説明

洗浄用ブラシ

【課題】 洗浄糸を固定する芯材が直線の定形性を堅固に保持できるようにし、また、芯材に洗浄糸を均一かつ密にさらに堅固に固定できるようにすることにより、自動洗浄装置に好適に適用できると共に、洗浄糸が芯材から外れることを防止できる洗浄用ブラシを提供する。
【解決手段】 本発明による洗浄用ブラシは、円周方向に対して所定の間隔を置いて、軸方向に凹溝部11が設けられていると共に、凹溝部11の間に羽根部12が設けられた芯材1と、芯材1の外周に嵌挿される複数の固定リング2と、長手方向の中間部が折り曲げられ、この折り曲げ部31が各固定リング2に係合されると共に、前記凹溝部11に嵌挿されている洗浄糸3と、前記各固定リング2を密着固定するために芯材1の長手方向に設けられた密着固定手段4とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシに関し、より詳しくは、品物から汚れを取り除くための洗浄用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗浄用ブラシは、芯材に複数の洗浄糸(washing threads、洗浄毛あるいは洗浄条)を固定しているものが一般的であり、このような洗浄用ブラシを用いて品物に付いている汚れを洗浄する方法として、洗浄用ブラシを直線方向に繰り返し移動させたり、洗浄用ブラシを回転させて洗浄しようとする品物に洗浄糸を摩擦させることにより、品物に付いている汚れを取り除いている。
【0003】
前記のように洗浄を行う従来の一般的な洗浄用ブラシとしては、図5、図6に示されるものが代表的である。
【0004】
図5に示す洗浄用ブラシ100は、芯材110として針金111を用いている。二つの針金111の間には、合成樹脂または天然材からなる複数の洗浄糸120が位置しており、前記二つの針金111を回転させ、互いにねじれるようにすることにより、針金111の間に洗浄糸120を固定しており、固定された洗浄糸120は、円形のバー状になっている。
【0005】
図6に示す洗浄用ブラシ200は、芯材210として円形棒211を用いている。円形棒211には、所定の間隔毎に洗浄糸220が嵌挿され固定されており、固定された洗浄糸220の全体の形状は、前記したように円形のバー状となっている。
【0006】
前記のような従来の洗浄用ブラシ100及び200を用いて直線運動または回転運動により洗浄を行うに当たって、芯材110として針金111を用いている洗浄用ブラシ100の場合は、芯材110が比較的細い針金111からなっており、直線の定形性を正確に保持できず、哺乳瓶、ガラス瓶などの小型の品物を手作業で洗浄を行うものには好適に用いられるが、大型の自動車自動洗車機などのモータ、シリンダなどの動力により自動で洗浄を行う装置には適用しにくいという問題があった。
【0007】
一方、芯材210として円形棒211を用いている洗浄用ブラシ200の場合は、円形棒211が直線の定形性を保持できるものであり、手作業で洗浄を行うに当たっても用いられるのは勿論、動力により自動で洗浄を行う装置にも適用できるが、円形棒211に嵌挿された洗浄糸220が円形棒から外れやすいという問題があった。
【0008】
また、前記洗浄用ブラシ100及び200は、洗浄糸120及び220をバランスよく密に固定するには限界があり、高精度の洗浄作業を行うには適していないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、洗浄糸を固定する芯材が直線の定形性を堅固に保持できるようにし、また、芯材に洗浄糸を均一かつ密にさらに堅固に固定できるようにすることにより、自動洗浄装置に好適に適用できると共に、洗浄糸が芯材から外れることを防止できる洗浄用ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明による洗浄用ブラシは、円周方向に対して所定の間隔を置いて、軸方向に凹溝部が設けられていると共に、凹溝部の間に羽根部が設けられた芯材と、芯材の外周に嵌挿される複数の固定リングと、長手方向の中間部が折り曲げられ、この折り曲げ部が各固定リングに係合されると共に、前記凹溝部に嵌挿されている洗浄糸と、前記各固定リングを密着固定するために芯材の長手方向に設けられた密着固定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
このとき、前記洗浄糸は、複数の固定リングに係合されると共に前記凹溝部に嵌挿され、それぞれの固定リングと固定リングとの間には、スペーサが挿入され、これにより、洗浄糸が均一に広がることが可能となることを特徴とする。
【0012】
また、前記密着固定手段は、芯材の長手方向の一側先端に円周方向の外側に突出するように設けられた支持部と、芯材の長手方向の他側にねじ込まれる係合部材とから構成されることを特徴とする。
【0013】
前記のような本発明によれば、洗浄糸の折り曲げ部が固定リングに係合されると共に 芯材の凹溝部に嵌挿され、各固定リングの密着力により固定されているため、芯材から洗浄糸が外れる恐れが全くない。
【0014】
また、本発明は、芯材を直線の定形性に優れた鉄芯から構成できるため、モータ、シリンダなどの動力により自動で洗浄を行う装置に好適に適用することができる。
【0015】
また、本発明は、複数の洗浄糸が固定リングの密着力により円周方向に均一に分布されることは勿論、洗浄糸を密に配置できるから、高精度の洗浄作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明による洗浄用ブラシによれば、洗浄糸の折り曲げ部が固定リングに係合されると共に芯材の凹溝部に嵌挿され、各固定リングの密着力により固定されており、 芯材から洗浄糸が外れる恐れが全くない。また、本発明は、芯材を直線の定形性に優れた鉄芯から構成することができるため、モータ、シリンダ などの動力により自動で洗浄を行う装置に好適に適用できる。また、本発明は、複数の洗浄糸が固定リングの密着力により円周方向に均一に分布されることは勿論、洗浄糸を密に配置できることから、高精度の洗浄作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい一実施の形態を、添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0018】
図1は、本発明による洗浄用ブラシの分解斜視図、図2は、本発明による洗浄用ブラシの断面図、図3は、図2のA-A線断面図である。
【0019】
本発明における芯材1は、直線の定形性に優れた鉄芯からなっている。芯材1の円周方向に対して所定の間隔を置いて、軸方向にV字状の凹溝部11が設けられていると共に、凹溝部11の間には、羽根部12が設けられており、羽根部12の長手方向の一側先端部の外周には、螺旋13が形成されている。
【0020】
芯材1の外周には、洗浄糸を固定するための複数の固定リング2が嵌挿されており、この固定リング2には、洗浄力に優れた合成樹脂または天然糸からなる洗浄糸3が取り付けられている。ここで、固定リング2は、その厚さを薄くすることにより、各固定リング2に固定される洗浄糸の密度を均一にすることができる。
【0021】
洗浄糸3は、長手方向の中間部が折り曲げられ、この折り曲げ部31が各固定リング2の内側穴の内面に係合されると共に、芯材1の各凹溝部11に嵌挿されている。ここで、各凹溝部11に嵌挿される洗浄糸3は、複数が一つの束状をなすようにして、各固定リング2を密着させるとき、複数の洗浄糸3は、固定リング2の密着力により、芯材1の円周方向に均一に広がって分布できるようになっている。このとき、前記洗浄糸3は、固定リング2に係合すると共に、前記凹溝部11に嵌挿し、それぞれの固定リング2と固定リング2との間には、固定リング2と同じスペーサ2aを挿入することにより、各固定リング2に取り付けられる洗浄糸3同士が互いに摩擦することなく、洗浄糸3がより均一に広がるようにすることが好ましい。
【0022】
前記各固定リング2は、密着固定手段4により互いに密着固定されている。
【0023】
前記密着固定手段4は、芯材1の長手方向の一側先端に円周方向の外側に突出するように設けられた支持部41と、芯材1の長手方向の他側先端部に形成された螺旋13に係合される係合部材42とからなっている。
【0024】
本発明においては、支持部41を円錐状に設けて、この支持部41が芯材1の回転中心となるようにする実施例が示されている。
【0025】
前記のような密着固定手段4の構成により、係合部材42を芯材1の螺旋13に係合すれば、芯材1に嵌挿された各固定リング2は、互いに密着され、このような密着力により芯材1に取り付けられた洗浄糸3は、円周方向に均一に広がって分布すると共に堅固に固定される。
【0026】
前記のような本発明は、図2に示すように、直線の定形性に優れた芯材1を自動洗浄装置のモータ(M、またはシリンダ)に連結し、支持部41の先端部を支持フレームFの支持穴(F′)に取り付けた状態で芯材1を回転させ、洗浄糸3により洗浄作用を発揮させている。
【0027】
前記のような本発明において、洗浄糸3は、その折り曲げ部31が固定リング2の内側穴に係合すると共に、芯材1の各凹溝部11に嵌挿した状態で各固定リング2の密着力により固定されているから、洗浄作用を発揮する過程で芯材1から外れる恐れはない。
【0028】
以上のように、上記実施の形態を参照して詳細に説明され図示されたが、本発明は、これに限定されるものでなく、このような本発明の基本的な技術的思想を逸脱しない範囲内で、当業界の通常の知識を有する者にとっては、他の多くの変更が可能であろう。また、本発明は、添付の実用新案請求の範囲により解釈されるべきであることは言うまでもない。
【0029】
すなわち、図4に示すように、芯材1に設ける凹溝部11の数を増やすこともでき、支持部41をベアリングを取り付けやすくするためにリング状にしても良い。また、本発明の実施例においては、本発明の洗浄用ブラシを自動の洗浄装置に適用しているが、これに限定されるものでなく、小型の手動の洗浄機構としても用いても良い。また、芯材1の長さが長くなるときは、その間に係合部材42を取り付けながら固定リング2を密着させ、ブラシを形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による洗浄用ブラシの分解斜視図である。
【図2】本発明による洗浄用ブラシの取り付け断面図である。
【図3】図2のA-A線断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図5】従来の洗浄用ブラシの正面図及び断面図である。
【図6】従来の洗浄用ブラシの正面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1−芯材
2−固定リング
3−洗浄糸
4−密着固定手段
11−凹溝部
12−羽根部
31−折り曲げ部
41−支持部
42−係合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周方向に対して所定の間隔を置いて、軸方向に凹溝部11が設けられていると共に、該凹溝部11の間に羽根部12が設けられた芯材1と、該芯材1の外周に嵌挿される複数の固定リング2と、長手方向の中間部が折り曲げられ、この折り曲げ部31が各固定リング2に係合されると共に、前記凹溝部11に嵌挿されている洗浄糸3と、前記各固定リング2を密着固定するために芯材1の長手方向に設けられた密着固定手段4とを備えることを特徴とする洗浄用ブラシ。
【請求項2】
前記洗浄糸3は、複数の固定リング2に係合されると共に前記凹溝部11に嵌挿され、それぞれの固定リング2と固定リング2との間には、スペーサ2aが挿入されていることを特徴とする請求項1記載の洗浄用ブラシ。
【請求項3】
前記密着固定手段4は、芯材1の長手方向の一側先端に円周方向の外側に突出するように設けられた支持部41と、芯材1の長手方向の他側にねじ込まれる係合部材42とから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−520242(P2007−520242A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518170(P2005−518170)
【出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001392
【国際公開番号】WO2004/112537
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505061838)
【Fターム(参考)】