説明

洋上における推進装置のメンテナンス方法

【課題】天候や海象に関係なく洋上で推進装置のメンテナンスを実行することが可能であり、且つ、推進装置を移動するために大型の装置が不要な洋上における推進装置のメンテナンス方法を提供する。
【解決手段】船体10内の縦穴20を用いて推進装置30が推力を発生する動作位置から船体10内の喫水線より高い位置11まで推進装置30を移動し、メンテナンスを実行する。船体10は、喫水線より低い位置で縦穴20を部分的に閉じるように形成された密閉フランジ部22を備える。推進装置30は、推進装置本体31と、推進装置本体31の上側に配置される駆動装置35とを備える。推進装置本体31は、密閉フランジ部22に下向きに押し付けられて縦穴20を水密に閉じる密閉部32と、密閉部32の下側に配置される推力発生部34とを備える。推進装置30を移動するとき、推進装置本体31と駆動装置35とを別々に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舶用スラスタのような推進装置のメンテナンスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、推進プロペラをシャフト内の船底の面の内側に引っ込めることが可能な船の推進装置を開示している。プロペラが引っ込められたとき、プロペラの下方に配置されるプレートがシャフトを密封する。シャフト内から排水することで点検作業員がプロペラに接近できる。
【0003】
特許文献2は、推進装置の保守又は検査を行うために、ラック・アンド・ピニオン機構を用いて推進装置、その駆動モーター、歯車機構及び回転駆動ユニットが連結されたフレームをシャフト内で移動する技術を開示している。
【0004】
特許文献3は、アジマススラスタのプロペラ部のギヤケースと軸受ハウジングとの接合面に設けるシムへの水の侵入を確実に防止するためのシール構造を開示している。アジマススラスタのプロペラ部は360度旋回可能である。アジマススラスタを採用するとラインシャフト方式の推進機に比べて船舶の運動性能が非常に高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−316289号公報
【特許文献2】特表2002−544028号公報
【特許文献3】特許第4361535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、天候や海象に関係なく洋上で推進装置のメンテナンスを実行することが可能であり、且つ、推進装置を移動するために大型の装置が不要である洋上における推進装置のメンテナンス方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明による洋上における推進装置のメンテナンス方法は、船体(10)内で喫水線の高さをまたいで延びる縦穴(20、120)を用いて推進装置(30、130)が推力を発生する動作位置から前記船体内の前記喫水線より高い位置(11)まで前記推進装置を移動するステップと、前記推進装置のメンテナンスを実行するステップとを具備する。前記船体は、前記喫水線より低い位置で前記縦穴を部分的に閉じるように形成された密閉フランジ部(22、122)を備える。前記推進装置は、推進装置本体(31、131)と、前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記推進装置本体の上側に配置される駆動装置(35、135)とを備える。前記推進装置本体は、前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記密閉フランジ部に下向きに押し付けられて前記縦穴を水密に閉じる密閉部(32、132)と、前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記密閉部の下側に配置される推力発生部(34、134)とを備える。前記推進装置を移動するステップにおいて、前記推進装置本体と前記駆動装置とを別々に移動する。
【0009】
前記推進装置を移動するステップは、棒又はパイプ(53)を用いて前記推進装置本体が持ち上がらないように押さえつけるステップと、締結装置(60)を用いて前記密閉フランジ部から上方に突き出した雄ねじ部分(41)と係合して前記密閉部を前記密閉フランジ部に押し付けるナット(42)を取り外すステップとを備える。前記締結装置は、前記ナットを掴む第1エアチャック(70)と、前記第1エアチャックが設けられた第1筒(66)と、前記第1筒内に挿入され、前記雄ねじ部分の前記ナットより上の部分と係合する係合部(64)と、前記係合部を引っ張る油圧シリンダ(63)とを備える。
【0010】
前記推進装置本体は、前記密閉部から上方に突き出したガイドパイプ(33)を備える。前記ナットを取り外すステップは、前記第1筒を前記ガイドパイプに挿入するステップを備える。
【0011】
前記雄ねじ部分は植込みボルト(41)である。洋上における推進装置のメンテナンス方法は、植込みボルト着脱装置(75)を用いて前記植込みボルトを前記密閉フランジ部から取り外すステップを更に具備する。前記植込みボルト着脱装置は、前記植込みボルトを掴む第2エアチャック(80)と、前記第2エアチャックが設けられた第2筒(76)とを備える。
【0012】
前記推進装置を移動するステップは、前記縦穴の上方位置に配置された押さえ棒支持部(151)から前記密閉部を前記密閉フランジ部に押し付ける押さえ棒(153)を取り外すステップと、前記押さえ棒支持部を前記縦穴の上方位置から撤去するステップとを備える。前記押さえ棒のネジ部と前記押さえ棒支持部のネジ部とは、前記押さえ棒が回転したときに前記押さえ棒が上下に移動するように係合する。
【0013】
前記船体は、前記縦穴の周囲に設けられたケーシング(22)を備える。前記ケーシングにラック(24)が設けられる。前記推進装置本体は、前記ラックをピニオンで蹴って前記密閉部を前記密閉フランジ部に押し付ける歯車駆動下降装置(36)を備える。前記推進装置を移動するステップは、前記歯車駆動下降装置が前記ピニオンと前記ラックとの噛み合いを解除するステップを備える。
【0014】
本発明による洋上における推進装置のメンテナンス方法は、推進装置(30、130)のメンテナンスを実行するステップと、船体内で喫水線の高さをまたいで延びる縦穴(20、120)を用いて前記船体内の前記喫水線より高い位置(11)から前記推進装置が推力を発生する動作位置まで前記推進装置を移動するステップとを具備する。前記船体は、前記喫水線より低い位置で前記縦穴を部分的に閉じるように形成された密閉フランジ部(22、122)を備える。前記推進装置は、推進装置本体(31、131)と、前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記推進装置本体の上側に配置される駆動装置(35、135)とを備える。前記推進装置本体は、前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記密閉フランジ部に下向きに押し付けられて前記縦穴を水密に閉じる密閉部(32、132)と、前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記密閉部の下側に配置される推力発生部(34、134)とを備える。前記推進装置を移動するステップにおいて、前記推進装置本体と前記駆動装置とを別々に移動する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、天候や海象に関係なく洋上で推進装置のメンテナンスを実行することが可能であり、且つ、推進装置を移動するために大型の装置が不要である洋上における推進装置のメンテナンス方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る浮体式構造物の推進装置近傍の側面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る推進装置の平面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る推進装置の締結構造を示す。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において推進装置の駆動装置を取り外して移動するステップを示す。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において推進装置本体を押さえつけるステップを示す。
【図6】図6は、推進装置本体を押さえつけるステップで使用される押し込み装置の平面図である。
【図7】図7は、ナットを取り外すステップで使用される締結装置の概略構成を示す。
【図8】図8は、第1の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において推進装置本体を動作位置からメンテナンス場所に移動するステップを示す。
【図9】図9は、第1の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において植込みボルトを取り外すステップを示す。
【図10】図10は、第1の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において縦穴の水抜きをするステップを示す。
【図11】図11は、第1の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において縦穴の水抜きをするステップの変形例を示す。
【図12】図12は、本発明の第2の実施形態に係る浮体式構造物の推進装置近傍の側面図である。
【図13】図13は、第2の実施形態に係る推進装置の平面図である。
【図14】図14は、第2の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において推進装置本体を動作位置からメンテナンス場所に移動するステップを示す。
【図15】図15は、第2の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において推進装置本体を動作位置に戻すステップを示す。
【図16】図16は、本発明の第3の実施形態に係る浮体式構造物の推進装置近傍の側面図である。
【図17】図17は、第3の実施形態に係る縦穴近傍の平面図である。
【図18】図18は、第3の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において推進装置の駆動装置を取り外して移動するステップを示す。
【図19】図19は、第3の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において押し込み装置の押さえ棒を撤去するステップを示す。
【図20】図20は、第3の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において押し込み装置の押さえ棒支持部を撤去するステップを示す。
【図21】図21は、第3の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において推進装置本体を動作位置からメンテナンス台に移動するステップを示す。
【図22】図22は、第3の実施形態に係る推進装置のメンテナンス方法において縦穴の水抜きをするステップを示す。
【図23】図23は、第3の実施形態の係る押し込み装置の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明による洋上における推進装置のメンテナンス方法を実施するための形態を以下に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る浮体式構造物を説明する。浮体式構造物は、船体10と、推進装置30とを備える。船体10は、喫水線より高い位置に配置されたデッキ11と、船底外板12と、ケーシング21と、密閉フランジ部22とを備える。船体10内にはデッキ11から船底外板12まで延びる縦穴20が形成されている。縦穴20は喫水線の高さをまたいで延びている。ケーシング21は縦穴20の周囲に設けられている。密閉フランジ部22は、喫水線より低い位置で縦穴20を部分的に閉じるように形成されている。例えば、密閉フランジ部22は縦穴20の最下部の中心部分を閉じずに周辺部分を閉じている。デッキ11の上方、例えば縦穴20の上方には、ホイストや巻き上げ機のような移動装置13が設けられている。移動装置13は、吊り下げられた重量物の上下移動及び水平移動を行う。
【0019】
図1において、推進装置30が推力を発生する動作位置に配置された状態が示されている。推進装置30は、アジマススラスタのような舶用スラスタである。推進装置30は、推進装置本体31と、推進装置本体31の上側に配置される駆動装置35とを備える。推進装置本体31は、密閉フランジ部22に下向きに押し付けられて縦穴20を水密に閉じる密閉部32と、密閉部32から上方に突き出したガイドパイプ33と、密閉部32の下側に配置される推力発生部34とを備える。密閉部32は、例えば板形状に形成される。密閉部32と密閉フランジ部22との間には図示されないパッキンが設けられる。ガイドパイプ33は、溶接などにより密閉部32に固定されている。推力発生部34は、プロペラを備えている。駆動装置35は、プロペラを駆動する電動機と、推力発生部34を旋回させる電動機とを備える。駆動装置35は、推進装置本体31から脱着可能である。ここで、密閉フランジ部22は、推力発生部34の通過を許容し、密閉部32の通過を許容しないように形成されている。
【0020】
図2を参照して、ケーシング21に沿って上下に延びる位置決めガイド23が設けられている。密閉部32の周縁部分に凹部32aが形成されている。位置決めガイド23は凹部32aに配置されている。ケーシング21が円筒形状であるため、ケーシング21の強度が高い。
【0021】
図3を参照して、密閉部32を密閉フランジ部22に下向きに押し付ける締結構造を説明する。密閉フランジ部22は、植込みボルト取り付け穴22aと、植込みボルト取り付け穴22aと同軸のガイド穴22bとが形成されている。ガイド穴22bは植込みボルト取り付け穴22aより径が大きく、座ぐり状に形成されている。植込みボルト取り付け穴22aにねじ込まれた植込みボルト41は、密閉フランジ部22から上方に突き出した雄ねじ部分を形成している。密閉部32には植込みボルト41が貫通する貫通孔32bが形成されている。貫通孔32bとガイドパイプ33とは同軸に配置されている。植込みボルト41の密閉部32より上方に突き出た部分は、ガイドパイプ33内に配置される。植込みボルト41の密閉部32より上方に突き出た部分と係合するナット42が密閉部32を密閉フランジ部22に押し付ける。ナット42には植込みボルト41が貫通する孔部43が形成されている。孔部43は、植込みボルト41と係合するねじが形成されたねじ形成部43aと、ねじが形成されない位置決め用スリーブ部43bとを備える。ナット43は、ねじ形成部43aが上に位置し、位置決め用スリーブ部43bが下に位置した状態で密閉部32を密閉フランジ部22に押し付ける。
【0022】
以下、本実施形態に係る洋上における推進装置のメンテナンス方法を説明する。
【0023】
図4を参照して、縦穴20内には海水がない状態である。ケーシング21には作業員が縦穴20を昇り降りするための梯子(不図示)が常設されている。或いは、縦穴20を昇り降りするために縄梯子等の仮設の梯子を用いる。作業員は駆動装置35を推進装置本体31から取り外す。移動装置13を用いて駆動装置35を吊り上げて縦穴20内を上昇させ、デッキ11上に移動する。
【0024】
デッキ11上で駆動装置35のメンテナンスを実行する。
【0025】
図5を参照して、推進装置本体31を密閉フランジ部22から取り外す準備をするステップを説明する。作業員は、移動装置13の吊り具14(例えばワイヤ)を密閉部32に取り付けたのち、縦穴20から退避する。次に、延長ガイドパイプ53をガイドパイプ33に継ぎ足すように設置する。延長ガイドパイプ53の上端よりやや下の位置には延長ガイドパイプ53の外周面から突き出す凸部54が形成されている。次に、押し込みフランジ51を凸部54の上に載せて押し込み装置50を形成する。押し込みフランジ51は喫水線より高い位置(縦穴20の上方)に配置される。このとき、吊り具14は押し込みフランジ51に形成された貫通孔52に通された状態になる。ここで、押し込みフランジ51には、延長ガイドパイプ54の上端が通過可能で凸部54が通過不可能な貫通孔51bが形成されている。
【0026】
図6に示すように、押し込みフランジ51は貫通孔52に達する分割線51aで分割されるように構成されているため、押し込みフランジ51を凸部54の上に載せて押し込み装置50を形成するときに押し込みフランジ51と吊り具14が干渉しない。
【0027】
図5を参照して、図示しない治具を用いて押し込みフランジ51が持ち上がらないように押さえることにより、推進装置本体31が持ち上がらないように押さえつける。延長ガイドパイプ53を用いて推進装置本体31を押さえつけるため、この押さえつける作業はデッキ11上の作業員により行うことが可能である。
【0028】
図7を参照して、締結装置60を用いてナット42を植込みボルト41から取り外すステップを説明する。尚、締結装置60を油圧ボルト締結装置と称してもよい。締結装置60は、張力付加装置61と、ナット着脱装置65とを備える。張力付加装置61は、基部62と、基部62に取り付けられた油圧シリンダ63と、棒を介して油圧シリンダ63に接続された係合部64とを備える。ナット着脱装置65は、筒66と、エアモータ67と、エアモータ68によって駆動されるギヤ68と、ギヤ68と噛み合うギヤ69と、ギヤ69に設けられたエアチャック70とを備える。エアモータ67、ギヤ68及び69、エアチャック70は、筒66の先端部の内側に設けられる。ギヤ69には植込みボルト41が通過可能な貫通孔69aが形成されている。
【0029】
ナット着脱装置65の筒66を延長ガイドパイプ53を介してガイドパイプ33に挿入し、エアチャック70でナット42を掴む。筒66がガイドパイプ33によって案内されるため、エアチャック70でナット42を掴むことが容易である。このとき、植込みボルト41のナット42より上の部分が貫通孔69aから上方に突き出す。張力付加装置61の係合部64を筒66内に挿入して植込みボルト41の貫通孔69aから上方に突き出た部分と係合させ、基部62を押し込みフランジ51上に設置する。したがって、張力付加装置61のけり部は喫水線より高い位置にあり、油圧シリンダ63は喫水線より高い位置に配置される。油圧シリンダ63が縦穴20の外にあるため、油圧配管長を短くすることができる。油圧シリンダ63で係合部64を引っ張って植込みボルト41に張力を作用させながら、エアモータ67がエアチャック70を回転させる。ナット42が密閉部32から十分離れたら、張力付加装置61を撤去し、更にエアモータ67でエアチャック70を回転させてナット42を植込みボルト41から取り外す。締結装置60を用いることで、デッキ11上にいる作業員がナット42を植込みボルト41から取り外すことが可能である。その後、ナット着脱装置65を撤去し、押し込み装置50を撤去する。密閉部32を密閉フランジ部22に押し付ける力がなくなると、縦穴20に海水が侵入する。
【0030】
空気で動作するエアモータ67及びエアチャック70が用いられ、且つ、油圧シリンダ63が喫水線より高い位置に配置されるため、海水が油で汚染されることが防がれる。
【0031】
尚、エアモータ67を用いないで人力でナット42を回転させてもよい。例えば、エアチャック70を筒66に固定し、筒66の上端部にハンドルを設ける。
【0032】
図8を参照して、推進装置本体31を動作位置からデッキ11上に移動するステップを説明する。移動装置13を用いて推進装置本体31を吊り上げて縦穴20内を上昇させ、デッキ11上に移動する。
【0033】
デッキ11上で推進装置本体31のメンテナンスを実行する。
【0034】
図9を参照して、植込みボルト着脱装置75を用いて植込みボルト41を取り外すステップを説明する。植込みボルト着脱装置75は、筒76と、エアモータ77と、エアモータ78によって駆動されるギヤ78と、ギヤ78と噛み合うギヤ79と、ギヤ79に設けられたエアチャック80とを備える。エアモータ77、ギヤ78及び79、エアチャック80は、筒76の先端部の内側に設けられる。ギヤ79には植込みボルト41が通過可能な貫通孔79aが形成されている。はじめに、位置決めスリーブ73をガイド穴22bに設置する。植込みボルト着脱装置75の筒76を位置決めスリーブ73に挿入し、エアチャック80で植込みボルト41を掴む。筒76が位置決めスリーブ73によって案内されるため、エアチャック80で植込みボルト41を掴むことが容易である。エアモータ77がエアチャック80を回転させて植込みボルト41を植込みボルト取り付け穴22aから取り外す。その後、植込みボルト着脱装置75を撤去し、位置決めスリーブ73を撤去する。
【0035】
空気で動作するエアモータ77及びエアチャック80を用いるため、海水が油で汚染されることが防がれる。
【0036】
尚、エアモータ77を用いないで人力で植込みボルト41を回転させてもよい。例えば、エアチャック80を筒76に固定し、筒76の上端部にハンドルを設ける。また、エアチャック80が植込みボルト41の上端を掴む場合、貫通孔79aは無くてもよい。
【0037】
メンテナンスが終了した推進装置30を動作位置に戻すときまで植込みボルト41を海水から引き上げておくことで、植込みボルト41に海生物が付着することが防止される。植込みボルト41に海生物が付着すると、推進装置30を動作位置に戻すときにナット42を植込みボルト41に取り付ける作業が困難になる。
【0038】
尚、縦穴20内に真水や次亜塩素酸ソーダ水溶液を供給して海生物付着を防止する場合は、植込みボルト41を密閉フランジ部22に付けたままにしてもよい。海生物付着を防止する場合は、ボルトを密閉フランジ部22に溶接することで密閉フランジ部22から上方に突き出した雄ねじ部分を形成してもよい。
【0039】
図10を参照して、メンテナンスが終了した推進装置30を動作位置に戻すステップを説明する。はじめに、植込みボルト着脱装置75及び位置決めスリーブ73を用いて植込みボルト41を密閉フランジ部22に取り付ける。次に、移動装置13を用いて推進装置本体31を縦穴20内に降し、密閉部32を密閉フランジ部22に載せる。このとき、密閉部32の凹部32aの位置を位置決めガイド23に合わせることで、植込みボルト41が貫通孔32bを通って密閉部32より上方に突き出し、植込みボルト41の密閉部32より上方に突き出た部分がガイドパイプ33内に配置される。次に、押し込み装置50を用いて推進装置本体31が持ち上がらないように押さえつける。次に、締結装置60を用いてナット42を植込みボルト41に取り付けて密閉部32を密閉フランジ部22に押し付ける。このとき、位置決め用スリーブ部43bが下側になるようにエアチャック70でナット42を掴むことで、ナット42を植込みボルト41に容易に取り付けることができる。その後、水抜きポンプ85で縦穴20内の水抜きをする。水抜きの終了後、押し込み装置50を撤去し、推進装置本体31から吊り具14を取り外す。尚、水抜きを開始する前に押し込み装置50を撤去してもよい。その後、移動装置13を用いて駆動装置35を縦穴20内に降し、作業員が駆動装置35を推進装置本体31に取り付ける。
【0040】
本実施形態において、延長ガイドパイプ53のかわりに押さえ棒を用いてもよい。この場合、押さえ棒の上端よりやや下の位置に凸部54が形成され、締結装置60を縦穴20内に導入するための貫通孔であって貫通孔51bとは別の貫通孔を押し込みフランジ51に形成する。押さえ棒の下端が密閉部32(ガイドパイプ33以外の部分)を下方に押し付ける。
【0041】
本実施形態によれば、船体10内の縦穴20を用いて推進装置30を動作位置とメンテナンス場所との間で移動するため、天候や海象に関係なく洋上で推進装置30のメンテナンスを実行することが可能である。推進装置本体31と駆動装置35とを別々に移動するため、推進装置30を移動するための移動装置13が大型の装置でなくてもよい。駆動装置35の推進装置本体31への取り付け及び取り外しを縦穴20内に海水がない状態で行うため、ダイバー作業が不要である。
【0042】
更に、押し込み装置50及び締結装置60を用いることで、推進装置本体31の密閉フランジ部22への取り付け及び取り外しのためにダイバー作業が不要である。植込みボルト着脱装置75を用いることで、植込みボルト41の密閉フランジ部22への取り付け及び取り外しのためにダイバー作業が不要である。
【0043】
尚、推進装置本体31の密閉フランジ部22への取り付け及び取り外しをダイバーが行うことも可能である。
【0044】
(第1の実施形態の変形例)
図11を参照して、第1の実施形態に係る洋上における推進装置のメンテナンス方法の変形例を説明する。本変形例においては、推進装置本体31を密閉フランジ部22に取り付けた後に縦穴20から水抜きをする方法が異なる。貫通孔52を蓋87で密閉し、更に、押し込みフランジ51と延長ガイドパイプ53との間、延長ガイドパイプ53の上端部、及び押し込みフランジ51とデッキ11との間を密閉した後に、空気圧縮器88が圧縮空気を縦穴20内に供給する。縦穴20内の海水は水抜きパイプ89を通って排出される。水抜きの終了後に水抜きパイプ89に設けられたバルブ(不図示)を閉じ、さらに縦穴20内に圧縮空気を供給することで、密閉部32を密閉フランジ部22に強く押し付けることが可能である。
【0045】
(第2の実施形態)
図12を参照して、本発明の第2の実施形態に係る浮体式構造物を説明する。以下、本実施形態と第1の実施形態との相違点のみを説明し、共通点の説明は省略する。本実施形態において、推進装置本体31は、密閉部32の上側に配置される歯車駆動下降装置36を備える。歯車駆動下降装置36の操作部(不図示)は喫水線より高い位置(例えば縦穴20の外)に設けられる。植込みボルト41及びナット42が密閉部32を密閉フランジ部22に締結する。尚、ガイドパイプ33は設けられない。
【0046】
図13を参照して、ケーシング21に上下に延びるラック24が設けられている。歯車駆動下降装置36は、ラック24と噛み合うピニオン(不図示)を備える。歯車駆動下降装置36は、ピニオンでラック24を蹴って密閉部32を密閉フランジ部22に下向きに押し付ける。図13において、植込みボルト41及びナット42は省略されている。
【0047】
以下、本実施形態に係る洋上における推進装置のメンテナンス方法を説明する。以下、本実施形態と第1の実施形態との相違点のみを説明し、共通点の説明は省略する。
【0048】
図14を参照して、推進装置本体31を密閉フランジ部22から取り外してデッキ11上に移動するステップを説明する。歯車駆動下降装置36がピニオンでラック24を蹴って密閉部32を密閉フランジ部22に押し付けている状態で、作業員はナット42を植込みボルト41から取り外す。作業員は、移動装置13の吊り具14を密閉部32に取り付けたのち、縦穴20から退避する。次に、歯車駆動下降装置36はピニオンとラック24との噛み合いを解除する。密閉部32を密閉フランジ部22に押し付ける力がなくなると、縦穴20に海水が侵入する。移動装置13を用いて推進装置本体31を吊り上げて縦穴20内を上昇させ、デッキ11上に移動する。
【0049】
図15を参照して、メンテナンスが終了した推進装置本体31を動作位置まで移動して密閉フランジ部22に取り付けるステップを説明する。移動装置13を用いて推進装置本体31を吊り上げて縦穴20内まで移動する。歯車駆動下降装置36は、ピニオンとラック24とを噛み合わせる。歯車駆動下降装置36は、ピニオンでラック24を蹴って密閉部32を密閉フランジ部22に押し付ける。縦穴20の水抜きを行ったのち、作業員はナット42を植込みボルト41に取り付け、密閉部32を密閉フランジ部22に締結する。その後、歯車駆動下降装置36が密閉部32を密閉フランジ部22に押し付けることを停止する。
【0050】
本実施形態によれば、歯車駆動下降装置36を用いることで、推進装置本体31の密閉フランジ部22への取り付け及び取り外しのためにダイバー作業が不要である。
【0051】
(第3の実施形態)
図16を参照して、本発明の第3の実施形態に係る浮体式構造物を説明する。以下、本実施形態と第1の実施形態との相違点のみを説明し、共通点の説明は省略する。本実施形態に係る浮体式構造物は、船体10と、推進装置130とを備える。船体10は、喫水線より高い位置に配置されたデッキ11と、船底外板12と、ケーシング121と、密閉フランジ部122とを備える。ケーシング121は船殻構造又はコンテナ構造を有する。船体10内にはデッキ11から船底外板12まで延びる縦穴120が形成されている。縦穴120は喫水線の高さをまたいで延びている。ケーシング121は縦穴120の周囲に設けられている。密閉フランジ部122は、喫水線より低い位置で縦穴120を部分的に閉じるように形成されている。例えば、密閉フランジ部122は縦穴120の最下部の中心部分を閉じずに周辺部分を閉じている。デッキ11の上方、例えば縦穴120の上方には、移動装置13が設けられている。
【0052】
図16において、推進装置130が推力を発生する動作位置に配置された状態が示されている。推進装置130は、アジマススラスタのような舶用スラスタである。推進装置130は、推進装置本体131と、推進装置本体131の上側に配置される駆動装置135とを備える。推進装置本体131は、密閉フランジ部122に下向きに押し付けられて縦穴120を水密に閉じる密閉部132と、密閉部132の下側に配置される推力発生部134とを備える。密閉部132はケーシング121に格納される。密閉部132と密閉フランジ部122との間には図示されないパッキンが設けられる。推力発生部134は、プロペラを備えている。駆動装置135は、プロペラを駆動する電動機と、推力発生部134を旋回させる電動機とを備える。駆動装置135は、推進装置本体131から脱着可能である。ここで、密閉フランジ部122は、推力発生部134の通過を許容し、密閉部132の通過を許容しないように形成されている。
【0053】
密閉部132は、押し込み装置150によって密閉フランジ部122に下向きに押し付けられる。押し込み装置150は、デッキ11上に設けられた台座154と、縦穴120の上方に配置されるように台座154に固定される押さえ棒支持部151と、押さえ棒支持部151が取り付けられる押さえ棒153とを備える。押さえ棒支持部151には、駆動装置135が通過可能な貫通孔152が形成されている。押さえ棒支持部151はフランジ状(板状)に形成されている。押さえ棒153のネジ部と押さえ棒支持部151のネジ部とは、押さえ棒153が回転したときに押さえ棒153が上下に移動するように係合する。押さえ棒153を回転させることで、密閉部132を密閉フランジ部122に押し付けることができる。押さえ棒153の下端が密閉部132に形成された凹部132aに配置されるため、押さえ棒153で密閉部132を押すときに押さえ棒153の下端が滑ってしまうことが防がれる。
【0054】
図17を参照して、ケーシング122は矩形形状に形成され、ケーシング122には推進装置130からのスラスト力を受けるためのパッド123が設けられている。パッド123は密閉部132に接触する。スラストパッド123は、樹脂、ゴム類、又は耐腐食性金属により形成される。
【0055】
以下、本実施形態に係る洋上における推進装置のメンテナンス方法を説明する。以下、本実施形態と第1の実施形態との相違点のみを説明し、共通点の説明は省略する。
【0056】
図18を参照して、縦穴120内には海水がない状態である。ケーシング121には作業員が縦穴120を昇り降りするための梯子(不図示)が常設されている。或いは、縦穴120を昇り降りするために縄梯子等の仮設の梯子を用いる。押さえ棒支持部151には、作業員が縦穴120に降りるためのマンホール(不図示)が設けられている。作業員は駆動装置135を推進装置本体31から取り外す。移動装置13を用いて駆動装置135を吊り上げて縦穴20内を上昇させ、貫通孔152を通過させてデッキ11上に移動する。
【0057】
デッキ11上で駆動装置135のメンテナンスを実行する。
【0058】
図19を参照して、作業員は、移動装置13の吊り具14(例えばワイヤ)を密閉部132に取り付けたのち、縦穴20から退避する。このとき、吊り具14は押さえ棒支持部151の貫通孔152に通される。次に、押さえ棒153を押さえ棒支持部151から取り外して縦穴120から撤去する。押さえ棒153の撤去に移動装置13を用いることが可能である。密閉部132を密閉フランジ部122に押し付ける力がなくなると、縦穴120に海水が侵入する。
【0059】
図20を参照して、押さえ棒支持部151を台座154から取り外し、押さえ棒支持部151を縦穴121の上方位置から撤去する。押さえ棒支持部151の撤去に移動装置13を用いることが可能である。ここで、押さえ棒支持部151は貫通孔152に達する分割線151aで分割されるように構成されているため、押さえ棒支持部151を撤去するときに押さえ棒支持部151と吊り具14が干渉しない。
【0060】
図21を参照して、推進装置本体131を動作位置からデッキ11上に移動するステップを説明する。移動装置13を用いて推進装置本体131を吊り上げて縦穴20内を上昇させ、デッキ11上に移動する。推進装置本体131は、デッキ11上のメンテナンス台160に固定される。
【0061】
デッキ11上で推進装置本体131のメンテナンスを実行する。
【0062】
図22を参照して、メンテナンスが終了した推進装置30を動作位置に戻すステップを説明する。はじめに、移動装置13を用いて推進装置本体131を縦穴120内に降し、密閉部132を密閉フランジ部122に載せる。次に、押さえ棒支持部151を台座154に取り付ける。次に、押さえ棒153のねじ部と押さえ棒支持部151のねじ部とを係合させ、押さえ棒153で密閉部132を密閉フランジ部122に押し付ける。押さえ棒153の規定トルクで締め付けることで密閉部132と密閉フランジ部122とを確実に密着させる。その後、水抜きポンプ85で縦穴120内の水抜きをする。水抜きの終了後、推進装置本体131から吊り具14を取り外す。
【0063】
その後、移動装置13を用いて駆動装置135を縦穴20内に降し、作業員が駆動装置135を推進装置本体131に取り付ける。
【0064】
本実施形態においては、喫水線より高い位置から押さえ棒153により密閉部132を密閉フランジ部122に押し付けているため、推進装置本体131の密閉フランジ部122への取り付け及び取り外しのためにダイバー作業が不要である。
【0065】
(第3の実施形態の変形例)
図23を参照して、第3の実施形態に係る洋上における推進装置のメンテナンス方法の変形例を説明する。本変形例においては、押さえ棒153と押さえ棒153Aとが併用される。油圧ポンプ156で押さえ棒支持部151に設けられた油圧シリンダ155に作動油を供給することで、押さえ棒153Aにより密閉部132を密閉フランジ部122に押し付ける。押さえ棒153Aにより密閉部132を密閉フランジ部122に押し付けた状態で押さえ棒153を回転させることにより、押さえ棒153を回転させるためのトルクが軽減される。
【0066】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に様々な変更を行うことが可能であり、上記実施の形態どうしを組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
10…船体
11…デッキ
12…船底外板
13…移動装置
14…吊り具
20…縦穴
21…ケーシング
22…密閉フランジ部
22a…植込みボルト取り付け穴
22b…ガイド穴
23…位置決めガイド
24…ラック
30…推進装置
31…推進装置本体
32…密閉部
32a…凹部
32b…貫通孔
33…ガイドパイプ
34…推力発生部
35…駆動装置
36…歯車駆動下降装置
41…植込みボルト
42…ナット
43…孔部
43a…ねじ形成部
43b…位置決め用スリーブ部
50…押し込み装置
51…押し込みフランジ
51a…分割線
51b…貫通孔
52…貫通孔
53…延長ガイドパイプ
54…凸部
60…締結装置
61…張力付加装置
62…基部
63…油圧シリンダ
64…係合部
65…ナット着脱装置
66…筒
67…エアモータ
68、69…ギヤ
69a…貫通孔
70…エアチャック
73…位置決めスリーブ
75…植込みボルト着脱装置
76…筒
77…エアモータ
78、79…ギヤ
79a…貫通孔
80…エアチャック
85…水抜きポンプ
87…蓋
88…空気圧縮器
89…水抜きパイプ
120…縦穴
121…ケーシング
122…密閉フランジ部
123…パッド
130…推進装置
131…推進装置本体
132…密閉部
132a…凹部
134…推力発生部
135…駆動装置
150…押し込み装置
151…押さえ棒支持部
151a…分割線
152…貫通孔
153、153A…押さえ棒
154…台座
155…油圧シリンダ
156…油圧ポンプ
160…メンテナンス台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体内で喫水線の高さをまたいで延びる縦穴を用いて推進装置が推力を発生する動作位置から前記船体内の前記喫水線より高い位置まで前記推進装置を移動するステップと、
前記推進装置のメンテナンスを実行するステップと
を具備し、
前記船体は、前記喫水線より低い位置で前記縦穴を部分的に閉じるように形成された密閉フランジ部を備え、
前記推進装置は、
推進装置本体と、
前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記推進装置本体の上側に配置される駆動装置と
を備え、
前記推進装置本体は、
前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記密閉フランジ部に下向きに押し付けられて前記縦穴を水密に閉じる密閉部と、
前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記密閉部の下側に配置される推力発生部と
を備え、
前記推進装置を移動するステップにおいて、前記推進装置本体と前記駆動装置とを別々に移動する
洋上における推進装置のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記推進装置を移動するステップは、
棒又はパイプを用いて前記推進装置本体が持ち上がらないように押さえつけるステップと、
締結装置を用いて前記密閉フランジ部から上方に突き出した雄ねじ部分と係合して前記密閉部を前記密閉フランジ部に押し付けるナットを取り外すステップと
を備え、
前記締結装置は、
前記ナットを掴む第1エアチャックと、
前記第1エアチャックが設けられた第1筒と、
前記第1筒内に挿入され、前記雄ねじ部分の前記ナットより上の部分と係合する係合部と、
前記係合部を引っ張る油圧シリンダと
を備える
請求項1の洋上における推進装置のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記推進装置本体は、前記密閉部から上方に突き出したガイドパイプを備え、
前記ナットを取り外すステップは、前記第1筒を前記ガイドパイプに挿入するステップを備える
請求項2の洋上における推進装置のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記雄ねじ部分は植込みボルトであり、
植込みボルト着脱装置を用いて前記植込みボルトを前記密閉フランジ部から取り外すステップを更に具備し、
前記植込みボルト着脱装置は、
前記植込みボルトを掴む第2エアチャックと、
前記第2エアチャックが設けられた第2筒と
を備える
請求項2又は3の洋上における推進装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記推進装置を移動するステップは、
前記縦穴の上方位置に配置された押さえ棒支持部から前記密閉部を前記密閉フランジ部に押し付ける押さえ棒を取り外すステップと、
前記押さえ棒支持部を前記縦穴の上方位置から撤去するステップと
を備え、
前記押さえ棒のネジ部と前記押さえ棒支持部のネジ部とは、前記押さえ棒が回転したときに前記押さえ棒が上下に移動するように係合する
請求項1の洋上における推進装置のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記船体は、前記縦穴の周囲に設けられたケーシングを備え、
前記ケーシングにラックが設けられ、
前記推進装置本体は、前記ラックをピニオンで蹴って前記密閉部を前記密閉フランジ部に押し付ける歯車駆動下降装置を備え、
前記推進装置を移動するステップは、前記歯車駆動下降装置が前記ピニオンと前記ラックとの噛み合いを解除するステップを備える
請求項1の洋上における推進装置のメンテナンス方法。
【請求項7】
推進装置のメンテナンスを実行するステップと、
船体内で喫水線の高さをまたいで延びる縦穴を用いて前記船体内の前記喫水線より高い位置から前記推進装置が推力を発生する動作位置まで前記推進装置を移動するステップと
を具備し、
前記船体は、前記喫水線より低い位置で前記縦穴を部分的に閉じるように形成された密閉フランジ部を備え、
前記推進装置は、
推進装置本体と、
前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記推進装置本体の上側に配置される駆動装置と
を備え、
前記推進装置本体は、
前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記密閉フランジ部に下向きに押し付けられて前記縦穴を水密に閉じる密閉部と、
前記推進装置が前記動作位置にあるときに前記密閉部の下側に配置される推力発生部と
を備え、
前記推進装置を移動するステップにおいて、前記推進装置本体と前記駆動装置とを別々に移動する
洋上における推進装置のメンテナンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−101580(P2012−101580A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249340(P2010−249340)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)