説明

注釈付き画像の表示方法、そのプログラム並びにシステム

【課題】画像中の同一指定箇所に対して複数のユーザにより校正箇所の指示を伝える注釈が付与された場合に、注釈中、最終結論の注釈(校正)を一目で把握する注釈付き画像の表示方法を提供する。
【解決手段】製版画像76中の指定箇所80に対して注釈を記入するウインドウ78Bを設け、このウインドウ78B内に、複数の注釈100、102A、104Aが記入された際、記入された複数の注釈100、102A、104Aを時系列順(104A→102A→100の順)に表示するようにしたので、最新の注釈100を一目で把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像中の校正箇所の指示を伝える注釈を、前記画像に付与した注釈付き画像の表示方法、そのプログラム並びにシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、刷版が装着された印刷機により印刷する前に、印刷しようとする内容が正しいかどうかを校正(プルーフ)作業により確認している。
【0003】
近時、このような校正作業をデジタル的に行うようにした校正システムの実用化が図られている。
【0004】
この校正システムでは、特許文献1に示すように、ディスプレイに表示された製版画像上の校正しようとする箇所に引出線の一端を接続し、前記引出線の他端をウインドウの枠に接続し、前記ウインドウの枠内(ウインドウ内)に、「190gに変更」等の注釈を記入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−281122号公報(図7、[0020])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、校正作業の正確を期すために、製版画像上の校正しようとする箇所に複数のユーザが注釈を記入できることが好ましいとの要請がある。
【0007】
図7は、複数ページからなる散らし(広告のために配る印刷物)の特定ページの製版画像2と、注釈が記入されたウインドウ3、4、5とが表示された図示しないディスプレイ上の1画面分の比較例の注釈付き画像6を示している。
【0008】
製版画像2中の「100円」と表示された指定箇所7に対して、それぞれ校正権限を有するユーザA、ユーザB、ユーザCの3人のユーザが、それぞれ、ウインドウ3内に「ユーザA:第1校正、これは150円です。」、「ユーザB:第3校正、これは120円になりました。」、「ユーザC:第2校正、これは100円で合っています。」との注釈を記入している。
【0009】
なお、この比較例において、及び後述するこの出願に係る発明において、あるユーザは、他のユーザが付与した注釈を編集することができないように構成されている。
【0010】
この図7に示す比較例では、最新の注釈であるユーザBがした第3校正が、最終結論の校正であるが、製版画像データ上で、注釈付き画像6を見ながらこの校正を反映するオペレータ等にとって、同一指定箇所に対する、ウインドウ3、4、5内に記入された注釈中、どれが最新で最終的な注釈であるのかを判断することが煩雑である。なお、この図7例では、ウインドウ4中の「第3校正」という記載からユーザBの注釈が最新で最終的な注釈であると判断される。
【0011】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、画像中の同一指定箇所に対して複数のユーザにより校正箇所の指示を伝える注釈が付与された場合に、付与された注釈中、最終結論の注釈(校正)を一目で把握することを可能とする注釈付き画像の表示方法、そのプログラム並びにシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る注釈付き画像の表示方法は、印刷データに対応する画像に注釈が付与された注釈付き画像の表示方法であって、ディスプレイ上に表示された前記画像中の指定箇所に対して注釈を記入するウインドウを設けるステップと、前記ウインドウ内に、複数の注釈が記入された際、記入された複数の注釈を時系列順に表示するステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、画像中の指定箇所に対して注釈を記入するウインドウを設け、このウインドウ内に、複数の注釈が記入された際、記入された複数の注釈を時系列順に表示するようにしたので、画像中の同一指定箇所に対する校正の指示を伝える注釈が複数のユーザにより付与された場合における最新の注釈が、最終結論の注釈(校正)であることを一目で把握することができる。
【0014】
この場合、前記各注釈には、注釈に併せて時刻情報が表示されるようにすることで、より確実に最終結論の注釈(校正)である最新の注釈(校正)を把握することができる。
【0015】
なお、前記複数の注釈を、前記時刻情報が表す時刻順に、前記ディスプレイ上の上方向又は下方向に時刻順に表示することが、ユーザにとって見易く好ましい。注釈を横書きで記載している場合に特に好ましい。
【0016】
なお、さらに、前記複数の注釈中、時系列的に最新の注釈のみを表示させるか、又は前記最新の注釈を含めて、少なくとも直近の2つの注釈を表示させるかを切り替えるステップを設けることで、一層確実に最新の注釈(校正)を把握することができる。
【0017】
また、前記複数の注釈中、最新の注釈を除く古い注釈において、前記最新の注釈の内容と異なる内容の箇所は、目立つように表示することで、校正箇所、校正の履歴を一目で把握することができる。
【0018】
さらに、前記画像中の前記指定箇所内に、複数の注釈対象が存在するとき、当該複数の注釈対象に対応する各最新の注釈を目立つように表示することが好ましい。
【0019】
この場合、前記各最新の注釈を除く古い注釈には、取消マークを表示することで、古い注釈を最新の注釈(校正)としてしまう間違いを皆無にすることができる。
【0020】
同様に、前記取消マークの表示された古い注釈は、グレーアウト状態にすることでも、古い注釈を最新の注釈(校正)としてしまう間違いを皆無にすることができる。
【0021】
なお、いずれの場合においても、前記複数の注釈中、最新の注釈を古い注釈に比較して目立つように表示することが好ましい。
【0022】
この発明に係るプログラムは、印刷データに対応する画像に注釈が付与された注釈付き画像の表示を制御するコンピュータを、ディスプレイ上に表示された前記画像中の指定箇所に対して注釈を記入するウインドウを設けるウインドウ生成部、前記ウインドウ内に、複数の注釈が記入された際、記入された複数の注釈を時系列順に表示する時系列順表示部、として機能させることを特徴とする。
【0023】
このプログラムがインストールされたコンピュータを、ネットワークを介して接続し、接続された各コンピュータで前記注釈を記入できるようにしたシステムもこの発明に含まれる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、画像中の指定箇所に対して注釈を記入するウインドウを設け、このウインドウ内に、複数の注釈が記入された際、記入された複数の注釈を時系列順に表示するようにしたので、画像中の同一指定箇所に対する複数のユーザの校正に係る注釈が付与された場合の最新の注釈が、最終結論の注釈(校正)であることを一目で把握することができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明に係る注釈付き画像の表示方法を実施する印刷物生産支援システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】校正者端末の機能ブロック図である。
【図3】この実施形態に係る注釈付き画像の表示説明図である。
【図4】図4Aは、注釈付き画像の変形例1(最新の注釈のみ表示)の表示説明図である。図4Bは、注釈付き画像の変形例1(最新の注釈と古い注釈を表示)の表示説明図である。
【図5】注釈付き画像の変形例2(修正箇所の顕在化表示)の表示説明図である。
【図6】注釈付き画像の変形例3(コンテンツ毎の最終注釈の表示)の表示説明図である。
【図7】比較例に係る注釈付き画像の表示説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明に係る注釈付き画像の表示方法についてこれを実施する印刷物生産支援システムとの関係において好適な実施形態を挙げ添付の図面を参照して説明する。なお、以下に参照する図面において、上記図7に示したものと対応するものには同一の符号を付けてその詳細な説明は省略する。
【0027】
図1は、この実施形態に係る印刷物生産支援システム10の全体構成を示している。
【0028】
この印刷物生産支援システム10は、基本的には、インターネット12に公開されるリモートサーバ14と、印刷処理サーバ16と、オペレータ端末18と、デザイナ端末20と、校正者端末22とから構成される。校正者端末22は、校正者Aの端末(校正者A端末)22Aと、校正者Bの端末(校正者B端末)22Bと、校正者Cの端末(校正者C端末)22Cとから構成されている。
【0029】
各端末18、20、及び22は、それぞれ汎用コンピュータ等により構成され、CPU、ROM、RAM等を有する本体部と、ディスプレイ(表示装置)19、21、23及びマウス・キーボード等の入力装置17、25、27等から構成される。
【0030】
デザイナ端末20、校正者端末22、及びオペレータ端末18は、リモートサーバ14のアクセス権限ファイル14Aに規定されたアクセス権限のある(IDとパスワードを有する)ユーザ(オペレータ端末18を使用する印刷オペレータ、デザイナ端末20を使用するデザイナ、校正者端末22を使用する各校正者A、B、C)のみがログインして操作(使用)できるようになっている。
【0031】
この場合、校正者A端末22A、校正者B端末22B、及び校正者C端末22Cには、それぞれ、アクセス権限ファイル14A中に、各ディスプレイ23の画面にそれぞれ表示される製版画像中の指定箇所に注釈を記入可能なアクセス権限が規定されている。
【0032】
デザイナ端末20及び校正者端末22には、比較的に低解像度のインクジェットプリンタ等のプリンタ24、26がそれぞれ接続されている。プリンタ24では、製版画像を担持した入稿原稿28が出力され、プリンタ26は校正者端末22(校正者A端末22A、校正者B端末22B、校正者C端末22C)で共用され入稿原稿28に対応する製版画像を担持した校正原稿30が出力される。
【0033】
図1例の印刷物生産支援システム10では、リモートサーバ14、印刷処理サーバ16、及びオペレータ端末18は、印刷オペレータ等が所属する印刷会社32に配置され、デザイナ端末20は、デザイナ等が所属する制作会社34に配置され、校正者端末22は、校正者等が所属する広告代理店又はクライアント(会社)等の印刷物の注文会社36に配置される構成としているが、この配置構成に限定されるものではなく、例えば、制作会社34と印刷会社32とが同一の会社等とされることもある。
【0034】
リモートサーバ14は、印刷物生産支援システム10におけるワークフロー管理の中核をなす装置であり、インターネット12(ネットワーク)を介してデザイナ端末20及び校正者端末22に接続されるとともに、LAN(或いはWAN)31(ネットワーク)を介して印刷処理サーバ16及びオペレータ端末18に接続される。
【0035】
そのため、この実施形態において、リモートサーバ14は、アクセス権限ファイル14Aを管理する機能の他、ファイル(データも含む)の格納・転送を司るファイルサーバ14Bとしての機能と、ジョブの作成あるいはファイルの格納・転送に付随して発生する通知メールを配信する機能等を有するメールサーバ14Cとしての機能と、を有する。
【0036】
なお、この実施形態において、データ送受信のプロトコルには、リモートサーバ14とデザイナ端末20との間、及びリモートサーバ14と校正者端末22との間で、HTTPSが採用され、リモートサーバ14とオペレータ端末18との間、リモートサーバ14と印刷処理サーバ16との間では、HTTPが採用されている。
【0037】
印刷処理サーバ16は、それぞれ1又は複数の印刷機に対応して設けられている。図1に示した例では、印刷処理サーバ16は、CTP装置が付設されたオフセット印刷機38及び比較的に高解像度のデジタル印刷機であるDDCP40に接続されている。DDCP40では、印刷処理サーバ16のRIPエンジンにてPDFファイルがラスタ(ビットマップ)ファイル化されて網点化処理された製版画像の校正原稿42が出力され、オフセット印刷機38では、上記の校正原稿42が校正者端末22で承認された後、校正原稿42(この場合は、校了原稿という。)に対応する製版画像が印刷された散らし等の印刷物44が出力される。
【0038】
図2は、各校正者端末22の機能実現部(機能実現手段)の構成を示している。校正者端末22は、上述したように、汎用計算機であり、CPU、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM、その他、計時部としてのタイマ、年月日時刻を管理する時計部等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで図2に示す各種機能実現部として機能する。
【0039】
注釈機能表示制御部48は、以下に説明する各種機能部を統括して制御する。
【0040】
指定箇所設定部50は、入力装置27を用いて、ディスプレイ23上に表示された図示しないメニュー画面上で「指定箇所設定」が選択されたとき、製版画像中の指定箇所に略楕円形状の枠(指定箇所枠)を描画する機能を有する。
【0041】
ウインドウ生成部52は、前記メニュー画面上で、「ウインドウ生成」(注釈記入枠生成)が選択されたとき、所望の箇所に矩形状等の枠(ウインドウ枠)を描画する機能を有する。ウインドウ枠の形状は、図示しないメニュー画面上で、矩形状の他、円形、楕円形、あるいは任意図形に選択することができる。
【0042】
引出線描画部54は、前記メニュー画面上で、「引出線描画」を選択して、前記指定箇所枠と前記ウインドウ枠とを選択することで、両枠を結ぶ引出線を描画する機能を有する。
【0043】
注釈記入部56は、前記ウインドウ内にテキストデータで文字を記入する際に機能する。
【0044】
時系列順表示部58は、前記ウインドウ内に、複数の注釈が記入された際、記入された複数の注釈を時系列順に表示する機能を有する。また、時系列順表示部58は、前記複数の注釈を、前記時刻情報が表す時刻順に、ディスプレイ23上の上方向又は下方向(切り替え可能である。)に時刻順に表示する機能を有する。なお、この実施形態において、注釈は、横書きで記入されるが、注釈が縦書きで記入される場合には、時刻情報が表す時刻順に、ディスプレイ23上の右方向又は左方向(切り替え可能である)に時刻順に表示する機能を有する。
【0045】
時刻情報挿入部59は、前記ウインドウ内に注釈が記入されたとき、ユーザ名の隣りに自動的に現在時刻(必要であれば、年月日時刻)の時刻情報を挿入する機能を有する。
【0046】
注釈表示切替部67は、前記メニュー画面上で、前記複数の注釈中、時系列的に最新の注釈のみを表示させるか、前記最新の注釈を含めて、少なくとも直近の2つの注釈を表示させるかを切り替える機能を有する。
【0047】
注釈機能表示制御部48は、前記複数の注釈中、最新の注釈を除く古い注釈において、前記最新の注釈の内容と異なる内容の箇所は、目立つように表示させる機能も有する。
【0048】
また、注釈機能表示制御部48は、前記製版画像中の前記指定箇所内に、複数の注釈対象が存在するとき、当該複数の注釈対象に対応する各最新の注釈を目立つように表示する機能を有する。
【0049】
この場合、注釈機能表示制御部48は、前記各最新の注釈を除く古い注釈には、取消マークを表示する機能を有する。
【0050】
また、注釈機能表示制御部48は、前記取消マークの表示された古い注釈は、グレーアウト状態にする機能を有する。
【0051】
基本的には、以上のように構成される印刷物生産支援システム10の動作について説明する。
【0052】
制作会社34と注文会社36と印刷会社32との間で、印刷のワークフローが実行されるが、制作会社34のデザイナ(当該印刷物生産支援システム10のユーザ)は、注文会社36からの散らし等の印刷物の作成の注文に応じて、デザイナ端末20上で散らし等の印刷物の原稿(印刷データ)を作成し、作成した散らし等の印刷物の原稿であるページPDFファイル(入稿ファイル)をリモートサーバ14のファイルサーバ14Bにアップロードする。
【0053】
アップロードされたページPDFファイルは、ファイルサーバ14Bに記憶されるとともに、リモートサーバ14のファイルサーバ14Bから印刷処理サーバ16に自動的に転送される。
【0054】
そして、印刷処理サーバ16において、ページPDFファイルを低解像度のページラスタファイル(低解像度のCMYK分版ファイル)にRIP処理するとともに、プリフライト処理し、ページラスタファイル及びプリフライト処理結果をリモートサーバ14に転送する。
【0055】
リモートサーバ14は、低解像度のCMYK分版ファイルであるページラスタファイルを同じ解像度のRGB分版ファイル(校正用PDFファイル)に変換し保存する。
【0056】
このとき、リモートサーバ14は、入稿原稿をアップロードしたデザイナ端末20に対してアップロード結果通知メールを配信するとともに、アクセス権限ファイル14Aを参照して、ページ承認依頼通知メールをページ承認の権限を有する校正者端末22に対して発行する。
【0057】
そして、ページ承認依頼通知を受信した注文会社36の校正者(当該印刷物生産支援システム10のユーザ)には、校正者端末22を利用してリモートサーバ14から前記RGB分版ファイルをダウンロードする権限、並びにディスプレイ23上に前記RGB分版ファイルに応じてカラー画像(製版画像)を表示させ製版画像を校正して注釈等を付与する権限、並びに校正がOKであるとき製版画像を承認する権限等がリモートサーバ14から与えられる。
【0058】
図3は、校正者端末22のディスプレイ23上に表示されたこの実施形態に係る注釈付き画像60を示している。
【0059】
この注釈付き画像60は、複数ページからなる散らし(広告のために配る印刷物)の特定ページの製版画像2と、注釈が記入されたウインドウ64とが表示された画像により構成されている。
【0060】
製版画像2は、「製品X:100円」と、「製品Y:200円」と記載された画像を有する。
【0061】
校正者端末22のディスプレイ23上で「100円」と表示された部分を指定する楕円形状枠の指定箇所62が一の校正者端末22の操作に基づき指定箇所設定部50を介して指定されている。
【0062】
ウインドウ64内には、3つの注釈66、68、70がテキスト文字により記入されている。
【0063】
指定箇所62とウインドウ64の枠が描画されたとき、引出線描画部54により自動的に指定箇所62とウインドウ64とを接続する引出線72が描画される。なお、引出線72の両端位置や形状(直線や曲線)は、校正者端末22の入力装置27を利用して変更することができる。
【0064】
図3のウインドウ64中に表示された注釈中、上下方向最上部の注釈66は、ユーザA(校正者A)が校正者A端末22Aから記入したものであり、記入した時刻情報「15時10分」が時刻情報挿入部59により自動的に挿入されている。なお、時刻情報の挿入は、「これは150円です。」と記入し、図示しない決定ボタン(「ENTER」ボタンとされる場合もある。)を押したときに、行われる。
【0065】
ウインドウ64中に表示された注釈中、上下方向中間部の注釈68は、ユーザC(校正者C)が校正者C端末22Cから記入したものであり、記入した時刻情報「15時20分」が時刻情報挿入部59により自動的に挿入されている。
【0066】
ウインドウ64中に表示された注釈中、上下方向最下部の注釈70は、ユーザB(校正者B)が校正者B端末22Bから記入したものであり、記入した時刻情報「15時30分」が時刻情報挿入部59により自動的に挿入されている。
【0067】
上述した実施形態によれば、あるユーザは、当該あるユーザの前(時間軸上過去)に他のユーザが記入した注釈自体を編集することはできない。
【0068】
具体的に、図3例において、注釈68を記入したユーザCはユーザAの注釈66を編集することができず、注釈70を記入したユーザBはユーザA及びユーザCの注釈66及び68を編集することができない。
【0069】
ただし、同一の指定箇所62に対する注釈として、異なるユーザが同一ウインドウ64内に注釈を追記できるようになっている。ユーザCは、注釈68を追記でき(注釈66をコピーして利用することはできる。)、ユーザBは、注釈70を追記できる(注釈66又は注釈70をコピーして利用することはできる)。
【0070】
図3例のように、この実施形態によれば、時系列順表示部58の作用下に、記入された複数の注釈66、68、70が、時系列順に表示されているので、最下段に表示されている最新の注釈70が、製版画像2中の同一指定箇所62に対する複数のユーザA、B、Cの校正に係る注釈中、最終結論の注釈(校正)であることを一目で把握することができる。
【0071】
各注釈66、68、70には、注釈66、68、70に併せて時刻情報(15時10分、15時20分、15時30分)が表示されるので、この時刻情報を確認することで、より確実に最新の注釈70{最終結論の注釈(校正)}を把握することができる。
【0072】
なお、横書きで記載されている複数の注釈66、68、70を、前記時刻情報が表す時刻順に、ディスプレイ23上の下方向(上方向でもよい。)に向かって時刻順に表示しているので、それぞれがユーザである校正者A、B、Cにとって見易く好ましい。注釈が縦書きで記載されている場合には、左方向(右方向でもよい。)に向かって時刻順の複数の注釈を表示することが好ましい。
【0073】
最新の注釈の反映の決定について説明すると、リモートサーバ14中の前記のアクセス権限ファイル14A中には、校正者A端末22A、校正者B端末22B、及び校正者C端末22Cのいずれかの端末に対して管理者端末としての権限が設定され、この管理者端末のユーザが注釈の反映を決定する操作を行うと、管理者端末としての校正者端末22からインターネット12、リモートサーバ14の注釈機能表示制御部48、再びインターネット12を通じて、図3に示した注釈付き画像60がデザイナ端末20のディスプレイ21上に表示される。
【0074】
なお、注釈の反映の決定は、締め切り時刻によりリモートサーバ14で管理することもできる。この場合、締め切り時刻を校正者端末22のディスプレイ23上に表示し、締め切り時刻になった時点での注釈付き画像60を最新の注釈付き画像60とし、その旨を校正者端末22のディスプレイ23上に表示し、以降の注釈の追加を受け付けないようにする。
【0075】
この場合、締め切り時刻となった時点で、上述したように、校正者端末22からインターネット12、リモートサーバ14の注釈機能表示制御部48、再びインターネット12を通じて、図3に示した注釈付き画像60がデザイナ端末20のディスプレイ21上に表示される。
【0076】
デザイナ端末20のディスプレイ21上に、図3に示した注釈付き画像60が表示されると、デザイナは、デザイナ端末20を通じて、最新の注釈70に応じた変更を、入力装置25を通じて行い、変更後の新たな製版画像に係るページPDFファイルをファイルサーバ14Bにアップロードする。
【0077】
その後、上述したように、印刷処理サーバ16によりページラスタファイルを生成し、リモートサーバ14によりRGB分版ファイル(校正用PDFファイル)に変換し、校正者端末22のディスプレイ23上に新たな製版画像を表示させる。
【0078】
この新たな製版画像が校正者端末22中の管理者端末により認証されると(OKにされると)、リモートサーバ14を介してオペレータ端末18に通知される。
【0079】
通知を受けたオペレータ端末18のユーザ(オペレータ)は、オペレータ端末18から印刷処理サーバ16に対して、当該散らし等の印刷物の印刷枚数、印刷紙、及び印刷品質等を設定し、印刷開始指令を送ることで、印刷処理サーバ16を通じて、上述した変更後の新たな製版画像に係るページPDFファイル(印刷データ)をファイルサーバ14Bから読み出してRIP処理し、CTP装置により刷版を作成してオフセット印刷機38に設定する。このようにして、オフセット印刷機38により、指定箇所62内の製版画像「100円」が最新の注釈70に応じた「120円」とされた画像を担持した散らし等の印刷物44が作成される。
【0080】
[変形例1]
図4A、図4Bは、注釈付き製版画像の表示の変形例1の構成を示している。
【0081】
図4Aは、校正者端末22のディスプレイ23上に表示された注釈付き画像74Aを示し、図4Bは、ディスプレイ23上に表示された注釈付き画像74Bを示している。
【0082】
注釈付き画像74A、74Bは、それぞれ、製版画像76と、注釈が記入されたウインドウ78A、78Bとが表示された画像により構成されている。
【0083】
製版画像76は、「ハンドタオル 200円」と記載された画像を有する。
【0084】
「200円」と表示された部分を指定する指定箇所80が指定箇所設定部50を通じて指定されている。
【0085】
ウインドウ78Aは、中央の注釈記入部82とこれを囲繞する外枠部84とから構成され、外枠部84には、展開ボタン86が設けられている。ウインドウ78Aの注釈記入部82には、最終の注釈100である「2010/06/10 13:00 ユーザA ここを100円にしてください。」のみがテキスト表示されている。
【0086】
図4Aの表示状態において、校正者が、校正者端末22の入力装置27により展開ボタン86を操作(押下)したとき、図4Bに示すように、展開ボタン86が閉じるボタン88に変更される。ウインドウ78Bは、上下方向に並べられた3つの注釈記入部82、90、92と、各注釈記入部82、90、92を囲繞する外枠部84、94、96とから構成されている。
【0087】
注釈付き画像74A中の展開ボタン86を押すことにより過去の古い注釈102「2010/06/10 11:00 ユーザB ここを120円にしてください。」、古い注釈104「2010/06/10 9:00 ユーザA ここを110円にしてください。」を確認して経緯を振り返ることができる。なお、古い注釈102、104は、注釈機能表示制御部48によりグレーアウト状態(グレーアウト状態とは、ウインドウのボタンや選択部分がグレーになって選択できなくなっている状態)にされている。
【0088】
展開ボタン86及び閉じるボタン88は、注釈表示切替部67により設定されている。
【0089】
引出線72は、引出線描画部54により、ウインドウ78A、78B中、最終の注釈記入部82の外枠部と、指定箇所80の外枠部とを接続している(対応付けている。)。
【0090】
この変形例1では、複数の注釈100、102、104中、時系列的に最新の注釈100のみを表示させるか、又は最新の注釈100を含めて、少なくとも直近の2つの注釈(この変形例では、3つの注釈100、102、104)を表示させるかを切り替える注釈表示切替部67により制御される展開ボタン86及び閉じるボタン88を設けているので、一層確実に最新の注釈(校正)を把握することができる。
【0091】
[変形例2]
図5は、注釈付き製版画像の表示の変形例2の構成を示している。この変形例2において、注釈機能表示制御部48は、ウインドウ78B中の注釈記入部82、90、92中に記入された注釈100、102A、104A中、それぞれ、自動的に挿入される時刻情報とユーザ情報を表すヘッダー部「年月日 時刻(例えば、2010/06/10 13:00)と、ユーザ名(ユーザA)」を除き、本文部「ここを100円にしてください。」と、他の本文部「ここを120円にしてください。」及び「ここを110円にしてください。」とを比較する。
【0092】
この比較結果で、注釈機能表示制御部48は、最新の数字[100]と異なる数字「120」、「110」と、その前後に「円」や「¥」が存在した場合には、それを単位とみなした、「120円」、「110円」を図5に示すように注釈102A、104A中に目立たせて表示する。例えば、ハイライトして表示する。なお、目立たせて表示する領域は、手動で選択することもできる。
【0093】
このようにすれば、最新注釈100において、古い注釈102A、104Aのどこが修正されたかを一目で分かり、誤解を生じることがない。
【0094】
[変形例3]
図6は、注釈付き製版画像の表示の変形例3の構成を示している。この変形例3において、ウインドウ108内の3つの注釈記入部82、110、92中に、それぞれ注釈100、112、104が記入されている。
【0095】
製版画像76中に設けられた指定箇所106内には、2つのコンテンツ「ハンドタオル」と「200円」が含まれている。
【0096】
最新の注釈100を記入しようとするとき、ユーザAは、9:00に記入した注釈記入部92を選択する。そうすると、ウインドウ108の最上段に13:00のユーザAの注釈100を記入することができる。注釈100の記入が終了したとき、図6に示したように、ユーザAの古い注釈104の注釈記入部92がグレーアウトされるとともに、注釈機能表示制御部48により古い注釈104に対して有効ではない(古い注釈である)ことを意味する×印の取消マーク114が自動的に描画される。
【0097】
なお、時系列的に2段目に描画されている「2010/06/10 11:00」のユーザBによる注釈112は、「フェイスタオルにしてください。」と記入され、コンテンツ「ハンドタオル」をコンテンツ「フェイスタオル」に変更する注釈であるので、これも最新の注釈112として表示されている(グレーアウトされない。)。
【0098】
この変形例3において、最新の注釈100を記入したユーザAが、図6に示した古い注釈112、104のうち、どちらを更新するかは、その古い注釈112又は古い注釈104(この例では、古い注釈104)を選択して(コピーして)新しい注釈100を記入したこと(操作)により注釈機能表示制御部48が判定することができる。
【0099】
この変形例3では、同一指摘箇所106に複数のコンテンツが存在する場合に、コンテンツ毎に注釈を記入することができるので、利便である。
【0100】
[実施形態の総括的説明]
以上説明したように、上述した実施形態によれば、製版画像2(図3)、製版画像76(図4A、図4B、図5、図6)中の指定箇所62(図3)、指定箇所80(図4、図5)、指定箇所106(図6)に対して注釈を記入するウインドウ64(図3)、ウインドウ78A(図4A)、ウインドウ78B(図4B、図5)、ウインドウ108(図6)を設け、このウインドウ64、78A、78B、108内に、複数の注釈66、68、70(図3)、100、102、104(図4B)、100、102A、104A(図5)、100、112、104(図6)が記入された際、記入された複数の注釈を時系列順(図3では、66→68→70の順、図4Bでは、104→102→100の順、図5では、104A→102A→100の順、図6では、104→100の順)に表示するようにしたので、製版画像中の同一指定箇所に対する校正の指示を伝える注釈が複数のユーザにより付与された場合に、最新の注釈70(図3)、最新の注釈100(図4B、図5、図6)、最新の注釈112(図6)が、最終結論の注釈(校正)であることを一目で把握することができる。
【0101】
この場合、前記各注釈66、68、70(図3)、100、102、104(図4B)、100、102A、104A(図5)、100、112、104(図6)には、注釈に併せて時刻情報が表示されるようにしているので、より確実に最終結論の注釈(校正)である最新の注釈(校正)を把握することができる。
【0102】
また、図5に示すように、複数の注釈100、102A、104A中、最新の注釈100を除く古い注釈102A、104Aにおいて、最新の注釈100の内容(100円)と異なる内容と判断した内容(120円、110円)の箇所は、目立つように表示しているので、校正箇所、校正の履歴を一目で把握することができる。
【0103】
さらに、図6に示すように、各最新の注釈100、112を除く古い注釈104には、取消マーク114を表示することで、古い注釈104を最新の注釈100、112(校正)としてしまう間違いを皆無とすることができる。
【0104】
同様に、取消マーク114の表示された古い注釈104は、図6に示したように、グレーアウト状態にすることでも、古い注釈104を最新の注釈100としてしまう間違いを皆無とすることができる。
【0105】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、例えば、図1例の印刷物生産支援システム10において、画像を印刷するオフセット印刷機38を、インクジェットプリンタやカラーレーザプリンタ等に代替し、印刷データ(印刷物を作成するためのデータ)に対応する画像が担持された散らし等の印刷物を作成する等、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0106】
2、76…製版画像
6、60、74A、74B…注釈付き画像
10…印刷物生産支援システム
12…インターネット 14…リモートサーバ
16…印刷処理サーバ 18…オペレータ端末
19、21、23…ディスプレイ 20…デザイナ端末
22…校正者端末(22A…校正者A端末、22B…校正者B端末、22C…校正者C端末)
28…入稿原稿 30、42…校正原稿
44…印刷物 48…注釈機能表示制御部
50…指定箇所設定部 52…ウインドウ生成部
54…引出線描画部 56…注釈記入部
58…時系列順表示部 59…時刻情報挿入部
62、80、106…指定箇所
64、78A、78B、108…ウインドウ
66、68、70、100、102、102A、104、104A、112…注釈
67…注釈表示切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに対応する画像に注釈が付与された注釈付き画像の表示方法であって、
ディスプレイ上に表示された前記画像中の指定箇所に対して注釈を記入するウインドウを設けるステップと、
前記ウインドウ内に、複数の注釈が記入された際、記入された複数の注釈を時系列順に表示するステップと、
を有することを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の注釈付き画像の表示方法において、
前記各注釈には、注釈に併せて時刻情報が表示される
ことを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の注釈付き画像の表示方法において、
前記複数の注釈を、前記時刻情報が表す時刻順に、前記ディスプレイ上の上方向又は下方向に時刻順に表示する
ことを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の注釈付き画像の表示方法において、
さらに、前記複数の注釈中、時系列的に最新の注釈のみを表示させるか、前記最新の注釈を含めて、少なくとも直近の2つの注釈を表示させるかを切り替えるステップを
有することを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の注釈付き画像の表示方法において、
前記複数の注釈中、最新の注釈を除く古い注釈において、前記最新の注釈の内容と異なる内容の箇所は、目立つように表示する
ことを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の注釈付き画像の表示方法において、
前記画像中の前記指定箇所内に、複数の注釈対象が存在するとき、当該複数の注釈対象に対応する各最新の注釈を目立つように表示する
ことを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項7】
請求項6記載の注釈付き画像の表示方法において、
前記各最新の注釈を除く古い注釈には、取消マークを表示する
ことを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項8】
請求項7記載の注釈付き画像の表示方法において、
前記取消マークの表示された古い注釈は、グレーアウト状態にする
ことを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の注釈付き画像の表示方法において、
前記複数の注釈中、最新の注釈を古い注釈に比較して目立つように表示する
ことを特徴とする注釈付き画像の表示方法。
【請求項10】
印刷データに対応する画像に注釈が付与された注釈付き画像の表示を制御するコンピュータを、
ディスプレイ上に表示された前記画像中の指定箇所に対して注釈を記入するウインドウを設けるウインドウ生成部、
前記ウインドウ内に、複数の注釈が記入された際、記入された複数の注釈を時系列順に表示する時系列順表示部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10記載のプログラムがインストールされたコンピュータを、ネットワークを介して接続し、接続された各コンピュータで前記注釈を記入できるようにしたシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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