説明

汚泥濃縮装置

【課題】濾過効率が向上された汚泥濃縮装置を提供すること。
【解決手段】略円筒状の周壁に内外を連通する複数の濾過部1bを備えたドラムスクリーン1のその内部に導入した汚泥を、ドラムスクリーン1の内面に設けた搬送羽根3によってドラムスクリーン1の回転に従いドラムスクリーン1の内面に接触させながら出口側に送り濾過部1bで濾過濃縮し、この汚泥の送り時に、ドラムスクリーン1の内面側に設けた撹拌部材4により、ドラムスクリーン1の内面を滑る汚泥塊5を撹拌し、濾過濃縮に供されている下側の高濃度汚泥を巻き上げて上側の低濃度汚泥をドラムスクリーン1の内面に接触させること等を可能とすることで、濾過効率を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚泥を濾過し濃縮する汚泥濃縮装置として、複数のウェッジワイヤを所定の隙間を隔てて略円筒状に並設することでドラムスクリーンを形成し、このドラムスクリーンの内面に複数の汚泥移送用ブレードを設け、ドラムスクリーンの回転に従い汚泥移送用ブレードによって汚泥を出口側に送りながら、ウェッジワイヤ同士間の隙間を濾過部として汚泥を濾過濃縮する汚泥濃縮装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−177712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記汚泥濃縮装置にあっては、さらなる濾過効率の向上が求められている。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、濾過効率が向上される汚泥濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ドラムスクリーン内に導入された汚泥は、ウェッジワイヤ上を回転方向の一定範囲内(ドラムスクリーン下部側の円弧範囲内)で上下に滑りながら、汚泥移送用ブレードによって出口側へ運ばれていくため、汚泥はほぼ一塊りのままの状態であり、ウェッジワイヤの内面に接していない汚泥の上部側に水分が多量に残ってしまい、その結果、濾過効率が悪いということを見出した。
【0006】
そこで、本発明による汚泥濃縮装置は、略円筒状の周壁に内外を連通する複数の濾過部を備え回転するドラムスクリーンと、導入された汚泥を搬送すべくドラムスクリーンの内面に設けられた搬送羽根と、を具備し、汚泥を、ドラムスクリーンの回転に従い搬送羽根によってドラムスクリーンの内面に接触させながら出口側に送り濾過部で濾過濃縮する汚泥濃縮装置であって、ドラムスクリーンの内面側に、汚泥を撹拌するための撹拌部材を設けたことを特徴としている。
【0007】
このような汚泥濃縮装置によれば、略円筒状の周壁に内外を連通する複数の濾過部を備えたドラムスクリーンのその内部に導入された汚泥は、ドラムスクリーンの内面に設けられた搬送羽根によってドラムスクリーンの回転に従いスクリーンの内面に接触しながら出口側に送られ濾過部で濾過濃縮される。この汚泥の送り時に、ドラムスクリーンの内面側に設けられた撹拌部材が、ドラムスクリーンの内面を滑る汚泥塊を撹拌する結果、濾過濃縮に供されている下側の高濃度汚泥が巻き上げられて上側の低濃度汚泥がドラムスクリーンの内面に接触すること等が起こって、低濃度汚泥も濾過濃縮に供されるようになり、濾過効率が向上される。
【0008】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、ドラムスクリーンは、複数のウェッジワイヤを所定の隙間を隔てて並設することにより構成され、撹拌部材は、ウェッジワイヤの内面に向かって突出し当該ウェッジワイヤの内面に接触、又は、内面に対して隙間を有するように設置される構成が挙げられる。
【0009】
また、ドラムスクリーンは、複数のウェッジワイヤを所定の隙間を隔てて並設することにより構成され、撹拌部材は、ウェッジワイヤの内面に設けられている突起部であるという構成も挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、汚泥濃縮装置の濾過効率を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による汚泥濃縮装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る汚泥濃縮装置を示す一部破断側面図、図2は、図1に示す汚泥濃縮装置の横断面図、図3は、図2中の突起部及びその近傍の拡大図、図4は、図3を上側から見た図、図5は、突起部及びその近傍を示す図であり図4に対応する図、図6は、図5のVI-VI矢視図であり、本実施形態の汚泥濃縮装置は、汚泥処理設備に採用されているものである。
【0012】
図1及び図2に示すように、汚泥濃縮装置100は、略円筒状のドラムスクリーン1を備える。このドラムスクリーン1は、横方向(水平方向;図1の左右方向)に延びるウェッジワイヤ1aを円周方向に沿って所定の隙間を隔てて多数並設することで形成され、このウェッジワイヤ1a,1a同士間の隙間が、内外を連通し汚泥を濾過するための濾過部1bとされる。
【0013】
ウェッジワイヤ1aは、図2に示すように、断面三角形を成し、これらの間に所定間隔の隙間1bを有する。そして、これらのウェッジワイヤ1aは、図1及び図2に示すように、当該ウェッジワイヤ1aを円環状に囲繞するように配置されると共に軸線方向に沿って所定間隔ごとに配置された補強材2により、束ねられるようにして連結され、ウェッジワイヤ1a全体で所定の円筒状を呈するように補強されている。
【0014】
これらのウェッジワイヤ1a(ドラムスクリーン1)の内面には、一端側の入口側から導入された汚泥を他端側の出口側に送るための搬送羽根としてのスクリュー3が設けられている。このスクリュー3は、ここでは、螺旋状に構成され、ウェッジワイヤ1aの内面から内側に向かって所定高さ突出するように設けられている。
【0015】
汚泥をドラムスクリーン1内に導入するための汚泥導入パイプ(不図示)は、ドラムスクリーン1の中心軸から半径方向に偏心した位置に配置され、その汚泥導入口は、汚泥導入時に当該汚泥がウェッジワイヤ1aの内面に当たって跳ねることが無いように、ウェッジワイヤ1aの内面に近接して配置される。
【0016】
そして、ドラムスクリーン1は、これより下方に配設されたローラにより支持され、チェーン及びスプロケットにより直接回転する構成とされている。
【0017】
ここで、特に本実施形態にあっては、ドラムスクリーン1(ウェッジワイヤ1a)の内面に、撹拌部材としての突起部4を備えている。この突起部4は、図5及び図6に示すように、ウェッジワイヤ1aの内面で、スクリュー3を構成している搬送羽根同士の間に例えば溶接等により設置されている。
【0018】
この突起部4の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円柱状、四角柱状、三角柱状、円錐状、三角錐状等でも良く、例えばナット等を用いることもできる。
【0019】
また、突起部4の個数も、特に限定されるものではなく、多数であっても、単数であっても良い。
【0020】
このように構成された汚泥濃縮装置100によれば、凝集汚泥がドラムスクリーン1内に導入されると、当該汚泥は、スクリュー3によってドラムスクリーン1の回転に従いスクリーン1の内面に接触しながら出口側に送られ、この際に、濾過部1bで濾過濃縮される。
【0021】
この汚泥の送り時にあっては、汚泥は、ウェッジワイヤ1a上を回転方向の一定範囲内(ドラムスクリーン1の下部側の円弧範囲内;図2参照)で上下に滑りながら、スクリュー3によって出口側へ運ばれていくため、一塊りの汚泥塊5となるが、本実施形態では、図3及び図4に示すように、ドラムスクリーン1の内面に設けた突起部4が、ドラムスクリーン1の内面を滑る汚泥塊5に当たって当該汚泥塊5が崩れ撹拌され、濾過濃縮に供されている図3の点線より下側の高濃度汚泥5aが巻き上げられて、図3の点線より上側の低濃度汚泥5bがドラムスクリーン1(ウェッジワイヤ1a)の内面に接触するようになり、当該低濃度汚泥5bも濾過濃縮に供される。従って、本実施形態によれば、濾過効率を向上することができる。
【0022】
なお、突起部4に代えて、例えば軸線方向に延びる板状部材を用い当該板状部材により、汚泥を所定の高さまで持ち上げてから落とす構成は、汚泥塊が粉々になると共に飛散し、後段の処理を良好に行うことができなくなるため、好ましくない。
【0023】
図7は、他の実施形態に係る汚泥濃縮装置の突起部及びその近傍を示す図であり図5に対応する図、図8は、図7のVIII-VIII矢視図である。
【0024】
この実施形態が先の実施形態と違う点は、ドラムスクリーン1(ウェッジワイヤ1a)の内面に例えば溶接等により固定された突起部4に代えて、スクリュー3を構成する搬送羽根同士の間に平板部材13を掛け渡し、この平板部材13に、ウェッジワイヤ1aの内面に向かって突出し当該内面に接触する突出部材14を撹拌部材として設けた点である。
【0025】
このような構成であっても、先の実施形態と同様に、ドラムスクリーン1の内面側に、汚泥を撹拌するための撹拌部材を設けたことに変わりは無いため、先の実施形態とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0026】
なお、この実施形態では、撹拌効率を高めるため、突出部材14をウェッジワイヤ1aの内面に接触するように設けているが、ウェッジワイヤ1aの内面に対して小さい隙間を有するように設けても良い。
【0027】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、搬送羽根を螺旋状のスクリュー3としているが、ドラムスクリーン1の内面に設けられ当該ドラムスクリーン1の回転に従い汚泥をドラムスクリーン1の内面に接触させながら出口側に送る搬送羽根であれば、例えばドラムスクリーン1の内面に沿って断続的に配置されて軸線方向に対し斜めに傾斜する搬送羽根等であっても良い。
【0028】
また、上記実施形態においては、横方向に延びるウェッジワイヤ1aを所定の隙間を隔てて円周方向に沿って多数並設することでドラムスクリーン1を構成するようにした汚泥濃縮装置100に対する適用を述べているが、円環状を成すウェッジワイヤを所定の隙間を隔てて軸線方向に沿って多数並設することでドラムスクリーンを構成するようにした汚泥濃縮装置に対しても勿論適用可能である。また、ドラムスクリーンは、このように、複数のウェッジワイヤを所定の隙間を隔てて並設することで、周壁に内外を連通する複数の濾過部を有する構成に限定されるものではなく、例えば、周壁に内外を連通する貫通孔を濾過部として備えるドラムスクリーンに対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る汚泥濃縮装置を示す一部破断側面図である。
【図2】図1に示す汚泥濃縮装置の横断面図である。
【図3】図2中の突起部及びその近傍の拡大図である。
【図4】図3を上側から見た図である。
【図5】突起部及びその近傍を示す図であり図4に対応する図である。
【図6】図5のVI-VI矢視図である。
【図7】他の実施形態に係る汚泥濃縮装置の突起部及びその近傍を示す図であり図5に対応する図である。
【図8】図7のVIII-VIII矢視図である。
【符号の説明】
【0030】
1…ドラムスクリーン、1a…ウェッジワイヤ、1b…濾過部(隙間)、3…スクリュー(搬送羽根)、4…突起部(撹拌部材)、14…突出部材(撹拌部材)、100…汚泥濃縮装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の周壁に内外を連通する複数の濾過部を備え回転するドラムスクリーンと、導入された汚泥を搬送すべく前記ドラムスクリーンの内面に設けられた搬送羽根と、を具備し、前記汚泥を、前記ドラムスクリーンの回転に従い前記搬送羽根によって前記ドラムスクリーンの内面に接触させながら出口側に送り前記濾過部で濾過濃縮する汚泥濃縮装置であって、
前記ドラムスクリーンの内面側に、前記汚泥を撹拌するための撹拌部材を設けたことを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項2】
前記ドラムスクリーンは、複数のウェッジワイヤを所定の隙間を隔てて並設することにより構成され、
前記撹拌部材は、前記ウェッジワイヤの内面に向かって突出し当該ウェッジワイヤの内面に接触、又は、内面に対して隙間を有するように設置されていることを特徴とする請求項1記載の汚泥濃縮装置。
【請求項3】
前記ドラムスクリーンは、複数のウェッジワイヤを所定の隙間を隔てて並設することにより構成され、
前記撹拌部材は、前記ウェッジワイヤの内面に設けられている突起部であることを特徴とする請求項1記載の汚泥濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−240909(P2009−240909A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90060(P2008−90060)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(507036050)住友重機械エンバイロメント株式会社 (88)
【Fターム(参考)】