説明

汚泥ケーキをコンポスト化する方法。

【課題】従来の汚泥ケーキをコンポスト化するシステムは連続運転を基本にしていたため、装置が複雑で大型になる欠点がありました。間欠運転においてはその運転方法が(時間的スケジュールや脱水のレベル等)明確でありませんでした。
そのため全体の効率が悪く、製品となったコンポストの品質も一定しませんでした。
【解決手段】本発明は、2個の醗酵槽をもつ汚泥処理システムを用いる。約含水率90%程度の汚泥ケーキを一次醗酵槽で含水率50%程度になるまで醗酵させる。それを二次醗酵槽で含水率40%程度になるまで醗酵させ、その後自然醗酵で完熟させる。約40日を1サイクルとする間欠的な運転を行う。以上の運転方法で汚泥ケーキを効率的にコンポスト化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活雑排水の汚水処理施設(公共下水道、特定環境保全公共下水道、合併処理浄化槽、農業集落排水等)から排出される余剰汚泥(汚泥ケーキという)をコンポスト(農業肥料の原料)化する汚泥処理システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥処理システムに利用される醗酵槽の構造については特許登録(特許3005462号など)されていますが、システムの運転方法に関するものは発見できませんでした。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の汚泥ケーキをコンポスト化するシステムは連続運転をを基本にしていたため、装置が複雑で大型になる欠点がありました。そのシステムを運用する運転方法(時間的スケジュールや脱水のレベル等)も明確でありませんでした。
そのため全体の効率が悪く、製品となったコンポストの品質も一定しませんでした。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、汚泥処理システムを間欠運転すると共に、その運転方法を明確に規定することです。。
図1は汚泥処理システムの構成図です。
ホッパ1は一次醗酵槽2の入り口に装着されています。一次醗酵槽2の出口はバケットコンベアー3によって二次醗酵槽4の入り口に接続されています。二次醗酵槽4の出口はバケットコンベアー5によってペレット加工機6の入り口に接続されています。ペレット加工機6の出口からペレット状の農業肥料がが生産されます。
図2は汚泥ケーキをコンポスト化するシステムの運転方法の説明図です。
解りやすくするため、各醗酵槽を二つに分けてあります。
1) まず汚泥ケーキをホッパ1を介して一次醗酵槽2に投入します。それを一次醗酵槽2内の図示されない攪拌機と槽底部より供給される高温空気によってベース菌と混合しながら醗酵させ、含水率約35%以下の菌床A0を作ります。
2) A0に含水率90%程度に脱水した汚泥ケーキB0を投入し、それが含水率65%程度になるまで高温の空気を吹き込みながら攪拌します。
3) その後A0+B0の含水率が50±5%程度になるまで24〜72時間以上かけて30〜80℃の高温状態で攪拌しながら醗酵させ、処理物C0を作ります。
(水分、温度、酸素量等の醗酵諸条件を適正に保つと、48時間内に醗酵、分解し処理物C0は投入量の約5分の1になります)
4) 次の醗酵に必要な菌床を作成するため、処理物D0を設計値より算出して一次醗酵槽2内に残します。
5) 余りの処理物E0をそのまま(含水率50±5%程度の状態で)二次醗酵槽4にバケットコンベアー3で移送します。
6) 二次醗酵槽に移送した処理物E0は処理物温度約30℃以上、含水率約40%以上の状態で給気しながら熟成醗酵させます。最終的に処理物E0は投入量A0の8分の1から10分の1になります。
7) 一次醗酵槽に残した処理物D0を含水率40±5%程度になるまで高温攪拌醗酵させ菌床A1を作ります。
8) 一次醗酵槽に新たに汚泥ケーキB1を投入します。
9) 以上2)〜8)を約30日間繰り返します。
10)二次醗酵槽4には順次含水率40〜50%程度の一次醗酵処理物がE1+E2+E3・・+E30と堆積されます。その状態で、6)の運転を持続させます。
11)約30日後一旦一次醗酵槽2の運転を休止します。
12)二次醗酵槽4を自然醗酵状態に保ち(必要なら加温や給気をする)約10日間程度寝かせて熟成し、完熟させます。。
13)運転開始から約40日後、二次醗酵槽内4の二次醗酵終了処理物を殺菌、脱臭のため約60℃以上約6時間以上で高温乾燥させ、含水率30%〜40%程度のコンポストにします。
以上汚泥ケーキをコンポストにする運転方法を説明しました。
このコンポストをペレット加工機6によって造粒加工し、ペレット状の農業肥料を生産します。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、上記工程を行うことで含水率90%程度の余剰汚泥を投棄や焼却せずに、完熟したコンポストに生成し、農業肥料として土壌に返還して環境汚染を守る効果があります。。又出来たコンポストは窒素3±2%、リン酸2±0.5%、カリ1±0.5%を含有する優秀な肥料になります。それにカルシウム、ミネラル、キトサン、ナトリウム等を添加すれば最高のぼかし肥料になります。。
【発明を実施するための最良の形態・実施例】
【0006】
本発明の方法は脱水機、濃縮機のどちらの設備でも使用可能です。攪拌羽送風タイプ縦攪拌醗酵機は同一機種を使用すれば、設備投資の削減、メンテナンスの効率化に最適です。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る余剰汚泥コンポスト化システムの構成図です。
【図2】本発明に係る余剰汚泥コンポスト化システムの運転方法の説明図です。
【符号の説明】
1 ホッパー、2 一次醗酵槽、3 バケットコンベアー、4 二次醗酵槽、5 バケットコンベアー、6 ペレット加工機

【特許請求の範囲】
一次、二次の2個の醗酵槽を持つ汚泥処理システムにおいて、
1) 汚泥ケーキを一次醗酵槽に投入し、含水率約35%以下の菌床A0を生成する。
2) A0に含水率90%程度に脱水した汚泥ケーキB0を投入し、その含水率が65%程度になるまで高温度の空気を吹き込みながら攪拌する。
3) その後含水率が50±5%程度になるまで24〜72時間以上掛けて高温攪拌醗酵運転し処理物C0を作る。
4) 次の醗酵に必要な菌床量を算出し、一次醗酵槽に処理物D0として残す。
5) C0からD0を差し引いたを処理物E0を、含水率50±5%程度の状態のままで二次醗酵槽に移送する。
6) 二次醗酵槽に移送した処理物E0は処理物温度約30℃以上、含水率約40%以上の状態で給気させ、十分醗酵するように運転する。
7) 一次醗酵槽に残した処理物D0を含水率40±5%程度になるまで高温攪拌醗酵させ菌床A1を作る。
8) 一次醗酵槽に新たに汚泥ケーキB1を投入する。
9) 以上2)〜8)を約30日間繰り返し実施する。
10)二次醗酵槽には順次含水率40〜50%程度の一次醗酵処理物E1、E2、E3・・E30が堆積される。その状態で、6)の運転を持続する。
11)約30日後一次醗酵槽の運転を休止する。
12)二次醗酵槽を自然醗酵状態に保ち(必要なら加温や給気をする)約10日間寝かせ熟成、完熟させる。
13)運転開始から約40日後、二次醗酵槽内の二次醗酵終了処理物を殺菌、脱臭のため約60℃以上約6時間以上で高温乾燥させ、含水率30%〜40%程度のコンポストにする。
以上の運転を行い、汚泥ケーキをコンポスト化する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−151782(P2006−151782A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374841(P2004−374841)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(504475098)
【Fターム(参考)】