運用基準」(1999年1月)及び「土壌汚染対策法」(2002年5月制定)に
(1)土壌にセメント等の固化剤を混合して物理化学的に固形化する方法。
(2)土壌に不溶化の薬剤を混合して化学的に不溶化する方法などがある。
このような重金属類で汚染された土壌によって誘引される問題解決のため、汚染土壌の最終処分地への運搬や、薬剤による化学的処理、コンクリート等による物理化学的に固形化する処理などが採用されている。
【0003】
そして、このような生物膜はが効率良く排水中の有機物を処理するので、BOD容積負荷が活性汚泥法の5倍前後もあるため、り極めて効率のよい排水処理方法である。しかし、生物膜処理法は、元々はBODが低く水量の多い排水場合に有利な処理法であり、3次処理に使用されていた。しかしながらそして、ここ数年らい近年では、BOD容積負荷が高い点に着目して1次処理や2次処理にも使用され始めているるようになった。尚また、回転接触曝気法、や嫌気性浸漬濾床、散水撒水濾床など等も、BOD容積負荷が高い処理方法である。
【特許文献1】特開2004‐66183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のコンクリート等を添加混合し固形化させた場合は、陰イオンと陽イオンの両方に化学変化する両性イオン(例えば、鉛)が溶出したり、フッ素が溶出するなど重金属等を確実に不溶化することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、長期間の保存や運搬等で、空気や水と接する、または、地中の地下水に含まれる硫酸イオン等の影響を受けないで、安定して保存できる重金属等で汚染された土壌を不溶化する方法を提供することを目的としている。
【0006】
尚、ここに定義する重金属等とは、鉛、砒素、クロム、カドミウム、ホウ素、フッ素をいう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の汚染土壌中の重金属等の不溶化方法は、上記目的を達成するために、汚染土壌にマグネシウム成分80%、カルシウム成分10%、シリコン成分3.5%、イオウ成分3%、アルミニウム1.5%を混合した塩基性物質を添加又は混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に添加又は混合することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汚染土壌に含有する重金属等を安定して不溶化処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
請求項1に記載の発明は、重金属等で汚染された汚染土壌を不溶化する方法であって、前記汚染土壌にマグネシウム成分80%、カルシウム成分10%、シリコン成分3.5%、イオウ成分3%、アルミニウム1.5%を混合した塩基性物質を添加又は混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に添加又は混合することを特徴とするものである。
【0010】
これにより、塩基性物質を構成するマグネシウム成分(水酸化マグネシウム)と硫酸塩により、不溶化土壌のpH値を安定させることができ、重金属等の溶出ということもなく、安定して不溶化させることができる。
【0011】
また、カルシウム成分と硫酸塩とが反応し、硫酸カルシウムを生成することにより、不溶化前処理土壌を固化することができ地中への埋め戻しの際には地盤強化につながる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、重金属等で汚染された汚染土壌を不溶化する方法であって、前記汚染土壌にイオウ成分75%、アルミニウム成分23%を混合した塩基性物質を添加又は混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に添加又は混合することを特徴とするものである。
【0013】
これにより、塩基性物質を構成するアルミニウム成分(水酸化アルミニウム)と硫酸塩により、硫酸アルミニウムを形成し、不溶化土壌のpH値を安定させることができ、重金属等の溶出ということもなく、安定して不溶化させることができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、重金属等で汚染された汚染土壌を不溶化する方法であって、前記汚染土壌にカルシウム成分35%、イオウ成分30%、鉄成分30%を混合した塩基性物質を添加又は混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に添加又は混合することを特徴とするものである。
【0015】
これにより、塩基性物質を構成するカルシウム成分(水酸化カルシウム)と硫酸塩により、硫酸カルシウムを形成するとともに、鉄化合物を形成し、不溶化土壌のpH値の緩衝性を実現させることができ、重金属等の溶出ということもなく、安定して不溶化させることができる。
【0016】
本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
フッ素で汚染された汚染土壌の含水率を15%から20%に調整した後、マグネシウム成分80%、カルシウム成分10%、シリコン成分3.5%、イオウ成分3%、アルミニウム1.5%を混合した塩基性物質を添加、攪拌混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を混合、攪拌し1日放置した後、この土壌に含まれる液体のpHを測定し、この液体からのフッ素及びフッ素化合物の溶出濃度をJISに定める方法(JIS K0102)により測定した。
【0018】
フッ素で汚染された汚染土壌の初期のpHは7.6であり、地下水のフッ素溶出量は、2.3mg/Lであったが、塩基性物質を添加、攪拌混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を混合、攪拌し1日放置した検液では、pHは9.2、フッ素溶出量は0.0015mg/Lであり、このことから、アルカリ条件下で鉱物として安定することが判った。
【0019】
また、フッ素で汚染された汚染土壌の含水率を15%から20%に調整した後、イオウ成分75%、アルミニウム成分23%を混合した塩基性物質を添加又は混合した塩基性物質を添加、攪拌混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を混合、攪拌し1日放置した後、この土壌に含まれる液体のpHを測定し、この液体からのフッ素及びフッ素化合物の溶出濃度をJISに定める方法(JIS K0102)により測定した。
【0020】
フッ素で汚染された汚染土壌の初期のpHは7.6であり、地下水のフッ素溶出量は、2.3mg/Lであったが、塩基性物質を添加、攪拌混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を混合、攪拌し1日放置した検液では、pHは9.4、フッ素溶出量は0.0012mg/Lであり、このことから、アルカリ条件下で鉱物として安定することが判った。
【0021】
また、フッ素で汚染された汚染土壌の含水率を15%から20%に調整した後、カルシウム成分35%、イオウ成分30%、鉄成分30%を混合した塩基性物質を添加、攪拌混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に混合、攪拌し、1日放置した後、この土壌に含まれる液体のpHを測定し、この液体からのフッ素及びフッ素化合物の溶出濃度をJISに定める方法(JIS K0102)により測定した。
【0022】
フッ素で汚染された汚染土壌の初期のpHは7.6であり、地下水のフッ素溶出量は、2.3mg/Lであったが、塩基性物質を添加、攪拌混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を混合、攪拌し1日放置した検液では、pHは10.4、フッ素溶出量は0.0016mg/Lであり、このことから、アルカリ条件下で鉱物として安定することが判った。
【0023】
このように、塩基性物質を添加、混合し、さらに硫酸塩を混合、攪拌することで、土壌に含まれる重金属等がアルカリ条件下で鉱物として安定することができる。
【0024】
なお、ここでの重金属の不溶化方法は、重金属で汚染された土壌を掘削し、地上で塩基性物質を添加、混合し、さらに硫酸塩を混合、攪拌することについての上述したが、重金属で汚染された土壌が表層の場合には、建設重機であるスタビライザーや、バックホウを用いて表層部を混合することができ、土壌の深層部の混合には塩基性物質と硫酸塩を粉体状や、スラリー状で注入するパワーブレンダーを用いることもできる。
【0025】
尚、浄化する敷地が広い場合には、ベルトコンベヤによる混合方法もよく、逆に浄化する敷地が狭い場合には、トロンメルを利用して混合しても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属等で汚染された汚染土壌を不溶化する方法であって、前記汚染土壌にマグネシウム成分80%、カルシウム成分10%、シリコン成分3.5%、イオウ成分3%、アルミニウム1.5%を混合した塩基性物質を添加又は混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に添加又は混合することを特徴とする汚染土壌中の重金属等の不溶化方法。
【請求項2】
重金属等で汚染された汚染土壌を不溶化する方法であって、前記汚染土壌にイオウ成分75%、アルミニウム成分23%を混合した塩基性物質を添加又は混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に添加又は混合することを特徴とする汚染土壌中の重金属等の不溶化方法。
【請求項3】
重金属等で汚染された汚染土壌を不溶化する方法であって、前記汚染土壌にカルシウム成分35%、イオウ成分30%、鉄成分30%を混合した塩基性物質を添加又は混合し、不溶化前処理土壌とした後、鉄又はマンガンの硫酸塩を前記不溶化前処理土壌に添加又は混合することを特徴とする汚染土壌中の重金属等の不溶化方法。

【公開番号】特開2009−11956(P2009−11956A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177927(P2007−177927)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】