治療薬剤を組織に送出するための装置および方法
本発明は治療薬剤を投与する装置に関する。多くの実施態様において、装置は、筒(32)、プランジャ(36)及びそれに付随するオゾン発生器から成る注射器(28)である。オゾン発生器が作動し、治療薬剤が筒(32)内に蓄積され、所定の時に筒(32)からニードル(24)を介して標的サイトに送出され、治療薬剤が標的サイトに作用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は治療薬剤、特に酸化ガスや不活性ガス等のガス状治療薬剤を組織に投与するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背骨関節や腱の痛みは全世界の人口の80%が1度は経験する共通の病気であり、病気を悪化させる可能性を有する。多くの症例では、そのような痛みの原因は、変性した椎間板であり、椎間板ヘルニアとして知られている病気に進行する。これは、椎間板髄核が椎間板の外側ラインにおける裂傷や亀裂を介して押出すことにより、脊髄神経を圧迫することにより起きる。髄核ヘルニアによる圧迫は、炎症を導き下肢の痛みを引起す(座骨神経痛として知られている)。この種の腰痛の治療はヘルニアの重症度により種々異なる。比較的軽度の場合、十分な時間の休息および活動の自重により、病状を軽減させることができる。しかしながら、ヘルニアの重症患者の場合または非観血式治療(薬物療法および/または物理療法)では効果が見られない患者の場合、外科的介入が推奨される。このような侵襲的治療は、1)不可逆性処置、2)瘢痕組織形成、3)回復が遅い、4)長期入院が必要などの欠点を有する。
【0003】
1950年来、外科手術を避けるため経皮的処置による座骨神経痛および腰痛の治療が行われてきた。経皮的処置としては、経皮的椎間板切除術や化学的髄核融解術がよく知られているが、治療費の関係から、研究者は新たな代替法を検討し続けてきた。1984年、イタリアの整形外科医であるDr.Cesare Vergaは、オゾン/酸素混合物による椎間板ヘルニアの治療について提案した(例えば、http://www.cleanairassociation1com/6/ca_3.htm、Ozone Therapy:New breakthrough for Back Treatment,Gaetano Morello,M.D.を参照(本発明に引用、非特許文献1))。
【0004】
他の先行技術としては、M.Muto and F. Avella著「Percutaneous Treatment of Herniated Lumbar Disc by Intradiscal Oxygen−Ozone Injection」(Interventional Neuroradiology 4)(酸素−オゾンの椎間板内注入による椎間板ヘルニアの経費治療、インターベンショナル神経放射線学会誌No.4、非特許文献2)が挙げられる。
【0005】
関節リウマチ、変形性関節症、テニス肘や四十肩や家事膝などのスポーツや作業による反復運動損傷や炎症は、腱、腱が動けるための鞘や潤滑管などの関節機能を含む2つの表面間で生じる。膝、肩、腰または解剖学的嚢における滑液包炎などの炎症で、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などの治療薬剤の注入による効果があり、更に、上顆炎および手首、手、手および手首の腱鞘を含む他の腱炎および滑液包炎にも有効である。炎症は、腱または靭帯が骨に挿入されたり、外傷、圧力、過労、疾病などにより鞘を通過してしまうことにより起る。
【0006】
そして、炎症は、関節リウマチや乾癬性関節炎や変形性関節症などの関節炎症の関節の病理を介して広がる。酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などの治療薬剤の注入を受け入れやすい関節としては、下顎関節、腰関節、膝関節、足首関節、肘関節、仙腸関節などの滑膜性関節である。脊椎小関節面や仙腸関節における炎症治療に有効であり、また、リウマチ関節、変形性関節症、手根管症候群などのスポーツや作業を通じて被る反復運動損傷などの手、手首、足等などの関節の炎症治療に有効である。
【0007】
上述の炎症および関節炎または病状悪化の治療については、イブプロフェン等の抗炎症剤や、更に強力なステロイド又はメトトレキサート等の化学療法薬剤などを組合せて使用する。通常の治療法では、ステロイド薬剤やリドカインを炎症組織または関節に直接中注入する。そして、しばしば、この治療は繰り返し行われる。これらの薬剤は副作用があり、胃潰瘍出血や免疫抑制感染から死に至ったりすることもある。従って、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体を使用する方法は現状の治療法に対して有利であると考えられる。
【0008】
人工腰骨や膝、ペースメーカー、感染関節の治療部材などの永続的に外科的に埋め込む前に、外科的な埋め込み場所の洗浄を施すには、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素を滅菌剤として容易に使用できる。更に、人工肛門造設を行う際、結合椎間板に酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体を注入することにより、回復を補助し、感染を防止することが出来る。心臓手術における胸骨切開の術後の回復は、傷口感染により問題となることがある。適切なカテーテルを使用して酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素を注ぎ込むことにより回復の手助けとなる。実際には、多数の創傷部に対して、多数の孔を有するカテーテルを使用して酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素を注ぎ込む。この方法は、抗感染、鎮痛、創傷の回復などの効果があり、回復時間を短くし、術後の経過の複雑性を低減する。
【0009】
酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体は、虫垂切除術などの腹部切開、人工肛門造設術などの緊急結腸切開術、内視鏡胆嚢摘出術後などの創傷/外科手術部位が非常に感染性の高い状態に注入する。
【0010】
オゾンの内視鏡的経皮注入およびオゾンの経皮カテーテル注入により、膵管の内視鏡的検査などの内視鏡的医学的診療、画像、非画像誘導カテーテル診療における煩雑性を防止できる。
【0011】
酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体の歯への注入は、歯腔の修復を促進し、歯根管炎症または歯周病を低減させる。
【0012】
椎間板損傷および病原性症候群の動物に、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体の微小侵襲性投与する獣医学における応用もある。他のいくつかの任意事項は、動物の活動場所によって対応する。ある種の動物では、椎間板障害や関節炎などの痛みによる二次的痛みにより死ぬことがある。
【0013】
酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などの治療薬剤としての可能性は、調査を続ければいくらでも広がるが、他の外科的治療および経皮的治療と比較して、椎間板ヘルニアの治療薬剤として重要かつ有効であることは明らかである。その効果とは、1)治療的および神経放射線学的な禁忌事項が少ない、2)椎間板治療における成功率が70%を越える、3)回復に要する期間を必要としないか又は短い、4)副作用が無い又はほとんど無い、5)瘢痕組織の形成が無いまたは少ない、6)微小侵襲性治療が可能、7)休息や勤務を少なくするなどのこれまでの保守的治療法を取ることが出来ない場合の代替治療となる、などが挙げられる。
【0014】
オゾンガス治療は、椎間板ヘルニアの治療のための非侵襲性代替療法として、医学分野では重要視し続けられているため、有効量のオゾンの投与法は、もっぱらガスとしての投与に関するもので、最適法からはほど遠いものである。例えば、SPM Recovery Technologies Ltd.(http://www.spm.co.il
)、米国特許第6073627号明細書(特許文献1)、American Health Magazine(1988年1月号第16頁)には、すべてオゾンによる創傷部の治療について記載されている。しかしながら、これらに開示されている装置は嵩張るもので、扱いにくく、能力が強すぎ、維持、洗浄、検量が困難であり、コストも高い。更に、これらの装置は、椎間板ヘルニア等の患部を選択的にオゾンを送出できるような無菌法に対応していない。ガスは不安定であり、半減期が数分である。使い捨てで単独使用できるような医療用オゾン発生器は提案されていない。したがって、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などの治療薬剤による椎間板ヘルニアの治療や、他の医療的に効果的で、無菌使用も出来る特別に設計された装置が必要とされる。更に、炎症や疾患の悪化における診療のためのポータブルで、使い捨てまたは再利用可能で滅菌状態を形成でき、安定で、使用の際すぐにオゾンが発生するような装置セットも必要とされる。
【0015】
【特許文献1】米国特許第6073627号明細書
【非特許文献1】Gaetano Morello,M.D.、”Ozone Therapy:New breakthrough for Back Treatment”、[online]、インターネット<URL:http://www.cleanairassociation1com/6/ca_3.htm>
【非特許文献2】M.Muto and F. Avella、”Percutaneous Treatment of Herniated Lumbar Disc by Intradiscal Oxygen−Ozone Injection”、Interventional Neuroradiology 4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の目的は、上述の従来技術における欠点の少なくとも1つを取除き又は軽減した、ガスを組織に注入するための新規の装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の要旨は、筒と、筒の第1端に挿入されるプランジャから成る注射器であって、筒の第2端から治療薬剤を送出できる注射器に存する。注射器は、更に、プランジャと筒のどちらかに接続し且つ治療薬剤を製造するガス発生器を有する。注射器は、更に、筒中に配置され、且つ、ガス発生器から製造される治療薬剤を蓄積できるようにガス発生器と連絡しており蓄積状態の構成を有するアキュムレイターを有する。アキュムレイターは、筒の第2端から物質を送出できるような構成を有する。アキュムレイターは、製造された治療薬剤の量が所定の量に達した際に、治療薬剤を蓄積できるような構成から治療薬剤を送出する構成に自動的に変化する。
【0018】
ガス状の治療薬剤は酸化ガス又は不活性ガス或いはそれらの組合せである。
【0019】
酸化ガスとしては、酸素(O2)を含む酸化ガス、酸素とオゾン(O3)の混合物、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカル、イオン化酸素、エネルギー処理された酸素、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0020】
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、二酸化炭素およびこれらの組合せが挙げられる。
【0021】
ガス発生器がコロナ放電オゾン発生器である場合、アキュムレイターが筒内に内部スペースを有し、酸素を蓄積する。プランジャはDC電源(バッテリー等)および電気回路を有し、高電圧、高周波AC電気信号を発生し、ガス発生器に供給する。高周波電気信号の周波数は、約10〜1000kHz、好ましくは約20〜60kHzである。高電圧電気信号の電圧は、約1〜20kV、好ましくは約3〜6kVである。周囲温度は約15〜30℃、好ましくは約20〜25℃である。
【0022】
ガス発生器はUV光源であってもよく、この場合、アキュムレイターが筒内に内部スペースを有し、酸素を蓄積する。プランジャはDC電源(バッテリー等)および電気回路を有し、電気信号を発生し、UV光源に供給する。UV光源の波長は約100〜700nm、好ましくは140〜200nmである。
【0023】
本発明の他の要旨において、ガス発生器が、オゾン化ゲルを貯蔵する開放系容器と加熱部材とから成り、加熱部材の作動により、酸素−オゾン混合ガスをオゾン化ゲルから放出させるようにオゾン化ゲルの温度を上昇させることが出来る。オゾン化ゲルはオリーブオイルにオゾンを吹込み冷却することにより形成される。オリーブのオイルの冷却は約−15〜10℃で行われる。
【0024】
本発明の他の要旨は、治療用酸素−オゾン混合ガスを発生するオゾン発生器であって、オゾン発生器はプランジャ又は筒の何れかにガス発生器を固定する接続部分を有する。筒はプランジャを受け入れるための第1端とプランジャの加圧によりオゾンをプランジャから送出する第2端を有する。ガス発生器はオゾンを貯蔵するように構成された筒内に配置されるアキュムレイターと連結している。アキュムレイターは蓄積構成を有する場合、酸素−オゾン混合ガスはアキュムレイター内に蓄積される。アキュムレイターは、更に、筒の第2端から酸素−オゾン混合ガスを送出できる構成を有する。アキュムレイターは、製造された治療用酸素−オゾン混合ガスの量が所定の量に達した際に、蓄積構成から送出構成に自動的に変化して、筒の第2端から治療用酸素−オゾン混合ガスを送出する。
【0025】
また、ガス発生器は、オゾン化ゲルを貯蔵する容器と加熱部材とから成り、加熱部材の作動により、酸素−オゾン混合ガスをオゾン化ゲルから放出させるようにオゾン化ゲルの温度を上昇させる。
【0026】
ガス発生器が電気化学的セルである。
【0027】
ガス発生器がコロナ放電装置である。
【0028】
ガス発生器がUV光源である。
【0029】
本発明の要旨は、更に、本発明で開示される装置を使用した治療薬剤を発生させる方法および治療薬剤の投与方法も含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、治療薬剤、特に酸化ガスや不活性ガス等のガス状治療薬剤を組織に投与でき、従来技術における欠点の少なくとも1つを取除き又は軽減した新規の装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施例および図面を用いて説明するが、これらは例示である。図1は治療薬剤を送出するための装置20の1実施態様を示す。装置20は、注射器28に接続するニードル(注射針)24を有し、注射器28は、プランジャ36を挿入するための中空の筒32を有する。
【0032】
筒32内の治療薬剤は、プランジャ36からの圧力より、ニードル24を介して送出される。ニードル24は、所望の材料から成り、所望の治療薬剤を送出できるような所望の長さや径を有する。本実施態様において、注射器28は、酸素−オゾン混合物をヘルニア患部に送出する。ニードル24は、Chiba社製ニードル、Franceen社製ニードル又は当業者に公知の他のニードルが使用できる。
【0033】
筒32は、充分に剛性がありオゾンに触れた際に不活性である材料から成り、例えば、ガラス、ステンレススチール、ポリカーボネート、高密度ポリエステル、塩素化ポリ塩化ビニル、シリコン、エチレン−プロピレンターポリマー、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ素化エチレン−プロピレン等のフッ素系ポリマー等が使用できる。筒32は、実質的にシリンダー状であり、第1の端40とその反対側の第2の端44を有する。第1の端40は、プランジャ36を受け入れることが出来る開口部48である。第2の端44は、第2の端44から外側にシリンダー状の突出部52を有し、出口56は第1の端40の開口部48の径より小さな径を有し、出口56は第1の端40の開口部48の径より小さな径を有し、酸素−オゾン混合ガスを送出できる。シリンダー状の突出部52はニードル24が装着できるような構成を有する。
【0034】
筒32は、第2の端44に強固に固定されている針突き部材60を有し、風船や膨張可能な弾性袋に針刺しまたは穿孔するための鋭い形状を有する(詳細は後述する)。他の実施態様において、針突き部材60は、筒32のいかなる場所に配置されてもよい。筒32の内壁に沿って、対面する内壁面に向って内部に突き出した構造であってもよい。
【0035】
プランジャ36もオゾンに触れた際に不活性である上述の材料から成ることが好ましい。プランジャ36は、筒32と同心円状に挿入できるように実質的にシリンダー状であり、第1の端64及びその反対側の第2の端68を有し、第2の端68は筒32の開口部48に挿入できるような構成を有する。第1の端64は、外科医や専門医の手により押し下げられる。本実施態様ではアクチュエイター72の中心にオン−オフスイッチ76が配置されている。もちろんスイッチ76は他の位置に配置してもよく、例えばアクチュエイター72の円周部分のようなアクチュエイター72の他の部分、筒32の表面、注射器28に接続する他の部分などに配置してもよい。スイッチ76は「オン」、「オフ」の位置を行き来することが出来る。
【0036】
シャフト80は、アクチュエイター72から第2の端68に向って突出している。シャフト80はクロスした断面構造を有しており、それと同軸方向に電源が装着されている。この実施態様において、電源84は、第1の端64と、第2の端68との間のアクチュエイター72に近い方に配置されており、2つのバッテリーがシャフト80に平行に配置され、シャフト80のクロス部材の隣り同士に近接して配置されている。電源84は、スイッチ76とガス発生器88に電線により連結されており、スイッチ76がオンの場合、ガス発生器に電流を送り、スイッチ76がオフの場合、ガス発生器88に電流が流れないような構成となっている。電源88は、約1〜30V、好ましくは約5〜10Vの電流を供給することが好ましい。
【0037】
ガス発生器88は、シャフト80と第2の端68との間に配置される。本発明の図1及び図2の実施態様においてガス発生器88は、オゾン化ゲル96を貯蔵する開放系容器92と、容器92の開口部端を覆う多孔質膜100とから成る。ガス発生器88は、更に、容器92の周囲を囲む加熱部材104を有する。加熱部材104は、スイッチ76を介して電源84と連結しており、スイッチ76がオンの場合、加熱部材104は容器92及びその内容物の温度を上昇させる。
【0038】
ゲル96は、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの脂肪酸の種々の組合せがグリセリン骨格に結合しているトリアシル化グリセリン又はトリグリセリン、又は一般式CH3(CH2)nCООH(nは約12〜20の偶数)で示される脂肪酸の種々の組合せがグリセリン骨格に結合したものから成る。好ましくはオリーブオイル(例えばCAS Nо.8001−25−0等)であり、ゲル96内にオゾンを溶解させることが出来る。
【0039】
オゾンのオリーブオイルへの溶解度は、オリーブオイル1g当りの溶解オゾン量が以下に示す約Xmgである。すなわち、1gのオリーブオイル当り、Xは約0.5〜1.5、好ましくは約0.7〜1.2、特に好ましくは約1である。
【0040】
ゲル96を加熱した場合、オゾンガスが周囲の空気に放出されることで、ガス状オゾン混合物が生成し、ガス状オゾン混合物により、1cm3の酸素当り以下に示すYμgのオゾンが送出される。すなわち、1cm3の酸素当り、Yは約5〜100、好ましくは約12〜40、特に好ましくは約20である。
【0041】
ゲル96は、オリーブオイルにガス状の酸素−オゾン混合物をゼラチン状で冷蔵に適するようになるまで吹き込むことによって調製する。冷蔵温度は約0〜5℃である。ゲル96は、使用するまで、冷蔵温度で貯蔵できる。ゲルは、一旦冷蔵状態にした後、ガス発生器88の容器92に入れられる。
【0042】
加熱部材104を使用して容器92を所望の温度に加熱することにより、酸素−オゾン混合物はゲル96から放出される。本実施態様において、ガス発生器88は、オゾン化オリーブオイルを約20〜80℃、好ましくは約30〜50℃、特に好ましくは約37℃に加熱するような構成を有する。
【0043】
容器92は、アクチュエイター72に近接するガス発生器88の端にあって閉構造となり、反対側の端は開放構造となっている。容器92の開放端は、多孔質膜100によって覆われ、ガス発生器88はプランジャ36の第2の端68に接続するアキュムレイター108と連続している。
【0044】
上述のようにアキュムレイター108は、第2の端68においてプランジャ36と接続しており、多孔質膜100を介してガス発生器88と連結している本実施態様において、アクチュエイター108は弾力のある変形可能な風船や、筒32で例示したようなオゾンに対して不活性で且つ膨張可能の好適な材料から成る。アキュムレイター108は、図1に示すような非膨張状態から図1の点線部分のような膨張状態に膨張することが出来る構成を有する。更に、アキュムレイター108は、アキュムレイター108が針突きされてアキュムレイター108から内容物が送出されるような構成を有し、筒32の内側に直接密接する(詳細は後述する)。図1及び図2において、スイッチ76はオフとなっており、アキュムレイター108は蓄積状態である。スイッチ76がオフの状態では、ガス発生器88からオゾンガスは実質的に発生せず、アキュムレイター108にはオゾンガスは実質的に蓄積されていない。アキュムレイター108は実質的に非膨張状態である。
【0045】
図3は、図2に示す注射器28のIII−IIIの点線を介して見た断面図であり、これを用いて膜100について詳しく説明する。膜100はガス発生器88とアキュムレイター108との間に配置され、実質的に円状である孔112を有する。孔112により、ガス発生器88から発生し、ガス発生器88から膜100を介してアキュムレイター108に移動するオゾン混合ガスを透過させる。この際、残りのゲル96は、ガス発生器88内に残存する。図2に示す孔112の径は、単なる例示であって、スケールを表しているわけではなく、容器92内にゲル96を残存でき、オゾン混合物を透過させることが出来る径である。本実施態様では、膜100は、ガス透過性で且つ液状物は非透過性である多孔質のセラミック又はガラスから成る。なお、ある実施態様においては、膜100を省略することが出来る。
【0046】
装置20を使用前に冷蔵室から取出して作動させる。プランジャ36は筒32の開口部
48内に装填し、ニードル24は筒32の突出部52に装着する。図4に示すように、スイッチ76をオンにし、電源84によって電気回路が形成される。電源84は電線を通じて加熱部材104を作動させるための電流を供給する。作動時に、加熱部材104はガス発生器88の容器92を加熱し、ゲル96を加熱して温度を上述のように、ただし本実施態様では約37℃に上昇させる。加熱により、ゲル96からオゾン混合物が放出される。ゲル96から放出されたオゾン混合物は容器92の開口部および膜100に向って移動する。ゲル96は容器92内に残存しなから、オゾン混合物は膜100の孔112を通じてアキュムレイター108に移動する。アキュムレイター108にオゾン混合物が蓄積され、非膨張状態から膨張状態となるように膨張する。
【0047】
図5は、スイッチ76がオンの状態で、オゾン混合物がアキュムレイター108内に蓄積し続け、アキュムレイター108は筒32の第2の端に向って膨張し続け、針突き部材60に接触している状態を表す。
【0048】
図6は、スイッチ76が更にオンの状態で、アキュムレイター108は筒32の第2の端に向って膨張し続け、針突き部材60に突き刺されて送出状態になった図を示す。オゾン混合物がアキュムレイター108から筒32の内部に放出される。
【0049】
筒32がオゾン混合物で満たされると、スイッチ76をオフの状態にし、装置20からオゾン混合物を患部に送出する。ニードル24は患者の患部組織(例えば、ヘルニア部位や他の標的部位)に挿入され、オゾン混合物が投与される。標的部位にニードル24が挿入された後、アクチュエイター72は筒32の第2の端の方向に押し下げられ、酸素−オゾン混合物が筒32から送出され、出口56及びニードル24を通じて標的部位に送出される。図7に示すグラフは、ゲル96として好適に使用できるゲルを加熱した際の酸素−オゾン混合物の放出量と時間との関係を表す。この例では、オゾン化オリーブオイルゲルのサンプル1gを複数用意し、これにインジゴ試薬(20mMリン酸中に0.6g/Lのインジゴトリスルホン酸カリウムを溶解したもの)100mlを添加し、約21.5℃に加温した。約7.5時間21.5℃に保持した後のオゾンの放出量は、6ヶ月貯蔵後の古いゲルでは約0.95mg(オゾン)/1g(オリーブオイル)、24日貯蔵後の新しいゲルでは約0.85mg(オゾン)/1g(オリーブオイル)であった。
【0050】
ここで説明するガス発生器88は、本発明で採用される1つの例示であり、酸素−オゾン混合物を製造するためのガス発生器であれば如何なるものも使用できる。
【0051】
ガス発生器88の1例として、アノード、カソード、陽イオン交換膜および電解質から成る電気化学的オゾン発生セルである。アノードにおいて酸素とオゾンが生成され、酸素−オゾン混合物は電解質水を介して電気化学的セルから放出される。使用する好ましい電流における電圧は、約3〜20V、好ましくは約2〜10Vであり、温度は約5〜50℃、好ましくは約15〜30℃である。
【0052】
装置20の応用形を装置20aとして図8〜11に示す。装置20aは装置20と同じ構成要素を多数有するため、構成要素の符号は同じ番号で且つ添字aを付して示す。
【0053】
装置20と装置20aとの大きな違いは、ガス発生器88aに連結する風船アキュムレイターを有しないこと、及び筒32aに針突き部材を有しないことである。更に、以下に詳述するように、筒32aの内側116aが筒32の内側面と異なる形状を有する。すなわち、筒32aの内側116aは筒32a内に配置され、筒32aの第2の端44aとは異なる第2の端120aを有する。更に装置20と異なる点は、筒32aの内側116aに装置20a可動ストッパー124aを有する。装置20aはまた、出口通路128a及び筒32a内に配置されるベント口132aを有する。更に、本実施態様のガス発生器88aは、装置20のガス発生器88とは異なる構造を有し(他の実施態様においてガス発生器を変更する必要はないが)、加熱部材、ゲル、膜または容器を有しない。ガス発生器88aは、コロナ放電装置、電気化学的オゾン発生セル、UV光源またはそれらの組合せである。
【0054】
図8は、筒32a内の第1の端40aから筒32aの第2の端44aに向って同軸上に筒32aの内側116aを配置した図である。筒32aの内側116aは、実質的にシリンダー状で、第2の端120aが第1の端40aと筒32aの第2の端44aの間に配置される。第2の端120aは筒32aの第2の端44aの近くにある。
【0055】
可動ストッパー124aは筒32aの内側116aに配置される。可動ストッパー124aは弾性があり変形可能であり、プランジャ36で説明したような材料などの適切な材料から成り、円板状を有し、その外径は筒32aの内側116aの内径より若干大きく、通常のプランジャ突出部は通常の注射器の筒の内部を補完するような通常の構造と同じ構造を有する。ストッパー124aは筒32aの内側116aに密着して実質的に気密構造を形成し、筒32aの第1の端40aの近くから筒32aの内側116aの第2の端120aの近くの方向に向って動くことが出来る。更に、ストッパー124aは筒32aの内側116aを第1の室136aと第2の室140aとに分ける。
【0056】
第1の室136aは、ストッパー124aとプランジャ36aの第2の端68aとの間で筒32aの内側116a内に形成される。第2の室140aは、ストッパー124aと筒32aの内側116aの第2の端120aとの間で筒32aの内側116a内に形成される。第1の室136aは、プランジャ36aの第2の端68aのノズルを介してガス発生室88aと連結している。ストッパー124aの移動に伴い、第1の室136aは、筒32aの内側116aの長さ方向に膨張することが出来、蓄積構造を取り、それに伴って第2の室140aは縮小する。第1の室136aが蓄積構造を取る場合、第2の室140aのみ、筒32aの内側116aの第2の端120aの近くの筒32aの内側116aの内壁に接続している出口通路128aと連絡を有する。更に、第1の室136aが送出構造を取る場合、ストッパー124aが筒32aの内側116aの第2の端120aの近くに位置し、第1の室136aと出口通路128aとが連絡を有する。
【0057】
出口通路128aは、筒32a内に配置される入口144aと出口148aとそれらを連絡する通路152aを有する。出口通路128aの入口144aは、筒32aの内側116aの第2の端120aの近くで、筒32aの第1の端40aと筒32aの内側116aの第2の端120aとの間の筒32aの内側116aの側壁に配置される。出口通路128aの出口144aは、突出部52a内に配置される。通路152aは実質的に中空でチューブ状の構成を有し、筒32aの側壁に沿って入口144aから第2の端44aに向かって形成され、第2の端44aにおいて筒32aの基部を横切り、突出部52aの方向に向かって出口148aに到達する。空気ベント口132aは、入口(図示しているが符号は付していない)と出口(図示しているが符号は付していない)とそれらを連絡する筒32a内に配置された通路から成る。空気ベント132aの入口は、第2の端120aの筒32aの内側116aの基部に配置される。空気ベント132aの出口は、筒32aの内側116aの第2の端120aと筒32aの第2の端44aとの間の筒32aの側壁に配置される。空気ベント132aの通路は、実質的に中空でチューブ状の構成を有し、筒32aの基部を介して空気ベント132aの入口から第2の端44aに向い、第2の端44aにおいて筒32aの基部を横切り、空気ベント132aの出口に向うように形成されている。
【0058】
装置を可動させるには、プランジャ36aを筒32aの開口部48aに装填し、ニードル24aを筒32aの突出部52aに装着する。図9は、作動開始時の装置を示し、第1の室136aは貯蔵状態であり、ストッパー124aは筒32aの第1の端40aと通路128aの出口との間に配置され、第2の室140aは通路128aの出口とのみ通じている。スイッチ76aをオンにし、電源84aにより電気回路が形成される。電源84aは電線を介してガス発生器88aに電流を供給する。作動時では、ガス発生器88aが酸素−オゾン混合物を発生し、第2の端68aにおけるプランジャ36aのノズルを介して筒32aの内側116aの第1の室136aに放出される。図10は、第1の室136aがガス発生器88aで発生した酸素−オゾン混合物で満たされた状態を示す図で、ストッパー124aは、第1の室136a内に貯蔵された酸素−オゾン混合物による圧力で第2の端120aの方向に押される。ストッパー124aが貯蔵された酸素−オゾン混合物による圧力で筒32aの内側116aの第2の端120aの方向に押され、第1の室136aが膨張するため、第2の室140aは筒32aの内側116aに沿って縮小する。第2の室140aが縮小するため、第2の室140a内の空気は空気ベント口132aより排出される。スイッチ76aがオンの状態を続けると、ストッパー124aは筒32aの内側116aの第2の端120aの方向に移動し続け、第1の室136aは図10に示すように貯蔵状態から送出状態に変化し、第1の室136aは出口通路128aと連絡する。
【0059】
図11に示すように、第1の室136aが酸素−オゾン混合物で満たされ、送出状態となったら、スイッチ76aをオフの状態にし、装置20aから酸素−オゾン混合物を患部に送出する。ニードル24aは患者の患部組織(例えば、ヘルニア部位や他の標的部位)に挿入され、酸素−オゾン混合物が投与される。標的部位にニードル24が挿入された後、プランジャ36aのアクチュエイター72aは筒32aの内側116aの第2の端120aの方向に押し下げられ、酸素−オゾン混合物が第1の室136aから送出され、出口通路128a及びニードル24aを通じて標的部位に送出される。
【0060】
装置20aを応用した装置を図12に示し、装置20bとする。装置20bは装置20aと同じ構成要素を有するため、構成要素の符号は同じ番号で且つ添字bを付して示す。装置20aとの大きな違いは、装置20aのガス発生器88aはプランジャ36aと結合しているのに対し、装置20bのガス発生器88bは注射器28bの筒32bの外側表面に配置されていることである。
【0061】
更に、装置20aを応用した装置を図13に示し、装置20cとする。ガス発生器88の応用型で、誘電体87cから成るコロナ放電装置88cと電極89cとから成る。コロナ放電装置88cは酸化ガスを製造する。例えば、コロナ放電装置88cは、筒32cの内側116c内に酸素含有ガスを放出する。発生ガスは純粋な酸素とすることが出来る。例えば、酸素含有ガスをコロナ放電装置88cの電場を通過させることにより酸素−オゾン混合物はコロナ放電装置88cから放出される。コロナ放電装置88cの電場は、約10〜1000kHz、好ましくは20〜60kHzの周波数で、約1〜20kV,好ましくは3〜6kVの電圧で電流を流し、約15〜30℃、好ましくは20〜25℃の温度で形成する。上記の周波数および電圧(又は他のパラメータ)を供給する電源は、電源84によって供給され、これらのパラメータに従った電気信号をガス発生装置88cに発生させる。電源84cはスイッチ76cによりオン−オフされる。
【0062】
使用の際は、装置20cは図13に示す態様となる。次いで、スイッチ76cをオンにし、ガス発生器88cは電場を派生し、筒32cの内側116c内の酸素を反応させ、オゾンを発生させる。オゾン発生サイクルが確立されると、筒32cの端からオゾンを送出するためにプランジャ36cが押し下げられる。本実施態様では、プランジャ36cのストロークは、筒32cの末端に近接し且つ接触することない程度に押し下げる。
【0063】
ガス発生器88cの構成は単なる例示であって、他の形状のコロナ放電装置を使用できると理解するべきである。
【0064】
本説明において、種々の要旨および構成要素を具体的に組合せた例を示したが、開示した要旨および構成要素ならびにそれらの組合せの所望の部分構成を使用できることは、当業者にとって容易に理解できる。例えば、他の疾患についても本発明において処置可能である。また、関節、腱、靭帯などの他の部位についても処置可能である。更に、創傷部分の痛みの緩和のための治療剤による、例えば人工肛門造設術における創傷部分の治癒などにも処置可能である。また、ペースメーカーを保持する皮下嚢などの滅菌および/または痛みの緩和および/または炎症の治療、他の治療薬剤よる治療および当業者が行うと思われる治療などにおいても処置可能である。更に、治療薬剤として酸素−オゾン混合物だけでなく、当業者に公知の他の有効薬剤も使用できる。
【0065】
更に、本発明の装置は、所望の大きさや形状を取り得ると理解されるべきである。また、本発明の具体的な実施態様において、プランジャとプランジャをスライド的に受容できる中空筒を有する。ここで、装置のプランジャ及び筒は所望の補完的な大きさ及び形状を有することが出来ると考えるべきである。また、本実施態様の構成要素は種々組合せることが出来ることも明らかである。例えば、プランジャ36又はプランジャ36aの何れもが、筒32及び筒32aと組合せることが出来る。
【0066】
更に、本発明におけるガス発生器は、所望の大きさ、形状、形式を取り得ると理解すべきである。例えば、上記の実施態様において、ガス発生器としてオゾン化ゲルを有するガス発生器(例えばガス発生器88)、コロナ放電装置、電気化学的セル、UV光源などが挙げられているが、所望のガス状の治療薬剤を製造するのに適した他のガス発生装置も使用できる。
【0067】
ガス状の治療薬剤は酸化ガス又は不活性ガス或いはそれらの組合せである。
【0068】
酸化ガスとしては、酸素(O2)を含む酸化ガス、酸素とオゾン(O3)の混合物、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカル、イオン化酸素、エネルギー処理された酸素、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0069】
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、二酸化炭素およびこれらの組合せが挙げられる。
【0070】
また、ガス発生器は装置の注射器の関連する好適な場所に配置することが出来る。例えば、ガス発生器は、プランジャの第1の端と第2の端との間の任意の場所、筒の内側の第1の端と第2の端との間の任意の場所などの装置の注射器の関連する好適な場所に配置することが出来る。更に、ガス発生器は注射器の外側表面の好適な場所に配置することも出来(図12を参照)、又、注射器に接続せず連絡しているように注射器の外側に配置してもよい。
【0071】
上記の実施態様におけるアキュムレイター及び上記の実施態様における第1の室は、所望の大きさ、形状および形式を取り得ると理解すべきである。例えば、上記の実施態様において、アキュムレイターは弾性で変形可能な風船を例示したが、貯蔵状態から送出状態に変化できるのであれば、袋、コンテナー、容器、室などの他の態様も可能である。更に、本発明における第1の室は、貯蔵状態から送出状態に変化できるのであれば、如何なる構成であってもよい。また、本発明における電源は所望の大きさ、形状および形式を取り得ると理解すべきである。例えば、上記の実施態様において、電源は2つのバッテリーから成り、2つのバッテリーはプランジャの第1の端と第2の端との間のアクチュエイターに近い方にプランジャのシャフトのクロス部材の隣り同士に近接してシャフトに平行に配置されているが、他の実施態様も可能である。例えば、1つ以上のバッテリーを任意の形状で、プランジャの第1の端と第2の端との間の任意の位置、筒の第1の端と第2の端との間、注射器の外側表面などに配置することが出来る。また、注射器の外部に存在し、オゾン発生時に注射器と接続可能であるような電源であってもよい。同様に、酸素−オゾン混合物を発生させるために外部熱源を介してオゾン発生器に加熱を行うことが出来る注射器であれば、加熱部材および電源を省略することも出来る。
【0072】
更に、上記の実施態様において、出口通路は所望の大きさ、形状および形式を取り得ると理解すべきである。例えば、出口通路の入口は、筒の宇宙側の第1の端と第2の端との間の好適ないかなる場所に配置することが出来る。更に、出口通路の通路は、筒の側壁の外側に形成されていても、筒の側壁内に形成されていても、その両方に形成されていてもよい。
【0073】
更に、上記の実施態様において、空気ベント口は所望の大きさ、形状および形式を取り得ると理解すべきである。例えば、空気ベント口の入口は、筒の第2の端の筒の内側の基部の任意の好適な場所、ストッパーと筒の第2の端の間の筒の内側側壁の任意の好適な場所に配置できる。更に、空気ベント口の出口は、筒の第1及び第2の端の間の筒の側壁、筒の第2の端における筒の基部、筒の突出部などに配置することが出来る。
【0074】
以上、本発明の実施態様を記載したが、本発明の要旨を逸脱することなく、上記の実施態様について種々の変更が可能であることは明らかであり、本発明は、特許請求の範囲のみにおいて限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の治療薬剤投与装置の1実施態様を示す斜視図
【図2】図1に示す装置の蓄積状態における側面図
【図3】本発明の1実施態様である多孔質膜を使用した場合の図2のIII−IIIの点線を介して見た断面図
【図4】図2に示す装置においてアキュムレイターが膨張した蓄積状態における側面図
【図5】図4に示す装置においてアキュムレイターが更に膨張した蓄積状態における側面図
【図6】図5に示す装置においてアキュムレイターが送出状態における側面図
【図7】1gのオゾン化オリーブオイルを37℃に加熱した際に放出されるオゾンガスのグラフ
【図8】本発明の他の実施態様である治療薬剤を投与するための装置の側面図
【図9】図8に示す装置の蓄積状態における側面図
【図10】図9に示す装置の送出状態における側面図
【図11】図10に示す装置の送出状態で、プランジャの押下げを示す側面図
【図12】本発明の他の実施態様である治療薬剤を投与するための装置の側面図
【図13】本発明の他の実施態様である治療薬剤を投与するための装置の側面図
【符号の説明】
【0076】
20:装置
20a:装置
20b:装置
20c:装置
24:ニードル
24a:ニードル
28:注射器
28b:注射器
32:筒
32a:筒
32b:筒
32c:筒
36:プランジャ
36a:プランジャ
36c:プランジャ
40:第1の端
40a:第1の端
44:第2の端
44a:第2の端
48:開口部
48a:開口部
52:突出部
52a:突出部
56:出口
60:針突き部材
64:第1の端
68:第2の端
68a:第2の端
72:アクチュエイター
72a:アクチュエイター
76:スイッチ
76a:スイッチ
76c:スイッチ
80:シャフト
84:電源
84a:電源
84c:電源
87c:誘電体
88:ガス発生器
88a:ガス発生器
88b:ガス発生器
88c:コロナ放電装置
89c:電極
92:開放系容器
96:オゾン化ゲル
100:多孔質膜
104:加熱部材
108:アキュムレイター
112:孔
116a:筒32aの内側
116c:筒32cの内側
120a:第2の端
124a:可動ストッパー
128a:出口通路
132a:ベント口
136a:第1の室
140a:第2の室
144a:入口
148a:出口
152a:通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は治療薬剤、特に酸化ガスや不活性ガス等のガス状治療薬剤を組織に投与するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背骨関節や腱の痛みは全世界の人口の80%が1度は経験する共通の病気であり、病気を悪化させる可能性を有する。多くの症例では、そのような痛みの原因は、変性した椎間板であり、椎間板ヘルニアとして知られている病気に進行する。これは、椎間板髄核が椎間板の外側ラインにおける裂傷や亀裂を介して押出すことにより、脊髄神経を圧迫することにより起きる。髄核ヘルニアによる圧迫は、炎症を導き下肢の痛みを引起す(座骨神経痛として知られている)。この種の腰痛の治療はヘルニアの重症度により種々異なる。比較的軽度の場合、十分な時間の休息および活動の自重により、病状を軽減させることができる。しかしながら、ヘルニアの重症患者の場合または非観血式治療(薬物療法および/または物理療法)では効果が見られない患者の場合、外科的介入が推奨される。このような侵襲的治療は、1)不可逆性処置、2)瘢痕組織形成、3)回復が遅い、4)長期入院が必要などの欠点を有する。
【0003】
1950年来、外科手術を避けるため経皮的処置による座骨神経痛および腰痛の治療が行われてきた。経皮的処置としては、経皮的椎間板切除術や化学的髄核融解術がよく知られているが、治療費の関係から、研究者は新たな代替法を検討し続けてきた。1984年、イタリアの整形外科医であるDr.Cesare Vergaは、オゾン/酸素混合物による椎間板ヘルニアの治療について提案した(例えば、http://www.cleanairassociation1com/6/ca_3.htm、Ozone Therapy:New breakthrough for Back Treatment,Gaetano Morello,M.D.を参照(本発明に引用、非特許文献1))。
【0004】
他の先行技術としては、M.Muto and F. Avella著「Percutaneous Treatment of Herniated Lumbar Disc by Intradiscal Oxygen−Ozone Injection」(Interventional Neuroradiology 4)(酸素−オゾンの椎間板内注入による椎間板ヘルニアの経費治療、インターベンショナル神経放射線学会誌No.4、非特許文献2)が挙げられる。
【0005】
関節リウマチ、変形性関節症、テニス肘や四十肩や家事膝などのスポーツや作業による反復運動損傷や炎症は、腱、腱が動けるための鞘や潤滑管などの関節機能を含む2つの表面間で生じる。膝、肩、腰または解剖学的嚢における滑液包炎などの炎症で、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などの治療薬剤の注入による効果があり、更に、上顆炎および手首、手、手および手首の腱鞘を含む他の腱炎および滑液包炎にも有効である。炎症は、腱または靭帯が骨に挿入されたり、外傷、圧力、過労、疾病などにより鞘を通過してしまうことにより起る。
【0006】
そして、炎症は、関節リウマチや乾癬性関節炎や変形性関節症などの関節炎症の関節の病理を介して広がる。酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などの治療薬剤の注入を受け入れやすい関節としては、下顎関節、腰関節、膝関節、足首関節、肘関節、仙腸関節などの滑膜性関節である。脊椎小関節面や仙腸関節における炎症治療に有効であり、また、リウマチ関節、変形性関節症、手根管症候群などのスポーツや作業を通じて被る反復運動損傷などの手、手首、足等などの関節の炎症治療に有効である。
【0007】
上述の炎症および関節炎または病状悪化の治療については、イブプロフェン等の抗炎症剤や、更に強力なステロイド又はメトトレキサート等の化学療法薬剤などを組合せて使用する。通常の治療法では、ステロイド薬剤やリドカインを炎症組織または関節に直接中注入する。そして、しばしば、この治療は繰り返し行われる。これらの薬剤は副作用があり、胃潰瘍出血や免疫抑制感染から死に至ったりすることもある。従って、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体を使用する方法は現状の治療法に対して有利であると考えられる。
【0008】
人工腰骨や膝、ペースメーカー、感染関節の治療部材などの永続的に外科的に埋め込む前に、外科的な埋め込み場所の洗浄を施すには、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素を滅菌剤として容易に使用できる。更に、人工肛門造設を行う際、結合椎間板に酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体を注入することにより、回復を補助し、感染を防止することが出来る。心臓手術における胸骨切開の術後の回復は、傷口感染により問題となることがある。適切なカテーテルを使用して酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素を注ぎ込むことにより回復の手助けとなる。実際には、多数の創傷部に対して、多数の孔を有するカテーテルを使用して酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素を注ぎ込む。この方法は、抗感染、鎮痛、創傷の回復などの効果があり、回復時間を短くし、術後の経過の複雑性を低減する。
【0009】
酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体は、虫垂切除術などの腹部切開、人工肛門造設術などの緊急結腸切開術、内視鏡胆嚢摘出術後などの創傷/外科手術部位が非常に感染性の高い状態に注入する。
【0010】
オゾンの内視鏡的経皮注入およびオゾンの経皮カテーテル注入により、膵管の内視鏡的検査などの内視鏡的医学的診療、画像、非画像誘導カテーテル診療における煩雑性を防止できる。
【0011】
酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体の歯への注入は、歯腔の修復を促進し、歯根管炎症または歯周病を低減させる。
【0012】
椎間板損傷および病原性症候群の動物に、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などのガス又はガス溶解液体の微小侵襲性投与する獣医学における応用もある。他のいくつかの任意事項は、動物の活動場所によって対応する。ある種の動物では、椎間板障害や関節炎などの痛みによる二次的痛みにより死ぬことがある。
【0013】
酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などの治療薬剤としての可能性は、調査を続ければいくらでも広がるが、他の外科的治療および経皮的治療と比較して、椎間板ヘルニアの治療薬剤として重要かつ有効であることは明らかである。その効果とは、1)治療的および神経放射線学的な禁忌事項が少ない、2)椎間板治療における成功率が70%を越える、3)回復に要する期間を必要としないか又は短い、4)副作用が無い又はほとんど無い、5)瘢痕組織の形成が無いまたは少ない、6)微小侵襲性治療が可能、7)休息や勤務を少なくするなどのこれまでの保守的治療法を取ることが出来ない場合の代替治療となる、などが挙げられる。
【0014】
オゾンガス治療は、椎間板ヘルニアの治療のための非侵襲性代替療法として、医学分野では重要視し続けられているため、有効量のオゾンの投与法は、もっぱらガスとしての投与に関するもので、最適法からはほど遠いものである。例えば、SPM Recovery Technologies Ltd.(http://www.spm.co.il
)、米国特許第6073627号明細書(特許文献1)、American Health Magazine(1988年1月号第16頁)には、すべてオゾンによる創傷部の治療について記載されている。しかしながら、これらに開示されている装置は嵩張るもので、扱いにくく、能力が強すぎ、維持、洗浄、検量が困難であり、コストも高い。更に、これらの装置は、椎間板ヘルニア等の患部を選択的にオゾンを送出できるような無菌法に対応していない。ガスは不安定であり、半減期が数分である。使い捨てで単独使用できるような医療用オゾン発生器は提案されていない。したがって、酸素−オゾン混合物、励起エネルギー化純酸素などの治療薬剤による椎間板ヘルニアの治療や、他の医療的に効果的で、無菌使用も出来る特別に設計された装置が必要とされる。更に、炎症や疾患の悪化における診療のためのポータブルで、使い捨てまたは再利用可能で滅菌状態を形成でき、安定で、使用の際すぐにオゾンが発生するような装置セットも必要とされる。
【0015】
【特許文献1】米国特許第6073627号明細書
【非特許文献1】Gaetano Morello,M.D.、”Ozone Therapy:New breakthrough for Back Treatment”、[online]、インターネット<URL:http://www.cleanairassociation1com/6/ca_3.htm>
【非特許文献2】M.Muto and F. Avella、”Percutaneous Treatment of Herniated Lumbar Disc by Intradiscal Oxygen−Ozone Injection”、Interventional Neuroradiology 4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の目的は、上述の従来技術における欠点の少なくとも1つを取除き又は軽減した、ガスを組織に注入するための新規の装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の要旨は、筒と、筒の第1端に挿入されるプランジャから成る注射器であって、筒の第2端から治療薬剤を送出できる注射器に存する。注射器は、更に、プランジャと筒のどちらかに接続し且つ治療薬剤を製造するガス発生器を有する。注射器は、更に、筒中に配置され、且つ、ガス発生器から製造される治療薬剤を蓄積できるようにガス発生器と連絡しており蓄積状態の構成を有するアキュムレイターを有する。アキュムレイターは、筒の第2端から物質を送出できるような構成を有する。アキュムレイターは、製造された治療薬剤の量が所定の量に達した際に、治療薬剤を蓄積できるような構成から治療薬剤を送出する構成に自動的に変化する。
【0018】
ガス状の治療薬剤は酸化ガス又は不活性ガス或いはそれらの組合せである。
【0019】
酸化ガスとしては、酸素(O2)を含む酸化ガス、酸素とオゾン(O3)の混合物、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカル、イオン化酸素、エネルギー処理された酸素、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0020】
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、二酸化炭素およびこれらの組合せが挙げられる。
【0021】
ガス発生器がコロナ放電オゾン発生器である場合、アキュムレイターが筒内に内部スペースを有し、酸素を蓄積する。プランジャはDC電源(バッテリー等)および電気回路を有し、高電圧、高周波AC電気信号を発生し、ガス発生器に供給する。高周波電気信号の周波数は、約10〜1000kHz、好ましくは約20〜60kHzである。高電圧電気信号の電圧は、約1〜20kV、好ましくは約3〜6kVである。周囲温度は約15〜30℃、好ましくは約20〜25℃である。
【0022】
ガス発生器はUV光源であってもよく、この場合、アキュムレイターが筒内に内部スペースを有し、酸素を蓄積する。プランジャはDC電源(バッテリー等)および電気回路を有し、電気信号を発生し、UV光源に供給する。UV光源の波長は約100〜700nm、好ましくは140〜200nmである。
【0023】
本発明の他の要旨において、ガス発生器が、オゾン化ゲルを貯蔵する開放系容器と加熱部材とから成り、加熱部材の作動により、酸素−オゾン混合ガスをオゾン化ゲルから放出させるようにオゾン化ゲルの温度を上昇させることが出来る。オゾン化ゲルはオリーブオイルにオゾンを吹込み冷却することにより形成される。オリーブのオイルの冷却は約−15〜10℃で行われる。
【0024】
本発明の他の要旨は、治療用酸素−オゾン混合ガスを発生するオゾン発生器であって、オゾン発生器はプランジャ又は筒の何れかにガス発生器を固定する接続部分を有する。筒はプランジャを受け入れるための第1端とプランジャの加圧によりオゾンをプランジャから送出する第2端を有する。ガス発生器はオゾンを貯蔵するように構成された筒内に配置されるアキュムレイターと連結している。アキュムレイターは蓄積構成を有する場合、酸素−オゾン混合ガスはアキュムレイター内に蓄積される。アキュムレイターは、更に、筒の第2端から酸素−オゾン混合ガスを送出できる構成を有する。アキュムレイターは、製造された治療用酸素−オゾン混合ガスの量が所定の量に達した際に、蓄積構成から送出構成に自動的に変化して、筒の第2端から治療用酸素−オゾン混合ガスを送出する。
【0025】
また、ガス発生器は、オゾン化ゲルを貯蔵する容器と加熱部材とから成り、加熱部材の作動により、酸素−オゾン混合ガスをオゾン化ゲルから放出させるようにオゾン化ゲルの温度を上昇させる。
【0026】
ガス発生器が電気化学的セルである。
【0027】
ガス発生器がコロナ放電装置である。
【0028】
ガス発生器がUV光源である。
【0029】
本発明の要旨は、更に、本発明で開示される装置を使用した治療薬剤を発生させる方法および治療薬剤の投与方法も含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、治療薬剤、特に酸化ガスや不活性ガス等のガス状治療薬剤を組織に投与でき、従来技術における欠点の少なくとも1つを取除き又は軽減した新規の装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施例および図面を用いて説明するが、これらは例示である。図1は治療薬剤を送出するための装置20の1実施態様を示す。装置20は、注射器28に接続するニードル(注射針)24を有し、注射器28は、プランジャ36を挿入するための中空の筒32を有する。
【0032】
筒32内の治療薬剤は、プランジャ36からの圧力より、ニードル24を介して送出される。ニードル24は、所望の材料から成り、所望の治療薬剤を送出できるような所望の長さや径を有する。本実施態様において、注射器28は、酸素−オゾン混合物をヘルニア患部に送出する。ニードル24は、Chiba社製ニードル、Franceen社製ニードル又は当業者に公知の他のニードルが使用できる。
【0033】
筒32は、充分に剛性がありオゾンに触れた際に不活性である材料から成り、例えば、ガラス、ステンレススチール、ポリカーボネート、高密度ポリエステル、塩素化ポリ塩化ビニル、シリコン、エチレン−プロピレンターポリマー、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ素化エチレン−プロピレン等のフッ素系ポリマー等が使用できる。筒32は、実質的にシリンダー状であり、第1の端40とその反対側の第2の端44を有する。第1の端40は、プランジャ36を受け入れることが出来る開口部48である。第2の端44は、第2の端44から外側にシリンダー状の突出部52を有し、出口56は第1の端40の開口部48の径より小さな径を有し、出口56は第1の端40の開口部48の径より小さな径を有し、酸素−オゾン混合ガスを送出できる。シリンダー状の突出部52はニードル24が装着できるような構成を有する。
【0034】
筒32は、第2の端44に強固に固定されている針突き部材60を有し、風船や膨張可能な弾性袋に針刺しまたは穿孔するための鋭い形状を有する(詳細は後述する)。他の実施態様において、針突き部材60は、筒32のいかなる場所に配置されてもよい。筒32の内壁に沿って、対面する内壁面に向って内部に突き出した構造であってもよい。
【0035】
プランジャ36もオゾンに触れた際に不活性である上述の材料から成ることが好ましい。プランジャ36は、筒32と同心円状に挿入できるように実質的にシリンダー状であり、第1の端64及びその反対側の第2の端68を有し、第2の端68は筒32の開口部48に挿入できるような構成を有する。第1の端64は、外科医や専門医の手により押し下げられる。本実施態様ではアクチュエイター72の中心にオン−オフスイッチ76が配置されている。もちろんスイッチ76は他の位置に配置してもよく、例えばアクチュエイター72の円周部分のようなアクチュエイター72の他の部分、筒32の表面、注射器28に接続する他の部分などに配置してもよい。スイッチ76は「オン」、「オフ」の位置を行き来することが出来る。
【0036】
シャフト80は、アクチュエイター72から第2の端68に向って突出している。シャフト80はクロスした断面構造を有しており、それと同軸方向に電源が装着されている。この実施態様において、電源84は、第1の端64と、第2の端68との間のアクチュエイター72に近い方に配置されており、2つのバッテリーがシャフト80に平行に配置され、シャフト80のクロス部材の隣り同士に近接して配置されている。電源84は、スイッチ76とガス発生器88に電線により連結されており、スイッチ76がオンの場合、ガス発生器に電流を送り、スイッチ76がオフの場合、ガス発生器88に電流が流れないような構成となっている。電源88は、約1〜30V、好ましくは約5〜10Vの電流を供給することが好ましい。
【0037】
ガス発生器88は、シャフト80と第2の端68との間に配置される。本発明の図1及び図2の実施態様においてガス発生器88は、オゾン化ゲル96を貯蔵する開放系容器92と、容器92の開口部端を覆う多孔質膜100とから成る。ガス発生器88は、更に、容器92の周囲を囲む加熱部材104を有する。加熱部材104は、スイッチ76を介して電源84と連結しており、スイッチ76がオンの場合、加熱部材104は容器92及びその内容物の温度を上昇させる。
【0038】
ゲル96は、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの脂肪酸の種々の組合せがグリセリン骨格に結合しているトリアシル化グリセリン又はトリグリセリン、又は一般式CH3(CH2)nCООH(nは約12〜20の偶数)で示される脂肪酸の種々の組合せがグリセリン骨格に結合したものから成る。好ましくはオリーブオイル(例えばCAS Nо.8001−25−0等)であり、ゲル96内にオゾンを溶解させることが出来る。
【0039】
オゾンのオリーブオイルへの溶解度は、オリーブオイル1g当りの溶解オゾン量が以下に示す約Xmgである。すなわち、1gのオリーブオイル当り、Xは約0.5〜1.5、好ましくは約0.7〜1.2、特に好ましくは約1である。
【0040】
ゲル96を加熱した場合、オゾンガスが周囲の空気に放出されることで、ガス状オゾン混合物が生成し、ガス状オゾン混合物により、1cm3の酸素当り以下に示すYμgのオゾンが送出される。すなわち、1cm3の酸素当り、Yは約5〜100、好ましくは約12〜40、特に好ましくは約20である。
【0041】
ゲル96は、オリーブオイルにガス状の酸素−オゾン混合物をゼラチン状で冷蔵に適するようになるまで吹き込むことによって調製する。冷蔵温度は約0〜5℃である。ゲル96は、使用するまで、冷蔵温度で貯蔵できる。ゲルは、一旦冷蔵状態にした後、ガス発生器88の容器92に入れられる。
【0042】
加熱部材104を使用して容器92を所望の温度に加熱することにより、酸素−オゾン混合物はゲル96から放出される。本実施態様において、ガス発生器88は、オゾン化オリーブオイルを約20〜80℃、好ましくは約30〜50℃、特に好ましくは約37℃に加熱するような構成を有する。
【0043】
容器92は、アクチュエイター72に近接するガス発生器88の端にあって閉構造となり、反対側の端は開放構造となっている。容器92の開放端は、多孔質膜100によって覆われ、ガス発生器88はプランジャ36の第2の端68に接続するアキュムレイター108と連続している。
【0044】
上述のようにアキュムレイター108は、第2の端68においてプランジャ36と接続しており、多孔質膜100を介してガス発生器88と連結している本実施態様において、アクチュエイター108は弾力のある変形可能な風船や、筒32で例示したようなオゾンに対して不活性で且つ膨張可能の好適な材料から成る。アキュムレイター108は、図1に示すような非膨張状態から図1の点線部分のような膨張状態に膨張することが出来る構成を有する。更に、アキュムレイター108は、アキュムレイター108が針突きされてアキュムレイター108から内容物が送出されるような構成を有し、筒32の内側に直接密接する(詳細は後述する)。図1及び図2において、スイッチ76はオフとなっており、アキュムレイター108は蓄積状態である。スイッチ76がオフの状態では、ガス発生器88からオゾンガスは実質的に発生せず、アキュムレイター108にはオゾンガスは実質的に蓄積されていない。アキュムレイター108は実質的に非膨張状態である。
【0045】
図3は、図2に示す注射器28のIII−IIIの点線を介して見た断面図であり、これを用いて膜100について詳しく説明する。膜100はガス発生器88とアキュムレイター108との間に配置され、実質的に円状である孔112を有する。孔112により、ガス発生器88から発生し、ガス発生器88から膜100を介してアキュムレイター108に移動するオゾン混合ガスを透過させる。この際、残りのゲル96は、ガス発生器88内に残存する。図2に示す孔112の径は、単なる例示であって、スケールを表しているわけではなく、容器92内にゲル96を残存でき、オゾン混合物を透過させることが出来る径である。本実施態様では、膜100は、ガス透過性で且つ液状物は非透過性である多孔質のセラミック又はガラスから成る。なお、ある実施態様においては、膜100を省略することが出来る。
【0046】
装置20を使用前に冷蔵室から取出して作動させる。プランジャ36は筒32の開口部
48内に装填し、ニードル24は筒32の突出部52に装着する。図4に示すように、スイッチ76をオンにし、電源84によって電気回路が形成される。電源84は電線を通じて加熱部材104を作動させるための電流を供給する。作動時に、加熱部材104はガス発生器88の容器92を加熱し、ゲル96を加熱して温度を上述のように、ただし本実施態様では約37℃に上昇させる。加熱により、ゲル96からオゾン混合物が放出される。ゲル96から放出されたオゾン混合物は容器92の開口部および膜100に向って移動する。ゲル96は容器92内に残存しなから、オゾン混合物は膜100の孔112を通じてアキュムレイター108に移動する。アキュムレイター108にオゾン混合物が蓄積され、非膨張状態から膨張状態となるように膨張する。
【0047】
図5は、スイッチ76がオンの状態で、オゾン混合物がアキュムレイター108内に蓄積し続け、アキュムレイター108は筒32の第2の端に向って膨張し続け、針突き部材60に接触している状態を表す。
【0048】
図6は、スイッチ76が更にオンの状態で、アキュムレイター108は筒32の第2の端に向って膨張し続け、針突き部材60に突き刺されて送出状態になった図を示す。オゾン混合物がアキュムレイター108から筒32の内部に放出される。
【0049】
筒32がオゾン混合物で満たされると、スイッチ76をオフの状態にし、装置20からオゾン混合物を患部に送出する。ニードル24は患者の患部組織(例えば、ヘルニア部位や他の標的部位)に挿入され、オゾン混合物が投与される。標的部位にニードル24が挿入された後、アクチュエイター72は筒32の第2の端の方向に押し下げられ、酸素−オゾン混合物が筒32から送出され、出口56及びニードル24を通じて標的部位に送出される。図7に示すグラフは、ゲル96として好適に使用できるゲルを加熱した際の酸素−オゾン混合物の放出量と時間との関係を表す。この例では、オゾン化オリーブオイルゲルのサンプル1gを複数用意し、これにインジゴ試薬(20mMリン酸中に0.6g/Lのインジゴトリスルホン酸カリウムを溶解したもの)100mlを添加し、約21.5℃に加温した。約7.5時間21.5℃に保持した後のオゾンの放出量は、6ヶ月貯蔵後の古いゲルでは約0.95mg(オゾン)/1g(オリーブオイル)、24日貯蔵後の新しいゲルでは約0.85mg(オゾン)/1g(オリーブオイル)であった。
【0050】
ここで説明するガス発生器88は、本発明で採用される1つの例示であり、酸素−オゾン混合物を製造するためのガス発生器であれば如何なるものも使用できる。
【0051】
ガス発生器88の1例として、アノード、カソード、陽イオン交換膜および電解質から成る電気化学的オゾン発生セルである。アノードにおいて酸素とオゾンが生成され、酸素−オゾン混合物は電解質水を介して電気化学的セルから放出される。使用する好ましい電流における電圧は、約3〜20V、好ましくは約2〜10Vであり、温度は約5〜50℃、好ましくは約15〜30℃である。
【0052】
装置20の応用形を装置20aとして図8〜11に示す。装置20aは装置20と同じ構成要素を多数有するため、構成要素の符号は同じ番号で且つ添字aを付して示す。
【0053】
装置20と装置20aとの大きな違いは、ガス発生器88aに連結する風船アキュムレイターを有しないこと、及び筒32aに針突き部材を有しないことである。更に、以下に詳述するように、筒32aの内側116aが筒32の内側面と異なる形状を有する。すなわち、筒32aの内側116aは筒32a内に配置され、筒32aの第2の端44aとは異なる第2の端120aを有する。更に装置20と異なる点は、筒32aの内側116aに装置20a可動ストッパー124aを有する。装置20aはまた、出口通路128a及び筒32a内に配置されるベント口132aを有する。更に、本実施態様のガス発生器88aは、装置20のガス発生器88とは異なる構造を有し(他の実施態様においてガス発生器を変更する必要はないが)、加熱部材、ゲル、膜または容器を有しない。ガス発生器88aは、コロナ放電装置、電気化学的オゾン発生セル、UV光源またはそれらの組合せである。
【0054】
図8は、筒32a内の第1の端40aから筒32aの第2の端44aに向って同軸上に筒32aの内側116aを配置した図である。筒32aの内側116aは、実質的にシリンダー状で、第2の端120aが第1の端40aと筒32aの第2の端44aの間に配置される。第2の端120aは筒32aの第2の端44aの近くにある。
【0055】
可動ストッパー124aは筒32aの内側116aに配置される。可動ストッパー124aは弾性があり変形可能であり、プランジャ36で説明したような材料などの適切な材料から成り、円板状を有し、その外径は筒32aの内側116aの内径より若干大きく、通常のプランジャ突出部は通常の注射器の筒の内部を補完するような通常の構造と同じ構造を有する。ストッパー124aは筒32aの内側116aに密着して実質的に気密構造を形成し、筒32aの第1の端40aの近くから筒32aの内側116aの第2の端120aの近くの方向に向って動くことが出来る。更に、ストッパー124aは筒32aの内側116aを第1の室136aと第2の室140aとに分ける。
【0056】
第1の室136aは、ストッパー124aとプランジャ36aの第2の端68aとの間で筒32aの内側116a内に形成される。第2の室140aは、ストッパー124aと筒32aの内側116aの第2の端120aとの間で筒32aの内側116a内に形成される。第1の室136aは、プランジャ36aの第2の端68aのノズルを介してガス発生室88aと連結している。ストッパー124aの移動に伴い、第1の室136aは、筒32aの内側116aの長さ方向に膨張することが出来、蓄積構造を取り、それに伴って第2の室140aは縮小する。第1の室136aが蓄積構造を取る場合、第2の室140aのみ、筒32aの内側116aの第2の端120aの近くの筒32aの内側116aの内壁に接続している出口通路128aと連絡を有する。更に、第1の室136aが送出構造を取る場合、ストッパー124aが筒32aの内側116aの第2の端120aの近くに位置し、第1の室136aと出口通路128aとが連絡を有する。
【0057】
出口通路128aは、筒32a内に配置される入口144aと出口148aとそれらを連絡する通路152aを有する。出口通路128aの入口144aは、筒32aの内側116aの第2の端120aの近くで、筒32aの第1の端40aと筒32aの内側116aの第2の端120aとの間の筒32aの内側116aの側壁に配置される。出口通路128aの出口144aは、突出部52a内に配置される。通路152aは実質的に中空でチューブ状の構成を有し、筒32aの側壁に沿って入口144aから第2の端44aに向かって形成され、第2の端44aにおいて筒32aの基部を横切り、突出部52aの方向に向かって出口148aに到達する。空気ベント口132aは、入口(図示しているが符号は付していない)と出口(図示しているが符号は付していない)とそれらを連絡する筒32a内に配置された通路から成る。空気ベント132aの入口は、第2の端120aの筒32aの内側116aの基部に配置される。空気ベント132aの出口は、筒32aの内側116aの第2の端120aと筒32aの第2の端44aとの間の筒32aの側壁に配置される。空気ベント132aの通路は、実質的に中空でチューブ状の構成を有し、筒32aの基部を介して空気ベント132aの入口から第2の端44aに向い、第2の端44aにおいて筒32aの基部を横切り、空気ベント132aの出口に向うように形成されている。
【0058】
装置を可動させるには、プランジャ36aを筒32aの開口部48aに装填し、ニードル24aを筒32aの突出部52aに装着する。図9は、作動開始時の装置を示し、第1の室136aは貯蔵状態であり、ストッパー124aは筒32aの第1の端40aと通路128aの出口との間に配置され、第2の室140aは通路128aの出口とのみ通じている。スイッチ76aをオンにし、電源84aにより電気回路が形成される。電源84aは電線を介してガス発生器88aに電流を供給する。作動時では、ガス発生器88aが酸素−オゾン混合物を発生し、第2の端68aにおけるプランジャ36aのノズルを介して筒32aの内側116aの第1の室136aに放出される。図10は、第1の室136aがガス発生器88aで発生した酸素−オゾン混合物で満たされた状態を示す図で、ストッパー124aは、第1の室136a内に貯蔵された酸素−オゾン混合物による圧力で第2の端120aの方向に押される。ストッパー124aが貯蔵された酸素−オゾン混合物による圧力で筒32aの内側116aの第2の端120aの方向に押され、第1の室136aが膨張するため、第2の室140aは筒32aの内側116aに沿って縮小する。第2の室140aが縮小するため、第2の室140a内の空気は空気ベント口132aより排出される。スイッチ76aがオンの状態を続けると、ストッパー124aは筒32aの内側116aの第2の端120aの方向に移動し続け、第1の室136aは図10に示すように貯蔵状態から送出状態に変化し、第1の室136aは出口通路128aと連絡する。
【0059】
図11に示すように、第1の室136aが酸素−オゾン混合物で満たされ、送出状態となったら、スイッチ76aをオフの状態にし、装置20aから酸素−オゾン混合物を患部に送出する。ニードル24aは患者の患部組織(例えば、ヘルニア部位や他の標的部位)に挿入され、酸素−オゾン混合物が投与される。標的部位にニードル24が挿入された後、プランジャ36aのアクチュエイター72aは筒32aの内側116aの第2の端120aの方向に押し下げられ、酸素−オゾン混合物が第1の室136aから送出され、出口通路128a及びニードル24aを通じて標的部位に送出される。
【0060】
装置20aを応用した装置を図12に示し、装置20bとする。装置20bは装置20aと同じ構成要素を有するため、構成要素の符号は同じ番号で且つ添字bを付して示す。装置20aとの大きな違いは、装置20aのガス発生器88aはプランジャ36aと結合しているのに対し、装置20bのガス発生器88bは注射器28bの筒32bの外側表面に配置されていることである。
【0061】
更に、装置20aを応用した装置を図13に示し、装置20cとする。ガス発生器88の応用型で、誘電体87cから成るコロナ放電装置88cと電極89cとから成る。コロナ放電装置88cは酸化ガスを製造する。例えば、コロナ放電装置88cは、筒32cの内側116c内に酸素含有ガスを放出する。発生ガスは純粋な酸素とすることが出来る。例えば、酸素含有ガスをコロナ放電装置88cの電場を通過させることにより酸素−オゾン混合物はコロナ放電装置88cから放出される。コロナ放電装置88cの電場は、約10〜1000kHz、好ましくは20〜60kHzの周波数で、約1〜20kV,好ましくは3〜6kVの電圧で電流を流し、約15〜30℃、好ましくは20〜25℃の温度で形成する。上記の周波数および電圧(又は他のパラメータ)を供給する電源は、電源84によって供給され、これらのパラメータに従った電気信号をガス発生装置88cに発生させる。電源84cはスイッチ76cによりオン−オフされる。
【0062】
使用の際は、装置20cは図13に示す態様となる。次いで、スイッチ76cをオンにし、ガス発生器88cは電場を派生し、筒32cの内側116c内の酸素を反応させ、オゾンを発生させる。オゾン発生サイクルが確立されると、筒32cの端からオゾンを送出するためにプランジャ36cが押し下げられる。本実施態様では、プランジャ36cのストロークは、筒32cの末端に近接し且つ接触することない程度に押し下げる。
【0063】
ガス発生器88cの構成は単なる例示であって、他の形状のコロナ放電装置を使用できると理解するべきである。
【0064】
本説明において、種々の要旨および構成要素を具体的に組合せた例を示したが、開示した要旨および構成要素ならびにそれらの組合せの所望の部分構成を使用できることは、当業者にとって容易に理解できる。例えば、他の疾患についても本発明において処置可能である。また、関節、腱、靭帯などの他の部位についても処置可能である。更に、創傷部分の痛みの緩和のための治療剤による、例えば人工肛門造設術における創傷部分の治癒などにも処置可能である。また、ペースメーカーを保持する皮下嚢などの滅菌および/または痛みの緩和および/または炎症の治療、他の治療薬剤よる治療および当業者が行うと思われる治療などにおいても処置可能である。更に、治療薬剤として酸素−オゾン混合物だけでなく、当業者に公知の他の有効薬剤も使用できる。
【0065】
更に、本発明の装置は、所望の大きさや形状を取り得ると理解されるべきである。また、本発明の具体的な実施態様において、プランジャとプランジャをスライド的に受容できる中空筒を有する。ここで、装置のプランジャ及び筒は所望の補完的な大きさ及び形状を有することが出来ると考えるべきである。また、本実施態様の構成要素は種々組合せることが出来ることも明らかである。例えば、プランジャ36又はプランジャ36aの何れもが、筒32及び筒32aと組合せることが出来る。
【0066】
更に、本発明におけるガス発生器は、所望の大きさ、形状、形式を取り得ると理解すべきである。例えば、上記の実施態様において、ガス発生器としてオゾン化ゲルを有するガス発生器(例えばガス発生器88)、コロナ放電装置、電気化学的セル、UV光源などが挙げられているが、所望のガス状の治療薬剤を製造するのに適した他のガス発生装置も使用できる。
【0067】
ガス状の治療薬剤は酸化ガス又は不活性ガス或いはそれらの組合せである。
【0068】
酸化ガスとしては、酸素(O2)を含む酸化ガス、酸素とオゾン(O3)の混合物、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカル、イオン化酸素、エネルギー処理された酸素、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0069】
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、二酸化炭素およびこれらの組合せが挙げられる。
【0070】
また、ガス発生器は装置の注射器の関連する好適な場所に配置することが出来る。例えば、ガス発生器は、プランジャの第1の端と第2の端との間の任意の場所、筒の内側の第1の端と第2の端との間の任意の場所などの装置の注射器の関連する好適な場所に配置することが出来る。更に、ガス発生器は注射器の外側表面の好適な場所に配置することも出来(図12を参照)、又、注射器に接続せず連絡しているように注射器の外側に配置してもよい。
【0071】
上記の実施態様におけるアキュムレイター及び上記の実施態様における第1の室は、所望の大きさ、形状および形式を取り得ると理解すべきである。例えば、上記の実施態様において、アキュムレイターは弾性で変形可能な風船を例示したが、貯蔵状態から送出状態に変化できるのであれば、袋、コンテナー、容器、室などの他の態様も可能である。更に、本発明における第1の室は、貯蔵状態から送出状態に変化できるのであれば、如何なる構成であってもよい。また、本発明における電源は所望の大きさ、形状および形式を取り得ると理解すべきである。例えば、上記の実施態様において、電源は2つのバッテリーから成り、2つのバッテリーはプランジャの第1の端と第2の端との間のアクチュエイターに近い方にプランジャのシャフトのクロス部材の隣り同士に近接してシャフトに平行に配置されているが、他の実施態様も可能である。例えば、1つ以上のバッテリーを任意の形状で、プランジャの第1の端と第2の端との間の任意の位置、筒の第1の端と第2の端との間、注射器の外側表面などに配置することが出来る。また、注射器の外部に存在し、オゾン発生時に注射器と接続可能であるような電源であってもよい。同様に、酸素−オゾン混合物を発生させるために外部熱源を介してオゾン発生器に加熱を行うことが出来る注射器であれば、加熱部材および電源を省略することも出来る。
【0072】
更に、上記の実施態様において、出口通路は所望の大きさ、形状および形式を取り得ると理解すべきである。例えば、出口通路の入口は、筒の宇宙側の第1の端と第2の端との間の好適ないかなる場所に配置することが出来る。更に、出口通路の通路は、筒の側壁の外側に形成されていても、筒の側壁内に形成されていても、その両方に形成されていてもよい。
【0073】
更に、上記の実施態様において、空気ベント口は所望の大きさ、形状および形式を取り得ると理解すべきである。例えば、空気ベント口の入口は、筒の第2の端の筒の内側の基部の任意の好適な場所、ストッパーと筒の第2の端の間の筒の内側側壁の任意の好適な場所に配置できる。更に、空気ベント口の出口は、筒の第1及び第2の端の間の筒の側壁、筒の第2の端における筒の基部、筒の突出部などに配置することが出来る。
【0074】
以上、本発明の実施態様を記載したが、本発明の要旨を逸脱することなく、上記の実施態様について種々の変更が可能であることは明らかであり、本発明は、特許請求の範囲のみにおいて限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の治療薬剤投与装置の1実施態様を示す斜視図
【図2】図1に示す装置の蓄積状態における側面図
【図3】本発明の1実施態様である多孔質膜を使用した場合の図2のIII−IIIの点線を介して見た断面図
【図4】図2に示す装置においてアキュムレイターが膨張した蓄積状態における側面図
【図5】図4に示す装置においてアキュムレイターが更に膨張した蓄積状態における側面図
【図6】図5に示す装置においてアキュムレイターが送出状態における側面図
【図7】1gのオゾン化オリーブオイルを37℃に加熱した際に放出されるオゾンガスのグラフ
【図8】本発明の他の実施態様である治療薬剤を投与するための装置の側面図
【図9】図8に示す装置の蓄積状態における側面図
【図10】図9に示す装置の送出状態における側面図
【図11】図10に示す装置の送出状態で、プランジャの押下げを示す側面図
【図12】本発明の他の実施態様である治療薬剤を投与するための装置の側面図
【図13】本発明の他の実施態様である治療薬剤を投与するための装置の側面図
【符号の説明】
【0076】
20:装置
20a:装置
20b:装置
20c:装置
24:ニードル
24a:ニードル
28:注射器
28b:注射器
32:筒
32a:筒
32b:筒
32c:筒
36:プランジャ
36a:プランジャ
36c:プランジャ
40:第1の端
40a:第1の端
44:第2の端
44a:第2の端
48:開口部
48a:開口部
52:突出部
52a:突出部
56:出口
60:針突き部材
64:第1の端
68:第2の端
68a:第2の端
72:アクチュエイター
72a:アクチュエイター
76:スイッチ
76a:スイッチ
76c:スイッチ
80:シャフト
84:電源
84a:電源
84c:電源
87c:誘電体
88:ガス発生器
88a:ガス発生器
88b:ガス発生器
88c:コロナ放電装置
89c:電極
92:開放系容器
96:オゾン化ゲル
100:多孔質膜
104:加熱部材
108:アキュムレイター
112:孔
116a:筒32aの内側
116c:筒32cの内側
120a:第2の端
124a:可動ストッパー
128a:出口通路
132a:ベント口
136a:第1の室
140a:第2の室
144a:入口
148a:出口
152a:通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒と、当該筒の第1端に挿入され且つ当該筒の第2端から薬剤を送出するためのプランジャと、当該プランジャと当該筒のどちらかに接続し且つガス状の治療薬剤を製造するガス発生器と、当該筒中に配置され且つ当該ガス発生器から製造されるガス状の治療薬剤を蓄積できるように構成されたアキュムレイターとから成る注射器であって、当該アキュムレイターは当該筒の第2端から物質を送出できるような構成を有し、当該アキュムレイターは、製造された当該ガス状の治療薬剤の量が所定の量に達した際に、当該ガス状の治療薬剤を蓄積できるような構成から当該ガス状の治療薬剤を送出する構成に自動的に変化して、当該筒の第2端からガス状の治療薬剤を送出できるような構成を有することを特徴とする注射器。
【請求項2】
治療薬剤が約0〜10重量%のオゾンと残部が高純度酸素から成る酸素−オゾン混合ガスである請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
ガス発生器がコロナ放電オゾン発生器である請求項2に記載の注射器。
【請求項4】
アキュムレイターが筒内に内部スペースを有し、酸素を蓄積する請求項3に記載の注射器。
【請求項5】
プランジャがガス発生器に接続する電源を有し、当該電源はガス発生器に種々の電気信号を供給する請求項3に記載の注射器。
【請求項6】
更に、電源とガス発生器の間に、作動、非作動を選択できるスイッチを有する請求項5に記載の注射器。
【請求項7】
電気信号が、約10〜1000kHzの周波数である請求項5に記載の注射器。
【請求項8】
電気信号が、約30〜60kHzの周波数である請求項5に記載の注射器。
【請求項9】
電気信号の電圧が、約1〜20kVである請求項5に記載の注射器。
【請求項10】
電気信号の電圧が、約3〜6kVである請求項5に記載の注射器。
【請求項11】
注射器が滅菌処理されている請求項1に記載の注射器。
【請求項12】
酸素の周囲温度が約10〜40℃である請求項5に記載の注射器。
【請求項13】
ガス発生器が、オゾン化ゲルを貯蔵する開放系容器と加熱部材とから成り、加熱部材の作動により、酸素−オゾン混合ガスをオゾン化ゲルから放出させるようにオゾン化ゲルの温度を上昇させる請求項2に記載の注射器。
【請求項14】
オゾン化ゲルはオリーブオイルにオゾンを吹込み冷却することにより形成される請求項13に記載の注射器。
【請求項15】
オリーブのオイルの冷却が約0〜5℃で行われる請求項14に記載の注射器。
【請求項16】
治療用酸素−オゾン混合ガスを発生するオゾン発生器であって、当該オゾン発生器はプランジャ又は筒の何れかにガス発生器を固定する接続部分を有し、筒はプランジャを受け入れるための第1端とプランジャの加圧によりオゾンをプランジャから送出する第2端を有することを特徴とするオゾン発生器。
【請求項17】
ガス発生器はオゾンを貯蔵するように構成された筒内に配置されるアキュムレイターと連結しており、当該アキュムレイターは第2端に流路的な関係を有する位置に送出を行える構成を有し、当該アキュムレイターは、製造された治療用酸素−オゾン混合ガスの量が所定の量に達した際に、治療用酸素−オゾン混合ガスを蓄積できるような構成から治療用酸素−オゾン混合ガスを送出する構成に自動的に変化して、筒の第2端から治療用酸素−オゾン混合ガスを送出できるような構成を有することを特徴とする請求項16に記載のガス発生器。
【請求項18】
ガス発生器が、オゾン化ゲルを貯蔵する容器と加熱部材とから成り、加熱部材の作動により、酸素−オゾン混合ガスをオゾン化ゲルから放出させるようにオゾン化ゲルの温度を上昇させる請求項16に記載のガス発生器。
【請求項19】
ガス発生器が、電気化学的セルである請求項16に記載のガス発生器。
【請求項20】
ガス発生器が、コロナ放電装置である請求項16に記載のガス発生器。
【請求項21】
ガス発生器が、UV光源である請求項16に記載のガス発生器。
【請求項22】
注射器が使い捨てである請求項1に記載の注射器。
【請求項23】
治療薬剤がUV光および/またはコロナ放電処理された純粋酸素である請求項1に記載の注射器。
【請求項24】
ガス状治療薬剤が酸化ガスから成る請求項1に記載の注射器。
【請求項25】
酸化ガスが、酸素(О2)、オゾン(О3)を含む酸素、酸素ラジカル、水酸基ラジカル、イオン化酸素、エネルギーで処理された酸素またはこれらの組合せである請求項24に記載の注射器。
【請求項26】
ガス状治療薬剤が不活性ガスである請求項1に記載の注射器。
【請求項27】
不活性ガスが、窒素、ヘリウム、二酸化炭素またはこれらの組合せである請求項26に記載のガスセンサー部材。
【請求項28】
ガス状治療薬剤の製造方法であって、注射器の筒内に貯蔵構造を有するアキュムレイターを配置する工程と、アキュムレイター内で治療薬剤を発生する工程と、ガス状の治療薬剤の量が所定の量に達した際に、アキュムレイターが貯蔵状態から送出状態に自動的に変化する工程とから成るガス状治療薬剤の製造方法。
【請求項29】
筒と、当該筒の第1端に挿入され且つ当該筒の第2端から薬剤を送出するためのプランジャと、貯蔵状態の際に、酸素から酸化ガスを発生させるコロナ放電装置と連結した酸素を貯蔵できる構成を有するアキュムレイターから成る注射器であって、当該アキュムレイターは、製造された当該ガス状の治療薬剤の量が所定の量に達した際に、第2端からアキュムレイター内のガス状の治療薬剤を送出できるようなガス送出構成を有することを特徴とする注射器。
【請求項1】
筒と、当該筒の第1端に挿入され且つ当該筒の第2端から薬剤を送出するためのプランジャと、当該プランジャと当該筒のどちらかに接続し且つガス状の治療薬剤を製造するガス発生器と、当該筒中に配置され且つ当該ガス発生器から製造されるガス状の治療薬剤を蓄積できるように構成されたアキュムレイターとから成る注射器であって、当該アキュムレイターは当該筒の第2端から物質を送出できるような構成を有し、当該アキュムレイターは、製造された当該ガス状の治療薬剤の量が所定の量に達した際に、当該ガス状の治療薬剤を蓄積できるような構成から当該ガス状の治療薬剤を送出する構成に自動的に変化して、当該筒の第2端からガス状の治療薬剤を送出できるような構成を有することを特徴とする注射器。
【請求項2】
治療薬剤が約0〜10重量%のオゾンと残部が高純度酸素から成る酸素−オゾン混合ガスである請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
ガス発生器がコロナ放電オゾン発生器である請求項2に記載の注射器。
【請求項4】
アキュムレイターが筒内に内部スペースを有し、酸素を蓄積する請求項3に記載の注射器。
【請求項5】
プランジャがガス発生器に接続する電源を有し、当該電源はガス発生器に種々の電気信号を供給する請求項3に記載の注射器。
【請求項6】
更に、電源とガス発生器の間に、作動、非作動を選択できるスイッチを有する請求項5に記載の注射器。
【請求項7】
電気信号が、約10〜1000kHzの周波数である請求項5に記載の注射器。
【請求項8】
電気信号が、約30〜60kHzの周波数である請求項5に記載の注射器。
【請求項9】
電気信号の電圧が、約1〜20kVである請求項5に記載の注射器。
【請求項10】
電気信号の電圧が、約3〜6kVである請求項5に記載の注射器。
【請求項11】
注射器が滅菌処理されている請求項1に記載の注射器。
【請求項12】
酸素の周囲温度が約10〜40℃である請求項5に記載の注射器。
【請求項13】
ガス発生器が、オゾン化ゲルを貯蔵する開放系容器と加熱部材とから成り、加熱部材の作動により、酸素−オゾン混合ガスをオゾン化ゲルから放出させるようにオゾン化ゲルの温度を上昇させる請求項2に記載の注射器。
【請求項14】
オゾン化ゲルはオリーブオイルにオゾンを吹込み冷却することにより形成される請求項13に記載の注射器。
【請求項15】
オリーブのオイルの冷却が約0〜5℃で行われる請求項14に記載の注射器。
【請求項16】
治療用酸素−オゾン混合ガスを発生するオゾン発生器であって、当該オゾン発生器はプランジャ又は筒の何れかにガス発生器を固定する接続部分を有し、筒はプランジャを受け入れるための第1端とプランジャの加圧によりオゾンをプランジャから送出する第2端を有することを特徴とするオゾン発生器。
【請求項17】
ガス発生器はオゾンを貯蔵するように構成された筒内に配置されるアキュムレイターと連結しており、当該アキュムレイターは第2端に流路的な関係を有する位置に送出を行える構成を有し、当該アキュムレイターは、製造された治療用酸素−オゾン混合ガスの量が所定の量に達した際に、治療用酸素−オゾン混合ガスを蓄積できるような構成から治療用酸素−オゾン混合ガスを送出する構成に自動的に変化して、筒の第2端から治療用酸素−オゾン混合ガスを送出できるような構成を有することを特徴とする請求項16に記載のガス発生器。
【請求項18】
ガス発生器が、オゾン化ゲルを貯蔵する容器と加熱部材とから成り、加熱部材の作動により、酸素−オゾン混合ガスをオゾン化ゲルから放出させるようにオゾン化ゲルの温度を上昇させる請求項16に記載のガス発生器。
【請求項19】
ガス発生器が、電気化学的セルである請求項16に記載のガス発生器。
【請求項20】
ガス発生器が、コロナ放電装置である請求項16に記載のガス発生器。
【請求項21】
ガス発生器が、UV光源である請求項16に記載のガス発生器。
【請求項22】
注射器が使い捨てである請求項1に記載の注射器。
【請求項23】
治療薬剤がUV光および/またはコロナ放電処理された純粋酸素である請求項1に記載の注射器。
【請求項24】
ガス状治療薬剤が酸化ガスから成る請求項1に記載の注射器。
【請求項25】
酸化ガスが、酸素(О2)、オゾン(О3)を含む酸素、酸素ラジカル、水酸基ラジカル、イオン化酸素、エネルギーで処理された酸素またはこれらの組合せである請求項24に記載の注射器。
【請求項26】
ガス状治療薬剤が不活性ガスである請求項1に記載の注射器。
【請求項27】
不活性ガスが、窒素、ヘリウム、二酸化炭素またはこれらの組合せである請求項26に記載のガスセンサー部材。
【請求項28】
ガス状治療薬剤の製造方法であって、注射器の筒内に貯蔵構造を有するアキュムレイターを配置する工程と、アキュムレイター内で治療薬剤を発生する工程と、ガス状の治療薬剤の量が所定の量に達した際に、アキュムレイターが貯蔵状態から送出状態に自動的に変化する工程とから成るガス状治療薬剤の製造方法。
【請求項29】
筒と、当該筒の第1端に挿入され且つ当該筒の第2端から薬剤を送出するためのプランジャと、貯蔵状態の際に、酸素から酸化ガスを発生させるコロナ放電装置と連結した酸素を貯蔵できる構成を有するアキュムレイターから成る注射器であって、当該アキュムレイターは、製造された当該ガス状の治療薬剤の量が所定の量に達した際に、第2端からアキュムレイター内のガス状の治療薬剤を送出できるようなガス送出構成を有することを特徴とする注射器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−502421(P2009−502421A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525006(P2008−525006)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/028425
【国際公開番号】WO2007/015966
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508029826)アクティヴェオ・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/028425
【国際公開番号】WO2007/015966
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508029826)アクティヴェオ・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】
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