洗浄具
【課題】長時間に渡って効率的に洗浄を行うことができる洗浄具を提供する。
【解決手段】洗浄具10は、上面側に洗剤を入れるための有底凹部11aが形成され且つ下面11bが被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されたブロック状のスポンジからなる洗浄具本体11とその上側部分11cを外嵌めすると共に下側部分11dを下方に突出させるように設けられた環状のハンドグリップ12とを備える。
【解決手段】洗浄具10は、上面側に洗剤を入れるための有底凹部11aが形成され且つ下面11bが被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されたブロック状のスポンジからなる洗浄具本体11とその上側部分11cを外嵌めすると共に下側部分11dを下方に突出させるように設けられた環状のハンドグリップ12とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄具及びそれを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料品の洗濯において、特に汚れのひどい部分については、洗濯機で洗浄する前に手洗い等による部分洗いを行うことが一般的となっている。
【0003】
また、特許文献1には、手洗い洗濯用の道具として、洗剤組成物と水とを混合するための混合容器にブラシ状の摩擦手段を設けたハンドヘルド容器を用い、混合容器中で洗浄剤組成物と水との混合物を準備し、その混合物の一部を混合容器から洗濯物の上に分与すると共に摩擦手段で擦ることによって洗濯物を洗浄し、その直後に潅水を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−505170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、長時間に渡って効率的に洗浄を行うことができる洗浄具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄具は、上面側に洗剤を入れるための有底凹部が形成され且つ下面が被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されたブロック状のスポンジからなる洗浄具本体と、該洗浄具本体の上側部分を外嵌めすると共に下側部分を下方に突出させるように設けられた環状のハンドグリップとを備える。
【0007】
本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄具を用い、上記洗浄具本体の有底凹部に洗剤を入れると共に該洗浄具本体に含水させ、該洗浄具本体の下面に洗剤を含んだ水が滲み出た状態で、上記ハンドグリップを把持して該洗浄具本体の下面で被洗浄面を摩擦するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄具本体の有底凹部に洗剤を入れると共に洗浄具本体に含水させることにより、洗浄具本体の下面に洗剤を含んだ水が徐々に滲み出ることとなるので、頻繁に洗剤を供給する必要がなく、長時間に渡って効率的に洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る洗浄具の斜視図である。
【図2】実施形態に係る洗浄具の分解斜視図である。
【図3】実施形態に係る洗浄具の平面図である。
【図4】実施形態に係る洗浄具の縦断面図である。
【図5】実施形態に係る洗浄方法の第1の説明図である。
【図6】実施形態に係る洗浄方法の第2の説明図である。
【図7】実施形態に係る洗浄方法の第3の説明図である。
【図8】実施形態に係る洗浄方法の第4の説明図である。
【図9】実施形態に係る洗浄方法の第5の説明図である。
【図10】実施形態に係る洗浄方法の第6の説明図である。
【図11】実施形態に係る洗浄方法の第7の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態の概要)
実施形態の概要を以下にまとめる。
(1)上面側に洗剤を入れるための有底凹部が形成され且つ下面が被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されたブロック状のスポンジからなる洗浄具本体と、
上記洗浄具本体の上側部分を外嵌めすると共に下側部分を下方に突出させるように設けられた環状のハンドグリップと、
を備えた洗浄具。
(2)上記洗浄具本体の上側部分は上記ハンドグリップに圧縮状態で嵌め入れられている上記(1)に記載された洗浄具。
(3)上記洗浄具本体の下側部分は、平面視において、上記ハンドグリップよりも外側に張り出している上記(1)又は(2)記載の洗浄具。
(4)上記ハンドグリップにその上側の開口を封じるように着脱可能に設けられていると共に通気孔が形成された蓋部材をさらに備えた上記(1)乃至(3)のいずれかに記載された洗浄具。
(5)上記洗浄具本体の有底凹部に着脱可能に詰め込まれたスポンジからなる詰込部材をさらに備えた上記(1)及至(4)のいずれかに記載された洗浄具。
(6)上記洗浄具本体の有底凹部の内壁に沿って嵌め入れられた凹部保形部材をさらに備えた上記(1)乃至(5)のいずれかに記載された洗浄具。
(7)上記洗浄具本体の有底凹部の底に敷設されたセル数が25mm当たり20〜90個のスポンジからなる薄板状の凹部敷設部材をさらに備えた上記(1)乃至(6)のいずれかに記載された洗浄具。
(8)上記(1)乃至(7)のいずれかに記載された洗浄具を用い、上記洗浄具本体の有底凹部に洗剤を入れると共に該洗浄具本体に含水させ、該洗浄具本体の下面に洗剤を含んだ水が滲み出た状態で、上記ハンドグリップを把持して該洗浄具本体の下面で被洗浄面を摩擦する洗浄方法。
【0011】
更に限定的な洗浄具は下記(9)及び(10)である。
(9)上記洗浄具本体の上側部分は上記ハンドグリップの内壁に固定されて一体に設けられている上記(1)乃至(7)に記載された洗浄具。
(10)上記洗浄具本体の下面が凸面である上記(1)乃至(7)及び(9)のいずれかに記載された洗浄具。
【0012】
また更に限定的な洗浄方法は下記(11)及び(12)である。
(11)上記洗剤を粉末洗剤とする上記(8)に記載された洗浄方法。
(12)上記被洗浄面を衣料品の表面とする上記(8)又は(11)に記載された洗浄方法。
【0013】
(実施形態の具体的内容)
以下、実施形態の具体的内容について図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜4は実施形態に係る洗浄具10を示す。本実施形態に係る洗浄具10は、衣料品の洗濯、食器洗い、或いは、屋内外の清掃等において手で把持して使用される道具であり、特に、衣料品を洗濯機で洗浄する前に行う部分洗いにおいて好適に使用されるものである。
【0015】
本実施形態に係る洗浄具10は、基本構成として、洗浄具本体11、ハンドグリップ12、及び蓋部材13を備えている。本実施形態に係る洗浄具10は、手で把持して作業する作業性の良さの観点から、長さが50〜150mm、幅が30〜100mm、及び厚さが10〜100mmであることが好ましい。
【0016】
洗浄具本体11は、例えば軟質ウレタンフォームにより形成された直方体のブロック状のスポンジからなり、上面側の中央部に洗剤を入れるための有底凹部11aが形成され且つ下面11bが被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されている。ここで、本出願において「軟質ウレタンフォーム」とは、岩田敬治著、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.150〜221に記載の、一般的にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう。軟質ウレタンフォームの物性は、特に限定されるものではないが、一般的には、JIS K7222に基づいて測定されるみかけ密度が10〜100kg/m3、JIS K6400−5に基づいて測定される伸び率が80〜500%の範囲のものをいう。また、「スポンジ」とは、多孔性の海綿体状構造物をいう。
【0017】
洗浄具本体11を構成する軟質ウレタンフォームのスポンジとしては、例えば、エステル系のものやエーテル系のものが挙げられる。
【0018】
洗浄具本体11を構成するスポンジは、セルの大きさが均一な単一のスポンジ素材で構成されていてもよく、また、セルの大きさの異なる複数のスポンジの集合体で構成されてもよく、さらにセルの大きさが異なる複数のスポンジ素材の積層体で構成されていてもよい。但し、優れた洗浄性を得る観点からは、少なくとも被洗浄面を摩擦する下面11bを構成する部分は、セル数が25mm当たり3〜90個であることが好ましく、さらに洗浄対象が衣料品である場合、8〜15個であることが好ましく、10〜15個であることがより好ましい。セル数がこれらの数であることにより、セルを形成する骨格及びその剛性が適度なものとなるので、被洗浄面を損傷させることなく優れた洗浄性を得ることができる。ここで、セル数は、JISK6400−1:2004の付属書1に基づいて測定することができる。
【0019】
洗浄具本体11を構成するスポンジは、例えば、密度が10〜250kg/m3、及び伸び率が50〜300%である。
【0020】
洗浄具本体11を構成するスポンジは、被洗浄面への力のかけやすさや洗浄性及び使い勝手の観点から、ASTM D1056に基づいて測定される25%圧縮荷重が5〜100kPaであることが好ましく、10〜70kPaであることがより好ましく、20〜50kPaであることが特に好ましい。
【0021】
洗浄具本体11を構成するスポンジは、縦横それぞれ50mmで且つ厚さ10mmの板状試験片に、孔径1mmのスポイトを用いて、板状試験片の上方20mmの高さから濃度1000ppmの界面活性剤の水溶液を5秒間で3g滴下したときに、板状試験片を通過する水溶液の量が1gに達するまでの液通過時間が2.5〜7.0秒である程度の液通過性を有することが好ましい。
【0022】
洗浄具本体11の上面側に形成された有底凹部11aは、凹部開口が矩形に形成されており、例えば、長さが20〜60mm、幅が15〜50mm、及び深さが10〜60mmである。また、有底凹部11aの底面と洗浄具本体11の下面11bとの間の肉厚は、有底凹部11aに入れられた洗剤が水に含まれて洗浄具本体11の下面11bに滲み出るまでの速度が適正化されるという観点から10〜30mmであることが好ましい。
【0023】
本実施形態に係る洗浄具10は、洗浄具本体11の有底凹部11aの内壁に沿って嵌め入れられた凹部保形部材14を備えている。凹部保形部材14は、洗浄具本体11よりも剛性の高いスポンジや樹脂等で形成された筒状体からなり、これにより有底凹部11aの形状を保持するように構成されている。凹部保形部材14は、透水性であってもよく、また、非透水性であってもよいが、後者の場合、洗剤を含んだ水が有底凹部11aから側方に散逸するのを規制し、それと共に洗剤を含んだ水を洗浄具本体11の下面11b側のみに誘導することができる。凹部保形部材14は、洗浄具本体11に着脱可能に設けられていてもよく、また、有底凹部11aの内壁に接着等されて着脱不能に一体に設けられていてもよい。
【0024】
本実施形態に係る洗浄具10は、洗浄具本体11の有底凹部11aに着脱可能に詰め込まれた詰込部材15を備えている。詰込部材15は、例えば軟質ウレタンフォームにより有底凹部11aの空間形状と同一乃至空間形状よりやや大きめに形成されたスポンジからなり、これにより有底凹部11aからの洗剤の散逸を防止すると共に洗浄具本体11の内部に洗剤を固定し、且つ洗剤に対する水供給源として機能するように構成されている。また、液体洗剤を用いる場合、詰込部材15に液体洗剤を染み込ませて、それを徐々に放出させる用途にも用いることができる。
【0025】
詰込部材15を構成するスポンジは、洗剤への水供給源としての機能を適正に果たす観点から、洗浄具本体11を構成するスポンジよりもセルが小さくて保水性が高いことが好ましく、具体的には、セル数が25mm当たり20〜90個であることが好ましく、30〜70個であることがより好ましい。
【0026】
詰込部材15を構成するスポンジは、例えば、密度が10〜100kg/m3、及び伸び率が80〜300%である。
【0027】
詰込部材15を構成するスポンジは、ASTM D1056に基づいて測定される25%圧縮荷重が例えば10〜250kPaである。
【0028】
詰込部材15を構成するスポンジは、上記と同様に測定される液通過時間が3.0〜7.0秒である程度の液通過性を有することが好ましい。
【0029】
本実施形態に係る洗浄具10は、洗浄具本体11の有底凹部11aの底に敷設された凹部敷設部材16を備えている。凹部敷設部材16は、例えば軟質ウレタンフォームにより薄板状に形成されたスポンジからなる。凹部敷設部材16は、圧縮状態で有底凹部11aの底に敷設されていてもよく、また、非圧縮状態で有底凹部11aの底に敷設されていてもよい。凹部敷設部材16は、洗浄具本体11に着脱可能に設けられていてもよく、また、洗浄具本体11の有底凹部11aの底に接着等されて着脱不能に一体に設けられていてもよい。
【0030】
凹部敷設部材16を構成するスポンジは、セル数が25mm当たり20〜90個であることが好ましく、30〜70個であることがより好ましい。更に上記セル数条件において、凹部敷設部材16を構成するスポンジは、洗浄具本体11を構成するスポンジよりもセル数が大きいことがより好ましい。また、厚さが例えば3〜10mmであり、これらの設定により有底凹部11aに粉末洗剤を投入した場合に、洗浄具本体11の下面11bを粉末洗剤が通過し、粉漏れを引き起こすことを防止することができる。また、洗剤を含んだ水が有底凹部11aから洗浄具本体11の下面11bに滲み出るまでの速度が適正化されるように制御することができる。
【0031】
凹部敷設部材16を構成するスポンジは、例えば、密度が10〜250kg/m3、及び伸び率が50〜200%である。
【0032】
凹部敷設部材16を構成するスポンジは、ASTM D1056に基づいて測定される25%圧縮荷重が例えば10〜250kPaである。
【0033】
凹部敷設部材16を構成するスポンジは、上記と同様に測定される液通過時間が2.5〜4.5秒である程度の液通過性を有することが好ましい。
【0034】
ハンドグリップ12は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等により環状に形成された樹脂成形品からなり、洗浄具本体11の上側部分11cを外嵌めすると共に下側部分11dを下方に突出させるように設けられている。ハンドグリップ12は、手による把持のし易さの観点から、長さが40〜130mm、及び幅が30〜80mmであることが好ましい。ハンドグリップ12の厚さはハンドグリップ12の厚さは、手による把持のし易さの観点から10〜80mmであることが好ましい。
【0035】
ハンドグリップ12に外嵌めされた洗浄具本体11の上側部分11cは、ハンドグリップ12に物理的に外嵌めのみされて着脱可能に設けられていてもよく、また、ハンドグリップ12の内壁に接着等により固定されて脱着不能に一体に設けられていてもよい。前者の場合、洗浄具本体11をハンドグリップ12から取り外して単独で洗浄することができるように構成される。後者の場合、洗浄時における洗浄具本体11のハンドグリップ12からの脱落を防止することができるように構成される。さらに、ハンドグリップ12に外嵌めされた洗浄具本体11の上側部分11cは、ハンドグリップ12の内壁に面ファスナ等の係合手段により脱着可能に設けられていてもよい。このようにすれば、洗浄具本体11単独の洗浄及び洗浄時における洗浄具本体11の脱落を防止の両方が可能となるように構成される。
【0036】
ハンドグリップ12には、洗浄具本体11の上側部分11cが圧縮状態で嵌め入れられている。その結果、洗浄具本体11の下側部分11dは、平面視において、ハンドグリップ12よりも外側に張り出した形態となり、これにより手で把持するハンドグリップ12の部分よりも広い範囲の洗浄を行うことができるように構成されている。また、洗浄具本体11の下面11bは、面内張力が作用して凸面に構成された形態となっており、これにより手首を使ってハンドグリップ12を揺動させれば洗浄具本体11の下面11bで被洗浄面を滑らかに擦ることができると共に、圧縮によるセル数の変化を伴わずに角部のみを使った洗浄ができるように構成されている。
【0037】
ハンドグリップ12から下方に突出した洗浄具本体11の下側部分11dの厚さは、洗浄作業性の良さと起泡性が優れるという観点から5〜70mmであることが好ましく、10〜50mmがより好ましく、20〜40mmがさらに好ましい。また、洗浄具本体11の有底凹部11aの底面及び凹部敷設部材16の表面は、ハンドグリップ12から下方に突出した洗浄具本体11の下側部分11dに位置付けられていることが好ましく、この場合、洗浄具本体11の下側部分11dを変形させたときに有底凹部11aも変形するので、洗剤による泡立ちを促進させることができる。
【0038】
蓋部材13は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等によりプレート状に形成された樹脂成形品からなり、下面11b側に外周に沿って形成された嵌合溝13aを有し、その嵌合溝13aにハンドグリップ12の上端が嵌め入れられることにより、ハンドグリップ12にその上側の開口を封じるように着脱可能に設けられている。蓋部材13には、ハンドグリップ12内部に連通する通気孔13bが、把持した際に手の平で塞がれるのを防止するようにその端部に形成されている。なお、通気孔13bの数は特に限定されるものではない(図では2個)。
【0039】
次に、本実施形態に係る洗浄具10を用いた洗浄方法について衣料品Cの部分洗いを例として図5〜11に基づいて説明する。
【0040】
まず、本実施形態に係る洗浄具10を準備し、図5に示すように、ハンドグリップ12から蓋部材13を取り外し、また、洗浄具本体11の有底凹部11aに詰め込まれていた詰込部材15を取り出す。
【0041】
次いで、図6に示すように、洗浄具本体11の有底凹部11aに洗剤Dを入れる。このとき用いる洗剤Dのタイプとしては、特に限定されるものではなく、例えば、粉末洗剤、液体洗剤、ペースト状洗剤等が挙げられる。なお、液体洗剤を用いる場合、その粘度が低く、凹部敷設部材16を容易に通過し、洗浄具本体11の下側部分11dをも容易に通過し、液だれするようなときは、詰込部材15に液体洗剤を染み込ませて保持させてもよい。この場合、液体洗剤を染み込ませた詰込部材15を有底凹部11aに詰め込むことが、有底凹部11aへの洗剤Dの投入に該当する。
【0042】
次いで、図7に示すように、洗剤Dを入れた洗浄具本体11の有底凹部11aに詰込部材15を詰め込み、また、ハンドグリップ12に蓋部材13を取り付ける。
【0043】
次いで、洗浄具10のハンドグリップ12を把持すると共に、それを水槽中に張った水Wに洗浄具本体11の下面11b側から浸漬し、図8に示すように、洗浄具本体11の下面11bを水槽の底面に押し付けてハンドグリップ12から下方に突出した洗浄具本体11の下側部分11dを圧縮し、また、その押し付けを解除して弾性復帰させる操作、つまりハンドグリップ12を上下させる操作を繰り返す。このとき、水槽中の水Wが洗浄具本体11に吸水され、また、その一部が詰込部材15に保水され、一方、洗浄具本体11に含まれていた空気は蓋部材13の通気孔13bから外部に排気される。ここで、水槽中には、洗浄具本体11の下側部分11dが圧縮された際に、その全体が浸漬される程度の深さに水Wを張ることが好ましい。
【0044】
続いて、洗浄具10を水槽から取り出し、図9に示すように、大気下において、洗浄具本体11の下面11bを平坦面に押し付けてハンドグリップ12から下方に突出した洗浄具本体11の下側部分11dを圧縮し、また、その押し付けを解除して弾性復帰させる操作、つまりハンドグリップ12を上下させる操作を繰り返す。このとき、洗浄具本体11の下側部分11dの変形運動により、洗浄具本体11或いは詰込部材15に含まれる水が有底凹部11a内の洗剤Dと混じり合うと共に、洗剤Dを含んだ水が発泡し、それが洗浄具本体11の下面11bに滲み出る。
【0045】
一方、図10に示すように、洗濯槽B内に、洗濯対象の衣料品Cを、汚れがひどい部分が上になるように載置する。ここで、衣料品Cは、洗浄具10による洗浄性を高める観点から、事前に水洗い乃至水への浸漬処理が施されていることが好ましい。また、衣料品Cは、洗濯槽B内において水中に浸漬されていてもよい。
【0046】
そして、図11に示すように、洗浄具10のハンドグリップ12を把持すると共に、洗浄具本体11の下面11bを洗濯槽B内の衣料品Cの汚れがひどい部分に押し付け、ハンドグリップ12を上下左右に移動させ或いは手首を使ってハンドグリップ12を揺動させる。このとき、洗浄具10では、洗浄操作により洗浄具本体11が変形するため、洗浄具本体11或いは詰込部材15に含まれる水が有底凹部11a内に供給され、その洗剤Dを含んだ水が発泡すると共に洗浄具本体11の下面11bに継続的に滲み出る。従って、衣料品に液体洗剤を塗布してスポンジで泡立たせるような従来の洗浄方法と比較して、泡を長時間持続させることができ、それにより衣料品Cの手強い汚れも洗浄具本体11の下面11bとの摩擦によって楽に落とすことができる。また、衣料品Cが水中に浸漬されている場合でも、汚れがひどい部分に対して洗浄具10から濃厚な洗浄液を供給することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る洗浄具10によれば、洗浄具本体11の有底凹部11aに洗剤Dを入れると共に洗浄具本体11に含水させることにより、洗浄具本体11の下面11bに洗剤Dを含んだ水が徐々に滲み出ることとなるので、頻繁に洗剤を供給する必要がなく、長時間に渡って効率的に洗浄を行うことができる。
【0048】
また、単にスポンジを把持して行う洗浄方法では、加えた力がスポンジの弾性によって吸収され、その力を洗浄する部分に作用させることは困難であるが、本実施形態に係る洗浄具10によれば、ハンドグリップ12を有するので、加えた力を洗浄部分に確実に作用させることができる。しかもハンドグリップ12を把持して洗浄を行う構成なので、手に泡が付着するのを最小限に抑えることができ、それによって手荒れを防止することができる。加えて、スポンジよりも硬質なハンドグリップ12のエッジにより、洗浄具本体11の下側部分11dを被洗浄面に強い力で押し付けることができ、単にスポンジを把持して洗浄するよりも高い洗浄効果を得ることができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、洗浄具本体11が直方体に形成された構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、立方体、円柱、楕円柱等の形状に形成されていてもよく、また、不定形な形状に形成されていてもよい。また、有底凹部11aも、凹部開口が矩形ものに限定されるものではなく、円筒孔や楕円筒孔等であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、洗浄具本体11の上側部分11cがハンドグリップ12に圧縮状態で嵌め入れられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、ハンドグリップ12に洗浄具本体11の上側部分11cが非圧縮状態で嵌め入れられ、しかしながら、下側部分11dがハンドグリップ12よりも外側に張り出し、また、洗浄具本体11の下面11bが凸面である構成であってもよい。また、洗浄具本体11の下側部分11dの外形がハンドグリップ12と同一或いはハンドグリップ12の外形よりも小さい構成であってもよく、また、洗浄具本体11の下面11bが平面である構成であってもよい。
【0051】
上記実施形態では、衣料品Cの部分洗いを例としたが、特にこれに限定されるものではなく、食器洗いや屋内外の清掃等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は洗浄具及びそれを用いた洗浄方法について有用である。
【符号の説明】
【0053】
10 洗浄具
11 洗浄具本体
11a 有底凹部
11b 下面
11c 上側部分
11d 下側部分
12 ハンドグリップ
13 蓋部材
13a 嵌合溝
13b 通気孔
14 凹部保形部材
15 詰込部材
16 凹部敷設部材
B 洗濯槽
C 衣料品
D 洗剤
W 水
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄具及びそれを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料品の洗濯において、特に汚れのひどい部分については、洗濯機で洗浄する前に手洗い等による部分洗いを行うことが一般的となっている。
【0003】
また、特許文献1には、手洗い洗濯用の道具として、洗剤組成物と水とを混合するための混合容器にブラシ状の摩擦手段を設けたハンドヘルド容器を用い、混合容器中で洗浄剤組成物と水との混合物を準備し、その混合物の一部を混合容器から洗濯物の上に分与すると共に摩擦手段で擦ることによって洗濯物を洗浄し、その直後に潅水を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−505170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、長時間に渡って効率的に洗浄を行うことができる洗浄具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄具は、上面側に洗剤を入れるための有底凹部が形成され且つ下面が被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されたブロック状のスポンジからなる洗浄具本体と、該洗浄具本体の上側部分を外嵌めすると共に下側部分を下方に突出させるように設けられた環状のハンドグリップとを備える。
【0007】
本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄具を用い、上記洗浄具本体の有底凹部に洗剤を入れると共に該洗浄具本体に含水させ、該洗浄具本体の下面に洗剤を含んだ水が滲み出た状態で、上記ハンドグリップを把持して該洗浄具本体の下面で被洗浄面を摩擦するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄具本体の有底凹部に洗剤を入れると共に洗浄具本体に含水させることにより、洗浄具本体の下面に洗剤を含んだ水が徐々に滲み出ることとなるので、頻繁に洗剤を供給する必要がなく、長時間に渡って効率的に洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る洗浄具の斜視図である。
【図2】実施形態に係る洗浄具の分解斜視図である。
【図3】実施形態に係る洗浄具の平面図である。
【図4】実施形態に係る洗浄具の縦断面図である。
【図5】実施形態に係る洗浄方法の第1の説明図である。
【図6】実施形態に係る洗浄方法の第2の説明図である。
【図7】実施形態に係る洗浄方法の第3の説明図である。
【図8】実施形態に係る洗浄方法の第4の説明図である。
【図9】実施形態に係る洗浄方法の第5の説明図である。
【図10】実施形態に係る洗浄方法の第6の説明図である。
【図11】実施形態に係る洗浄方法の第7の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態の概要)
実施形態の概要を以下にまとめる。
(1)上面側に洗剤を入れるための有底凹部が形成され且つ下面が被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されたブロック状のスポンジからなる洗浄具本体と、
上記洗浄具本体の上側部分を外嵌めすると共に下側部分を下方に突出させるように設けられた環状のハンドグリップと、
を備えた洗浄具。
(2)上記洗浄具本体の上側部分は上記ハンドグリップに圧縮状態で嵌め入れられている上記(1)に記載された洗浄具。
(3)上記洗浄具本体の下側部分は、平面視において、上記ハンドグリップよりも外側に張り出している上記(1)又は(2)記載の洗浄具。
(4)上記ハンドグリップにその上側の開口を封じるように着脱可能に設けられていると共に通気孔が形成された蓋部材をさらに備えた上記(1)乃至(3)のいずれかに記載された洗浄具。
(5)上記洗浄具本体の有底凹部に着脱可能に詰め込まれたスポンジからなる詰込部材をさらに備えた上記(1)及至(4)のいずれかに記載された洗浄具。
(6)上記洗浄具本体の有底凹部の内壁に沿って嵌め入れられた凹部保形部材をさらに備えた上記(1)乃至(5)のいずれかに記載された洗浄具。
(7)上記洗浄具本体の有底凹部の底に敷設されたセル数が25mm当たり20〜90個のスポンジからなる薄板状の凹部敷設部材をさらに備えた上記(1)乃至(6)のいずれかに記載された洗浄具。
(8)上記(1)乃至(7)のいずれかに記載された洗浄具を用い、上記洗浄具本体の有底凹部に洗剤を入れると共に該洗浄具本体に含水させ、該洗浄具本体の下面に洗剤を含んだ水が滲み出た状態で、上記ハンドグリップを把持して該洗浄具本体の下面で被洗浄面を摩擦する洗浄方法。
【0011】
更に限定的な洗浄具は下記(9)及び(10)である。
(9)上記洗浄具本体の上側部分は上記ハンドグリップの内壁に固定されて一体に設けられている上記(1)乃至(7)に記載された洗浄具。
(10)上記洗浄具本体の下面が凸面である上記(1)乃至(7)及び(9)のいずれかに記載された洗浄具。
【0012】
また更に限定的な洗浄方法は下記(11)及び(12)である。
(11)上記洗剤を粉末洗剤とする上記(8)に記載された洗浄方法。
(12)上記被洗浄面を衣料品の表面とする上記(8)又は(11)に記載された洗浄方法。
【0013】
(実施形態の具体的内容)
以下、実施形態の具体的内容について図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜4は実施形態に係る洗浄具10を示す。本実施形態に係る洗浄具10は、衣料品の洗濯、食器洗い、或いは、屋内外の清掃等において手で把持して使用される道具であり、特に、衣料品を洗濯機で洗浄する前に行う部分洗いにおいて好適に使用されるものである。
【0015】
本実施形態に係る洗浄具10は、基本構成として、洗浄具本体11、ハンドグリップ12、及び蓋部材13を備えている。本実施形態に係る洗浄具10は、手で把持して作業する作業性の良さの観点から、長さが50〜150mm、幅が30〜100mm、及び厚さが10〜100mmであることが好ましい。
【0016】
洗浄具本体11は、例えば軟質ウレタンフォームにより形成された直方体のブロック状のスポンジからなり、上面側の中央部に洗剤を入れるための有底凹部11aが形成され且つ下面11bが被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されている。ここで、本出願において「軟質ウレタンフォーム」とは、岩田敬治著、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.150〜221に記載の、一般的にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう。軟質ウレタンフォームの物性は、特に限定されるものではないが、一般的には、JIS K7222に基づいて測定されるみかけ密度が10〜100kg/m3、JIS K6400−5に基づいて測定される伸び率が80〜500%の範囲のものをいう。また、「スポンジ」とは、多孔性の海綿体状構造物をいう。
【0017】
洗浄具本体11を構成する軟質ウレタンフォームのスポンジとしては、例えば、エステル系のものやエーテル系のものが挙げられる。
【0018】
洗浄具本体11を構成するスポンジは、セルの大きさが均一な単一のスポンジ素材で構成されていてもよく、また、セルの大きさの異なる複数のスポンジの集合体で構成されてもよく、さらにセルの大きさが異なる複数のスポンジ素材の積層体で構成されていてもよい。但し、優れた洗浄性を得る観点からは、少なくとも被洗浄面を摩擦する下面11bを構成する部分は、セル数が25mm当たり3〜90個であることが好ましく、さらに洗浄対象が衣料品である場合、8〜15個であることが好ましく、10〜15個であることがより好ましい。セル数がこれらの数であることにより、セルを形成する骨格及びその剛性が適度なものとなるので、被洗浄面を損傷させることなく優れた洗浄性を得ることができる。ここで、セル数は、JISK6400−1:2004の付属書1に基づいて測定することができる。
【0019】
洗浄具本体11を構成するスポンジは、例えば、密度が10〜250kg/m3、及び伸び率が50〜300%である。
【0020】
洗浄具本体11を構成するスポンジは、被洗浄面への力のかけやすさや洗浄性及び使い勝手の観点から、ASTM D1056に基づいて測定される25%圧縮荷重が5〜100kPaであることが好ましく、10〜70kPaであることがより好ましく、20〜50kPaであることが特に好ましい。
【0021】
洗浄具本体11を構成するスポンジは、縦横それぞれ50mmで且つ厚さ10mmの板状試験片に、孔径1mmのスポイトを用いて、板状試験片の上方20mmの高さから濃度1000ppmの界面活性剤の水溶液を5秒間で3g滴下したときに、板状試験片を通過する水溶液の量が1gに達するまでの液通過時間が2.5〜7.0秒である程度の液通過性を有することが好ましい。
【0022】
洗浄具本体11の上面側に形成された有底凹部11aは、凹部開口が矩形に形成されており、例えば、長さが20〜60mm、幅が15〜50mm、及び深さが10〜60mmである。また、有底凹部11aの底面と洗浄具本体11の下面11bとの間の肉厚は、有底凹部11aに入れられた洗剤が水に含まれて洗浄具本体11の下面11bに滲み出るまでの速度が適正化されるという観点から10〜30mmであることが好ましい。
【0023】
本実施形態に係る洗浄具10は、洗浄具本体11の有底凹部11aの内壁に沿って嵌め入れられた凹部保形部材14を備えている。凹部保形部材14は、洗浄具本体11よりも剛性の高いスポンジや樹脂等で形成された筒状体からなり、これにより有底凹部11aの形状を保持するように構成されている。凹部保形部材14は、透水性であってもよく、また、非透水性であってもよいが、後者の場合、洗剤を含んだ水が有底凹部11aから側方に散逸するのを規制し、それと共に洗剤を含んだ水を洗浄具本体11の下面11b側のみに誘導することができる。凹部保形部材14は、洗浄具本体11に着脱可能に設けられていてもよく、また、有底凹部11aの内壁に接着等されて着脱不能に一体に設けられていてもよい。
【0024】
本実施形態に係る洗浄具10は、洗浄具本体11の有底凹部11aに着脱可能に詰め込まれた詰込部材15を備えている。詰込部材15は、例えば軟質ウレタンフォームにより有底凹部11aの空間形状と同一乃至空間形状よりやや大きめに形成されたスポンジからなり、これにより有底凹部11aからの洗剤の散逸を防止すると共に洗浄具本体11の内部に洗剤を固定し、且つ洗剤に対する水供給源として機能するように構成されている。また、液体洗剤を用いる場合、詰込部材15に液体洗剤を染み込ませて、それを徐々に放出させる用途にも用いることができる。
【0025】
詰込部材15を構成するスポンジは、洗剤への水供給源としての機能を適正に果たす観点から、洗浄具本体11を構成するスポンジよりもセルが小さくて保水性が高いことが好ましく、具体的には、セル数が25mm当たり20〜90個であることが好ましく、30〜70個であることがより好ましい。
【0026】
詰込部材15を構成するスポンジは、例えば、密度が10〜100kg/m3、及び伸び率が80〜300%である。
【0027】
詰込部材15を構成するスポンジは、ASTM D1056に基づいて測定される25%圧縮荷重が例えば10〜250kPaである。
【0028】
詰込部材15を構成するスポンジは、上記と同様に測定される液通過時間が3.0〜7.0秒である程度の液通過性を有することが好ましい。
【0029】
本実施形態に係る洗浄具10は、洗浄具本体11の有底凹部11aの底に敷設された凹部敷設部材16を備えている。凹部敷設部材16は、例えば軟質ウレタンフォームにより薄板状に形成されたスポンジからなる。凹部敷設部材16は、圧縮状態で有底凹部11aの底に敷設されていてもよく、また、非圧縮状態で有底凹部11aの底に敷設されていてもよい。凹部敷設部材16は、洗浄具本体11に着脱可能に設けられていてもよく、また、洗浄具本体11の有底凹部11aの底に接着等されて着脱不能に一体に設けられていてもよい。
【0030】
凹部敷設部材16を構成するスポンジは、セル数が25mm当たり20〜90個であることが好ましく、30〜70個であることがより好ましい。更に上記セル数条件において、凹部敷設部材16を構成するスポンジは、洗浄具本体11を構成するスポンジよりもセル数が大きいことがより好ましい。また、厚さが例えば3〜10mmであり、これらの設定により有底凹部11aに粉末洗剤を投入した場合に、洗浄具本体11の下面11bを粉末洗剤が通過し、粉漏れを引き起こすことを防止することができる。また、洗剤を含んだ水が有底凹部11aから洗浄具本体11の下面11bに滲み出るまでの速度が適正化されるように制御することができる。
【0031】
凹部敷設部材16を構成するスポンジは、例えば、密度が10〜250kg/m3、及び伸び率が50〜200%である。
【0032】
凹部敷設部材16を構成するスポンジは、ASTM D1056に基づいて測定される25%圧縮荷重が例えば10〜250kPaである。
【0033】
凹部敷設部材16を構成するスポンジは、上記と同様に測定される液通過時間が2.5〜4.5秒である程度の液通過性を有することが好ましい。
【0034】
ハンドグリップ12は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等により環状に形成された樹脂成形品からなり、洗浄具本体11の上側部分11cを外嵌めすると共に下側部分11dを下方に突出させるように設けられている。ハンドグリップ12は、手による把持のし易さの観点から、長さが40〜130mm、及び幅が30〜80mmであることが好ましい。ハンドグリップ12の厚さはハンドグリップ12の厚さは、手による把持のし易さの観点から10〜80mmであることが好ましい。
【0035】
ハンドグリップ12に外嵌めされた洗浄具本体11の上側部分11cは、ハンドグリップ12に物理的に外嵌めのみされて着脱可能に設けられていてもよく、また、ハンドグリップ12の内壁に接着等により固定されて脱着不能に一体に設けられていてもよい。前者の場合、洗浄具本体11をハンドグリップ12から取り外して単独で洗浄することができるように構成される。後者の場合、洗浄時における洗浄具本体11のハンドグリップ12からの脱落を防止することができるように構成される。さらに、ハンドグリップ12に外嵌めされた洗浄具本体11の上側部分11cは、ハンドグリップ12の内壁に面ファスナ等の係合手段により脱着可能に設けられていてもよい。このようにすれば、洗浄具本体11単独の洗浄及び洗浄時における洗浄具本体11の脱落を防止の両方が可能となるように構成される。
【0036】
ハンドグリップ12には、洗浄具本体11の上側部分11cが圧縮状態で嵌め入れられている。その結果、洗浄具本体11の下側部分11dは、平面視において、ハンドグリップ12よりも外側に張り出した形態となり、これにより手で把持するハンドグリップ12の部分よりも広い範囲の洗浄を行うことができるように構成されている。また、洗浄具本体11の下面11bは、面内張力が作用して凸面に構成された形態となっており、これにより手首を使ってハンドグリップ12を揺動させれば洗浄具本体11の下面11bで被洗浄面を滑らかに擦ることができると共に、圧縮によるセル数の変化を伴わずに角部のみを使った洗浄ができるように構成されている。
【0037】
ハンドグリップ12から下方に突出した洗浄具本体11の下側部分11dの厚さは、洗浄作業性の良さと起泡性が優れるという観点から5〜70mmであることが好ましく、10〜50mmがより好ましく、20〜40mmがさらに好ましい。また、洗浄具本体11の有底凹部11aの底面及び凹部敷設部材16の表面は、ハンドグリップ12から下方に突出した洗浄具本体11の下側部分11dに位置付けられていることが好ましく、この場合、洗浄具本体11の下側部分11dを変形させたときに有底凹部11aも変形するので、洗剤による泡立ちを促進させることができる。
【0038】
蓋部材13は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等によりプレート状に形成された樹脂成形品からなり、下面11b側に外周に沿って形成された嵌合溝13aを有し、その嵌合溝13aにハンドグリップ12の上端が嵌め入れられることにより、ハンドグリップ12にその上側の開口を封じるように着脱可能に設けられている。蓋部材13には、ハンドグリップ12内部に連通する通気孔13bが、把持した際に手の平で塞がれるのを防止するようにその端部に形成されている。なお、通気孔13bの数は特に限定されるものではない(図では2個)。
【0039】
次に、本実施形態に係る洗浄具10を用いた洗浄方法について衣料品Cの部分洗いを例として図5〜11に基づいて説明する。
【0040】
まず、本実施形態に係る洗浄具10を準備し、図5に示すように、ハンドグリップ12から蓋部材13を取り外し、また、洗浄具本体11の有底凹部11aに詰め込まれていた詰込部材15を取り出す。
【0041】
次いで、図6に示すように、洗浄具本体11の有底凹部11aに洗剤Dを入れる。このとき用いる洗剤Dのタイプとしては、特に限定されるものではなく、例えば、粉末洗剤、液体洗剤、ペースト状洗剤等が挙げられる。なお、液体洗剤を用いる場合、その粘度が低く、凹部敷設部材16を容易に通過し、洗浄具本体11の下側部分11dをも容易に通過し、液だれするようなときは、詰込部材15に液体洗剤を染み込ませて保持させてもよい。この場合、液体洗剤を染み込ませた詰込部材15を有底凹部11aに詰め込むことが、有底凹部11aへの洗剤Dの投入に該当する。
【0042】
次いで、図7に示すように、洗剤Dを入れた洗浄具本体11の有底凹部11aに詰込部材15を詰め込み、また、ハンドグリップ12に蓋部材13を取り付ける。
【0043】
次いで、洗浄具10のハンドグリップ12を把持すると共に、それを水槽中に張った水Wに洗浄具本体11の下面11b側から浸漬し、図8に示すように、洗浄具本体11の下面11bを水槽の底面に押し付けてハンドグリップ12から下方に突出した洗浄具本体11の下側部分11dを圧縮し、また、その押し付けを解除して弾性復帰させる操作、つまりハンドグリップ12を上下させる操作を繰り返す。このとき、水槽中の水Wが洗浄具本体11に吸水され、また、その一部が詰込部材15に保水され、一方、洗浄具本体11に含まれていた空気は蓋部材13の通気孔13bから外部に排気される。ここで、水槽中には、洗浄具本体11の下側部分11dが圧縮された際に、その全体が浸漬される程度の深さに水Wを張ることが好ましい。
【0044】
続いて、洗浄具10を水槽から取り出し、図9に示すように、大気下において、洗浄具本体11の下面11bを平坦面に押し付けてハンドグリップ12から下方に突出した洗浄具本体11の下側部分11dを圧縮し、また、その押し付けを解除して弾性復帰させる操作、つまりハンドグリップ12を上下させる操作を繰り返す。このとき、洗浄具本体11の下側部分11dの変形運動により、洗浄具本体11或いは詰込部材15に含まれる水が有底凹部11a内の洗剤Dと混じり合うと共に、洗剤Dを含んだ水が発泡し、それが洗浄具本体11の下面11bに滲み出る。
【0045】
一方、図10に示すように、洗濯槽B内に、洗濯対象の衣料品Cを、汚れがひどい部分が上になるように載置する。ここで、衣料品Cは、洗浄具10による洗浄性を高める観点から、事前に水洗い乃至水への浸漬処理が施されていることが好ましい。また、衣料品Cは、洗濯槽B内において水中に浸漬されていてもよい。
【0046】
そして、図11に示すように、洗浄具10のハンドグリップ12を把持すると共に、洗浄具本体11の下面11bを洗濯槽B内の衣料品Cの汚れがひどい部分に押し付け、ハンドグリップ12を上下左右に移動させ或いは手首を使ってハンドグリップ12を揺動させる。このとき、洗浄具10では、洗浄操作により洗浄具本体11が変形するため、洗浄具本体11或いは詰込部材15に含まれる水が有底凹部11a内に供給され、その洗剤Dを含んだ水が発泡すると共に洗浄具本体11の下面11bに継続的に滲み出る。従って、衣料品に液体洗剤を塗布してスポンジで泡立たせるような従来の洗浄方法と比較して、泡を長時間持続させることができ、それにより衣料品Cの手強い汚れも洗浄具本体11の下面11bとの摩擦によって楽に落とすことができる。また、衣料品Cが水中に浸漬されている場合でも、汚れがひどい部分に対して洗浄具10から濃厚な洗浄液を供給することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る洗浄具10によれば、洗浄具本体11の有底凹部11aに洗剤Dを入れると共に洗浄具本体11に含水させることにより、洗浄具本体11の下面11bに洗剤Dを含んだ水が徐々に滲み出ることとなるので、頻繁に洗剤を供給する必要がなく、長時間に渡って効率的に洗浄を行うことができる。
【0048】
また、単にスポンジを把持して行う洗浄方法では、加えた力がスポンジの弾性によって吸収され、その力を洗浄する部分に作用させることは困難であるが、本実施形態に係る洗浄具10によれば、ハンドグリップ12を有するので、加えた力を洗浄部分に確実に作用させることができる。しかもハンドグリップ12を把持して洗浄を行う構成なので、手に泡が付着するのを最小限に抑えることができ、それによって手荒れを防止することができる。加えて、スポンジよりも硬質なハンドグリップ12のエッジにより、洗浄具本体11の下側部分11dを被洗浄面に強い力で押し付けることができ、単にスポンジを把持して洗浄するよりも高い洗浄効果を得ることができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、洗浄具本体11が直方体に形成された構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、立方体、円柱、楕円柱等の形状に形成されていてもよく、また、不定形な形状に形成されていてもよい。また、有底凹部11aも、凹部開口が矩形ものに限定されるものではなく、円筒孔や楕円筒孔等であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、洗浄具本体11の上側部分11cがハンドグリップ12に圧縮状態で嵌め入れられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、ハンドグリップ12に洗浄具本体11の上側部分11cが非圧縮状態で嵌め入れられ、しかしながら、下側部分11dがハンドグリップ12よりも外側に張り出し、また、洗浄具本体11の下面11bが凸面である構成であってもよい。また、洗浄具本体11の下側部分11dの外形がハンドグリップ12と同一或いはハンドグリップ12の外形よりも小さい構成であってもよく、また、洗浄具本体11の下面11bが平面である構成であってもよい。
【0051】
上記実施形態では、衣料品Cの部分洗いを例としたが、特にこれに限定されるものではなく、食器洗いや屋内外の清掃等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は洗浄具及びそれを用いた洗浄方法について有用である。
【符号の説明】
【0053】
10 洗浄具
11 洗浄具本体
11a 有底凹部
11b 下面
11c 上側部分
11d 下側部分
12 ハンドグリップ
13 蓋部材
13a 嵌合溝
13b 通気孔
14 凹部保形部材
15 詰込部材
16 凹部敷設部材
B 洗濯槽
C 衣料品
D 洗剤
W 水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側に洗剤を入れるための有底凹部が形成され且つ下面が被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されたブロック状のスポンジからなる洗浄具本体と、
上記洗浄具本体の上側部分を外嵌めすると共に下側部分を下方に突出させるように設けられた環状のハンドグリップと、
を備えた洗浄具。
【請求項2】
上記洗浄具本体の上側部分は上記ハンドグリップに圧縮状態で嵌め入れられている請求項1に記載された洗浄具。
【請求項3】
上記洗浄具本体の下側部分は、平面視において、上記ハンドグリップよりも外側に張り出している請求項1又は2に記載された洗浄具。
【請求項4】
上記ハンドグリップにその上側の開口を封じるように着脱可能に設けられていると共に通気孔が形成された蓋部材をさらに備えた請求項1乃至3のいずれかに記載された洗浄具。
【請求項5】
上記洗浄具本体の有底凹部に着脱可能に詰め込まれたスポンジからなる詰込部材をさらに備えた請求項1及至4のいずれかに記載された洗浄具。
【請求項6】
上記洗浄具本体の有底凹部の内壁に沿って嵌め入れられた凹部保形部材をさらに備えた請求項1乃至5のいずれかに記載された洗浄具。
【請求項7】
上記洗浄具本体の有底凹部の底に敷設されたセル数が25mm当たり20〜90個のスポンジからなる薄板状の凹部敷設部材をさらに備えた請求項1乃至6のいずれかに記載された洗浄具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載された洗浄具を用い、上記洗浄具本体の有底凹部に洗剤を入れると共に該洗浄具本体に含水させ、該洗浄具本体の下面に洗剤を含んだ水が滲み出た状態で、上記ハンドグリップを把持して該洗浄具本体の下面で被洗浄面を摩擦する洗浄方法。
【請求項1】
上面側に洗剤を入れるための有底凹部が形成され且つ下面が被洗浄面を摩擦する摩擦面に構成されたブロック状のスポンジからなる洗浄具本体と、
上記洗浄具本体の上側部分を外嵌めすると共に下側部分を下方に突出させるように設けられた環状のハンドグリップと、
を備えた洗浄具。
【請求項2】
上記洗浄具本体の上側部分は上記ハンドグリップに圧縮状態で嵌め入れられている請求項1に記載された洗浄具。
【請求項3】
上記洗浄具本体の下側部分は、平面視において、上記ハンドグリップよりも外側に張り出している請求項1又は2に記載された洗浄具。
【請求項4】
上記ハンドグリップにその上側の開口を封じるように着脱可能に設けられていると共に通気孔が形成された蓋部材をさらに備えた請求項1乃至3のいずれかに記載された洗浄具。
【請求項5】
上記洗浄具本体の有底凹部に着脱可能に詰め込まれたスポンジからなる詰込部材をさらに備えた請求項1及至4のいずれかに記載された洗浄具。
【請求項6】
上記洗浄具本体の有底凹部の内壁に沿って嵌め入れられた凹部保形部材をさらに備えた請求項1乃至5のいずれかに記載された洗浄具。
【請求項7】
上記洗浄具本体の有底凹部の底に敷設されたセル数が25mm当たり20〜90個のスポンジからなる薄板状の凹部敷設部材をさらに備えた請求項1乃至6のいずれかに記載された洗浄具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載された洗浄具を用い、上記洗浄具本体の有底凹部に洗剤を入れると共に該洗浄具本体に含水させ、該洗浄具本体の下面に洗剤を含んだ水が滲み出た状態で、上記ハンドグリップを把持して該洗浄具本体の下面で被洗浄面を摩擦する洗浄方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−52137(P2013−52137A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192885(P2011−192885)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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