説明

汚泥分離モジュールおよび汚泥分離システム

【課題】膜モジュールの有効面積を維持しつつ、低コスト化を図ることができる汚泥分離モジュールおよびそれを用いた汚泥分離システムを提供することである。
【解決手段】本発明に係る汚泥分離モジュール300およびそれを用いた汚泥分離システム100においては、膜モジュール320の原水導入側320aにノズル310を備える。ノズル310は、膜モジュール320の原水導入側の略全面に原水を噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜モジュールを使用して原水タンクの汚泥原水を濾過する汚泥分離モジュールおよびそれを用いた汚泥分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、汚泥等の個液分離に関しては、平膜型、チューブラー型の膜モジュールを処理槽内に浸漬して圧力をかけることにより濾過水を得る方式が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被処理水の濾過水量を十分に確保しやすい浄化槽およびその運転方法について開示されている。
【0004】
特許文献1記載の浄化槽の運転方法では、濾過膜の多数を並設した膜分離装置を内装するとともに、濾過膜の下方に散気管を設けた膜分離槽を形成してある浄化槽の運転方法であって、予め被処理水を膜分離槽との間で移流、返送可能な脱窒素槽を設け、脱窒素槽から膜分離槽に定常的に被処理水を供給する被処理水供給装置を設け、被処理水供給装置から膜分離槽に過剰に供給された被処理水を脱窒素槽に返送する返送路を設けておき、散気管に常時空気供給するとともに、濾過膜から濾液回収を行う稼働状態と、濾液回収を停止する稼働停止状態とを繰り返す第一工程、および、第一工程における稼働停止状態の時間よりも長く濾過膜から濾液回収を停止する第二工程を交互に繰り返すものである。
【0005】
また、特許文献2には、長期間にわたって安定した運転を可能にする浸漬型膜分離装置の運転方法について開示されている。
【0006】
特許文献2記載の浸漬型膜分離装置の運転方法では、被処理水を活性汚泥により処理する処理槽に設置された中空糸膜モジュールによる被処理水の濾過工程と、濾過方向とは逆方向に洗浄水を中空糸膜モジュールに流して中空糸膜モジュールを逆流水洗浄する逆洗工程と、を繰り返し行う浸漬型膜分離装置の運転方法であって、逆洗工程は、塩素又は酸を含む洗浄水を中空糸膜モジュールに流して中空糸膜モジュールを逆流水洗浄する薬液逆洗工程と、薬液逆洗工程後に、清澄水を中空糸膜モジュールに流して中空糸膜モジュールを逆流水洗浄する水逆洗工程と、を備えることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−94591号公報
【特許文献2】特開2010−247120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、特許文献1の浄化槽およびその運転方法は、濾過時にエアーを常時または間欠的に供給し、気泡を固形物質に衝突させて剥離して膜の目詰まりを起こりにくくするものである。
また、特許文献2の浸漬型膜分離装置の運転方法は、二次側(濾過経路側)にエアーを供給しつつ、薬液と共に逆洗浄を行うものである。
【0009】
以上のように、特許文献1または2に記載の各運転方法のいずれも、エアーを利用した洗浄を実施している。エアーを使用する場合、気泡の大きさ、または数量等を制御する必要がある。
当該エアーの供給を制御するためには、散気管等の装置が別途必要となりコストが上昇する。また、エアーを供給するためのコンプレッサおよびボンベ等が別途必要となるため、さらにコストが上昇する。特に、エアー供給に関してはランニングコストが極めて高くなり、汚泥分離システムにおける大きな問題である。
【0010】
本発明の目的は、膜モジュールの有効面積を維持しつつ、低コスト化を図ることができる汚泥分離モジュールおよびそれを用いた汚泥分離システムを提供することである。
【0011】
(1)
一局面に従う汚泥分離モジュールは、原水に含まれる汚泥を膜モジュールにより分離する汚泥分離モジュールにおいて、膜モジュールの原水導入側にノズルを備える。ノズルは、膜モジュールの原水導入側の略全面に原水を噴射する。
【0012】
この場合、汚泥分離モジュールは、膜モジュールに対して原水を噴射するので膜モジュールの原水導入側(膜エレメントの入口)に堆積する汚泥の塊をノズルの噴射による物理的剪断力で除去することができる。したがって、濾過時の有効面積を維持することができるため、透過流束を高く維持することができる。
その結果、膜モジュールの有効面積を維持でき、さらにエアーを利用しないため、汚泥分離システムにおける低コスト化を図ることができる。
【0013】
(2)
汚泥分離モジュールにおいて、膜モジュールは、濾過膜を筒状に形成した中空糸状膜をケーシング内に複数収納されてもよい。
【0014】
この場合、膜モジュールが中空糸状膜からなるので、中空糸状膜の開口部側においてノズルの噴射による大きな物理的剪断力を発生させることができる。したがって、濾過時の有効面積を維持することができる。なお、この場合中空糸状膜の開口部は、ノズルの噴射方向と垂直な面に配設される。
【0015】
(3)
汚泥分離モジュールにおいて、膜モジュールの原水排出側から原水導入側へ原水が循環されるバイパス配管が設けられていることが好ましい。
【0016】
この場合、バイパス配管により膜モジュールの原水排出側から原水導入側へ原水が循環されるので、バイパス配管を流れて還流された水の勢いを利用してノズルからより強く噴射することができる。
【0017】
(4)
汚泥分離モジュールにおいて、ノズルは、第1導入口および第2導入口を備え、第1導入口は、噴出口に流通し、第2導入口は、噴出口の噴出先方向に設けられたディフューザ流路の導入口側に設けられてもよい。
【0018】
この場合、ノズルの第1導入口から導かれた原水は、噴出口から噴射され、当該噴出口から噴射された原水の周囲に第2導入口から導入されたノズル周辺の水が合わされ、ディフューザ流路において高圧かつ高流量の水流として、膜モジュールの原水導入側の略全面に噴射することができる。その結果、膜モジュールの原水導入側に堆積する汚泥の塊をノズルの噴射による物理的剪断力で除去することができる。
特に、第1導入口が循環ポンプから送られてくる原水の流路に直結され、バイパス配管によりノズル周辺に水を還流させて、さらに当該水を第2導入口へ流入させた場合、当該ノズルの噴射による大きな物理的剪断力を発生させることができる。
【0019】
(5)
汚泥分離モジュールにおいて、ノズルは、原水の噴射領域を決定する噴射領域ガイドを有し、噴射領域ガイドにより決定された原水の噴射領域が、膜モジュールの原水導入側の略全面の領域と一致してもよい。
【0020】
この場合、ノズルから噴射された原水が、膜モジュールの原水導入側の略全面の領域と一致するので、噴射された原水が勢いを維持したまま膜モジュールの原水導入側の略全面の領域に噴射することができる。その結果、原水の勢いによる物理的剪断力を最大限に利用することができる。
【0021】
(6)
汚泥分離モジュールにおいて、ディフューザ流路は、噴射領域ガイドからなってもよい。
【0022】
この場合、ディフューザ流路は、噴射領域ガイドからなるので、噴射領域を決定しつつ、膜モジュールの原水導入側に対して、高圧力の原水を噴射することができる。
【0023】
(7)
他の局面に従う汚泥分離システムは、原水に含まれた汚泥を分離する汚泥分離モジュールを用いた汚泥分離システムにおいて、膜モジュールの原水導入側にノズルを備える。ノズルは、膜モジュールの導入側の略全面に原水を噴射する。
【0024】
この場合、汚泥分離システムでは、原水を噴射し、膜モジュールの原水導入側(膜エレメントの入口)に堆積する汚泥の塊をノズルの噴射による物理的剪断力で除去する汚泥分離モジュールを用いるので、汚泥の分離効率を高く維持することができる。
その結果、膜モジュールの有効面積を維持でき、さらにエアーを利用しないため、汚泥分離システムにおける低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態に係る汚泥分離モジュールを用いた汚泥分離システムの一例を示す模式図である。
【図2】汚泥分離モジュールの一例を示す模式的断面図である。
【図3】汚泥分離モジュールのノズルを説明するための模式的断面図である。
【図4】汚泥分離モジュールのノズルを説明するための模式的斜視図である。
【図5】実施例と比較例との結果を示す模式図である。
【図6】実施例と比較例との結果を示す模式図である。
【図7】膜モジュールの他の例を示す模式図である。
【図8】膜モジュールのさらに他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態においては、汚泥分離モジュールを用いた汚泥分離システムの一例を示しつつ説明を行う。
【0027】
(一実施の形態)
まず、図1は、本発明の一実施の形態に係る汚泥分離モジュールを用いた汚泥分離システムの一例を示す模式図である。
【0028】
図1に示すように、汚泥分離システム100は、原水経路200、汚泥分離モジュール300および濾過水経路400を備える。
【0029】
(原水経路)
図1の原水経路200は、原水タンク201、循環ポンプ202、流量計203、圧力計204、逆止弁205、ニードル弁212,213、第1主配管250、第2主配管251および戻し配管254を含む。
【0030】
また、図1の濾過水経路400は、濾過水タンク401、濾過用ポンプ402、逆洗ポンプ403、圧力計404、濾過水流量計405、洗浄水流量計406、逆止弁407、濾過水配管450および逆洗配管451を含む。
【0031】
また、汚泥分離モジュール300は、原水経路200および濾過水経路400の間に設けられ、原水経路200を流れる原水から濾過水経路400へ濾過水を受け渡す機能を有する。当該汚泥分離モジュール300の詳細については後述する。
【0032】
(原水経路の主配管)
次いで、原水経路200の詳細について説明する。原水経路200は、原水タンク201に第1主配管250の一端側(採取口)が接続され、第1主配管250の他端が汚泥分離モジュール300の入口側に接続される。なお、第1主配管250の一端側(採取口)は、原水タンク201の鉛直方向深さの約1/3から2/3までの深さ位置に配設される。
また、第1主配管250には、循環ポンプ202、逆止弁205、ニードル弁213、流量計203および圧力計204が介挿される。
【0033】
第2主配管251の一端側は、汚泥分離モジュール300の出口側に接続され、第2主配管251の他端側は、原水タンク201に接続される。
【0034】
(原水経路の戻し配管)
戻し配管254の一端側は、逆止弁205より汚泥分離モジュール300の入口側の第1主配管250に接続され、戻し配管254の他端側は、原水タンク201に接続される。また、戻し配管254には、ニードル弁212が介挿される。なお、当該戻し配管254は、第1主配管250内を流れる原水の流量を調整できるよう設けられている。詳細は、後述する。
【0035】
(濾過経路)
次いで、図1の濾過水経路400の詳細について説明する。濾過水配管450の一端側は、2つに分岐されており、当該分岐された配管は、汚泥分離モジュール300に接続され、濾過水配管450の他端側は、濾過水タンク401に接続される。
また、濾過水配管450には、圧力計404、濾過用ポンプ402、流量計405、および逆止弁408が介挿されている。
【0036】
さらに、濾過水タンク401の底側に、逆洗配管451の一端が接続され、逆洗配管451の他端が圧力計404よりも濾過水タンク401側の濾過水配管450に接続される。
逆洗配管451には、逆洗ポンプ403、逆止弁407および洗浄水流量計406が介挿される。
【0037】
(濾過動作時の流れ)
図1に示すように、汚泥分離システム100において濾過動作を行う場合、循環ポンプ202が駆動され、原水タンク201から原水が第1主配管250内を流れる。
この場合、第1主配管250に介挿されたニードル弁213と、戻し配管254に介挿されたニードル弁212との開閉を制御することにより、第1主配管250を流れる原水の流量を調整することができる。
【0038】
そして、流量が調整された原水は、循環ポンプ202、逆止弁205、ニードル弁213、流量計203、圧力計204を通過し、汚泥分離モジュール300で濾過が行われる。
汚泥分離モジュール300において濾過された水は、濾過水経路400へ移動され、濾過されず残った原水の一部は、第2主配管251内を流れて原水タンク201へ戻る。
【0039】
また、濾過用ポンプ402が駆動され、汚泥分離モジュール300内の膜モジュール320のケーシング330(図2参照)内が負圧にされる。その結果、膜エレメント321(図2参照)の内側にかかる原水の正圧および膜エレメント321の外側に生じる負圧により濾過を行い、効率よく濾過水を得ることができる。濾過水経路400へ与えられた濾過水は、濾過水配管450内を流れ、圧力計404、流量計405および逆止弁408を介して濾過水タンク401に貯留される。
【0040】
(逆洗浄時の流れ)
図1に示すように、汚泥分離システム100において逆洗浄動作を行う場合、逆洗ポンプ403を駆動され、濾過水タンク401から濾過水が、逆止弁407、洗浄水流量計406を介して逆洗配管451内を流れ、次いで、圧力計404を介して、濾過水配管450内を流れ、汚泥分離モジュール300に供給される。
【0041】
汚泥分離モジュール300に供給された濾過水は、第2主配管251を介して原水タンク201に戻される。
【0042】
(汚泥分離モジュールの構造)
続いて、汚泥分離モジュール300の構造について説明する。図2は、汚泥分離モジュール300の一例を示す模式的断面図であり、図3および図4は、汚泥分離モジュール300のノズル310を説明するための模式図である。
【0043】
図2に示すように、汚泥分離モジュール300は、主にノズル310、膜モジュール320、ケーシング330、およびバイパス配管340を含む。
また、図3および図4に示すように、ノズル310は、第1導入口311、第2導入口312、第1噴出口313およびディフューザ流路314を含む。
【0044】
図2に示すように、膜モジュール320は、ケーシング330内に収容される。膜モジュール320は、複数の中空糸の膜エレメント321からなる。なお、図示していないが、膜モジュール320の原水導入側320aおよび原水排出側320bは、いずれも接着、または互いの膜エレメント321の隙間を閉塞する構造を有する。
【0045】
図2に示すように、膜モジュール320に原水が流れF250の方向で流入される。そして、図3に示すように、第1導入口311から第1噴出口313を通して、噴射流F311が生成される。
一方、第1噴出口313の周囲には、第2導入口312が設けられており、第2導入口312の周囲には、後述するバイパス配管340から還流された原水が存在する。
【0046】
図3に示すように、噴射流F311の流れに従って、バイパス配管340から還流された原水が第2導入口312から流れF312の方向に導入される。そして、噴射流F311と流れF312とが合わさって、ディフューザ流路314から高圧力の流れF314として噴射される。
ディフューザ流路314は、図2および図3に示すように、ディフューザ流路314から噴射される高圧力の流れF314の噴射領域が、膜モジュール320の原水導入側320aの膜エレメント321の開口面(断面方向)が存在する領域と一致するように形成されている。
【0047】
その結果、高圧力の流れF314は、膜モジュール320の原水導入側320a(膜エレメント321の入口)に対する物理的剪断力を発生させる。それにより、汚泥が膜モジュール320の原水導入側320aに蓄積されない。
【0048】
そして、高圧力の流れF314が膜モジュール320の各膜エレメント321を通過しつつ濾過され、濾過水は濾過水配管450に流れF450として排出される。
【0049】
一方、濾過されない原水は若干ずつ濃縮されながら、膜モジュール320の原水排出側320bにおいて、一部がバイパス配管340を通して流れF340となり、第2導入口312の近傍に充満され、残りが第2主配管251に流れF251の方向に排出される。
【0050】
ここで、本実施の形態に係る汚泥分離モジュール300における流れおよび噴射流れの割合は、流れF250は10リットルの場合に、流れF450は1リットルであり、流れF251は9リットルであり、流れF314は、40リットルであり、流れF340は30リットルである。
【実施例】
【0051】
(実施例)
本発明に係る汚泥分離システム100の実験を行った。本実験においては、膜エレメント321として、日本ノリット株式会社(NORIT)製のMF(Microfiltlation Membrane)膜、13PE、F4835を108本用いた。当該膜形状は、中空糸であり、中空糸内径は5.2mmであり、内径膜材質は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる。
さらに、噴射用のノズル310としてスプレーイングシステムスジャパンのタンクミキシングエダクタ(Y33180−PP)を用いた。
また、原水の排水浮遊物質(SS)濃度は、9700mg/Lに設定した。
【0052】
さらに、循環ポンプ202として、荏原製作所製(MDPA40)を用いた。また、循環ポンプ202は、10L/minの定量吐出となるように、ニードル弁213およびニードル弁212を用いて調整を行った。
さらに濾過ポンプ402として、兵神装備株式会社(NY15)を用いた。
また、濾過用ポンプ402は、1L/minの設定流量となるようインバータ制御を行った。
さらに逆洗ポンプ403として、荏原製作所製(MDPA40)を用いた。また、逆洗ポンプ403は、1L/minの設定流量となるよう、インバータ制御を行った。
【0053】
実施例における逆洗浄動作の頻度は、19分間濾過動作を行った後、1分間の逆洗浄動作を行う条件に設定した。
【0054】
(比較例)
比較例においては、上記の実施例の汚泥分離システム100における汚泥分離モジュール300のノズル310を取り外し、同一条件で実施した。
【0055】
図5および図6は、実施例と比較例との結果を示す模式図である。
【0056】
図5の縦軸は原水圧力(MPa)を示し、横軸は透水時間(min)を示す。
また、図6の縦軸は、透過流束(m/D)を示し、横軸は透水時間(min)を示す。
【0057】
図5の結果から、実施例の汚泥分離モジュール300を用いた場合、比較例と比べて、濾過経時における圧力上昇を大きく抑制できたことがわかる。
また、図6の結果から、実施例の汚泥分離モジュール300を用いた場合、比較例と比べて、濾過経時における透過流束の低下を大きく防止できたことがわかる。
【0058】
(他の例)
なお、上記の実施の形態において、汚泥分離モジュール300として、ノズル310を1個用いることとしたが、これに限定されず、図7および図8に示すように、ノズルを複数個用い、個々の領域を分担させてもよい。図7においては、霧のいけうち製(株式会社いけうち (JJXP−PP))の7個のノズルを用い、それぞれ領域AR1,〜,領域AR7に対して噴射領域を有する。また、図8においては、霧のいけうち製(株式会社いけうち (VVP−PP))11個のノズルを用い、それぞれ領域AR1,〜,領域AR11に対して噴射領域を有する。
【0059】
また、上記のように、ノズル310は、ディフューザ流路314を有することとしたが、これに限定されず、汚泥蓄積を防止し得る充分な圧力で原水を噴出することができる任意のノズルであれば用いることができる。
【0060】
さらに、本実施の形態においては、膜モジュール320として円筒形の膜モジュール320を例示したが、これに限定されず、図8に示すように、角筒形状であってもよく、他の任意の形状であってもよい。
また、本実施の形態において説明した中空糸のチューブ型に限定されず、他のプリーツ型、スパイラル型、モノリス型の膜モジュール320であってもよい。
【0061】
なお、本実施の形態においては、濾過水を逆洗浄動作に使用することとしているが、これに限定されず、薬剤、薬液等を水に混合、または薬剤、薬液等を単独で使用してもよい。
【0062】
以上のように、本実施の形態に係る汚泥分離モジュール300およびそれを用いた汚泥分離システム100においては、ノズル310を用いて膜モジュール320に対して原水を噴射するので、膜モジュール320の原水導入側320aに堆積する汚泥の塊をノズル310の噴射による物理的剪断力で除去することができる。したがって、膜モジュール320の有効面積を維持することができるため、透過流束を高く維持することができる。その結果、膜モジュール320の膜エレメント321の有効面積を維持できる。さらにエアーを利用しないため、汚泥分離システム100における低コスト化を図ることができる。
【0063】
また、ノズル310の第1導入口311から導かれた原水は、ノズル310の第1噴出口313から噴射され、当該第1噴出口313から噴射された原水の周囲に第2導入口312から導入された原水が合わされ、ディフューザ流路314において高圧かつ高流量の原水として、膜モジュール320の原水導入側320aの略全面に噴射することができる。その結果、膜モジュール320の原水導入側320aに堆積する汚泥の塊をノズル310の噴射による物理的剪断力で除去することができる。
【0064】
また、バイパス配管340により膜モジュール320の原水排出側320bから第2導入口312へ原水が循環されるので、原水排出側320bを流れる原水の流速を有効利用することができる。
さらに、ディフェーザ流路314によりガイドされた原水の噴射領域が、膜モジュール320の原水導入側320aの略全面の領域と一致するので、効率よく噴射された原水を膜モジュール320の原水導入側320aの略全面に噴射することができる。
【0065】
本発明においては、膜モジュール320が膜モジュールに相当し、汚泥分離モジュール300が汚泥分離モジュールに相当し、原水導入側320aが原水導入側に相当し、ノズル310がノズルに相当し、第1導入口311が第1導入口に相当し、第2導入口312が第2導入口に相当し、第1噴出口313が噴出口に相当し、ディフューザ流路314がディフューザ流路およびに相当し、バイパス配管340がバイパス配管に相当し、汚泥分離システム100が汚泥分離システムに相当する。
【0066】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0067】
100 汚泥分離システム
300 汚泥分離モジュール
310 ノズル
311 第1導入口
312 第2導入口
313 第1噴出口
314 ディフューザ流路
320 膜モジュール
320a 原水導入側
340 バイパス配管



【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水に含まれる汚泥を膜モジュールにより分離する汚泥分離モジュールにおいて、
前記膜モジュールの原水導入側にノズルを備え、
前記ノズルは、前記膜モジュールの原水導入側の略全面に前記原水を噴射することを特徴とする汚泥分離モジュール。
【請求項2】
前記膜モジュールは、濾過膜を筒状に形成した中空糸状膜をケーシング内に複数収納されたことを特徴とする請求項1記載の汚泥分離モジュール。
【請求項3】
前記膜モジュールの原水排出側から前記原水導入側へ当該原水が循環されるバイパス配管が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥分離モジュール。
【請求項4】
前記ノズルは、第1導入口および第2導入口を備え、
前記第1導入口は、噴出口に流通し、
前記第2導入口は、前記噴出口の噴出先方向に設けられたディフューザ流路の導入口側に設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の汚泥分離モジュール。
【請求項5】
前記ノズルは、原水の噴射領域を決定する噴射領域ガイドを有し、
前記噴射領域ガイドにより決定された原水の噴射領域が、前記膜モジュールの原水導入側の略全面の領域と一致することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の汚泥分離モジュール。
【請求項6】
前記ディフューザ流路は、前記噴射領域ガイドからなることを特徴とする請求項5記載の汚泥分離モジュール。
【請求項7】
前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の汚泥分離モジュールを用いたことを特徴とする汚泥分離システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−176363(P2012−176363A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40765(P2011−40765)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】