説明

河川堤防の浸透破堤防止のための補強構造。

【課題】 近年地球規模の異常気象が多発し、わが日本国においても水害、洪水が多く見られる。先日国土交通省からの発表によれば浸透破堤の危険のある堤防は日本全土の36%にも及ぶとの事である。補強工事は急務な事と云われるが、予算のこと工事日数のこともあり、早急の解決は難しいのではないかと推察される。
【解決手段】 堤防の上面を深く溝状に掘削し、その残土に粘質の土などを混合した土を土嚢袋に詰め土嚢として掘削した穴に埋め戻す。この方法によれば工事期間は短く工事材料も少なくてすむし、残土などのあと処理も少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は河川堤防の浸透破堤防の防止を目的とした補強構造である。
【背景技術】
【0002】
河川流域の豪雨などによる川の水位の上昇で堤防内部に浸み込んだ水が、水の通り道を形成し、水と共に堤防が崩壊する現象を堤防の浸透破堤と云う。
【0003】
この対策として、従来は(1)盛土で堤防巾を拡大(2)堤防斜面に遮水シ−トを張り水の浸透を防止する等である。(3)その他(特許文献1)などもある。
【非特許文献1】中日新聞2006/9/29朝刊記事
【非特許文献2】土木工学ハンドハンドブック下巻 土木学会編
【特許文献1】特開2006−214145(P2006−214145A)
【従来の工法の問題点】
【0004】
(1)堤防の拡幅工事
方法として一番基本的な方法である。しかし用地の確保、現場での適用の是非の問題。
(2)堤防斜面に遮水シ−トを張る方法。これはあくまで一時的な処置であり、恒久的で耐久性ある処置とは云いがたい。
(3)浸透破堤防止機能を持つた堤防の補強構造に関する発明も報告されている。
確実な構造であると認識するが緊急時に適用するには工期のことなどで難がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近い将来、豪雨や洪水で多大の被害の予想される地区などは一刻も早い補強工事が切望される。
【0006】
補強工事は急務な事と云われるが、予算のこと工事日数のこともあり、早急の解決は困難なのではないかと推察される。
【解決手段】
【0007】
(図1)のように堤防の上面を深く溝状に掘削し、その残土に粘質の土などを混合した土を袋に詰め土嚢とし、掘削した穴に埋め戻す。この方法によれば工事期間は短く工事材料も少なくてすむし、残土などのあと処理も少ない。
【発明の効果】
【0008】
(1)工事が簡単。
(2)工事材料は土嚢袋、粘質土、凝固材など。
(3)工事廃材も少なく、環境にも優しい。
(4)工事期間は短く、費用も僅少。
(5)緊急時の応急措置としても有用。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0009】
(図2)のように掘削穴の両壁に相当する部分に若干の角度(逆八の字形に上方を広げる)をつけて、鋼矢板を掘削作業まえに打ちこんでおく。
【0010】
この事で掘削作業の安全性は上がり、堤防がより強固になる。
【0011】
通常水圧に対して土嚢はその重量と底面の水平摩擦力によって水の圧力を阻止できる。故にただ堤防上又は斜面に土嚢を並べただけでは水圧に対して強力な抑止力とは成り得ない。
【0012】
しかし本発明によれば、土嚢は掘削穴に埋め戻された状態にあるので水平の移動は強固に固定される。
【0013】
また土嚢袋の繊緯は地中に埋まり、太陽光や空気に無関係なので、風化とは無縁とり、長期の使用に耐えうることとなる。
【0014】
以上の理由により水圧には強固に抵抗し浸透を防ぎ長期にわたり、その性能を維持きるものと信ずる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示す河川堤防の断面図
【図2】発明を実施するための最良の形態の堤防の断面図
【符号の説明】
【0016】
1 川の水面
2 堤防の本体
3 掘削部分
4 土嚢
5 鋼矢板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川堤防の浸透破堤の防護策として堤防を第1図の様に掘削し、掘削部分に土嚢を充填し、水の浸透を阻止し破堤を防止する。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−106586(P2008−106586A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314837(P2006−314837)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(303051259)
【Fターム(参考)】