説明

注射練習器具

【課題】本発明の注射練習器具によれば、模擬血管がポリウレタン材製であることにより、実際の血管に近い感触が得られると同時に、繰り返し注射針を刺しても損傷することが無い注射練習器具を提供することを目的とする。
【解決手段】枠体内に弾性チューブよりなる模擬血管を配置し、該模擬血管を模擬筋肉層で覆った注射練習器具において、該模擬筋肉層が、該枠体の底部に配置したポリウレタンゲル材製の下層模擬筋肉層と、ポリウレタン材製の袋状体内にポリウレタンゲル材製の充填物を充填してなる上層模擬筋肉層とよりなり、該下層模擬筋肉層と該上層模擬筋肉層との間に模擬血管を配置した構成を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射練習器具に関する。
また、本発明は、より実際に近い状態で注射操作の練習が可能な注射練習器具に関する。
更に、本発明は、針刺しの耐久性に優れる注射練習器具に関する。
更にまた、本発明は、人により異なる皮膚の厚さや硬さ、更には皮下脂肪、筋肉の状態を容易に実現可能な注射練習器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第四図に示す注射練習器具が知られている。
この種注射練習器具は、台100と、この台100の上面に配置された模擬筋肉層300と、この模擬筋肉層300内に埋設された弾性チューブよりなる模擬血管200とより構成されている。
この種注射練習器具の模擬筋肉層300および模擬血管200はシリコーン材が使用されている。
シリコーン材は低硬度で人体の感触に近い材料であるが、材料強度が弱いため繰り返し使用すると、早期に損傷してしまう欠点を有していた。
この様な注射練習器具として、実開平6−4768号公報に示される注射練習器具が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−161522号公報
【特許文献2】実開平6−4768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した第四図に示す注射練習器具では、シリコーン材は低硬度で人体の感触に近い材料であるが、材料強度が弱いため繰り返し使用すると、早期に損傷してしまう欠点を有していた。
また、模擬血管200は模擬筋肉層300内に一体的に埋設されているため、血管の太さや、筋肉の硬さや厚さに応じた各種の人体を再現することが困難であった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、従来の注射練習器具の材料として、ポリウレタンを使用することにより、長期間の使用に耐える注射練習器具を提供することである。
【0006】
また、本発明は、従来の注射練習器具に比べ、実際の人体により近い感触を与える注射練習器具を提供することを目的とする。
また、本発明は、下層模擬筋肉層と上層模擬筋肉層との間に模擬血管を配置した構成としているため、血管の太さや、筋肉の硬さや厚さに応じた各種の人体を再現することが、容易に可能な注射練習器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の注射練習器具は、 枠体内に弾性チューブよりなる模擬血管を配置し、前記模擬血管を模擬筋肉層で覆った注射練習器具において、前記模擬筋肉層が、前記枠体の底部に配置したポリウレタンゲル材製の下層模擬筋肉層と、ポリウレタン材製の袋状体内にポリウレタンゲル材製の充填物を充填してなる上層模擬筋肉層とよりなり、前記下層模擬筋肉層と前記上層模擬筋肉層との間に前記模擬血管を配置したことを特徴としている。
【0008】
本発明の注射練習器具によれば、模擬血管がポリウレタン材製であることにより、実際の血管に近い感触が得られると同時に、繰り返し注射針を刺しても損傷することが無い。
【0009】
本発明の注射練習器具によれば、枠体が不透明であることから、練習者が模擬血管を見づらくなるため、実際の操作に近い形が再現できる。
【0010】
本発明の注射練習器具によれば、枠体が透明であることから、注射針が模擬血管に入ったか否かを確認することが容易になる。
【0011】
本発明の注射練習器具によれば、ポリウレタンゲル材の硬度がJISA0〜20度であることから、より実際の筋肉に近い感触が得られる。
【0012】
本発明の注射練習器具によれば、模擬血管と模擬筋肉層とがポリウレタンゲル材により固着されているので、模擬血管と模擬筋肉層とが実際の人体に近い形で保持されるとともに、模擬血管と模擬筋肉層とを容易に分離し、各種組み合わせが可能なため、血管の太さや、筋肉の硬さや厚さに応じた各種の人体を再現することができる。
【0013】
本発明の注射練習器具によれば、袋状体の材質硬度がJISA80〜95度、好ましくはJISA85〜90度であることから、実際の人体の皮膚感覚が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明の注射練習器具によれば、長期間の使用に耐える注射練習器具を提供することができる。そして、下層模擬筋肉層と上層模擬筋肉層との間に模擬血管を配置する構成としているため、その模擬血管が実際の血管の動き、即ち、注射針を刺した際に、模擬血管が左右に逃げる状態を忠実に再現できる。
また、請求項2記載の発明の注射練習器具によれば、模擬血管がポリウレタン材製であることにより、実際の血管に近い感触が得られると同時に、繰り返し注射針を刺しても損傷することが無い。
【0015】
更に、請求項3記載の発明の注射練習器具によれば、枠体が不透明であることから、練習者が模擬血管を見づらくなるため、実際の操作に近い形が再現できる。
更に、請求項4記載の発明の注射練習器具によれば、枠体が透明であることから、注射針が模擬血管に入ったか否かを確認することが容易になる。
また、請求項5記載の発明の注射練習器具によれば、ポリウレタンゲル材の硬度がJISA0〜20度であることから、より実際の筋肉に近い感触が得られる。
【0016】
更に、請求項6記載の発明の注射練習器具によれば、模擬血管と模擬筋肉層とが実際の人体に近い形で保持されるとともに、模擬血管と模擬筋肉層とを容易に分離し、各種組み合わせが可能なため、血管の太さや、筋肉の硬さや厚さに応じた各種の人体を再現することができる。
更に、請求項7記載の発明の注射練習器具によれば、実際の人体の皮膚感覚が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
第一図乃至第三図に基づき発明を実施するための最良の形態について説明する。
この種注射練習器具は、ポリプロピレン製の透明な枠体1内にポリウレタン材製の弾性チューブよりなる模擬血管2が配置されている。材質はポリプロピレン製に限らず、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、金属等が適宜用いられる。
透明な枠体1としているので、注射針が模擬血管に入ったか否かを確認することが容易になる。図上、注射器4の針が模擬血管2に刺さった状態を示している。
一方、不透明な枠体1とした場合は練習者が模擬血管を見づらくなるため、実際の操作に近い形が再現できる利点がある。
透明な枠体1とするか不透明な枠体1とするかは、その練習段階に応じて適宜選択して用いられる。
【0018】
また、模擬血管2は、直径3ミリメートルの中空体で、両端は閉じている。内部には、模擬血液として、赤色、紫色あるいは橙色等の実際の血液に類似した色調を持たせておくことが好ましい。模擬血管2の材質としては、ポリウレタンが好ましいが、天然ゴム、EPDM,低密度ポリエチレン、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム等が適宜選択して用いられる。模擬血管2の外径および肉厚は、訓練対象となる血管に応じて適宜選択して用いられる。
そして、模擬血管2は半流動性を有するポリウレタンゲル材製の模擬筋肉層3で覆われている。
【0019】
このポリウレタンゲル材の硬度は、JISA硬度で10であるが、JISA硬度0〜20のものが適宜選択的に用いられる。
この模擬筋肉層3は、枠体1の底部に配置したポリウレタンゲル材製の下層模擬筋肉層31と、ポリウレタン材製の袋状体33内にポリウレタンゲル材製の充填物34を充填してなる上層模擬筋肉層32とよりなりなっている。
【0020】
そして、下層模擬筋肉層31と上層模擬筋肉層32との間に模擬血管2を配置する構成としている。この袋状体33は、実際の皮膚の感覚に近付けるため、厚さは0.02ミリメートル〜2ミリメートルで、JISA硬度90〜95のものが適宜選択して用いられる。
また、模擬血管2と模擬筋肉層3とがポリウレタンゲル材により分離可能に固着されている。
【0021】
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、実際の血管に近い感触が得られると同時に、繰り返し注射針を刺しても損傷することが無い。
【0022】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】注射練習器具にかかる発明の実施の形態を示す平面図である。
【図2】第1図のA−A断面図である。
【図3】第1図のB−B断面図である。
【図4】注射練習器具にかかる従来技術にかかる形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1‥‥枠体
2‥‥模擬血管
3‥‥模擬筋肉層
4‥‥注射器
31‥‥下層模擬筋肉層
32‥‥上層模擬筋肉層
33‥‥袋状体
34‥‥充填物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体(1)内に弾性チューブよりなる模擬血管(2)を配置し、前記模擬血管(2)を模擬筋肉層(3)で覆った注射練習器具において、前記模擬筋肉層(3)が、前記枠体(1)の底部に配置したポリウレタンゲル材製の下層模擬筋肉層(31)と、ポリウレタン材製の袋状体(33)内にポリウレタンゲル材製の充填物(34)を充填してなる上層模擬筋肉層(32)とよりなり、前期下層模擬筋肉層(31)と前記上層模擬筋肉層(32)との間に前記模擬血管(2)を配置したことを特徴とする注射練習器具。
【請求項2】
前記模擬血管(2)がポリウレタン材製であることを特徴とする請求項1記載の注射練習器具。
【請求項3】
前記枠体(1)が不透明であることを特徴とする請求項1乃至2記載の注射練習器具。
【請求項4】
前記枠体(1)が透明であることを特徴とする請求項1乃至2記載の注射練習器具。
【請求項5】
前記ポリウレタンゲル材の硬度がJISA0〜20度であることを特徴とする請求項1乃至4記載の注射練習器具。
【請求項6】
前記模擬血管(2)と前記模擬筋肉層(3)とがポリウレタンゲル材により固着されていることを特徴とする請求項1乃至5記載の注射練習器具。
【請求項7】
前記袋状体(33)の材質硬度がJISA80〜95度であることを特徴とする請求項1乃至6記載の注射練習器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−206379(P2007−206379A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25191(P2006−25191)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(502145313)ユニマテック株式会社 (169)
【Fターム(参考)】