説明

洗浄装置

【課題】振動子により内部空間内を充満又はほぼ充満した状態の洗浄液に音波振動や超音波振動を加えるから、洗浄ポット内に真空の泡であるキャビテーションが発生し、この泡の破裂により強烈な洗浄を行うことができると共に快適で効率的な洗浄を行うことができる。
【解決手段】開口部Kが閉塞されて内部空間Rが負圧状態となることにより貯液タンク3内の洗浄液Wを給液管4を経て内部空間に充満又はほぼ充満する状態に吸引供給すると共に内部空間内に洗浄液が充満又はほぼ充満している状態を維持しつつ内部空間内の洗浄液を排液管5を経て貯液タンク内に排出するポンプ制御部7とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば顔や身体の皮膚表面の洗浄に用いられる洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗浄装置として、開口部及び内部空間をもつ洗浄ポットと、該洗浄液を収容する貯液タンクと、該貯液タンクと洗浄ポットの内部空間とを接続する給液管と、該貯液タンク内の洗浄液を洗浄ポットの内部空間に供給するポンプと、該洗浄ポットの内部空間に接続された排液管とを備えてなる構造のものが知られている。
【特許文献1】実開昭61−65938号公報
【特許文献2】特開2006−296679
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来構造の場合、上記洗浄ポットの内部空間内への洗浄液の供給及び内部空間からの洗浄液の排出については、上記ポンプの入切により行う構造となっており、このため、使用の利便性が低下しているという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、洗浄液で充満又はほぼ充満される内部空間及び被洗浄面への当接により閉塞される開口部をもつ洗浄ポットと、該洗浄液を収容する貯液タンクと、該貯液タンクと該洗浄ポットの内部空間とを接続する給液管と、該貯液タンクと該洗浄ポットの内部空間とを接続する排液管と、該内部空間内に充満又はほぼ充満された洗浄液に音波振動又は超音波振動を付与する振動子と、該排液管の管路に設けられた循環用ポンプと、該開口部が閉塞されて該内部空間が負圧状態となることにより該貯液タンク内の洗浄液を該給液管を経て該内部空間に充満又はほぼ充満する状態に吸引供給すると共に該内部空間内に該洗浄液が充満又はほぼ充満している状態を維持しつつ該内部空間内の洗浄液を該排液管を経て該貯液タンク内に排出するポンプ制御部とを備えてなることを特徴とする洗浄装置にある。
【0005】
又、請求項2記載の発明は、上記ポンプ制御部は上記被洗浄面からの洗浄ポットの離反により上記開口部が開口して上記内部空間が常圧に近い負圧又は常圧状態となることにより該内部空間内の洗浄液を上記排液管を経て上記貯液タンク内に速やかに排出するように構成されていることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記給液管の通過流量Q1と上記排液管の通過流量Q2との関係をQ1<Q2に設定してなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記洗浄ポットの内部空間が常圧に近い負圧又は常圧状態のとき上記振動子による音波振動又は超音波振動を停止する振動制御部を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記洗浄液の主成分が水又は水とエタノールとの混合液であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、被洗浄面としての顔や身体の皮膚表面に洗浄ポットの開口部を当接させると皮膚の表面などの被洗浄面により開口部は閉塞され、洗浄ポットの内部空間に接続された排液管に循環用ポンプが設けられているので、開口部の閉塞により内部空間は負圧状態となり、内部空間が負圧状態になって、上記循環用ポンプ及びポンプ制御部により貯液タンク内の洗浄液は給液管を経て内部空間に充満又はほぼ充満する状態に吸引供給されると共に内部空間内の洗浄液が充満又はほぼ充満する状態を維持しつつ内部空間内の洗浄液を排液管を経て貯液タンク内に排出することになり、しかして、上記開口部を閉口している被洗浄面を内部空間内に充満又はほぼ充満する洗浄液により洗浄することができると共に内部空間内に洗浄液が充満又はほぼ充満している状態を維持しつつ内部空間内の洗浄液を排液管を経て貯液タンク内に排出される洗浄液の流水作用により洗浄することができ、さらに、振動子により内部空間内を充満又はほぼ充満した状態の洗浄液に音波振動や超音波振動を加えるから、洗浄ポット内に真空の泡であるキャビテーションが発生し、この泡の破裂により強烈な洗浄を行うことができると共に快適で効率的な洗浄を行うことができる。
【0007】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記ポンプ制御部は、上記被洗浄面からの洗浄ポットの離反により上記開口部が開口して上記内部空間が常圧に近い負圧又は常圧状態となることにより内部空間内の洗浄液を上記排液管を経て上記貯液タンク内に速やかに排出するように構成されているから、上記開口部を被洗浄面より離反させると開口部は開口し、開口部の開口により内部空間は常圧状態となり、内部空間が常圧状態になることにより内部空間内の洗浄液は排液管を経て速やかに貯液タンク内に排出され、内部空間内の洗浄液を速やかに貯液タンクに排出することにより開口部からの洗浄液の漏れを抑制することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記給液管の通過流量Q1と上記排液管の通過流量Q2との関係をQ1<Q2に設定しているから、洗浄液を速やかに回収することができ、内部空間内の洗浄液を開口部から外部に漏らすことを抑制することができ、快適な洗浄を行うことができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記洗浄ポットの内部空間が常圧に近い負圧又は常圧状態のとき上記振動子による音波振動又は超音波振動を停止する振動制御部を設けているから、洗浄液の飛散漏れを防止することができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記洗浄液の主成分が水又は水とエタノールとの混合液であるから、このような液は顔や身体の皮膚表面の洗浄に適し、皮膚の洗浄を良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図8は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図4は第一形態例、図5は第二形態例、図6は第三形態例、図7は第四形態例、図8は第五形態例である。
【0009】
図1乃至図4の第一形態例において、1は洗浄ポットであり、二個の底部1a・1a、筒部1b、洗浄液Wで充満される内部空間R及び洗浄すべき顔Sや身体の皮膚表面たる被洗浄面Fへの当接により閉塞される開口部Kからなる有底円筒状に形成され、底部1a・1aは金属又は合成樹脂により製作され、筒部1bは金属又は合成樹脂により製作され、筒部1bの頂部1dは被洗浄面Fの角隅部分に接触し易いように山状に形成され、開口部Kはメッシュ状の複数個の丸孔や角孔状の開口孔1cに形成され、メッシュ状の複数個の丸孔や角孔状の開口孔1cとすることにより洗浄液Wの漏れを防ぐと共に被洗浄面Fでの洗浄ポット1の摺動を円滑に行うようにしている。
【0010】
2は振動子であって、上記内部空間R内に充満又はほぼ充満された洗浄液Wに音波振動又は超音波振動を付与するものであり、この場合、上記洗浄ポット1に設けられ、振動制御部2aの発振回路により内部空間R内の洗浄液Wに音波振動又は超音波振動を付与する構造となっている。例えば、上記振動制御部2a内の発振回路により25KHz〜100KHzの振動数が選択して設定され、この場合、40KHzの振動数が用いられている。尚、200Hz程度の周波数に設定することによりマッサージ効果を得ることができ、また、200Hz程度の周波数に25KHz〜100KHzの周波数を重合し、洗浄及びマッサージ効果を併有する構造とすることもある。
【0011】
この場合、上記振動制御部2aに上記洗浄ポット1の内部空間Rが常圧に近い負圧又は常圧状態のとき振動子2による音波振動又は超音波振動を停止する回路を含めて構成している。
【0012】
3は貯液タンクであって、この場合、貯液タンク3内に主成分が水又は水とエタノールとの混合液からなる洗浄液Wを収容している。この貯液タンク3として家庭用の洗面槽を用いることもある。
【0013】
4は給液管であって、この場合、可撓性樹脂パイプが用いられ、上記貯液タンク3と上記洗浄ポット1の内部空間Rとを管路接続している。
【0014】
5は排液管であって、この場合、可撓性樹脂パイプが用いられ、上記貯液タンク3と上記洗浄ポット1の内部空間Rとを管路接続している。
【0015】
6は循環用ポンプであって、上記排液管5の管路に設けられている。
【0016】
7はポンプ制御部であって、上記開口部Kが閉塞されて内部空間Rが負圧状態となることにより貯液タンク3内の洗浄液Wを給液管4を経て内部空間Rに充満又はほぼ充満する状態に吸引供給すると共に内部空間R内に洗浄液Wが充満又はほぼ充満している状態を維持しつつ内部空間R内の洗浄液Wを排液管5を経て貯液タンク3内に排出するように構成されている。
【0017】
この場合、上記ポンプ制御部7は、例えば、内部空間R内の圧力を検出する図示省略の圧力センサなどを用いて、上記被洗浄面Fからの洗浄ポット1の離反により上記開口部Kが開口して上記内部空間Rが常圧に近い負圧又は常圧状態となることにより内部空間R内の洗浄液Wを上記排液管5を経て上記貯液タンク3内に速やかに排出するように構成されている
【0018】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、被洗浄面Fとしての顔や身体の皮膚表面に洗浄ポット1の開口部Kを当接させると皮膚の表面などの被洗浄面Fにより開口部Kは閉塞され、洗浄ポット1の内部空間Rに接続された排液管5に循環用ポンプ6が設けられているので、開口部Kの閉塞により内部空間Rは負圧状態となり、内部空間Rが負圧状態になって、上記循環用ポンプ6及びポンプ制御部7により貯液タンク3内の洗浄液Wは給液管4を経て内部空間Rに充満又はほぼ充満する状態に吸引供給されると共に内部空間R内の洗浄液Wが充満又はほぼ充満する状態を維持しつつ内部空間R内の洗浄液Wを排液管5を経て貯液タンク3内に排出することになり、しかして、上記開口部Kを閉口している被洗浄面Fを内部空間R内に充満又はほぼ充満する洗浄液Wにより洗浄することができると共に内部空間R内に洗浄液Wが充満又はほぼ充満している状態を維持しつつ内部空間R内の洗浄液Wを排液管5を経て貯液タンク3内に排出される洗浄液Wの流水作用により洗浄することができ、さらに、振動子2により内部空間R内を充満又はほぼ充満した状態の洗浄液Wに音波振動や超音波振動を加えるから、洗浄ポット1内に真空の泡であるキャビテーションが発生し、この泡の破裂により強烈な洗浄を行うことができると共に快適で効率的な洗浄を行うことができる。
【0019】
この場合、上記ポンプ制御部7は、上記被洗浄面Fからの洗浄ポット1の離反により上記開口部Kが開口して上記内部空間Rが常圧に近い負圧又は常圧状態となることにより内部空間R内の洗浄液Wを上記排液管5を経て上記貯液タンク3内に速やかに排出するように構成されているから、上記開口部Kを被洗浄面Fより離反させると開口部Kは開口し、開口部Kの開口により内部空間Rは常圧状態となり、内部空間Rが常圧状態になることにより内部空間R内の洗浄液Wは排液管5を経て速やかに貯液タンク3内に排出され、内部空間R内の洗浄液Wを速やかに貯液タンク3に排出することにより開口部Kからの洗浄液Wの漏れを抑制することができる。
【0020】
又、この場合、上記洗浄ポット1の内部空間Rが常圧に近い負圧又は常圧状態のとき上記振動子2による音波振動又は超音波振動を停止する振動制御部2aを設けているから、洗浄液Wの飛散漏れを防止することができる。
【0021】
又、この場合、上記洗浄液Wの主成分が水又は水とエタノールとの混合液であるから、このような液は顔や身体の皮膚表面の洗浄に適し、皮膚の洗浄を良好に行うことができる。
【0022】
又、この場合、図示省略しているが、上記洗浄液Wを例えば常温から50℃程度の温水に加熱するヒータなどからなる加熱装置を設けている。この加熱装置より洗浄液を温水加熱することにより洗浄作用を良好に行うことができる。
【0023】
図5の第二形態例、図6の第三形態例、図7の第四形態例は、いずれも、上記洗浄ポット1の開口部Kの別例構造を示してる。
【0024】
図5の第二形態例の開口部Kにあっては、上記メッシュ状の複数個の丸孔や角孔状の開口孔1cに代えて、複数個のスリット状の開口孔1cとなっており、又、図6の第三形態例の開口部Kにあっては、上記メッシュ状の複数個の丸孔や角孔状の開口孔1cに代えて、複数個の長さの異なるスリット状の開口孔1cとなっており、又、図7の第四形態例の開口部Kにあっては、上記メッシュ状の複数個の丸孔や角孔状の開口孔1c及び複数個の長さの異なるスリット状の開口孔1cを組み合わせた構造となっている。
【0025】
これら第二、第三及び第四形態例あっても、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができる。
【0026】
図8の第五形態例も別例構造を示し、この場合、上記給液管4の通過流量Q1と上記排液管5の通過流量Q2との関係をQ1<Q2に設定した構造としている。
【0027】
この第五形態例にあっては、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができると共にQ1<Q2の関係により洗浄液Wを速やかに回収することができ、内部空間R内の洗浄液Wを開口部Kから外部に漏らすことを抑制することができ、快適な洗浄を行うことができる。
【0028】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、洗浄ポット1の形態や構造、洗浄液Wの組成、振動子2、貯液タンク3、給液管4、排液管5、循環用ポンプ6の構造や形態、ポンプ制御回路7の構成などは適宜変更して設計される。
【0029】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の第一形態例の説明図である。
【図2】本発明の実施の第一形態例の洗浄ポットの斜視図である。
【図3】本発明の実施の第一形態例の洗浄ポットの平面図である。
【図4】本発明の実施の第一形態例の洗浄ポットの断面図である。
【図5】本発明の実施の第二形態例の洗浄ポットの平面図である。
【図6】本発明の実施の第三形態例の洗浄ポットの平面図である。
【図7】本発明の実施の第四形態例の洗浄ポットの平面図である。
【図8】本発明の実施の第五形態例の説明図である。
【符号の説明】
【0031】
K 開口部
R 内部空間
W 洗浄液
F 被洗浄面
1 通過流量
2 通過流量
1 洗浄ポット
2 振動子
3 貯液タンク
4 給液管
5 排液管
6 循環用ポンプ
7 ポンプ制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液で充満又はほぼ充満される内部空間及び被洗浄面への当接により閉塞される開口部をもつ洗浄ポットと、該洗浄液を収容する貯液タンクと、該貯液タンクと該洗浄ポットの内部空間とを接続する給液管と、該貯液タンクと該洗浄ポットの内部空間とを接続する排液管と、該内部空間内に充満又はほぼ充満された洗浄液に音波振動又は超音波振動を付与する振動子と、該排液管の管路に設けられた循環用ポンプと、該開口部が閉塞されて該内部空間が負圧状態となることにより該貯液タンク内の洗浄液を該給液管を経て該内部空間に充満又はほぼ充満する状態に吸引供給すると共に該内部空間内に該洗浄液が充満又はほぼ充満している状態を維持しつつ該内部空間内の洗浄液を該排液管を経て該貯液タンク内に排出するポンプ制御部とを備えてなることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
上記ポンプ制御部は上記被洗浄面からの洗浄ポットの離反により上記開口部が開口して上記内部空間が常圧に近い負圧又は常圧状態となることにより該内部空間内の洗浄液を上記排液管を経て上記貯液タンク内に速やかに排出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
上記給液管の通過流量Q1と上記排液管の通過流量Q2との関係をQ1<Q2に設定してなることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄装置。
【請求項4】
上記洗浄ポットの内部空間が常圧に近い負圧又は常圧状態のとき上記振動子による音波振動又は超音波振動を停止する振動制御部を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
上記洗浄液の主成分が水又は水とエタノールとの混合液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−15770(P2011−15770A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161354(P2009−161354)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(595020012)柳下技研株式会社 (3)
【Fターム(参考)】