説明

油圧ブレーカ

本発明は、建設機械である掘削機に取り付けて岩盤やコンクリートなどを破砕することに広く使われる油圧ブレーカに関するものであって、内部にガスチャンバーが設けられるバックヘッド(Back Head)と、上記バックヘッドの下部に組み立てられるシリンダ(Cylinder)と、上記シリンダの下部に組み立てられるフロントヘッド(Front Head)と、上記シリンダの内部に昇降可能に設置されるピストン(Piston)と、上記フロントヘッドの内部に設置されるチズル(Chisel)とを備える油圧ブレーカを構成するに当たって、上記バックヘッドの両側下端とシリンダの両側上端、そして、シリンダの両側下端とフロントヘッドの両側上端に各々半円型リング溝を形成し、互いに接して円形をなすバックヘッドの両側下端リング溝とシリンダの両側上端リング溝、及びシリンダの両側下端リング溝とフロントヘッドの両側上端リング溝に各々締結リングを設置して、バックヘッド、シリンダ、及びフロントヘッドを組み立てることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械である掘削機に取り付けて岩盤やコンクリートなどを破砕することに広く使われる油圧ブレーカに関し、より詳しくは、長さの長い締結ボルトを使用しなくても簡便にバックヘッドとシリンダ、シリンダとフロントヘッドを組み立てることができるようにしたことに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る油圧ブレーカ(Hydraulic Breaker)は、建設機械である掘削機に取り付けて岩盤やコンクリートなどを破砕することに広く使われるものであって、流体の圧力によりシリンダの内部でピストンが下降する時にピストンの破砕工具であるチズル(Chisel)の上部を打撃するようになり、その打撃力によってチズルが岩盤やコンクリートを破砕するようになる。
【0003】
図1には従来の油圧ブレーカの斜視図が図示されており、図2には同従来の油圧ブレーカの要部分解斜視図が図示されている。
【0004】
一般に、油圧ブレーカは図1及び図2のように内部にガスチャンバーが設けられるバックヘッド(Back Head)210と、上記バックヘッド210の下部に組み立てられるシリンダ(Cylinder)220と、上記シリンダ220の下部に組み立てられるフロントヘッド(Front Head)230と、上記シリンダ220の内部に昇降可能に設置されるピストン(Piston)240と、上記フロントヘッド230の内部に設置されるチズル(Chisel)250と、を備える。
【0005】
上記バックヘッド210の内部のガスチャンバーにはガスが充填され、シリンダ220の内部のピストン240が上昇した時にガスチャンバーのガスが圧縮されてから、ピストン240が下降する時に圧縮されたガスがピストン240の上部を押すようになる。
【0006】
そして、内部にピストン240が昇降可能に設置されるシリンダ220の外部には、バルブとアキュムレーター(Accumulator)が設置され、バルブの作動によって油圧を供給することに急速な動作により流体が供給できない場合、アキュムレーターによって円滑な供給条件を維持できるようになる。
【0007】
上記シリンダ220の下部に組み立てられるフロントヘッド230にはチズル250が設置され、シリンダ220でピストン240が下降しながらチズル250を打撃する時に、その打撃力によりチズル250が岩盤やコンクリートを破砕するようになる。
【0008】
一方、図1及び図2に示す従来の油圧ブレーカ200は、バックヘッド210、シリンダ220、及びフロントヘッド230を組み立てるために、バックヘッド210の各隅とシリンダ220の各隅に貫通孔211、221を形成し、フロントヘッド230の上端部の各隅に締結孔231を形成し、フロントヘッド230の各締結孔231の下部に下部ナット262が組み立てられるようにするナット組み立て溝232を設けた形態のものが主に使われた。
【0009】
上記従来の油圧ブレーカ200は、フロントヘッド230の上部にシリンダ220とバックヘッド210を載置した後、バックヘッド210の貫通孔211とシリンダ220の貫通孔221を通過してフロントヘッド230の締結孔231に挿入される締結ボルト260を設置した後、締結ボルト260の上端部と下端部に上部ナット261と下部ナット262を締結する形態に組み立てるようになる。
【0010】
このように従来の油圧ブレーカ200は、バックヘッド210、シリンダ220、及びフロントヘッド230を組み立てる時にバックヘッド210とシリンダ220を貫通してフロントヘッド230に挿入された締結ボルト260の下端部に特殊加工された下部ナット262を嵌めた後、バックヘッド210の上部で締結ボルト260をトルクレンチにより締めてくれるようになるが、バックヘッド210、シリンダ220、及びフロントヘッド230の組み立てのために使われる特殊加工された締結ボルト260の長さがあまり長いため、締結ボルト260が捩れた状態で締結がなされるようになる虞が多くなり、それによって、掘削機に油圧ブレーカ200を取り付けて一時稼動した後、締結ボルト260が振動により捩れて組み立てられたものが原位置に帰りながら締結ボルト260の張力が弛緩されて緩くなる現象が発生するので、締結ボルト260の上端ナット216と下端ナット262を再び締めなければならない。
【0011】
上記において、装備に対する常識が足りないとか、不注意によりナット261、262を締める措置を行なわず、続けて使用する場合には、一次的にチズル250の打撃力が低下する現象が発生し、二次的に締結ボルト260が切断されるか、フロントヘッド230のナット組み立て部分が破られる等の問題が発生するだけでなく、シリンダ220などの核心部品が壊れる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記のような従来の油圧ブレーカの問題点を勘案して案出したものであり、その目的は、ガスチャンバーが設けられるバックヘッドとピストンが昇降可能に設置されるシリンダ、そしてチズルが設置されるフロントヘッドをより簡便で、かつ堅く組み立てできるようにすることは勿論、部品破損の虞無しで安定的に作動できるようにする油圧ブレーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の目的を達成するためにバックヘッドの両側下端とシリンダの両側上端との間、及びシリンダの両側下端とフロントヘッドの両側上端との間に各々締結リングを設置して、バックヘッドとシリンダ、及びフロントヘッドを組み立てることを特徴とする。
【0014】
本発明は、内部にガスチャンバーが設けられるバックヘッド(Back Head)と、上記バックヘッドの下部に組み立てられるシリンダ(Cylinder)と、上記シリンダの下部に組み立てられるフロントヘッド(Front Head)と、上記シリンダの内部に昇降可能に設置されるピストン(Piston)と、上記フロントヘッドの内部に設置されるチズル(Chisel)とを備える油圧ブレーカを構成するに当たって、上記バックヘッドの両側下端と、シリンダの両側上端と、シリンダの両側下端と、フロントヘッドの両側上端とに各々半円型リング溝を形成し、互いに接して円形をなすバックヘッドの両側下端リング溝とシリンダの両側上端リング溝及びシリンダの両側下端リング溝とフロントヘッドの両側上端リング溝に各々締結リングを設置して、バックヘッド、シリンダ、及びフロントヘッドを組み立てたものである。
【0015】
本発明において、バックヘッドの下端前方と下端後方と、シリンダの上端前方と上端後方と、シリンダの下端前方と下端後方、及びフロントヘッドの上端前方と上端後方に互いに対応するピン孔を形成し、互いに対応するバックヘッド下端のピン孔とシリンダ上端のピン孔、及び互いに対応するシリンダ下端のピン孔とフロントヘッド上端のピン孔に組み立てガイド役割と、組み立て後に固定された締結リングが安定した締結状態を維持し、左右回転を防止することができるようにする位置固定ピンを設置することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来のように長さの長い締結ボルトによりバックヘッド、シリンダ、及びフロントヘッドを組み立てないので、締結ボルトの捩れやナットの弛緩、部品の破損の虞無しで、より安定的に作動できるようになり、バックヘッドとシリンダの貫通孔及びフロントヘッドのナット組み立て溝を削除できるようになって、部品の加工を容易に行なうことができるようになり、かつ締結リングを通じてそれらの組み立てをより簡便に行なうことができるようになるので、部品加工費用及び組み立て費用を低減して、コストを格段に低減することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の油圧ブレーカの斜視図である。
【図2】同じく従来の油圧ブレーカの要部分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態の斜視図である。
【図4】同じく一実施形態の要部分解斜視図である。
【図5】同じく一実施形態の接続ブラケットを取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に図示した実施形態を通じて本発明の具体的な技術内容をより詳細に説明すれば、次の通りである。
【0019】
図3には本発明の一実施形態の斜視図が図示されており、図4には同実施形態の要部分解斜視図が図示されている。
【0020】
本発明は、内部にガスチャンバーが設けられるバックヘッド(Back Head)110と、上記バックヘッド110の下部に組み立てられるシリンダ(Cylinder)120と、上記シリンダ120の下部に組み立てられるフロントヘッド(Front Head)130と、上記シリンダ120の内部に昇降可能に設置されるピストン(Piston)140と、上記フロントヘッド130の内部に設置されるチズル(Chisel)150とを備える油圧ブレーカ100を構成するに当たって、上記バックヘッド110の両側下端とシリンダ120の両側上端、そしてシリンダ120の両側下端とフロントヘッド130の両側上端に各々半円型リング溝111、121、131を形成し、互いに接して円形をなすバックヘッド110の両側下端リング溝111とシリンダ120の両側上端リング溝121、及びシリンダ120の両側下端リング溝121とフロントヘッド130の両側上端リング溝131に各々締結リング160を設置して、バックヘッド110、シリンダ120、及びフロントヘッド130を組み立ててなるものである。
【0021】
図示した実施形態は、バックヘッド110の下端前方と下端後方及びシリンダ120の上端後方と上端後方、そしてシリンダ120の下端前方と下端後方、及びフロントヘッド130の上端前方と上端後方に互いに対応するピン孔122、132を形成し、互いに対応するバックヘッド110の下端のピン孔(図示せず)とシリンダ120の上端のピン孔122、及び互いに対応するシリンダ120の下端のピン孔とフロントヘッド130の上端のピン孔131に組み立てガイド役割と、組み立て後には固定された締結リング160が安定した締結状態が維持できるように左右回転力による固定の役割をすることができるようにする位置固定ピン170を設置した形態を有する。
【0022】
上記のように構成された本発明の油圧ブレーカ100は、フロントヘッド130の上部にシリンダ120とバックヘッド110を載置した状態で互いに接して円形をなすバックヘッド110の両側下端リング溝111とシリンダ120の両側上端リング溝121、及びシリンダ120の両側下端リング溝121とフロントヘッド130の両側上端リング溝131に各々締結リング160を設置するようになれば、簡便にバックヘッド110、シリンダ120、及びフロントヘッド130を組み立てるようになるものであって、図5のように、その両側に設置される接続ブラケット180を通じて掘削機に取付できるようになる。
【0023】
本発明の油圧ブレーカ100は、従来のように長さの長い締結ボルトによりバックヘッド、シリンダ、及びフロントヘッドを組み立てないので、掘削機に取り付けた後、一時稼動後に義務的に締結ボルトを締めて張力を維持する面倒さがなくなるだけでなく、長時間使用後、必須項目である締結ボルト弛緩点検と締めなどの問題がなくなる。
【0024】
一方、油圧ブレーカ100の作動時にはフロントヘッド130とシリンダ120との連結部位、及びシリンダ120とバックヘッド110との連結部位が振動を受けるようになるが、締結ボルトとナットによりフロントヘッド、シリンダ、及びバックヘッドを組み立てていた従来にはナットが弛緩されて遊隔が発生したが、本発明においては、フロントヘッド130のリング溝131とシリンダ120のリング溝121、バックヘッド110のリング溝111の内側に設けられる突出部分が充分の強度に耐えられるようになり、突出部分の接触面を精密に研磨加工した後、締結リング160を圧着結合して固定するようになれば、振動による締結リング160の弛緩や離脱が発生しなくなる。
【0025】
以上、説明した本発明は、前述した説明により限定されるものではなく、本発明の技術的事象を逸脱しない範囲内で各種の置換、変形、及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者において明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にガスチャンバーが設けられるバックヘッド(Back Head)と、前記バックヘッドの下部に組み立てられるシリンダ(Cylinder)と、前記シリンダの下部に組み立てられるフロントヘッド(Front Head)と、前記シリンダの内部に昇降可能に設置されるピストン(Piston)と、前記フロントヘッドの内部に設置されるチズル(Chisel)とを備える油圧ブレーカであって、
前記バックヘッドの両側下端と、シリンダの両側上端と、シリンダの両側下端と、フロントヘッドの両側上端とに各々半円型リング溝を形成し、互いに接して円形をなすバックヘッドの両側下端リング溝とシリンダの両側上端リング溝及びシリンダの両側下端リング溝とフロントヘッドの両側上端リング溝に各々締結リングを設置して、バックヘッド、シリンダ、及びフロントヘッドを組み立てることを特徴とする油圧ブレーカ。
【請求項2】
バックヘッドの下端前方と下端後方と、シリンダの上端前方と上端後方と、シリンダの下端前方と下端後方、及びフロントヘッドの上端前方と上端後方に互いに対応するピン孔を形成し、互いに対応するバックヘッド下端のピン孔とシリンダ上端のピン孔、及び互いに対応するシリンダ下端のピン孔とフロントヘッド上端のピン孔に組み立てガイド役割と、組み立て後に固定された締結リングが安定した締結状態を維持し、左右回転を防止することができるようにする位置固定ピンを設置したことを特徴とする、請求項1に記載の油圧ブレーカ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−528019(P2012−528019A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512953(P2012−512953)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003212
【国際公開番号】WO2010/137826
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511286724)
【出願人】(511286735)
【Fターム(参考)】