説明

泡立て器具

【課題】容器の形状にかかわらず比較的短時間できめ細かい泡を生成することが可能な泡立て器具を提供する。
【解決手段】泡立て器具1は、複数本のワイヤー5を組み合わせてなる茶筅形状の泡立て部4の下部に、攪拌部10を設けて構成し、この攪拌部10が、予め洗面器内に混入された液状ボディソープを含むボディソープ混合液を攪拌するとともに、その攪拌により発生する泡とボディソープ混合液とを泡立て部4側に供給する。つまり、攪拌部10を泡立て部4の下部に配置しているため、洗面器のような形状の容器内にボディソープ混合液が少量だけ入れられた状態であっても、攪拌部10によって比較的きめの粗い泡の発生を促進させ、泡立て部4のワイヤー5によってこれらの泡が分断されるので、きめ細かい泡を比較的短時間で生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起泡剤を含む水溶液を泡立てるための泡立て器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、きめ細かい泡を作って、顔や手といった身体の一部を洗うことが推奨されている。その理由としては、きめ細かい泡によって、毛穴の奥など肌のすみずみまで洗浄成分が行き渡るので、洗浄効果が向上することや、きめ細かい泡の方が比較的弾力があるので、泡が肌と手との間でクッションの役割を果たし、肌への摩擦を防いでくれるため、肌に負担をかけにくいこと等といった効能が注目され始めたことにある。
【0003】
このような泡を作るためのものとしては、例えば、指にはめるリングと固形状または液体状の石鹸(ソープ)を両手ですり合わせるためのネットとを備える泡立てネットが知られている。この泡立てネットでは、使用者が水を足したソープ(水溶液)をネットで擦り付けることによって、水溶液に空気が取り込まれ、これにより発生する泡が微細な網によって分断されることによって、きめ細かい泡が生成される。
【0004】
なお、この種の泡立てネットでは、使用者がリングを指にはめた手と反対側の手でネットを絞ると、生成された泡をネットから取り出すことができるものの、一度の作業により手のひら分の泡しか取り出すことができない。このため、顔や手といった身体の一部を洗うことには適しているものの、身体全体を洗うには、複数回に分けて泡を繰り返し生成しなければならないので、その作業が煩わしくなってしまう。
【0005】
これに対して、必要量の泡を保持し得る容器と、複数本の曲線部材を組み合わせてなる茶筅形状の泡立て部とを備える泡立て器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この泡立て器具では、容器の容量に合った分を最大とするきめ細かい泡を一度の作業で生成できるので、使用者の作業負担が軽減されるものと期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−150046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の泡立て器具では、泡立て部によって水溶液を攪拌しなければならないので、容器内において泡立て部に対応する高さまで水溶液を入れる必要があり、このため容器は底面が比較的小さく、その高さが比較的高い形状に限定されてしまい、例えば洗面器のような底面が比較的大きく、高さが比較的低い形状の容器を用いることが難しいというデメリットがある。例えば、泡立て部に対応する高さに達するまで水を洗面器に入れると、必要量以上のソープを混入しなければならず、これにより、使用者にとって使い切れないほどの泡が生成し、多くの泡が無駄になってしまうことになる。
【0008】
また、従来の泡立て器具では、泡立て部が基本的にきめ細かい泡を生成するために構成されているので、水溶液の攪拌によって泡を発生させるまでに時間が比較的かかり、作業時間が長くなってしまう可能性があった。一般的に、使用者は浴室等で身体を洗う前に泡を作るので、このように作業時間が長くなると湯冷めしてしまい、ひいては温浴効果が失われてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するために、容器の形状にかかわらず比較的短時間できめ細かい泡を生成することが可能な泡立て器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載の泡立て器具は、複数本の曲線部材を組み合わせてなる茶筅形状の泡立て部を備える器具である。なお、泡立て部は、上記形状によって、きめ細かい泡を生成することが可能な部位である。
【0011】
本発明では、このような泡立て器具において、泡立て部の下部に攪拌部を設けて構成した。ここで、攪拌部は、予め容器内に混入された気泡剤を含む水溶液(使用者等によって容器内に入れられた水溶液)を攪拌するとともに、その攪拌により発生する泡(比較的きめの粗い泡)と水溶液とを泡立て部側に供給する。
【0012】
このように構成された泡立て器具では、きめ細かい泡を生成するための部位(泡立て部)と、水溶液の攪拌によって泡を発生させるための部位(攪拌部)とを分けて構成し、且つ、攪拌部を泡立て部の下部に配置しているため、洗面器のような形状の容器内に水(例えばお湯)と気泡剤(例えば液状のボディーソープ)とを少量(所定量)入れた状態であっても、まず攪拌部によって比較的きめの粗い泡を発生させることができる。
【0013】
そして、攪拌部によって発生した泡(比較的きめの粗い泡)と水溶液とが泡立て部側に供給され、泡立て部によって、水溶液が泡立てられるととともに、この泡と攪拌部から供給された泡とが曲線部材で分断されることによって、きめ細かい泡が生成される。
【0014】
したがって、本発明の泡立て器具によれば、泡立て部の下部に位置する攪拌部が比較的きめの粗い泡の発生を促進させ、泡立て部がきめ細かい泡を生成するので、ひいては容器の形状にかかわらず比較的短時間できめ細かい泡を生成することができる。
【0015】
なお、攪拌部は、泡立て部の下方に設けられて泡立て部と別体に構成されてもよいし、泡立て部の一部として泡立て部における下方側に設けられてもよい。
また、本発明の泡立て器具において、攪拌部は、容器の底面に張られた水溶液(例えば、容器内に少量入れられた水と気泡剤)を掬うための水掻き部と、水掻き部により掬われた水溶液を下方から上方に移動させる傾斜部と、傾斜部により上方に移動した水溶液に気体を取り込むことによって泡を発生させる開口部とを有する構成であってもよい。
【0016】
このように構成された泡立て器具では、攪拌部をさらに、水溶液を掬うための部位(水掻き部)と、水溶液を泡立て部に供給するための部位(傾斜部)と、泡を泡立て部に供給するための部位(開口部)とに分けて構成し、各部位が水掻き部、傾斜部、開口部の順に下方から上方に配置しているので、まず水掻き部と傾斜部とによって水溶液を確実に攪拌させることができる。
【0017】
したがって、このように構成された泡立て器具によれば、傾斜部によって攪拌した水溶液が開口部と泡立て部とに供給され、このうち開口部によって発生した泡(比較的きめの粗い泡)が泡立て部に供給されるので、このような泡と水溶液とを効率よく泡立て部に供給でき、ひいてはきめ細かい泡をより短時間で生成することができる。
【0018】
また、本発明の泡立て器具において、泡立て部の曲線部材を纏める接続部材と、接続部材に取り付けられて使用者に把持される筒状の把持部とを備える構成では、攪拌部が、把持部の中心軸に対する垂直方向に遊動可能に泡立て部に取り付けられていることが好ましい。つまり、攪拌部が泡立て部に遊嵌されているとよい。
【0019】
このような泡立て器具では、把持部の中心軸が鉛直方向となるように使用者が把持部を持ち、この把持部を支点として、当該泡立て器具における先端の部位(攪拌部、泡立て部)を振り子のように前後左右に動かすと、攪拌部が泡立て部との取り付け位置を支点として、さらに振り子のよう(ベル状)に移動する。
【0020】
したがって、このような泡立て器具によれば、攪拌部が泡立て部に固定された構成と比較して、振り子の原理を利用して使用者に少ない労力で水溶液を攪拌させることができる。また、攪拌部が水溶液を攪拌すると同時に、泡立て部が前後左右に動くことにより、泡立て部によってきめ細かい泡が生成されるので、使用者に手の動き(動作)を変更させずに済み、ひいては短時間できめ細かい泡をより容易に生成することができる。
【0021】
また、本発明の泡立て器具において、攪拌部は、泡立て部の曲線部材に囲まれて配置されていてもよい。つまり、茶筅形状の泡立て部における内側の空間部分に攪拌部が設けられてもよい。
【0022】
このような泡立て器具によれば、攪拌部が泡立て部の下部に位置し、且つ曲線部材に囲まれているため、攪拌部の動きにより発生する泡を、泡立て部側に供給する際に取りこぼしが少なくなり、これにより、曲線部材で泡が効率よく分断されるので、きめ細かい泡をより短時間で生成することができる。
【0023】
なお、本発明の泡立て器具において、攪拌部の上面には、気泡剤および水溶液の少なくとも一方を計量するための凹部が形成されていてもよい。ちなみに、凹部は、攪拌部と別体に設けられてもよい。
【0024】
これらの場合、別途計量カップ等を用意することなく、気泡剤および水溶液の少なくとも一方の分量を簡易に計ることが可能となり、気泡剤を必要量だけ使用することができるので、例えばボディソープを必要以上に使いすぎてしまうという無駄を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明が適用された第1実施形態における泡立て器具の構成を示す外観図である。
【図2】把持部が接続部材から取り外された状態を示す外観図である。
【図3】スポンジ取付部材の形態を示す外観図である。
【図4】ボディ用スポンジ器具の形態を示す分解斜視図である。
【図5】本発明が適用された第2実施形態における泡立て器具の構成を示す分解斜視図である。
【図6】泡立て部4と攪拌部10との係止状態の遷移を説明するための正面図である。
【図7】他の実施形態における泡立て器具の変形例を示す第1の外観図である。
【図8】他の実施形態における泡立て器具の変形例を示す第2の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態を図面と共に説明する。
[全体構成]
図1は、本発明が適用された第1実施形態における泡立て器具の構成を示す外観図である。なお、本実施形態の泡立て器具1は、浴室等で身体全体を洗う際に、気泡剤としての液状ボディソープがお湯に混入されてなるボディソープ混合液(水溶液に相当する)を泡立てるために使用される器具である。
【0027】
図1に示すように、泡立て器具1は、例えばプラスチック等の合成樹脂からなる攪拌部10、把持部2、及び、接続部材3と、エポキシ樹脂等の可撓性樹脂がゴムやシリコン樹脂等の弾性樹脂に被覆されてなる泡立て部4とを備えている。
【0028】
このうち、泡立て部4は、上記のように可撓性樹脂が弾性樹脂にコーティングされてなる複数本のワイヤー5(曲線部材に相当する)からなり、これらワイヤー5が組み合わされて茶筅形状となるように構成されている。そして、各ワイヤー5の先端部は、外側に凸となるように曲げ加工され、一箇所のリング部6に集束されている。
【0029】
なお、各ワイヤー5の数、線幅及び間隔(隙間幅)は、比較的きめの粗い泡を分断してきめ細かい泡を短時間で生成するように実験等で予め設定されている。例えば、ワイヤー5の数が多いほど短時間で泡を生成することができ、ワイヤー5の線幅が細いほど小さな泡を分断することができ(ひいてはきめ細かい泡を生成でき)、ワイヤー5の隙間幅が大きいほど多くの空気を取り込むことができる(ひいては泡を生成しやすくなる)。このため、ワイヤー5の隙間幅を確保しつつ、ワイヤー5の線幅を細く設定し、且つ、これら条件のもとでワイヤー5の数をなるべく多く設けることが求められる。
【0030】
接続部材3は、図2に示すように、複数のワイヤー5を纏めるように予め泡立て部4に固着された固着部7と、把持部2に着脱可能に設けられた取付部8とを有して構成されている。なお、取付部8の外周面には、筒状の部材に嵌合されるようにテーパ部が形成されていてもよいし、ネジ穴に螺合されるようにネジ部が形成されていてもよい。
【0031】
把持部2は、使用者が把持しやすいように予め設定された外径及び長さを有する筒状に形成され、その内径が取付部8に嵌合または螺合されるよう予め設定されている。さらに、把持部2の内壁には、液状ボディソープを計量するための目盛が刻まれている。なお、目盛りは、把持部2が透明色である場合には、把持部2の外壁に描かれていてもよく、この場合、把持部2の内壁にはネジ穴が形成されていてもよい。
【0032】
また、把持部2は、接続部材3の取付部8と同様の構成を有するスポンジ取付部材9(図3参照)に嵌合または螺合され、泡立て器具1以外にも、ボディ用スポンジ器具11(図4参照)において使用者に把持される部材としても用いられる。
【0033】
ちなみに、図3に示すように、スポンジ取付部材9は、二本のクシ状部材12を有して構成され、二本のクシ状部材12が、一般的なボディ用スポンジの長手方向の長さよりも大きめの長さに直線状に形成された直線タイプ(図3(a)参照)であってもよいし、比較的短い長さで先端にボディ用スポンジを引っ掛けるための引掛部を有する曲線タイプ(図3(b)参照)であってもよい。
【0034】
また例えば、ボディ用スポンジ器具11は、把持部2と、スポンジ取付部材9と、図4に示すように、スポンジ取付部材9が直線タイプの場合、一般的なボディ用スポンジが二本のクシ状部材12に突き刺された状態で、ボディ用スポンジを支持するとともにクシ状部材12の先端部を格納する格納部材13とを備えて構成される。
【0035】
[攪拌部10の構成]
図1に戻り、攪拌部10は、容器としての洗面器(図示せず)の中に所定量だけ入れられたボディソープ混合液を攪拌するとともに、その攪拌により発生する泡(比較的きめの粗い泡)とボディソープ混合液とを泡立て部4側に供給する部位であり、このような泡とボディソープ混合液とを通過させるように空間部14が内側に形成されたスカート形状を有している。なお、比較的きめの粗い泡とボディソープ混合液とが泡立て部4側に供給されると、泡立て部4によって、ボディソープ混合液が泡立てられるととともに、この泡と攪拌部10から供給された泡とが複数本のワイヤー5で分断されることによって、きめ細かい泡が生成されることになる。
【0036】
具体的には、攪拌部10は、泡立て部4のリング部6に遊嵌された断面T字状の突起部21と、突起部21を支持する十字状の支持片22と、支持片22の端部に内側から接続された筒状の接続片23と、接続片23の下端縁と一体に設けられて複数の開口を有する開口部24と、開口部24の下端縁と一体に設けられて外側及び内側に裾状に広がる傾斜部25と、傾斜部25の下端縁から外側に同心円状に突設された水掻き部26とを有している。なお、攪拌部10を構成する各部位は、水掻き部26、傾斜部25、開口部24の順に下方から上方に配置されている。但し、把持部2の中心軸を鉛直方向とし、泡立て部4に対する把持部2側を上方、泡立て部4に対する攪拌部10側を下方とする。
【0037】
このうち、水掻き部26は、洗面器の底面に張られたボディソープ混合液を掬うように実験等で予め設定された幅及び厚みを有する。
傾斜部25は、水掻き部26によって掬われたボディソープ混合液を攪拌させながら下方から上方に移動させるように外側に裾状に形成された第1の傾斜面25aと、空間部14内のボディソープ混合液を攪拌させながら下方から上方に移動させるよう内側に裾状に形成された第2の傾斜面25bとを有して構成される。
【0038】
開口部24は、その法面において所定間隔毎に複数の開口が形成されてなり、傾斜部25により上方に移動したボディソープ混合液が空気を取り込んだ状態で、これら開口を通過して比較的きめの粗い泡(大きな泡)を発生させる。なお、開口部24における開口の間隔は、少なくとも泡立て部4におけるワイヤー5の線幅よりも大きく(長く)設定されている。換言すれば、この開口の間隔は、比較的大きな泡を生成するために必要な長さに設定されている。
【0039】
このように、傾斜部25および開口部24は、攪拌により発生する泡(比較的きめの粗い泡)とボディソープ混合液とを泡立て部4に供給するように構成されている。
突起部21は、リング部6が外れないようにリング部6の径よりも大きい径を有する球状部21aと、泡立て部4のリング部6に遊嵌されるようにリング部6の径よりも小さい径を有する円柱状部21bとを有して構成される。そして、使用者が把持部2を把持して水掻き部26を例えば洗面器の底面から浮かした状態にすると、リング部6が球状部21aの下側面に係止され、その係止点を支点として攪拌部10全体がベル状に移動するようにされている。つまり、突起部21によって、攪拌部10全体が把持部2の中心軸に対する垂直方向に遊動可能に泡立て部4に接続されることになる。
【0040】
[泡立て器具の使用方法]
このように構成された泡立て器具1では、使用者が接続部材3から把持部2を取り外し、把持部2の中に液状ボディソープを入れながら所定量を計り、予め洗面器内に入れておいた少量のお湯に、その計り終わった液状ボディソープを混入する。
【0041】
そして、泡立て器具1では、使用者が再び把持部2を接続部材3に取り付けて、把持部2の上端部を摘むように持ち、水掻き部26の下面を洗面器の底から少し浮かした状態(但し、ボディソープ混合液には触れた状態)で、把持部2の上端部を支点として、泡立て部4および攪拌部10を前後左右方向に振る。すると、リング部6と球状部21aとの係止点を視点として、攪拌部10全体が把持部2の中心軸に対する垂直方向にベル状に動くことになる。
【0042】
このような動作により、水掻き部26が洗面器内のボディソープ混合液を掬うとともに、傾斜部25がボディソープ混合液を上方に押しやることで、ボディソープ混合液が攪拌され、さらに開口部24が空気を取り込むことで、比較的きめの粗い泡を生成する。また、このとき、水掻き部26および傾斜部25によって、攪拌されたボディソープ混合液と、生成した比較的きめの粗い泡とが上方に押しやられることで、泡立て部4に供給される。
【0043】
そして、泡立て部4において、複数本のワイヤー5が、空気を取り込むことで攪拌されたボディソープ混合液から泡を生成するとともに、この泡と、攪拌部10から供給された比較的きめの粗い泡とを分断するので、使用者が泡立て部4および攪拌部10を前後左右方向に振り続けると、きめ細かい泡が生成されることになる。
【0044】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の泡立て器具1によれば、泡立て部4の下方に設けられた攪拌部10が比較的きめの粗い泡の発生を促進させ、泡立て部4がきめ細かい泡を生成するので、洗面器内に少量入れられたボディソープ混合液から比較的短時間できめ細かい泡を生成することができる。
【0045】
また、泡立て器具1では、水掻き部26と傾斜部25とによって攪拌した水溶液が開口部24と泡立て部4とに供給され、開口部24によって発生した泡(比較的きめの粗い泡)が泡立て部4に供給されるので、このような泡と水溶液とを効率よく泡立て部4に供給でき、ひいてはきめ細かい泡をより短時間で生成することができる。
【0046】
さらに、泡立て器具1では、把持部2の中心軸が鉛直方向となるように使用者が把持部2を持ち、この把持部2を支点として、当該泡立て器具1における先端の部位(攪拌部10、泡立て部4)を振り子のように前後左右に動かすと、攪拌部10が泡立て部4との取り付け位置を支点として、さらに振り子のよう(ベル状)に移動する。
【0047】
したがって、泡立て器具1によれば、攪拌部10が泡立て部4に固定された構成と比較して、振り子の原理を利用して使用者に少ない労力でボディソープ混合液を攪拌させることができ、ひいては短時間できめ細かい泡をより容易に生成することができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面と共に説明する。
[全体構成]
図5は、本発明が適用された第2実施形態における泡立て器具の構成を示す分解斜視図である。なお、本実施形態の泡立て器具1は、説明の重複を避けるために、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
図5に示すように、泡立て器具1は、攪拌部10、把持部2、接続部材3、及び、泡立て部4を備えている。
このうち、攪拌部10は、内側に係止用のヒダ部が設けられたリング部31と、リング部31を支持する十字状の支持片22と、支持片22の端部に内側から接続された筒状の接続片23と、接続片23の下端縁と一体に設けられて複数の開口を有する開口部24と、開口部24の下端縁と一体に設けられて外側及び内側に裾状に広がる傾斜部25と、傾斜部25の下端縁から外側に同心円状に突設された水掻き部26とを有している。
【0050】
泡立て部4は、複数本のワイヤー5からなり、これらワイヤー5が組み合わされて茶筅形状となるように構成され、各ワイヤー5の先端部は、外側に凸となるように曲げ加工され、一箇所の開放部16に接続されている。
【0051】
また、泡立て部4は、等間隔に選ばれた複数本(本実施形態では4本)のワイヤー5において開放部16から所定長さだけ離間した各部位に接続された4本の直線状の支持片32と、各支持片32の端部に外側から接続された凹部33と、凹部33の下端面から下方に突設された突起部34とを有して構成される。
【0052】
このうち、凹部33の内壁には、液状ボディソープにお湯が足されてなるボディソープ混合液を計量するための目盛が刻まれている。なお、目盛りは、凹部33が透明色である場合には、凹部33の外壁に描かれていてもよい。
【0053】
突起部34は、攪拌部10のリング部31が外れないようにリング部31の径よりも大きい径を有する先端部34aと、リング部31に遊嵌されるようにリング部31の径よりも小さい径を有する遊嵌部34bとを有して構成される。
【0054】
さらに、先端部34aは、リング部31に嵌入されやすいように形成されたテーパ部34cと、テーパ部34cにおいて攪拌部10のリング部31に遊嵌されるようにリング部31の径よりも小さい径を有する部位の先端に設けられ、リング部31が外れないようにリング部31の径よりも大きい径を有する球状部34dとからなる。
【0055】
つまり、先端部34aは、図6に示すように、攪拌部10のリング部31の下側面が球状部34dに係止される第1の係止状態と、リング部31の下側面がテーパ部34cに係止される第2の係止状態とに遷移可能に構成されている。そして、突起部34は、リング部31が第1の係止状態ではテーパ部34cにおける下方部分に遊嵌され、使用者によってテーパ部34cが下方に押し込まれると第2の係止状態に遷移し、リング部31が第2の係止状態では遊嵌部34bに遊嵌されるように構成されている。
【0056】
このように、突起部34において、第1の係止状態では攪拌部10のリング部31の下側面が球状部34dに係止され、第2の係止状態ではリング部31の下側面がテーパ部34cに係止されるので、それぞれの係止点を支点として攪拌部10全体がベル状に移動するようにされている。
【0057】
また、第2の係止状態では、図6(b)に示すように、攪拌部10は、泡立て部4を構成する複数のワイヤー5に囲まれて配置される。これにより、泡立て部4のワイヤー5において、直線状の支持片32が接続される部位と開放部16との距離が規定されている。
【0058】
[泡立て器具の使用方法]
このように構成された泡立て器具1では、使用者が接続部材3から把持部2を取り外し、把持部2の中に液状ボディソープを入れながら所定量を計り、予め凹部33内に計量して入れておいたお湯に、その計り終わった液状ボディソープを混入する。そして、凹部33により計量されたボディソープ混合液を洗面器に入れる。
【0059】
次に、泡立て器具1では、使用者が再び把持部2を接続部材3に取り付けて、把持部2の上端部を摘むように持ち、第1の係止状態で、把持部2の上端部を支点として、泡立て部4および攪拌部10を前後左右方向に振る。すると、リング部31と球状部34dとの係止点を視点として、攪拌部10全体が把持部2の中心軸に対する垂直方向にベル状に動くことになる。
【0060】
続いて、泡立て器具1では、使用者が洗面器の底面に水掻き部26の下面を押し付けることにより、第1の係止状態から第2の係止状態に遷移させ、同様にして、泡立て部4および攪拌部10を前後左右方向に振る。すると、今度は、リング部31とテーパ部34cとの係止点を視点として、攪拌部10全体が把持部2の中心軸に対する垂直方向にベル状に動くことになる。
【0061】
これらの動作により、水掻き部26が洗面器内のボディソープ混合液を掬うとともに、傾斜部25がボディソープ混合液を斜め上方に押しやることで、ボディソープ混合液が攪拌され、さらに開口部24が空気を取り込むことで、比較的きめの粗い泡を生成する。また、このとき、水掻き部26および傾斜部25によって、攪拌されたボディソープ混合液と、生成した比較的きめの粗い泡とが斜め上方に押しやられることで、泡立て部4に供給される。
【0062】
そして、泡立て部4において、複数本のワイヤー5が、空気を取り込むことで攪拌されたボディソープ混合液から泡を生成するとともに、この泡と、攪拌部10から供給された比較的きめの粗い泡とを分断するので、使用者が泡立て部4および攪拌部10を前後左右方向に振り続けると、きめ細かい泡が生成されることになる。
【0063】
なお、泡立て器具1では、第1の係止状態での使用を省略して、はじめから第2の係止状態で使用されてもよく、この場合も上記と同様にきめ細かい泡を生成することができる。
【0064】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の泡立て器具1では、第2の係止状態において、泡立て部4内側の空間部分に攪拌部10が配置されるので、攪拌部10の動きにより発生する泡を、泡立て部4側に供給する際に取りこぼしが少なくなり、これにより、泡立て部4のワイヤー5で泡が効率よく分断されるので、きめ細かい泡をより短時間で生成することができる。
【0065】
また、泡立て器具1では、凹部33によって所定量のボディソープ混合液を計量可能に構成されているため、別途計量カップ等を用意することなく、液状ボディソープを必要量だけ使用することができるので、液状ボディソープを必要以上に使いすぎてしまうという無駄を抑えることができる。
【0066】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0067】
例えば、第2実施形態の泡立て器具1では、ボディソープ混合液を計量するための凹部33が泡立て部4に設けられているが、この構成に限定されるものではなく、凹部33が攪拌部10の上面に形成されていてもよい。なお、凹部33は、必ずしもボディソープ混合液を計量するだけのものではなく、液状ボディソープだけを計量するために用いられてもよいし、お湯の量だけを計量するために用いられてもよい。
【0068】
また、第1及び第2実施形態の泡立て器具1では、攪拌部10がベル状に遊動可能に泡立て部4に取り付けられているが、この構成に限定されるものではなく、攪拌部10が泡立て部4に固定されていてもよい。
【0069】
さらに言えば、第1及び第2実施形態の泡立て器具1では、攪拌部10の開口部24が泡立て部4と別体に設けられているが、この構成に限定されるものではなく、例えば図7に示すように、泡立て部4のワイヤー5のいくつかを延伸させて泡立て部4の下方側部位と一体に設けられてもよい。この場合、開口部24を構成するワイヤー5について、その間隔が泡立て部4のワイヤー5の間隔よりも大きく、その線幅が泡立て部4のワイヤー5の線幅よりも大きいことが好ましい。
【0070】
なお、第1及び第2実施形態の泡立て器具1では、攪拌部10が開口部24、傾斜部25、及び、水掻き部26を有して構成されているが、この構成に限定されるものではなく、例えば図8に示すように、水掻き部26を省略するとともに、開口部24に傾斜面を形成することにより、開口部24と傾斜部25との機能を一つの構成で実現してもよい。
【0071】
また、第1及び第2実施形態の泡立て器具1では、ボディソープ混合液を泡立てる器具として説明したが、その他の石鹸類を含む水溶液を泡立てる器具として、あるいは調理用器具として使用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1…泡立て器具、2…把持部、3…接続部材、4…泡立て部、5…ワイヤー、6…リング部、7…固着部、8…取付部、9…スポンジ取付部材、10…攪拌部、14…空間部、16…開放部、21…突起部、21a…球状部、21b…円柱状部、24…開口部、25…傾斜部、26…水掻き部、31…リング部、32…支持片、33…凹部、34…突起部、34a…先端部、34b…遊嵌部、34c…テーパ部、34d…球状部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の曲線部材を組み合わせてなる茶筅形状の泡立て部を有する泡立て器具において、
前記泡立て部の下部には、予め容器内に混入された起泡剤を含む水溶液を攪拌するとともに、該攪拌により発生する泡と前記水溶液とを前記泡立て部側に供給する攪拌部が設けられていることを特徴とする泡立て器具。
【請求項2】
前記攪拌部は、
前記容器の底面に張られた前記水溶液を掬うための水掻き部と、
前記水掻き部により掬われた水溶液を下方から上方に移動させる傾斜部と、
前記傾斜部により上方に移動した水溶液に気体を取り込むことによって泡を発生させる開口部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の泡立て器具。
【請求項3】
前記泡立て部の曲線部材を纏める接続部材と
前記接続部材に取り付けられて使用者に把持される筒状の把持部と、
を備え、
前記攪拌部は、前記把持部の中心軸に対する垂直方向に遊動可能に前記泡立て部に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の泡立て器具。
【請求項4】
前記攪拌部は、前記泡立て部の曲線部材に囲まれて配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の泡立て器具。
【請求項5】
前記攪拌部の上面には、前記起泡剤および前記水溶液の少なくとも一方を計量するための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の泡立て器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−130407(P2012−130407A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283087(P2010−283087)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(310021607)
【Fターム(参考)】