説明

波面補償付眼底撮影装置

【課題】 波面収差が補正された状態の良好な眼底画像を撮影できる。
【解決手段】 被検眼眼底からの反射光を受光して眼底像を撮像する眼底撮像光学系と、眼底撮像光学系の光路中に配置され、入射光の波面を制御して被検眼の波面収差を補償する波面補償デバイスと、被検眼眼底に向けて測定光を投光し、その眼底からの反射光を波面センサにより検出する波面収差測定光学系と、波面補償デバイスにおいて収差補正制御が有効な有効領域と,波面収差測定光学系によって波面収差が測定される波面測定領域と,の間の光軸に直交する方向に関するずれが補正されるように、波面補償デバイスを制御する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の波面収差を補正した状態で被検眼の眼底像を撮影する波面補償付眼底撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャックハルトマンセンサーなどの波面センサを用いて眼の波面収差を検出し、その検出結果に基づいて波面補償デバイスを制御し、波面補償後の眼底画像を細胞レベルで撮影する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような装置は、被検眼と装置との位置合わせの完了後、眼の波面収差の検出と、その検出結果に基づく波面補償制御を繰り返し行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−507258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、位置あわせの完了後において、被検眼の固視状態が十分に保持されず、良好な眼底画像が得られない場合がある。
【0005】
図6(a)は、固視がずれた状態の波面センサの受光結果を示す例である。例えば、波面センサ上には、波面補償デバイスによる有効領域62が設定されており、ハルトマン像61が形成されていない領域Sにおいては、波面の状態が検出されない。このように波面測定データの一部が欠損している場合(図6(a)参照)、波面全体の情報が得られないため、波面補正領域における波面収差が適正に測定されない。そして、このような状態で得られた検出結果に基づいて波面補償制御が行われた場合、波面補償デバイスは誤った収差補償量にて制御されてしまう。
【0006】
固視がずれた場合、測定を中断し、顎台と額当ての位置を調整することによって、位置あわせの再調整を行う必要があるため、検者は常にこの位置あわせを気にする必要があり、手間であった。
【0007】
本発明は、上記問題点を鑑み、波面収差が補正された状態の良好な眼底画像を撮影できる波面補償付眼底撮影装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0009】
(1) 被検眼眼底からの反射光を受光して眼底像を撮像する眼底撮像光学系と、前記眼底撮像光学系の光路中に配置され、入射光の波面を制御して被検眼の波面収差を補償する波面補償デバイスと、被検眼眼底に向けて測定光を投光し、その眼底からの反射光を波面センサにより検出する波面収差測定光学系と、前記波面補償デバイスにおいて収差補正制御が有効な有効領域と,前記波面収差測定光学系によって波面収差が測定される波面測定領域と,の間の光軸に直交する方向に関するずれが補正されるように、前記波面補償デバイスを制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2) 前記有効領域と前記波面測定領域との間の光軸に直交する方向に関するずれ情報を検出する検出手段と、前記検出手段により検出されるずれ情報が許容範囲内を外れた場合に、前記ずれ情報が許容範囲内に収まるように、前記有効領域の位置を調整する制御手段である(1)の波面補償付眼底撮影装置。
(3) 前記制御手段は、前記有効領域の位置を調整する場合、位置を調整する前の第1有効領域において用いられた収差補正状態を用いて、位置を調整した後の第2有効領域での収差補正制御を行うことを特徴とする(2)の波面補償付眼底撮影装置。
(4) 前記制御手段は、前記第2有効領域への調整後、収差検出と、その検出結果に基づく波面補償制御と、と繰り返すフィードバック制御を行う(3)の波面補償付眼底撮影装置。
(5) 前記検出手段は、前記ずれ情報として、前記波面センサ上に設定された前記波面補償デバイスの有効領域と前記波面センサによる眼底反射光束の受光領域とのずれ情報を検出する検出手段である(2)〜(4)のいずれかの波面補償付眼底撮影装置。
(6) 被検眼の前眼部正面像を観察する観察光学系と、前記観察光学系により撮像された前眼部正面像から瞳孔位置を検出する瞳孔検出手段と、を備え、前記検出手段は、前記ずれ情報として、前記瞳孔検出手段によって検出された瞳孔位置と,波面収差検出光学系の光軸とのずれ情報を検出する検出手段である(2)〜(4)のいずれかの波面補償付眼底撮影装置。
(7) 前記瞳孔検出手段は、前記観察光学系により撮像された前眼部正面像から、瞳孔外縁部を画像処理により抽出し、抽出された前記外縁部に基づいて、瞳孔位置を検出する(6)の波面補償付眼底撮影装置。
(8) 被検眼に対してアライメント光を投光し、角膜周辺にアライメント指標を形成させるアライメント指標投光光学系と、角膜周辺に形成されたアライメント指標を検出するアライメント指標検出光学系とを備え、前記瞳孔検出手段は、前記アライメント指標検出光学系による検出結果に基づいて、瞳孔位置を検出する(6)の波面補償付眼底撮影装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記問題点を鑑み、波面収差が補正された状態の良好な眼底画像を撮影できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の眼底撮影装置の外観図を示しており、本装置は、基台510と、顔支持ユニット600と、撮影部500を備える。顔支持ユニット600は、基台510に取り付けられている。撮影部500には、後述する光学系が収納されており、基台510の上に設けられている。顔支持ユニット600には、顎台610が設けられている。顎台610は、図示無き顎台駆動手段の操作により、顔指示ユニット600の基部に対して左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)及び前後方向(Z方向)に移動される。
【0012】
図2は、本実施形態の眼底撮影装置の光学系を示した模式図である。本実施形態の眼底撮影装置は、大別して、眼底撮像光学系100と、波面収差検出光学系(以下、収差検出光学系と記載する。)110と、収差補償ユニット10,72と、第2撮影ユニット200と、トラッキング用ユニット(位置検出部)300を備える。
【0013】
眼底撮像光学系100は、被検眼Eの眼底からの反射光を受光して被検眼の眼底像を撮像する。収差検出光学系(収差測定光学系)110は、波面センサ73を有し、被検眼眼底に測定光を投光し、その眼底からの反射光を波面センサ73にて指標パターン像として受光(検出)する。収差補償ユニット10,72は、被検眼の収差を補正するために眼底撮像光学系100に配置される。第2撮影ユニット200は、眼底撮像光学系100で得られる眼底画像(以下、第1眼底画像と記す)の撮影位置を指定するための眼底の観察画像(以下、第2眼底画像と記す)を得る。
【0014】
ここで、眼底撮像光学系100は、被検眼Eの眼底を高解像度(高分解能)・高倍率で撮影する。また、収差補償ユニットは、被検眼の低次収差(視度:例えば、球面度数)を補正するための視度補正部10と、被検眼の高次収差を補正するための高次収差補償部(波面補償デバイス)72と、に大別される。
【0015】
眼底撮像光学系100は、被検眼Eに照明光(照明光束)を照射し眼底を2次元的に照明する第1照明光学系100aと、眼底に照射された照明光の反射光(反射光束)を受光して第1眼底画像を得るための第1撮影光学系100bと、収差補償部72と、を備える。眼底撮像光学系100は、例えば、共焦点光学系を用いた走査型レーザ検眼鏡の構成とされる。
【0016】
第1照明光学系100aは、光源1(第1光源)、走査部15を有する。光源1は、被検眼に視認されにくい近赤外域の照明光が用いられ、眼底を照明するための照明光を出射する。本実施形態では光源1は、波長840nmのSLD(Super Luminescent Diode)光源が用いられる。なお、光源としては、収束性の高い特性を持つスポット光を出射するものであればよく、例えば、半導体レーザ等であってもよい。走査部15は、照明光(スポット光)を眼底上で水平方向(X方向)に走査する。
【0017】
はじめに、第1照明光学系100aを説明する。第1照明光学系100aは、光源1から眼底に到るまでの光路において、レンズ2、偏光ビームスプリッタ(PBS)4、凹面ミラー6、凹面ミラー7、平面ミラー8、波面補償デバイス72、凹面ミラー11、凹面ミラー12、走査部15、凹面ミラー16、凹面ミラー17を備える。そして、さらに、平面ミラー21、レンズ22、平面ミラー23、視度補正部10、平面ミラー25、凹面ミラー26、偏向部400、ダイクロイックミラー90、凹面ミラー31、平面ミラー32、平面ミラー33、凹面ミラー35が配置される。視度補正部10は、平面ミラーとレンズからなる。偏向部400は、光源1から出射された照明光を眼底上で垂直方向(Y方向)に走査する。さらに、偏向部400は、2次元状に走査される照明光の走査位置を補正する。ダイクロイックミラー90は、第2撮影ユニット200等の光路を第1照明光学系100aと略同軸にする。
【0018】
光源1から出射された照明光は、レンズ2により平行光とされた後、PBS4を介する。照明光は、本実施形態においては、PBS4によりS偏光成分のみの光束とされる。PBS4を経た照明光は、ビームスプリッタ(BS)71を介し、凹面ミラー6、凹面ミラー7及び平面ミラー8にて反射され、波面補償デバイス72に入射する。波面補償デバイス72にて反射した照明光は、BS75を介し、凹面ミラー11、凹面ミラー12にて反射され、走査部15に向かう。
【0019】
走査部15は、ここでは、眼底でX方向に照明光を走査する。本実施形態では、照明光を眼底にて水平方向(X方向)に偏向させ走査するための偏向部材となるレゾナントミラーと、ミラーを駆動する駆動部を備える。走査部15を経た照明光は、凹面ミラー16、凹面ミラー17、平面ミラー21で反射され、レンズ22にて集光される。そして、照明光は、平面ミラー23にて反射される。照明光は、視度補正部10を介して、平面ミラー25、凹面ミラー26、にて反射され、偏向部400に向かう。なお、視度補正部10は、駆動部10aを有し、平面ミラー及びレンズが図示する矢印方向に移動することにより、光路長を変えることができ、視度補正の役目を果たしている。なお、視度補正部10は、駆動部と、駆動部の駆動によって光軸方向に移動可能なプリズムからなる構成であってもよい。
【0020】
偏向部400は、眼底でXY方向に照明光を走査する。本実施形態では、X走査用のガルバノミラーと、Y走査用のガルバノミラーからなる2枚のガルバノミラーにより構成されている。偏向部400を経た照明光は、ダイクロイックミラー90、凹面ミラー31、平面ミラー32、平面ミラー33、及び凹面ミラー35にて反射され、被検眼Eの眼底に集光し、走査部15及び偏向部400によって眼底上を2次元的に走査することとなる。
【0021】
また、ダイクロイックミラー90は、後述する第2撮影ユニット200、及びトラッキング用ユニット300、からの光束を透過させ、光源1及び後述する光源76からの光束を反射させる特性を持つ。なお、光源1及び光源76の出射端と被検眼Eの眼底とは共役とされている。このようにして、照明光を眼底に2次元的に照射する第1照明光学系100aが形成される。
【0022】
トラッキング用ユニット300は、撮影される被検眼Eの固視微動等による位置ずれの経時変化を検出し、移動位置情報を得る。トラッキング用ユニット300では、トラッキング開始時に得られた受光結果を基準情報として制御部80に送っておき、その後、1走査毎に得られる受光結果(受光情報)を逐次、制御部80に送信する。制御部80は基準情報に対してその後に得られた受光情報を比較し、基準情報と同じ受光情報が得られるように、移動位置情報を演算により求める。制御部80は求めた移動位置情報に基づいて偏向部400を駆動させる。このようなトラッキングを行うことにより、被検眼Eが微動してもその動きが相殺されるように偏向部400の駆動が行われるため、モニタ70に表示される眼底画像の動きは抑制されることとなる。また、ダイクロイックミラー91は、第2撮影ユニット200からの光束を透過させ、トラッキング用ユニット300からの光束を反射させる特性を持つ。
【0023】
次に、第1撮影光学系100bを説明する。第1撮影光学系100は、第1照明光学系100aにて説明したダイクロイックミラー90からBS71までの光路を共通とし、さらに平面ミラー51、PBS52、レンズ53、ピンホール板54、レンズ55、受光素子56を含む。なお、本実施形態では、受光素子56はAPD(アバランシェフォトダイオード)が用いられている。ピンホール板54は、眼底と共役な位置に置かれる。
【0024】
光源1から出射された照明光における眼底からの反射光は、前述した第1照明光学系100aを逆に辿り、BS71、平面ミラー51で反射され、PBS52にてS偏光の光だけ透過される。この透過光は、レンズ53を介してピンホール板54のピンホールに焦点を結ぶ。ピンホールにて焦点を結んだ反射光は、レンズ55を経て受光素子56に受光される。なお、照明光の一部は角膜上で反射されるが、ピンホール板54により大部分が除去され、角膜反射の画像への悪影響が低減される。このため、受光素子56は、角膜反射の影響を抑えて、眼底からの反射光を受光できる。
【0025】
このようにして、第1撮影光学系100bが形成される。第1撮影光学系100bで受光された処理された画像が第1眼底画像となる。1フレームの第1眼底画像は、走査部15の主走査と、偏向部400に設けられたY走査用のガルバノミラーの副走査によって形成される。なお、第1撮影ユニット100で取得する眼底画像(眼底像)の画角が所定の角度となるように走査部15及び偏向部400におけるミラーの振れ角(揺動角度)を定める。ここでは、眼底の所定の範囲を高倍率で観察、撮影する(ここでは、細胞レベルでの観察等をする)ために、画角を1度〜5度程度とする。本実施形態では、1.5度とする。被検眼の視度等にもよるが、第1眼底画像の撮影範囲は、500μm角程度とされる。
【0026】
さらに、偏向部400に設けられたX走査用のガルバノミラーとY走査用のガルバノミラーの反射角度が第1眼底眼底像の撮像画角より大きく移動されることによって、眼底上における第1眼底画像の撮像位置が変更される。
【0027】
次に、第2撮影ユニット200を説明する。第2撮影ユニットは、第1撮影ユニットの画角よりも広画角の眼底画像(第2眼底画像)を取得するためのユニットであり、取得される第2眼底画像は、前述した狭画角の第1眼底画像を得るための位置指定、及び位置確認用の画像として用いられる。このような第2眼底画像を取得するための第2撮影ユニット200は、被検眼Eの眼底画像を観察用として広画角(例えば20度〜60度程度)でリアルタイムに取得できればよい。したがって第2撮影ユニット200は、既存の眼底カメラの観察・撮影光学系や走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)の光学系、及び制御系を用いることができる。
【0028】
次に、収差検出光学系110について説明する。前述のように、収差検出光学系110は、一部の光学素子を第1照明光学系100aの光路上に持ち、第1照明光学系100aと光路を一部共用している。収差検出光学系110は、光源76、レンズ77、PBS78、BS75、BS71、ダイクロイックミラー86、PBS85、レンズ84、平面ミラー83、レンズ82、波面センサ73を含む。そして、収差検出光学系110は、第1照明光学系100aの光路上に置かれるBS71から凹面ミラー35までの光学部材を共用することにより構成されている。
【0029】
波面センサ73は、例えば、多数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイを透過した光束を受光させるための二次元撮像素子73a(2次元受光素子)からなる。また、収差検出用光源(第3光源)である光源76は、光源1と異なる赤外域の光を発する光源とされる。本実施形態では光源76は波長780nmのレーザ光を出射するレーザダイオードを用いている。
【0030】
光源76から出射したレーザ光は、レンズ77により平行光束とされ、PBS78により光源1からの照明光と直交する偏光方向(P偏光)とされ、BS75により第1照明光学系の光路に導かれる。なお、光源76の出射端はこの眼底共役位置と共役な関係とされる。PBS78は、光源76から出射された光を所定の偏光方向とする役割を持ち、波面補償部が備える第1偏光手段の役割を持つ。
【0031】
BS75により反射したレーザ光は、第1照明光学系100aの光路を経て被検眼Eの眼底に集光される。眼底で反射されたレーザ光は、第1照明光学系100aの各光学部材を経て波面補償デバイス72にて反射し、BS71により第1照明光学系100aの光路から外れ、ダイクロイックミラー86によって反射され、PBS85、レンズ84、平面ミラー83、レンズ82を経て波面センサ73へと導かれる。
【0032】
PBS85は、波面補償部に備えられた第2偏光手段であり、光源76から眼Eに照射された光の偏光方向(P偏光光)を遮断し、この偏光方向に直交する偏光方向(S偏光光)を透過し、波面センサ73へと導光する役割を持つ。なお、ダイクロイックミラー86は、光源1の波長の光(840nm)を透過し、収差検出用の光源76の波長の光(780nm)を反射する特性とされる。従って、波面センサ73では、照射したレーザ光の眼底での散乱光のうちS偏光成分を持つ光が検出される。このようにして、角膜や光学素子で反射される光が波面センサ73に検出されることを抑制している。
【0033】
走査部15、波面補償デバイス72の反射面、及び波面センサ73のマイクロレンズアレイは、被検眼の瞳と略共役とされる。また、波面センサ73の受光面は被検眼Eの眼底と略共役とされる。波面センサ73には、低次収差及び高次収差を含む波面収差が検出できる素子、例えば、ハルトマンシャック検出器や光強度の変化を検出する波面曲率センサ等を用いる。
【0034】
また、波面補償デバイス72は、例えば、液晶空間光変調器とし、反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を用いるものとしている。そして、波面補償デバイス72は、眼底撮像光学系100の光路中に配置され、入射光の波面を制御して被検眼の波面収差を補償する。なお、波面補償デバイス72は、光源1からの照明光(S偏光光)、照明光の眼底での反射光(S偏光光)、波面収差検出用光の反射光(S偏光成分)等の所定の直線偏光(S偏光)に対して収差を補償することが可能な向きに配置される。これにより、波面補償デバイス72は、入射する光のS偏光成分を変調できる。
【0035】
波面補償デバイス72は、その液晶層内の液晶分子の配列方向が入射する反射光の偏光面と略平行であり、さらに、液晶分子が液晶層への印加電圧の変化に応じて回転する所定の面が、波面補償デバイス72に対する眼底からの反射光の入射光軸及び反射光軸と、波面補償デバイス72が持つミラー層の法線と、を含む平面に対して略平行になるように、配置されている。
【0036】
なお、本実施例においては、波面補償デバイス72は、液晶変調素子とし、反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を用いるものとしているが、これに限るものではない。反射型の波面補償デバイスであればよい。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の一形態であるデフォーマブルミラーを用いてもよい。また、反射型の波面補償デバイスではなく、眼底からの反射光を透過させて波面収差を補償するような透過型の波面補償デバイスを用いることもできる。
【0037】
なお、以上の説明では、収差検出用光源として、第1光源とは異なる波長の照明光を出射する光源を用いたが、第1光源を収差検出用光源として用いてもよい。
【0038】
なお、以上説明した本実施形態では、波面センサ及び波面補償デバイスを被検眼の瞳共役としたが、被検眼の前眼部の所定部位と略共役な位置であればよく、例えば、角膜共役であってもよい。
【0039】
次に、眼底撮影装置の制御系を説明する。図3は、本実施形態の眼底撮影装置の制御系を示したブロック図である。装置全体の制御を行う制御部80には、光源1、駆動機構505、走査部15、受光素子56、波面補償デバイス72、波面センサ73、光源76、第2撮影ユニット200、トラッキング用ユニット300、偏向部400、駆動部10a、が接続される。また、記憶部81、コントロール部92、画像処理部93、モニタ70、が接続される。
【0040】
画像処理部93は受光素子56、第2撮影ユニット200にて受光した信号に基づきモニタ70に画角の異なる被検眼眼底の画像、つまり、第1眼底画像及び第2眼底画像を形成する。記憶部81には種々の設定情報や撮影画像が保存される。なお、モニタ70には、例えば、外部のパ−ソナルコンピューターのモニタや装置に備えられているモニタが考えられる。モニタ70には、所定のフレームレートにて更新される眼底画像(第1眼底画像、及び第2眼底画像)が表示される。フレームレートとしては、例えば、10〜100Hzとされる。このようにして、動画として眼底画像が表示される。本実施形態では、制御部80は、モニタ70の表示制御部、偏向部400の駆動制御部、光源1、76等の出射制御部の機能を兼ねる。
【0041】
なお、波面補償デバイス72を制御する場合、波面センサ73で検出された波面収差に基づいて、波面補償デバイス72が制御され、光源76の反射光のS偏光成分と共に、光源1から出射される照明光とその反射光の高次収差が取り除かれる。このようにして、光源1から出射された照明光とその反射光が持つ収差が取り除かれる。言い換えると、被検眼Eの高次収差が取り除かれた(波面補償された)高解像度の第1眼底画像が得られることとなる。この場合、視度補正部10によって低次収差が補正される。
【0042】
図4は、波面センサの補償可能領域と有効領域について説明する図である。補償可能領域40は、波面補償デバイス72において、入射光の波面を制御可能な領域を示している。有効領域41は、補償可能領域40内において、波面センサ73からの検出信号に基づく波面補償デバイス72のフィードバック制御によって収差補正が有効である領域を示している。本実施形態においては、補償可能領域40は、16×12mmの大きさであり、有効領域41は、φ8.64mmの大きさである。補償可能領域40の大きさは、有効領域41の大きさよりも十分な範囲の大きさであるため、有効領域41の位置・大きさ・形状の少なくともいずれかを補償可能領域40内において変更できる(詳しくは後述する)。
【0043】
図5は、波面センサの補償可能領域上における指標パターン像と有効領域の具体例について説明する図である。図6はモニタ70の画面上に表示された収差補正画面60を示した図である。収差補正画面60には、波面センサ73の二次元撮像素子73aに受光された指標パターン像(本実施例においては、ハルトマン像とし、以下、ハルトマン像と記載する)61と、収差補正の補正度合(残存収差)をグラフィック表示した収差補正グラフィック65と、実際に撮影されている眼底の細胞像画像66と、が表示されている。
【0044】
ハルトマン像(ドットパターン像)61は、波面センサ73上に受光された複数の点像61aの集まりを示す。レンズアレイを通過した眼底反射光は、波面センサ73の二次元撮像素子73aに受光され、ハルトマン像として撮像される。そして、ハルトマン像61は、モニタ70上に表示される。なお、波面センサ73によって点像61aが検出された領域では、収差検出が可能である。
【0045】
円62は、二次元撮像素子73a上において、波面補償デバイス72によって収差補正が有効である有効領域を仮想的に示したものである。そして、円62に対応するグラフィックが、モニタ70上のハルトマン像に重合されて表示される。円62の中心に位置するマークは、波面センサ73上における有効領域の中心位置を示すグラフィックである。
【0046】
そして、円62の外周、領域、波面センサ73上におけるその位置情報が予め記憶部81に設定されている。これらは、キャリブレーション又はシミュレーションなどにより予め求めておけばよい。なお、波面補償デバイス72において、有効領域は、入射光全体の内、ある一部の領域(例えば、瞳孔上における直径6mm領域)の光束に制限される。このため、他の入射光については、受光素子54に向けて反射されるが、波面は補償されない。
【0047】
ここで、収差補正は、波面センサ73による収差検出結果に基づいて行われる。すなわち、円62の領域内においてハルトマン像61が形成された領域では、波面の状態が検出可能である(図5(b)参照)。一方、円62の領域内において、ハルトマン像61が形成されていない領域Sにおいては、波面の状態が検出されない。ここで、波面データの一部が欠損している場合、波面全体の情報が得られないため、波面補正領域における波面収差が適正に測定されない(図5(a)参照)。よって、図6(a)に示すように、収差補正が実行されても、収差補正グラフィック65に示されるように適正に収差が除去されない。また、細胞像画像66に示されるように撮影が困難となる。
【0048】
以上のような構成の眼底撮影装置において、その動作を図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0049】
検者により、初めに、モニタ70の画面上に表示された図示無き前眼部画像を観察しながら、顎台610の位置調整を手動又は自動にて行い、粗くアライメントを行う。また、検者は、被検者が図示無き固視標を固視するように指示する。
【0050】
顎台610による粗いアライメントが完了し、検者により図示無き測定スイッチが選択されると、制御部80により、視度補正部10を用いて視度補正が行われ、次いで、収差補正に必要な波面検出を行う。
【0051】
次に、制御部80は、波面センサ73上に設定された波面補償デバイス72の有効領域(例えば、円62)と波面センサ73による指標パターン像(例えば、ハルトマン像61)の受光領域(波面測定領域)とのずれ情報を検出する。そして、制御部80は、顎台610の位置調整を手動又は自動にて行う。他の構成として、撮影部500を眼Eに対して移動可能な構成を設けた場合、制御部80は、ずれ情報が許容範囲内に収まるように撮影部500を移動させてもよい。
【0052】
例えば、制御部80は、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域内に収まっているか判定をする。そして、制御部80は、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域から外れている場合、眼Eと撮影部500との相対位置を調整する。一方、制御部80は、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域内に収まっている場合に、波面センサ73の検出結果に基づいて被検眼Eの波面収差を検出するとともに、眼底撮像光学系100による眼底撮影を開始する。
【0053】
制御部80は、その収差の検出結果に基づいて、収差補償量を算出し、その算出結果を用いて、波面補償デバイス72の有効領域41を制御し、波面収差を補償する。そして、制御部80は、波面センサ73から出力されるハルトマン像を新たに取得し、波面収差を検出する。そして、その収差検出結果に基づいて、収差補償量を算出し、その算出結果を用いて、波面補償デバイス72の有効領域41を制御し、波面収差を補償する。以上のように、制御部80は、収差検出と、その結果に基づく波面補償の制御と、を繰り返すフィードバック制御を行う。
【0054】
例えば、LCOSの場合、波面センサ73による波面収差の検出と、この検出結果に基づくLCOSの位相パターンの算出と、この算出結果に基づくLCOSの各画素への電圧印加と、を含むループ処理において補償用位相パターンはフィードバック制御される。これにより、波面収差の検出に基づいてLCOSの液晶層の屈折率が随時変化され、眼底反射光の波面の歪みが補正される。
【0055】
また、デフォーマブルミラーの場合、波面センサ73による波面収差の検出と、この検出結果に基づくミラー形状の算出と、この算出結果に基づくデフォーマブルミラーの各駆動部への電圧印加と、を含むループ処理においてミラー全体の形状はフィードバック制御される。これにより、波面収差の検出に基づいて、ミラー全体の形状が随時変化され、眼底反射光の波面の歪みが補正される。
【0056】
上記のフィードバック制御は、波面収差が補償される間に、同時に取得されている眼底動画像に反映される。すなわち、上記のように、フィードバック制御を行うことにより、眼底反射光の波面が補償されていくため、眼底動画像のぼけを減らすことができる。したがって、被検眼の固視状態や位置の変化によって、眼底撮影装置に対する被検眼の収差状態が変化しても、鮮明な眼底像を得ることができる。
【0057】
なお、フィードバック制御は、撮影終了時まで行われる。また、フィードバック制御が行われ、眼底動画像を取得している間に、所定のトリガ信号が出力されると、そのときに取得された眼底の細胞像が動画像又は静止画像として記憶部81に記憶される。
【0058】
ここで、位置合わせを調整した後においても、例えば、被検眼Eの固視状態が十分に保持できない等の理由により、被検眼Eと装置間で位置ずれが生じ、実際に波面を測定している波面測定領域(ハルトマン像外周61bの成す領域)が波面補償デバイス72の有効領域41(円62の成す領域)を制御するのに必要な領域から外れてしまう可能性がある。この場合、有効領域41(円62の成す領域)の制御に必要な波面情報が十分に得られない。
【0059】
そこで、波面測定領域と波面補償デバイスの有効領域にずれが生じた場合、制御部80は、波面補償デバイス72において収差補正制御が有効な有効領域41と収差測定光学系110によって波面収差が測定される波面測定領域との間の光軸に直交する方向に関するずれが補正されるように、波面補償デバイス72を制御する。例えば、制御部80は、有効領域41と波面測定領域との間の光軸に直交する方向に関するずれ情報を検出する。そして、制御部80は、検出されたずれ情報が許容範囲内を外れた場合に、ずれ情報が許容範囲内に収まるように、有効領域41の位置を調整する。
【0060】
具体的に説明すると、初めに、制御部80は、波面センサ73で受光されたハルトマン像61の内で最も外側で受光された点像位置を順に検出していきハルトマン像外周61bの位置情報を検出する。これにより、ハルトマン像61の検出領域(波面測定領域)が求められる。
【0061】
次いで、制御部80は、ハルトマン像外周61bの位置情報と円62(有効領域)の位置情報を比較して、その比較結果に基づいて波面測定領域が有効領域を満たしているかを判定する。これにより、眼Eの収差を補正できるか否かが判定される。
【0062】
より具体的には、制御部80は、ハルトマン像外周61bに囲まれた領域(点線参照)と円62に囲まれた領域を比較する。ここで、制御部80は、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域内に収まっている場合には、十分である(OK)と判定する(図5(b)参照)。また、制御部80は、円62の成す領域が外周61bの成す領域内に収まっていない場合には、不十分である(NG)と判定する(図5(a)参照)。
【0063】
制御部80は、NGと判定すると、ハルトマン像61の外周61bの成す領域内に円62の成す領域が入るように、波面補償デバイス72を制御し、波面補償デバイス72の補償可能領域40内で有効領域41を変更させる。補償可能領域40は、入射光の波面を制御(移動、拡大等)可能な領域であるため、入射光の波面を制御する位置を変更することによって、補償可能領域64内において、有効領域41を変更(再設定)することが可能である。
【0064】
以下、図8を参考にして、有効領域の変更の具体例について説明する。例えば、制御部80は、検出したハルトマン像外周61bの位置情報よりハルトマン像61の中心座標O1を算出する。また、制御部80は、円62の中心座標O2を算出する(図8(a)参照)。制御部80は、ハルトマン像61の中心座標O1の座標位置と円62の中心座標O2が一致するように、波面補償デバイス72の波面の制御位置を変更し、有効領域41の位置を移動させる。これにより、図8(b)に示されるように、ハルトマン像外周61a内に円62が収まり、収差補正可能な状態となる。また、図6(b)に示すように、収差補正グラフィック65に示されるように収差が除去された状態となり、細胞像画像66においても、収差が除去された画像が表示される。
【0065】
被検眼は随時移動する可能性があるため、制御部80は、測定光軸に対する測定可能領域の変化に応じて、波面補償デバイス72の有効領域41の位置を追尾させる。
【0066】
なお、上記のように円62の位置の調整に伴って、制御部80は、位置を調整する前の第1の有効領域において用いられた収差補正状態を用いて、位置を調整した後の第2有効領域での収差補正制御を行う。制御部80は、収差補正制御として、第2有効領域への調整後、収差検出と、その検出結果に基づく波面補償制御と、と繰り返すフィードバック制御を行う。すなわち、制御部80は、位置調整後の有効領域41における収差補償量に関して、位置調整前の有効領域41で用いていた収差補正量を転用すればよく、収差補正量を継続しつつ収差補正位置を変更するような補正処理を行う。
【0067】
例えば、制御部80は、有効領域41の位置を調整する際に、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域から外れる直前又はそれより前の収差補償量を記憶部81に記憶させる。そして、円62の位置調整完了とともに、制御部80は、記憶部81に記憶されていた収差補償量にて、波面補償デバイス72を動作させる。もちろん、元の収差補償量を記憶させなくても、有効領域を変更する際には、収差補償量が維持される構成としてもよい。なお、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域から外れる前の収差検出結果が反映された収差補償量にて波面補償デバイス72が動作されればよく、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域から外れる前と同程度の駆動信号が印加されればよい。
【0068】
LCOSの場合、有効領域41の位置を調整するとともに、制御部80は、有効領域41内におけるLCOSの各画素への電圧印加量を、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域から外れる前の印加量にて調整し、LCOSの屈折率を一定とすればよい。デフォーマブルミラーの場合、制御部80は、同様に、有効領域内に関して、円62の成す領域がハルトマン像外周61bの成す領域から外れる前の印加量にて各駆動部への電圧印加量を調整し、ミラー全体の形状を一定とすればよい。
【0069】
なお、制御部80は、ずれ情報が許容範囲内を外れた場合においても、眼底撮像光学系100を動作させることにより眼底の高倍率画像を連続的に取得し、取得される高倍率画像を動画像としてモニタ85に随時出力する。すなわち、制御部80は、波面補償デバイス72の有効領域位置の移動を用いたトラッキングを行う。
【0070】
円62の位置を調整した後、制御部80は、波面センサ73によって波面収差を検出し、収差検出結果に基づく駆動信号を波面補償デバイス72に送る。そして、制御部80は、円32が外周31a内に収まっている間は、波面センサ73による収差検出/検出結果に基づく波面補償デバイス72による波面補償の動作を繰り返す。これにより、リアルタイムで検出される収差検出結果が波面補償デバイス72に反映され、ぼけの少ない良好な高倍率眼底像が取得される。
【0071】
以上のようにして波面収差が補償され、所定のトリガ信号が出力されると、眼底の細胞像が動画像又は静止画像として撮影される。
【0072】
なお、撮影中において、被検眼の瞳の位置が大きくずれることで、ハルトマン像61が波面補償デバイス72の補償可能領域64を外れてしまう場合がある。このとき、例えば、警告音を発生させることやモニタ70の画面上に被検眼の位置が大きくずれたことを示す旨を表示させる等によって、検者は、被検眼の位置が大きくずれたことを認識することができる。そして、この場合、検者は、図無き顎台の位置調整を行い、再度、粗くアライメントを行うことによって、ハルトマン像61を波面補償デバイス72の補償可能領域64内に収める。
【0073】
以上のような構成によれば、被検眼の瞳位置の変化によって、眼Eの収差情報が取得できなくなっても、測定位置のずれが補正されるので、眼底の微小領域がスムーズに良好な状態にて撮影できる。また、検者が被検眼の瞳位置の変化に備えて、常に位置あわせを気にする必要がなくなり、検者の手間と負担が軽減される。
【0074】
有効領域の位置を変更した場合においても、有効領域の位置を変更する必要が生じる前の波面補償デバイス72の収差補償量を用いて収差補償のフィードバック制御を開始することにより、収差補正にかかる時間が少なくて済む。このため、スムーズに良好な眼底画像が得られる。
【0075】
なお、上記判定において、制御部80は、ハルトマン像外周61bの全ての点像位置座標が円62の位置座標より外側又は同位置であり、且つ、ハルトマン像61外周の成す領域が円62外周の成す領域内に入っている場合には、OKと判定するようにしてもよい。また、制御部80は、ハルトマン像61外周の点像の位置座標が円62外周の位置座標より内側である場合には、NGと判定するようにしてもよい。
【0076】
なお、上記判定において、指標パターン像が有効領域を100%満たしていなくてもよく、一定の精度にて波面収差が測定されればよい(例えば、95%の領域)。そして、判定結果にてずれが検出された場合、制御部80は、波面補償デバイス72を制御すし、有効領域内におけるある許容範囲(例えば、一定の割合以上)を超えて指標パターン像が受光されるように有効領域を変更させる。
【0077】
なお、本実施例において、制御部80は、波面補償デバイス72の有効領域と波面センサ73による眼底反射光束の検出領域とのずれ情報を波面センサ73の出力信号に基づいて検出したが、これに限定されない。本装置は、波面補償デバイス72の有効領域と波面測定領域との間の光軸に直交する方向に関するずれ情報を検出する。
【0078】
例えば、被検眼の前眼部正面像を観察する観察光学系を設ける。制御部80は、観察光学系により撮像された前眼部正面像から瞳孔位置を検出する。そして、制御部80は、ずれ情報として、検出された瞳孔位置と収差検出光学系110の光軸とのずれ情報を検出する構成が挙げられる。
【0079】
なお、瞳孔位置を検出する手段として、前眼部観察カメラ上に有効領域が設定され、制御部80が前眼部観察系により撮像された前眼部正面像から、瞳孔外縁部を画像処理により抽出し、抽出された前記外縁部に基づいて、瞳孔位置を検出する構成としてもよい。
【0080】
また、被検眼に対してアライメント光を投光し、角膜周辺にアライメント指標を形成させるアライメント指標投光光学系と、角膜周辺に形成されたアライメント指標を検出するアライメント指標検出光学系を設ける。なお、前眼部観察系によって検出されるアライメント検出結果と前述のずれ情報を予め対応づけておく。そして、制御部80は、アライメント指標検出光学系による検出結果に基づいて、瞳孔位置を間接的に検出する構成でもよい。この場合、例えば、アライメント指標によって検出される角膜頂点位置と,人眼の瞳孔中心位置がほぼ同じであるという前提の下で、瞳孔位置が間接的に検出される。
【0081】
なお、本実施形態において、有効領域変更とともに、新たな有効領域の補償量を元の有効領域における収差補償量に変更する構成としたがこれに限定されない。例えば、有効領域の変更後、収差検出を開始し、一から補償を開始する構成としてもよい。
【0082】
なお、本実施形態において、制御部80は、有効領域を変更する前の有効領域における収差補償量においては、ゼロにリセットせずとも、有効領域を変更する前の収差補正状態を維持するようにしてもよい。
【0083】
これにより、再度、元の有効領域の位置に有効領域が復帰したした場合においても、波面補償デバイス72の駆動量及び駆動時間が少なくて済み、スムーズに良好な眼底画像が得ることができる。もちろん、有効領域変更後、波面補償デバイス72を収差検出を開始する前の初期状態にリセットしてもよい。
【0084】
なお、本実施形態においては、有効領域の変更にとともに、波面補償デバイス72の収差補償量は、ずれ情報が許容範囲を外れる前の収差補償量を反映させた後、フィードバック制御を連続的に行う構成としたがこれに限定されない。
【0085】
収差検出光学系110の検出光軸L1近傍から測定可能領域の中心がずれた場合に、制御部80は、収差補償が既に反映された有効領域41を移動させ、フィードバック制御を一時的に停止させるようにしてもよい。さらに、検出光軸L1近傍に測定可能領域の中心が復帰した場合において、フィードバック制御を再開するようにしてもよい。
【0086】
例えば、制御部80は、ずれが発生する前の波面収差補償デバイス72の有効領域41での収差補償量を記憶部81に記憶させる。その後、検出光軸L1近傍に測定可能領域の中心が復帰した場合、有効領域41の位置を戻すと共に、記憶部81に記憶された収差補償量を前記波面補償デバイス72に反映させる。
【0087】
なお、以上の説明においては、眼底撮像光学系100として、被検眼眼底と略共役な位置に配置された共焦点開口を介して被検眼眼底で反射した光束を受光して被検眼眼底の共焦点正面画像を撮影する共焦点光学系(SLO光学系)を用いるものとしたが、これに限るものではない(例えば、特表2001−507258号公報参照)。
【0088】
例えば、被検眼眼底で反射した光束を二次元撮像素子により受光して被検眼の眼底正面画像を撮影する眼底カメラ光学系であってもよい。また、被検眼眼底で反射した光束と参照光による干渉光を受光して被検眼の断層画像を撮影する光断層干渉光学系(OCT光学系)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施形態の眼底撮影装置の外観図を示した図である。
【図2】本実施形態の眼底撮影装置の光学系を示した模式図である。
【図3】本実施形態の眼底撮影装置の制御系を示したブロック図である。
【図4】波面センサの補償可能領域と有効領域について説明する図である。
【図5】波面センサの補償可能領域上における指標パターン像と有効領域の具体例について説明する図である。
【図6】モニタの画面上に表示された収差補正画面を示した図である。
【図7】本実施形態の眼底撮影装置における動作について説明するフローチャートである。
【図8】有効領域の変更の具体例について説明する図である。
【符号の説明】
【0090】
1 光源
10 視度補正部
15 走査部
56 受光素子
72 波面補償デバイス
73 波面センサ
76 光源
70 モニタ
80 制御部
81 記憶部
100 眼底撮像光学系
110 波面収差検出光学系
200 第2撮影ユニット
300 トラッキング用ユニット
400 偏向部
500 撮影部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼眼底からの反射光を受光して眼底像を撮像する眼底撮像光学系と、
前記眼底撮像光学系の光路中に配置され、入射光の波面を制御して被検眼の波面収差を補償する波面補償デバイスと、
被検眼眼底に向けて測定光を投光し、その眼底からの反射光を波面センサにより検出する波面収差測定光学系と、
前記波面補償デバイスにおいて収差補正制御が有効な有効領域と,前記波面収差測定光学系によって波面収差が測定される波面測定領域と,の間の光軸に直交する方向に関するずれが補正されるように、前記波面補償デバイスを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする波面補償付眼底撮影装置。
【請求項2】
前記有効領域と前記波面測定領域との間の光軸に直交する方向に関するずれ情報を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されるずれ情報が許容範囲内を外れた場合に、前記ずれ情報が許容範囲内に収まるように、前記有効領域の位置を調整する制御手段である請求項1の波面補償付眼底撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記有効領域の位置を調整する場合、位置を調整する前の第1有効領域において用いられた収差補正状態を用いて、位置を調整した後の第2有効領域での収差補正制御を行うことを特徴とする請求項2の波面補償付眼底撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2有効領域への調整後、収差検出と、その検出結果に基づく波面補償制御と、と繰り返すフィードバック制御を行う請求項3の波面補償付眼底撮影装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記ずれ情報として、前記波面センサ上に設定された前記波面補償デバイスの有効領域と前記波面センサによる眼底反射光束の受光領域とのずれ情報を検出する検出手段である請求項2〜4のいずれかの波面補償付眼底撮影装置。
【請求項6】
被検眼の前眼部正面像を観察する観察光学系と、
前記観察光学系により撮像された前眼部正面像から瞳孔位置を検出する瞳孔検出手段と、を備え、
前記検出手段は、前記ずれ情報として、前記瞳孔検出手段によって検出された瞳孔位置と,波面収差検出光学系の光軸とのずれ情報を検出する検出手段である請求項2〜4のいずれかの波面補償付眼底撮影装置。
【請求項7】
前記瞳孔検出手段は、前記観察光学系により撮像された前眼部正面像から、瞳孔外縁部を画像処理により抽出し、抽出された前記外縁部に基づいて、瞳孔位置を検出する請求項6の波面補償付眼底撮影装置。
【請求項8】
被検眼に対してアライメント光を投光し、角膜周辺にアライメント指標を形成させるアライメント指標投光光学系と、角膜周辺に形成されたアライメント指標を検出するアライメント指標検出光学系とを備え、
前記瞳孔検出手段は、前記アライメント指標検出光学系による検出結果に基づいて、瞳孔位置を検出する請求項6の波面補償付眼底撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52047(P2013−52047A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191292(P2011−191292)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)