説明

注射器の針の取外し装置

【課題】先行技術における欠点が無く、単純で導入に対する費用効果の高い、注射器の針の取外しのための装置を提供する。
【解決手段】注射器の針の取外し装置が、注射器3とそれぞれの針2をそれぞれ把持するように構成された二つの把持装置12、19と、針2を注射器3それ自身からねじ戻すために二つの把持装置12、19を注射器3の縦軸線10周りの及び縦軸線10に沿う回転並進移動運動により互いに対して移動させるための作動装置21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器の針の取外しのための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各注射器は、閉じ込めシリンダと、この閉じ込めシリンダ内に滑動様態で係合するプランジャと、閉じ込めシリンダそれ自身のねじ山の形成された開放端部にねじ込まれた針とを具備する。
【0003】
注射器が使用された後、針はねじ戻され、医療関係者が注射器それ自身を安全に取り扱うことを可能にするために、ねじ山の形成された端部は閉鎖プラグによって密封される。
【0004】
針を注射器から取り外すために、医療関係者は、把持装置を具備する装置の内部に注射器を挿入する。前記把持装置は、針のクランプ位置と解放位置との間で移動可能であるとともに、注射器それ自身の縦軸線周りの及び前記縦軸線に沿う回転並進移動運動により、医療関係者によって注射器をとおして作用されるバイアス力を受けて移動される。
【0005】
上述されたタイプの公知の装置は、針の取外しが医療関係者の存在と手動の介入を意味するという事実に主に由来するいくつかの欠点を有しており、医療関係者は、注射器を支持すると共に、前述の回転並進移動運動により把持装置を移動させるのに必要な推力を作用させなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述した欠点が無く、単純で導入に対する費用効果の高い、注射器の針の取外しのための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による、注射器の針の取外しのための装置は、添付された特許請求の範囲に開示されたものとして提供される。
【0008】
本発明は、その非限定的な実施形態を示す添付図面を参照してここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の装置の好適な実施形態の第1の斜視図である。
【図2】図1に示された注射器の針の斜視図である。
【図3】明瞭にするために部品が拡大された、図1における装置の第2の斜視図である。
【図4】図1及び図3における細部の図である。
【図5】作動位置で示される、図4における細部の平面図である。
【図6】図5とは異なる作動位置で示される、図4における細部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び2を参照して説明すると、参照符号1は、シリンジ3の針2の取外しのための装置全体を指し示している。
【0011】
各注射器3は、針2によって閉じられるねじ山の形成された端部(図示せず)を有する閉じ込めシリンダ5の中に滑動様態で係合されたプランジャ4を具備しており、一方前記針2は、ねじ山の形成された結合ハブ6と複数の突起7(好適例では四個の突起7)を具備しており、前記突起7は、ハブ6の縦軸線の周りに均等に分布せしめられて、ハブ6から半径方向外側に突出している。
【0012】
図1及び3に示されるように、装置1は、略水平の上側支持板8を具備しており、前記上側支持板8は、医薬品の準備のための自動機械のフレーム(図示せず)に固定されており、また中心穴9を備えている。中心穴9は、方向11に平行で支持板8に垂直な略鉛直の縦軸線10を有しており、また注射器3の把持装置12を支持している。
【0013】
把持装置12は、一対の作動シリンダ(図示せず)を具備しており、前記一対の作動シリンダは、方向11を横切る水平方向13で縦軸線10の反対側の支持板8の下側表面に固定されていて、方向13に延びていて、それぞれのジョー14を各々形成するそれぞれの出力ロッドを有している。
【0014】
ジョー14は、注射器3のシリンダ5のクランプ位置と解放位置との間を方向13で移動可能である。
【0015】
装置1は、互いに平行な二つの側板15をさらに具備しており、前記側板15は、方向13に垂直に支持板8から下方へ延びており、また下側に結合された略水平な支持板16を保持している。支持板16は、方向11に垂直に支持板8の下で延びており、方向11で支持板8に対する直線運動を行うために、緩衝器装置17の介在によって側板15に対して滑動様態で結合されている。
【0016】
緩衝器装置17は、好適例では、支持板16それ自身の端部において側板15と支持板16との間に取り付けられた四個の弾性要素18を具備している。
【0017】
図4を参照すると、装置1は、円板20を具備する、針2の把持装置19をさらに備えている。円板20は、縦軸線10に同軸に板16上に搭載されており、及び縦軸線10それ自身の周りで作動装置21のバイアス力を受けて板16に対して(図5及び6における時計回りに)回転するように板16に回転可能に結合されている。
【0018】
作動装置21は、電動モータ22を具備しており、前記電動モータ22は、板16に固定されて、方向11に延びており、及びベルト伝動装置24を介して円板20に接続された出力シャフト23を有する。
【0019】
把持装置19は、二つの成形ジョー25をさらに具備している。二つの成形ジョー25は、互いに平行で方向11に平行なそれぞれの支点軸線26周りで、円板20それ自身に対して回転するように円板20に回転可能に結合されており、また針2のクランプ位置に移動させられて、通常は、ジョー25同士の間に配置されたばね27によってそこに保持される。
【0020】
これに関して、時計回りの方向及び従って円板20の回転の方向に一致する締付けトルクをジョー25に及ぼすように、ばね27が配置されていることは明記するに値する。
【0021】
ジョー25は、作動シリンダ29を具備する作動装置28によって、針2のクランプ位置から解放位置(図6)へ、ばね27のバイアス力に抗して移動させられる。作動シリンダ29は、方向11に平行に板16に固定されており、また引き下げられた休止位置(図示せず)と上昇した作動位置(図4及び6)との間で移動可能な出力ロッド30を有しており、前記休止位置において出力ロッド30は、縦軸線10周りのジョー25の移動経路外に配置され、及び前記作動位置において出力ロッド30は、ジョー25それら自身の一つを止めるために、縦軸線10周りのジョー25の移動経路内に配置される。
【0022】
図5及び6に示されるように、各ジョー25は、他方のジョー25に向き合う端面31によって範囲を定められている。端面31は、ジョー25の、それらのクランプ位置への移動の後に、他方のジョー25の端面31と実質的に接触して配置され、またスロット32を有しており、前記スロット32は、方向11に平行にジョー25を貫通して得られたものであって、突起7を受容するように構成されている。
【0023】
各ジョー25の端面31は、二つのジョー25がそれらのクランプ位置に配置されたとき他方のジョー25と共に、二つのさらなるスロット33を形成するように形作られており、前記二つのスロット33は互いに向き合っていて、それぞれの突起7を各々が受容するように構成されている。
【0024】
各スロット32は二つの歯34によって側方の範囲を定められており、前記二つの歯34は、それぞれのジョー25の端面31に獲得されたものであって、スロット33の側方の範囲を定めるように、他方のジョー25の端面31の対応する歯34と協働する。
【0025】
装置1は、注射器3から取り外されてジョー25から解放された針2の落下を検出するために、板16の下に取り付けられた検出センサ35を最終的に具備している。
【0026】
装置1の作動は、以下の瞬間、即ちジョー14がそれらの解放位置に配置されていて、作動シリンダ29の出力ロッド30がその上昇した作動位置に配置されていて、ジョー25の一方を出力ロッド30に係合させてジョー25をそれらの解放位置へ移動させるように円板20が縦軸線10周りに回転された瞬間から始まってここで説明される。
【0027】
(例えば、ロボット化されたアームを使って)縦軸線10に同軸の穴9をとおして注射器を挿入した後、ジョー14はそれらのクランプ位置へ移動させられ、ロッド30は、ジョー25から外れてジョー25がそれらのクランプ位置に配置されるように、その引き下げられた休止位置に移動させられ、及び円板20は、最初に突起7が、スロット32及び33に正確に係合して、針2を注射器3からねじ戻すことを可能にするように、縦軸線10周りに回転させられる。
【0028】
突起7は、それぞれのスロット32および33に係合すると、縦軸線10周りの把持装置19の回転中に、締付けトルクをジョー25に作用する。前記締付けトルクは、ジョー25をそれらのクランプ位置に係止して、突起7が、ばね27の弾性に起因してそれぞれのスロット32及び33から外れることを防止するように、時計回り(即ち円板20の回転方向と同じ)に方向付けられる。
【0029】
注射器3は、軸方向及び周方向で把持装置12に係止されているので、板16及び把持装置19によって形成された組立体は、注射器3の針2のねじ戻し中に、緩衝器装置17の弾性要素18のバイアス力に抗して下方に移動させられる。換言すると、円板20、ジョー25、及び針2は、注射器3から針2をねじ戻すために、前述の縦軸線10周りの及び縦軸線10に沿う回転並進移動運動により移動させられる。
【0030】
針2が注射器3から外されると、ジョー14は、装置1の注射器3を外すために開放され、ロッド30は、ジョー25の一方に係合して、ジョー25をそれらの解放位置へ移動させて、針2が板16の下に配置された収集容器(図示せず)内に落下することを可能にするように、その上昇した作動位置に再び移動させられ、針2の落下はセンサ35によって検出される。
【符号の説明】
【0031】
2 針
3 注射器
4 プランジャ
5 シリンダ
10 縦軸線
12 把持装置
14 第2ジョー
19 把持装置
25 第1ジョー
27 ばね
28 作動装置
30 出力ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器(3)の針(2)の取外し装置であって、
各注射器(3)が、ねじ山の形成された端部を備えるシリンダ(5)と、前記シリンダ(5)内に滑動様態で係合されたプランジャ(4)と、前記シリンダ(5)の前記ねじ山の形成された端部にねじ込まれた針(2)とを具備し、
注射器(3)の針(2)のクランプ位置及び解放位置の間を移動可能な一対の第1ジョー(25)を具備する第1把持装置(19)を具備する、注射器の針の取外し装置において、
注射器(3)の第2把持装置(12)と、前記針(2)を前記シリンダ(5)のねじ山の形成された端部からねじ戻すように、前記注射器(3)の縦軸線(10)周りの及び縦軸線(10)に沿う回転並進移動運動により、二つの前記把持装置(19、12)を互いに対して移動させるための作動装置(21)と、をさらに具備することを特徴とする、注射器の針の取外し装置。
【請求項2】
前記第1把持装置(19)が、前記第1ジョー(25)をそれらの前記クランプ位置に移動させて、通常は前記第1ジョー(25)を前記クランプ位置に保持するための第1作動手段(27)と、前記第1ジョー(25)を前記クランプ位置から前記解放位置へ移動させるための第2作動装置(28)とを具備する、請求項1に記載の注射器の針の取外し装置。
【請求項3】
前記第1作動手段(27)が、二つの前記第1ジョー(25)の間に配置された少なくとも一つのばねを具備する、請求項2に記載の注射器の針の取外し装置。
【請求項4】
前記第2作動装置(28)が、少なくとも一つの作動部材(30)を具備しており、前記作動部材(30)は、該作動部材(30)が前記縦軸線(10)周りの前記第1ジョー(25)の移動経路外に配置される休止位置と、該作動部材(30)が、前記第1ジョー(25)の一つを止めてそれを前記解放位置に移動させるように、前記移動経路内に配置される作動位置との間で移動可能である、請求項2または3に記載の注射器の針の取外し装置。
【請求項5】
前記二つの把持装置(19、12)が、前記縦軸線(10)に沿って互いに対して移動するように、緩衝器装置(17)の介在によって滑動様態で互いに結合されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の注射器の針の取外し装置。
【請求項6】
前記第2把持装置(12)が、二つの第2ジョー(14)を具備しており、前記二つの第2ジョー(14)は、注射器(3)のクランプ位置と解放位置との間で移動可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の注射器の針の取外し装置。
【請求項7】
前記針(2)が、前記シリンダ(5)のねじ山の形成された端部にねじ込まれるねじ山の形成されたハブ(6)を具備するとともに、前記ハブ(6)それ自身の外側の方へ突出する少なくとも一つの突起(7)を有しており、前記第1把持装置(19)は、前記突起(7)を受容するとともに前記針(2)と前記第1ジョー(25)それ自身とを互いに周方向に係止するように、前記第1ジョー(25)において獲得されたそれぞれのスロット(32、33)を各突起(7)のために具備する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の注射器の針の取外し装置。
【請求項8】
前記針(2)が、前記ハブ(6)の外側の方へ突出する四つの突起(7)を有しており、各第1ジョー(25)が、他方の第1ジョー(25)に向き合う端面(31)によって範囲を定められており、前記端面(31)は、一つの前記スロット(32)を有し、及び前記一対の第1ジョー(25)がそれらのクランプ位置に配置されたとき、前記他方の第1ジョー(25)の端面(31)と共に、二つの前記スロット(33)を形成するように形作られている、請求項7に記載の注射器の針の取外し装置。
【請求項9】
前記突起(7)は、それぞれのスロット(32、33)内に係止されたとき、前記縦軸線(10)周りの前記第1把持装置(19)の回転中に、前記第1ジョー(25)それら自身をそれらのクランプ位置に係止するように方向付けられた締付けトルクを前記第1ジョー(25)に作用する、請求項7または8に記載の注射器の針の取外し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−6031(P2013−6031A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−141355(P2012−141355)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【出願人】(512132642)ヘルス ロボティクス ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (3)
【Fターム(参考)】