決済システム及び決済処理装置
【課題】ECサイトでの商取引の決済手段として金融機関の振込が選択された場合、ECサイトの運営者が、どの申し込みに対応して振込が行われたかを検知しやすくする。
【解決手段】決済システムにおいて、金融機関の振込処理システムは、振込先及び振込額を受け付け、準備された識別情報を、振込人に出力し、受け付けられた振込先、振込額及びその識別情報を用いて振込処理を行う。また、販売業者の決済処理装置は、利用者の端末装置より、物品などの購入の申込情報を受け付け、金融機関の振込処理システムより、振込額及び識別情報を含む振込情報を受信し、振込情報受信部が受信した振込情報をデータベースに保持し、また、利用者の端末装置より、識別情報出力部により出力された識別情報を受け付け、データベース部に保持された振込情報のうち、どの申込情報に対して振込が行われたのかを判断する。
【解決手段】決済システムにおいて、金融機関の振込処理システムは、振込先及び振込額を受け付け、準備された識別情報を、振込人に出力し、受け付けられた振込先、振込額及びその識別情報を用いて振込処理を行う。また、販売業者の決済処理装置は、利用者の端末装置より、物品などの購入の申込情報を受け付け、金融機関の振込処理システムより、振込額及び識別情報を含む振込情報を受信し、振込情報受信部が受信した振込情報をデータベースに保持し、また、利用者の端末装置より、識別情報出力部により出力された識別情報を受け付け、データベース部に保持された振込情報のうち、どの申込情報に対して振込が行われたのかを判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の振込処理システムと販売業者の決済処理装置とを備える決済システム、および決済処理を行う決済処理装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
電子商取引の利用が増え、ECサイト等を通じて物品や情報等を売買する機会が増えている。これらの物品または情報等の代金を決済する手段として、金融機関の口座振込による支払い方法が選択される場合が多い。この場合、ECサイト等を通じての物品または情報等の購入者は、販売業者の指定した金融機関の口座に、その代金に相当する金額を振り込み、代金の決済が行われる。ECサイト等を運営する販売業者は、振込がされたことを確認し、購入希望者に物品または情報等を提供する。
【0003】
ところで、金融機関は、一般的にコンピュータを用いた金融システムを形成しており、複数の金融機関のシステムが、ネットワークを通じて相互に接続されている。そして、金融機関の口座への振込の処理は、コンピュータを用いて行われることが一般的である。このとき、金融機関が提供するシステムを利用して、上述の販売業者の指定した口座に、多くの者が振込処理を行うと、振込人の情報がない場合や、同姓同名の振込人名が存在した場合等に、振込人を特定することが容易でなくなる。また、多数の価格の物品や情報等の売買がされる場合には、販売業者は振込まれた金額から振込人を特定できる場合があるが、電子マネーの発行、チケットの販売、お中元、お歳暮の贈り物などのセット販売などのように金額がある程度固定されている場合には、振込まれた金額から振込人を特定するのは困難となる。そこで、金融機関が、振込人に複数の口座を関連付け、振込が行われた口座番号により振込人を特定する方法が提示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許3029421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、あらかじめ振込人別に口座番号を通知する必要があり、利用者がECサイト等を初めて利用する場合、物品や情報等の入手に時間がかかることとなり、ECサイト等の利用を躊躇させることになる。また、金融機関だけでなく、販売業者にも、通知した口座番号の管理が求められることとなる。また、虚偽の口座番号の通知がなされた場合や、口座番号を誤って入力して振込処理を行った場合に、支払人も受取人も気付かずに振込処理が完了してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態として、金融機関の振込処理システムと販売業者の決済処理装置とを備える決済システムが提供される。この決済システムにおいて、金融機関の振込処理システムは、利用者より、振込先及び振込額を受け付ける振込受付部と、準備された識別情報を、その利用者に出力する識別情報出力部と、振込受付部で受け付けられた振込先、振込額及びその識別情報を用いて振込処理を行う振込処理部とを有する。また、販売業者の決済処理装置は、その利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける購入申込受付部と、金融機関の振込処理システムより、振込を行った金融機関名、振込額及び識別情報を含む振込情報を受信する振込情報受信部と、振込情報受信部が受信した振込情報を保持するデータベース部と、その利用者の端末装置より、識別情報出力部により出力された識別情報を受け付ける振込情報受付部と、データベース部に保持された振込情報のうち、振込情報受付部で受け付けられた識別情報を有する振込情報に基づいて前記物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部とを有する。
【0007】
このような決済システムによれば、利用者が金融機関に振込を行った際に、識別情報が利用者に通知される。その識別情報を販売業者に提示することにより、販売業者は、その識別情報を用いて、確認することができる。
【0008】
また、本発明の別の一実施形態として、次の決済処理装置が提供される。すなわち、利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける購入申込受付部と、申込情報を識別する識別情報であり、前記物品又は/及び情報の対価の支払として行う振込の振込人名の全体又は一部の表現として用いる識別情報を送信する識別情報送信部と、金融機関の振込システムより、振込が行われた金融機関名、振込人名及び振込額を有する振込情報を受信する振込情報受信部と、振込情報受信部が受信した振込情報を保持するデータベース部と、データベース部に保持されている振込情報のうち、識別情報を用いて表現されていない振込人名を有する振込情報を抽出する抽出部と、利用者の端末装置より、振込金融機関名、振込人名及び振込額を含む第2振込情報を受け付ける振込情報受付部と、前記振込情報受付部で受け付けられた第2振込情報の振込金融機関名、振込人名及び振込額と適合する振込情報が前記抽出部により抽出されていれば、前記利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部とを有する決済処理装置が提供される。
【0009】
この決済処理装置によれば、物品や情報等の購入の申し込みがされると、利用者に識別情報が通知され、代金の金額に相当する金額の振込時にその識別情報を振込人の名前などとして用いることにより、販売業者は、どの利用者からの振込であるかを知ることができる。また、利用者が、振込時に識別情報を用いることを失念などしてしまった場合でも、販売業者にその識別情報を通知することにより、販売業者は、どの利用者からの振込であるかを知ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者に同姓同名の者がいても、販売業者は、どの購入者からの振込であるかを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る決済システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る振込処理システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る振込処理システムの振込処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る利用者端末の画面表示を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る決済処理装置の機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る決済処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る利用者端末の画面表示を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る決済システムにおける決済処理を説明するためのシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態における振込処理の情報を格納するためのテーブルの一例図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る決済処理装置の機能ブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る決済処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係る利用者端末の画面表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施形態として図を参照しつつ説明を行う。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施することができる。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る決済システムの概要を示す図である。決済システム100は、金融機関の振込処理システム101と、販売業者の決済処理装置102とを有する。
【0014】
振込処理システム101は、銀行等の金融機関が、振込人からの依頼を受けて振込処理を行うシステムである。決済処理装置102は、販売業者が、利用者から物品や情報、役務などの購入の申込を受け付けた後、利用者との決済処理を確認するための装置である。利用者は、利用者端末を用いて振込処理システム101にアクセスする。あるいは、利用者は、金融機関のATM装置や窓口の店員を通じて振込処理システム101にアクセスをする。また、利用者が振込処理システム101にアクセスするのは、販売業者が販売などする物品や情報、役務などの代金相当額を、販売業者などの口座に振込む処理を金融機関に依頼するためである。通常は、利用者が振込処理システム101にアクセスする前に、利用者は、販売業者のECサイトにアクセスを行い、物品や情報、役務などの購入の申込を行う。
【0015】
ここで、利用者端末とは、販売業者との商取引または金融機関への振込の依頼の処理等を行うために利用者が用いる電子機器である。例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末などである。振込処理システム101と、決済処理装置102と、利用者端末とは、それぞれ通信アダプタなどのハードウェアを備え、インターネットなどの通信網を介して通信を行う。
【0016】
販売業者は、利用者から物品又は情報などの購入の申込情報を受け付けると、決済方法を通知する。例えば、販売業者のECサイトなどは、利用者端末の画面に決済方法を指示する情報を表示させる。複数の決済方法が選択可能である場合には、利用者が決済方法として金融機関への振込処理を選択した場合、利用者は、上述のように、金融機関の振込処理システム101にアクセスを行い、振込の依頼を行う。利用者がパーソナルコンピュータや携帯端末などを用いて振込の依頼を行う際には、通常、インターネットバンキングのシステムを利用することにより振込の依頼が行われる。この場合、通常は、インターネットバンキングのシステムにログインを行った利用者の口座から、販売業者などの口座に振込への振込の依頼が行われる。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る振込処理システムの機能ブロック図であり、図3は、本発明の一実施形態に係る振込処理システムの振込処理の流れを説明するフローチャートである。
【0018】
図2に示すように、本実施形態に係る振込処理システム200は、振込受付部201と、識別情報出力部202とを有する。また、必須ではないが、データベース部204を有していてもよい。振込受付部201は、利用者より、振込先及び振込額を受け付ける。識別情報出力部202は、準備された識別情報を、前記利用者に出力する。振込処理部203は、振込受付部201で受け付けられた振込先、振込額及び前記準備された識別情報を用いて振込処理を行う。
【0019】
本実施形態において、利用者は、利用者端末から振込処理システム200などが表示する画面にアクセスし、振込先の情報及び振込額等を入力して、振込処理システム200に向けて送信する。このとき、振込処理システム200へのアクセスに際しては、本発明の一実施形態として、図4(a)に例示されるような画面が利用者端末に表示されてもよい。図4(a)は、利用者が振込先の金融機関を選択した後に表示される画面を示している。図4(a)に例示される画面において、利用者が、振込先の支店番号、口座種類、口座番号、振込金額等の情報を入力し、「振込」と表示されたボタンを押下すると、振込処理システム200の振込受付部201に向けて振込先及び振込額を含む情報が送信され、振込処理システム200の振込受付部201に受け付けられる(ステップS301)。なお、利用者の利用する利用者端末などは、直接、振込処理システム200に接続されている必要はない。例えば、インターネットバンキングの機能をウェブ画面として利用可能とするウェブサーバを介して、振込処理システム200にアクセスが可能となっていてもよい。また、振込受付部201には、利用者の名前が振込の依頼者の名前として受け付けられる必要はない。例えば、販売業者のECサイトなどが利用者端末の画面に表示した決済方法の一部として表示された整理番号などを振込人の名前としてもよい。また、以下に説明するように、振込処理システム200が付与などする識別番号が振込人を識別する情報として用いられるようになっていてもよい。
【0020】
図2及び図3に図示するように、振込処理システム200は、振込受付部201が振込先及び振込額を含む情報を受け付けると、準備された識別情報を識別情報出力部202から出力する(ステップS302)。準備された識別情報とは、予め識別情報を生成しておいたものを記憶しておき、その記憶から取り出された識別情報や、必要となったときに生成される識別情報を含む。例えば、乱数として識別情報が生成される。本発明の一実施形態として、識別情報出力部202から出力され、利用者端末などに向けて送信された識別情報は、図4(b)に例示されるような利用者端末などの画面に、「振込番号」として、利用者端末の画面に表示されてもよい。図4(b)に例示するように、利用者に、表示された識別情報を紙等に書き写して控えておくか、プリントアウトするように促す文言を画面に表示してもよい。また、識別情報は、利用者端末の画面に表示するだけでなく、金融機関のATM等においては利用明細書として印刷されて出力されるものであってもよい。あるいは、識別情報は、利用者が振込処理システム200に登録したメールアドレスへ電子メールの一部として送信されるようになっていてもよい。この場合、利用者に振込処理システム200から送信される電子メールは、振込処理システム200の電子署名が付与されていてもよい。このように電子署名が付与された電子メールが利用者に送信されることにより、必要に応じて、利用者が実際に振込を行ったことを、販売業者などに立証することが容易となる。
【0021】
識別情報は、金融機関における利用者の振込処理を特定するための情報である。本実施形態では、識別情報が用いられるために、振込を行う者は、自らの氏名を振込受付部201に受け付けさせる必要はない。識別情報は、上述した乱数のようにランダムな英数字の文字列であってもよく、一定の規則性を有して生成されたものでもよい。例えば、識別情報が番号の組み合わせならば、クレジットカード番号のようにチェックサムが一定であるといった規則性を有してもよい。識別情報は、識別情報出力部202において、その都度生成されてもよいが、上述したように予め幾つか生成されたものが出力されてもよい。
【0022】
また、識別情報は、利用者ごとに割り当てられるものであってもよい。例えば、利用者が金融機関に銀行口座を開設したときに、銀行口座の番号とは別に、その利用者を識別する情報として識別情報が一つ又は複数割り当てられるようになっていてもよい。また、口座開設時ではなく、必要に応じて識別情報が割り当てられるようになっていてもよい。また、このように、利用者ごとに識別情報が割り当てられる場合、利用者に割り当てられる識別情報は一定である必要はなく、時間の経過に応じて、あるいは、利用者からの要求に応じて、別の識別情報が生成され、割り当てられるようになっていてもよい。
【0023】
識別情報は、振込先の口座へ振込を行った者を証明するための情報と考えることができる。すなわち、振込を行った者と振込先の口座の保有者に、識別番号が通知されるようになっていると、振込を行った者が振込先の口座の保有者に識別番号を通知などして提示することにより、振込を行った者が本当に振込を行ったことを振込先の口座の保有者に証明することができる。この目的を達成するために、識別情報は、金融機関、振込を行った者、振込先の口座の保有者以外には知られないのが好ましい。また、識別情報は、振込を行った者、振込先の口座の保有者以外には予測ができないように生成されるのが好ましい。このため、識別情報は、例えば、乱数として生成され、次に生成される識別情報が、金融機関以外の者に予測ができないようにする。
【0024】
次に、振込処理システム200は、図2及び図3に図示するように、振込処理部203において、振込受付部201が受け付けた振込先及び振込額の情報と、識別情報出力部202が利用者に出力した識別情報とを用いて、振込処理を行う(ステップS303)。例えば、振込先の口座へ、振込額を移動する。振込先の口座が、同じ金融機関であれば、その金融機関内で処理が可能である。振込先の口座が異なる金融機関ではれば、振込先の口座のある金融機関へ振込の依頼を行う。
【0025】
このとき、振込処理システム200は、データベース部204が管理するテーブルに、振込先及び振込額の情報と、識別情報とを対応させて格納するようになっていてもよい。テーブルを用いる理由の一つは、振込の依頼が一時的に集中した場合に、時間を分散させて振込処理を行うためである。また、システムのトラブルに備えて、履歴を記録するためでもある。
【0026】
図9(a)は、データベース部204が管理し、振込先及び振込額の情報と識別情報とが対応して格納されたテーブルの一例である。図9(a)に示すように、振込先の金融機関コード、支店番号、科目(口座種類)、口座番号、振込金額、振込人名、及び振込日時の列を有するテーブルであってもよく、識別情報は、振込人名の列に、例えば振込人名の前又は後ろに「#」等の所定の文字を介して付加され、格納されていてもよい。また、図9(a)に示すテーブルとは異なり、識別情報と振込人名とが、それぞれ別の列に格納されてもよい。
【0027】
なお、利用者は振込人名を入力しなくてもよいため、振込受付部201は振込人名を受け付けなくともよい。この場合、振込先の口座を管理する金融機関が、本実施形態に係る振込処理システムでない場合には、識別番号は、振込を行った者の氏名として通知されるようになっているのが好ましい。このようにすることにより、金融機関の間での振込の情報の交換の互換性を高めることができる。また、振込受付部201が振込人名を受け付ける場合には、受け付けられた振込人名と識別番号との間に区切り文字(例えば、#)や絵文字などの画像を付した文字列や画像などの情報を新たな振込人名として、振込先の口座を保有する者に通知されるようにするのが好ましい。
【0028】
また、当該金融機関に口座を有する顧客の情報が、振込人の情報と一致する場合には、識別情報は、当該顧客の有する口座番号とは異なるものとすることが好ましい。上述したように、識別情報は、金融機関、振込を行った者、振込先の口座の保有者以外には知られないのが好ましいからである。なお、振込処理システム200は、識別情報を含む振込の履歴情報と、顧客情報とを関連付けるテーブルを用意してもよい。これらのテーブルは、関係データベースシステムなどの表データとして管理されてもよい。
【0029】
また、振込処理システム200は、振込の依頼者が当該金融機関の顧客であり、当該金融機関のATMやインターネットバンキング等を利用して振込処理を行った場合には、データベース部204に保持する振込の履歴情報から、振込人の依頼に応じて履歴情報に含まれる識別情報を閲覧できるようにしてもよい。
【0030】
次に、図5乃至図7を参照して、本発明の一実施形態に係る販売業者の決済処理装置の処理について説明する。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置の機能ブロック図であり、図6は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。図7は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置が利用者端末に表示させる画面の一例である。
【0032】
決済処理装置500は、購入申込受付部501と、振込情報受信部502と、データベース部505と、振込情報受付部503と、提供指示情報出力部506とを有する。また、購入データベース504を有していてもよい。購入申込受付部501は、利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける。振込情報受信部502は、金融機関の振込処理システム101より、振込金融機関名、振込額及び識別情報を含む振込情報を受信する。データベース部505は、振込情報受信部502が受信した振込情報を保持する。振込情報受付部503は、利用者の端末装置より、識別情報出力部202より出力された識別情報を受け付ける。提供指示情報出力部506は、データベース部505に保持された振込情報のうち、振込情報受付部503で受け付けられた識別情報を有する振込情報に基づいて前記物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する。
【0033】
販売業者の決済処理装置500は、上述の通り、物品または情報の購入者である利用者から、利用者端末を通じて、商品、情報又は/及び役務の購入の申込を受け付ける。図7(a)は、購入を申し込むときに、利用者端末に表示される画面の一例である。例えば、利用者端末にウェブブラウザが動作し、決済処理装置500に接続されたウェブサーバからHTML(HyperText Markup Language)などで記述された画面情報が送信され、利用者端末のディスプレイに購入の対象を決定するための表示がされ、「購入申込」のボタンなどを押下すると図7(a)の画面が表示される。図7(a)に例示する画面において、「購入する」と表示されたボタンを利用者が押下すると、利用者の情報とともに、購入を希望する物品、情報又は/及び役務の内容、及びその金額等を含む申込情報が、決済処理装置500に送信され、購入申込受付部501が申込情報を受け付ける(ステップS601)。購入申込受付部501が受け付けた申込情報は、購入データベース504が管理するテーブルに格納され、保持される。
【0034】
利用者は、決済処理装置500に申込情報を送信した後あるいはその前に、金融機関の振込処理システム200に、上述の振込の依頼を行う。販売業者の決済処理装置500は、利用者からの振込の有無を確認するため、振込先として指定した口座を有する金融機関の振込処理システム200と通信し、当該口座への入金明細データを振込処理システム200から受信する。このとき、決済処理装置500の振込情報受信部502は、振込金融機関名、振込額、及び識別情報を含む振込情報を受信する(ステップS602)。
【0035】
決済処理装置500の振込情報受信部502は、定期的に振込処理システム200と通信し、入金明細データの有無を問い合わせ、振込情報を受信してもよい。また、振込情報受信部502は、振込情報を受信した受信日時を取得してもよい。
【0036】
振込情報受信部502は、データベース部505が管理するテーブルに、振込情報を格納する(ステップS603)。図9(b)は、振込情報を格納するテーブルの一例である。図9(b)に例示するように、振込情報を格納するテーブルは、振込元の金融機関コード、振込金額、振込人名、振込日、受信日時を格納する列を有してもよく、振込人名の列に、識別情報が、振込人名の後ろに「#」等の所定の文字を介して付加され、格納されていてもよい。また、振込情報を格納するテーブルは、識別情報の列を有してもよく、識別情報の列に識別情報のみが格納されていてもよい。振込人の名前と、識別情報とは、それぞれ単独のデータとして扱われてもよいし、結合して一つのデータとして扱われてもよい。また、金融機関の振込処理システム200からは、振込人の名前と識別情報とは結合された一つのデータとして受信され、決済処理装置500が振込人の名前と識別情報とに分離してもよい。また、振込人名はなくともよい。この場合には、金融機関の振込処理システム200からは振込人を識別する情報として識別情報が受信されることになる。
【0037】
利用者は、振込処理を行った後、販売業者の決済処理装置500にアクセスし、振込処理システム200から通知された識別情報を、決済処理装置500に送信する。利用者が、利用者端末を通じて決済処理装置500にアクセスすると、図7(b)に例示するような、振込に関する情報を入力するための画面が表示される。
【0038】
利用者は、図7(b)に例示される画面に、振込元の金融機関名、振込金額、振込人の名前、振込時に出力された識別情報である「振込番号」など、振込に関する情報を入力する。ここで、利用者が、図7(b)において「振込番号」として表示される識別情報を入力し、「送信」と表示されたボタンを押下すると、決済処理装置500に入力内容が送信され、振込情報受付部503が識別情報を受け付ける(ステップS604)。
【0039】
このとき、振込情報受付部503が受け付けた識別情報は、図9(c)に例示されるテーブルに格納されてもよい。図9(c)に例示されるテーブルは、識別情報である「振込番号」を格納する列のみならず、振込元の金融機関コード、振込金額、振込人名等を格納する列を有してもよい。なお、図9(c)に例示されるテーブルは、データベース部505で管理されてもよい。
【0040】
決済処理装置500は、識別情報を受け付けると、データベース部505が保持する振込情報に、利用者端末から受け付けた識別情報が含まれているかどうかを検索する。金融機関から受信した振込情報に、利用者端末から受け付けた識別情報が含まれていれば、当該利用者が振込処理を完了させたものとみなし、決済処理装置500の提供指示情報出力部506は、当該利用者に対して物品及び/又は情報を提供するように指示する情報を出力する(ステップS605)。例えば、購入された品物などの名前、数量などと配送先(送信先)がディスプレイに表示されたりプリントアウトなどされたりして出力される。あるいは、購入されたものが情報である場合には、送信先へ送信するメールサーバなどに、情報の識別情報、送信先の情報等が送信される。
【0041】
なお、識別情報のみならず、データベース部505が保持する振込情報のうち、利用者端末から受け付けた金融機関コード、振込金額、振込人名等の情報の一つ以上が、識別情報とともに一致するかが確認された後に、提供指示情報出力部506より、利用者に対して物品または情報を提供するように指示する情報が出力されてもよい。
【0042】
提供指示情報出力部506は、購入データベース504に保持された申込情報を検索して、振込情報に含まれる識別情報を送信した利用者が、購入を申し込んだ物品または情報を確認し、当該物品または情報を当該利用者に提供するように指示する情報を出力する。
【0043】
ここで利用者は、利用者端末を通じて決済処理装置500にアクセスする際に、ユーザ名やパスワード等を入力して送信することにより、認証されていてもよく、利用者の認証情報に基づき、申込情報を送信した利用者と、識別情報を送信した利用者との一致が確認されてもよい。さらに、提供指示情報出力部506は、購入データベース504に保持された申込情報のうち、金額についても、利用者の識別情報を含む振込情報の振込金額と一致するかを確認し、指示情報を出力してもよい。
【0044】
図8は、本発明の一実施形態に係る決済システム100における決済処理を説明するためのシーケンス図である。
【0045】
図8において、金融機関サーバとは、金融機関の振込処理システム200を実現するための一態様を示しており、販売業者サーバとは、販売業者の決済処理装置500を実現するための一態様を示す。金融機関サーバ及び販売業者サーバは、例えばコンピュータにソフトウェアを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置とするものである。あるいは金融機関サーバ及び販売業者サーバは、LSIなどを組み合わせた電子回路によって構成することも可能である。
【0046】
本発明の一実施形態に係る決済システム100における決済処理は、ステップS801にて、利用者端末が販売業者サーバに物品又は情報の購入の申込情報を送信した後、ステップS802にて、利用者端末が金融機関サーバに振込処理を依頼し、ステップS803にて、金融機関サーバから利用者端末に識別情報が出力される。ステップS804にて金融機関サーバから販売業者サーバに振込情報が送信され、ステップS805にて利用者端末から販売業者サーバに識別情報が送信される。
【0047】
なお、図8に示すステップS801は、図6に示すステップS601に対応し、ステップS803は、図3に示すステップS302に対応し、ステップS804及びS805は、それぞれ図6に示すステップS602及びS604に対応する。
【0048】
なお、上述のように、金融機関サーバ及び販売業者サーバは、例えばコンピュータにソフトウェアを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置とすることができる。コンピュータは、一般的には、プログラムに含まれる命令を実行するCPU(Central Processing Unit)と、プログラムやデータを不揮発に記憶する記憶装置と、実行するプログラムやプログラムの処理途中のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、外部との通信を行う通信インターフェースとを有し、これらがバスなどを介して接続される。
【0049】
例えば、金融機関の振込処理システムをコンピュータで実現する場合には、振込受付部201は、通信インターフェースなどを用いて、振込先及び振込額などを表わす情報を受信し、RAMに一時的に記憶する。また識別情報出力部202は、CPUを動作させて生成などした識別情報を、通信インターフェースを用いて送信する。また、振込処理部203は、RAMに一時的に記憶された振込先及び振込額などを表わす情報を、記憶装置などに実現されるデータベース部204に格納するとともに、振込処理を実際に行うコンピュータに、振込先及び振込額などを表わす情報を、通信インターフェースを用いて送信する。例えば、振込先の金融機関が別会社の金融機関である場合には、振込先の金融機関の振込処理システムなどに、自金融機関の識別情報などともに送信する。
【0050】
また、販売業者サーバをコンピュータで実現する場合には、購入申込受付部501は、通信インターフェースなどを用いて、購入の申込を表わす情報を受信し、記憶装置などに実現される購入データベース504に記憶する。また、振込情報受信部502は、通信インターフェースなどを用いて、振込情報を受信し、記憶装置などに実現されるデータベース部505に記憶する。振込情報受付部503は、通信インターフェースなどを用いて、識別情報を受信し、RAMに一時的に記憶し、提供指示情報出力部506に伝達する。提供指示情報出力部506は、RAMに一時的に記憶された識別情報を用いてデータベース部505を検索し、その識別情報が振込情報に含まれているかどうかを検出し、物品または情報を提供するように指示する情報を、通信インターフェースなどを用いて送信する。
【0051】
(実施形態2)
上述の実施形態1において、利用者が、振込処理の際に金融機関の振込処理システム200から出力される識別情報を、販売業者の決済処理装置500に送信することにより、販売業者が振込処理のなされたことを確認する決済システムについて説明した。
【0052】
しかし、利用者が振込の依頼を行う金融機関によっては、実施形態1に係る振込処理システムを用いない場合がある。すなわち、そのような金融機関は、利用者に対し識別情報を出力する振込処理システムを有しない場合がある。また、利用者が識別情報を失念してしまった場合、金融機関に識別情報を照会する必要があり、利用者及び金融機関にとって煩わしい手続きが必要になることとなる。そこで、以下では、物品または情報の購入時に、販売業者の決済処理装置から利用者に対して第2の識別情報を出力し、利用者が振込処理の際に第2の識別情報を入力することにより、販売業者が振込処理のなされたことを確認する決済システムについて説明する。
【0053】
図10は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置の機能ブロック図であり、図11は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。図12は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置が利用者端末に表示させる画面の一例である。
【0054】
本実施形態に係る決済処理装置1000は、購入申込受付部1001と、識別情報送信部1002と、振込情報受信部1003と、データベース部1006と、抽出部1007と、振込情報受付部1004と、提供指示情報出力部1008とを有する。また、購入データベース1005を有し、提供指示情報出力部1008は、待機処理部1009と、比較部1010とを有していてもよい。
【0055】
購入申込受付部1001は、利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける。識別情報送信部1002は、前記申込情報を識別する識別情報であり、前記物品又は/及び情報の対価の支払として行う振込の振込人名の全体又は一部の表現として用いる識別情報を送信する。振込情報受信部1003は、金融機関の振込システムより、振込金融機関名、振込人名及び振込額を有する振込情報を受信する。データベース部1006は、振込情報受信部1003が受信した振込情報を保持する。抽出部1007は、前記データベース部に保持されている振込情報のうち、識別情報が用いて表現されていない振込人名を有する振込情報を抽出する。振込情報受付部1004は、利用者の端末装置より、振込金融機関名、振込人名及び振込額を含む第2振込情報を受け付ける。提供指示情報出力部1008は、前記振込情報受付部で受け付けられた第2振込情報の振込金融機関名、振込人名及び振込額と適合する振込情報が前記抽出部により抽出されていれば、前記利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する。
【0056】
販売業者の決済処理装置1000は、図6に示すステップS601と同様に、図11に示すステップS1101において、物品または情報等の購入者である利用者から、利用者端末を通じて、購入申込受付部1001に購入の申込情報を受け付ける。購入申込受付部1001が受け付けた申込情報は、購入データベース1005が管理するテーブルに格納され、保持される。このとき、利用者がログインなどにより認証されていれば、利用者の認証情報と関連付けて申込情報をテーブルに格納してもよい。あるいは、利用者のメールアドレスなど、利用者毎に異なる何らかの識別情報を利用者から受信し、それを関連付けて申込情報をテーブルに格納してもよい。
【0057】
購入申込受付部1001が申込情報を受け付けると、識別情報送信部1002は利用者端末に第2識別情報を送信する(ステップS1102)。なお、第2識別情報とは、利用者の申込情報を識別するための識別情報であり、購入する物品または情報の対価の支払いとして、利用者が振込処理を行う際に、振込人名の全体又は一部の表現として用いるものとする。第2識別情報も、上述の識別情報のように、予め生成しておいたものを記憶しておき、その記憶から取り出したり、必要となったときに生成されたりする。例えば、乱数として生成される。あるいは、利用者が決済処理装置1000などにログインし認証を受けている場合には、その利用者に第2識別情報が関連付けられていてもよい。また、第2識別情報は、クレジットカード番号のようにチェックサムが一定であるといった規則性を有しているのが好ましい。これにより、抽出部1007が、データベース部1006に保持されている振込情報のうち、第2識別情報が用いられずに振込人名が表現されているものを抽出することができる。また、第2識別情報が用いられて振込人名が表現されている場合に、その規則性を用いて、第2識別情報を振込人名から分離することができる。
【0058】
第2識別人情報が、規則性を有さない情報であっても、第2識別人情報が振込人名の中に配置される位置を指定することにより、第2識別情報が用いられずに振込人名が表現されているものを抽出することができる。また、第2識別情報が用いられて振込人名が表現されている場合に、第2識別情報を振込人名から分離することができる。例えば、振込人名の前または後ろに第2識別情報を配置する。言い換えれば、振込人名のプレフィックス又はポストフィックスとして第2識別情報を用いる。
【0059】
識別情報送信部1002が利用者端末に第2識別情報を送信すると、図12に例示されるような画面が利用者端末に表示され、図12では「申込番号」として表示されている第2識別情報が利用者に通知される。図12に示す画面のように、利用者は第2識別情報である「申込番号」を控えておくか、プリントアウトして保持しておき、金融機関へ代金を振り込む際に、振込人名の前か後ろに第2識別情報である「申込番号」を付加して入力し、振込処理をするように指示される。
【0060】
第2識別情報は、識別情報送信部1002により利用者端末に送信された後、購入データベース1005が管理するテーブルに格納され、保持される。このとき、第2識別情報は、購入データベース1005が保持するテーブルのうち、利用者の申込情報が格納されたテーブルまたは他のテーブルに、当該申込情報と関連付けられて格納されてもよい。
【0061】
利用者は、販売業者の決済処理装置1000に申込情報を送信した後、上述の図2乃至図4に示される振込処理と同様に、金融機関の振込処理システム200に対し、振込処理を行う。ただし、利用者は、振込人の名前を入力する際には、振込人名の前か後ろなどに第2識別情報を付加して入力し、振込人の全体又は一部の表現として、第2識別情報が用いられるようにして、振込の依頼を行うために、振込の情報を送信などする。なお、利用者は、第2識別情報を入力すれば、振込人の名前を入力しなくともよい。この場合、第2識別情報は、振込人の全体の表現となる。
【0062】
金融機関の振込処理システム200は、図2及び図3に示した処理と同様に、利用者端末から送信された振込先や振込額等の情報を振込受付部201に受け付け、識別情報出力部202が利用者端末に識別情報を出力する。出力された識別情報は、データベース部204に保持される。
【0063】
次に、上述の図6に示すステップS602及びS603の処理と同様に、販売業者の決済処理装置1000は、振込処理システム200から振込情報を振込情報受信部1003が受信し(ステップS1103)、データベース部1006の管理するテーブルに振込情報を格納し、保持する(ステップS1104)。
【0064】
決済処理装置1000の抽出部1007は、データベース部1006に保持された振込情報のうち、第2識別情報が付加されていない振込人名を有する振込情報を抽出する(ステップS1005)。このとき、振込人名の情報はなくともよい。振込人名が格納されるテーブルの列の値が、null値の場合も抽出部1007により抽出される。なお、振込人名の格納される列の値が、第2識別情報のみである場合は抽出されない。
【0065】
データベース部1006は、抽出部1007に抽出されない第2識別情報が付加された振込人名を有する振込情報のうち、振込人名の前か後ろに付加された第2識別情報が、購入データベース1005に保持された第2識別情報に一致するかを検索する。このとき、振込人名を有さず第2識別情報のみを有する振込情報の場合も、同様に処理される。購入データベース1005に保持された第2識別情報と、振込情報に含まれる第2識別情報とが一致した場合には、提供指示情報出力部1008から、利用者に物品または情報を提供するように指示する情報が出力されてもよい。なお、第2識別情報のみならず、それぞれの第2識別情報に関連付けられた申込情報と振込情報のうち、振込金額が一致するかをさらに確認してもよく、一致した場合に、提供指示情報出力部1008から、利用者に物品または情報を提供するように指示する情報が出力されてもよい。
【0066】
以下に、利用者が、第2識別情報を振込人名に付加せずに、振込処理を行った場合における決済処理について説明する。
【0067】
利用者は、第2識別情報を振込人名に付加せずに振込処理をした場合、利用者端末を通じて、販売業者の決済処理装置1000にアクセスし、金融機関の振込処理システム200から出力された識別番号を、決済処理装置1000に送信する。このとき、利用者端末には、図7(b)に例示されるような振込に関する情報を入力する画面が表示される。利用者は、図7(b)では「振込番号」と表示される識別情報、振込金融機関名、振込人名、及び振込額等を入力して決済処理装置1000に送信する。
【0068】
なお、金融機関の振込処理システム200が識別情報を出力する機能を有さない場合には、第2識別情報を振込人名に付加せずに振込処理を行った利用者は、図7(b)に例示される画面において、振込人名を入力する。しかし、金融機関の振込処理システム200から出力される識別情報を有する利用者は、図7(b)に例示される画面において、識別情報を入力すれば、振込人名は入力しなくともよい。また、振込を行った時間を入力してもよい。振込の際にATMや金融機関の店員などより発行された利用明細を撮影して得られる画像や、インターネットバンキングにより振込を行った際の画面イメージなどを添付してもよい。あるいは振込の依頼を行った後に受信される金融機関の電子メールの写しなどを添付してもよい。
【0069】
決済処理装置1000の振込情報受付部1004は、利用者端末より、識別情報、振込金融機関名、振込人名、振込額等を含む振込に関する情報を受け付ける(ステップS1106)。ここで、利用者端末より受け付けた振込に関する情報を、「第2振込情報」とする。また、このとき、利用者は、ログインにより認証をうけ、決済処理装置1000は認証情報を取得したり、利用者毎に異なる何らかの識別情報を利用者から受信したりしてもよい。
【0070】
決済処理装置1000は、振込情報受付部1004で受け付けた第2振込情報の識別情報、振込金融機関名、及び振込額と適合する振込情報が、抽出部1007により抽出されていれば、提供指示情報出力部1008から、第2振込情報を振込情報受付部に受け付けさせた利用者への物品又は情報の提供を指示する情報を出力する(ステップS1107)。このとき、申込情報に関連づけられている認証情報や何らかの識別情報が、ステップS1106で取得された認証情報や何らかの識別情報と適合するかを確認してもよい。
【0071】
例えば、提供指示情報出力部1008から提供指示情報が出力される利用者は、決済処理装置1000の保持する利用者の認証情報に基づき、特定されてもよい。なお、提供指示情報出力部1008は、購入データベース1005が保持する当該利用者の申込情報に基づき、利用者が購入を希望する物品又は情報を提供するよう指示する情報を出力する。
【0072】
また、提供指示情報出力部1008は、少なくとも所定の時間(例えば、24時間)、利用者への物品又は情報の提供を指示する情報の出力を待機し、所定の時間の経過後、出力処理を行う待機処理部1009を有してもよい。例えば、振込情報受付部1004が第2振込情報を受け付けてから24時間待機した後、出力処理を開始してもよい。これにより、本来の利用者とは異なる悪意ある第三者から、利用者から受け付けるよりも前に第2振込情報を受け付けた場合や、本来の振込内容とは異なる虚偽の第2振込情報を受け付けた場合にも、一定の時間、処理を留保しておくことができる。
【0073】
また、提供指示情報出力部1008は、振込情報に関連付けられた日時と、利用者より受け付けた第2振込情報に含まれる日時とを比較する比較部1010を有してもよい。
【0074】
例えば、金融機関の振込処理システム200から、振込日時のデータが受信されない場合には、振込情報受信部1003は、定期的に金融機関に振込の有無を問い合せ、振込情報を受信したときの受信日時を取得してもよい。この受信日時は、データベース部1006に保持される図9(b)に例示されるテーブルのように、受信日時の列に格納され、振込情報と関連付けられて保持される。
【0075】
また、振込情報受付部1004は、上述のように利用者から振込日時を含む第2振込情報を受け付けてもよい。図示してはいないが、図7(b)に例示される画面に振込日時を入力する入力ボックス等を追加して利用者に入力させてもよい。また、図9(c)に例示されるテーブルに、第2振込情報と関連付けて振込日時が格納される列が追加されてもよい。
【0076】
提供指示情報出力部1008は、比較部1010が振込情報に含まれる振込日時と、第2振込情報に含まれる振込日時とを比較し、日時が一致した場合に、利用者への物品又は情報の提供を指示する情報を出力してもよい。これにより、利用者が識別情報または第2識別情報を失念した場合にも、本人であることを確認するために振込日時を利用することができる。
【0077】
決済処理装置1000をコンピュータで実現する場合には、購入申込受付部1001は、通信インターフェースなどを用いて、申込情報を受信し、記憶装置などに実現される購入データベース1005に記憶する。また、購入申込受付部1001は、申込情報を受信すると、識別情報送信部1002を動作させ、通信インターフェースなどを用いて、識別情報を送信させ、また、購入データベース1005に記憶された申込情報を付加などする。また振込情報受信部1003は、通信インターフェースなどを用いて、金融機関の振込処理システムより、振込情報を受信し、記憶装置などに実現されるデータベース部1006に格納する。抽出部1007は、データベース部1006に記憶された振込情報から、識別情報が用いて表現されていない振込人名を検出して、そのような振込人名を有する振込情報を抽出し、RAMなどに記憶させる。また、振込情報受付部1004は、通信インターフェースなどを用いて、第2振込情報を受信し、受け付け、RAMなどに記憶させる。なお、抽出部1007、振込情報受付部1004は、抽出された振込情報、第2振込情報を記憶装置などに実現されるデータベースに記憶してもよい。提供情報出力部1008は、RAMあるいはデータベースに記憶されている抽出された振込情報のうち、第2振込情報の振込金融機関名、振込人名及び振込額と適合する情報の有無をCPUの動作により検出し、検出されれば、通信インターフェースを用いて、提供を指示する情報を出力する。
【符号の説明】
【0078】
200 振込処理システム
201 振込受付部
202 識別情報出力部
203 振込処理部
204 データベース部
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の振込処理システムと販売業者の決済処理装置とを備える決済システム、および決済処理を行う決済処理装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
電子商取引の利用が増え、ECサイト等を通じて物品や情報等を売買する機会が増えている。これらの物品または情報等の代金を決済する手段として、金融機関の口座振込による支払い方法が選択される場合が多い。この場合、ECサイト等を通じての物品または情報等の購入者は、販売業者の指定した金融機関の口座に、その代金に相当する金額を振り込み、代金の決済が行われる。ECサイト等を運営する販売業者は、振込がされたことを確認し、購入希望者に物品または情報等を提供する。
【0003】
ところで、金融機関は、一般的にコンピュータを用いた金融システムを形成しており、複数の金融機関のシステムが、ネットワークを通じて相互に接続されている。そして、金融機関の口座への振込の処理は、コンピュータを用いて行われることが一般的である。このとき、金融機関が提供するシステムを利用して、上述の販売業者の指定した口座に、多くの者が振込処理を行うと、振込人の情報がない場合や、同姓同名の振込人名が存在した場合等に、振込人を特定することが容易でなくなる。また、多数の価格の物品や情報等の売買がされる場合には、販売業者は振込まれた金額から振込人を特定できる場合があるが、電子マネーの発行、チケットの販売、お中元、お歳暮の贈り物などのセット販売などのように金額がある程度固定されている場合には、振込まれた金額から振込人を特定するのは困難となる。そこで、金融機関が、振込人に複数の口座を関連付け、振込が行われた口座番号により振込人を特定する方法が提示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許3029421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、あらかじめ振込人別に口座番号を通知する必要があり、利用者がECサイト等を初めて利用する場合、物品や情報等の入手に時間がかかることとなり、ECサイト等の利用を躊躇させることになる。また、金融機関だけでなく、販売業者にも、通知した口座番号の管理が求められることとなる。また、虚偽の口座番号の通知がなされた場合や、口座番号を誤って入力して振込処理を行った場合に、支払人も受取人も気付かずに振込処理が完了してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態として、金融機関の振込処理システムと販売業者の決済処理装置とを備える決済システムが提供される。この決済システムにおいて、金融機関の振込処理システムは、利用者より、振込先及び振込額を受け付ける振込受付部と、準備された識別情報を、その利用者に出力する識別情報出力部と、振込受付部で受け付けられた振込先、振込額及びその識別情報を用いて振込処理を行う振込処理部とを有する。また、販売業者の決済処理装置は、その利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける購入申込受付部と、金融機関の振込処理システムより、振込を行った金融機関名、振込額及び識別情報を含む振込情報を受信する振込情報受信部と、振込情報受信部が受信した振込情報を保持するデータベース部と、その利用者の端末装置より、識別情報出力部により出力された識別情報を受け付ける振込情報受付部と、データベース部に保持された振込情報のうち、振込情報受付部で受け付けられた識別情報を有する振込情報に基づいて前記物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部とを有する。
【0007】
このような決済システムによれば、利用者が金融機関に振込を行った際に、識別情報が利用者に通知される。その識別情報を販売業者に提示することにより、販売業者は、その識別情報を用いて、確認することができる。
【0008】
また、本発明の別の一実施形態として、次の決済処理装置が提供される。すなわち、利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける購入申込受付部と、申込情報を識別する識別情報であり、前記物品又は/及び情報の対価の支払として行う振込の振込人名の全体又は一部の表現として用いる識別情報を送信する識別情報送信部と、金融機関の振込システムより、振込が行われた金融機関名、振込人名及び振込額を有する振込情報を受信する振込情報受信部と、振込情報受信部が受信した振込情報を保持するデータベース部と、データベース部に保持されている振込情報のうち、識別情報を用いて表現されていない振込人名を有する振込情報を抽出する抽出部と、利用者の端末装置より、振込金融機関名、振込人名及び振込額を含む第2振込情報を受け付ける振込情報受付部と、前記振込情報受付部で受け付けられた第2振込情報の振込金融機関名、振込人名及び振込額と適合する振込情報が前記抽出部により抽出されていれば、前記利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部とを有する決済処理装置が提供される。
【0009】
この決済処理装置によれば、物品や情報等の購入の申し込みがされると、利用者に識別情報が通知され、代金の金額に相当する金額の振込時にその識別情報を振込人の名前などとして用いることにより、販売業者は、どの利用者からの振込であるかを知ることができる。また、利用者が、振込時に識別情報を用いることを失念などしてしまった場合でも、販売業者にその識別情報を通知することにより、販売業者は、どの利用者からの振込であるかを知ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者に同姓同名の者がいても、販売業者は、どの購入者からの振込であるかを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る決済システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る振込処理システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る振込処理システムの振込処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る利用者端末の画面表示を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る決済処理装置の機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る決済処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る利用者端末の画面表示を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る決済システムにおける決済処理を説明するためのシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態における振込処理の情報を格納するためのテーブルの一例図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る決済処理装置の機能ブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る決済処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係る利用者端末の画面表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施形態として図を参照しつつ説明を行う。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施することができる。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る決済システムの概要を示す図である。決済システム100は、金融機関の振込処理システム101と、販売業者の決済処理装置102とを有する。
【0014】
振込処理システム101は、銀行等の金融機関が、振込人からの依頼を受けて振込処理を行うシステムである。決済処理装置102は、販売業者が、利用者から物品や情報、役務などの購入の申込を受け付けた後、利用者との決済処理を確認するための装置である。利用者は、利用者端末を用いて振込処理システム101にアクセスする。あるいは、利用者は、金融機関のATM装置や窓口の店員を通じて振込処理システム101にアクセスをする。また、利用者が振込処理システム101にアクセスするのは、販売業者が販売などする物品や情報、役務などの代金相当額を、販売業者などの口座に振込む処理を金融機関に依頼するためである。通常は、利用者が振込処理システム101にアクセスする前に、利用者は、販売業者のECサイトにアクセスを行い、物品や情報、役務などの購入の申込を行う。
【0015】
ここで、利用者端末とは、販売業者との商取引または金融機関への振込の依頼の処理等を行うために利用者が用いる電子機器である。例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末などである。振込処理システム101と、決済処理装置102と、利用者端末とは、それぞれ通信アダプタなどのハードウェアを備え、インターネットなどの通信網を介して通信を行う。
【0016】
販売業者は、利用者から物品又は情報などの購入の申込情報を受け付けると、決済方法を通知する。例えば、販売業者のECサイトなどは、利用者端末の画面に決済方法を指示する情報を表示させる。複数の決済方法が選択可能である場合には、利用者が決済方法として金融機関への振込処理を選択した場合、利用者は、上述のように、金融機関の振込処理システム101にアクセスを行い、振込の依頼を行う。利用者がパーソナルコンピュータや携帯端末などを用いて振込の依頼を行う際には、通常、インターネットバンキングのシステムを利用することにより振込の依頼が行われる。この場合、通常は、インターネットバンキングのシステムにログインを行った利用者の口座から、販売業者などの口座に振込への振込の依頼が行われる。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る振込処理システムの機能ブロック図であり、図3は、本発明の一実施形態に係る振込処理システムの振込処理の流れを説明するフローチャートである。
【0018】
図2に示すように、本実施形態に係る振込処理システム200は、振込受付部201と、識別情報出力部202とを有する。また、必須ではないが、データベース部204を有していてもよい。振込受付部201は、利用者より、振込先及び振込額を受け付ける。識別情報出力部202は、準備された識別情報を、前記利用者に出力する。振込処理部203は、振込受付部201で受け付けられた振込先、振込額及び前記準備された識別情報を用いて振込処理を行う。
【0019】
本実施形態において、利用者は、利用者端末から振込処理システム200などが表示する画面にアクセスし、振込先の情報及び振込額等を入力して、振込処理システム200に向けて送信する。このとき、振込処理システム200へのアクセスに際しては、本発明の一実施形態として、図4(a)に例示されるような画面が利用者端末に表示されてもよい。図4(a)は、利用者が振込先の金融機関を選択した後に表示される画面を示している。図4(a)に例示される画面において、利用者が、振込先の支店番号、口座種類、口座番号、振込金額等の情報を入力し、「振込」と表示されたボタンを押下すると、振込処理システム200の振込受付部201に向けて振込先及び振込額を含む情報が送信され、振込処理システム200の振込受付部201に受け付けられる(ステップS301)。なお、利用者の利用する利用者端末などは、直接、振込処理システム200に接続されている必要はない。例えば、インターネットバンキングの機能をウェブ画面として利用可能とするウェブサーバを介して、振込処理システム200にアクセスが可能となっていてもよい。また、振込受付部201には、利用者の名前が振込の依頼者の名前として受け付けられる必要はない。例えば、販売業者のECサイトなどが利用者端末の画面に表示した決済方法の一部として表示された整理番号などを振込人の名前としてもよい。また、以下に説明するように、振込処理システム200が付与などする識別番号が振込人を識別する情報として用いられるようになっていてもよい。
【0020】
図2及び図3に図示するように、振込処理システム200は、振込受付部201が振込先及び振込額を含む情報を受け付けると、準備された識別情報を識別情報出力部202から出力する(ステップS302)。準備された識別情報とは、予め識別情報を生成しておいたものを記憶しておき、その記憶から取り出された識別情報や、必要となったときに生成される識別情報を含む。例えば、乱数として識別情報が生成される。本発明の一実施形態として、識別情報出力部202から出力され、利用者端末などに向けて送信された識別情報は、図4(b)に例示されるような利用者端末などの画面に、「振込番号」として、利用者端末の画面に表示されてもよい。図4(b)に例示するように、利用者に、表示された識別情報を紙等に書き写して控えておくか、プリントアウトするように促す文言を画面に表示してもよい。また、識別情報は、利用者端末の画面に表示するだけでなく、金融機関のATM等においては利用明細書として印刷されて出力されるものであってもよい。あるいは、識別情報は、利用者が振込処理システム200に登録したメールアドレスへ電子メールの一部として送信されるようになっていてもよい。この場合、利用者に振込処理システム200から送信される電子メールは、振込処理システム200の電子署名が付与されていてもよい。このように電子署名が付与された電子メールが利用者に送信されることにより、必要に応じて、利用者が実際に振込を行ったことを、販売業者などに立証することが容易となる。
【0021】
識別情報は、金融機関における利用者の振込処理を特定するための情報である。本実施形態では、識別情報が用いられるために、振込を行う者は、自らの氏名を振込受付部201に受け付けさせる必要はない。識別情報は、上述した乱数のようにランダムな英数字の文字列であってもよく、一定の規則性を有して生成されたものでもよい。例えば、識別情報が番号の組み合わせならば、クレジットカード番号のようにチェックサムが一定であるといった規則性を有してもよい。識別情報は、識別情報出力部202において、その都度生成されてもよいが、上述したように予め幾つか生成されたものが出力されてもよい。
【0022】
また、識別情報は、利用者ごとに割り当てられるものであってもよい。例えば、利用者が金融機関に銀行口座を開設したときに、銀行口座の番号とは別に、その利用者を識別する情報として識別情報が一つ又は複数割り当てられるようになっていてもよい。また、口座開設時ではなく、必要に応じて識別情報が割り当てられるようになっていてもよい。また、このように、利用者ごとに識別情報が割り当てられる場合、利用者に割り当てられる識別情報は一定である必要はなく、時間の経過に応じて、あるいは、利用者からの要求に応じて、別の識別情報が生成され、割り当てられるようになっていてもよい。
【0023】
識別情報は、振込先の口座へ振込を行った者を証明するための情報と考えることができる。すなわち、振込を行った者と振込先の口座の保有者に、識別番号が通知されるようになっていると、振込を行った者が振込先の口座の保有者に識別番号を通知などして提示することにより、振込を行った者が本当に振込を行ったことを振込先の口座の保有者に証明することができる。この目的を達成するために、識別情報は、金融機関、振込を行った者、振込先の口座の保有者以外には知られないのが好ましい。また、識別情報は、振込を行った者、振込先の口座の保有者以外には予測ができないように生成されるのが好ましい。このため、識別情報は、例えば、乱数として生成され、次に生成される識別情報が、金融機関以外の者に予測ができないようにする。
【0024】
次に、振込処理システム200は、図2及び図3に図示するように、振込処理部203において、振込受付部201が受け付けた振込先及び振込額の情報と、識別情報出力部202が利用者に出力した識別情報とを用いて、振込処理を行う(ステップS303)。例えば、振込先の口座へ、振込額を移動する。振込先の口座が、同じ金融機関であれば、その金融機関内で処理が可能である。振込先の口座が異なる金融機関ではれば、振込先の口座のある金融機関へ振込の依頼を行う。
【0025】
このとき、振込処理システム200は、データベース部204が管理するテーブルに、振込先及び振込額の情報と、識別情報とを対応させて格納するようになっていてもよい。テーブルを用いる理由の一つは、振込の依頼が一時的に集中した場合に、時間を分散させて振込処理を行うためである。また、システムのトラブルに備えて、履歴を記録するためでもある。
【0026】
図9(a)は、データベース部204が管理し、振込先及び振込額の情報と識別情報とが対応して格納されたテーブルの一例である。図9(a)に示すように、振込先の金融機関コード、支店番号、科目(口座種類)、口座番号、振込金額、振込人名、及び振込日時の列を有するテーブルであってもよく、識別情報は、振込人名の列に、例えば振込人名の前又は後ろに「#」等の所定の文字を介して付加され、格納されていてもよい。また、図9(a)に示すテーブルとは異なり、識別情報と振込人名とが、それぞれ別の列に格納されてもよい。
【0027】
なお、利用者は振込人名を入力しなくてもよいため、振込受付部201は振込人名を受け付けなくともよい。この場合、振込先の口座を管理する金融機関が、本実施形態に係る振込処理システムでない場合には、識別番号は、振込を行った者の氏名として通知されるようになっているのが好ましい。このようにすることにより、金融機関の間での振込の情報の交換の互換性を高めることができる。また、振込受付部201が振込人名を受け付ける場合には、受け付けられた振込人名と識別番号との間に区切り文字(例えば、#)や絵文字などの画像を付した文字列や画像などの情報を新たな振込人名として、振込先の口座を保有する者に通知されるようにするのが好ましい。
【0028】
また、当該金融機関に口座を有する顧客の情報が、振込人の情報と一致する場合には、識別情報は、当該顧客の有する口座番号とは異なるものとすることが好ましい。上述したように、識別情報は、金融機関、振込を行った者、振込先の口座の保有者以外には知られないのが好ましいからである。なお、振込処理システム200は、識別情報を含む振込の履歴情報と、顧客情報とを関連付けるテーブルを用意してもよい。これらのテーブルは、関係データベースシステムなどの表データとして管理されてもよい。
【0029】
また、振込処理システム200は、振込の依頼者が当該金融機関の顧客であり、当該金融機関のATMやインターネットバンキング等を利用して振込処理を行った場合には、データベース部204に保持する振込の履歴情報から、振込人の依頼に応じて履歴情報に含まれる識別情報を閲覧できるようにしてもよい。
【0030】
次に、図5乃至図7を参照して、本発明の一実施形態に係る販売業者の決済処理装置の処理について説明する。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置の機能ブロック図であり、図6は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。図7は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置が利用者端末に表示させる画面の一例である。
【0032】
決済処理装置500は、購入申込受付部501と、振込情報受信部502と、データベース部505と、振込情報受付部503と、提供指示情報出力部506とを有する。また、購入データベース504を有していてもよい。購入申込受付部501は、利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける。振込情報受信部502は、金融機関の振込処理システム101より、振込金融機関名、振込額及び識別情報を含む振込情報を受信する。データベース部505は、振込情報受信部502が受信した振込情報を保持する。振込情報受付部503は、利用者の端末装置より、識別情報出力部202より出力された識別情報を受け付ける。提供指示情報出力部506は、データベース部505に保持された振込情報のうち、振込情報受付部503で受け付けられた識別情報を有する振込情報に基づいて前記物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する。
【0033】
販売業者の決済処理装置500は、上述の通り、物品または情報の購入者である利用者から、利用者端末を通じて、商品、情報又は/及び役務の購入の申込を受け付ける。図7(a)は、購入を申し込むときに、利用者端末に表示される画面の一例である。例えば、利用者端末にウェブブラウザが動作し、決済処理装置500に接続されたウェブサーバからHTML(HyperText Markup Language)などで記述された画面情報が送信され、利用者端末のディスプレイに購入の対象を決定するための表示がされ、「購入申込」のボタンなどを押下すると図7(a)の画面が表示される。図7(a)に例示する画面において、「購入する」と表示されたボタンを利用者が押下すると、利用者の情報とともに、購入を希望する物品、情報又は/及び役務の内容、及びその金額等を含む申込情報が、決済処理装置500に送信され、購入申込受付部501が申込情報を受け付ける(ステップS601)。購入申込受付部501が受け付けた申込情報は、購入データベース504が管理するテーブルに格納され、保持される。
【0034】
利用者は、決済処理装置500に申込情報を送信した後あるいはその前に、金融機関の振込処理システム200に、上述の振込の依頼を行う。販売業者の決済処理装置500は、利用者からの振込の有無を確認するため、振込先として指定した口座を有する金融機関の振込処理システム200と通信し、当該口座への入金明細データを振込処理システム200から受信する。このとき、決済処理装置500の振込情報受信部502は、振込金融機関名、振込額、及び識別情報を含む振込情報を受信する(ステップS602)。
【0035】
決済処理装置500の振込情報受信部502は、定期的に振込処理システム200と通信し、入金明細データの有無を問い合わせ、振込情報を受信してもよい。また、振込情報受信部502は、振込情報を受信した受信日時を取得してもよい。
【0036】
振込情報受信部502は、データベース部505が管理するテーブルに、振込情報を格納する(ステップS603)。図9(b)は、振込情報を格納するテーブルの一例である。図9(b)に例示するように、振込情報を格納するテーブルは、振込元の金融機関コード、振込金額、振込人名、振込日、受信日時を格納する列を有してもよく、振込人名の列に、識別情報が、振込人名の後ろに「#」等の所定の文字を介して付加され、格納されていてもよい。また、振込情報を格納するテーブルは、識別情報の列を有してもよく、識別情報の列に識別情報のみが格納されていてもよい。振込人の名前と、識別情報とは、それぞれ単独のデータとして扱われてもよいし、結合して一つのデータとして扱われてもよい。また、金融機関の振込処理システム200からは、振込人の名前と識別情報とは結合された一つのデータとして受信され、決済処理装置500が振込人の名前と識別情報とに分離してもよい。また、振込人名はなくともよい。この場合には、金融機関の振込処理システム200からは振込人を識別する情報として識別情報が受信されることになる。
【0037】
利用者は、振込処理を行った後、販売業者の決済処理装置500にアクセスし、振込処理システム200から通知された識別情報を、決済処理装置500に送信する。利用者が、利用者端末を通じて決済処理装置500にアクセスすると、図7(b)に例示するような、振込に関する情報を入力するための画面が表示される。
【0038】
利用者は、図7(b)に例示される画面に、振込元の金融機関名、振込金額、振込人の名前、振込時に出力された識別情報である「振込番号」など、振込に関する情報を入力する。ここで、利用者が、図7(b)において「振込番号」として表示される識別情報を入力し、「送信」と表示されたボタンを押下すると、決済処理装置500に入力内容が送信され、振込情報受付部503が識別情報を受け付ける(ステップS604)。
【0039】
このとき、振込情報受付部503が受け付けた識別情報は、図9(c)に例示されるテーブルに格納されてもよい。図9(c)に例示されるテーブルは、識別情報である「振込番号」を格納する列のみならず、振込元の金融機関コード、振込金額、振込人名等を格納する列を有してもよい。なお、図9(c)に例示されるテーブルは、データベース部505で管理されてもよい。
【0040】
決済処理装置500は、識別情報を受け付けると、データベース部505が保持する振込情報に、利用者端末から受け付けた識別情報が含まれているかどうかを検索する。金融機関から受信した振込情報に、利用者端末から受け付けた識別情報が含まれていれば、当該利用者が振込処理を完了させたものとみなし、決済処理装置500の提供指示情報出力部506は、当該利用者に対して物品及び/又は情報を提供するように指示する情報を出力する(ステップS605)。例えば、購入された品物などの名前、数量などと配送先(送信先)がディスプレイに表示されたりプリントアウトなどされたりして出力される。あるいは、購入されたものが情報である場合には、送信先へ送信するメールサーバなどに、情報の識別情報、送信先の情報等が送信される。
【0041】
なお、識別情報のみならず、データベース部505が保持する振込情報のうち、利用者端末から受け付けた金融機関コード、振込金額、振込人名等の情報の一つ以上が、識別情報とともに一致するかが確認された後に、提供指示情報出力部506より、利用者に対して物品または情報を提供するように指示する情報が出力されてもよい。
【0042】
提供指示情報出力部506は、購入データベース504に保持された申込情報を検索して、振込情報に含まれる識別情報を送信した利用者が、購入を申し込んだ物品または情報を確認し、当該物品または情報を当該利用者に提供するように指示する情報を出力する。
【0043】
ここで利用者は、利用者端末を通じて決済処理装置500にアクセスする際に、ユーザ名やパスワード等を入力して送信することにより、認証されていてもよく、利用者の認証情報に基づき、申込情報を送信した利用者と、識別情報を送信した利用者との一致が確認されてもよい。さらに、提供指示情報出力部506は、購入データベース504に保持された申込情報のうち、金額についても、利用者の識別情報を含む振込情報の振込金額と一致するかを確認し、指示情報を出力してもよい。
【0044】
図8は、本発明の一実施形態に係る決済システム100における決済処理を説明するためのシーケンス図である。
【0045】
図8において、金融機関サーバとは、金融機関の振込処理システム200を実現するための一態様を示しており、販売業者サーバとは、販売業者の決済処理装置500を実現するための一態様を示す。金融機関サーバ及び販売業者サーバは、例えばコンピュータにソフトウェアを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置とするものである。あるいは金融機関サーバ及び販売業者サーバは、LSIなどを組み合わせた電子回路によって構成することも可能である。
【0046】
本発明の一実施形態に係る決済システム100における決済処理は、ステップS801にて、利用者端末が販売業者サーバに物品又は情報の購入の申込情報を送信した後、ステップS802にて、利用者端末が金融機関サーバに振込処理を依頼し、ステップS803にて、金融機関サーバから利用者端末に識別情報が出力される。ステップS804にて金融機関サーバから販売業者サーバに振込情報が送信され、ステップS805にて利用者端末から販売業者サーバに識別情報が送信される。
【0047】
なお、図8に示すステップS801は、図6に示すステップS601に対応し、ステップS803は、図3に示すステップS302に対応し、ステップS804及びS805は、それぞれ図6に示すステップS602及びS604に対応する。
【0048】
なお、上述のように、金融機関サーバ及び販売業者サーバは、例えばコンピュータにソフトウェアを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置とすることができる。コンピュータは、一般的には、プログラムに含まれる命令を実行するCPU(Central Processing Unit)と、プログラムやデータを不揮発に記憶する記憶装置と、実行するプログラムやプログラムの処理途中のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、外部との通信を行う通信インターフェースとを有し、これらがバスなどを介して接続される。
【0049】
例えば、金融機関の振込処理システムをコンピュータで実現する場合には、振込受付部201は、通信インターフェースなどを用いて、振込先及び振込額などを表わす情報を受信し、RAMに一時的に記憶する。また識別情報出力部202は、CPUを動作させて生成などした識別情報を、通信インターフェースを用いて送信する。また、振込処理部203は、RAMに一時的に記憶された振込先及び振込額などを表わす情報を、記憶装置などに実現されるデータベース部204に格納するとともに、振込処理を実際に行うコンピュータに、振込先及び振込額などを表わす情報を、通信インターフェースを用いて送信する。例えば、振込先の金融機関が別会社の金融機関である場合には、振込先の金融機関の振込処理システムなどに、自金融機関の識別情報などともに送信する。
【0050】
また、販売業者サーバをコンピュータで実現する場合には、購入申込受付部501は、通信インターフェースなどを用いて、購入の申込を表わす情報を受信し、記憶装置などに実現される購入データベース504に記憶する。また、振込情報受信部502は、通信インターフェースなどを用いて、振込情報を受信し、記憶装置などに実現されるデータベース部505に記憶する。振込情報受付部503は、通信インターフェースなどを用いて、識別情報を受信し、RAMに一時的に記憶し、提供指示情報出力部506に伝達する。提供指示情報出力部506は、RAMに一時的に記憶された識別情報を用いてデータベース部505を検索し、その識別情報が振込情報に含まれているかどうかを検出し、物品または情報を提供するように指示する情報を、通信インターフェースなどを用いて送信する。
【0051】
(実施形態2)
上述の実施形態1において、利用者が、振込処理の際に金融機関の振込処理システム200から出力される識別情報を、販売業者の決済処理装置500に送信することにより、販売業者が振込処理のなされたことを確認する決済システムについて説明した。
【0052】
しかし、利用者が振込の依頼を行う金融機関によっては、実施形態1に係る振込処理システムを用いない場合がある。すなわち、そのような金融機関は、利用者に対し識別情報を出力する振込処理システムを有しない場合がある。また、利用者が識別情報を失念してしまった場合、金融機関に識別情報を照会する必要があり、利用者及び金融機関にとって煩わしい手続きが必要になることとなる。そこで、以下では、物品または情報の購入時に、販売業者の決済処理装置から利用者に対して第2の識別情報を出力し、利用者が振込処理の際に第2の識別情報を入力することにより、販売業者が振込処理のなされたことを確認する決済システムについて説明する。
【0053】
図10は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置の機能ブロック図であり、図11は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。図12は、本発明の一実施形態に係る決済処理装置が利用者端末に表示させる画面の一例である。
【0054】
本実施形態に係る決済処理装置1000は、購入申込受付部1001と、識別情報送信部1002と、振込情報受信部1003と、データベース部1006と、抽出部1007と、振込情報受付部1004と、提供指示情報出力部1008とを有する。また、購入データベース1005を有し、提供指示情報出力部1008は、待機処理部1009と、比較部1010とを有していてもよい。
【0055】
購入申込受付部1001は、利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける。識別情報送信部1002は、前記申込情報を識別する識別情報であり、前記物品又は/及び情報の対価の支払として行う振込の振込人名の全体又は一部の表現として用いる識別情報を送信する。振込情報受信部1003は、金融機関の振込システムより、振込金融機関名、振込人名及び振込額を有する振込情報を受信する。データベース部1006は、振込情報受信部1003が受信した振込情報を保持する。抽出部1007は、前記データベース部に保持されている振込情報のうち、識別情報が用いて表現されていない振込人名を有する振込情報を抽出する。振込情報受付部1004は、利用者の端末装置より、振込金融機関名、振込人名及び振込額を含む第2振込情報を受け付ける。提供指示情報出力部1008は、前記振込情報受付部で受け付けられた第2振込情報の振込金融機関名、振込人名及び振込額と適合する振込情報が前記抽出部により抽出されていれば、前記利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する。
【0056】
販売業者の決済処理装置1000は、図6に示すステップS601と同様に、図11に示すステップS1101において、物品または情報等の購入者である利用者から、利用者端末を通じて、購入申込受付部1001に購入の申込情報を受け付ける。購入申込受付部1001が受け付けた申込情報は、購入データベース1005が管理するテーブルに格納され、保持される。このとき、利用者がログインなどにより認証されていれば、利用者の認証情報と関連付けて申込情報をテーブルに格納してもよい。あるいは、利用者のメールアドレスなど、利用者毎に異なる何らかの識別情報を利用者から受信し、それを関連付けて申込情報をテーブルに格納してもよい。
【0057】
購入申込受付部1001が申込情報を受け付けると、識別情報送信部1002は利用者端末に第2識別情報を送信する(ステップS1102)。なお、第2識別情報とは、利用者の申込情報を識別するための識別情報であり、購入する物品または情報の対価の支払いとして、利用者が振込処理を行う際に、振込人名の全体又は一部の表現として用いるものとする。第2識別情報も、上述の識別情報のように、予め生成しておいたものを記憶しておき、その記憶から取り出したり、必要となったときに生成されたりする。例えば、乱数として生成される。あるいは、利用者が決済処理装置1000などにログインし認証を受けている場合には、その利用者に第2識別情報が関連付けられていてもよい。また、第2識別情報は、クレジットカード番号のようにチェックサムが一定であるといった規則性を有しているのが好ましい。これにより、抽出部1007が、データベース部1006に保持されている振込情報のうち、第2識別情報が用いられずに振込人名が表現されているものを抽出することができる。また、第2識別情報が用いられて振込人名が表現されている場合に、その規則性を用いて、第2識別情報を振込人名から分離することができる。
【0058】
第2識別人情報が、規則性を有さない情報であっても、第2識別人情報が振込人名の中に配置される位置を指定することにより、第2識別情報が用いられずに振込人名が表現されているものを抽出することができる。また、第2識別情報が用いられて振込人名が表現されている場合に、第2識別情報を振込人名から分離することができる。例えば、振込人名の前または後ろに第2識別情報を配置する。言い換えれば、振込人名のプレフィックス又はポストフィックスとして第2識別情報を用いる。
【0059】
識別情報送信部1002が利用者端末に第2識別情報を送信すると、図12に例示されるような画面が利用者端末に表示され、図12では「申込番号」として表示されている第2識別情報が利用者に通知される。図12に示す画面のように、利用者は第2識別情報である「申込番号」を控えておくか、プリントアウトして保持しておき、金融機関へ代金を振り込む際に、振込人名の前か後ろに第2識別情報である「申込番号」を付加して入力し、振込処理をするように指示される。
【0060】
第2識別情報は、識別情報送信部1002により利用者端末に送信された後、購入データベース1005が管理するテーブルに格納され、保持される。このとき、第2識別情報は、購入データベース1005が保持するテーブルのうち、利用者の申込情報が格納されたテーブルまたは他のテーブルに、当該申込情報と関連付けられて格納されてもよい。
【0061】
利用者は、販売業者の決済処理装置1000に申込情報を送信した後、上述の図2乃至図4に示される振込処理と同様に、金融機関の振込処理システム200に対し、振込処理を行う。ただし、利用者は、振込人の名前を入力する際には、振込人名の前か後ろなどに第2識別情報を付加して入力し、振込人の全体又は一部の表現として、第2識別情報が用いられるようにして、振込の依頼を行うために、振込の情報を送信などする。なお、利用者は、第2識別情報を入力すれば、振込人の名前を入力しなくともよい。この場合、第2識別情報は、振込人の全体の表現となる。
【0062】
金融機関の振込処理システム200は、図2及び図3に示した処理と同様に、利用者端末から送信された振込先や振込額等の情報を振込受付部201に受け付け、識別情報出力部202が利用者端末に識別情報を出力する。出力された識別情報は、データベース部204に保持される。
【0063】
次に、上述の図6に示すステップS602及びS603の処理と同様に、販売業者の決済処理装置1000は、振込処理システム200から振込情報を振込情報受信部1003が受信し(ステップS1103)、データベース部1006の管理するテーブルに振込情報を格納し、保持する(ステップS1104)。
【0064】
決済処理装置1000の抽出部1007は、データベース部1006に保持された振込情報のうち、第2識別情報が付加されていない振込人名を有する振込情報を抽出する(ステップS1005)。このとき、振込人名の情報はなくともよい。振込人名が格納されるテーブルの列の値が、null値の場合も抽出部1007により抽出される。なお、振込人名の格納される列の値が、第2識別情報のみである場合は抽出されない。
【0065】
データベース部1006は、抽出部1007に抽出されない第2識別情報が付加された振込人名を有する振込情報のうち、振込人名の前か後ろに付加された第2識別情報が、購入データベース1005に保持された第2識別情報に一致するかを検索する。このとき、振込人名を有さず第2識別情報のみを有する振込情報の場合も、同様に処理される。購入データベース1005に保持された第2識別情報と、振込情報に含まれる第2識別情報とが一致した場合には、提供指示情報出力部1008から、利用者に物品または情報を提供するように指示する情報が出力されてもよい。なお、第2識別情報のみならず、それぞれの第2識別情報に関連付けられた申込情報と振込情報のうち、振込金額が一致するかをさらに確認してもよく、一致した場合に、提供指示情報出力部1008から、利用者に物品または情報を提供するように指示する情報が出力されてもよい。
【0066】
以下に、利用者が、第2識別情報を振込人名に付加せずに、振込処理を行った場合における決済処理について説明する。
【0067】
利用者は、第2識別情報を振込人名に付加せずに振込処理をした場合、利用者端末を通じて、販売業者の決済処理装置1000にアクセスし、金融機関の振込処理システム200から出力された識別番号を、決済処理装置1000に送信する。このとき、利用者端末には、図7(b)に例示されるような振込に関する情報を入力する画面が表示される。利用者は、図7(b)では「振込番号」と表示される識別情報、振込金融機関名、振込人名、及び振込額等を入力して決済処理装置1000に送信する。
【0068】
なお、金融機関の振込処理システム200が識別情報を出力する機能を有さない場合には、第2識別情報を振込人名に付加せずに振込処理を行った利用者は、図7(b)に例示される画面において、振込人名を入力する。しかし、金融機関の振込処理システム200から出力される識別情報を有する利用者は、図7(b)に例示される画面において、識別情報を入力すれば、振込人名は入力しなくともよい。また、振込を行った時間を入力してもよい。振込の際にATMや金融機関の店員などより発行された利用明細を撮影して得られる画像や、インターネットバンキングにより振込を行った際の画面イメージなどを添付してもよい。あるいは振込の依頼を行った後に受信される金融機関の電子メールの写しなどを添付してもよい。
【0069】
決済処理装置1000の振込情報受付部1004は、利用者端末より、識別情報、振込金融機関名、振込人名、振込額等を含む振込に関する情報を受け付ける(ステップS1106)。ここで、利用者端末より受け付けた振込に関する情報を、「第2振込情報」とする。また、このとき、利用者は、ログインにより認証をうけ、決済処理装置1000は認証情報を取得したり、利用者毎に異なる何らかの識別情報を利用者から受信したりしてもよい。
【0070】
決済処理装置1000は、振込情報受付部1004で受け付けた第2振込情報の識別情報、振込金融機関名、及び振込額と適合する振込情報が、抽出部1007により抽出されていれば、提供指示情報出力部1008から、第2振込情報を振込情報受付部に受け付けさせた利用者への物品又は情報の提供を指示する情報を出力する(ステップS1107)。このとき、申込情報に関連づけられている認証情報や何らかの識別情報が、ステップS1106で取得された認証情報や何らかの識別情報と適合するかを確認してもよい。
【0071】
例えば、提供指示情報出力部1008から提供指示情報が出力される利用者は、決済処理装置1000の保持する利用者の認証情報に基づき、特定されてもよい。なお、提供指示情報出力部1008は、購入データベース1005が保持する当該利用者の申込情報に基づき、利用者が購入を希望する物品又は情報を提供するよう指示する情報を出力する。
【0072】
また、提供指示情報出力部1008は、少なくとも所定の時間(例えば、24時間)、利用者への物品又は情報の提供を指示する情報の出力を待機し、所定の時間の経過後、出力処理を行う待機処理部1009を有してもよい。例えば、振込情報受付部1004が第2振込情報を受け付けてから24時間待機した後、出力処理を開始してもよい。これにより、本来の利用者とは異なる悪意ある第三者から、利用者から受け付けるよりも前に第2振込情報を受け付けた場合や、本来の振込内容とは異なる虚偽の第2振込情報を受け付けた場合にも、一定の時間、処理を留保しておくことができる。
【0073】
また、提供指示情報出力部1008は、振込情報に関連付けられた日時と、利用者より受け付けた第2振込情報に含まれる日時とを比較する比較部1010を有してもよい。
【0074】
例えば、金融機関の振込処理システム200から、振込日時のデータが受信されない場合には、振込情報受信部1003は、定期的に金融機関に振込の有無を問い合せ、振込情報を受信したときの受信日時を取得してもよい。この受信日時は、データベース部1006に保持される図9(b)に例示されるテーブルのように、受信日時の列に格納され、振込情報と関連付けられて保持される。
【0075】
また、振込情報受付部1004は、上述のように利用者から振込日時を含む第2振込情報を受け付けてもよい。図示してはいないが、図7(b)に例示される画面に振込日時を入力する入力ボックス等を追加して利用者に入力させてもよい。また、図9(c)に例示されるテーブルに、第2振込情報と関連付けて振込日時が格納される列が追加されてもよい。
【0076】
提供指示情報出力部1008は、比較部1010が振込情報に含まれる振込日時と、第2振込情報に含まれる振込日時とを比較し、日時が一致した場合に、利用者への物品又は情報の提供を指示する情報を出力してもよい。これにより、利用者が識別情報または第2識別情報を失念した場合にも、本人であることを確認するために振込日時を利用することができる。
【0077】
決済処理装置1000をコンピュータで実現する場合には、購入申込受付部1001は、通信インターフェースなどを用いて、申込情報を受信し、記憶装置などに実現される購入データベース1005に記憶する。また、購入申込受付部1001は、申込情報を受信すると、識別情報送信部1002を動作させ、通信インターフェースなどを用いて、識別情報を送信させ、また、購入データベース1005に記憶された申込情報を付加などする。また振込情報受信部1003は、通信インターフェースなどを用いて、金融機関の振込処理システムより、振込情報を受信し、記憶装置などに実現されるデータベース部1006に格納する。抽出部1007は、データベース部1006に記憶された振込情報から、識別情報が用いて表現されていない振込人名を検出して、そのような振込人名を有する振込情報を抽出し、RAMなどに記憶させる。また、振込情報受付部1004は、通信インターフェースなどを用いて、第2振込情報を受信し、受け付け、RAMなどに記憶させる。なお、抽出部1007、振込情報受付部1004は、抽出された振込情報、第2振込情報を記憶装置などに実現されるデータベースに記憶してもよい。提供情報出力部1008は、RAMあるいはデータベースに記憶されている抽出された振込情報のうち、第2振込情報の振込金融機関名、振込人名及び振込額と適合する情報の有無をCPUの動作により検出し、検出されれば、通信インターフェースを用いて、提供を指示する情報を出力する。
【符号の説明】
【0078】
200 振込処理システム
201 振込受付部
202 識別情報出力部
203 振込処理部
204 データベース部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の振込処理システムと販売業者の決済処理装置とを備える決済システムであって、
前記金融機関の振込処理システムは、
利用者より、振込先及び振込額を受け付ける振込受付部と、
準備された識別情報を、前記利用者に出力する識別情報出力部と、
前記振込受付部で受け付けられた振込先、振込額及び前記準備された識別情報を用いて振込処理を行う振込処理部と、
を有し、
前記販売業者の決済処理装置は、
利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける購入申込受付部と、
前記金融機関の振込処理システムより、振込金融機関名、振込額及び識別情報を含む振込情報を受信する振込情報受信部と、
前記振込情報受信部が受信した振込情報を保持するデータベース部と、
利用者の端末装置より、前記識別情報出力部により出力された識別情報を受け付ける振込情報受付部と、
前記データベース部に保持された振込情報のうち、前記振込情報受付部で受け付けられた識別情報を有する振込情報に基づいて前記物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部と
を有する決済システム。
【請求項2】
前記振込受付部は、振込人名も受け付け、
前記振込処理部は、前記振込受付部で受け付けられた振込人名の前又は後ろに、前記準備された識別情報を付加して前記振込処理を行う請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記決済処理装置は、
前記購入申込受付部が前記申込情報を受け付けると、前記申込情報を識別する識別情報であり、前記物品又は/及び情報の対価の支払として行う金融機関への振込の際に振込人名に付加する第2識別情報を送信する識別情報送信部と、
前記データベース部に保持されている振込情報のうち、前記第2識別情報が付加されていない振込人名を有する振込情報を抽出する抽出部と、
利用者の端末装置より、前記識別情報出力部により出力された識別情報、振込金融機関名、及び振込額を含む第2振込情報を受け付ける振込情報受付部と、
前記振込情報受付部で受け付けられた第2振込情報の識別情報、振込金融機関名、及び振込額と適合する振込情報が前記抽出部により抽出されていれば、前記第2振込情報を前記振込情報受付部に受け付けさせた利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部と
を有する請求項1又は2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記準備された識別情報は、前記振込受付部に振込先及び振込額を受け付けさせた利用者が前記金融機関に口座を有する顧客である場合には、その口座番号とは異なる番号である請求項1に記載の決済システム。
【請求項5】
利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける購入申込受付部と、
前記申込情報を識別する識別情報であり、前記物品又は/及び情報の対価の支払として行う振込の振込人名の全体又は一部の表現として用いる識別情報を送信する識別情報送信部と、
金融機関の振込システムより、振込金融機関名、振込人名及び振込額を有する振込情報を受信する振込情報受信部と、
前記振込情報受信部が受信した振込情報を保持するデータベース部と、
前記データベース部に保持されている振込情報のうち、識別情報が用いて表現されていない振込人名を有する振込情報を抽出する抽出部と、
利用者の端末装置より、振込金融機関名、振込人名及び振込額を含む第2振込情報を受け付ける振込情報受付部と、
前記振込情報受付部で受け付けられた第2振込情報の振込金融機関名、振込人名及び振込額と適合する振込情報が前記抽出部により抽出されていれば、前記利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部と
を有する決済処理装置。
【請求項6】
前記提供指示情報出力部は、少なくとも所定の時間、前記利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報の出力を待機した後、前記出力を行う待機処理部を有する請求項5に記載の決済処理装置。
【請求項7】
前記振込情報受信部は、振込情報を受信した日時を取得し、
前記データベース部は、振込情報に、その振込情報を受信した日時を関連付けて保持し、
前記振込情報受付部は、前記利用者が振込を行った日時を受け付け、
前記提供指示情報出力部は、振込情報に関連付けられた日時と、前記利用者の端末装置より受け付けた日時とを比較する比較部を有する請求項5又は6に記載の決済処理装置。
【請求項1】
金融機関の振込処理システムと販売業者の決済処理装置とを備える決済システムであって、
前記金融機関の振込処理システムは、
利用者より、振込先及び振込額を受け付ける振込受付部と、
準備された識別情報を、前記利用者に出力する識別情報出力部と、
前記振込受付部で受け付けられた振込先、振込額及び前記準備された識別情報を用いて振込処理を行う振込処理部と、
を有し、
前記販売業者の決済処理装置は、
利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける購入申込受付部と、
前記金融機関の振込処理システムより、振込金融機関名、振込額及び識別情報を含む振込情報を受信する振込情報受信部と、
前記振込情報受信部が受信した振込情報を保持するデータベース部と、
利用者の端末装置より、前記識別情報出力部により出力された識別情報を受け付ける振込情報受付部と、
前記データベース部に保持された振込情報のうち、前記振込情報受付部で受け付けられた識別情報を有する振込情報に基づいて前記物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部と
を有する決済システム。
【請求項2】
前記振込受付部は、振込人名も受け付け、
前記振込処理部は、前記振込受付部で受け付けられた振込人名の前又は後ろに、前記準備された識別情報を付加して前記振込処理を行う請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記決済処理装置は、
前記購入申込受付部が前記申込情報を受け付けると、前記申込情報を識別する識別情報であり、前記物品又は/及び情報の対価の支払として行う金融機関への振込の際に振込人名に付加する第2識別情報を送信する識別情報送信部と、
前記データベース部に保持されている振込情報のうち、前記第2識別情報が付加されていない振込人名を有する振込情報を抽出する抽出部と、
利用者の端末装置より、前記識別情報出力部により出力された識別情報、振込金融機関名、及び振込額を含む第2振込情報を受け付ける振込情報受付部と、
前記振込情報受付部で受け付けられた第2振込情報の識別情報、振込金融機関名、及び振込額と適合する振込情報が前記抽出部により抽出されていれば、前記第2振込情報を前記振込情報受付部に受け付けさせた利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部と
を有する請求項1又は2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記準備された識別情報は、前記振込受付部に振込先及び振込額を受け付けさせた利用者が前記金融機関に口座を有する顧客である場合には、その口座番号とは異なる番号である請求項1に記載の決済システム。
【請求項5】
利用者の端末装置より、物品又は/及び情報の購入の申込情報を受け付ける購入申込受付部と、
前記申込情報を識別する識別情報であり、前記物品又は/及び情報の対価の支払として行う振込の振込人名の全体又は一部の表現として用いる識別情報を送信する識別情報送信部と、
金融機関の振込システムより、振込金融機関名、振込人名及び振込額を有する振込情報を受信する振込情報受信部と、
前記振込情報受信部が受信した振込情報を保持するデータベース部と、
前記データベース部に保持されている振込情報のうち、識別情報が用いて表現されていない振込人名を有する振込情報を抽出する抽出部と、
利用者の端末装置より、振込金融機関名、振込人名及び振込額を含む第2振込情報を受け付ける振込情報受付部と、
前記振込情報受付部で受け付けられた第2振込情報の振込金融機関名、振込人名及び振込額と適合する振込情報が前記抽出部により抽出されていれば、前記利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報を出力する提供指示情報出力部と
を有する決済処理装置。
【請求項6】
前記提供指示情報出力部は、少なくとも所定の時間、前記利用者に物品又は/及び情報の提供を指示する情報の出力を待機した後、前記出力を行う待機処理部を有する請求項5に記載の決済処理装置。
【請求項7】
前記振込情報受信部は、振込情報を受信した日時を取得し、
前記データベース部は、振込情報に、その振込情報を受信した日時を関連付けて保持し、
前記振込情報受付部は、前記利用者が振込を行った日時を受け付け、
前記提供指示情報出力部は、振込情報に関連付けられた日時と、前記利用者の端末装置より受け付けた日時とを比較する比較部を有する請求項5又は6に記載の決済処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−53797(P2011−53797A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200356(P2009−200356)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(397076361)有限会社アプリコシステム (5)
【出願人】(308000207)有限会社エックス (3)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(397076361)有限会社アプリコシステム (5)
【出願人】(308000207)有限会社エックス (3)
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