説明

汚物洗浄装置及びそれを備えた汚物流し

【課題】既存の水洗大便器に容易に増設することができると共に、使い勝手の良い汚物洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明は、汚物洗浄装置(4)であって、給水源に接続された洗浄水分岐部(14)と、この洗浄水分岐部の一方の流出口に接続されたフラッシュ吐水用開閉弁(16)と、洗浄水分岐部の他方の流出口に接続された洗浄吐水用開閉弁(18)と、フラッシュ吐水用操作部(6、10)と、洗浄吐水用操作部(8、12)と、フラッシュ吐水用操作部の操作に基づいてフラッシュ吐水を行うと共に、洗浄吐水用操作部の操作に基づいて洗浄吐水用開閉弁を開閉させる制御手段(22)と、洗浄水分岐部の他方の流出口と洗浄用吐水口との間の通水路に設けられ、フラッシュ吐水及び洗浄用吐水が同時に行われた場合と、洗浄用吐水が単独で行われた場合の、洗浄用吐水口からの吐水流量の変動を抑制する流量調整手段(20)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物洗浄装置及びそれを備えた汚物流しに関し、特に、汚物流しへのフラッシュ吐水及び洗浄用吐水をする汚物洗浄装置及びそれを備えた汚物流しに関する。
【背景技術】
【0002】
病院、診療所等の施設においては、尿瓶等に入った患者の排泄物を廃棄すると共に、排泄物を入れていた尿瓶等を洗浄する必要がある。特開平8−232321号公報(特許文献1)には、尿瓶洗浄水栓が記載されている。この尿瓶洗浄水栓は洋式の水洗大便器の近傍に設置され、尿瓶に入っていた汚物を水洗大便器に廃棄できるようになっている。また、この尿瓶洗浄水栓は、ハンドルが所定角度回動されると、本体の弁部が開いて、ホースに接続された吐出管の吐水口から洗浄水が吐水され、尿瓶を洗浄できるように構成されている。なお、この尿瓶洗浄水栓のハンドルは、本体に設けられた押しボタンを押すことによって回動可能となるように構成されており、洗浄水が不用意に吐出されるのを防止している。
【0003】
【特許文献1】特開平8−232321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開平8−232321号公報記載の尿瓶洗浄水栓を、既存の水洗大便器(汚物流し)の近傍に設置する場合には、尿瓶洗浄水栓に洗浄水を供給するための水道をもう一系統増設する必要があり、大がかりな工事を必要とするという問題がある。即ち、水洗大便器を洗浄するフラッシュ吐水を行うための給水源とは別系統の水道を設ける必要があるという問題がある。また、水洗大便器を洗浄するフラッシュ吐水の給水源を分岐させ、尿瓶等を洗浄する洗浄用吐水の水源とすることが考えられる。しかしながら、この場合、フラッシュ吐水と洗浄用吐水を同時に行うと、フラッシュ吐水開始時には洗浄用吐水の流量が急激に減少すると共に、フラッシュ吐水終了時には急激に吐水流量が増加するので、尿瓶内の汚物が飛び散るなどして使い勝手が非常に悪くなるという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、既存の水洗大便器に容易に増設することができ、又は水洗大便器が設置されていた場所に容易に設置することができると共に、使い勝手の良い汚物洗浄装置及びそれを備えた汚物流しを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、汚物流しへのフラッシュ吐水及び洗浄用吐水をする汚物洗浄装置であって、給水源に接続された洗浄水分岐部と、この洗浄水分岐部の一方の流出口に接続され、汚物流しにフラッシュ吐水させるフラッシュ吐水用開閉弁と、洗浄水分岐部の他方の流出口に接続され、洗浄用吐水口から吐出される洗浄水を吐水・停止させる洗浄吐水用開閉弁と、1回のフラッシュ吐水を行うために、使用者により操作されるフラッシュ吐水用操作部と、洗浄用吐水を開始させ又は停止させるために、使用者により操作される洗浄吐水用操作部と、フラッシュ吐水用操作部の操作に基づいてフラッシュ吐水を行うと共に、洗浄吐水用操作部の操作に基づいて洗浄吐水用開閉弁を開閉させる制御手段と、洗浄水分岐部の他方の流出口と洗浄用吐水口との間の通水路に設けられ、フラッシュ吐水及び洗浄用吐水が同時に行われた場合と、洗浄用吐水が単独で行われた場合の、洗浄用吐水口からの吐水流量の変動を抑制する流量調整手段と、を有することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、汚物洗浄装置は単一の給水源に接続され、洗浄水分岐部において分岐される。洗浄水分岐部の一方の流出口はフラッシュ吐水用開閉弁に接続され、他方の流出口は洗浄吐水用開閉弁に接続され、これらは、フラッシュ吐水用操作部及び洗浄吐水用操作部の操作により開閉される。さらに、流量調整手段は、フラッシュ吐水及び洗浄用吐水が同時に行われた場合と、洗浄用吐水が単独で行われた場合の、洗浄用吐水口からの吐水流量の変動を抑制する。
【0008】
このように構成された本発明によれば、流量調整手段が洗浄用吐水口からの吐水流量の変動を抑制するので、単一の給水源に接続されていても洗浄用吐水の流量が急激に変化することがない。これにより、新築建物への設置時だけでなく、既存の水洗大便器に容易に増設し、又は水洗大便器が設置されていた場所に容易に設置することを可能にしながら、汚物洗浄装置の使い勝手を向上させることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、制御手段は、洗浄吐水用開閉弁を閉鎖させた後、所定の自動フラッシュ吐水時間に亘ってフラッシュ吐水用操作部が操作されなかった場合には、自動的にフラッシュ吐水を実行する。
このように構成された本発明によれば、洗浄用吐水による洗浄作業の終了後の、フラッシュ吐水の流し忘れを防止することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、制御手段は、洗浄吐水用開閉弁を開放させた後、所定の初期フラッシュ吐水時間に亘ってフラッシュ吐水用操作部が操作されなかった場合には、自動的にフラッシュ吐水を実行する。
【0011】
このように構成された本発明によれば、洗浄初期に、汚物流しに汚物が大量に溜まっている状態が長時間放置されるのを防止することができるので、汚物流しからの臭気等の発生を抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、制御手段は、洗浄吐水用開閉弁が閉鎖された状態で、所定の洗浄継続待ち時間が経過する前に、洗浄吐水用開閉弁が開放されると、所定の初期フラッシュ吐水時間に基づく自動的なフラッシュ吐水をキャンセルさせる。
【0013】
このように構成された本発明によれば、洗浄継続待ち時間が経過する前に洗浄用開閉弁が開放されると、同じ使用者による継続的な洗浄用吐水であって、汚物流しに溜まっている汚物が少ないと判断し、初期フラッシュ吐水時間に基づく自動的なフラッシュ吐水をキャンセルするため、溜まっている汚物が少ないのにフラッシュ吐水をして水を無駄に使用してしまうことを防止することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、制御手段は、初期フラッシュ吐水時間経過後にフラッシュ吐水を実行した後、フラッシュ吐水用操作部が操作されない場合には、所定のフラッシュ吐水間隔時間毎に自動的にフラッシュ吐水を実行する。
【0015】
このように構成された本発明によれば、所定のフラッシュ吐水間隔時間毎に自動的にフラッシュ吐水が実行されるので、汚物流しに汚物が大量に溜まる前に汚物を排出することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、さらに、フラッシュ吐水又は洗浄用吐水の水流により発電する発電手段を有し、制御手段は、発電手段によって発電された電力により作動される。
このように構成された本発明によれば、汚物洗浄装置を作動させるための商用電源が敷設されていない場所にも、汚物洗浄装置を設置することが可能になる。
【0017】
また、本発明の汚物流しは、汚物を受けるボウル部、及びこのボウル部に連通した排水トラップ管路を備えた汚物流し本体と、本発明の汚物洗浄装置と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の汚物洗浄装置及びそれを備えた汚物流しによれば、新築建物への設置時だけでなく、既存の水洗大便器にも容易に増設することができると共に、使い勝手を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、図1乃至図5を参照して、本発明の第1実施形態による汚物流しを説明する。図1は、本実施形態の汚物流しの全体構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態の汚物流しの給水系統を示すブロック図である。また、図3は、本実施形態の汚物流しに使用されている定流量弁の構造を示す断面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による汚物流し1は、汚物流し本体2と、この汚物流し本体2にフラッシュ吐水及び洗浄用吐水を行う汚物洗浄装置4と、を有する。本実施形態の汚物流し1は、使用者が、尿瓶等に入った汚物を、汚物流し本体2のボウル部2aに廃棄した後、洗浄足踏スイッチ8を足で踏み、又は洗浄スイッチ12に手指をかざすことにより、洗浄用吐水口4aから洗浄水が吐出されるように構成されている。この洗浄用吐水により、使用者は尿瓶等を洗浄する。また、フラッシュ足踏スイッチ6を足で踏み、又はフラッシュスイッチ10に手指をかざすことにより、ボウル部2aにフラッシュ吐水が行われる。このフラッシュ吐水により、ボウル部2aに溜まった汚物及び洗浄水が、下水に排出される。
【0021】
汚物流し本体2は、上方に向けて開放され、汚物を受けるボウル部2aと、このボウル部の上端に設けられたボックスリム2bと、ボウル部2aの底部に連通した排水トラップ管路2cと、を有する。ボックスリム2bは、ボウル部2aの上端の縁の全周に設けられた通水路であり、この通水路の底面には、多数のリム吐水口(図示せず)が設けられている。フラッシュ吐水時においては、給水源Sから供給された大流量の洗浄水が、フラッシュ吐水管路4bを介してボックスリム2bに流入し、リム吐水口からボウル部2a内に吐出される。
【0022】
排水トラップ管路2cは、ボウル部2aの底部と下水管(図示せず)を連通させるように構成されている。ボウル部2aに溜まった汚物及び洗浄水は、この排水トラップ管路2cを通って下水に排出される。また、排水トラップ管路2cは洗浄水により水封されており、下水からの臭気等の侵入を防止している。
【0023】
汚物洗浄装置4は、フラッシュ吐水用操作部であるフラッシュ足踏スイッチ6、及び洗浄吐水用操作部である洗浄足踏スイッチ8を有する。さらに、汚物洗浄装置4には、フラッシュ吐水用操作部である非接触式のフラッシュスイッチ10、及び洗浄吐水用操作部である非接触式の洗浄スイッチ12が設けられている。
【0024】
フラッシュ足踏スイッチ6及び洗浄足踏スイッチ8は、汚物流し1を設置した床面上に配置される足踏み式のスイッチであり、足踏み操作されると信号電波を発信し、スイッチが操作されたことを汚物洗浄装置4に内蔵されたコントローラ22(図2)に送信するように構成されている。また、フラッシュ足踏スイッチ6及び洗浄足踏スイッチ8は、汚物洗浄装置4の筐体及び汚物流し本体2とは別体に構成されており、図1に示す汚物流し本体2の正面の他、左右の側面等、任意の位置に配置することができる。
【0025】
フラッシュスイッチ10及び洗浄スイッチ12は、汚物洗浄装置4の筐体に設けられた赤外線の非接触式のスイッチであり、使用者がこれらのスイッチに手指をかざすことにより、汚物洗浄装置4に内蔵されたコントローラ22(図2)は、スイッチが操作されたことを認識する。
【0026】
次に、図2を参照して、汚物洗浄装置4の内部構成を説明する。
図2に示すように、汚物洗浄装置4は、洗浄水分岐部であるT字管14と、このT字管14の一方の流出口14aに接続されたフラッシュ吐水用開閉弁16と、T字管14の他方の流出口14bに接続された洗浄吐水用開閉弁18と、流出口14bと洗浄吐水用開閉弁18の間の通水路に接続された流量調整手段である定流量弁20と、を有する。さらに、汚物洗浄装置4は、制御手段であるコントローラ22と、このコントローラ22を作動させるための発電手段である発電機23と、を有する。
【0027】
T字管14は、1つの流入口14cと、2つの流出口14a、14bを有する管部材であり、その流入口14cは単一の給水源Sに接続されている。一方の流出口14aは、フラッシュ吐水用開閉弁16、及びフラッシュ吐水管路4bを介して汚物流し本体2のボックスリム2bに連通されている。他方の流出口14bは、定流量弁20、及び洗浄吐水用開閉弁18を介して洗浄用吐水口4aに連通されている。
【0028】
フラッシュ吐水用開閉弁16は、コントローラ22からの信号により開閉される電磁弁であり、T字管14の流出口14aとフラッシュ吐水管路4bとの間に配置されている。フラッシュ吐水用開閉弁16が開放されることにより、ボックスリム2bから大流量のフラッシュ吐水がなされる。本実施形態においては、フラッシュ吐水として、瞬間最大流量にして、約100リットル/分の洗浄水が、約10秒間吐出される。
【0029】
洗浄吐水用開閉弁18は、コントローラ22からの信号により開閉される電磁弁であり、定流量弁20と洗浄用吐水口4aとの間に配置されている。洗浄吐水用開閉弁18が開放されることにより、汚物流し本体2のボウル部2a上方に位置する洗浄用吐水口4aから小流量の洗浄用吐水がなされる。
【0030】
定流量弁20は、T字管14の流出口14bと洗浄吐水用開閉弁18との間に配置されており、洗浄吐水用開閉弁18に流入する洗浄水の流量を、所定流量以下に制限するように構成されている。本実施形態においては、定流量弁20は洗浄吐水用開閉弁18に流入する洗浄水の流量を約15リットル/分以下に制限するように構成されている。定流量弁20の構造については後述する。
【0031】
コントローラ22は、フラッシュ足踏スイッチ6又はフラッシュスイッチ10からの信号を受信すると、フラッシュ吐水用開閉弁16を約4秒間開放させた後、閉鎖させ1回のフラッシュ吐水を行うように構成されている。また、コントローラ22は、洗浄足踏スイッチ8又は洗浄スイッチ12からの信号を受信すると洗浄吐水用開閉弁18を開放させ、洗浄足踏スイッチ8又は洗浄スイッチ12からの信号を再び受信すると洗浄吐水用開閉弁18を閉鎖させるように構成されている。
【0032】
さらに、コントローラ22は、所定の条件が満足された場合には、自動的にフラッシュ吐水を行うように構成されている。具体的には、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるプログラム(以上図示せず)等により構成されている。コントローラ22による制御の詳細については後述する。
【0033】
発電機23は、給水源SとT字管14の流入口14cとの間の給水管路に設けられている。この発電機23は、給水管路内に配置された翼車(図示せず)を備えており、この翼車はフラッシュ吐水又は洗浄用吐水が行われると、給水管路を流れる水流により回転される。翼車の回転は電気エネルギーに変換され、コントローラ22に送られる。コントローラ22は、この電気エネルギーを充電し、充電された電気エネルギーにより作動される。
【0034】
次に、図3を参照して、流量調整手段である定流量弁20の構成を説明する。
図3に示すように、本実施形態においては、定流量弁20は、隣接して設けられた逆止弁24と一体のアセンブリを形成している。
定流量弁20は、定流量弁本体26と、この定流量弁本体26内で摺動可能に配置された定流量弁体28と、この定流量弁体28を開放する方向に付勢する定流量弁バネ30と、を有する。
【0035】
定流量弁本体26は、概ね円筒状の部材であり、その内部の中心軸線上に、定流量弁体28を摺動可能に保持している。また、定流量弁本体26の側面には、金網が配置されており、定流量弁本体26内に流入する洗浄水を整流すると共に、内部にゴミが侵入するのを防止している。
【0036】
定流量弁体28は、定流量弁本体26に流入する洗浄水の水勢により、摺動されるように構成されている。また、定流量弁バネ30は、円錐形状に巻かれたコイルスプリングであり、定流量弁体28を開放させる方向に付勢している。定流量弁本体26を通過する流量が所定流量よりも大きくなると、定流量弁体28は定流量弁バネ30の付勢力に抗して摺動され、定流量弁20の開度は小さくなる。逆に、定流量弁本体26を通過する流量が小さい場合には、定流量弁体28は定流量弁バネ30の付勢力により摺動され、定流量弁20の開度は大きくなる。これにより、定流量弁20を通過する流量は、ほぼ一定に維持される。
【0037】
逆止弁24は、逆止弁本体32と、この逆止弁本体32に対して摺動可能に配置された逆止弁体34と、この逆止弁体34を閉鎖する方向に付勢する逆止弁バネ36と、を有する。
【0038】
逆止弁24は、その下流側の圧力が上流側の圧力よりも低くなると、逆止弁体34が逆止弁バネ36の付勢力に抗して摺動され、開放される。逆に、上流側の圧力が下流側の圧力よりも低くなると、逆止弁体34は逆止弁バネ36の付勢力により閉鎖され、洗浄水の逆流が防止される。
【0039】
図3に示すように、定流量弁20と逆止弁24のアセンブリの流入口24aから流入した洗浄水は、水勢により逆止弁体34を逆止弁バネ36の付勢力に抗して摺動させ、逆止弁24を通過する。逆止弁24を通過した洗浄水は、定流量弁本体26内に流入し、定流量弁20を通過する。定流量弁20を通過した洗浄水は、アセンブリの流出口20aから流出する。また、定流量弁20を通過しようとする洗浄水の流量が増加すると、定流量弁体28が定流量弁バネ30の付勢力に抗して摺動され、定流量弁20の開度が減少する。逆に、定流量弁20を通過しようとする洗浄水の流量が減少すると、定流量弁体28が定流量弁バネ30の付勢力により摺動され、定流量弁20の開度が増大する。これにより、定流量弁20を通過する洗浄水の流量がほぼ一定に維持される。
【0040】
次に、本発明の第1実施形態による汚物流し1の作用を説明する。
まず、図4を新たに参照して、使用者の手動による吐水について説明する。図4は、上段から順に、洗浄足踏スイッチ8から発せられる信号、洗浄吐水用開閉弁18の状態、フラッシュ足踏スイッチ6から発せられる信号、フラッシュ吐水用開閉弁16の状態を時系列で示すグラフである。
【0041】
まず、汚物流し1の使用者は、尿瓶等に入った汚物を、汚物流し本体2のボウル部2aに廃棄する。次いで、使用者が、図4の時刻t1において洗浄足踏スイッチ8を踏むと、洗浄足踏スイッチ8は電波を発信し、コントローラ22はこれを受信する。コントローラ22は、洗浄吐水用開閉弁18が閉鎖された状態において、洗浄足踏スイッチ8からの信号を受信すると、洗浄吐水用開閉弁18に信号を送ってこれを開放させる。洗浄吐水用開閉弁18が開放されると、給水源Sから供給された洗浄水は、T字管14の流入口14c、流出口14b、定流量弁20、洗浄吐水用開閉弁18を通って洗浄用吐水口4aから吐出され、ボウル部2aに流下する。
【0042】
ここで、給水源Sは、フラッシュ吐水にも使用することができる大流量を供給可能な給水源であるが、T字管14の流出口14bから流出した洗浄水は定流量弁20において流量を制限され、尿瓶等の洗浄に適した流量にされて洗浄用吐水口4aから吐出される。使用者は、洗浄用吐水口4aからの洗浄用吐水により尿瓶等を洗浄する。
【0043】
次に、時刻t2において、使用者が、フラッシュ足踏スイッチ6を踏むと、フラッシュ足踏スイッチ6は電波を発信し、コントローラ22はこれを受信する。コントローラ22は、フラッシュ足踏スイッチ6からの信号を受信すると、フラッシュ吐水用開閉弁16に信号を送ってこれを所定時間(時刻t3まで)開放させる。本実施形態においては、フラッシュ吐水用開閉弁16は、約4秒間開放される。フラッシュ吐水用開閉弁16が開放されると、給水源Sから供給された洗浄水は、T字管14の流入口14c、流出口14a、フラッシュ吐水用開閉弁16、フラッシュ吐水管路4bを通ってボウル部2aに設けられたボックスリム2bの吐水口から吐出され、ボウル部2aに流入する。
【0044】
このフラッシュ吐水により大流量の洗浄水がボウル部2aに流入するので、ボウル部2a内の水位は急激に上昇し、ボウル部2a内に溜まっていた汚物及び洗浄水は、排水トラップ管路2cを乗り越えて下水管に排出される。
【0045】
なお、フラッシュ吐水用開閉弁16が開放されると、給水源Sから供給された洗浄水は、洗浄用吐水口4aに加え、ボックスリム2bの方にも流れるようになるので、定流量弁20に流入する洗浄水の圧力は急激に低下する。このように圧力が低下した状態においても、なお、洗浄用吐水口4aから適正な流量の洗浄水を吐出させるために必要な給水圧が維持される。このため、洗浄用吐水口4aからの吐水流量は、フラッシュ吐水が開始された後も、ほぼ一定に維持される。
【0046】
次に、時刻t3において、フラッシュ吐水用開閉弁16が閉鎖されると、給水源Sからの洗浄水は、ボックスリム2bの方へ流れなくなるため、定流量弁20に流入する洗浄水の圧力は急激に上昇する。このように、定流量弁20に流入する給水圧力が上昇すると、定流量弁20の定流量弁体28(図3)は閉方向(図3における下方)に摺動され、定流量弁20を通過する流量は、ほぼ一定に維持される。これにより、フラッシュ吐水用開閉弁16が閉鎖された際、洗浄用吐水口4aからの吐水流量が不意に上昇して、尿瓶等の洗浄時に大きな水跳ねを起こすのを防止することができる。
【0047】
使用者は、尿瓶等の洗浄が終了した後、時刻t4において、再び洗浄足踏スイッチ8を踏むと、洗浄足踏スイッチ8は電波を発信し、コントローラ22はこれを受信する。コントローラ22は、洗浄吐水用開閉弁18が開放された状態において、洗浄足踏スイッチ8からの信号を受信すると、洗浄吐水用開閉弁18に信号を送ってこれを閉鎖させる。これにより、洗浄用吐水口4aからの吐水が停止される。
最後に、使用者は、時刻t5において、フラッシュ足踏スイッチ6を再び踏み、ボックスリム2bからのフラッシュ吐水を行ってボウル部2aを洗浄する。
【0048】
なお、上記の作用においては、使用者は、専らフラッシュ足踏スイッチ6及び洗浄足踏スイッチ8を操作していたが、フラッシュスイッチ10及び洗浄スイッチ12に手指をかざすことによっても、全く同様に汚物流し1を使用することができる。
【0049】
次に、図5を新たに参照して、コントローラ22によって実行される自動的なフラッシュ吐水を説明する。図5は、上段から順に、洗浄足踏スイッチ8から発せられる信号、洗浄吐水用開閉弁18の状態、フラッシュ足踏スイッチ6から発せられる信号、フラッシュ吐水用開閉弁16の状態を時系列で示すグラフである。
【0050】
まず、図5の時刻t1において、使用者は、洗浄足踏スイッチ8を操作して、洗浄用吐水口4aから吐水させ、尿瓶等の洗浄を開始する。時刻t1における洗浄開始後、洗浄中に、所定の初期フラッシュ吐水時間T1に亘ってフラッシュ足踏スイッチ6及びフラッシュスイッチ10が何れも操作されない場合には、コントローラ22は、自動的にフラッシュ吐水用開閉弁16に信号を送り、フラッシュ吐水を1回行う。これは、時刻t1における洗浄開始時には、尿瓶等に入っていた汚物がボウル部2aに廃棄されていることが想定され、ボウル部2aに汚物が廃棄されたままの状態が長時間持続することにより臭気が発生するのを防止するためである。本実施形態においては、初期フラッシュ吐水時間T1は、約30秒に設定されている。好ましくは、初期フラッシュ吐水時間T1を、約10秒〜約50秒に設定する。
【0051】
さらに、時刻t2において自動的にフラッシュ吐水された後、洗浄中に、所定のフラッシュ吐水間隔時間T2に亘ってフラッシュ足踏スイッチ6及びフラッシュスイッチ10が何れも操作されない場合には、コントローラ22は、自動的にフラッシュ吐水用開閉弁16に信号を送り、フラッシュ吐水を1回行う。これは、時刻t2におけるフラッシュ吐水後、ある程度時間が経過しており、尿瓶等から洗い流された汚物がボウル部2aに溜まっていることが想定され、この状態が継続することを防止するためである。また、コントローラ22は、フラッシュ足踏スイッチ6及びフラッシュスイッチ10が何れも操作されない場合には、以後、フラッシュ吐水間隔時間T2毎に1回、自動的にフラッシュ吐水を実行する。
【0052】
なお、本実施形態においては、フラッシュ吐水間隔時間T2は、約2分に設定されている。好ましくは、フラッシュ吐水間隔時間T2を、約1分〜約3分に設定する。ここで、フラッシュ吐水間隔時間T2が、初期フラッシュ吐水時間T1よりも長く設定されているのは、洗浄初期においては、尿瓶等に入っていた汚物が大量にボウル部2aに廃棄されていることが想定されるのに対し、1回フラッシュ吐水が実行された後は、ボウル部2aに溜まっている汚物の量は比較的少ないことが想定されるためである。
【0053】
次に、時刻t5において、使用者は、洗浄足踏スイッチ8を操作して、洗浄用吐水口4aからの吐水を停止させ、尿瓶等の洗浄を終了する。時刻t5における洗浄終了後、所定の自動フラッシュ吐水時間T3に亘ってフラッシュ足踏スイッチ6及びフラッシュスイッチ10が何れも操作されない場合には、コントローラ22は、自動的にフラッシュ吐水用開閉弁16に信号を送り、フラッシュ吐水を1回行う。これは、時刻t5における洗浄終了後、使用者がフラッシュ吐水を行ってボウル部2aを洗浄するのを忘れたことが想定されるためである。本実施形態においては、自動フラッシュ吐水時間T3は、約5分に設定されている。好ましくは、自動フラッシュ吐水時間T3を、約4分〜約6分に設定する。
【0054】
なお、洗浄用吐水が停止された後、所定の洗浄継続待ち時間T0以内に洗浄用吐水が再開された場合には、コントローラ22は、使用者による洗浄作業が継続していると判断し、初期フラッシュ吐水時間T1に基づく自動的なフラッシュ吐水はキャンセルされ、洗浄用吐水が再開された後にはフラッシュ吐水間隔時間T2毎のフラッシュ吐水が継続される。また、洗浄用吐水が停止され、所定の洗浄継続待ち時間T0が経過した後に洗浄用吐水が開始された場合には、コントローラ22は、他の使用者が別の尿瓶等の洗浄を開始したと判断する。この場合には、コントローラ22は、洗浄用吐水の開始後、初期フラッシュ吐水時間T1が経過すると、フラッシュ吐水を自動的に実行する。
なお、本実施形態においては、洗浄継続待ち時間T0は、約10分に設定されている。好ましくは、洗浄継続待ち時間T0を、約5分〜約15分に設定する。
【0055】
さらに、コントローラ22が、最後のフラッシュ吐水または洗浄用吐水から所定の設備保護洗浄時間が経過してもフラッシュ吐水及び洗浄用吐水の何れも行われなかったと判断すると、排水トラップの封水切れによる臭気を抑制するために、自動的にフラッシュ吐水する。本実施形態においては、設備保護洗浄時間は約1日に設定されている。好ましくは、設備保護洗浄時間を約0.5〜約2日に設定する。
【0056】
本発明の第1実施形態の汚物流しによれば、洗浄用吐水口からの吐水流量の変動が定流量弁により抑制されるので、フラッシュ吐水及び洗浄用吐水が単一の給水源から供給されていても洗浄用吐水の流量が急激に変化することがない。これにより、既存の水洗大便器に容易に増設し、又は水洗大便器が設置されていた場所に容易に設置することを可能にしながら、汚物洗浄装置の使い勝手を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態の汚物流しによれば、洗浄吐水用開閉弁が閉鎖された後、自動フラッシュ吐水時間に亘ってフラッシュ吐水用操作部が操作されなかった場合には、自動的にフラッシュ吐水が実行されるので、洗浄作業の終了後の、フラッシュ吐水の流し忘れを防止することができる。
【0058】
さらに、本実施形態の汚物流しによれば、洗浄吐水用開閉弁が開放された後、初期フラッシュ吐水時間に亘ってフラッシュ吐水用操作部が操作されなかった場合には、自動的にフラッシュ吐水が実行されるので、洗浄初期に、汚物流しのボウル部に汚物が大量に溜まっている状態が長時間放置されるのを防止することができる。これにより、汚物流しからの臭気等の発生を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態の汚物流しによれば、初期フラッシュ吐水時間経過後にフラッシュ吐水が実行された後、フラッシュ吐水用操作部が操作されない場合には、洗浄用吐水の吐水中は、所定のフラッシュ吐水間隔時間毎に自動的にフラッシュ吐水が実行されるので、汚物流しのボウル部に汚物が大量に溜まる前に汚物を排出することができる。
【0060】
さらに、本実施形態の汚物流しによれば、コントローラが発電機によって発電された電力により作動されるので、汚物洗浄装置を作動させるための商用電源が敷設されていない場所にも、汚物洗浄装置を設置することができる。
【0061】
また、上述した第1実施形態においては、流量調整手段として、定流量弁が使用されていたが、定流量弁に換えて、減圧弁を流量調整手段として使用することもできる。
【0062】
また、上述した第1実施形態においては、コントローラは、洗浄開始後、所定の初期フラッシュ吐水時間T1が経過して、自動的にフラッシュ吐水を1回行った後、所定のフラッシュ吐水間隔時間T2毎のフラッシュ吐水を実行するように構成されている。しかしながら、初期フラッシュ吐水時間T1及びフラッシュ吐水間隔時間T2は、任意に設定することができる。例えば、変形例として、洗浄開始後、直ちに所定のフラッシュ吐水間隔時間T2毎のフラッシュ吐水が行われるように本発明を構成することもできる。
【0063】
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態による汚物流しを説明する。本実施形態の汚物流しは、流量調整手段の構成が上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。図6は、本発明の第2実施形態の汚物流しの給水系統を示すブロック図である。
【0064】
図6に示すように、本実施形態の汚物流しにおける汚物洗浄装置204は、流量調整手段220として、第1洗浄吐水用開閉弁220aと、第2洗浄吐水用開閉弁220bを有する。これらの第1洗浄吐水用開閉弁220a及び第2洗浄吐水用開閉弁220bは、T字管14の流出口14bと、洗浄用吐水口4aの間に並列に設けられている。また、本実施形態においては、第1洗浄吐水用開閉弁220a及び第2洗浄吐水用開閉弁220bは、洗浄吐水用開閉弁としても機能する。
【0065】
コントローラ222は、洗浄足踏スイッチ8又は洗浄スイッチ12が操作され、洗浄用吐水口4aのみから吐水される状態にされると、第1洗浄吐水用開閉弁220aに信号を送って、これを開放させる。これにより、給水源Sから供給された洗浄水は、T字管14の流入口14c、流出口14b、第1洗浄吐水用開閉弁220aを通って洗浄用吐水口4aから吐水される。ここで、第1洗浄吐水用開閉弁220aは開放時における流路抵抗が大きく構成されているため、洗浄用吐水口4aから吐出される洗浄用吐水は、尿瓶等を洗浄するために適正な流量にされる。
【0066】
次いで、フラッシュ足踏スイッチ6又はフラッシュスイッチ10が操作され、ボックスリム2bからも吐水される状態にされると、コントローラ222は、フラッシュ吐水用開閉弁16を開放させると同時に、第2洗浄吐水用開閉弁220bを開放させる。ここで、第2洗浄吐水用開閉弁220bは開放時における流路抵抗が小さく構成されている。このため、フラッシュ吐水用開閉弁16が開放されることにより、流出口14bに流入する洗浄水の圧力が低下しても、洗浄水は第1洗浄吐水用開閉弁220a及び第2洗浄吐水用開閉弁220bを通って洗浄用吐水口4aから吐水されるので、洗浄用吐水口4aから吐出される洗浄水の流量は、ほぼ一定に維持される。
【0067】
次に、フラッシュ吐水が終了し、フラッシュ吐水用開閉弁16を閉鎖させる際には、コントローラ222は、第2洗浄吐水用開閉弁220bも同時に閉鎖させる。これにより、フラッシュ吐水を終了させる際にも、洗浄用吐水口4aからの吐水流量はほぼ一定に維持される。
【0068】
本発明の第2実施形態の汚物流しによれば、2つの開閉弁を使用して、容易に洗浄用吐水口からの吐水流量をほぼ一定に維持することができる。
また、上述した第2実施形態においては、第1、第2洗浄吐水用開閉弁の流路抵抗が異なるように構成することにより洗浄水の流量変化を抑制していたが、第1、第2洗浄吐水用開閉弁に同一のものを使用することもできる。この場合には、第1、第2洗浄吐水用開閉弁が夫々開放されたときに洗浄水が流れる管路の流路抵抗が異なるように構成する。
【0069】
次に、図7を参照して、本発明の第3実施形態による汚物流しを説明する。本実施形態の汚物流しは、流量調整手段の構成が上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。図7は、本発明の第3実施形態の汚物流しの給水系統を示すブロック図である。
【0070】
図7に示すように、本実施形態の汚物流しにおける汚物洗浄装置304は、流量調整手段として、二段階開閉弁320を有する。この二段階開閉弁320は、T字管14の流出口14bと、洗浄用吐水口4aの間に設けられている。また、二段階開閉弁320は、制御信号により、大流量モードと小流量モードの二段階の開度で開放できるように構成されている。さらに、本実施形態においては、二段階開閉弁320は、洗浄吐水用開閉弁としても機能する。
【0071】
コントローラ322は、洗浄足踏スイッチ8又は洗浄スイッチ12が操作され、洗浄用吐水口4aのみから吐水される状態にされると、二段階開閉弁320に信号を送って、これを小流量モードで開放させる。これにより、給水源Sから供給された洗浄水は、T字管14の流入口14c、流出口14b、二段階開閉弁320を通って洗浄用吐水口4aから吐水される。ここで、小流量モードで開放された二段階開閉弁320は、流路抵抗が大きいため、洗浄用吐水口4aから吐出される洗浄用吐水は、尿瓶等を洗浄するために適正な流量にされる。
【0072】
次いで、フラッシュ足踏スイッチ6又はフラッシュスイッチ10が操作され、ボックスリム2bからも吐水される状態にされると、コントローラ322は、フラッシュ吐水用開閉弁16を開放させると同時に、二段階開閉弁320に信号を送って、これを大流量モードに切り換える。ここで、大流量モードで開放された二段階開閉弁320は流路抵抗が小さいため、フラッシュ吐水用開閉弁16が開放されることにより、流出口14bから二段階開閉弁320に流入する洗浄水の圧力が低下しても、洗浄用吐水口4aから吐出される洗浄水の流量は、ほぼ一定に維持される。
【0073】
次に、フラッシュ吐水が終了し、フラッシュ吐水用開閉弁16を閉鎖させる際には、コントローラ322は、同時に二段階開閉弁320を小流量モードに切り換える。これにより、フラッシュ吐水を終了させる際にも、洗浄用吐水口4aからの吐水流量はほぼ一定に維持される。
【0074】
本発明の第3実施形態の汚物流しによれば、二段階開閉弁を使用して、容易に洗浄用吐水口からの吐水流量をほぼ一定に維持することができる。
次に、図8を参照して、本発明の第4実施形態による汚物流しを説明する。本実施形態の汚物流しは、流量調整手段の構成が上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第4実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。図8は、本発明の第4実施形態の汚物流しの給水系統を示すブロック図である。
【0075】
図8に示すように、本実施形態の汚物流しにおける汚物洗浄装置404は、流量調整手段420として、圧力センサ420aと、この圧力センサ420aの検出圧力に基づいて、開度を調節することができる開度調整開閉弁420bと、を有する。また、本実施形態においては、開度調整開閉弁420bは、洗浄吐水用開閉弁としても機能する。
【0076】
圧力センサ420aは、T字管14の流出口14bと開度調整開閉弁420bの間に設けられ、開度調整開閉弁420bに流入する洗浄水の圧力を測定するように構成されている。また、圧力センサ420aによって測定された圧力は、コントローラ422に送られるように構成されている。コントローラ422は、圧力センサ420aから送られた圧力の信号に基づいて開度調整開閉弁420bに信号を送り、開度調整開閉弁420bの開度を調整するように構成されている。
【0077】
コントローラ422は、洗浄足踏スイッチ8又は洗浄スイッチ12が操作され、洗浄用吐水口4aのみから吐水される状態にされると、開度調整開閉弁420bに信号を送って、これを開放させる。この際、圧力センサ420aによって測定される圧力は比較的高いものであるため、コントローラ422は開度調整開閉弁420bを小さな開度で開放させる。このため、洗浄用吐水口4aから吐出される洗浄用吐水は、尿瓶等を洗浄するために適正な流量にされる。
【0078】
次いで、フラッシュ足踏スイッチ6又はフラッシュスイッチ10が操作され、ボックスリム2bからも吐水される状態にされると、コントローラ422は、フラッシュ吐水用開閉弁16を開放させる。これにより、圧力センサ420aによって測定される圧力は急激に低下する。圧力センサ420aから送られた圧力の測定値が低下すると、コントローラ422は、開度調整開閉弁420bに信号を送り、開度調整開閉弁420bの開度を、圧力低下に見合うように大きくする。これにより、流出口14bから開度調整開閉弁420bに流入する洗浄水の圧力が低下しても、洗浄用吐水口4aから吐出される洗浄水の流量は、ほぼ一定に維持される。
【0079】
次に、フラッシュ吐水が終了し、フラッシュ吐水用開閉弁16を閉鎖されると、圧力センサ420aによって測定される圧力は急激に上昇する。圧力センサ420aから送られた圧力の測定値が上昇すると、コントローラ422は、開度調整開閉弁420bに信号を送り、開度調整開閉弁420bの開度を、圧力上昇に見合うように小さくする。これにより、流出口14bから開度調整開閉弁420bに流入する洗浄水の圧力が上昇しても、洗浄用吐水口4aから吐出される洗浄水の流量は、ほぼ一定に維持される。
【0080】
本発明の第4実施形態の汚物流しによれば、圧力センサと開度調整開閉弁を使用して吐水流量を調整するので、より正確に流量を制御することができると共に、汚物流しの近傍に設置された他の給水機器による給水圧変動の影響も抑制することができる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、汚物洗浄装置と汚物流し本体により、本発明の汚物流しを構成していたが、本発明の汚物洗浄装置を、既存の水洗大便器本体の近傍に設置して、これらを汚物流しとして使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態の汚物流しの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の汚物流しの給水系統を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態の汚物流しに使用されている定流量弁の構造を示す断面図である。
【図4】洗浄足踏スイッチから発せられる信号、洗浄吐水用開閉弁の状態、フラッシュ足踏スイッチから発せられる信号、フラッシュ吐水用開閉弁の状態を、上段から順に時系列で示すグラフである。
【図5】洗浄足踏スイッチから発せられる信号、洗浄吐水用開閉弁の状態、フラッシュ足踏スイッチから発せられる信号、フラッシュ吐水用開閉弁の状態を、上段から順に時系列で示すグラフである。
【図6】本発明の第2実施形態の汚物流しの給水系統を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3実施形態の汚物流しの給水系統を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4実施形態の汚物流しの給水系統を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0083】
S 給水源
T0 洗浄継続待ち時間
T1 初期フラッシュ吐水時間
T2 フラッシュ吐水間隔時間
T3 自動フラッシュ吐水時間
1 本発明の第1実施形態による汚物流し
2 汚物流し本体
2a ボウル部
2b ボックスリム
2c 排水トラップ管路
4 汚物洗浄装置
4a 洗浄用吐水口
4b フラッシュ吐水管路
6 フラッシュ足踏スイッチ(フラッシュ吐水用操作部)
8 洗浄足踏スイッチ(洗浄吐水用操作部)
10 フラッシュスイッチ(フラッシュ吐水用操作部)
12 洗浄スイッチ(洗浄吐水用操作部)
14 T字管(洗浄水分岐部)
14a 流出口
14b 流出口
14c 流入口
16 フラッシュ吐水用開閉弁
18 洗浄吐水用開閉弁
20 定流量弁(流量調整手段)
22 コントローラ
23 発電機(発電手段)
24 逆止弁
26 定流量弁本体
28 定流量弁体
30 定流量弁バネ
32 逆止弁本体
34 逆止弁体
36 逆止弁バネ
204 本発明の第2実施形態の汚物流しにおける汚物洗浄装置
220 流量調整手段
220a 第1洗浄吐水用開閉弁
220b 第2洗浄吐水用開閉弁
222 コントローラ
304 本発明の第3実施形態の汚物流しにおける汚物洗浄装置
320 二段階開閉弁(流量調整手段)
322 コントローラ
404 本発明の第4実施形態の汚物流しにおける汚物洗浄装置
420 流量調整手段
420a 圧力センサ
420b 開度調整開閉弁
422 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物流しへのフラッシュ吐水及び洗浄用吐水をする汚物洗浄装置であって、
給水源に接続された洗浄水分岐部と、
この洗浄水分岐部の一方の流出口に接続され、上記汚物流しにフラッシュ吐水させるフラッシュ吐水用開閉弁と、
上記洗浄水分岐部の他方の流出口に接続され、洗浄用吐水口から吐出される洗浄水を吐水・停止させる洗浄吐水用開閉弁と、
1回のフラッシュ吐水を行うために、使用者により操作されるフラッシュ吐水用操作部と、
洗浄用吐水を開始させ又は停止させるために、使用者により操作される洗浄吐水用操作部と、
上記フラッシュ吐水用操作部の操作に基づいてフラッシュ吐水を行うと共に、上記洗浄吐水用操作部の操作に基づいて上記洗浄吐水用開閉弁を開閉させる制御手段と、
上記洗浄水分岐部の他方の流出口と上記洗浄用吐水口との間の通水路に設けられ、上記フラッシュ吐水及び上記洗浄用吐水が同時に行われた場合と、上記洗浄用吐水が単独で行われた場合の、上記洗浄用吐水口からの吐水流量の変動を抑制する流量調整手段と、
を有することを特徴とする汚物洗浄装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記洗浄吐水用開閉弁を閉鎖させた後、所定の自動フラッシュ吐水時間に亘って上記フラッシュ吐水用操作部が操作されなかった場合には、自動的にフラッシュ吐水を実行する請求項1記載の汚物洗浄装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記洗浄吐水用開閉弁を開放させた後、所定の初期フラッシュ吐水時間に亘って上記フラッシュ吐水用操作部が操作されなかった場合には、自動的にフラッシュ吐水を実行する請求項1又は2記載の汚物洗浄装置。
【請求項4】
上記制御手段は、上記洗浄吐水用開閉弁が閉鎖された状態で、所定の洗浄継続待ち時間が経過する前に、上記洗浄吐水用開閉弁が開放されると、上記所定の初期フラッシュ吐水時間に基づく自動的なフラッシュ吐水をキャンセルさせる請求項3記載の汚物洗浄装置。
【請求項5】
上記制御手段は、上記初期フラッシュ吐水時間経過後にフラッシュ吐水を実行した後、上記フラッシュ吐水用操作部が操作されない場合には、所定のフラッシュ吐水間隔時間毎に自動的にフラッシュ吐水を実行する請求項3記載の汚物洗浄装置。
【請求項6】
さらに、フラッシュ吐水又は洗浄用吐水の水流により発電する発電手段を有し、上記制御手段は、上記発電手段によって発電された電力により作動される請求項1乃至5の何れか1項に記載の汚物洗浄装置。
【請求項7】
汚物を受けるボウル部、及びこのボウル部に連通した排水トラップ管路を備えた汚物流し本体と、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の汚物洗浄装置と、を有することを特徴とする汚物流し。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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