説明

洗濯機用排水構造

【課題】洗濯機の排水ホースの接続部分を床面下に配設して当該接続部分となる床面スペースを有効に利用することができるとともに、容器本体内に排水ホースを安定的に配置した状態で接続することで当該排水ホースの振動による騒音の発生などを防止することができる洗濯機用排水構造を提供する。
【解決手段】床面Bに上面11が開口された箱状の容器本体1がその上面11開口が床面Bと面一になるようにして埋設配置されるとともに、容器本体1の上面開口には蓋体2が開閉自在に配設され、一方、容器本体1の底面には排水管Cが接続される排水口13が形成されるとともに、容器本体1内には排水口13を通じて排水管Cに挿入配置された排水トラップ3が設けられ、排水トラップ3の上端部には容器本体1内に挿入された洗濯機Aの排水ホースA1が接続されている。容器本体1の床面には、排水ホースA1を安定的に保持する保持部材5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の排水ホースを接続する排水部の排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機用の排水構造としては、床面に防水パンを配設するとともに、この防水パンに排水トラップを介して排水管を連結してなり、床面から突出した状態で配置した排水トラップの連結部に洗濯機の排水ホースを接続するようにしたものが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実用新案登録第3112329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の排水構造では、排水ホースの接続部が床面から突出して配置されているため、この床面から突出した連結部分が邪魔になり、この結果、他の物を置くことができずにデットスペースとなって使い勝手が悪いという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、洗濯機の排水ホースの接続部分を床面下に配設して当該接続部分となる床面スペースを有効に利用することができるとともに、容器本体内に排水ホースを安定的に配置した状態で接続することで当該排水ホースの振動による騒音の発生などを防止することができる洗濯機用排水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明の洗濯機用排水構造は、床面に上面が開口された箱状の容器本体がその上面開口が当該床面と面一になるようにして埋設配置されるとともに、この容器本体の上面開口には蓋体が開閉自在に配設され、一方、上記容器本体の底面には排水管が接続される排水口が形成されるとともに、容器本体内には上記排水口を通じて排水管に挿入配置された排水トラップが設けられ、この排水トラップの上端部には前記容器本体内に挿入された洗濯機の排水ホースが接続されてなるものである。
【0006】
請求項2に係る発明の洗濯機用排水構造は、前記容器本体の床面に排水ホースを安定的に保持する保持部材が設けられたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排水トラップ全体を内部に収容した状態で容器本体を床面と面一な状態で配置することができ、これにより容器本体を設けた床面スペースを有効に利用することができる。
【0008】
また、容器本体内に配置した排水ホースの途中部を保持部材によって安定的に保持していることで、脱水時等の排水ホースの振動による騒音の発生を防止できるとともに、振動に起因する排水ホースの抜け落ちを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の洗濯機の排水構造を採用して設置された洗濯機及びその周辺を示している。
【0011】
図1において、Aは洗濯機であって、洗濯機Aの排水ホースA1を通じて排水する排水装置として本発明の排水構造を採用したものを床面Bに設置しており、以下この排水装置について図2を参照して詳説する。
【0012】
この排水装置は、床面Bに埋設された容器本体1と、容器本体1に開閉自在に設けられた蓋体2と、容器本体1内に収容された排水トラップ3とを備えている。
【0013】
容器本体1は、上面11が開口された箱状に形成されたもので、洗濯機Aの設置箇所に近接して配設されている。具体的には、容器本体1の上面周縁にフランジ12が形成されており、このフランジ12を床面Bに形成した開口周縁に支持させることで、その上面11開口が床面Bと面一になるように当該容器本体1が配設されている。
【0014】
また、容器本体1の底面には排水口13が形成されており、この排水口13に洗濯機Aの配置に応じて予め配設された排水管Cが連結されている。
【0015】
前記蓋体2は、上面11開口を開閉するためのもので、上面11開口を閉塞した状態では床面Bと面一となるように配設されている。
【0016】
そして、蓋体2の一端部には、排水ホースA1を容器本体1内に導くための導入口(切欠)21が形成されている。
【0017】
前記排水トラップ3は、従来周知なものであり、そのトラップ本体31が排水口13を通じて排水管Cの管端内に配置されている。
【0018】
具体的には、排水トラップ3は、トラップ本体31が前記排水管Cの管端内に挿入配置されており、このトラップ本体31の底部に溜まる所定量の排水によって容器本体1と排水管Cの連通路を水密構造にすることで、排水管C内の臭気が容器本体1側に漏れ出すのを防止している。
【0019】
そして、このトラップ本体31の上端部には連結管(連結部)32が連設されており、この連結管32に前記排水ホースA1の先端が固定手段4によって連結された状態で固定されている。
【0020】
固定手段4は、図3(a)に示すように縮径リング41と締付リング42とからなり、図3(b)に示すように連結管32の管端外周に縮径リング41を嵌め込むとともに、当該連結管32の管端内に排水ホースA1の先端を差し込み、この状態で図3(c)に示すように縮径リング41に締付リング42を締め付けてこの縮径リング41を切欠41aの作用で縮径させることによって、排水ホースA1を連結管32に連結した状態で強固に固定する。この際、排水ホースA1は、前記導入口21を通じて容器本体1内にスムーズに導入される。
【0021】
さらに、容器本体1の底面には保持部材5(図2参照)が設けられている。保持部材5は、容器本体1内に配置される排水ホースA1の途中部を安定的に保持するためのもので、排水ホースA1を嵌入保持する略半円状の保持部51を有している。この保持部材5は、本実施の形態では所定間隔を隔てて2個配置されている。
【0022】
以上説明したように、排水トラップ3全体を内部に収容した状態で容器本体1を床面と面一な状態で配置することができ、これにより容器本体1を設けた床面スペースを有効に利用することができる。
【0023】
また、仮に何らかの原因で排水ホースA1が連結管32から抜け落ちたとしても、排水ホースA1からの排水を容器本体1内から排水口13を通じて排水管Cに排水することができ、排水が床面に漏れ出ることを確実に防止することができる。
【0024】
さらに、容器本体1内に配置した排水ホースA1の途中部を保持部材5によって安定的に保持していることで、脱水時等の排水ホースA1の振動による騒音の発生を防止できるとともに、振動に起因する連結管32からの排水ホースA1の抜け落ちを防止することができる。
【0025】
また、容器本体1を透明樹脂で作製することで、排水トラップ3などの点検を床下からではなく蓋体2を取り外すだけで速やかに且つ容易に行うことができる。
【0026】
さらに、容器本体1の適所に給水栓を配設することで、この給水栓を通じて洗濯機Aに給水するようにしてもよい。
【0027】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々設計変更可能である。
【0028】
例えば、保持部材5の形状や、数は本実施の形態に限定されず、排水ホースA1を保持できる適宜な形状で、必要に応じて適数個設ければよい。
【0029】
また、固定手段4は、縮径リング41を締付リング42で締め付けるものだけに限るものではなく、例えばシール性の信頼性をさらに高めるためにリング間41、42にパッキンを介装するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の洗濯機の排水構造を採用して設置された洗濯機及びその周辺を示す斜視図である。
【図2】排水構造の詳細を示す一部破断の斜視図である。
【図3】排水トラップに排水ホースを連結して固定するための固定手段を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器本体
11 上面
13 排水口
2 蓋体
3 排水トラップ
4 固定手段
5 保持部材
A 洗濯機
A1 排水ホース
B 床面
C 排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に上面が開口された箱状の容器本体がその上面開口が当該床面と面一になるようにして埋設配置されるとともに、この容器本体の上面開口には蓋体が開閉自在に配設され、一方、上記容器本体の底面には排水管が接続される排水口が形成されるとともに、容器本体内には上記排水口を通じて排水管に挿入配置された排水トラップが設けられ、この排水トラップの上端部には前記容器本体内に挿入された洗濯機の排水ホースが接続されてなることを特徴とする洗濯機用排水構造。
【請求項2】
前記容器本体の床面には、排水ホースを安定的に保持する保持部材が設けられたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機用排水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−205135(P2007−205135A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28432(P2006−28432)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(391064474)ミヤコ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】