説明

泡ディスペンサ及び吐出ノズル

【課題】 薬液の供給停止時に吐出ノズルの先端部近傍に液垂れや泡垂れが生じることを抑制する。
【解決手段】 エアが混合した泡状の石鹸を吐出する吐出ノズル10を備えた泡ディスペンサ1であって、吐出ノズル10に向かって石鹸液を供給する石鹸液供給機構30と、吐出ノズルに向かってエアを供給するエア供給機構40と、両供給機構の供給作動の開始および停止をそれぞれ制御する制御ユニット50と、該制御ユニットに対し信号送信可能な手指センサSmとを備え、前記制御ユニットは、手指センサからの信号入力に基づいて、石鹸液供給機構とエア供給機構に供給作動を開始させ、第1の所定期間経過後に前記両供給機構の供給作動を停止させ、その後に、石鹸液供給機構のみを第2の所定期間だけ供給作動させる、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エアが混合した泡状の薬液を吐出供給する泡ディスペンサ、及び吐出ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手や指先などの洗浄あるいは消毒を行う等のために、例えば石鹸液や消毒液等の薬液を吐出ノズルから吐出供給するようにした薬液供給装置(所謂、薬液ディスペンサ)は、一般に良く知られている。
また、かかるディスペンサとして、使用者(ユーザ)の使用動作、具体的には、ユーザが吐出ノズルの先端近傍に手を差し出す動作などをセンサで検出して、薬液を自動的に吐出供給できるようにした自動式のディスペンサも公知であり(例えば、特許文献1参照)、公衆の手洗い設備あるいは家庭内などでも利用されている。
【0003】
更に、近年では、このようなディスペンサの一種として、薬液とエアとを混合し泡状にして吐出ノズルから吐出させるようにした、所謂、泡ディスペンサも知られており、例えば、石鹸液とエアとを混合し泡状にして吐出供給するものが幅広く普及しつつある。
【特許文献1】特開平9−14129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような泡ディスペンサでは、薬液とエアの供給条件や泡の吐出条件などによっては、吐出ノズルからの泡状薬液の吐出供給が停止された際に、吐出口の近辺に泡が残存しこれが垂れ下がる、所謂、「泡垂れ」が生じる場合がある。
【0005】
図5は、従来の泡ディスペンサのノズルユニット101の概略構成を示す断面説明図である。この図に示されるように、従来では、吐出ノズル110からの泡の吐出供給が停止された際に、吐出口114の近辺に泡が付着残存し、この泡が垂れ下がって泡垂れAwが生じる場合がある。
【0006】
この場合、吐出ノズル110の円筒状ノズル本体111の先端部分113において、先端面113fに開口した吐出口114の近傍から所定角度傾斜した一定長さの傾斜面113aが外面に設けられており、この比較的長い傾斜面113aを基端にして泡Awが長く垂れ下がっている。尚、図5において2点鎖線で示すように、前記のような傾斜面113aを設けずに、先端面113fを吐出口114の中心線に対して垂直に構成した場合には、先端面113fの面積が大きくて泡が付着し易くなるので、泡垂れAwが更に生じ易くなる。
【0007】
このような泡垂れAwが生じると、図5に示したように、ユーザが吐出ノズルの先端近傍に手指Mを差し出した際にこれを検知するセンサSmが設けられている場合には、センサSmが垂れ下がった泡Awをユーザの手指Mと誤検知してしまい、泡ディスペンサの誤作動を招くという問題がある。
また、吐出ノズル110の先端部113近傍からこのような泡Awが垂れ下がっていると、手洗い装置の見映えが悪くなり、清潔感も損なわれる。また、使用感も低下するという問題もある。
【0008】
このような問題に対して、前記吐出ノズル110とは別途にエア吹き出し専用のノズルを設けておき、泡状薬液の供給停止直後に、該エア吹き出しノズルから吐出ノズル110の先端近傍に向けてエアを吹き付けて、泡垂れAwの発生防止を図ることが考えられる。或いは、吐出ノズル110の内部に負圧を発生させる負圧発生機構を例えばノズル装置側に設けておき、泡状薬液の供給停止直後に、吐出ノズル内部を負圧状態とすることで、吐出ノズルの先端部近傍に付着する泡を吸引することが考えられる。
しかしながら、これら何れの方法においても、非常に複雑で大掛かりな機構が必要となり、コスト高で、また、実用性に欠けるという難点がある。
【0009】
尚、泡ディスペンサに限らず、通常の液体のディスペンサにおいても、特に粘度が高い液体などの場合には、吐出ノズルの先端部近傍から液が垂れ下がることがあり、泡ディスペンサの場合と同様の問題が生じる。
【0010】
この発明は、かかる技術的課題に鑑みてなされたもので、泡状の薬液の供給停止時に吐出ノズルの先端部近傍に泡垂れが生じることを抑制できる泡ディスペンサを提供し、また、吐出ノズルの先端部近傍に泡垂れや液垂れが生じることを抑制できる吐出ノズルを提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明に係る泡ディスペンサは、エアが混合した泡状の薬液を吐出する吐出ノズルを備えた泡ディスペンサであって、前記吐出ノズルに向かって薬液を供給する薬液供給手段と、前記吐出ノズルに向かってエアを供給するエア供給手段と、該エア供給手段と前記薬液供給手段の供給作動の開始および停止をそれぞれ制御する制御手段と、該制御手段に対し信号送信可能なスイッチ手段とを備え、前記制御手段は、前記スイッチ手段からの信号入力に基づいて薬液供給手段とエア供給手段に供給作動を開始させ、第1の所定期間経過後に前記両手段の供給作動を停止させ、その後に、前記薬液供給手段のみを第2の所定期間だけ供給作動させる、ことを特徴としたものである。
【0012】
この場合において、より好ましくは、前記吐出ノズルは先端面に開口した吐出口を有する筒状のノズル本体を備え、該ノズル本体の先端部分の外面には、前記先端面において前記吐出口の近傍から外方へ膨出する曲面状の膨出部と、該膨出部に連続して設けられ前記吐出口の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部とが設けられている。
【0013】
また、本発明に係る吐出ノズルは、先端面に開口した吐出口を有する筒状のノズル本体を備えた吐出ノズルであって、前記先端面において吐出口の近傍から外方へ膨出する曲面状の膨出部と、該膨出部に連続して設けられ吐出口の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部とが、ノズル本体の先端部分の外面に設けられていることを特徴としたものである。
【0014】
この場合において、前記吐出ノズルは、エアが混合した泡状の薬液を吐出口から吐出するものであっても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る泡ディスペンサによれば、薬液供給手段とエア供給手段の供給作動を停止させた後に、前記薬液供給手段のみが(第2の)所定期間だけ供給作動させられて、薬液のみが吐出ノズルから噴出される。この薬液の噴流により、泡状の薬液の供給が停止された際に吐出ノズルの先端部近傍に残存した泡を、吹き飛ばし或いは薬液の重量で落下させることができ、泡垂れが生じることを効果的に抑制できる。
【0016】
この場合において、より好ましくは、吐出ノズルのノズル本体を先端面に開口した吐出口を有する筒状に形成しておき、該ノズル本体の先端部分の外面に、先端面において吐出口の近傍から外方へ膨出する曲面状の膨出部と、該膨出部に連続して設けられ吐出口の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部とを設けたことにより、泡状の薬液の供給が停止された際に吐出ノズルの先端部近傍に残存した泡が付着する付着領域は、前記膨出部のみとなり、泡の付着面積を従来に比して大幅に狭くすることができる。しかも、この膨出部は曲面状に設定されているので、泡はその重力により曲面に沿って落下し易く、付着力が低くなる。従って、泡が長く垂れ下がることが有効に抑制される。
【0017】
また、本発明に係る吐出ノズルによれば、吐出ノズルのノズル本体を先端面に開口した吐出口を有する筒状に形成しておき、該ノズル本体の先端部分の外面に、先端面において吐出口の近傍から外方へ膨出する曲面状の膨出部と、該膨出部に連続して設けられ吐出口の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部とを設けたことにより、吐出されるべき液体または泡状体の供給が停止された際に吐出ノズルの先端部近傍に残存した液体や泡が付着する付着領域は、前記膨出部のみとなり、付着面積を従来に比して大幅に狭くすることができる。しかも、この膨出部は曲面状に設定されているので、液体や泡はその重力により曲面に沿って落下し易く、付着力が低くなる。従って、液体や泡が長く垂れ下がることが有効に抑制される。
【0018】
この場合において、エアが混合した泡状の薬液を吐出口から吐出する吐出ノズルであれば、より問題が生じ易い泡状の薬液について、吐出ノズルの先端部近傍に泡が長く垂れ下がることを有効に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、エアを混合させて泡状とした石鹸液を吐出供給する泡ディスペンサに適用した場合を例にとって、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る泡ディスペンサの薬液(石鹸液)およびエアの供給機構を概略的に示す説明図である。また、図2は前記泡ディスペンサのノズルユニットの構成を示す断面説明図である。
図1に示されるように、前記泡ディスペンサ1は、エアが混合した泡状の石鹸液を吐出する吐出ノズル10を備えたノズルユニット20と、吐出ノズル10に向かって石鹸液を供給する石鹸液供給機構30と、吐出ノズル10に向かってエアを供給するエア供給機構40とを備えている。
【0020】
前記石鹸液供給機構30は、石鹸液を蓄える所定容積の石鹸液ボトル31と、石鹸液チューブ39を介して石鹸液ボトル31内の石鹸液を吸い上げ吐出ノズル10に向かって吐出する石鹸液ポンプ33とを備えている。一方、エア供給機構40は、大気エアを吸い込んでエアチューブ49を介して吐出ノズル10に向かって吐出するエアポンプ43を備えている。
これら石鹸液ポンプ33及びエアポンプ43は共に、電気制御式の電動ポンプであり、泡ディスペンサ1の制御ユニット50に対して信号授受可能に接続されている。尚、前記制御ユニット50は、例えば、マイクロコンピュータを主要部として構成されており、泡ディスペンサ1の作動全体を実質的に統括し制御する。
【0021】
ノズルユニット20は、その先端側に吐出ノズル10のノズル本体11が取り付けられるケーシング21を備え、該ケーシング21の基端側には、石鹸液チューブ39及びエアチューブ49を挿通させたパイプ29を備えたベース部22が取り付けられている。
パイプ29を挿通した各チューブ39,49は、前記ベース部22に固定されたガイドピース23の貫通孔23h,23hを通ってケーシング20内に導かれ、二股状の接続部を有する継手24を介してノズル本体11に繋ぎ込まれる。この継手24の内部には、好ましくは、石鹸液およびエアの逆流をそれぞれ防止するために、従来公知の逆止弁機構24cが組み込まれている。
【0022】
前記ノズル本体11は、例えば2分割構造とされ、内部が中空の筒状部12とその先端に組み付けられたノズルピース13とで構成され、両者を組み立てた状態では全体として略筒状を呈している。該ノズル本体11の先端面(つまり、ノズルピース13の先端面13f)に開口するように吐出口14が設けられている。尚、ノズルピース13は、例えばネジ結合により筒状部12の前部に組み付けられる。
【0023】
ケーシング21の先端側には、ノズル本体11を取り付けるためのノズル取付具25が配設されており、このノズル取付具25には固定用スリーブ26が背面側から組み合わされる。筒状部12に固定用スリーブ26を組み合わせた上で前記ノズル取付具25に背面側から挿入し、該ノズル取付具25の前側から、筒状部12及び固定用スリーブ26に対してノズルピース13をネジ結合で組み付けることにより、ノズル本体11がケーシング21の先端側に取り付けられるようになっている。
【0024】
ノズル本体11の筒状部12及び前記継手24の内部の中空部は、石鹸液チューブ39で送給されて来た石鹸液とエアチューブ49で送給されて来たエアとが混合する混合室16を構成しており、この混合室16の下流側の中空部(つまり、筒状部12の先端側中空部およびノズルピース13の中空部)には、所定メッシュサイズの網状体17が装着されている。混合室16でエアが混合された上で吐出口14に送給される石鹸液は、前記網状体17を通って吐出されることにより泡状化が促進される。
【0025】
前記吐出ノズル10及びノズルユニット20の各構成部品は何れも、例えばステンレス鋼などの金属材料を用いて製作されることが好ましい。或いは、金属材料の代わりに、一定以上の強度および剛性を有する合成樹脂材料を用いても良い。
【0026】
本実施形態では、図3に詳しく示すように、ノズル本体11の先端部分(つまりノズルピース13の先端部分)の外面に、ノズルピース13の先端面13fにおいてノズル吐出口14の近傍から外方へ膨出する曲面状の膨出部13bが形成されており、更にこの膨出部13bに連続するようにして、ノズル吐出口14の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部13kが設けられている。この括れ部13kの終端部は、ノズルピース13の外周部に至る傾斜部13jに滑らかに繋がっている。尚、ノズル本体11は、ノズル吐出口14の中心線Lnが鉛直方向(鉛直線Lv)に対して所定角度βだけ傾斜するように、その取付姿勢が設定されている。
【0027】
前記膨出部13bは、先端面13fにおいてノズル吐出口14の極近傍から外方へ膨出しており、この膨出部13bはノズル吐出口14の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部13kに連続しているので、泡状石鹸の供給が停止された際に吐出ノズル10の先端部分に泡が残存する場合、残存した泡が付着する付着領域は実質的に前記膨出部13bの表面部のみとなり、泡の付着面積が従来(図5参照)に比して大幅に狭くなる。しかも、膨出部13bは(より好ましくは括れ部13kも)3次元的に曲面状に形成されている。
つまり、図5に示される傾斜部113aのように、正面視で直線状を呈することはなく、この正面視においても曲線状であるので、泡の付着力がより小さくなり、泡はその重力により曲面に沿って落下し易くなる。従って、従来のように泡Awが長く垂れ下がることが抑制されるのである。
【0028】
前記ノズルユニット20のケーシング21には、前記ベース部22とノズル取付具25との間に手指センサSmが取り付けられている。この手指センサSmは、ユーザ(不図示)が吐出ノズル10の先端近傍に手や指Mを差し出す動作を検出するもので、前記制御ユニット50に対して電気的に接続されており、ユーザの手指Mの差し出し動作を検出した際には、制御ユニット50に検出信号を送信する。これにより、石鹸液およびエアの供給動作が開始されるようになっている。尚、本実施形態では、前記手指センサSmが本願請求項に記載した「スイッチ手段」に相当している。
【0029】
また、前記ケーシング21には、吐出ノズル10の上方など、外部から視認し易い箇所に、石鹸液ボトル31内の残量レベルが一定以下となった場合に、例えば赤色等の警報色で点灯して知らせる液切れ表示ランプ28が取り付けられている。この液切れ表示ランプ28は、例えば発光ダイオード(LED)式のものであり、前記制御ユニット50に対して電気的に接続され、制御ユニット50からの制御信号に応じて警報色で点灯するようになっている。
【0030】
尚、石鹸液ボトル31内の残量レベルが一定以下となった場合にこれを検出するために、従来公知の残量センサ(不図示)が備えられており、この残量センサからの検出信号が制御ユニット50に送信されるようになっている。或いは、残量センサからの検出信号が前記液切れ表示ランプ28に直接に送信されるように、構成することも可能である。
【0031】
以上のように構成された泡ディスペンサ1の作動について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
システムがスタートし、まずステップS1で、手指センサSmが吐出ノズル10の先端近傍への手指Mの差し出し動作を検出することで、泡ディスペンサ1のスイッチがONされると、ステップS2で石鹸液ポンプ33が駆動され、同時にステップS5でエアポンプ43が駆動される。これにより、石鹸液およびエアの供給動作が同時に開始される。この供給動作は、供給動作が開始されてから第1設定時間が経過するまで継続して行われ(ステップS3及びステップS6)、この間、エアが混合した泡状の石鹸が吐出ノズル10から吐出供給される。尚、このステップS3及びステップS6での第1設定時間の計時は、同一のタイマを用いて行うことがより好ましい。
【0032】
そして、第1設定時間が経過すると(ステップS3及びステップS6:YES)、ステップS4で石鹸液ポンプ33の駆動が停止され、同時にステップS7でエアポンプ43の駆動が停止される。これにより、石鹸液およびエアの供給動作が同時に停止され、吐出ノズル10からの泡状石鹸の吐出供給が停止される。
【0033】
その後、ステップS8で、石鹸液ポンプ33(及びエアポンプ43)の駆動が停止されてから第2設定時間が経過したか否かが判定され、この判定結果がYESになると、ステップS9で石鹸液ポンプ33が再び駆動される。但し、エアポンプ43は再駆動されることはない。これにより、石鹸液の再度の供給動作が開始される。この再度の供給動作は、再度の供給動作が開始されてから第3設定時間が経過するまで継続して行われ(ステップS10)、この間、石鹸液のみが吐出ノズル10から吐出供給される。
【0034】
そして、第3設定時間が経過すると(ステップS10:YES)、ステップS11で石鹸液ポンプ33の駆動が停止され、1サイクルの作動を終えるようになっている。
尚、この第3設定時間および第2設定時間は、前記第1設定時間よりも短く設定されることが好ましい。また、この第1設定時間,第3設定時間が、それぞれ本願請求項に記載した「第1の所定期間」,「第2の所定期間」に相当している。
【0035】
このように、石鹸液ポンプ33とエアポンプ43の供給作動を停止させた後に、石鹸液ポンプ33のみが第3設定時間だけ供給作動させられて、石鹸液のみが吐出ノズル10から噴出される。従って、この石鹸液の噴流により、泡状石鹸の供給が停止された際に吐出ノズル10のノズルピース13の先端面13f近傍に残存した泡を、吹き飛ばし或いは石鹸液の重量で落下させることができ、泡垂れAwが生じることを効果的に抑制できるのである。
【0036】
これに加えて、本実施形態では、前述のように、ノズル本体11の先端部分(つまりノズルピース13の先端部分)の外面に、ノズルピース13の先端面13fにおいてノズル吐出口14の近傍から外方へ膨出する曲面状の膨出部13bが形成されており、更にこの膨出部13bに連続するようにして、ノズル吐出口14の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部13kが設けられている。従って泡状石鹸の供給が停止された際に吐出ノズル10の先端部分に泡が残存する場合、残存した泡が付着する付着領域の面積が従来に比して大幅に狭くなり、しかも、膨出部13bは3次元曲面状であるので、泡の付着力がより小さくなり、泡はその重力により曲面に沿って落下し易くなる。このため、従来のように泡Awが長く垂れ下がることが有効に抑制されている。
【0037】
尚、以上の説明では、泡ディスペンサは泡状の石鹸を吐出供給するものであったが、本発明は、石鹸以外の他の薬液であっても、エアが混合した泡状にして吐出供給するものであれば、他の種々の泡ディスペンサにも適用することができる。
また、泡ディスペンサに限らず、通常の液体用のディスペンサにおいても、特に粘度が高い液体などの場合には、吐出ノズルの先端部近傍から液が垂れ下がることがあり、本発明の吐出ノズルは、泡ディスペンサに限らず、通常の液体用のディスペンサにおいて液垂れの発生防止を図る上で有効である。
【0038】
このように、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や修正が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、エアが混合した泡状の薬液を吐出供給する泡ディスペンサ及び吐出ノズルに関するもので、薬液の供給停止時に吐出ノズルの先端部近傍に泡垂れや液垂れが生じることを抑制でき、例えば、泡状の石鹸を吐出供給する吐出ノズル又は泡ディスペンサとして、有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る泡ディスペンサの薬液およびエア供給機構を概略的に示す説明図である。
【図2】前記泡ディスペンサのノズルユニットの構成を示す断面説明図である。
【図3】前記ノズルユニットに取り付けられた吐出ノズルの先端部分を拡大して示す断面説明図である。
【図4】前記泡ディスペンサの作動を説明するためのフローチャートである。
【図5】従来例に係る泡ディスペンサのノズルユニットの概略構成を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 泡ディスペンサ
10 吐出ノズル
11 ノズル本体
12 筒状部
13 ノズルピース
13a 先端面
13b 膨出部
13k 括れ部
14 吐出口
20 ノズルユニット
21 ケーシング
30 石鹸液供給機構
31 石鹸液ボトル
33 石鹸液ポンプ
40 エア供給機構
43 エアポンプ
50 制御ユニット
Aw 泡
M 手指
Sm 手指センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアが混合した泡状の薬液を吐出する吐出ノズルを備えた泡ディスペンサであって、
前記吐出ノズルに向かって薬液を供給する薬液供給手段と、
前記吐出ノズルに向かってエアを供給するエア供給手段と、
該エア供給手段と前記薬液供給手段の供給作動の開始および停止をそれぞれ制御する制御手段と、
該制御手段に対し信号送信可能なスイッチ手段と、を備え、
前記制御手段は、前記スイッチ手段からの信号入力に基づいて、前記薬液供給手段と前記エア供給手段に供給作動を開始させ、第1の所定期間経過後に前記両手段の供給作動を停止させ、その後に、前記薬液供給手段のみを第2の所定期間だけ供給作動させる、
ことを特徴とする泡ディスペンサ。
【請求項2】
前記吐出ノズルは、先端面に開口した吐出口を有する筒状のノズル本体を備え、
該ノズル本体の先端部分の外面には、前記先端面において前記吐出口の近傍から外方へ膨出する曲面状の膨出部と、該膨出部に連続して設けられ前記吐出口の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部と、が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の泡ディスペンサ。
【請求項3】
先端面に開口した吐出口を有する筒状のノズル本体を備えた吐出ノズルであって、
前記先端面において前記吐出口の近傍から外方へ膨出する曲面状の膨出部と、該膨出部に連続して設けられ前記吐出口の中心側に向かって括れた曲面状の括れ部とが、前記ノズル本体の先端部分の外面に設けられていることを特徴とする吐出ノズル。
【請求項4】
前記吐出ノズルは、エアが混合した泡状の薬液を吐出口から吐出するものであることを特徴とする請求項3記載の吐出ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−212086(P2006−212086A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25423(P2005−25423)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000106106)サラヤ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】