説明

汚泥減量装置及び方法

【課題】たとえ少量の汚泥であっても、流路における炭化物及びスケールの発生なしで、従来技術に比してより簡易かつ経済的に(安価に)微生物による分解が容易な様に可溶化し減量化することができる汚泥の減量化装置および方法を提供する。
【解決手段】この可溶化装置1は、汚泥を通すために所定の形状に形成された当該汚泥を熱交換をする流路2と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段3と、前記流路内を、飽和水蒸気圧より高い圧力にする加圧手段5とを備える。生物処理槽から抜き出した汚泥のpHをpH8〜14に調整したものを前記可溶化装置で可溶化し、可溶化した汚泥をpH5〜19に調整して生物処理槽に返送する。この特定の可溶化装置を備える汚泥の減量装置11が上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理により発生する汚泥、特に少量の汚泥を化学的、物理学的手法によって完全に消滅又は大幅に減量する装置及び方法に関する。
【0002】
本発明は、より詳しくは、汚泥のpHを8〜14に調整し、可溶化装置に投入し、この可溶化装置において汚泥を、110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱して微生物易分解な状態に可溶化する際に、当該可溶化を特定の可溶化装置を使用して行うことによって、少量の汚泥を可溶化する場合にも、従来技術に比してより簡易かつ経済的に(安価に)、可溶化又は減量化することができる汚泥の減量装置及び方法等に関する。
【背景技術】
【0003】
下水道処理施設や家庭の浄化槽など排水を生物学的処理により浄化する施設から発生する余剰汚泥は、脱水処理後、一般には産業廃棄物として埋め立て又は焼却処分されている。しかし、近年埋め立て処分地の不足問題や焼却時に燃焼炉の温度を低下させることによるダイオキシン発生の可能性を避けるため、大規模な乾燥装置を導入する必要があり、高額なコスト負担等が問題となっている。
【0004】
余剰汚泥の生物学的減量法としては、従来より好気性、嫌気性微生物を用いた好気性消化法又は嫌気性消化法が知られている。しかし、例えば嫌気性消化法の場合には消化時間が長く消化率が低いという欠点があり、現在ではあまり使われていない。
【0005】
特許文献1には、アルカリ添加及び加熱処理により汚泥を溶解した後、好気性生物学的処理法によって汚泥を減量する方法が開示されている。また、特許文献2には、汚泥を加熱加圧処理した後、破砕処理にて可溶化した汚泥を好気性生物学的処理法にて減量化する方法が開示されている。更に特許文献3には、亜臨界条件下で汚泥を可溶化した後、好気性生物学的処理により汚泥を減量する方法が開示されている。しかしながら、いずれの方法においても汚泥を可溶化した後、好気性生物学的処理にて可溶化した汚泥を代謝分解するためには、汚泥を構成する微生物難分解性物質である細胞壁を完全に可溶化及び低分子化する必要があるのに対し、特許文献1、2及び3に開示される方法では、汚泥の可溶化が充分に行われていないため、汚泥の減量は非常に微量である。
【0006】
一方、従来、可溶化装置には一般的な加熱(熱交換)手段が備えられる。また、これまでに、汚泥の減量方法及び装置において、汚泥を加熱するために使用される加熱(熱交換)手段が多数報告されている(例えば、特許文献4、5及び6等参照)。
【0007】
特許文献4に開示される方法では、汚泥の予熱用熱交換器(加熱手段)として2重管式熱交換器、シェルアンドチューブ式の熱交換器等の使用を開示している。また、特許文献5に開示される装置では、活性汚泥の加温(加熱)手段としてプレート式熱交換器を使用している。特許文献6に開示される装置では、活性汚泥の高温処理(加熱)手段として熱媒を循環させるジャケット方式の円筒型反応槽を使用している。
【0008】
しかしながら、何れの加熱(熱交換)手段を使用する場合においても、これを使用する装置全体が大規模となり、高価となる。また、この場合において、ラージスケールで(大量に)汚泥を可溶化する場合には、汚泥の可溶化性能も十分であり、長期的にみなければ投資の回収はできない。しかも、加熱(熱交換)をするために熱媒体を加熱することを必要とすることにより装置全体が複雑化し、その結果、コストが非常に高くなる等の理由もある。したがって、極めて効率的(簡易かつ経済的)でなく、投資の回収をし難い等の問題があった。更に、これまでの加熱(熱交換)手段を用いる場合では、これにより加熱される汚泥を通すための流路において炭化物やスケールが発生し易いという問題もあった。
【0009】
以上のような情況下に、本発明者により、上記汚泥を減量ないし可溶化する方法又は装置の課題を解決するものとして、生物処理槽から抜き出した汚泥(余剰汚泥)のpHを8〜14に調整し、可溶化装置に投入し、この可溶化装置において汚泥を、110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱して微生物易分解な状態に可溶化し、更に、可溶化した汚泥を前記生物処理槽に返送し、この生物処理槽内のpHを5〜9に調整することにより汚泥を減量する方法及び装置が開示され、このような汚泥の減量(処理)方法及び装置を用いることにより、簡易かつ経済的に余剰汚泥を完全に消滅又は大幅に減量化することができることが報告されている(特許文献7参照)。この減量方法及び装置は、汚泥、特に大量の汚泥を完全に可溶化(消滅)処理又は大幅に減量化処理する方法及び装置として現在使用されている。
【0010】
前記特許文献7の汚泥の減量方法及び装置では、汚泥の可溶化に際して可溶化装置が使用され、この可溶化装置には一般的な加熱(熱交換)手段が備えられる。この装置においては、汚泥を通すための流路における炭化物やスケールの発生は無いものの、イニシャルコストが高く、より簡易かつ経済的に可溶化することが求められる。
【0011】
以上のような情況下に、従来技術、特に前記特許文献7の汚泥の減量方法及び装置について、たとえ少量の汚泥を可溶化する場合であっても、汚泥を通すための流路における炭化物やスケールの発生が無く、より簡易かつ経済的に可溶化することができるよう更に改良されることが期待される。
【0012】
【特許文献1】特公昭49−11813号公報
【特許文献2】特開2000−354896号公報
【特許文献3】特開2000−218285号公報
【特許文献4】特開2004−16844号公報
【特許文献5】特開平10−249693号公報
【特許文献6】特開平9−75978号公報
【特許文献7】国際公開第2004/026774号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来技術、特に前記特許文献7の汚泥の減量方法及び装置を更に改良した装置及び方法、即ち汚泥を構成する微生物難分解性物質の細胞壁を短時間で完全に可溶化及び低分子化する汚泥可溶化技術であり有機性汚泥を100%減量する方法及び装置において、たとえ少量の汚泥を可溶化する場合であっても、より簡易かつ経済的に(安価に)可溶化することができるよう更に改良された汚泥の減量装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、特定の構成の可溶化装置(手段)を用いることにより、特に従来技術(前記特許文献7に記載された汚泥の減量方法及び装置)において、更なる改良がなされる。詳しくは、汚泥、特に少量の汚泥の、これを通すための流路における炭化物やスケールの発生を無くした、より簡易かつ経済的な(安価な)完全な可溶化又は大幅な減量化が達成される。この可溶化装置は、汚泥を通すための流路であって、当該汚泥と熱交換をする流路を備え、前記流路を、汚泥を所定の温度(110℃〜350℃)になるよう加熱するために熱等を発生させる加熱手段を備える。また、前記可溶化装置の内部、詳しくは前記流路内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持する加圧手段を備える。前記流路は所定の形状に形成される。即ち、加熱手段の熱源から熱が発生すると、前記流路は、前記加熱手段の熱源による熱、及び当該熱により熱せられた空気、好ましくは対流する当該熱せられた空気により加熱され、即ち前記加熱手段からの熱等を受けて汚泥を所定の温度(110℃〜350℃)にするために必要な温度まで熱せられる。特に、加熱手段として空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段を選択した場合には、この炎発生手段から空気と燃料とを燃焼させることによる炎が発生し、前記流路は、前記炎発生手段による炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気、好ましくは対流する当該熱せられた空気により加熱される。前記流路は所定の形状、即ち、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状、具体的には伝熱面積と流路内の流速とを同時かつ最適に満たす形状、例えばソレノイド状であるので、流路の一次側と二次側(流路の内部と外部)との温度勾配が高くなる(温度差が大きくなる)と共に、その内部の流体の流速が大きくなり、従来に比して汚泥の瞬間的な加熱が達成される。したがって、汚泥を通すための流路における熱分解による汚泥の炭化及びスケールの発生なしで、従来技術(特に上記特許文献7)に比してより簡易かつ経済的な(安価な)汚泥の可溶化又は減量化が達成される。尚、前記伝熱面積と流路内の流速とを同時かつ最適に満たす形状とは、例えば、流路の一次側を200℃上昇させるとき、流速(m/min)/伝熱面積(m2)が0.5〜10、好ましくは1〜8である。
【0015】
即ち、本発明の第一の視点において、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽と、該生物処理槽から抜き出した再転換汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する可溶化装置と、前記生物処理槽から抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14、好ましくは12〜13に調整する手段と、pHを調整した該再転換汚泥を前記可溶化装置に投入する手段と、前記可溶化装置から抜き出した可溶化した再転換汚泥を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段とを備えた汚泥の減量装置において、
前記可溶化装置が、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持する加圧手段とを備え、
前記所定の形状が、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることに特徴を有する汚泥の減量装置(以下、「本発明の汚泥の減量装置」とも称する。)を提供することができる(例えば、図3参照)。
【0016】
本発明の汚泥の減量装置では、前記加熱手段を、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段にすることができる。
【0017】
また、本発明の汚泥の減量装置では、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。更に、前記流体は、循環させた状態にすることがより好ましい。
【0018】
本発明の汚泥の減量装置では、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であるが、具体的には伝熱面積と流路内の流速とを同時かつ最適に満たす形状であり、例えば、流路の一次側を200℃上昇させるとき、流速(m/min)/伝熱面積(m2)が0.5〜10、好ましくは1〜8である。尚、前記所定の形状は、ソレノイド状であることがより好ましい。
【0019】
本発明の汚泥の減量装置では、引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、pHを調整された前記引き抜き汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する可溶化装置と、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽と、前記可溶化装置から抜き出した可溶化した引き抜き汚泥の所定量を前記生物処理槽に投入するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段とを備えた汚泥の減量装置において、
前記可溶化装置に、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持する加圧手段とを備えさせてもよい(例えば、図4参照)。尚、前記加熱手段を、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段にすることができる。また、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であるが、ソレノイド状であることがより好ましい。更に、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。
【0020】
本発明の汚泥の減量装置では、生物学的処理により有機性排水及び可溶化した引き抜き汚泥を分解する排水処理装置と、該排水処理装置から抜き出した引き抜き汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する可溶化装置と、前記排水処理装置から抜き出した引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、前記可溶化装置から抜き出した可溶化した引き抜き汚泥を前記排水処理装置に返送するとともに該排水処理装置内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段とを備えた汚泥の減量装置において、
前記可溶化装置に、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持する加圧手段とを備えさせてもよい(例えば、図5参照)。尚、前記加熱手段を、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段にすることができる。また、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であるが、ソレノイド状であることがより好ましい。更に、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。
【0021】
本発明の汚泥の減量装置では、引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、pHを調整された前記引き抜き汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する第一可溶化装置と、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽と、前記第一可溶化装置から抜き出した可溶化した引き抜き汚泥を前記生物処理槽に投入するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段と、該生物処理槽から抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、pHを調整された前記再転換汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する第二可溶化装置と、前記第二可溶化装置から抜き出した可溶化した再転換汚泥を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段とを備えた汚泥の減量装置において、
前記第一可溶化装置及び/又は前記第二可溶化装置に、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持する加圧手段とを備えさせてもよい(例えば、図6参照)。尚、前記第一可溶化装置及び/又は前記第二可溶化装置において、前記加熱手段を、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段にすることができる。また、前記第一可溶化装置及び/又は前記第二可溶化装置において、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であるが、ソレノイド状であることがより好ましい。更に、前記第一可溶化装置及び/又は前記第二可溶化装置において、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。
【0022】
本発明の第二の視点において、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽から再転換汚泥の少なくとも一部を抜き出し、該抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14、好ましくは12〜13に調整し、pHを調整した前記再転換汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記再転換汚泥の所定量を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法において、
前記pHを調整した前記再転換汚泥の加熱は、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われ、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることに特徴を有する汚泥の減量方法(以下、「本発明の汚泥の減量方法」とも称する。)を提供することができる(例えば、図3参照)。
【0023】
本発明の汚泥の減量方法では、前記加熱を、熱源による熱、及び当該熱により熱せられた空気により行うことができるが、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気により行われることが好ましい。
【0024】
本発明の汚泥の減量方法では、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。
【0025】
本発明の汚泥の減量方法では、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であるが、具体的には伝熱面積と流路内の流速とを同時かつ最適に満たす形状であり、例えば、流路の一次側を200℃上昇させるとき、流速(m/min)/伝熱面積(m2)が0.5〜10、好ましくは1〜8である。尚、前記所定の形状は、ソレノイド状であることがより好ましい。
【0026】
本発明の汚泥の減量方法では、pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記引き抜き汚泥の所定量を、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽に投入するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法において、
前記pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥の加熱が、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われてもよい(例えば、図4参照)。尚、前記加熱は、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気により行われることがより好ましい。また、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であるが、ソレノイド状であることがより好ましい。更に、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。
【0027】
本発明の汚泥の減量方法では、生物学的処理により有機性排水及び可溶化した引き抜き汚泥を分解する排水処理装置から引き抜き汚泥として少なくとも汚泥の一部を抜き出し、該抜き出した引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整し、前記pHを調整した引き抜き汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記引き抜き汚泥の所定量を、前記排水処理装置に返送するとともに該排水処理装置内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法において、
前記pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥の加熱が、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われてもよい(例えば、図5参照)。尚、前記加熱は、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気により行われることがより好ましい。また、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であるが、ソレノイド状であることがより好ましい。更に、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。
【0028】
本発明の汚泥の減量方法では、pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記引き抜き汚泥の所定量を、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽に投入するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整し、該生物処理槽から再転換汚泥の少なくとも一部を抜き出し、該抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14に調整し、pHを調整した前記再転換汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記再転換汚泥の所定量を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法において、
前記pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥及び/又は前記pHを調整した前記再転換汚泥の加熱は、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われてもよい(例えば、図6参照)。尚、前記加熱は、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気により行われることがより好ましい。また、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であるが、ソレノイド状であることがより好ましい。更に、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。
【0029】
本発明の第三の視点において、汚泥を可溶化するための可溶化装置において、
汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、
前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、
前記流路内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持する加圧手段とを備え、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることに特徴を有する汚泥の可溶化装置(以下、「本発明の汚泥の可溶化装置」とも称する。)を提供することができる。
【0030】
本発明の汚泥の可溶化装置では、前記加熱手段を、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段にすることができる。
【0031】
本発明の汚泥の可溶化装置では、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体、好ましくは熱媒油を充填させることが好ましい。
【0032】
本発明において使用する用語については、以下のように定義する。
【0033】
「余剰汚泥」とは、生物学的処理により有機物を代謝分解する排水処理において新たに発生した余剰な微生物で、この微生物が過剰に増加すると汚泥混合液の固液分離が困難となるので除去する必要がある。「引き抜き汚泥」とは、排水又は排水処理装置から系外に引き抜かれた汚泥であり、余剰汚泥や比重分離された初沈汚泥、未処理残渣、排水処理装置以外で発生した廃棄物を含んでもよい。「再転換汚泥」とは、可溶化した引き抜き汚泥を生物学的処理する過程で発生した汚泥であり、引き抜き汚泥を含んでもよい。「再再転換汚泥」とは、可溶化した再転換汚泥を生物学的処理する過程で発生した汚泥であり、再転換汚泥を含んでもよい。
【0034】
「微生物」とは、生物学的処理により有機物を分解するときに作用するあらゆる微生物を意味する。一般的な有機排水の生物学的処理には好気性の微生物が用いられ、Alcaligenes, Bacillus, Escherichia, Flavobacterium, Pseudomonous, Zoogloea等の細菌のほか、多少の糸状菌、繊毛虫類、輪虫類等の原生動物等が含まれる。本発明において用いる微生物には上記一般的な微生物に加えて、その他の好気性菌、通性嫌気性菌、及び嫌気性菌も含まれる。例えば、好気性菌を主体とする酵母菌、子のう菌及びセルロース分解菌、通性嫌気性菌を主体とする蛋白質分解菌、乳酸菌及び枯草菌、並びに嫌気性菌を主体とする光合成菌、窒素固定菌、酢酸菌、メタン菌、水素菌及び酪酸菌等が挙げられる。
【0035】
「生物処理槽」とは、好気的生物学処理又は嫌気的生物学処理により可溶化した汚泥を代謝分解するための槽である。また生物処理槽には第一生物処理槽及び第二生物処理槽を含まない。
【0036】
「好気性処理」とは、主に好気性菌を用いて有機物を代謝分解することを意味し、主に好気性菌を用いればよく具体的手法を規定するものではない。また、「嫌気性処理」とは、主に嫌気性菌を用いて有機物を代謝分解することを意味し、主に嫌気性菌を用いればよく具体的手法を規定するものではない。
【0037】
「汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する」とは、第1義的には汚泥を構成する物質、特に細胞壁を構成する物質が可溶化及び低分子化して微生物の細胞膜を容易に通過する程度になることを意味するが、必ずしも完全に可溶化及び低分子化していなくともよい。
【0038】
「可溶化装置」とは、該可溶化装置内に設けられた流路中を通るpHを調整した汚泥を該可溶化装置内に設けられた加熱手段で加熱することにより汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する装置を意味し、可溶化装置内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持する加圧手段(装置)及び圧力調整弁を備える。また可溶化装置とは第一可溶化装置及び第二可溶化装置を含まない。
【0039】
「固形分」とは、可溶化処理により可溶化した引き抜き汚泥、再転換汚泥又は再再転換汚泥に含まれる浮遊物質及び/又は固体を意味する。「液体分」とは、可溶化処理により可溶化した引き抜き汚泥、再転換汚泥又は再再転換汚泥から、固形分を取り除いた残りを意味する。
【0040】
「可溶化装置、第一可溶化装置又は第二可溶化装置が生物処理槽、第一生物処理槽、第二生物処理槽、脱リン装置又は脱窒装置に付属している」とは、可溶化装置が独自にポンプ等の機器を持たず、これらの槽又は装置に存在するポンプ等の機器に依存して作動することを意味する。
【0041】
「可溶化した汚泥を生物処理槽、第一生物処理槽、第二生物処理槽、排水処理装置、排水処理装置(第二)又は嫌気性処理装置に返送又は投入するとともに該生物処理槽、第一生物処理槽、第二生物処理槽、排水処理装置、排水処理装置(第二)又は嫌気性処理装置内の汚泥のpHを5〜9に調整する」とは、可溶化した汚泥を投入若しくは返送する前又は後、或いは返送又は投入しながら生物処理槽、第一生物処理槽、第二生物処理槽、排水処理装置、排水処理装置(第二)又は嫌気性処理装置に酸等を加えることにより該生物処理槽、第一生物処理槽、第二生物処理槽、排水処理装置、排水処理装置(第二)又は嫌気性処理装置内の汚泥のpHを調整してもよいことを意味する。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、汚泥の可溶化における簡易性及び経済性が高められた汚泥の減量装置を提供する。この汚泥の減量装置(本発明の汚泥の減量装置)は、汚泥、特に少量の汚泥を、当該汚泥を通すための流路における炭化物やスケールの発生なしで、従来技術(特に上記特許文献7)に比してより簡易かつ経済的に(安価に)連続して可溶化又は減量化することができる。
【0043】
更に、本発明により、汚泥、特に少量の汚泥を、当該汚泥を通すための流路におけるスケールの発生なしで、従来技術に比してより簡易かつ経済的に(安価に)連続して可溶化又は減量化することができる汚泥の減量方法や汚泥の可溶化装置をも提供することができる。したがって、本発明は、特に有機性排水処理分野等において、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
本発明には、汚泥、好ましくは少量の汚泥を可溶化するための汚泥の減量方法、汚泥の減量装置及び汚泥の可溶化装置が含まれる。尚、本発明の汚泥の減量装置を中心に図1及び図2を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
(本発明の汚泥の減量装置)
本発明の汚泥の減量装置では、汚泥(可溶化すべき汚泥)を、当該汚泥を通すための流路において熱分解によって汚泥が炭化する(炭化物が発生する)ことやスケールが発生すること等の悪い影響を与えることなく、従来技術に比してより簡易かつ経済的に(安価に)可溶化又は減量化することができる。特に、少量の汚泥をより簡易かつ経済的に(安価に)可溶化又は減量化することができるので、汚泥の減量装置として極めて優れている。
【0046】
図1は本発明の一つの実施形態に係る汚泥の減量装置において使用する可溶化装置の概略構成を示した図である。汚泥の減量装置は、汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する密閉された可溶化装置を備えるが、図1を参照すると、この可溶化装置として特定の可溶化装置1が採用されている。当該可溶化装置1には、加熱手段として汚泥を所定の温度(110℃〜350℃)になるよう加熱するために空気と燃料とを燃焼させて炎4を発生させる炎発生手段(バーナー)3が備えられている。また、流路2が、その内面と、熱源である前記炎4の中心との間に所定の距離(間隔)をとるように、巻回されて配されている。尚、前記可溶化装置1は、その内部、詳しくは前記流路2内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持すると共に汚泥を可溶化装置内に供給する加圧手段(圧力ポンプ)5と前記流路内の圧力を一定にする背圧弁(圧力調整弁)6が備えられている。即ち、この加圧手段5と背圧弁6により当該流路2の汚泥に対する圧力が所定の圧力になるよう加圧・調整されると共に汚泥が可溶化装置内に供給されている。また、前記可溶化装置1では、空気と、前記加熱手段(炎発生手段)3へ燃料の供給をする手段(図示せず)により供給される燃料とを燃焼させて前記加熱手段(炎発生手段)3から炎4が発生し、この得られた炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気、詳しくは対流する当該熱せられた空気により前記流路2が加熱されている。このとき、汚泥が前記流路2の内部を流れ、加熱された前記流路2の内壁と熱交換をするので、汚泥が加熱されることとなる。尚、当該熱せられた空気を対流させるべく、前記加熱手段3及び前記流路2を囲うようにして耐火壁7が備えられているが、必ずしも必要としない。
【0047】
前記流路の形状については、所定の形状、即ち、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状が選択される。具体的には伝熱面積と流路内の流速とを同時かつ最適に満たす形状、例えば、流路の一次側を200℃上昇させるとき、流速(m/min)/伝熱面積(m2)が0.5〜10、好ましくは1〜8の条件を満たす形状が、このような形状に該当する。このような形状としては、例えば、流路(管)を加熱手段の熱源、例えば炎発生手段から発生する炎を中心として巻回した形状(ソレノイド(線輪筒)状)や、流路(管)を予め折り曲げたものを加熱手段の熱源を中心としてこれを取り巻くように配する形状等が挙げられるが、特に、ソレノイド状の形状を選択することが、伝熱率が高い、流量抵抗が少ない、コストが低い(安い)、及び後述する内部に沈降した汚泥内の可溶化しなかった無機物(無機質)を排出しやすい等の理由から好ましい。尚、前記形状としてソレノイド状の形状を選択する場合には、流路を、同心円状に、二重又はそれ以上に巻いた形状としてもよい。
【0048】
前記流路の大きさ(太さや、長さ等)については特に制限は無く、加熱(熱交換)して可溶化すべき汚泥の量や、汚泥の減量装置としての規模等に応じて適宜選択される。
【0049】
前記流路については、その形態に応じて適当な位置に、配設される。例えば、流路の内面と、前記加熱手段の熱源の中心とが所定の間隔をとることができるように、選択される。このときの所定の間隔については前記流路に対する所定の温度での効率的加熱を与えるべく最適な間隔であればよい。例えば、前記流路としてソレノイド状の形状を選択する場合には、前記流路の内面と、前記熱源の中心との間に所定の距離(間隔)が、例えば30〜60cmとなるようにされ、これにより前記流路、詳しくはその内部を通る汚泥を所定の温度で効率的に加熱することができる。尚、前記流路については、後述するように汚泥内の可溶化しなかった無機物(無機質)を排出するために、前記流路としてソレノイド状のものを選択して、汚泥が上方から下方へ、垂直方向に向かって流れるように配設されることが好ましい。
【0050】
前記流路の固定方法については特に制限は無く、一般的な固定方法が選択される。例えば、溶接等により固定する方法等によって固定することができる。
【0051】
本発明において、前記加熱手段については、被加熱物を加熱する通常の加熱手段であれば、汚泥は前記加熱手段の熱源による熱、及び当該熱により熱せられた空気(場合によっては対流する当該熱せられた空気)により加熱される、即ち前記加熱手段からの熱等を受けて汚泥が所定の温度(110℃〜350℃)になるために必要な温度まで熱せられるので、特に制限は無い。空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段を選択することが、前記流路が空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気(場合によっては対流する当該熱せられた空気)により加熱されることから、好ましい。このような炎発生手段として、バーナー等の公知の炎発生器等が挙げられる。尚、一般には、炎発生手段は、供給する燃料の量を制御して発生させる炎の大きさを調節する機能を有している。
【0052】
本発明の汚泥の減量装置において、汚泥を微生物易分解な状態に可溶化するために必要な温度は、110℃〜350℃であるが、コストの面から好ましくは110℃〜300℃、より好ましくは110℃〜250℃、更に好ましくは110℃〜190℃、最も好ましくは110℃〜149℃である。
【0053】
本発明においては、前記加熱手段を制御することにより、例えば、前記加熱手段として前記炎発生手段を選択した場合には、供給する燃料を制御することにより、前記流路内の管壁の温度の調節(制御)が容易に行われる。尚、このときの条件については、加熱すべき汚泥(熱交換される汚泥)の流量及び目的とする加熱温度等に応じて選択すればよい。
【0054】
前記流路及び前記加熱手段については、適当な壁(図1において耐火壁7)によって囲うことができる。このようにした場合には、熱せられた空気が壁内で対流するので、その壁内が所定の温度で維持されるため汚泥への熱伝導性が向上する。尚、当該壁については一般的なものを選択すればよい。また、煙道を設けることにより本発明に係る可溶化装置の設置室内に汚泥の加熱において発生する煙が充満することを防ぐことができ、バーナー等の炎発生手段を選択した場合には、その手段において安定燃焼が得られる。
【0055】
本発明の汚泥の減量装置において使用する可溶化装置には、前記流路の温度を所定の温度で維持するために、更に、加熱手段を制御する手段(例えば、炎発生手段への燃料の供給手段)や、前記汚泥の流量を制御する手段、例えば、流体を定量移送するための手段(流体移送手段)等を備えさせることにより、汚泥を適当な温度に加熱することができる。
【0056】
本発明の汚泥の可溶化装置では、前記流路を有する管を、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設させ、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、適当な流体を充填させることが、前記流路内の温度を均一にすることを可能にすることから、好ましい(例えば、図8参照)。尚、前記流体については特に制限は無いが、熱媒油を使用することができる。また、前記流体については、適当な手段、例えばポンプを使用することにより、管内を循環させることが、前記流路内の温度をより均一にすることを可能にすることから、より好ましい。
【0057】
本発明の汚泥の減量装置において使用する可溶化装置は、下記の二つの特徴を有する:(1)通常、有機物(汚泥)が熱分解により炭化するときは局所的に温度上昇が起こることによる気相反応が起こるが、本発明の汚泥の減量装置において使用する可溶化装置ではその流路において所定の流速が確保されるので気相反応が一定の場所に留まって局所的温度上昇を招くことがない、及び
(2)通常、局所的に気相反応が起こるためには内部圧以上の飽和水蒸気圧を発生させるために必要となる温度まで加熱されなくてはならないが、本発明の汚泥の減量装置において使用する可溶化装置では、その流路内部が飽和水蒸気圧より高い圧力に維持されているので、前記気相反応が極めて起こりにくい。
したがって、当該可溶化装置において、汚泥の熱分解による炭化(汚泥の炭化物の発生)が防止される。
【0058】
また、本発明の汚泥の減量装置において使用する可溶化装置は、上記二つの特徴、即ち所定の流速の確保、及び流路内部の飽和水蒸気圧より高い圧力での維持、を有するので、同様に無機物のスケールの発生も防止される。
【0059】
前記流路内は、そこを通る汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持すると共にこの汚泥を可溶化装置内に供給する加圧手段により所定の温度に対応した飽和蒸気圧より高い圧力にされて汚泥が可溶化装置内に供給される。前記加圧手段については飽和水蒸気圧より高い圧力に維持することができるものであればよく、特に制限は無いが、ダイヤフラム式圧力ポンプ等の公知の圧力ポンプが使用される。
【0060】
前記加圧手段の配設位置については、特に制限は無い。通常は、押出式の液体移送用のポンプを選択して、前記流路より上流側に配設される。
【0061】
前記加圧手段は、公知の手段により調節することができる。例えば、前記圧力を背圧弁、アクチュエーター等の圧力調整弁等の手段により調節可能である。尚、前記圧力調整弁等の配設位置については、特に制限は無い。
【0062】
図2は本発明の一つの実施形態に係る汚泥の減量装置の概略構成を示した図である。図2を参照すると、汚泥の減量装置11は、可溶化した汚泥を好気性処理により分解する生物処理槽14、汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する密閉された可溶化装置1、当該生物処理槽14に投入された余剰汚泥を可溶化装置1へ抜き出す汚泥供給ライン18、汚泥供給ラインに設けられたポンプ(加圧手段)5、アルカリ供給装置(アルカリ処理手段)12、生物処理槽14から抜き出した汚泥にアルカリ供給装置12からアルカリを添加するアルカリ供給ライン、アルカリ供給ラインに設けられたポンプ、可溶化装置1内の微生物易分解な状態に可溶化した汚泥を生物処理槽14に返送する液化汚泥(可溶化した汚泥)投入ライン19を備えてなるものである。この液化汚泥供給(投入)ラインには、汚泥の可溶化を促進する温度保持手段(ホールドタンク)20、同様に液化汚泥供給ラインには、無機物排出手段16が備えられている。生物処理槽14に投入された余剰汚泥13は、汚泥供給ラインによって生物処理槽14から可溶化装置1へ抜き出される。可溶化装置1に抜き出された汚泥は、ポンプを作動させることによりアルカリ供給ラインを介してアルカリが添加され、可溶化装置1で可溶化される。その後、液化汚泥は、可溶化装置1から生物処理槽へ抜き出されて返送され、生物処理槽内で液化汚泥が汚泥(活性汚泥)により消化されることにより余剰汚泥が減量される。
【0063】
本発明において可溶化される汚泥については、有機性汚泥であれば、特に制限は無く、例えば、合併浄化槽や嫌気性処理槽で発生する余剰汚泥や、有機排水等に含まれる初沈汚泥、排水処理装置外で発生した主に有機性の廃棄物等が選択される。また、排水又は排水処理装置から系外に引き抜かれた汚泥(引き抜き汚泥)だけでなく、可溶化した引き抜き汚泥を生物学的処理する過程で発生した汚泥(再転換汚泥)や、可溶化した再転換汚泥を生物学的処理する過程で発生した汚泥(再再転換汚泥)を選択することもできる。
【0064】
尚、本発明の汚泥の減量装置は、特に、「少量」の余剰汚泥に適用可能である。好ましくは、1L/min〜1000L/min程度の汚泥、より好ましくは、1L/min〜100L/min程度の汚泥の場合に適用される。
【0065】
本発明の汚泥の減量装置において、生物処理槽を備えることができるが、この生物処理槽については、好気的生物学処理又は嫌気的生物学処理により可溶化した汚泥を代謝分解するための槽であればよく特に制限は無く、排水処理装置の曝気槽、又は嫌気槽を用いることもできる。
【0066】
本発明の汚泥の減量装置において、特に所定の温度に保持するために十分な時間をとることができない場合には、汚泥の可溶化を促進するため、前記流路において、その可溶化装置と圧力調整弁の間に温度保持手段を設けることができる。前記温度保持手段については、特に制限は無く、温度維持のためのタンク(ホールドタンク)等、公知の又は将来開発され得る手段等を使用することができる。
【0067】
本発明において抜き出された汚泥は、アルカリ処理手段によりアルカリ処理されるが、このとき汚泥のpHは8〜14に調整されることが好ましく、より好ましくは12〜13に調整される。これにより添加されたアルカリの触媒作用によって、可溶化装置中の汚泥が可溶化されBOD化する。即ち本発明の汚泥の減量装置は、アルカリの触媒作用により可溶化した汚泥を生物処理槽中にBOD源として戻すことにより汚泥の減量を図ろうとするものである。
【0068】
有機物(汚泥)の炭化の一つにタンパク質のコゲがあるが、前記のように、アルカリを添加することで、本発明の汚泥の減量装置においてはタンパク質が変性し、その結果、タンパク質のコゲはより発生しない、また、同様に無機物のスケールの発生もより防止される。
【0069】
前記アルカリについては特に制限は無く、例えば、水酸化ナトリウム等、公知のものを使用することができる。
【0070】
本発明の汚泥の減量装置において、嫌気的生物酸化(処理)により発生したメタンガスを用いて可溶化装置における加熱処理の燃料として利用することも可能である。
【0071】
本発明の汚泥の減量装置において、前記可溶化装置及び/又は前記生物処理槽を複数備えさせることができる。このようにすることで、可溶化した引き抜き汚泥を生物学的処理する過程で発生した再転換汚泥を可溶化した後にこれを生物学的処理する過程で発生した再再転換汚泥を更に可溶化することができる。
【0072】
本発明において、可溶化した汚泥については、酸によりそのpHを5〜9の範囲内に調整することができる。したがって、そのような手段を本発明の汚泥の減量装置に備えさせることができる。このとき、生物処理槽、嫌気処理装置又は排水処理装置への酸の添加は、可溶化した汚泥をそれぞれの槽若しくは装置に投入又は返送する前後或いは返送しながら行ってもよく、また可溶化した汚泥に直接行ってもよい。可溶化した汚泥を投入又は返送した後の生物処理槽、嫌気処理装置若しくは処理装置内の汚泥のpHが中性に近い場合或いは5〜9の範囲内である場合には、酸を添加しなくてもよく、この場合は汚泥を更に簡易、迅速かつ経済的に処理することができる。
【0073】
また、生物処理槽、又は嫌気処理若しくは好気処理の排水処理装置から抜き出した引き抜き汚泥、再転換汚泥又は再再転換汚泥は、汚泥の減量装置の何れのライン又は装置或いは槽にも投入或いは返送することができる。更に、可溶化装置から抜き出した液化した汚泥も、汚泥の減量装置、又は嫌気処理若しくは好気処理の排水処理装置の何れのライン又は装置或いは槽にも投入或いは返送することができる。
【0074】
汚泥中には通常、無機質が含まれている。この無機質には汚泥中の溶解性無機質と固体の無機質とがある。本発明の汚泥の減量装置において使用する可溶化装置の流路内では、汚泥が溶解(可溶化)し始めると汚泥のフロック中にある固体の無機質が浮力を失い液化汚泥中に沈降してくる。この沈降した無機質を本発明の汚泥の減量装置外に排出しない場合には前記流路内において無機質が充満して機能を失う可能性もある。本発明の汚泥の減量装置では、前記流路における流速は所定の範囲に保たれているので沈降した無機質を容易に本発明の汚泥の減量装置外に排出することができ、そのようにすることが好ましい。尚、前記沈降した無機質を本発明の汚泥の減量装置外に排出することについては、例えば、公知の無機質のトラップ等を備えさせて行うことができ、特に困難はない。このようにすることで、前記流路内において無機質が充満することがないので、長期にわたって汚泥の減量装置や可溶化装置を運転させることができる。尚、汚泥の減量装置や可溶化装置を停止させて無機質を排出させることがないので、本発明の汚泥の減量装置において使用する可溶化装置は、無機質を排出させながら汚泥の可溶化を連続的に(インラインで)行うことができる。
【0075】
本発明の汚泥の減量装置は、更に、他の手段として、通常汚泥の減量装置に用いられる公知の手段を備えることができ、このような汚泥の減量装置も本発明の汚泥の減量装置に含めることができる。例えば、処理後の排水の水質汚濁を防止し、コストを削減するための汚泥中のリン又は窒素を除去する脱リン装置(手段)又は脱窒装置や、可溶化装置の内部に汚泥の可溶化及び改質を更に促進させるための超音波処理手段(装置)等を備えることができる。
【0076】
また、本発明の汚泥の減量装置においては、更に、好気的処理又は嫌気的処理を行う生物処理槽、汚泥を固液分離する固液分離装置を備えることができる。これにより内部の汚泥混合液は透明な上澄水と汚泥に分離され、上澄水は消毒等の処理の後放流される。
【0077】
更に、本発明の汚泥の減量装置において、前記可溶化装置、前記第一可溶化装置又は前記第二可溶化装置が、前記生物処理槽、前記第一生物処理槽、前記第二生物処理槽、前記脱リン装置、及び前記脱窒装置の少なくとも一つに付属するものとしてもよい。
【0078】
尚、本発明の汚泥の減量装置において、少量の汚泥や汚泥の濃度が低い排水等を可溶化する場合であっても、従来技術に比してより簡易かつ経済的に(安価に)汚泥の可溶化又は減量化を行うことができる。即ち、従来は、装置自体のコストの面から、汚泥の濃度が高くなるよう調整する必要があったが、本発明では、装置自体のコストが低いため、汚泥を濃縮(その体積を減少)する必要が無い。したがって、汚泥濃縮手段(装置)又は汚泥脱水手段(装置)を設けることを要しないのでイニシャルコストを低くできる。
【0079】
上記の各実施形態を組み合わせ、又は当業者に公知の方法で種々の変更を加えたその他の実施形態もまた本発明の範囲に含まれる。例えば、複数の排水処理装置又は生物処理槽のうち、任意の1つ若しくは複数の槽より抜き出した引き抜き汚泥或いは再転換汚泥のpHを8〜14に調整し、引き抜き汚泥を110℃〜350℃で飽和蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、前記可溶化装置から抜き出した可溶化した汚泥を、前記複数の排水処理装置又は生物処理槽のうち、任意の1つ若しくは複数の槽へ返送し、該槽より再転換汚泥又は再々転換汚泥の少なくとも一部を前記複数の排水処理装置を含む生物処理槽のうち、任意の1つ若しくは複数の槽へ投入することとして汚泥を減量することができる。
また、複数の排水処理装置又は生物処理槽のうち、任意の1つ若しくは複数の槽より抜き出した引き抜き汚泥又は再転換汚泥を、前記複数の排水処理装置又は生物処理槽のうち、任意の1つ若しくは複数の槽に投入し、該槽の再転換汚泥の少なくとも一部を抜き出し、抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14に調整し、前記pHを調整した再転換汚泥を110℃〜350℃で飽和蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記再転換汚泥の所定量を前記複数の排水処理装置又は生物処理槽のうち、任意の1つ若しくは複数の槽へ返送することとして汚泥を減量することができる。
更に、前記各汚泥の減量方法において、引き抜き汚泥、再転換汚泥、及び再々転換汚泥は、前記複数の排水処理装置又は生物処理槽のうち、任意の槽間を移送できるものとし、また前記各汚泥の減量方法間も適宜移送できることとする。
尚、前記可溶化した汚泥は可溶化した汚泥を該任意の1つ若しくは複数の槽へ投入する工程において、又は該可溶化した汚泥が投入された該槽内においてpHを5〜9に調整することができる。前記生物処理槽は、好気性処理、嫌気性処理又はその両方を組み合わせた好気嫌気処理の何れも選択することができる。
【0080】
本発明の汚泥の減量装置では、引き抜き汚泥(可溶化すべき汚泥)のpHを8〜14に調整し、110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより汚泥を微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した汚泥のpHを5〜9に調整して生物処理槽で好気性処理又は嫌気性処理により分解することとしたので、未分解の有機性の残渣を発生させることなく経済的に、かつ完全に消滅又は大幅に減量(可溶化)できる。
【0081】
詳しくは、可溶化装置において、110℃〜350℃で、飽和水蒸気圧より高い圧力に加圧するようにしたので、気相反応を抑制し液相反応を促進することができ、熱分解等による生物難分解性物質の生成や油化を抑えることができる。このため、温度上昇による熱エネルギー獲得で化学反応速度が向上するため、短時間で処理することが可能となる。また飽和水蒸気圧より高く加圧することで水のイオン積の低下を抑えることができるため、より効率的に加水分解反応を行うことができる。
【0082】
更に、排水処理施設等で発生する汚泥の量は、各場合によって異なるが、既に提案されている汚泥の減量装置、詳しくは可溶化装置では、大量の汚泥が可溶化及び低分子化される場合を想定しているので、可溶化処理されるべき汚泥の量が少ない場合では、可溶化能力が過剰であるため、相当の年数、例えば5年間程度使用しなければ経済的に(ランニングコストとして)見合わない。一方、本発明では、可溶化すべき汚泥は、たとえその流量が少ない場合であっても、瞬間的に加熱、可溶化されるので極めて経済的である。また、本発明では前記本発明の汚泥の減量装置における記載と同様に、三つの特徴、即ちアルカリの添加、所定の流速の確保、及び流路内部の飽和水蒸気圧より高い圧力での維持により、前記流路の内壁(壁面)に汚泥が熱分解によって付着することは無く、コゲ(炭化物)及び無機物のスケールの発生がなく、従来技術に比して簡易かつ経済的な(安価な)汚泥の可溶化又は減量化が達成される。即ち、本発明では前記記載のように三つの特徴、即ちアルカリの添加、所定の流速の確保、及び流路内部の飽和水蒸気圧より高い圧力での維持により、コゲ(炭化物)及び無機物のスケールの発生がない。したがって、本発明では、従来技術に比して簡易かつ経済的な(安価な)汚泥の可溶化又は減量化が達成されるものである。
【0083】
尚、本発明については、飽和水蒸気圧より高い圧力に維持することに替えて、飽和蒸気圧下に維持して実施することもできる。このとき、飽和蒸気圧下に維持するためには、公知の手段を用いればよい。
【0084】
(本発明の汚泥の減量方法)
本発明の汚泥の減量方法は、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽から再転換汚泥の少なくとも一部を抜き出し、該抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14、好ましくは12〜13に調整し、pHを調整した前記再転換汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記再転換汚泥の所定量を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法等であり、前記pHを調整した前記再転換汚泥の加熱等が、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われる。尚、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状である。
【0085】
特に、本発明の汚泥の減量方法では、引き抜き汚泥や、再転換汚泥、再再転換汚泥を、熱源による熱、及び当該熱により熱せられた空気(好ましくは対流する当該熱せられた空気)により加熱することができるが、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気(好ましくは対流する当該熱せられた空気)により加熱することがより好ましい。
【0086】
したがって、本発明の汚泥の減量方法は、前記本発明の汚泥の減量装置における記載内容を参考にして容易に実施することができる。よって、本発明についても、飽和水蒸気圧より高い圧力に維持することに替えて、飽和蒸気圧下に維持して実施することもできる。
【0087】
更に、本発明の汚泥の減量方法では、例えば、処理後の排水の水質汚濁を防止し、コストを削減するための汚泥中のリン若しくは窒素を除去する脱リン工程又は脱窒工程や、汚泥の可溶化及び改質を更に促進させる超音波処理工程、汚泥の固液分離工程等、通常汚泥の減量方法に用いられる公知の工程を付加することができ、このような汚泥の減量方法も本発明の汚泥の減量方法に含めることができる。
【0088】
本発明の範囲には、当業者に公知の方法で種々の変更を加えたその他の実施形態等もまた含まれる。例えば、排水処理施設より引き抜き汚泥を好気性生物処理する生物処理槽、嫌気性生物処理する嫌気性処理槽、又は一定時間ごとに好気性処理と嫌気性処理を交互に繰り返す間欠曝気槽の少なくとも1つに移送後、前記各槽内の再転換汚泥、又は再再転換汚泥の少なくとも一部をpH8〜14に調整して可溶化処理をした液化汚泥を排水処理施設を含む前記少なくとも1つの槽に投入してpHを5〜9に調整し、該槽の再転換汚泥若しくは再再転換汚泥の少なくとも一部を抜き出してpHを8〜14に調整し可溶化処理により液化した液化汚泥を排水処理施設を含む少なくとも1つの前記各槽に直接又は間接的に移送しpHを5〜9に調整し、或いは、前記引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整して可溶化処理をした液化汚泥を排水処理施設を含む前記少なくとも1つの槽に直接又は間接的に投入し、該槽のpHを5〜9に調整し、該槽の再転換汚泥若しくは再再転換汚泥の少なくとも一部を抜き出してpHを8〜14に調整して可溶化処理した液化汚泥を前記各槽の少なくとも1つに直接又は間接的に移送し、該槽のpHを5〜9に調整して汚泥を減量することができる。更に前記槽内の再転換汚泥及再再転換汚泥は排水処理施設を含む前記各槽間を適宜移送されることとし、排水処理施設を含む前記各槽の少なくとも1つから処理水を排出することができる。
【0089】
本発明の汚泥の減量方法では、飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱するので水のイオン積の低下を抑えることができるため、液相反応により高率的に加水分解が行われ有機物を100%可溶化することができる。
【0090】
本発明の汚泥の減量方法によれば、可溶化すべき汚泥は、たとえその流量が少ない場合であっても、瞬間的に加熱、可溶化される。また、本発明では前記本発明の汚泥の減量装置における記載と同様に、三つの特徴、即ちアルカリの添加、所定の流速の確保、及び流路内部の飽和水蒸気圧より高い圧力での維持により、コゲ(炭化物)及び無機物のスケールの発生が無く、従来技術に比して簡易かつ経済的な(安価な)汚泥の可溶化又は減量化が達成される。特に、少量の汚泥を従来技術に比して簡易かつ経済的に可溶化又は減量化することができる。
【0091】
(本発明の汚泥の可溶化装置)
本発明の汚泥の可溶化装置は、汚泥を可溶化するための可溶化装置であり、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持する加圧手段とを備え、前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状である。したがって、本発明の可溶化装置は、前記本発明の汚泥の減量装置における可溶化装置に関する記載内容を参考にして容易に実施することができる。よって、前記本発明の汚泥の減量装置において記載したアルカリ処理手段を、本発明の汚泥の可溶化装置に備えさせることもでき、また飽和水蒸気圧より高い圧力に維持することに替えて、飽和蒸気圧下に維持して実施することもできる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は何ら制限されるものではない。
【0093】
[実施例1]本発明の汚泥の減量装置による汚泥の可溶化
図2に基づく汚泥の減量装置を用いた。即ち、当該汚泥の減量装置(本発明の汚泥の減量装置)は、可溶化した汚泥を好気性処理により分解する生物処理槽14、汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する密閉された可溶化装置1、当該生物処理槽14に投入された余剰汚泥を可溶化装置1へ抜き出す汚泥供給ライン18、汚泥供給ラインに設けられたポンプ(加圧手段)5、アルカリ供給装置(アルカリ処理手段)12、生物処理槽14から抜き出した汚泥にアルカリ供給装置12からアルカリを添加するアルカリ供給ライン、アルカリ供給ラインに設けられたポンプ、可溶化装置1内の微生物易分解な状態に可溶化した汚泥を生物処理槽14に返送する液化汚泥(可溶化した汚泥)投入ライン19を備えてなるものである。この液化汚泥供給(投入)ラインには、汚泥の可溶化を促進するホールドタンク20、同様に液化汚泥供給ラインには、無機物排出手段16が備えられている。また、可溶化装置1は、加熱手段として汚泥を所定の温度(110℃〜350℃)になるよう加熱するために空気と燃料とを燃焼させて炎4を発生させる加熱手段(バーナー)3を備え、その内部、詳しくは前記流路2内の汚泥に対する圧力を飽和水蒸気圧より高い圧力に維持すると共に汚泥を可溶化装置内に供給する加圧手段(圧力ポンプ)5と前記流路内の圧力を一定にする背圧弁(圧力調整弁)6を備える。更に流路2が、その内面と、熱源である前記炎4の中心との間に所定の距離(間隔)をとるように、巻回されて配されている(ソレノイド状をなしている)。この汚泥の減量装置により、汚泥を、下記方法により可溶化(加熱アルカリ加圧処理)した。その結果として汚泥の可溶化に及ぼす処理時間と可溶化率の関係を図7に示す。
【0094】
(汚泥の加熱アルカリ加圧処理方法)
(1)生物処理槽に有機性汚泥濃度10,000mg/Lの汚泥を導入した。
(2)汚泥を生物処理槽から引き抜き、アルカリ処理手段に移送、供給し、pHが14程度 となるようにアルカリによって汚泥のpHを調整した。
(3)アルカリ処理した汚泥を可溶化装置に移送、供給し、可溶化装置内で、250℃に
おける飽和水蒸気圧4.3MPaより高い5MPaの圧力下で、本発明において使用する加熱
手段による250℃での汚泥の加熱、可溶化を行った。
(4)可溶化装置内の圧力を大気圧にまで下げてから当該装置外へ放出した。
【0095】
(結果)
図7から、この汚泥の減量装置(本発明の汚泥の減量装置)は、2分程度で、有機性汚泥を100%可溶化することができ、しかも流路における炭化物やスケールの発生がなかった。したがって、本発明の汚泥の減量装置によれば、汚泥を、従来の汚泥の減量装置に比してより簡易に連続して可溶化又は減量化することができる。
【0096】
[比較例1]従来の汚泥の減量装置による汚泥の可溶化
従来の汚泥の減量装置(特許文献7に基づく装置)を比較例1として、これを用いて、汚泥を、可溶化(加熱アルカリ加圧処理)した。尚、当該従来の汚泥の減量装置の構成は、実施例1とほぼ同様であるが、本発明において使用する可溶化装置に替えて、従来の可溶化装置(本発明において使用する所定の形状(伝熱面積と流路内の流速とを同時かつ最適に満たす形状)をとる流路とは異なる流路としたこと以外は同様の可溶化装置)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、行った。
【0097】
[実施例2]本発明の汚泥の減量装置と従来の汚泥の減量装置との比較
本発明の汚泥減量装置(実施例1)と従来の汚泥減量装置(比較例1)との比較を、減量可能な汚泥の乾燥重量に対する汚泥の減量装置のランニングコスト、及び熱効率について行った。その結果として、減量可能な汚泥の乾燥重量に対する汚泥の減量装置のコストを表1に、熱効率を表2に示す。尚、熱効率は、可溶化装置からの液化汚泥の温度と体積の積と、消費した燃料との総発熱量から計算した。




【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
(評価結果)
表1から明らかなように、実施例1における可溶化処理により汚泥の処理を行った場合では、比較例1に比較して、著しいコストの削減と優れた熱効率が認められた。
【0101】
以上から、本発明によれば、従来技術に比して、より簡易かつ経済的に、特に少量の汚泥を可溶化又は減量化することができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、本発明の一つの実施形態に係る汚泥の減量装置において使用する可溶化装置の概略構成を示した図である。当該可溶化装置1においては、汚泥を通すための流路2、加熱手段(バーナー)3、加圧手段(圧力ポンプ)5及び圧力調整弁(背圧弁)6が備えられている。
【図2】図2は、本発明の一つの実施形態に係る汚泥の減量装置の概略構成を示した図である。当該汚泥の減量装置においては、可溶化装置1が配設されている。
【図3】図3は、本発明の一つの実施形態の概略構成を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一つの実施形態の概略構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一つの実施形態の概略構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明の一つの実施形態の概略構成を示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施例に係る汚泥の減量装置(実施例1)の汚泥の可溶化に及ぼす処理時間と可溶化率の関係を示した図である。
【図8】図8は、本発明の一つの実施形態に係る汚泥の減量装置において使用する、流路を有する管を示した端面図である。
【符号の説明】
【0103】
1 汚泥の可溶化装置
2 流路
3 加熱手段
4 炎
5 加圧手段(圧力ポンプ)
6 圧力調整弁(背圧弁)
7 耐火壁
8 煙道
9 アルカリ処理された汚泥の流れる方向
10 液化汚泥の流れる方向
11 汚泥の減量装置
12 アルカリ処理手段
13 余剰汚泥
14 生物処理槽
15 膜分離層
16 無機物排出手段
17 無機物排出ライン
18 汚泥の流れる方向(汚泥供給ライン)
19 返送汚泥の流れる方向(汚泥投入ライン)
20 ホールドタンク
21 処理水
22 熱媒油
23 汚泥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽と、該生物処理槽から抜き出した再転換汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する可溶化装置と、前記生物処理槽から抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、pHを調整した該再転換汚泥を前記可溶化装置に投入する手段と、前記可溶化装置から抜き出した可溶化した再転換汚泥を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段とを備えた汚泥の減量装置において、
前記可溶化装置は、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内を、飽和水蒸気圧より高い圧力にする手段とを備え、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の減量装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段であることを特徴とする、請求項1に記載の汚泥の減量装置。
【請求項3】
前記所定の形状は、ソレノイド状であることを特徴とする、請求項1に記載の汚泥の減量装置。
【請求項4】
前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項2に記載の汚泥の減量装置。
【請求項5】
前記流体は、熱媒油である請求項4に記載の汚泥の減量装置。
【請求項6】
前記流体は、循環している状態にある請求項4に記載の汚泥の減量装置。
【請求項7】
引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、pHを調整された前記引き抜き汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する可溶化装置と、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽と、前記可溶化装置から抜き出した可溶化した引き抜き汚泥の所定量を前記生物処理槽に投入するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段とを備えた汚泥の減量装置において、
前記可溶化装置は、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内を、飽和水蒸気圧より高い圧力にする手段とを備え、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の減量装置。
【請求項8】
前記加熱手段は、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段であることを特徴とする、請求項7に記載の汚泥の減量装置。
【請求項9】
前記所定の形状は、ソレノイド状であることを特徴とする、請求項7に記載の汚泥の減量装置。
【請求項10】
前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項8に記載の汚泥の減量装置。
【請求項11】
前記流体は、熱媒油である請求項10に記載の汚泥の減量装置。
【請求項12】
前記流体は、循環している状態にある請求項10に記載の汚泥の減量装置。
【請求項13】
生物学的処理により有機性排水及び可溶化した引き抜き汚泥を分解する排水処理装置と、該排水処理装置から抜き出した引き抜き汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する可溶化装置と、前記排水処理装置から抜き出した引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、
前記可溶化装置から抜き出した可溶化した引き抜き汚泥を前記排水処理装置に返送するとともに該排水処理装置内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段とを備えた汚泥の減量装置において、
前記可溶化装置は、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内を、飽和水蒸気圧より高い圧力にする手段とを備え
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の減量装置。
【請求項14】
前記加熱手段は、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段であることを特徴とする、請求項13に記載の汚泥の減量装置。
【請求項15】
前記所定の形状は、ソレノイド状であることを特徴とする、請求項13に記載の汚泥の減量装置。
【請求項16】
前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項14に記載の汚泥の減量装置。
【請求項17】
前記流体は、熱媒油である請求項16に記載の汚泥の減量装置。
【請求項18】
前記流体は、循環している状態にある請求項16に記載の汚泥の減量装置。
【請求項19】
引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、pHを調整された前記引き抜き汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する第一可溶化装置と、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽と、前記第一可溶化装置から抜き出した可溶化した引き抜き汚泥を前記生物処理槽に投入するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段と、該生物処理槽から抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14に調整する手段と、pHを調整された前記再転換汚泥を微生物易分解な状態に可溶化する第二可溶化装置と、前記第二可溶化装置から抜き出した可溶化した再転換汚泥を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する手段とを備えた汚泥の減量装置において、
前記第一可溶化装置及び/又は前記第二可溶化装置は、汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、前記流路内を、飽和水蒸気圧より高い圧力にする手段とを備え、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の減量装置。
【請求項20】
前記第一可溶化装置及び/又は前記第二可溶化装置において、前記加熱手段は、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段であることを特徴とする、請求項19に記載の汚泥の減量装置。
【請求項21】
前記第一可溶化装置及び/又は前記第二可溶化装置において、前記所定の形状は、ソレノイド状であることを特徴とする、請求項19に記載の汚泥の減量装置。
【請求項22】
前記第一可溶化装置及び/又は前記第二可溶化装置において、前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項20に記載の汚泥の減量装置。
【請求項23】
前記流体は、熱媒油である請求項22に記載の汚泥の減量装置。
【請求項24】
前記流体は、循環している状態にある請求項22に記載の汚泥の減量装置。
【請求項25】
引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽から再転換汚泥の少なくとも一部を抜き出し、該抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14に調整し、pHを調整した前記再転換汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記再転換汚泥の所定量を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法において、
前記pHを調整した前記再転換汚泥の加熱は、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われ、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の減量方法。
【請求項26】
前記加熱は、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気により行われることを特徴とする、請求項25に記載の汚泥の減量方法。
【請求項27】
前記所定の形状は、ソレノイド状であることを特徴とする、請求項25に記載の汚泥の減量方法。
【請求項28】
前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項26に記載の汚泥の減量方法。
【請求項29】
前記流体は、熱媒油である請求項28に記載の汚泥の減量方法。
【請求項30】
前記流体は、循環している状態にある請求項28に記載の汚泥の減量方法。
【請求項31】
pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記引き抜き汚泥の所定量を、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽に投入するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法において、
前記pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥の加熱は、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われ、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の減量方法。
【請求項32】
前記加熱は、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気により行われることを特徴とする、請求項31に記載の汚泥の減量方法。
【請求項33】
前記所定の形状は、ソレノイド状であることを特徴とする、請求項31に記載の汚泥の減量方法。
【請求項34】
前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項32に記載の汚泥の減量方法。
【請求項35】
前記流体は、熱媒油である請求項34に記載の汚泥の減量方法。
【請求項36】
前記流体は、循環している状態にある請求項34に記載の汚泥の減量方法。
【請求項37】
生物学的処理により有機性排水及び可溶化した引き抜き汚泥を分解する排水処理装置から引き抜き汚泥として少なくとも汚泥の一部を抜き出し、該抜き出した引き抜き汚泥のpHを8〜14に調整し、前記pHを調整した引き抜き汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記引き抜き汚泥の所定量を、前記排水処理装置に返送するとともに該排水処理装置内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法において、
前記pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥の加熱は、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われ、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の減量方法。
【請求項38】
前記加熱は、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気により行われることを特徴とする、請求項37に記載の汚泥の減量方法。
【請求項39】
前記所定の形状は、ソレノイド状であることを特徴とする、請求項37に記載の汚泥の減量方法。
【請求項40】
前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項38に記載の汚泥の減量方法。
【請求項41】
前記流体は、熱媒油である請求項40に記載の汚泥の減量方法。
【請求項42】
前記流体は、循環している状態にある請求項40に記載の汚泥の減量方法。
【請求項43】
pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記引き抜き汚泥の所定量を、引き抜き汚泥を好気性処理又は嫌気性処理により分解する生物処理槽に投入するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整し、該生物処理槽から再転換汚泥の少なくとも一部を抜き出し、該抜き出した再転換汚泥のpHを8〜14に調整し、pHを調整した前記再転換汚泥を110℃〜350℃で飽和水蒸気圧より高い圧力で加熱することにより微生物易分解な状態に可溶化し、可溶化した前記再転換汚泥の所定量を前記生物処理槽に返送するとともに該生物処理槽内の汚泥のpHを5〜9に調整する汚泥の減量方法において、
前記pHを8〜14に調整した引き抜き汚泥及び/又は前記pHを調整した前記再転換汚泥の加熱は、汚泥を通すために所定の形状に形成された流路を加熱すること、前記加熱された前記流路と汚泥との熱交換により110℃〜350℃にすること、並びに前記熱交換を飽和水蒸気圧より高い圧力下で行うこと、により行われ、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の減量方法。
【請求項44】
前記加熱は、空気と燃料とを燃焼させて得られる炎の輻射熱、及び当該炎により熱せられた空気により行われることを特徴とする、請求項43に記載の汚泥の減量方法。
【請求項45】
前記所定の形状は、ソレノイド状であることを特徴とする、請求項43に記載の汚泥の減量方法。
【請求項46】
前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項44に記載の汚泥の減量方法。
【請求項47】
前記流体は、熱媒油である請求項46に記載の汚泥の減量方法。
【請求項48】
前記流体は、循環している状態にある請求項46に記載の汚泥の減量方法。
【請求項49】
汚泥を可溶化するための可溶化装置において、
汚泥を通すために所定の形状に形成され、当該汚泥と熱交換をする流路と、
前記流路内を、汚泥の温度が110℃〜350℃になるよう加熱する加熱手段と、
前記流路内を、飽和水蒸気圧より高い圧力にする加圧手段とを備え、
前記所定の形状は、汚泥に対する所定の流速での効率的加熱を与えるべく最適な形状であることを特徴とする汚泥の可溶化装置。
【請求項50】
前記加熱手段は、空気と燃料とを燃焼させて炎を発生させる炎発生手段であることを特徴とする、請求項49に記載の汚泥の可溶化装置。
【請求項51】
前記流路を有する管は、その外径よりも大きい内径を有する外管に、内管として内設され、前記流路を有する管の外周と前記外管の内周との間には、流体が充填されている請求項50に記載の汚泥の可溶化装置。
【請求項52】
前記流体は、熱媒油である請求項51に記載の汚泥の可溶化装置。
【請求項53】
前記流体は、循環している状態にある請求項51に記載の汚泥の可溶化装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−346556(P2006−346556A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174766(P2005−174766)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(502318995)
【Fターム(参考)】