説明

注視領域データ生成装置およびその動作方法

【課題】表示される複数の領域の中のどの領域がどのような順序で注視されたかを知る。
【解決手段】視点の動きが停止したことを検出したなら、視点の位置を示す停留点座標を含む停留点データを生成し、停留点データを停留点データ記憶部111に記憶させる停留点データ生成部110と、停留点データ記憶部111に停留点データが記憶されたなら、当該停留点データ内の停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを領域データ記憶部107から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、当該読み出した領域IDを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて注視領域データ記憶部113に記憶させる注視領域データ生成部112とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注視領域データ生成装置およびその動作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウェブサービス等の画面をユーザがどのように注視するかを計測する場合,一般にはウェブブラウザを注視するユーザの視線を計測し,視線座標から,ウェブブラウザのどの部分を見ているかを特定する手法が広く用いられている.このような手法では,ビデオで撮影した画面映像に,視線位置を表示しておき、後から撮影したビデオ動画を再生することで、ユーザが画面上のどの箇所を見ているかを理解することが可能である(従来技術1)。
【0003】
また、コンピュータに、ユーザの視線データと、表示した画面情報を、例えば毎秒30フレーム、同時に記録しておき、後から画面情報の上に視線データを重ねて表示するという手法も用いられている。この場合、1フレームごとに画面上のどの箇所を注視しているかだけでなく、視線が一定時間以上、画面上の一カ所にとどまる、いわゆる「停留点」を視線データから算出し、画面上に表示するとも可能である。その場合、停留点の分布から、画面上のどの領域を多く注視していたかを知ることが可能である。特に停留点の分布密度をヒートマップの形式で表示し、密度が高いほど明るい色で表示することで、画面上でどの領域に停留点が分布したかを理解することができる。さらにある停留点から他の停留点へ視線が移動したかを、矢印等で表示することで、画面上の注視順序を知ることが可能である。さらには、画面データを矩形領域で区切り、それぞれの矩形領域に含まれる停留点の密度を算出することで、どの矩形領域を多く見たかを知ることも可能である(従来技術2)。
【0004】
画面上であらかじめ定めた領域に対して、どの領域を見ているかを、リアルタイムに記録することで、後から画面上のどの領域を多く見ていたかを理解する手法も提案されている(特許文献1参照)。この手法を用いることで、どの領域を主に見ており、どの領域を見ていなかったかを後から理解することが可能である(従来技術3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−14988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術1では、ユーザは記録したビデオ動画を再生して、逐一、画面上のどの箇所をユーザが注視していたかを理解する必要がある。そのため、ユーザの注視箇所を正確に理解するためには、スロー再生、コマ送り等を行う必要があり、分析に多大な時間を要する。
【0007】
従来技術2であれば、記録した画面上に、一定時間の視線をまとめて表示することが可能である。そのため、従来技術1と異なり、ユーザの注視箇所を、容易に理解可能である。しかしながら、ユーザが多く注視した箇所に何が表示されていたかを理解する作業は、分析者に任されており、分析者の主観が入り込む余地がある。また、厳密に理解するためには、追加の分析作業が必要となる。例えば、ウェブ画面の見出し上に多く停留点が分布していた場合、その見出しをよく見ていた、ということが分かるが、複数の見出しのどちらをよく見ていたか、ということについては、ある見出しの方が多く見られた、ということを主観的に判断するか、あるいはそれぞれの見出しに含まれる停留点の個数を数え上げ、それぞれの見出しの面積で除算して単位面積あたりの停留点数を求め、比較を行う必要がある。
【0008】
従来技術3では、事前に矩形領域を設定することで、停留点がどの矩形領域に多く存在するかを自動的に判定することが可能となる。しかしながら、事前に矩形領域を設定しておく必要がある。また、矩形領域であっても種類が異なればユーザの行動も異なることが予想されるが、その矩形が見出しか、あるいは画像かなどを矩形領域情報だけから決定することはできず、そのような分析を行う場合には、別途、分析者が矩形領域の種類を決定する必要がある。
【0009】
いずれの場合にも、ユーザが様々なウェブページを見る際の視線を計測しようとした場合、事後の解析に非常に手間を要し、効率的な解析が困難である。
【0010】
また、使いやすいウェブページを作成するためには、作成者が意図した順序でユーザがウェブページを見ることが重要となることから、見る順序を簡単に知ることができれば、ユーザがわかりやすいウェブページを作成できたかを理解する手がかりとなる。しかしながら、一般にユーザがウェブページを見る際の特性として、視線が様々な領域をいったりきたりしながら注視することが知られている。そのため、ユーザがどのような順序でウェブページを見ていたかを調べようとしても、単に視線データから注視の順序を求めても、同じ領域を何度も見たり、特定の領域から様々な領域へ視線が移動する場合があり、見る順序が非常に複雑になることから、見る順序を理解することは困難である。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示される複数の領域の中のどの領域がどのような順序で注視されたかを知ることができる注視領域データ生成装置およびその動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、第1の本発明は、注視領域データ生成装置であって、複数の領域のそれぞれにつき、当該領域が表示される表示画面における当該領域の位置を示す画面内領域座標と、当該領域に付与された領域IDと、を含む領域データが記憶される領域データ記憶部と、前記表示画面における視点の位置を示す視点座標を外部から受信する視点座標受信部と、前記視点座標に基づいて、前記視点の動きが停止したことを検出したなら、当該視点の位置を示す停留点座標を含む停留点データを生成し、当該停留点データを予め設けられた停留点データ記憶部に記憶させる停留点データ生成部と、前記停留点データ記憶部に新たに停留点データが記憶されたなら、当該停留点データ内の停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを前記領域データ記憶部から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、当該読み出した領域IDを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、予め設けられた注視領域データ記憶部に記憶させる注視領域データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0013】
第1の本発明において、例えば、前記停留点データ生成部は、前記視点の動きが停止している時間の長さを示す停留時間を求め、当該停留時間を該当の停留点データに含ませるものであり、前記注視領域データ生成部は、前記停留点データ記憶部に新たに停留点データが記憶されたなら、当該停留点データから停留点座標と停留時間を読み出し、当該停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを前記領域データ記憶部から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、前記領域データから読み出した領域IDと前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが相違しているなら、前記領域データから読み出した領域IDと、前記停留点データから読み出した停留時間に等しい注視時間とを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、前記注視領域データ記憶部に記憶させる一方、前記領域データから読み出した領域IDと前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが互いに同じなら、前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の注視時間に前記停留点データから読み出した停留時間を加算する。
【0014】
第1の本発明において、例えば、注視領域データ生成装置は、前記注視領域データ記憶部の各注視領域データに基づいて、どの領域がどのような順序で注視されたかを可視化する注視領域可視化部を備える。
【0015】
第2の本発明は、注視領域データ生成装置が行う動作方法であって、前記注視領域データ生成装置は、複数の領域のそれぞれにつき、当該領域が表示される表示画面における当該領域の位置を示す画面内領域座標と、当該領域に付与された領域IDと、を含む領域データが記憶される領域データ記憶部を備え、前記動作方法は、前記注視領域データ生成装置の視点座標受信部が、前記表示画面における視点の位置を示す視点座標を外部から受信し、前記注視領域データ生成装置の停留点データ生成部が、前記視点座標に基づいて、前記視点の動きが停止したことを検出したなら、当該視点の位置を示す停留点座標を含む停留点データを生成し、当該停留点データを予め設けられた停留点データ記憶部に記憶させ、前記注視領域データ生成装置の注視領域データ生成部が、前記停留点データ記憶部に新たに停留点データが記憶されたなら、当該停留点データ内の停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを前記領域データ記憶部から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、当該読み出した領域IDを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、予め設けられた注視領域データ記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0016】
第2の本発明において、例えば、前記停留点データ生成部は、前記視点の動きが停止している時間の長さを示す停留時間を求め、当該停留時間を該当の停留点データに含ませるものであり、前記注視領域データ生成部は、前記停留点データ記憶部に新たに停留点データが記憶されたなら、当該停留点データから停留点座標と停留時間を読み出し、当該停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを前記領域データ記憶部から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、前記領域データから読み出した領域IDと前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが相違しているなら、前記領域データから読み出した領域IDと、前記停留点データから読み出した停留時間に等しい注視時間とを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、前記注視領域データ記憶部に記憶させる一方、前記領域データから読み出した領域IDと前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが互いに同じなら、前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の注視時間に前記停留点データから読み出した停留時間を加算する。
【0017】
第2の本発明において、例えば、前記注視領域データ生成装置の注視領域可視化部が、前記注視領域データ記憶部の各注視領域データに基づいて、どの領域がどのような順序で注視されたかを可視化する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、表示される複数の領域の中のどの領域がどのような順序で注視されたかを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係る注視領域データ生成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】領域種類データ記憶部105の一例を示す図である。
【図3】領域データ記憶部107の一例を示す図である。
【図4】注視領域データ生成装置の動作の過程でHTMLデータが表示され、視点Gが表示画面上を移動していく様子を示す図である。
【図5】停留点データ記憶部111の一例を示す図である。
【図6】注視領域データ記憶部113の一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る注視領域データ生成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】注視領域可視化部114によりどの領域がどのような順序で注視されたかが可視化された様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る注視領域データ生成装置の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
注視領域データ生成装置1は、インターネットなどのネットワークからHTMLデータを受信するHTMLデータ受信部101と、HTMLデータを解析するHTMLデータ解析部102と、HTMLデータの解析結果からDOM構成データを生成するDOM構成データ生成部103と、DOM構成データが記憶されるDOM構成データ記憶部104と、HTMLデータを表示したときに表示される可能性のある複数種類の各領域に関する領域種類データが記憶される領域種類データ記憶部105と、HTMLデータを表示したときに表示される各領域に関する領域データを生成する領域データ生成部106と、領域データが記憶される領域データ記憶部107と、HTMLデータを外部の表示装置2に表示させる表示制御部108と、表示装置2の表示画面におけるユーザの視点の位置を示す視点座標を計測する外部の視点計測装置3から視点座標を受信する視点座標受信部109と、視点座標に基づいて、視点の動きが予め定められた時間以上停止した場合の当該視点の位置である停留点に関する停留点データを生成する停留点データ生成部110と、停留点データが記憶される停留点データ記憶部111と、停留点データに基づき、ユーザが注視した領域を示す注視領域データを生成する注視領域データ生成部112と、注視領域データが記憶される注視領域データ記憶部113とを備える。
【0023】
注視領域データ生成装置1は、図示しないが、マウスやキーボードなどの入力装置にも接続されている。
【0024】
図2は、領域種類データ記憶部105の一例を示す図である。
【0025】
領域種類データ記憶部105に記憶された各領域種類データは、該当種類に領域に関する属性情報と領域種類情報を含むものである。属性情報は、該当種類の領域がDOM構成データでどのように識別されるかを示すものである。領域種類情報は、該当種類の領域にどのような情報が表示される領域かを示すものである。
【0026】
同図に示す領域種類データ記憶部105は、属性情報「H1」と領域種類情報「ラベル」とを含む領域種類データを記憶している。つまり、DOM構成データで「H1」とは「ラベル」なのである。
【0027】
また、同図に示す領域種類データ記憶部105は、属性情報「IMG」と領域種類情報「図」とを含む領域種類データを記憶している。つまり、DOM構成データで「IMG」とは「図」なのである。
【0028】
また、同図に示す領域種類データ記憶部105は、属性情報「P」と領域種類情報「文章」とを含む領域種類データを記憶している。つまり、DOM構成データで「P」とは「文章」なのである。
【0029】
同図に示す領域種類データ記憶部105は、その他の領域種類データも記憶しているが、各領域種類データは、上記の説明したものと同様に、該当種類の領域がDOM構成データでどのように識別されるかを示す属性情報と、該当種類の領域にどのような情報が表示されるかを示す領域種類情報を含んでいる。
【0030】
図3は、領域データ記憶部107の一例を示す図である。
【0031】
領域データ記憶部107に記憶される各領域データは、領域ID、領域座標および画面内領域座標、属性情報および領域種類情報を含む。
【0032】
領域IDとは、領域の識別情報である。
【0033】
領域座標とは、領域の位置を、HTMLデータを全て表示したと仮定したときの計算上での左上隅を基準として示すものである。
【0034】
画面内領域座標とは、領域の位置を、HTMLデータの表示されている部分の左上隅を基準として示すものである。
【0035】
属性座標および領域種類情報は、図2に示した領域種類データから読み出され、書き込まれたものである。
【0036】
領域データ記憶部107は、例えば、領域ID「1」と、領域座標「(100,100)‐(240,140)」と、画面内領域座標「(100,100)‐(240,140)」と、属性情報「H1」、領域種類情報「ラベル」とを含む領域データを記憶している。
【0037】
この領域座標は、領域の左上隅の座標(100,100)と、領域の右下隅の座標(240,140))をからなる。
【0038】
つまり、領域の左上隅の座標は、HTMLデータを全て表示したと仮定したときの計算上での左上隅から右方向に100ピクセル、下方向に100ピクセル離れた位置にあり、領域の右下隅の座標は、HTMLデータを全て表示したと仮定したときの計算上での左上隅から右方向に240ピクセル、下方向に140ピクセル離れた位置にある。
【0039】
一方、画面内領域座標は、領域の左上隅の座標(100,100)と、領域の右下隅の座標(240,140)からなる。
【0040】
つまり、領域の左上隅の座標は、HTMLデータの表示されている部分の左上隅から右方向に100ピクセル、下方向に100ピクセル離れた位置にあり、領域の右下隅の座標は、HTMLデータの表示されている部分の左上隅から右方向に240ピクセル、下方向に140ピクセル離れた位置にある。
【0041】
この領域ID「1」を含む領域データと同様に、各領域ID「2」〜「5」を含む領域データは、画面内領域座標を含んでいる。つまり、これらの領域は、表示画面に表示されているのである。
【0042】
一方、領域ID「6」を含む領域データは、画面内領域座標を含んでいない。つまり、この領域は、表示されていないのである。
【0043】
各領域は、例えば、ユーザがいわゆるスクロール操作を行うことで表示されたり、表示にされなかったりし、これにより、領域データに画面内領域座標が含まれたり、含まれなかったりする。
【0044】
(注視領域データ生成装置の動作)
図4は、注視領域データ生成装置の動作の過程でHTMLデータが表示され、視点Gが表示画面上を移動していく様子を示す図である。
【0045】
ここでは、HTMLデータは受信済みであり、DOM構成データは生成済みであり、かつ、DOM構成データ記憶部104に記憶されていることとする。
【0046】
まず、領域データ生成部106は、DOM構成データに基づき、HTMLデータを表示したときに表示される各領域につき、その属性情報を含む領域種類データを領域種類データ記憶部105から検索し、領域種類データから領域種類情報を読み出す。
【0047】
次に、領域データ生成部106は、各領域につき、領域に固有の領域IDを付与し、この領域ID、領域の領域座標、該当の属性情報および領域種類情報を含む領域データを生成し、領域データ記憶部107に記憶させる。
【0048】
一方、表示制御部108は、DOM構成データを読み出し、DOM構成データに基づいてHTMLデータを表示装置2に表示させる。
【0049】
領域データ生成部106は、表示装置2の表示画面に表示されている各領域につき、画面内領域座標を算出し、該当の領域データに記憶させ、画面がスクロールするごとに、かかる処理を行う。例えば、領域データ生成部106は、表示されていない領域については、該当の領域データから画面内領域座標を消去する。
【0050】
図4に示すように、あるタイミングでは、例えば、6個の領域が表示される。視点Gは、例えば、「今日のニュース」と表示された領域R1には移動せず、まずは、見出し1が表示された領域R2に移動し、その後、見出し1の本文が表示された領域R3、見出し2が表示された領域R4、写真が表示された領域R6、見出し2の本文が表示された領域R5へと、この順序で移動していく。
【0051】
視点座標受信部109は、上記のように移動していく視点Gの視点座標を視点計測装置3から受信する。
【0052】
停留点データ生成部110は、例えば、表示画面において、あるフレームが表示されているときの視点Gと次のフレームが表示されているときの視点Gとの距離を視点座標により計算し、距離が予め定められた値(例えば、20ピクセル)以下であり、かかる状態が予め定められた時間(例えば、100ミリ秒)以上続いた場合は、そのような状態の開始時刻から終了時刻までの時間の長さを停留時間として求め、視点座標の平均を停留点座標として求める。
【0053】
停留点データ生成部110は、停留点データ記憶部111に停留点データがないなら、停留順序情報「1」と、当該停留時間と、当該停留点座標とを含む停留点データを生成し、停留点データ記憶部111に記憶させる。
【0054】
一方、停留点データ生成部110は、停留点データ記憶部111に停留点データがあるなら、直前に記憶された停留点データ内の停留順序情報より1多い停留順序情報と、当該停留時間と、当該停留点座標とを含む停留点データを生成し、停留点データ記憶部111に記憶させる。
【0055】
停留点データ生成部110は、以降も、上記のような状態が検出されたら、その各回において、同様に停留点データを生成し、停留点データ記憶部111に記憶させる。
【0056】
図5は、停留点データ記憶部111の一例を示す図である。
【0057】
停留順序情報「1」と、停留時間「120(ミリ秒)」と、停留点座標「(100,125)」とを含む停留点データは、視点Gが最初に、(100,125)の位置に120ミリ秒停留したことを示す。
【0058】
停留順序情報「2」と、停留時間「240(ミリ秒)」と、停留点座標「(135,205)」とを含む停留点データは、視点Gが次に、(135,205)の位置に240ミリ秒停留したことを示す。
【0059】
停留点データ記憶部111には、これ以降における、同様な停留点に関する停留点データも記憶される。
【0060】
注視領域データ生成部112は、停留点データ記憶部111に新たに停留点データが記憶され、停留点データが所定の条件を満たしたなら、注視領域データを生成して注視領域データ記憶部113に記憶させ、別の条件を満たしたなら、既存の注視領域データを更新する。
【0061】
具体的には、注視領域データ生成部112は、新たに記憶された停留点データから停留点座標と停留時間を読み出し、停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを領域データ記憶部107から検索し、該当の領域データがあるなら、領域データから領域IDと領域種類情報を読み出す。
【0062】
以下、該当の領域データが必ずあることとして、つまり、領域以外の部分には視点が停留しないこととして、説明を続ける。
【0063】
注視領域データ生成部112は、注視領域データ記憶部113に注視領域データがないなら、読み出した領域IDと、読み出した停留時間に等しい注視時間と、読み出した領域種類情報とを含む注視領域データを生成し、これに注視順序情報「1」を対応づけて、注視領域データ記憶部113に記憶させる。
【0064】
一方、注視領域データ生成部112は、注視領域データ記憶部113に注視領域データがあるなら、読み出した領域IDを、直前に記憶された注視領域データ内の領域IDと比較する。
【0065】
注視領域データ生成部112は、領域IDどうしが相違しているなら、読み出した領域IDと、読み出した停留時間に等しい注視時間と、読み出した領域種類情報とを含む注視領域データを生成し、これに直前に記憶された注視領域データの注視順序情報より1多い注視順序情報を対応づけて、注視領域データ記憶部113に記憶させる。
【0066】
一方、注視領域データ生成部112は、領域IDどうしが同じなら、直前に記憶された注視領域データ内の注視時間に、読み出した停留時間を加算する。
【0067】
図6は、注視領域データ記憶部113の一例を示す図である。
【0068】
例えば、注視順序情報「1」に対応づけられた注視領域データは、領域ID「2」を含む。つまり、ユーザは、まず、領域ID「2」の領域を注視したのである。当該注視領域データは、領域種類情報「ラベル」と注視時間「450(ミリ秒)」を含む。つまり、当該領域は、「ラベル」の種類に属するものであり、ユーザは、当該領域を450ミリ秒見ていたのである。
【0069】
例えば、注視順序情報「4」に対応づけられた注視領域データは、領域ID「6」を含む。つまり、ユーザは、4番目に、領域ID「6」の領域を注視したのである。当該注視領域データは、領域種類情報「図」と注視時間「100(ミリ秒)」を含む。つまり、当該領域は、「図」の種類に属するものであり、ユーザは、当該領域を100ミリ秒見ていたのである。
【0070】
例えば、注視順序情報「5」に対応づけられた注視領域データは、領域ID「5」を含む。つまり、ユーザは、5番目に、領域ID「5」の領域を注視したのである。当該注視領域データは、領域種類情報「文章」と注視時間「800(ミリ秒)」を含む。つまり、当該領域は、「文章」の種類に属するものであり、ユーザは、当該領域を800ミリ秒見ていたのである。
【0071】
例えば、800ミリ秒は、この文章のある部分に視点が600ミリ秒停留し、次に、別の部分に視点が200ミリ秒停留したことにより、既存の注視領域データ内の注視時間「600(ミリ秒)」に停留時間「「200(ミリ秒)」が加算され、その結果、800ミリ秒と計算されたというケースが考えられる。
【0072】
つまり、同じ領域内の2点以上が連続して注視された場合は、その領域が1回注視されたと見なし、注視時間は、各点の注視時間の合計で計算しているのである。
【0073】
したがって、第1の実施の形態によれば、HTMLデータを表示装置2の表示画面に表示したときに当該表示画面に表示される複数の領域のそれぞれにつき、領域の表示画面における位置を示す画面内領域座標と、当該領域に付与された領域IDと、を含む領域データが記憶される領域データ記憶部107と、表示画面における視点の位置を示す視点座標を外部から受信する視点座標受信部109と、視点座標に基づいて、視点の動きが停止したことを検出したなら、視点の位置を示す停留点座標を含む停留点データを生成し、停留点データを停留点データ記憶部111に記憶させる停留点データ生成部110と、停留点データ記憶部111に停留点データが記憶されたなら、当該停留点データ内の停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを領域データ記憶部107から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、当該読み出した領域IDを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて注視領域データ記憶部113に記憶させる注視領域データ生成部112とを備えることで、注視領域データ記憶部113を参照すれば、領域IDによりどの領域が、注視順序情報によりどのような順序で、注視されたかを知ることができる。
【0074】
また、注視領域データは領域種類情報を含むので、さらに、どのような種類の領域がどのような順序で、注視されたかを知ることができる。
【0075】
また、停留点データ生成部110は、視点の動きが停止している時間の長さを示す停留時間を求め、停留時間を該当の停留点データに含ませるものであり、注視領域データ生成部112は、停留点データ記憶部111に新たに停留点データが記憶されたなら、停留点データから停留点座標と停留時間を読み出し、停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを領域データ記憶部107から検索し、領域データから領域IDを読み出し、領域データから読み出した領域IDと注視領域データ記憶部113に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが相違しているなら、領域データから読み出した領域IDと、停留点データから読み出した停留時間に等しい注視時間とを含む注視領域データを生成し、注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、注視領域データ記憶部113に記憶させる一方、領域データから読み出した領域IDと注視領域データ記憶部113に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが互いに同じなら、注視領域データ記憶部113に直前に記憶された注視領域データ内の注視時間に停留点データから読み出した停留時間を加算するので、注視領域データ記憶部113において同じ領域IDを含みかつ注視順序情報が連続する複数の注視領域データが記憶されるのを防ぐことができる。つまり、これらの注視領域データは、同じ領域が複数回注視された状況を示すのでなく、同じ領域が1回注視された状況を示すものなので、かかる複数の注視領域データに代え、同じ領域が1回注視されたという状況を反映した同一の注視領域データのみを注視領域データ記憶部113に記憶させることができる。
【0076】
なお、注視領域データ生成部112は、停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを領域データ記憶部107から検索できなかった場合、つまり、領域以外の部分に視点が停留した場合、次に停留点データが停留点データ記憶部111に記憶され、該当の領域データを検索できたなら、領域IDどうしの比較はせず、領域IDどうしが相違している場合と同様の処理を行う。なぜなら、領域以外の部分に視点が停留しているので、その後、領域が新たに注視されたといえるからである。
【0077】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態に同一または類似の装置および装置構成を用い、同一または類似のものについては第1の実施の形態で使用した符号を使用して重複説明を略し、第1の実施の形態とは異なる事項を中心に説明を行う。
【0078】
図7は、第2の実施の形態に係る注視領域データ生成装置の概略構成を示すブロック図である。
【0079】
注視領域データ生成装置1Aは、HTMLデータ受信部101、HTMLデータ解析部102、DOM構成データ生成部103、DOM構成データ記憶部104、領域種類データ記憶部105、領域データ生成部106、領域データ記憶部107、表示制御部108、視点座標受信部109、停留点データ生成部110、停留点データ記憶部111、注視領域データ生成部112、注視領域データ記憶部113に加え、注視領域データ記憶部113の各注視領域データに基づいて、どの領域がどのような順序で注視されたかを可視化する注視領域可視化部114を備える。
【0080】
注視領域可視化部114は、HTMLデータが表示装置2に表示されるように表示制御部108を制御する。表示制御部108は、HTMLデータにより各領域を表示装置2に表示させる。
【0081】
注視領域可視化部114は、各注視領域データから注視順序情報を読み出し、表示された領域から、該当の領域を選択し、領域に対応づけて注視順序情報を表示させる。これにより、どの領域がどのような順序で注視したかが可視化され、それを見て知ることができる。
【0082】
なお、注視領域可視化部114は、さらに、図8に示すように、ある注視順序情報に対応する領域から、1つ多い注視順序情報に対応する領域に向けて、矢印を表示してもよい。
【0083】
また、注視領域可視化部114は、ある領域に対応づけて注視順序情報を表示してから、該当の注視時間が経過したら、次の領域についての注視順序情報を表示するとともに、前者の領域から後者の領域に向かう矢印を表示させてもよい。
【0084】
また、注視領域可視化部114は、ユーザにより、ある領域種類情報が指定されたなら、上記の可視化を、指定された領域種類情報を含む注視領域データに限って行ってもよい。
【0085】
したがって、第2の実施の形態によれば、注視領域データ記憶部113の各注視領域データに基づいて、どの領域がどのような順序で注視されたかを可視化する注視領域可視化部114を備えたことで、どの領域がどのような順序で注視されたかを見て知ることができる。
【0086】
なお、各実施の形態に係る注視領域データ生成装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録でき、また、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。
【0087】
また、各実施の形態では、1つのHTMLデータを例に説明を行ったが、このHTMLデータにより表示されたリンクがクリックされ、そのリンクに関連づけられた他のHTMLデータを表示する場合においても、同様の動作がなされる。
【0088】
また、本発明はHTMLデータに限らず、複数の領域が表示されるあらゆる場合に適用できる。例えば、電子ブック、デジタルサイネージ等のアプリケーションなどである。
【符号の説明】
【0089】
1、1A…注視領域データ生成装置
2…表示装置
3…視点計測装置
101…HTMLデータ受信部
102…HTMLデータ解析部
103…DOM構成データ生成部
104…DOM構成データ記憶部
105…領域種類データ記憶部
106…領域データ生成部
107…領域データ記憶部
108…表示制御部
109…視点座標受信部
110…停留点データ生成部
111…停留点データ記憶部
112…注視領域データ生成部
113…注視領域データ記憶部
114…注視領域可視化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域のそれぞれにつき、当該領域が表示される表示画面における当該領域の位置を示す画面内領域座標と、当該領域に付与された領域IDと、を含む領域データが記憶される領域データ記憶部と、
前記表示画面における視点の位置を示す視点座標を外部から受信する視点座標受信部と、
前記視点座標に基づいて、前記視点の動きが停止したことを検出したなら、当該視点の位置を示す停留点座標を含む停留点データを生成し、当該停留点データを予め設けられた停留点データ記憶部に記憶させる停留点データ生成部と、
前記停留点データ記憶部に新たに停留点データが記憶されたなら、当該停留点データ内の停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを前記領域データ記憶部から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、当該読み出した領域IDを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、予め設けられた注視領域データ記憶部に記憶させる注視領域データ生成部と
を備えることを特徴とする注視領域データ生成装置。
【請求項2】
前記停留点データ生成部は、前記視点の動きが停止している時間の長さを示す停留時間を求め、当該停留時間を該当の停留点データに含ませるものであり、
前記注視領域データ生成部は、
前記停留点データ記憶部に新たに停留点データが記憶されたなら、
当該停留点データから停留点座標と停留時間を読み出し、当該停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを前記領域データ記憶部から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、
前記領域データから読み出した領域IDと前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが相違しているなら、
前記領域データから読み出した領域IDと、前記停留点データから読み出した停留時間に等しい注視時間とを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、前記注視領域データ記憶部に記憶させる一方、
前記領域データから読み出した領域IDと前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが互いに同じなら、
前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の注視時間に前記停留点データから読み出した停留時間を加算する
ことを特徴とする請求項1記載の注視領域データ生成装置。
【請求項3】
前記注視領域データ記憶部の各注視領域データに基づいて、どの領域がどのような順序で注視されたかを可視化する注視領域可視化部
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の注視領域データ生成装置。
【請求項4】
注視領域データ生成装置が行う動作方法であって、
前記注視領域データ生成装置は、
複数の領域のそれぞれにつき、当該領域が表示される表示画面における当該領域の位置を示す画面内領域座標と、当該領域に付与された領域IDと、を含む領域データが記憶される領域データ記憶部を備え、
前記動作方法は、
前記注視領域データ生成装置の視点座標受信部が、前記表示画面における視点の位置を示す視点座標を外部から受信し、
前記注視領域データ生成装置の停留点データ生成部が、前記視点座標に基づいて、前記視点の動きが停止したことを検出したなら、当該視点の位置を示す停留点座標を含む停留点データを生成し、当該停留点データを予め設けられた停留点データ記憶部に記憶させ、
前記注視領域データ生成装置の注視領域データ生成部が、前記停留点データ記憶部に新たに停留点データが記憶されたなら、当該停留点データ内の停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを前記領域データ記憶部から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、当該読み出した領域IDを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、予め設けられた注視領域データ記憶部に記憶させる
ことを特徴とする注視領域データ生成装置の動作方法。
【請求項5】
前記停留点データ生成部は、前記視点の動きが停止している時間の長さを示す停留時間を求め、当該停留時間を該当の停留点データに含ませるものであり、
前記注視領域データ生成部は、
前記停留点データ記憶部に新たに停留点データが記憶されたなら、
当該停留点データから停留点座標と停留時間を読み出し、当該停留点座標を内包する画面内領域座標を含む領域データを前記領域データ記憶部から検索し、当該領域データから領域IDを読み出し、
前記領域データから読み出した領域IDと前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが相違しているなら、
前記領域データから読み出した領域IDと、前記停留点データから読み出した停留時間に等しい注視時間とを含む注視領域データを生成し、当該注視領域データの生成順序に応じた注視順序情報を対応づけて、前記注視領域データ記憶部に記憶させる一方、
前記領域データから読み出した領域IDと前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の領域IDとが互いに同じなら、
前記注視領域データ記憶部に直前に記憶された注視領域データ内の注視時間に前記停留点データから読み出した停留時間を加算する
ことを特徴とする請求項4記載の注視領域データ生成装置の動作方法。
【請求項6】
前記注視領域データ生成装置の注視領域可視化部が、前記注視領域データ記憶部の各注視領域データに基づいて、どの領域がどのような順序で注視されたかを可視化する
ることを特徴とする請求項4または5記載の注視領域データ生成装置の動作方法。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかに記載の注視領域データ生成装置としてコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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