説明

注射器

【課題】組付けが容易であり且つ低コストの注射器を提供する。
【解決手段】注射器は、注射筒2、プランジャー3、および針管台座4を備える。注射筒2は、筒状に形成され軸線方向に沿って形成され、第1注射筒21、第1注射筒21の一端から延びる第2注射筒22、及び、第1注射筒21の内壁に環状に形成される可撓性の第1反転環23を有する。プランジャー3は、軸線L上を往復移動可能に注射筒2内に挿設されるプランジャー支持部31、及び、プランジャー支持部31の一端に設置される栓部32を有する。針管台座4は、第2注射筒22内に脱着可能に設置される。プランジャー3の栓部32は、針管台座4の内部に嵌め込むことにより、第1可撓部232を開き、第1可撓部232と針管台座4とを離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明は、図9および図10に示すように、筒体10、筒体10内に移動可能に設けられる針管台座11、筒体10内に移動可能に挿設されストッパーヘッド121を有するプランジャー12、筒体10内に2つの咬合槽102がそれぞれ設置される定位座101、接合段111を有する針管台座11、弾性咬合片112、及び、咬合槽102にそれぞれ組み合わされ咬合ブロック114を有する2つの凸型柱113を備える。組み付ける場合、針管台座11を筒体10内に挿入し、凸型柱113の咬合ブロック114を咬合槽102に嵌入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾特許出願公開第M360049号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の技術では、組付ける際、咬合ブロック114を咬合槽102に精確に嵌め込む必要が有るため、位置決めが困難であり、時間がかかる。また、針管台座11、プランジャー12、及び筒体10は、プラスチック射出成形により製造され、針管台座11および凸型柱113の射出成形には複雑なモジュールが必要であり、コストが高い。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、組付けが容易であり且つ低コストの注射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による注射器は、注射筒、プランジャー、および針管台座を備える。注射筒は、筒状に形成され軸線方向に沿って形成され、第1注射筒、第1注射筒の一端から延びる第2注射筒、及び、第1注射筒の内壁に環状に形成される可撓性の第1反転環を有し、第1反転環は、可動する第1可撓部を有し、第2注射筒側に折り畳むことにより第1注射筒から第2注射筒へ延びながら軸線を中心として収縮する。
【0007】
プランジャーは、軸線上を往復移動可能に注射筒内に挿設されるプランジャー支持部、及び、プランジャー支持部の一端に設置される栓部を有する。
針管台座は、第2注射筒内に脱着可能に設置される。
プランジャーの前記栓部は、針管台座の内部に嵌め込むことにより、第1可撓部を開き、第1可撓部と針管台座とを離間させる。
【0008】
本発明によれば、第1反転環及び第2注射筒により、効果的に針管台座の位置を決めることができ、組付けが容易になる。また、針管台座の外形が従来のものより簡単であるため、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一実施形態による注射器においてプランジャーの注射位置を示す断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態による注射器においてプランジャーの限界位置を示す断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態による注射器においてプランジャーの放棄位置を示す断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態による注射器の分解斜視図である。
【図5】本発明の第一実施形態による注射器の分解断面図である。
【図6】本発明の第一実施形態による注射器の分解断面図である。
【図7】本発明の第二実施形態による注射器の断面図である。
【図8】本発明の第三実施形態による注射器の断面図である。
【図9】従来の注射器を示す分解斜視図である。
【図10】従来の注射器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。また、以下に説明する内容に於いて同じ部材には同じ符号を用いる。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態の構成を図2から図6に示す。図1に示すように、本発明の第一実施形態による注射器は、注射筒2、プランジャー3、及び針管台座4を備える。
【0011】
図1、図2及び図3に示すように、注射筒2は、軸線L方向に形成され、第1注射筒21、第1注射筒21の一端から延びる第2注射筒22、第1注射筒21の内側に環状に形成される可撓性の第1反転環23、第2注射筒22の内側に設置される位置決め環24、及び、第1注射筒21と第2注射筒22との間に形成される収納空間25を備え、第2注射筒22の内径が第1注射筒21の内径より小さく形成される。
【0012】
第1反転環23は、第2注射筒22側に折り畳むことにより第1注射筒21から第2注射筒22へ延びながら軸線Lを中心として収縮する。第1反転環23は、第1注射筒21の内側に設置されると共に軸線Lの周方向に環状に形成される第1環状基部231、及び第1環状基部231とは反対側に形成され開口部233を有する第1可撓部232を有する。第1可撓部232の一端には複数の互いに間隔を有する方形穴が形成される。
【0013】
プランジャー3は、軸線L方向に移動可能に注射筒2に挿設されるプランジャー支持部31、プランジャー支持部31の一端に設置される栓部32、及び、栓部32に環装されるピストン33を備える。
【0014】
プランジャー3の栓部32は、環状突縁部321、及びピストン33と環状突縁部321との間に設けられる拡大環322を有する。
【0015】
針管台座4は、第2注射筒22に脱着可能に設置され第2注射筒22内に移動可能に設置され、位置決め環24に当接する本体41、本体41の底部に設置され位置決め環24に貫設される嵌合管42、本体41の上縁から嵌合管42へ延びながら軸線Lを中心として収縮する第2反転環43、及び本体41の周方向に環状に形成されるシールリング44を有する。
【0016】
第2反転環43は本体41に設置され軸線Lの周方向に環状に形成される第2環状基部431、及び軸線Lの周方向に環状に形成され第2環状基部431とは反対側に位置する第2可撓部432を有する。
【0017】
図4及び図5に示すように、製造工程に於いて、プラスチック射出成形を用いて注射筒2、プランジャー3、及び針管台座4を製造する。プラスチック射出工程において、第1可撓部232及び第2可撓部432は、上に向けて第2注射筒22から離れる方式で製造されるため脱型が容易になる。
【0018】
図6及び図1に示すように、ピストン33をプランジャー3の栓部32に覆設し、シールリング44を針管台座4の本体41に覆設する。続いて、注射筒2の第1可撓部232を第2注射筒22の方向へ折り曲げ、針管台座4の第2可撓部432を本体41の内側へ折り曲げる。その後針管台座4を注射筒2の第2注射筒22内へ入れ、第1反転環23の第1可撓部232を第2反転環43の第2環状基部431に当接させ、針管台座4が前記第1注射筒21へ滑動することを抑制する。プランジャー3の栓部32を第1注射筒21へ挿入し、針5を本体41の嵌合管42に内接し、組付けを完成する。
【0019】
図1、図2及び図3に示すように、プランジャー3は針管台座4に対して注射位置、限界位置、及び放棄位置の間を移動し、注射筒2内の薬液を針管台座4の嵌合管42から押し出し、針5を第1注射筒21内に収納する。
【0020】
プランジャー3が注射位置に位置する場合、プランジャー3の栓部32は、第1注射筒21内に位置し、栓部32のピストン33と第1反転環23の第1環状基部231とは互いに所定間隔を有し、第1可撓部232は第2反転環43の第2環状基部431に当接し、針管台座4は、第2注射筒22内に位置し、栓部32の環状突縁部321は針管台座4の本体内に貫設されていない。
プランジャー3が限界位置に位置する場合、栓部32のピストン33の一端は第1環状基部232に当接し、栓部32の環状突縁部321は針管台座4の本体41を貫設すると共に第2可撓部432と相互に咬合し、拡大環322は可撓部232に当接して収納空間25へ進入し、第1可撓部232の開口部233を開き、第1可撓部232は針管台座4から離脱する。これにより、環状突縁部321が第2可撓部432に咬合した後、ユーザーは、プランジャー3を後ろへ引き戻し、針管台座4を第1反転環23の抵抗から解放する。よって、プランジャー3は第1注射筒21の方向へ移動され第2注射筒22から離脱される。これにより針5は第1注射筒21に収納され、放棄位置まで移動し、誤って人を刺さらないようになる。
【0021】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態を図7に基づいて説明する。
図7に示すように、本発明の二実施形態による注射器は、上記第一実施形態に比べ、第1可撓部232の一端の外形が平面状を呈する点で異なる。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、本発明の第三実施形態による注射器は、上記第一実施形態に比べ、第1可撓部232に複数ののこぎりの歯の形状を有する穴が形成される点で異なる。
【0022】
組付け時に精確に位置決めを行わずに、針管台座4を第2注射筒22に装入すれば第1反転環23により位置決めが行われ、組付け上の利便性が高まる。また、従来の高精度に要求されている凸型柱113のように、針管台座4を成形する必要がないため、製造コストも大幅に低減することができる。
【0023】
他の実施形態では、注射筒2は、第1注射筒21の内径と第2注射筒22の内径とが同じとなるよう形成することとしても良い。
【0024】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0025】
2・・・注射筒、
3・・・プランジャー、
4・・・針管台座、
21・・・第1注射筒、
22・・・第2注射筒、
23・・・第1反転環、
232・・・第1可撓部、
L・・・軸線、
31・・・プランジャー支持部、
32・・・栓部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成され軸線方向に形成され、第1注射筒、当該第1注射筒の一端から延びる第2注射筒、及び、前記第1注射筒の内側に環状に形成される可撓性の第1反転環を有し、前記第1反転環は、可動する第1可撓部を有し、前記第2注射筒側に折り畳むことにより前記第1注射筒から前記第2注射筒へ延びながら前記軸線を中心として収縮する注射筒と、
前記軸線上を往復移動可能に前記注射筒内に挿設されるプランジャー支持部、及び、当該プランジャー支持部の一端に設置される栓部を有するプランジャーと、
前記第2注射筒内に脱着可能に設置される針管台座を備え、
前記プランジャーの前記栓部は、前記針管台座の内部に嵌め込むことにより、前記第1可撓部を開き、前記第1可撓部と前記針管台座とを離間させることを特徴とする注射器。
【請求項2】
前記プランジャーは、
前記針管台座に対して、注射位置、限界位置、及び放棄位置の間を移動し、
前記注射位置に位置する場合、前記プランジャーの前記栓部は前記第1注射筒内に位置すると共に前記針管台座と所定間隔を有し、前記針管台座は、前記第1可撓部に支持され前記第2注射筒内に位置し、
前記限界位置に位置する場合、前記栓部は前記針管台座の内部に嵌め込み、前記第1可撓部を開き、前記第1可撓部と前記針管台座とを離間させ、
前記放棄位置に位置する場合、前記プランジャーが前記第2注射筒から離れ、前記針管台座が前記第1反転環の支持から解放され前記第2注射筒から離脱することを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記注射筒は、前記第2注射筒の内径が前記第1注射筒の内径より小さく形成され、前記第1注射筒と前記第2注射筒と間に形成され前記第1可撓部を収納する収納空間を更に有し、前記プランジャーが前記限界位置に位置する場合、前記第1可撓部は前記栓部により前記収納空間内に押し込まれることを特徴とする請求項2に記載の注射器。
【請求項4】
前記注射筒は、前記第2注射筒の内側に設置される位置決め環を更に有し、
前記針管台座は、前記第2注射筒内に移動可能に設置され前記位置決め環に当接する本体、当該本体の底部に設置され前記位置決め環に貫設される嵌合管、前記本体の上縁から前記嵌合管へ延びながら前記軸線を中心として収縮する第2反転環、及び、前記本体の周方向に環状に形成されるシールリングを有することを特徴とする請求項3に記載の注射器。
【請求項5】
前記第1反転環は、前記第1注射筒の内側に設置される第1環状基部を更に有し、前記第1可撓部は前記第1環状基部とは反対側に設けられ、
前記第2反転環は、前記本体に設置され前記軸線の周方向に環状に形成される第2環状基部、及び、前記軸線の周方向に環状に形成され前記第2環状基部とは反対側に位置する第2可撓部を有することを特徴とする請求項4に記載の注射器。
【請求項6】
前記プランジャーは、前記栓部の周方向に環状に形成されるピストンを更に有し、
前記栓部は、環状突縁部、及び前記ピストンと前記環状突縁部との間に設けられる拡大環を有し、
前記プランジャーが前記限界位置に位置する場合、前記ピストンの一端は前記第1環状基部に当接し、前記環状突縁部は前記本体内に貫設されると共に前記第2可撓部と相互に咬合し、前記拡大環は前記第1可撓部を開くことを特徴とする請求項5に記載の注射器。
【請求項7】
前記第1可撓部には互いに所定間隔を有する方形穴が複数形成されることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項8】
前記第1可撓部の一端は、平面状を呈することを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項9】
前記第1可撓部にはのこぎりの歯の形状を有する穴が複数形成されることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項10】
前記注射筒は、前記第1注射筒の内径と前記第2注射筒の内径と等しく形成されることを特徴とする請求項1に記載の注射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−99512(P2013−99512A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205546(P2012−205546)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(510019196)
【Fターム(参考)】