説明

注出キャップ

【課題】注出される内容物を注出口の出口で良好に途切れさせることができ、内容物を付着し難くすることができるうえ、衛生的に優れた環境で内容物を注出させること。
【解決手段】内容物が充填される容器の口部に装着される注出キャップであって、有頂筒状に形成され、その頂壁部21に注出口24が形成されたキャップ本体10と、頂壁部にスライド自在に載置され、摺切刃30を有するスライド部材11と、スライド部材を径方向に沿ってスライド自在に支持する支持部材12と、を備え、スライド部材は、注出口を開放させ且つ摺切刃が注出口にその径方向の外側から臨む位置に配設される第1ポジションP1と、摺切刃が注出口を通過して該注出口を超えた位置に配設される第2ポジションと、の間で往復移動するように支持部材に支持されている注出キャップ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着される注出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の注出キャップの1つとして、チューブ状の容器の口部に装着され、内容物を注出する注出口(絞り出し口)を有するキャップ本体と、このキャップ本体に対して開閉自在に一体成形され、注出口を密閉する蓋体と、を備えた注出キャップが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この注出キャップは、容器に充填されている内容物が、山葵、辛子や生姜等の食品に代表されるようにペースト状、クリーム状或いはゲル状の高粘度の流動物の場合に、これら各種の内容物を注出するのに好適なキャップとして利用されるものであり、使用時にはワンタッチで蓋体を開けて内容物を注出することができると共に、不使用時には蓋体を閉めて注出口を密閉することで内容物を良好に保存することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−287350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した注出キャップが装着された容器を使用する際、注出口から必要な量だけ内容物を注出させた後、この内容物を途切れさせる必要がある。しかしながら、注出口で綺麗に内容物を途切れさせることは難しく、注出口から内容物が飛び出た状態で途切れてしまう場合が多かった。そのため、注出口周辺に内容物が付着し易く、衛生的に好ましいものではなかった。加えて、付着した内容物が乾燥して周囲に飛び散ってしまったり、新たに注出された内容物に古い乾燥した内容物が付着したりする等の不都合もあった。仮に、注出口を食器等に擦り付けて強引に内容物を途切れさせたとしても、やはり擦りつけた際に内容物が注出口周辺に付着する可能性が高く、同様の不都合が生じ易かった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、注出される内容物を注出口の出口で良好に途切れさせることができ、内容物を付着し難くすることができるうえ、衛生的に優れた環境で内容物を注出させることができる注出キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る注出キャップは、内容物が充填される容器の口部に装着される注出キャップであって、前記口部に装着されると共に有頂筒状に形成され、その頂壁部に注出口が形成されたキャップ本体と、前記頂壁部にスライド自在に載置され、摺切刃を有するスライド部材と、前記スライド部材を径方向に沿ってスライド自在に支持する支持部材と、を備え、前記スライド部材が、前記注出口を開放させ且つ前記摺切刃が注出口にその径方向の外側から臨む位置に配設される第1ポジションと、前記摺切刃が前記注出口を通過して該注出口を超えた位置に配設される第2ポジションと、の間で往復移動するように前記支持部材に支持されていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る注出キャップにおいては、内容物を注出する場合、まずスライド部材を第1ポジションにセットして注出口を開放させる。これにより、容器内に充填されている内容物を注出口から注出させることができる。そして、所望する量だけ内容物を注出した後、第1ポジションにセットされているスライド部材を径方向に沿ってスライド移動させて、第2ポジションにセットする。すると、このスライド移動の間に、摺切刃が注出口を横切り、そのまま注出口を超えて移動する。そのため、注出口から注出されている内容物を摺り切って、途切れさせることができる。特に、注出口が形成されている頂壁部に沿わせながら摺り切ることができるので、注出口の出口で良好に内容物を途切れさせることができる。
【0009】
従って、従来のように注出口から内容物が飛び出た状態になり難い。よって、注出口周辺に内容物が付着してしまうような可能性が低く、非常に衛生的に好ましい。また、従来のように付着した内容物が乾燥して飛び散ったり、新たに注出した内容物に付着したりする可能性も低い。
【0010】
このように、本発明に係る注出キャップによれば、注出される内容物を注出口の出口で良好に途切れさせることができ、内容物を付着し難くすることができるうえ、衛生的に優れた環境で内容物を注出させることができる。
【0011】
(2)本発明に係る注出キャップは、上記本発明の注出キャップにおいて、前記スライド部材が、前記キャップ本体の径方向外方に配設され、該スライド部材をスライド操作させる操作部を備えていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る注出キャップにおいては、キャップ本体の径方向外方に配設されている操作部を利用してスライド部材をスライド操作できるので、操作性を向上することができ、使い勝手に優れている。
【0013】
(3)本発明に係る注出キャップは、上記本発明の注出キャップにおいて、前記摺切刃の先端縁が、前記注出口の周縁形状に倣っており、前記スライド部材が、前記第1ポジションにセットされている際に、前記摺切刃が前記注出口の一部をその径方向の外側から囲むように配設されていることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る注出キャップにおいては、摺切刃の先端縁が注出口の周縁形状に倣って形成されている。例えば、注出口が円形の場合には、円形に倣った円弧状に摺切刃の先端縁が形成されている。そして、スライド部材が第1ポジションにセットされている際に、このように形成された摺切刃が注出口の一部をその径方向の外側から囲むように配設されている。これにより、注出口の近傍に摺切刃の先端縁を待機させることができる。従って、より短時間に素早く内容物を摺り切って途切れさせることができ、内容物が過度に注出され難い。
【0015】
(4)本発明に係る注出キャップは、上記本発明の注出キャップにおいて、前記スライド部材が前記第2ポジションにセットされた際に、スライド部材を付勢して前記第1ポジションに復帰させる付勢部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
この発明に係る注出キャップにおいては、付勢部材によってスライド部材を第2ポジションから自動的且つ速やかに第1ポジションに復帰させることができるので、第2ポジションから第1ポジションにスライド部材をスライド移動させる手間を省略することができる。従って、さらに使い易くなり、利便性を向上できる。
【0017】
(5)本発明に係る注出キャップは、上記本発明の注出キャップにおいて、前記スライド部材が前記第1ポジションにセットされている際に、前記キャップ本体に装着されて前記注出口を塞ぐ閉塞カバーを備えていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る注出キャップにおいては、開放されている注出口をキャップ本体に装着される閉塞カバーによって塞ぐことができるので、未使用時における内容物の乾燥や異物等の混入を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る注出キャップによれば、注出される内容物を注出口の出口で良好に途切れさせることができ、内容物を付着し難くすることができるうえ、衛生的に優れた環境で内容物を注出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る注出キャップの一実施形態を示す図であって、注出キャップが装着された容器の縦断面図である。
【図2】図1に示す注出キャップの断面図であり、閉塞カバーが開いた状態を示す図である。
【図3】図2に示す注出キャップの上面図である。
【図4】図2に示す注出キャップを構成するスライド部材を先端側から見た斜視図である。
【図5】図3に示す状態から、スライド部材を径方向内方にスライド移動させた状態を示す図である。
【図6】注出口から内容物を注出した後、スライド部材によって注出口の出口で内容物を摺り切った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る注出キャップの実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
本実施形態の注出キャップ1は、図1に示すように、内容物Wが充填される容器2の口部3に装着されるキャップであって、キャップ本体10と、スライド部材11と、支持部材12と、板バネ(付勢部材)13と、閉塞カバー40と、で一体成形された1パーツの部材である。但し、一体成形ではなく、各部材を組み立てることで注出キャップ1を構成しても構わない。
【0022】
なお、図1は、注出キャップ1が装着された容器2の縦断面図である。また、容器2及び注出キャップ1のそれぞれの中心軸Oは、共通軸上に位置している。本実施形態では、この共通軸を中心軸Oといい、この中心軸Oに直交する方向を径方向といい、さらに中心軸Oを中心に周回する方向を周方向という。また、内容物Wとしては、ペースト状、クリーム状或いはゲル状の高粘度の流動物、例えば、山葵、辛子や生姜等である。
【0023】
容器2は、例えば、スクイズ変形可能な有底筒状の容器体或いはチューブ体であり、内部に内容物Wが充填されている。口部3の外周面には、注出キャップ1の雌ねじ部22aが螺合される雄ねじ部3aが形成されている。
【0024】
キャップ本体10は、図2及び図3に示すように有頂筒状に形成された部材であり、中心軸Oを中心として環状に形成された外筒(筒体)20と、この外筒20の上端部に連設された頂壁部21と、外筒20の径方向内側に配設され、上端部が頂壁部21の下面に連設された内筒22と、を備えている。
なお、図2は、閉塞カバー40が開いた状態の注出キャップ1の断面図である。図3は、図2に示す注出キャップ1の上面図である。
【0025】
内筒22の内周面には、雌ねじ部22aが形成されており、この雌ねじ部22aを口部3に形成された雄ねじ部3aに螺合することにより、キャップ本体10が容器2の口部3に装着可能とされている。また、外筒20と内筒22との間にはプレート23が設けられており、このプレート23によって外筒20及び内筒22が一体的に連結されて剛性が高まり、歪み等の不正変形が生じ難い構造とされている。なお、プレート23は、周方向に間隔を開けて複数形成されている。
【0026】
頂壁部21の中央部には、内容物Wを注出させる注出口24が形成されている。本実施形態の注出口24は、上面視円形状に形成されている。この際、注出口24には、容器2の口部3側に段差部24aが形成されており、後述する閉塞カバー40の挿入筒43の爪部43aが嵌り込んで係合されるようになっている。
【0027】
スライド部材11は、頂壁部21の上面にスライド自在に載置されており、摺切刃30を有している。具体的に説明すると、スライド部材11は、図2から図4に示すように径方向に沿って延在し、径方向内方側が先端、径方向外方側が基端とされたスライドプレート31を備えている。なお、図4は、スライド部材11を先端側から見た斜視図である。
そして、このスライドプレート31の先端に、上述した摺切刃30が形成されている。この摺切刃30は、注出口24から注出された内容物Wを頂壁部21の上面に沿いながら摺り切るための刃であり、本実施形態では平面視した際に注出口24の周縁形状に倣った円弧状に先端縁(刃先)が形成されている。
【0028】
また、スライドプレート31の基端には、スライド部材11を径方向に沿ってスライド操作させるための操作板(操作部)32が設けられている。この操作板32は、スライドプレート31の基端から容器2側に向けて略90度折曲されるように連設された部材であり、スライド部材11のスライドポジションに関係なく外筒20の径方向外方に配設されるようになっている。つまり、スライドプレート31は、スライド部材11が後述する第1ポジションP1又は第2ポジションP2のいずれにセットされていたとしても、操作板32が連設される基端側が外筒20の外側に突出するように長さが設計されている。
【0029】
このように構成されたスライド部材11は、支持部材12によって、摺切刃30が注出口24を横切る径方向にスライド自在に支持されている。具体的には、注出口24を開放させ且つ摺切刃30が注出口24にその径方向の外側から臨む位置に配設される第1ポジションP1(図2及び図3参照)と、摺切刃30が注出口24を通過して該注出口24を超えた位置に配設される第2ポジションP2(図5参照)と、の間で往復移動するように支持部材12に支持されている。
【0030】
支持部材12は、スライドプレート31に形成されたスライド溝35と、このスライド溝35に係合される係合爪36と、で構成されている。
スライド溝35は、図3及び図4に示すように、スライドプレート31の基端側から先端側に向かう途中まで形成された溝であり、上面視した際にスライドプレート31の両側に形成されている。このスライド溝35は、スライドプレート31の上面側、側面側及び基端側にそれぞれ開放するように形成されていると共に、先端側の端面が係合爪36の側部に接触するストッパ面35aとして機能するようになっている。
【0031】
係合爪36は、図2及び図4に示すように、頂壁部21の上面に立設されており、スライドプレート31を両側から挟みこむようにして、スライド溝35に係合されている。これにより、スライド部材11は、浮き上がりが抑えられた状態で、スライド溝35と平行な径方向にスライド移動可能とされている。
【0032】
ところで、スライド部材11を径方向外方に移動させると、図3に示すようにストッパ面35aが係合爪36の側部に接触して、それ以上の移動が規制されるようになっている。このポジションが上述した第1ポジションP1とされている。この際、摺切刃30は、注出口24の一部をその径方向の外側から囲むように配設されるようになっている。
一方、スライド部材11を径方向内方に移動させると、図5に示すように操作板32が外筒20の外周面に接触して、それ以上の移動が規制されるようになっている。このポジションが上述した第2ポジションP2とされている。しかも、本実施形態では、スライド部材11を第2ポジションP2にセットした際に、スライドプレート31が注出口24を塞ぐように設計されている。
【0033】
また、操作板32の両側と外筒20の外周面との間には、板バネ13がそれぞれ設けられている。この板バネ13は、スライド部材11が第2ポジションP2にセットされた際に、スライド部材11を弾性力により径方向外方に付勢して、第1ポジションP1に復帰させる働きをしている。従って、スライド部材11は、第2ポジションP2から自動的且つ速やかに第1ポジションP1に復帰するようになっている。
【0034】
また、本実施形態の注出キャップ1は、図1から図3に示すように、スライド部材11が第1ポジションP1にセットされている際に、キャップ本体10に装着されて注出口24を塞ぐ閉塞カバー40を備えている。
この閉塞カバー40は、環状に形成された周壁41と、周壁41の上端部に連設されたカバープレート42と、周壁41の径方向内方に配設され、カバープレート42の下面に連設された挿入筒43と、を備えており、ヒンジ部44を介してキャップ本体10に開閉自在に連結されている。
ヒンジ部44は、摺切刃30に対向するキャップ本体10の頂壁部21の周縁部に設けられている。そのため、中心軸Oを挟んでスライド部材11とは反対側に閉塞カバー40を開けることができるようになっている。
【0035】
また、周壁41の一部は、周方向に切り欠かれた切欠部41aとされており、閉塞カバー40を閉めた際にスライド部材11に干渉しないようになっている。また、この切欠部41aの上方には、径方向外方に突出した鍔部45が形成されている。これにより、指を引っ掛け易くすることができ、鍔部45を介して閉塞カバー40を容易に開閉操作可能とされている。
【0036】
挿入筒43は、注出口24内に挿入可能なサイズに形成されており、閉塞カバー40を閉めた際に注出口24に挿入されるようになっている。この際、挿入筒43はカバープレート42によって開口が閉塞されているので、結果的に注出口24は閉塞カバー40によって塞がれるようになっている。
また、注出口24に挿入される側の挿入筒43の開口端には、径方向外方に向かって突設した爪部43aが環状に形成されている。但し、この爪部43aは、環状に限定されるものではなく、周方向に間隔を開けて複数形成されていても構わない。そして、この爪部43aが注出口24に形成された段差部24aに嵌り込んで係合することで、閉塞カバー40は閉状態を維持できるように設計されている。
【0037】
次に、このように構成された注出キャップ1が装着された容器2から、内容物Wを注出する場合について説明する。なお、初期設定として、図1に示すように、スライド部材11が第1ポジションP1にセットされているうえ、閉塞カバー40によって注出口24が塞がれている状態とする。
【0038】
はじめに、鍔部45を利用して閉塞カバー40を跳ね上げる。すると、挿入筒43の爪部43aが段差部24aから離脱して係合が解かれ、閉塞カバー40はヒンジ部44を中心に回転して開状態となる。この際、閉塞カバー40は、中心軸Oを挟んでスライド部材11とは反対側に開くので、以降のスライド部材11の操作に何ら悪影響を与えることはない。そして、閉塞カバー40を開けたことによって、注出口24を開放することができる。
【0039】
次に、口部3が下向きになるように容器2を逆さ或いは下向きに傾けた後、容器2を握る等して容器2内に圧力を加える。これにより、容器2内に充填されている内容物Wを注出口24から注出させることができる。
ところで、所望する量だけ内容物Wを注出した後は、この内容物Wを途中で途切れさせる必要がある。この場合について、以下に説明する。
【0040】
この場合には、図5に示すように、第1ポジションP1にセットされているスライド部材11の操作板32を径方向内方に押し込んでスライド部材11をスライド移動させ、第2ポジションP2にセットする。すると、このスライド移動の間に、先端の摺切刃30が頂壁部21の上面に沿いながら注出口24を横切り、そのまま注出口24を超えて移動する。そのため、図6に示すように、注出口24から注出されている内容物Wを摺り切って、途切れさせることができる。特に、注出口24が形成されている頂壁部21の上面に沿わせながら摺り切ることができるので、注出口24の出口で良好に内容物Wを途切れさせることができる。
【0041】
従って、注出口24周辺に内容物Wが付着してしまうような可能性が低く、衛生的に非常に好ましい。また、従来のように付着した内容物Wが乾燥して飛び散ったり、新たに注出した内容物Wに付着したりする可能性も低い。
更に、本実施形態では、スライド部材11が内容物Wを摺り切りながら第2ポジションP2にセットされると、注出口24を塞ぐことができる。これにより、途切れさせた内容物Wが注出口24から注出されてしまうことを防ぐことができる。そのため、注出口24から内容物Wが飛び出た状態になり難い。この点においても、注出口24周辺に内容物Wが付着してしまう可能性を低減することができる。
【0042】
上述したように、本実施形態の注出キャップ1によれば、注出される内容物Wを注出口24の出口で良好に途切れさせることができ、内容物Wを付着し難くすることができるうえ、衛生的に優れた環境で内容物Wを注出させることができる。
【0043】
ところで、内容物Wを途切れさせた後は、操作板32の押し込みを解除する。すると、スライド部材11は、板バネ13の弾性力によって径方向外方に付勢される(押し戻される)。付勢されたスライド部材11は、ストッパ面35aが係合爪36の側部に接触することで停止し、第1ポジションP1に復帰する。このように、スライド部材11を第2ポジションP2から自動的且つ速やかに第1ポジションP1に復帰させることができるので、第2ポジションP2から第1ポジションP1にスライド部材11をスライド移動させる手間を省略することができる。従って、非常に使い易く、利便性に優れている。
【0044】
そして、容器2を保管する場合には、図1に示すようにヒンジ部44を中心に閉塞カバー40を回転させて、キャップ本体10に被せる。すると、挿入筒43が注出口24に入り込み、爪部43aが段差部24aに嵌り込んで係合する。これにより、閉塞カバー40を確実に閉めることができ、次に開けるまで不意に開いてしまう恐れが少ない。
また、注出口24に挿入筒43が入り込むことで、注出口24を塞ぐことができ、未使用時における内容物Wの乾燥や異物等の混入を防ぐことができる。
【0045】
更に、本実施形態の注出キャップ1によれば、以下の作用効果を奏することもできる。
即ち、外筒20の径方向外方に配設されている操作板32を利用してスライド部材11をスライド操作できるので、操作性を向上することができ、使い勝手に優れている。特に、操作板32を外筒20の外表面に接触するまで押し込むことで、スライド部材11を明確に第2ポジションP2にセットできるので、非常に操作し易い。
【0046】
また、スライド部材11が第1ポジションP1にセットされている際に、摺切刃30の刃先が注出口24の一部をその径方向の外側から囲むように配設されている。これにより、注出口24の近傍に摺切刃30の刃先を待機させることができる。従って、より短時間で素早く内容物Wを摺り切って途切れさせることができ、内容物Wが過度に注出され難い。
【0047】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態では、板バネ13を利用してスライド部材11を第2ポジションP2から第1ポジションP1に自動的に復帰させた構成にしたが、コイルバネ等を付勢部材として利用しても構わない。この場合には、操作板32と外筒20の外周面との間に介装させれば良い。
但し、このような付勢部材は、必須なものではなく、手動でスライド部材11を第2ポジションP2から第1ポジションP1にスライド移動させて復帰させても構わない。
【0049】
また、上記実施形態では、注出口24の形状に倣って摺切刃30を上面視円弧状に形成したが、この場合に限られず、上面視V字状や単に真っ直ぐな摺切刃として構わない。これらの場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。但し、上記実施形態のように、注出口24の周縁形状に倣って摺切刃30を形成することで、注出口24の近傍に刃先を待機させることが可能であるので、より好ましい。
更に、摺切刃30の刃面に微細な凹凸部を形成し、刃面と内容物Wとの接触面積を減少させる設計としても構わない。こうすることで、内容物Wを摺り切った際に、内容物Wが摺切刃30からスムーズに離間し易くなり、摺切刃30に付着し難くなる。従って、より衛生的な環境で内容物Wを注出させることができる。
【0050】
また、上記実施形態では、スライドプレート31の先端に摺切刃30を形成したが、この場合に限定されず、スライドプレート31を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔の内面に摺切刃を形成しても構わない。この場合であっても、摺切刃を利用して内容物を摺り切ることができる。
また、スライドプレート31の側部に摺切刃を形成し、スライドプレート31を横移動させることで内容物を摺り切るように構成しても構わない。いずれにしても、スライド移動させることで、内容物Wを摺切刃によって摺り切ることができれば良い。
【0051】
また、上記実施形態では、注出口24を上面視円形状に形成したが、上面視星状や楕円状や多角形状に形成しても構わない。この場合には、注出口24の形状に合わせて挿入筒43の形状を適宜変更すれば良い。
【0052】
また、上記実施形態では、閉塞カバー40をキャップ本体10に連結し、ヒンジ部44を中心に開閉自在な構成としたが、キャップ本体10に対して着脱自在に構成しても構わない。但し、閉塞カバー40をキャップ本体10に連結することで、閉塞カバー40の紛失を防止できるので、好ましい。
【符号の説明】
【0053】
P1…第1ポジション
P2…第2ポジション
W…内容物
1…注出キャップ
2…容器
3…口部
10…キャップ本体
11…スライド部材
12…支持部材
13…板バネ(付勢部材)
21…頂壁部
24…注出口
30…摺切刃
32…操作板(操作部)
40…閉塞カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填される容器の口部に装着される注出キャップであって、
前記口部に装着されると共に有頂筒状に形成され、その頂壁部に注出口が形成されたキャップ本体と、
前記頂壁部にスライド自在に載置され、摺切刃を有するスライド部材と、
前記スライド部材を径方向に沿ってスライド自在に支持する支持部材と、を備え、
前記スライド部材は、前記注出口を開放させ且つ前記摺切刃が注出口にその径方向の外側から臨む位置に配設される第1ポジションと、前記摺切刃が前記注出口を通過して該注出口を超えた位置に配設される第2ポジションと、の間で往復移動するように前記支持部材に支持されていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の注出キャップにおいて、
前記スライド部材は、前記キャップ本体の径方向外方に配設され、該スライド部材をスライド操作させる操作部を備えていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の注出キャップにおいて、
前記摺切刃の先端縁は、前記注出口の周縁形状に倣っており、
前記スライド部材は、前記第1ポジションにセットされている際に、前記摺切刃が前記注出口の一部をその径方向の外側から囲むように配設されていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の注出キャップにおいて、
前記スライド部材が前記第2ポジションにセットされた際に、スライド部材を付勢して前記第1ポジションに復帰させる付勢部材を備えていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の注出キャップにおいて、
前記スライド部材が前記第1ポジションにセットされている際に、前記キャップ本体に装着されて前記注出口を塞ぐ閉塞カバーを備えていることを特徴とする注出キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−235163(P2010−235163A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86213(P2009−86213)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】