説明

洗濯方法

【課題】生地に損傷を与えず且つ汗等の水溶性の汚れが確実に洗浄される洗濯方法の提供。
【解決手段】ケーシング内にフレーム体18が水平に配置されている。フレーム体18は、駆動モータ23によってケーシング内で回転される。ケーシング及びフレーム体18の内部は洗浄液で満たされ、フレーム体18内に衣類が収容される。フレーム体18の内周面39が波形となるように複数の突条40が設けられている。突条40の高さ寸法は、フレーム体18の内径寸法の3.0%〜6.0%に設定されている。フレーム体18が回転すると、衣類はフレーム体18の壁面と接触せずに無重力に近い状態となる。洗浄液に含まれる界面活性剤が衣類に深く浸透する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等を洗濯する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばウールからなる衣類を洗濯する方法として、従来からドライクリーニングと称される洗濯方法が広く知られている。ドライクリーニングとは、衣類を石油系溶剤あるいは有機系溶剤からなる洗浄液を用いて洗浄する方法である。ドライクリーニングは、衣類の形崩れ、収縮及び膨潤等を防止しながら衣類を簡便に洗濯することができる洗濯方法である。このことは、ドライクリーニングが広く採用されることとなった理由の一つである。
【0003】
具体的には、衣類に付着する汚れは、主として汗、食品の食べ溢し、泥等の水溶性の汚れであることが多い。この種の汚れが完全に洗浄されるためには、衣類が水洗いされる必要がある。しかしながら、ウールからなる衣類が水洗いされると、繊維(ウール)の表面に形成されたスケール(scale) が損傷を受け、生地がフェルト化するおそれが強い。生地がフェルト化すると、当該衣類が硬化し、風合いを無くして着用が困難となる。ところが、洗浄液として石油系溶剤等が採用されると、上記フェルト化現象は発生しない。そこで、衣類の洗濯方法として、ドライクリーニングが広く採用されるようになった。
【0004】
ただし、洗浄液として石油系溶剤等が採用された場合は、衣類に付着した水溶性の汚れが確実に洗浄されることはなく、衣類は、後に黄ばみ等を起こすことになる。つまり、衣類の汚れが確実に洗浄されるためには水洗いが必要であるが、衣類の損傷の危険性が回避されるために、敢えてドライクリーニングが採用されているのが実情である。
【0005】
従来の洗濯機に採用されている洗濯方法は、大きく分けて二種類ある。一つは、洗浄液の回転流を利用する洗濯方法であり(例えば、特許文献1参照)、もう一つは、機械力を利用する洗濯方法である(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0006】
洗浄液の回転流を利用する洗濯方法では、略鉛直方向に配置された回転軸の回りに洗濯槽が回転される。洗濯槽の内部では、洗浄液が略水平方向に回転される。衣類は、洗浄液の回転流によって洗浄される。機械力を利用する洗濯方法では、略水平方向に配置された回転軸の周りに洗濯槽が回転される。洗濯槽に収容された衣類は、当該洗濯槽の内壁面に沿って上方に持ち上げられ、落下される。衣類は、洗濯槽の内壁面に落下したときに受ける衝撃力によって洗浄される。すなわち、洗浄液の回転流を利用する洗濯方法では、回転する洗浄液によって衣類が捩られることによって汚れが分離され、機械力を利用する洗濯方法では、衣類に加えられる衝撃力によって汚れが分離される。いずれの洗濯方法も、生地の負担が大きく、一定の洗浄効果が奏されるとしても、生地は確実に損傷を受ける。
【0007】
従来の洗濯装置又は洗濯方法に関しては、下記特許文献1〜特許文献10に記載されている。特に、特許文献4(特開平4−61893号公報)は、噴流を利用して洗濯物を反転させる洗濯方法及びこの洗濯方法を実施する洗濯機について開示している。同文献が示すように、この洗濯機は、外筒(1) 及び内かご(4) を備える。洗濯物は、内かご(4) に投入され、洗濯液が外筒(1) 内に充填される。外筒(1) の内部と連通する空間にプロペラ羽根(18)が配置されている。このプロペラ羽根(18)が回転されることにより、外筒(1) 内に洗濯液の強力な渦流が発生する。この洗濯液の渦によって洗濯物が捩られ、汚れが洗浄される。
【0008】
このように、同文献は、洗濯槽に充填された洗濯液の中に洗濯物が投入され、洗濯液の強い流れを利用して汚れが洗浄される点について開示している。そして、同文献には、この洗濯方法は、洗濯物に与えるダメージが少なく且つ強い洗浄力を発揮する旨が記載されている(同公報第4頁右上第4行〜左下)。しかしながら、同文献が開示する洗濯方法は、前述のように、プロペラ羽根(18)により洗濯液の強力な渦流を発生させるものであるから、洗濯物に優しい洗濯方法であるとは言えない。具体的には、同文献が開示する洗濯方法では、内籠の上下方向に反転反復して流れる渦巻噴流が発生する。この渦巻噴流に従って上記洗濯物が上下動される。すなわち、この洗濯物は、捩られ及びこの捩りが戻されることによって洗浄されると同時に、上記内籠の内側の上下面に押圧されることによって揉み洗い作用を受ける。かかる洗濯方法では、洗濯物のダメージは決してい小さいものではなく、洗濯物が強く捩られて、洗濯物を構成する繊維が損傷を受けることは明らかである。
【0009】
【特許文献1】特開2002−58892公報
【特許文献2】特開2003−260290公報
【特許文献3】特開2001−269495公報
【特許文献4】特開平4−61893号公報
【特許文献5】特開平4−164494号公報
【特許文献6】特開平11−169579号公報
【特許文献7】特開昭60−246790号公報
【特許文献8】実公昭35−31858号公報
【特許文献9】特開平11−267391号公報
【特許文献10】特開平6−238086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる背景のもとになされたものであり、その目的は、ウールその他のデリケートな生地であっても、当該生地に損傷を与えずに油溶性の汚れ及び汗等の水溶性の汚れをも確実に洗浄する洗濯方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 上記目的が達成されるため、本発明に係る洗濯方法は、次のように行われる。界面活性剤を含む洗浄液が充填密封されたアウターケーシング内に、中心軸が水平方向に配置された円筒籠状洗濯槽が配置される。当該円筒籠状洗濯槽に洗濯物が収容される。その後に、当該円筒籠状洗濯槽が上記中心軸を回転中心として回転される。この場合において、当該円筒籠状洗濯槽は、上記洗濯物が無重力に近い状態が維持され当該円筒籠状洗濯槽内で拡げられて上記洗浄液との接触面積が大きくなるように回転される。
【0012】
洗濯物は、円筒籠状洗濯槽に収容される。この円筒籠状洗濯槽は、アウターケーシング内に配置されている。界面活性剤を含んだ洗浄液がアウターケーシング内に充填密封される。この洗浄液は、円筒籠状洗濯槽内をも満たす。したがって、洗濯物が円筒籠状洗濯槽内に収容されると、当該洗濯物は、円筒籠状洗濯槽内で無重力に近い状態となる。
【0013】
ここで、「無重力に近い状態」とは、「無重力状態」を意味するものではなく、洗濯物が洗浄液中に漂う状態を意味する。円筒籠状洗濯槽内に配置された洗濯物には、重力が作用する。同時に、円筒籠状洗濯槽が洗浄液によって満たされているので、洗濯物には当該洗濯物の体積及び洗浄液の密度に応じた浮力が作用する。これにより、洗濯物は、円筒籠状洗濯槽内で浮遊状態となる。洗浄液は、円筒籠状洗濯槽を取り囲むアウターケーシング内に密封されている。したがって、円筒籠状洗濯槽が回転した場合であっても、洗濯物は、円筒籠状洗濯槽内で無重力に近い状態が維持される。
【0014】
円筒籠状洗濯槽の中心軸が水平方向に配置されているから、当該円筒籠状洗濯槽は、いわゆる横型洗濯槽として機能する。円筒籠状洗濯槽が回転すると、上記洗濯物が当該円筒籠状洗濯槽内で無重力に近い状態が維持され、この洗濯物は、当該円筒籠状洗濯槽の中で展開するように拡げられる。これにより、この洗濯物と洗浄液との接触面積が大きくなり、したがって、洗浄液に含まれる界面活性剤がこの洗濯物を構成する生地の繊維に深く浸透する。界面活性剤が洗濯物を構成する生地の繊維に深く浸透することにより、当該洗濯物に物理的外力が加えられなくとも、すなわち、洗濯物に機械的な外力が加えられたり、水流が噴射されることによって当該洗濯物が叩かれたり捩られたりすることなく、繊維に付着した汚れが容易に離脱する。
【0015】
(2) 上記円筒籠状洗濯槽が回転されることにより上記洗浄液が当該円筒籠状洗濯槽の中心側へ流れるように、上記円筒籠状洗濯槽の内周面に周方向に沿って波形凹凸曲面が延設されているのが好ましい。上記円筒籠状洗濯槽は、その内径寸法が500mm未満に設定され且つ毎分60〜120回転で回転されるのが好ましい。上記波形凹凸曲面は、上記円筒籠状洗濯槽の径方向に凹凸するサインカーブ状に形成されているのが好ましい。
【0016】
円筒籠状洗濯槽の内周面は、波形凹凸曲面であるので、円筒籠状洗濯槽が上記サイズに設定され且つ上記速度で回転されることにより、洗浄液が円筒籠状洗濯槽の中心へと緩やかに移動し、さらに円筒籠状洗濯槽の中心から軸方向に移動する。円筒籠状洗濯槽の中心へと移動する洗浄液は、洗濯物を無重力に近い状態に維持し、且つ洗濯物を円筒籠状洗濯槽の内周面から離反させる。特に、上記波形凹凸曲面がサインカーブ状に形成されることにより、円筒籠状洗濯槽の内壁面近傍に渦状の緩やかな流れが発生する。これにより、洗濯物と円筒籠状洗濯槽の内周面との接触が防止され、当該洗濯物の損傷が確実に防止される。さらに、円筒籠状洗濯槽の中心から軸方向に移動する洗浄液は、円筒籠状洗濯槽の内部で洗濯物を拡げる。これにより、洗浄液が洗濯物の繊維の間を緩やかではあるが確実に流れ、洗浄液に含まれる界面活性剤は、洗濯物に付着した汚れを当該洗濯物から確実に分離する。
【0017】
(3) また、上記円筒籠状洗濯槽が回転されることにより上記洗浄液が当該円筒籠状洗濯槽の中心側へ流れるように、上記円筒籠状洗濯槽の内周面に周方向に沿って波形凹凸曲面が延設されている場合に、当該円筒籠状洗濯槽は、その内径寸法が500mm以上に設定され且つ毎分5〜60回転で回転されてもよい。上記波形凹凸曲面は、上記円筒籠状洗濯槽の径方向に凹凸するサインカーブ状に形成されているのが好ましい。
【0018】
この場合も、円筒籠状洗濯槽の内周面は、波形凹凸曲面であるので、円筒籠状洗濯槽が上記サイズに設定され且つ上記速度で回転されることにより、洗浄液が円筒籠状洗濯槽の中心へと緩やかに移動し、さらに円筒籠状洗濯槽の中心から軸方向に移動する。円筒籠状洗濯槽の中心へと移動する洗浄液は、洗濯物を無重力に近い状態に維持し、且つ洗濯物を円筒籠状洗濯槽の内周面から離反させる。特に、上記波形凹凸曲面がサインカーブ状に形成されることにより、円筒籠状洗濯槽の内壁面近傍に渦状の緩やかな流れが発生する。これにより、洗濯物と円筒籠状洗濯槽の内周面との接触が防止され、当該洗濯物の損傷が確実に防止される。さらに、円筒籠状洗濯槽の中心から軸方向に移動する洗浄液は、円筒籠状洗濯槽の内部で洗濯物を拡げる。これにより、洗浄液が洗濯物の繊維の間を緩やかではあるが確実に流れ、洗浄液に含まれる界面活性剤は、洗濯物に付着した汚れを当該洗濯物から確実に分離する。
【0019】
(4) さらに、この円筒籠状洗濯槽の回転が毎分10回転以上の場合は、上記円筒籠状洗濯槽は、規則的に正転及び逆転されるのが好ましい。
【0020】
このように正転及び逆転されることにより、円筒籠状洗濯槽が毎分10回転以上の高速回転をした場合であっても、洗浄液が常に一定の方向へ流れることが規制される。これにより、洗濯物は、上記無重力に近い状態が確実に維持される。また、正転及び逆転のサイクルが適当に設定されることにより、円筒籠状洗濯槽は、いわゆる揺りかご状に揺動される。これにより、洗濯物は、きわめてソフトに洗浄される。
【0021】
(5) 上記波形凹凸曲面は、上記円筒籠状洗濯槽の軸方向に延びる突条が当該円筒籠状洗濯槽の内周面に周方向に均等に並設されることにより形成されていてもよい。当該突条の高さ寸法hは、当該円筒籠状洗濯槽の内径寸法Dの3.0%〜6.0%に設定されているのが好ましい。
【0022】
上記突条は、円筒籠状洗濯槽と一体的に成形され得る。これにより、上記波形凹凸曲面が簡単に且つコスト安価に形成されるという利点がある。また、この突条の高さ寸法が上記寸法に設定されることにより、円筒籠状洗濯槽の内壁面の近傍にきわめて緩やかであり且つ洗濯物を当該円筒籠状洗濯槽の内壁面から確実に離反させることができる洗浄液の渦状の流れが形成される。したがって、洗濯物と円筒籠状洗濯槽の内壁面との接触が一層確実に防止されると共に、当該洗濯物は、円筒籠状洗濯槽の中央部において一層大きく展開される。
【0023】
(6) 上記円筒籠状洗濯槽は、間欠的に回転されるのが好ましい。
【0024】
この円筒籠状洗濯槽が間欠的に回転することにより、洗浄液の流れが一様でなくなる。このため、当該洗浄液の流れは緩やかではあるが、この洗浄液は、確実に洗濯物の繊維の間を流れる。したがって、上記界面活性剤がより有効に作用し、洗濯物に付着した汚れが当該洗濯物から確実に分離される。
【0025】
(7) 変圧装置によって上記円筒籠状洗濯槽内の洗浄液が加圧又は減圧されるのが好ましい。
【0026】
洗浄液の圧力が増減されることにより、洗浄液は、洗濯物を構成する繊維の奥まで浸透する。しかも、洗浄液の圧力が増減されることによって洗濯物の繊維に含まれる空気が除去されるので、洗浄液は、上記繊維の奥まで確実に浸透する。さらに、この洗浄液は円筒籠状洗濯槽の内部に充填されているから、洗浄液の圧力が変化したとしても、円筒籠状洗濯槽内に強い渦等が発生することはなく、そのため、洗浄液の圧力変化を原因として洗濯物が損傷を受けることはない。
【0027】
したがって、洗濯物が損傷を受けることなく、繊維の表面に付着した汚れ並びに繊維の奥まで入り込んだ汚れ(沈潜した汚れ)も確実に除去される。特に、この繊維の奥に入り込んだ汚れは、酸化されて生地の黄ばみの原因となるが、この汚れが確実に除去されるので、生地の黄ばみが確実に防止される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、界面活性剤が洗濯物を構成する生地の繊維に深く浸透するので、洗濯物に物理的外力が加えられなくとも洗濯物に付着した汚れが簡単に取り除かれる。したがって、洗濯物が損傷を受けやすいウール等からなるものであっても、生地の風合いが損なわれることなく生地に付着した汗や泥等の水溶性の汚れが確実に除去される。その結果、次のような効果が奏される。
【0029】
(1) 洗浄液として有機系溶剤、石油系溶剤に代えて水、乳化溶水が使用され得る。もっとも、有機系溶剤等も使用され得るが、これら有機系溶剤及び石油系溶剤が使用されなくなることにより、きわめて環境にやさしい商業洗濯方法が実現される。
【0030】
(2) 生地が収縮せず、生地の風合いが損なわれることないので、例えば複数種類の生地からなる衣類(典型的には、ウールからなる表地とコットンからなる芯地とレーヨンからなる裏地とを備えた背広服)が洗濯された場合であっても、この衣類に、生地の収縮率の違いを原因とする皺が発生しない。通常、商業洗濯において、生地の収縮率の違いを原因とする皺、特に、縫い糸の収縮現象が発生した場合には、これを修正して皺を除去することは容易でなく、そのため、仕上作業(プレス作業)に高いコストがかかる。しかし、本発明では、そもそも生地の収縮率の違いによる皺が発生しないことから、商業洗濯においてプレス作業がきわめて容易となり、クリーニングサービスのコストが大幅に低減される。例えば、本発明に係る洗濯方法では、従来の水洗いに比べて約10分の1のコストで洗濯が実施され得る。
【0031】
(3) 加えて、前述のように、界面活性剤の作用により汚れが除去されるので、生地に与えるダメージは、いわゆる手洗いによる洗濯よりも抑えることが可能である。したがって、きわめてデリケートな生地からなる高価な下着等であっても安全に洗濯が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る洗濯方法を実施するための洗濯装置の模式図である。
【0034】
この洗濯装置10は、洗濯槽ユニット11と、洗濯槽ユニット11を支持する支持装置12と、洗濯槽ユニット11を後述のように回転させる回転駆動装置13と、洗濯槽ユニット11に洗浄液を供給すると共に洗濯槽ユニット11内の洗浄液に強制的に緩やかな流れを生じさせる洗浄液供給装置14と、洗濯槽ユニット11の内部圧力を変化させる変圧装置16とを備えている。なお、同図では示されていないが、洗濯装置10は、回転駆動装置13、洗浄液供給装置14及び変圧装置16の作動を制御する制御装置を備えている。この制御装置の構成については、後述される。
【0035】
洗濯槽ユニット11は、ケーシング17(アウターケーシング)とフレーム体18(円筒籠状洗濯槽)とを備えている。フレーム体18は、ケーシング17の内部に配置されており、ケーシング17によって囲繞されている。ケーシング17は、例えばステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属から構成され得る。ケーシング17は、同図が示すように、前面に扉20を備えている。この扉20は、把手15を備えている。この洗濯装置10のユーザーが把手15を操作することによって、扉20が開閉される。扉20は、ケーシング17の前面を液密的に開閉する。この扉20が閉じられた後に、後述のように洗浄液が供給される。これにより、ケーシング17内に洗浄液が充填密封される。
【0036】
ケーシング17は、同図が示すように円筒容器状に形成されている。ただし、ケーシング17は、他の形状に形成されていてもよいことは勿論である。要するに、ケーシング17は、洗浄液を充填密封し、且つフレーム体18を収容することができる形状に形成されていればよい。なお、ケーシング17の扉20は、当該ケーシング17の内部を見ることができる窓部を備えていてもよい。この窓部には、例えば透明のアクリル板等が嵌め込まれているのが好ましい。この窓部が設けられることにより、外部から洗濯の様子が観察される。
【0037】
支持装置12は、ケーシング17に取り付けられている。支持装置12は、ケーシング17を安定的に支持している。この支持装置12もステンレス鋼やアルミニウム等の金属から構成されている。ケーシング17は、支持装置12に支持されることによって、その中心軸Nが水平になるように配置されている。なお、この中心軸Nは、洗濯槽ユニット11の中心軸と一致し、且つフレーム体18の中心軸と一致している。
【0038】
図2は、フレーム体18の斜視図である。また、図3は、フレーム体18の断面図であり、図4は、図3における要部拡大図である。
【0039】
フレーム体18は、円筒形に形成されている。フレーム体18は、ケーシング17の内部に配置されている(図1参照)。すなわち、フレーム体18は、ケーシング17に対して入れ子状に嵌め込まれている。フレーム体18の内部は、洗濯物が収容される洗濯物収容室を構成している。フレーム体18は、籠状に形成されている。具体的には、フレーム体18の周面36に複数のスリット37が設けられている。これらスリット37は、フレーム体18の周面36を径方向に貫通している。したがって、ケーシング17内に供給された洗浄液は、フレーム体18を自由に出入りすることができる。これらスリット37は、図2が示すように、フレーム体18の軸方向に延びている。スリット37の数、幅寸法及び長さ寸法は、適宜設定される。
【0040】
上記スリット37に代えてフレーム体18に多数のパンチング孔が設けられていてもよい。フレーム体18が骨組構造を備えていてもよい。要するに、洗浄液がフレーム体18に自由に出入りすることができるように、当該フレーム体18が籠状に形成されていればよい。
【0041】
フレーム体18は、中心軸19を備えている。この中心軸19は、フレーム体18の後端面38(図2参照)に突設されている。前述のように、この中心軸19の中心は、上記中心軸N(図1参照)と一致している。すなわち、フレーム体18は、ケーシング17内に当該ケーシング17と同芯状に配置されている。図1が示すように、フレーム体18の中心軸19は、図示されていない軸受により支持されている。これにより、フレーム体18は、ケーシング17の内部で上記中心軸Nの周りに自在に回転することができるようになっている。この中心軸19は、後述の駆動モータ23に連結されている。なお、本実施形態では、上記中心軸19が軸受により支持されることによって、フレーム体18が片持ち状に支持されている。ただし、上記中心軸19がケーシング17の扉15側にも設けられ、フレーム体18が両端支持されていてもよい。
【0042】
図2ないし図4が示すように、フレーム体18の内周面39(波形凹凸曲面)は、波形の凹凸曲面となっている。この凹凸形状は、フレーム体18の内周面39に複数の突条40が形成されることによって形成されている。これら突条40は、フレーム体18の軸方向に沿って延びている。本実施形態では、多数の突条40が上記内周面39に設けられており、各突条40は、当該内周面39の周方向に沿って均等に並設されている。
【0043】
上記スリット37の位置及び上記内周面39の形状は、図3が示す通りである。すなわち、スリット37は、本実施形態では6箇所に設けられており、各スリット37の幅寸法(フレーム体18の周方向の長さ)は、フレーム体18の中心を基準とする角度αにより決定されている。本実施形態では、この角度αは、8.80°(degree)に設定されている。また、各スリット37間の距離(フレーム体18の周方向の長さ)は、フレーム体18の中心を基準とする角度β及びγにより決定されている。本実施形態では、この角度βは、55.16°に設定され、角度γは、31.29°に設定されている。
【0044】
また、上記各突条40の表面によって構成される上記凹凸形状は、上記内周面39の周方向に延びるサインカーブを形成している。ただし、この内周面39の凹凸形状は、半円形の曲面が連続することによりサインカーブ状に形成されていてもよい。本実施形態では、この突条40のピッチpは、フレーム体18の内径寸法Dに対して一定の割合となるように設定されている。具体的には、このピッチpは、上記内径寸法Dの5.0%〜15.0%に設定されている。ただし、このピッチpは、上記内径寸法Dの7%〜12%に設定されるのが好ましい。さらに、上記突条40の高さ寸法hは、フレーム体18の内径寸法Dに対して一定の割合となるように設定されている。具体的には、上記高さ寸法hは、上記内径寸法Dの3.0%〜6.0%に設定され得る。本実施形態では、フレーム体18の内径寸法Dは、300mmに設定されている。ただし、この内径寸法Dは、適宜設計変更されるものであり、本実施形態では、300mm以上500mm未満に設定され得る。
【0045】
図1及び図2が示すように、回転駆動装置13は、上記駆動モータ23を有する。この駆動モータ23は、ケーシング17の端面21に取り付けられている。駆動モータ23の駆動軸24は、上記フレーム体18の中心軸19と連結されている。したがって、駆動モータ23が作動することによって、ケーシング17内でフレーム体18が上記中心軸Nの周りに回転される。なお、駆動モータ23が正転することによってフレーム体18がケーシング17内で正転(一方向に回転)し、駆動モータ23が逆転されることによってフレーム体18がケーシング17内で逆転(他方向に回転)することになる。本実施形態では、フレーム体18は、毎分60回転で回転される。ただし、本実施形態では、フレーム体18は、毎分60回転以上毎分120回転以下の速度に設定され得る。
【0046】
図1が示すように、洗浄液供給装置14は、予め洗浄液がストックされるタンク25と、タンク25に接続された吸入配管26と、吸入配管26が接続されたポンプ27と、ポンプ27に接続された供給配管28と、ケーシング17に接続されたドレン配管29と、ドレン配管29と吸入配管26とを接続するバイパス配管30とを備えている。各配管26、28、29、30は、一般に使用されているステンレス鋼からなるパイプが採用される。吸入配管26、ドレン配管29及びバイパス配管30は、それぞれ当該配管を開閉するバルブ31〜33を備えている。ポンプ27は、タンク25内の洗浄液を吸い上げてケーシング17に送給するほか、後述のように洗浄液を循環させる。なお、洗浄液としては、水又は乳化溶水が採用され得る。洗浄液には、界面活性剤が含まれている。もっとも、洗浄液として、石油系溶剤、有機系溶剤が採用されてもよい。
【0047】
洗浄液供給装置14が後述のようにケーシング17内の洗浄液を循環させる場合には、洗浄液は一旦ケーシング17の外部に引き出される。この引き出された洗浄液は、そのまま当該ケーシング17内に戻される。このとき、洗浄液は、所定の圧力でケーシング17内に戻される。したがって、ケーシング17内に洗浄液の流れが形成されることになる。仮にこの流れが強い場合には、ケーシング17内の洗浄液は、渦を形成することもある。ただし、本実施形態では、この洗浄液の流れは緩やかであり、洗浄液の流れによって仮に渦が形成されたとしても、衣類を構成する生地が損傷を受けることはない。さらに、後述されるように、この洗浄液の流れによって、洗濯物がケーシング17の中央部に強制的に位置決めされ得る。なお、ケーシング17内の洗浄液は、前述のように循環されるほかに、ケーシング17に供給されながら同時にケーシング17から排出されてもよい。
【0048】
変圧装置16は、本実施形態ではシリンダ・ピストン装置からなる。このシリンダ・ピストン装置が上記ケーシング17に接続されている。したがって、上記ピストンが作動することによって、洗濯槽ユニット11の内部圧力、すなわちケーシング17内の内部圧力が変動することになる。もっとも、変圧装置16は、シリンダ・ピストン装置に限定されるものではなく、要するにケーシング17内の圧力(洗浄液の圧力)を変化させることができるものであればよい。
【0049】
図5は、上記制御装置の構成を示す模式図である。
【0050】
この制御装置50は、回転駆動装置13の駆動モータ23、洗浄液供給装置14のポンプ27及びバルブ31〜33及び変圧装置16の作動等を総合的に制御する。そのため、上記ケーシング17に液位センサ75が設けられ、上記フレーム体18にロータリーエンコーダ76及び回転速度センサ77等が設けられている。上記液位センサ75は、上記ケーシング17内の洗浄液の量を検出する。また、上記ロータリーエンコーダ76は、上記フレーム体18の回転角度を検出し、上記回転速度センサ77は、上記フレーム体18の回転速度を検出する。
【0051】
制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)54、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)54を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。制御装置50は、バス69を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)70に接続されている。
【0052】
ROM66は、洗濯装置10の各種動作を制御するためのプログラム等を格納している。RAM67は、CPU65が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。また、EEPROM68は、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等を記憶する。
【0053】
ASIC70は、CPU65からの指令にしたがい、駆動モータ23に通電する信号等を生成する。この信号は、駆動モータ23の駆動回路78に送られ、この駆動回路78を介して駆動信号が駆動モータ23に通電される。このようにして、駆動モータ23の回転制御が行われ、その結果、上記フレーム体18の回転が制御される。駆動回路78は、駆動モータ23を駆動させるものであり、ASIC70からの出力信号を受けて、駆動モータ23を回転するための電気信号を形成する。この電気信号を受けて駆動モータ23が回転する。
【0054】
ASIC70は、CPU65からの指令にしたがい、ポンプ27に通電する信号等を生成する。この信号は、ポンプ27の駆動回路79に付与され、この駆動回路79を介して駆動信号がポンプ27に通電される。このようにして、ポンプ27の回転制御が行われ、その結果、上記ケーシング17への洗浄液の供給が制御される。駆動回路79は、ポンプ27を駆動させるものであり、ASIC70からの出力信号を受けて、ポンプ27を回転するための電気信号を形成する。この電気信号を受けてポンプ27が回転する。
【0055】
ASIC70は、CPU65からの指令にしたがい、変圧装置16を駆動する信号等を生成する。この信号は、変圧装置16の駆動回路80に送られ、この駆動回路80を介して駆動信号が変圧装置16に送信される。このようにして、変圧装置16の制御が行われ、その結果、上記ケーシング17内の洗浄液の圧力が制御される。駆動回路80は、変圧装置16を作動させるものであり、ASIC70からの出力信号を受けて、変圧装置16を作動するための電気信号を形成する。この電気信号を受けて変圧装置16が作動する。
【0056】
ASIC70は、CPU65からの指令にしたがい、バルブ31〜33に通電する信号等を生成する。この信号は、各バルブ31〜33のそれぞれの駆動回路81〜83に付与され、これら駆動回路81〜83を介して駆動信号が各バルブ31〜33に通電される。このようにして、各バルブ31〜33の開閉制御が行われ、その結果、上記ケーシング17への洗浄液の供給及び排出が制御される。各駆動回路81〜83は、それぞれ各バルブ31〜33を駆動させるものであり、ASIC70からの出力信号を受けて、各バルブ31〜33を開閉するための電気信号を形成する。この電気信号を受けて各バルブ31〜33が開閉する。
【0057】
図6は、洗濯装置10による洗濯の要領を模式的に示す図である。この洗濯装置10は、次の要領で衣類の洗濯を行う。
【0058】
同図(a)が示すように、衣類35(洗濯物)が洗濯槽ユニット11の内部に収容される。具体的には、ケーシング17に設けられた上記扉20(図1参照)が開けられ、衣類35がフレーム本体18の内部に投入される。この衣類35を洗濯槽ユニット11に収容する作業は、例えば、図示されていない洗濯物搬送装置等によって自動で行われてもよい。その場合、上記制御装置50がこの洗濯物搬送装置等の作動を制御する。衣類35が洗濯槽ユニット11内に収容されたときは、バルブ31〜33は、すべて閉じられている。衣類35の投入作業と並行して、タンク25内において洗浄液の調合作業が行われてもよい。前述のように、洗浄液としては有機系溶剤、石油系溶剤のほか水も採用される。本実施形態では、水と洗剤(界面活性剤)とが調合されている。もっとも、洗浄液として水のみが使用されてもよいことは勿論である。
【0059】
同図(b)が示すように、洗濯槽ユニット11に洗浄液が充填される。具体的には、洗浄液供給装置14が作動し、洗浄液が洗濯槽ユニット11内に送給される。より詳細には、バルブ31が開かれると共にバルブ32、33が閉じられ、ポンプ27が作動する。これにより、洗浄液がタンク25から吸い上げられ、吸入配管26及び供給配管28を通ってケーシング17内に送給される。ポンプ27は、洗浄液によってケーシング17が満たされるまで洗浄液を送給する。すなわち、この洗浄液は、ケーシング17内に充填されるまで送給される。本実施形態では、ケーシング17は、図示されていない液位センサ75(図5参照)を備えている。この液位センサ75は、ケーシング17に供給された洗浄液の液位をセンシングするものである。液位センサ75としては、例えば、洗浄液の液位を直接検出するセンサであってもよいし、洗浄液の圧力を検出する圧力センサであってもよい。上記洗浄液は、ケーシング17内に充填されるまで供給されるから、液位センサ75としては、上記圧力センサが採用されるのが好ましい。
【0060】
ケーシング17に充填された洗浄液は密封される。衣類35は、ケーシング17内に充填密封された洗浄液中に配置される。そのため、衣類35は、フレーム体18内で無重力に近い状態となる。詳述すれば、フレーム体18内の衣類35には、重力が作用すると同時に、当該衣類35の体積及び洗浄液の密度に応じた浮力が作用する。しかも、洗浄液がケーシング17内に充填されているので、洗浄液はフレーム体18内を満たしている。したがって、衣類35は、フレーム体18内で、ゆらゆらと漂う状態となる。すなわち、上記「無重力に近い状態」とは、「無重力状態」を意味するものではなく、上記のように衣類35が洗浄液中に漂う状態を意味する。つまり、衣類35は無重力に近い状態でソフトに洗浄される。
【0061】
続いて、図6(c)が示すように、バルブ31〜33が閉じられ、洗濯槽ユニット11が回転される。具体的には、回転駆動装置13(図1参照)が作動し、洗濯槽ユニット11が上記中心軸Nの周りに回転される。より詳細には、回転駆動装置13の駆動モータ23が作動し、フレーム体18が上記中心軸Nを回転中心としてケーシング17内で回転される。フレーム体18が回転されることにより、上記洗浄液はフレーム体18内で当該回転方向に回転する。
【0062】
この洗濯装置10では、前述のように、フレーム体18の中心軸19が水平方向に配置されているから、フレーム体18は、いわゆる横型洗濯槽として機能する。図2ないし図4が示すように、フレーム体18の内周面39は、波形凹凸曲面である。このため、フレーム体18の内径寸法Dが上記範囲に設定され、しかもフレーム体18が上記回転速度で回転されることにより、洗浄液は、フレーム体18の中心へと緩やかに移動すると共に当該フレーム体18の中心から軸方向に沿って移動する。
【0063】
フレーム体18の中心へと移動する洗浄液は、衣類35を無重力に近い状態に維持すると共に、衣類35をフレーム体18の内周面39から離反させる。特に、この内周面39がサインカーブ状に形成されているので、フレーム体18の内壁面近傍に渦状の緩やかな流れが発生する。この渦状の流れは、衣類35とフレーム体18の内周面39との接触を防止する。したがって、衣類35は、洗濯中に生地が損傷を受けることはない。さらに、フレーム体18の中心から軸方向に沿って移動する洗浄液は、フレーム体18の内部で衣類35を拡げ、衣類35と洗浄液との接触面積を大きくする。このため、洗浄液に含まれる界面活性剤が衣類35構成する生地の繊維に深く浸透する。したがって、衣類35に付着した汚れは、当該衣類35が叩かれたり捩られたりすることなく、界面活性剤の作用により容易に離脱する。
【0064】
衣類35の洗浄が終了すると、図6(d)が示すように、バルブ31、33が閉じられると共にバルブ32が開かれ、洗浄液が排出される。
【0065】
本実施形態に係る洗濯方法では、洗浄液に含まれる界面活性剤が衣類35を構成する生地の繊維に深く浸透するので、衣類35に物理的外力が加えられなくとも衣類35に付着した汚れが簡単に取り除かれる。しかも、衣類35は、洗浄液中において無重力に近い状態で洗濯される。したがって、衣類35がウール等のデリケートな生地からなる場合であっても、この生地が損傷を受けることはない。すなわち、衣類35の形が崩れず、しかも風合いが損なわれることなく、生地に付着した汚れが除去される。したがって、ウール等のデリケートな生地からなる衣類の水洗いが可能となり、その結果、衣類に付着した汗や泥等の水溶性の汚れも確実に除去される。加えて、衣類35の形が崩れることがないから、洗浄後に生地に皺が生じにくく、仕上作業が容易になるという利点もある。
【0066】
特に、本実施形態では、フレーム体18は、水平に配置された中心軸19を中心に回転する。つまり、フレーム体18の内部において、洗浄液は、上記中心軸Nの周りに回転する。これにより、洗浄液が衣類35を通過しやすいという利点がある。その理由は明らかではないが、フレーム体18の軸方向中心が鉛直方向に沿って配置されるよりも良好な洗濯が実現されることが確認されている。
【0067】
本実施形態では、フレーム体18の内周面39の形状がサインカーブ状に形成されているので、フレーム体18が回転されると、このフレーム体18の内周面39の近傍に緩やかな渦流が形成される。したがって、衣類35とフレーム体18との接触が確実に回避され、衣類35は、より優しく洗浄される。しかも、衣類35とフレーム体18との接触が回避されることから、衣類35は、フレーム体18の中心付近で常時位置決めされる。これにより、衣類35が確実に拡げられ、上記界面活性剤が効果的に作用する。
【0068】
また、本実施形態では、フレーム体18の内周面39に形成されたサインカーブ状の凹凸は、このフレーム体18の軸方向に延びる突条40が周方向に均等に並設されることにより形成されている。具体的には、例えば波形に湾曲形成された薄肉板がフレーム体18の内側に設置される。これにより、上記凹凸は、簡単に且つコスト安価に形成され、その結果、洗濯装置10の製造コストの上昇が抑えられる。
【0069】
特に、上記突条40の高さ寸法hがフレーム体18の内径寸法Dの3.0%〜6.0%に設定されることにより、フレーム体18の内壁面近傍に、きわめて緩やかでありながら衣類35をフレーム体18の内周面39から確実に離反させることができる洗浄液の渦流が形成される。したがって、衣類35とフレーム体18の内壁面との接触が一層確実に防止されると共に、衣類35は、フレーム体18の中央部において一層確実に拡げられる。
【0070】
上記フレーム体18は、間欠的に回転されるのが好ましい。フレーム体18が間欠的に回転されるためには、上記駆動モータ23の回転が制御されればよい。この駆動モータ23の回転制御は、上記制御装置50によって簡単に行われる。このように、フレーム体18が間欠的に回転されることにより、フレーム体18内の洗浄液の流れが一様でなくなる。したがって、洗浄液の流れは緩やかではあるものの、洗浄液は、確実に衣類35の繊維の間を流れる。
【0071】
例えば、フレーム体18は、1〜240秒だけ回転され、その後に1〜60秒だけ停止され、さらにその後に1〜240秒だけ回転されるサイクルを繰り返す。最初のフレーム体18の回転時間は、5〜200秒であることが好ましく、10〜120秒であることがさらに好ましく、20〜80秒であることがなお好ましい。上記フレーム体18の停止時間は、例えば1秒以下に設定されていてもよい。停止後のフレーム体18の回転時間は、5〜200秒であることが好ましく、10〜120秒であることがさらに好ましく、20〜80秒であることがなお好ましい。これにより、洗浄液は、衣類35の繊維の間をより確実に流れる。したがって、衣類35は、洗浄による損傷を受けることなく、衣類35に付着した汚れが当該衣類35から一層確実に分離される。なお、最初のフレーム体18の回転時間と、一旦停止後のフレーム体18の回転時間とが異なっていてもよいことは、勿論である。
【0072】
また、このフレーム体18は、規則的に正転及び逆転されてもよい。具体的には、上記駆動モータ23の回転が規則的に正転及び逆転される。このような駆動モータ23の回転制御は、上記制御装置50によって簡単に行われる。これにより、洗浄液が衣類35の繊維の間をより一層確実に流れる。
【0073】
例えば、フレーム体18は、右方向(一方向)に1〜540秒だけ回転され、その後に1〜60秒だけ停止され、さらにその後に左方向(他方向)に1〜540秒だけ回転される。フレーム体18の右方向への回転時間は、5〜440秒であることが好ましく、10〜280秒であることがさらに好ましく、20〜180秒であることがなお好ましい。当該右回転後のフレーム体18の停止時間は、例えば1秒以下に設定されていてもよい。停止後のフレーム体18の左方向への回転時間は、5〜440秒であることが好ましく、10〜280秒であることがさらに好ましく、20〜180秒であることがなお好ましい。そして、この正転及び逆転を1サイクルとして、これが繰り返される。フレーム体18が正転及び逆転されることにより、洗浄液が衣類35の繊維の間をより一層確実に流れる。したがって、衣類35は、洗浄による損傷を受けることなく、衣類35に付着した汚れが当該衣類35からなお一層確実に分離される。
【0074】
なお、右方向への回転が正転とされ、左方向への回転が逆転とされているが、これが逆であってもよいことは勿論である。また、正転時間と逆転時間とが異なっていてもよいことも勿論である。
【0075】
本実施形態では、変圧装置16によってケーシング17内の洗浄液、すなわちフレーム体18内の洗浄液が加圧又は減圧される。洗浄液の圧力が増減されることにより、洗浄液は、衣類35を構成する繊維の奥まで浸透する。しかも、洗浄液の圧力が増減されることによって繊維に含まれる空気が除去されるので、洗浄液は、繊維の奥まで確実に浸透する。また、この洗浄液はフレーム体18の内部に充填密封されているから、洗浄液の圧力が変化したとしても、フレーム体18内に強い渦等が発生することはない。したがって、洗浄液の圧力変化を原因として衣類35が損傷を受けることはない。
【0076】
このように洗浄液が加圧されることにより、衣類35が損傷を受けることなく、繊維の表面に付着した汚れ並びに繊維の奥まで入り込んだ汚れ(沈潜した汚れ)も確実に除去される。特に、この繊維の奥に入り込んだ汚れは、酸化されて生地の黄ばみの原因となる。しかし、この汚れが確実に除去されるので、生地の黄ばみが確実に防止されるという利点がある。
【0077】
さらに、衣類35の洗浄中にフレーム18内に洗浄液の緩やかな噴流が形成されてもよい。
【0078】
具体的には、衣類35の洗浄中に洗浄液供給装置14が作動される。図6(c)が示すように、バルブ31、32が閉じられ、バルブ33が開かれると共に、ポンプ27が作動される。これにより、洗浄液が洗濯槽ユニット11から引き出され、バイパス配管30及び供給配管28を通って再び洗濯槽ユニット11に戻される。このときに、洗濯槽ユニット11内に洗浄液の緩やかな流れが形成される。ただし、この流れは、衣類35を強く捻るような強いものではなく、きわめて弱いものであることが必要である。このような緩やかな流れは、上記ポンプ27の作動が制御装置50によって制御されることによって容易に形成され得る。このように洗浄液の流れが形成され、洗浄液が循環されることにより、洗浄液は、衣類35の繊維の間を一層流れやすくなる。その結果、一層高い洗浄力の発揮が期待される。
【0079】
上記緩やかな水流は、逆方向にも形成され得る。すなわち、バルブ31、32が閉じられ、バルブ33が開かれると共に、ポンプ27が逆方向に作動される。これにより、洗浄液が洗濯槽ユニット11の上方から引き出され、供給配管28及びバイパス配管30を通って再び洗濯槽ユニット11に戻される。このときに、洗濯槽ユニット11内に下方から上方に向かう洗浄液の流れが形成される。このように洗浄液の流れが形成されることによって、衣類35が洗濯槽ユニット11の中央部に確実に位置決めされる。
【0080】
詳述すれば、洗濯槽ユニット11内に配置された衣類35は、前述のように無重力に近い状態になる。この状態は、この衣類35に作用する浮力に起因して生じる。ただし、衣類35には常に重力が作用しているから、衣類35は、洗濯槽ユニット11の底部(鉛直下方)に沈下する傾向にある。しかし、洗浄液の流れが洗濯槽ユニット11内で下方から上方に形成されることによって、衣類35は、常に洗濯槽ユニット11の中心部に押し上げられる。これにより、衣類35が洗濯槽ユニット11の内壁面に接触することが確実に回避され、衣類35の損傷が確実に防止される。
【0081】
なお、万一、衣類35が洗浄液の流れによって洗濯槽ユニット11の上方に移動した場合には、前述のように、洗濯槽ユニット11の上方から下方へ向かう洗浄液の流れが形成されることにより、衣類35は、再び洗濯槽ユニット11の中央部に位置決めされ得る。
【0082】
本実施形態に係る洗濯方法では、洗浄液の温度については特に限定されていない。しかし、洗濯装置10に洗浄液の温度を調整する温度調整装置が設けられていてもよい。この温度調整装置は、洗濯槽ユニット11の内部に配置されたヒータ等により構成される。そして、このヒータは、上記制御装置50によってその出力が制御され得る。温度調整装置によって、洗浄液の温度は、衣類35に付着した汚れの種類、程度に応じて当該汚れを除去するための最適な温度に設定され得る。洗浄液の温度が調整されることによって、衣類35に付着した汚れが迅速かつ確実に除去される。
【0083】
次に、本実施形態の変形例について説明される。
【0084】
上記実施形態では、フレーム体18の内径寸法Dは、300mm以上500mm未満に設定されるが、本変形例では、フレーム体18の内径寸法Dが650mmに設定されている。本変形例では、上記内径寸法Dが650mmに設定されているので、例えば背広服も良好に洗浄することができる。フレーム体18の内径寸法Dが大きく設定されることにより、大きなサイズの衣類35であっても良好に洗浄され得る。したがって、上記内径寸法Dが500mm以上1000mm以下に設定されることにより、当該洗濯方法が商業洗濯に適することになる。ただし、上記内径寸法Dが大きく設定されると、フレーム体18内に充填される洗浄液の量も多くなる。そのため、商業洗濯に最適な上記内径寸法Dの範囲は、600mm以上850mm以下である。また、フレーム体18の回転速度は、毎分5回転から毎分60回転に設定される。
【0085】
本変形例においても、フレーム体18の内周面39がサインカーブ状に形成されると共に、フレーム体18が上記サイズに設定され且つ上記速度で回転されることにより、洗浄液がフレーム体18の中心へと緩やかに移動すると共にフレーム体18の中心から軸方向に移動する。フレーム体18の中心へと移動する洗浄液は、衣類35を無重力に近い状態に維持すると共に衣類35をフレーム体18の内周面39から離反させる。したがって、上記実施形態と同様に、衣類35とフレーム体18の内周面39との接触が防止され、衣類35の損傷が確実に防止される。しかも、フレーム体18の中心から軸方向に移動する洗浄液は、フレーム体18の内部で衣類35を拡げる。これにより、洗浄液に含まれる界面活性剤が衣類35の繊維の間を緩やかではあるが確実に流れ、衣類35に付着した汚れが分離される。
【0086】
ただし、フレーム体18が毎分10回転以上の速度で回転される場合は、このフレーム体18は、規則的に正転及び逆転されるのが好ましい。このようにフレーム体18が正転及び逆転される場合には、フレーム体18が毎分10回転以上の高速回転をした場合であっても、洗浄液がフレーム体18の内部で一定の方向へ強く流れることはなく、衣類35は、無重力に近い状態が確実に維持される。また、フレーム体18が、いわゆる揺りかご状に揺動回転されてもよい。制御装置50が駆動モータ23の回転を適当に制御することにより、フレーム体18は、簡単にゆりかご状に回転される。これにより、衣類35は、きわめてソフトに洗浄されるという利点がある。
【実施例】
【0087】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0088】
各実施例及び比較例では、試料生地(ウール)が水洗いされた。その結果が表1及び表2に示されている。各実施例及び比較例において、上記フレーム体18の内径寸法Dに対する上記突条40の高さ寸法h(図4参照)の割合及び上記フレーム体18の回転数が、下記のように設定された。各実施例及び比較例において、上記フレーム体18の内径寸法Dに対する上記突条40の高さ寸法h(図4参照)の割合は、ドラム高さ比(%)として表され(表1、表2参照)、上記ドラム本体18の回転数は、1分あたりの回転数を意味する。
【0089】
各実施例及び比較例では、洗濯中における試料生地の状態及び洗濯後における試料生地の風合いの程度が観察された。洗濯中における試料生地の状態は、試料生地のフレーム体18の壁面への衝突の程度及びフレーム体18内での分散の程度により評価される。また、洗濯後における試料生地の風合いの程度は、Dp値により評価される。
【0090】
ここで、Dp値とは、試料生地の表面の摩擦係数及び当該試料生地の表面の一定領域における摩擦係数の変動に基づいて算出される無次元数である。このDp値が大きいほど風合いが悪化していることを示す。洗濯前における試料生地のDp値は、143である。また、従来の横型洗濯機により水洗いが施された試料生地のDp値は、185である。
【0091】
[実施例1]
【0092】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、3%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0093】
[実施例2]
【0094】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、5%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0095】
[実施例3]
【0096】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、6%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0097】
[比較例1]
【0098】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、0%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0099】
[比較例2]
【0100】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、8%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0101】
[比較例3]
【0102】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、10%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0103】
[実施例4]
【0104】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、3%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0105】
[実施例5]
【0106】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、5%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0107】
[実施例6]
【0108】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、6%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0109】
[比較例4]
【0110】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、0%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0111】
[比較例5]
【0112】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、8%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0113】
[比較例6]
【0114】
ドラム内径寸法は、340mmである。ドラム高さ比は、10%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分5回転、10回転、60回転及び120回転に設定された。
【0115】
[実施例7]
【0116】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、3%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0117】
[実施例8]
【0118】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、5%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0119】
[実施例9]
【0120】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、6%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0121】
[比較例7]
【0122】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、0%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0123】
[比較例8]
【0124】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、8%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0125】
[比較例9]
【0126】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、10%である。フレーム体18の回転方向は、正転のみである。回転時間は、60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0127】
[実施例10]
【0128】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、3%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0129】
[実施例11]
【0130】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、5%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0131】
[実施例12]
【0132】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、6%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0133】
[比較例10]
【0134】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、0%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0135】
[比較例11]
【0136】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、8%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0137】
[比較例12]
【0138】
ドラム内径寸法は、650mmである。ドラム高さ比は、10%である。フレーム体18は、正転された後に逆点される。正転時間は60秒、停止時間が1秒、逆転時間は60秒である。フレーム体18の回転数は、順次毎分3回転、5回転、10回転、30回転、60回転及び120回転に設定された。
【0139】
表1は、上記実施例1ないし実施例3及び比較例1ないし比較例3の内容を表している。表2は、上記実施例4ないし実施例6及び比較例4ないし比較例6の内容を表している。表3は、上記実施例7ないし実施例9及び比較例7ないし比較例9の内容を表している。表4は、上記実施例10ないし実施例12及び比較例10ないし比較例12の内容を表している。
【0140】
【表1】

【0141】
【表2】

【0142】
【表3】

【0143】
【表4】

【0144】
表1及び表2が示すように、フレーム体18の内径寸法Dが340mmであるときは、フレーム体18が正転のみされる場合であっても、正転の後に逆転される場合であっても、ドラム高さ比が3%ないし6%に設定され、且つフレーム体18の回転数が毎分60回転ないし120回転に設定されると、試料生地は、きわめて優しく洗浄される。なお、フレーム体18の回転数が毎分10回転以下の場合及びドラム高さ比が0%の場合は、試料生地の汚れが落ち難い。
【0145】
表3及び表4が示すように、フレーム体18の内径寸法Dが650mmであるときは、フレーム体18が正転のみされる場合であっても、正転の後に逆転される場合であっても、ドラム高さ比が3%ないし6%に設定され、且つフレーム体18の回転数が毎分5回転ないし60回転に設定されると、試料生地は、きわめて優しく洗浄される。なお、フレーム体18の回転数が毎分5回転未満の場合及びドラム高さ比が0%の場合は、試料生地の汚れが落ち難い。また、比較例8及び比較例9並びに比較例11及び比較例12では、フレーム体18の回転数が10回転以下の場合に結果として試料生地の風合いが損なわれていないが、試料生地が常にフレーム体18に接触することから、実際の衣類を洗濯した場合には風合いが損なわれるおそれがある。また、表3及び表4から明らかなように、回転数が10回転以上の場合は、フレーム体18が正転及び逆転される方が試料生地の風合いが損なわれない。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は、衣類等の洗濯方法に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る洗濯方法を実施するための洗濯装置の模式図である。
【図2】図2は、本発明一実施形態に係る洗濯装置のフレーム体の斜視図である。
【図3】図3は、本発明一実施形態に係る洗濯装置のフレーム体の断面図である。
【図4】図4は、図3における要部拡大図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る制御装置の構成を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る洗濯装置による洗濯の要領を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0148】
N ・・・中心
10・・・洗濯装置
11・・・洗濯槽ユニット
12・・・支持装置
13・・・回転駆動装置
14・・・洗浄液供給装置
16・・・変圧装置
17・・・ケーシング
18・・・フレーム体
19・・・中心軸
21・・・端面
23・・・駆動モータ
24・・・駆動軸
25・・・タンク
26・・・吸入配管
27・・・ポンプ
28・・・供給配管
29・・・ドレン配管
30・・・バイパス配管
31・・・バルブ
32・・・バルブ
33・・・バルブ
35・・・衣類
36・・・周面
37・・・スリット
38・・・後端面
39・・・内周面
40・・・突条
50・・・制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含む洗浄液が充填密封されたアウターケーシング内に、中心軸が水平方向に配置された円筒籠状洗濯槽が配置され、
当該円筒籠状洗濯槽に洗濯物が収容された後に、
当該円筒籠状洗濯槽は、当該洗濯物が無重力に近い状態が維持され当該円筒籠状洗濯槽内で拡げられて上記洗浄液との接触面積が大きくなるように、上記中心軸を回転中心として回転される洗濯方法。
【請求項2】
上記円筒籠状洗濯槽が回転されることにより上記洗浄液が当該円筒籠状洗濯槽の中心側へ流れるように、上記円筒籠状洗濯槽の内周面に周方向に沿って波形凹凸曲面が延設されており、
当該円筒籠状洗濯槽は、その内径寸法が500mm未満に設定され且つ毎分60〜120回転で回転され、
上記波形凹凸曲面は、上記円筒籠状洗濯槽の径方向に凹凸するサインカーブ状に形成されている請求項1に記載の洗濯方法。
【請求項3】
上記円筒籠状洗濯槽が回転されることにより上記洗浄液が当該円筒籠状洗濯槽の中心側へ流れるように、上記円筒籠状洗濯槽の内周面に周方向に沿って波形凹凸曲面が延設されており、
当該円筒籠状洗濯槽は、その内径寸法が500mm以上に設定され且つ毎分5〜60回転で回転され、
上記波形凹凸曲面は、上記円筒籠状洗濯槽の径方向に凹凸するサインカーブ状に形成されている請求項1に記載の洗濯方法。
【請求項4】
上記円筒籠状洗濯槽の回転が毎分10回転以上の場合は、上記円筒籠状洗濯槽は、規則的に正転及び逆転される請求項3に記載の洗濯方法。
【請求項5】
上記波形凹凸曲面は、上記円筒籠状洗濯槽の軸方向に延びる突条が当該円筒籠状洗濯槽の内周面に周方向に均等に並設されることにより形成されており、
当該突条の高さ寸法hは、当該円筒籠状洗濯槽の内径寸法Dの3.0%〜6.0%に設定されている請求項2に記載の洗濯方法。
【請求項6】
上記波形凹凸曲面は、上記円筒籠状洗濯槽の軸方向に延びる突条が当該円筒籠状洗濯槽の内周面に周方向に均等に並設されることにより形成されており、
当該突条の高さ寸法hは、当該円筒籠状洗濯槽の内径寸法Dの3.0%〜6.0%に設定されている請求項3又は4に記載の洗濯方法。
【請求項7】
上記円筒籠状洗濯槽は、間欠的に回転される請求項1から6のいずれかに記載の洗濯方法。
【請求項8】
変圧装置によって上記円筒籠状洗濯槽内の洗浄液が加圧又は減圧される請求項1から7のいずれかに記載の洗濯方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−5853(P2008−5853A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62616(P2006−62616)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【特許番号】特許第3841822号(P3841822)
【特許公報発行日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(302039483)株式会社京都産業 (7)
【Fターム(参考)】