説明

洗濯乾燥機

【課題】パルセータを二重構造とする場合に、洗濯行程中に絡まった洗濯物をほぐして洗濯性能、乾燥性能を向上できる洗濯乾燥機を得る。
【解決手段】外箱内に水槽2を揺動自在に吊支し、この水槽2内に底部に回転翼7を設けた洗濯兼脱水槽3を回転自在に配設した洗濯乾燥機において、前記回転翼7を外翼5の上部にこの外翼5よりも小径の内翼4を重ねた二重構造とし、内翼4をモータ8に連結した洗濯軸9に連結し、外翼5を前記洗濯軸9に連結した遊星ギヤ6に連結し、内翼4からの外翼5の外方へのリング状の突出部を洗濯物の掻き落し部5aに形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機の特に回転翼に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば全自動一槽式洗濯乾燥機は、外箱内に水槽を揺動自在に吊支し、この水槽内に底部に回転翼を有する洗濯兼脱水槽を回転自在に配設し、水槽の下方にはモータが配設され、このモータには、回転翼に一端が連結する洗濯軸の他端が連結されている。
【0003】
そして、洗いやすすぎ行程ではモータにより回転する洗濯軸の回転が回転翼に伝達され、回転翼が回転して、洗濯兼脱水槽内の水が攪拌されて水流が発生し洗濯物が攪拌される。
【0004】
ところで、槽内に複雑な水流が生起するようにし、種々の洗濯物の汚れに対し、適正な水流を選択して洗濯が実行できる洗濯性能の向上した洗濯機がある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
これは、槽内底部に回転可能に攪拌体を備え、該攪拌体を槽外に配置したモータによって回転駆動するようにした洗濯機において、前記攪拌体は、槽内方に向けて突出する羽根山をそれぞれ有する環状の底部パルセータと、この底部パルセータの外周に沿うように設けられた円筒状の外周部パルセータとによりなり、かつ、一方のパルセータが前記モータによって回転駆動され、他方のパルセータが前記一方のパルセータに対し同一の軸中心のもとに遊転するものである。
【特許文献1】特開2000−157775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特開2000−157775号公報に記載の洗濯機は、洗い行程では、外周部パルセータが正逆回転、あるいは間欠回転することによって外側から内側に向う一方向のやさしい水流を発生させると同時に、前記外周部パルセータが正逆回転あるいは間欠回転する際の回転停止時間内に、洗濯物が惰性力で回転することで時間遅れを生じながら回転する。
【0007】
こうして遊転する底部パルセータによっても外部パルセータによるものとは異なる水流が生起し、洗濯兼脱水槽内に複雑な水流が形成され、洗浄力が向上したものとなる。
【0008】
このように複雑な水流を生起させる洗濯機では、乾燥等の行程時など、攪拌動作を繰返すことによって洗濯物が複雑に絡み合うおそれがある。
【0009】
また、モータと洗濯軸とは直結されており、このため、使用を繰返すことによって種々の箇所に負担がかかることが予想される。
【0010】
本発明は前記従来例の不都合を解消するものとして、パルセータを二重構造とする場合に、洗濯行程中に絡まった洗濯物をほぐして洗濯性能、乾燥性能を向上できる洗濯乾燥機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の本発明は、外箱内に水槽を揺動自在に吊支し、この水槽内に底部に回転翼を設けた洗濯兼脱水槽を回転自在に配設した洗濯乾燥機において、前記回転翼を外翼の上部にこの外翼よりも小径の内翼を重ねた二重構造とし、内翼をモータに連結した洗濯軸に連結し、外翼を前記洗濯軸に連結した遊星ギヤに連結し、内翼からの外翼の外方へのリング状の突出部を洗濯物の掻き落し部に形成したことを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように本発明の洗濯乾燥機は、遊星ギヤによる外翼の相互反転運動によって洗濯行程中に絡まった衣類がほぐれ易くなる。また、回転翼を外翼と内翼との二重構造としたことで、外翼が衣類の掻き落しを行い、内翼が前記掻き落しによって落ちた衣類を回転翼の回転の中心に引き込むことができ、衣類をほぐすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の洗濯乾燥機の実施形態を示す縦断側面図、図2は同上要部である回転翼部分の縦断側面図、図3は同上回転翼の平面図で、洗濯乾燥機の全体構成から説明する。
【0014】
本発明の洗濯乾燥機は、外箱1内に水槽2を防振機構を介して揺動自在に吊支し、水槽2内に底部に回転翼7を設けた洗濯兼脱水槽3を回転自在に配設している。また、水槽2の下方にはアウターローター型のモータ8を配設し、このモータ8に一端が直結する洗濯軸9の他端を回転翼7に連結する。
【0015】
本発明では、前記回転翼7として、外翼5の上部にこの外翼5よりも小径の内翼4を重ねた二重構造とし、内翼4を前記モータ8に連結した洗濯軸9に連結し、外翼5を前記洗濯軸9に連結した遊星ギヤ6に連結した。これにより、内翼4は洗濯軸9によって回転し、外翼5は遊星ギヤ6を介して減速されて反転する構造となる。
【0016】
このような構造により、内翼4の外方には外翼5の外周部分がリング状に突出することとなり、この突出部が洗濯物の掻き落し部5aに形成される。この掻き落し部5aの上面には適宜間隔で複数(図示の例では5個)の突起10を一体に突出させる。
【0017】
次に作用について説明する。洗濯行程中に絡まった衣類をほぐすには、モータ8が回転することでこれに直結されている洗濯軸9が回転し、これに結合されている内翼4が回転する。
【0018】
洗濯軸9が回転することで、同時に遊星ギヤ6を介して外翼5が回転する。この場合、外翼5は遊星ギヤ6を介して回転するので、内翼4とは反対方向に回転し、かつ、内翼4よりも減速されて回転する。
【0019】
洗濯兼脱水槽3の側壁にへばり付いた衣類などが、かかる外翼5の反転により掻き落し部5aで掻き落され、掻き落された衣類は内翼4の回転により洗濯兼脱水槽3内の回転の中心方向に引きこまれる。その結果、絡まった衣類がほぐされて洗浄効果が増加する。
【0020】
この場合、掻き落し部5aに形成されている突起10が爪のような作用をすることによって衣類の掻き落しはさらに良好に行われる。
【0021】
なお、前記実施形態では外翼5と内翼4とは同時に相互反転運動をするように構成したが、ギヤを切替える構造を付加することで外翼5は固定して回転させずに内翼4のみを回転させることもできる。
【0022】
このようにすることで、例えば毛布などの大物の洗濯物を洗濯する場合、内翼4の回転によって得られる攪拌水流が外翼5の反転によって低減されることを防止でき、攪拌能力が低下することを防げる。そして、モータ8に、大きなトルクを確保できるアウターローター型を使用することの実効性も発現できる。
【0023】
また、洗濯開始時に洗濯内容を設定するに際し、衣類の重量検知を行うが、このときにも内翼4のみを回転させ外翼5は停止させておくことで、重量検知の精度の低下を防ぐこともできる。
【0024】
さらに、本発明では前記のようにアウターローター型のモータ8に直結の洗濯軸9と回転翼7との間に遊星ギヤ6が介在することになるから、遊星ギヤによる減速作用によって、攪拌時にモータ8にかかる負荷を軽減することもでき、モータ8の保護を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の洗濯乾燥機の実施形態を示す縦断側面図である。
【図2】本発明の洗濯乾燥機の実施形態を示す要部である回転翼部分の縦断側面図である。
【図3】本発明の洗濯乾燥機の実施形態を示す要部である回転翼の平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 外箱 2 水槽
3 洗濯兼脱水槽 4 内翼
5 外翼 5a 掻き落し部
6 遊星ギヤ 7 回転翼
8 モータ 9 洗濯軸
10 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱内に水槽を揺動自在に吊支し、この水槽内に底部に回転翼を設けた洗濯兼脱水槽を回転自在に配設した洗濯乾燥機において、前記回転翼を外翼の上部にこの外翼よりも小径の内翼を重ねた二重構造とし、内翼をモータに連結した洗濯軸に連結し、外翼を前記洗濯軸に連結した遊星ギヤに連結し、内翼からの外翼の外方へのリング状の突出部を洗濯物の掻き落し部に形成したことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記外翼に形成された掻き落し部の上部に適宜間隔で複数の突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記モータはアウターローター型であることを特徴とする請求項1記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−135(P2010−135A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159354(P2008−159354)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】