説明

洗濯機

【課題】除菌及び脱臭に用いたオゾン等が漏れ出すのを抑制した縦型の洗濯機を提供する。
【解決手段】筐体内に設けた外槽4内に内槽5が回転可能に設けられた洗濯水槽3と、洗濯水槽3内に洗濯物の出入口が構成され、外槽4を覆うカバー板11と、洗濯水槽3へ液体を供給する給水ユニット、洗濯水槽3に気体を供給する送風ユニットと、洗濯水槽3内に供給される液体及び気体の少なくとも一方にオゾンを混合させるためのオゾン発生装置と、を備える洗濯機において、外槽4の外壁には、外槽4の上下方向に沿って、内部に中空の風路62が形成された有底状のケース61が少なくとも1つ装着され、ケース61の外表面には風路へつながる少なくとも一つの通気孔65が設けられ、カバー板11には風路62と連通される溝部11aが形成され、風路62には、溝部11aと通気孔65との間に、オゾンを分解可能な触媒66が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン等を使用した洗濯物等の除菌及び脱臭機能を備えた縦型の洗濯機に関
し、詳しくは、洗濯水槽の内部に存在している余剰のオゾン等を分解して排出させる構造
を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オゾン等を利用して洗濯物等を除菌及び脱臭したり、風呂水を除菌等して再利用
したりする機能を備えた洗濯機が知られている。ここで使用される除菌及び脱臭に使用さ
れるオゾン等の気体は、洗濯槽内から漏れ出さないほうが好ましい。例えば、オゾンは、
空気中に充満すると不快な臭いを生じ、また、濃度が高くなると人体に悪影響を与えるお
それもある。
【0003】
そのため、例えば下記特許文献1には、洗濯物に浄化等の特定の処理を施すためのオゾ
ン等の気体が機外へ漏れ出すことを防止することができる電気洗濯機の発明が開示されて
いる。
【0004】
下記特許文献1に示されている電気洗濯機においては、洗濯物収容槽の開口部の周縁を
覆うように設けられ、扉を閉じたときにこの扉に密着して扉と開口部の周縁との間の隙間
を塞ぐためのパッキンが備えられているので、扉を閉じることで、開口部における洗濯物
収容槽内部の気密性を確保することができるようになされている。さらに、この電気洗濯
機においては、扉にはパッキンとカバー部材の出入口の下端部周辺との間の隙間へ向かっ
て延びる案内壁が設けられており、パッキンには、扉を開いたときにパッキンとカバー部
材の出入口の下端部周辺との間の隙間を覆い、扉を閉じたときにこの隙間を露出させるシ
ャッター部が設けられているため、たとえ洗濯物がはみ出した状態で扉が閉じられた場合
でも、気体が機外へ漏れ出すことを防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−178603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、洗濯機には、洗濯槽が横向きに備えられたいわゆるドラム型と呼ばれるタイ
プのものと、洗濯槽が縦向きに備えられたいわゆる縦型と呼ばれるタイプのものがあり、
上述したオゾン等を利用した除菌及び脱臭機能は、どちらのタイプでも備えられるように
なってきており、中でも縦型の洗濯機は低コスト及び省スペースであるという利点から、
より多くの需要が期待される。
【0007】
しかし、縦型の洗濯機は、ドラム型の洗濯機とは異なり、筐体内部が狭く、利用できる
空間が限られるため、オゾン等を含有した液体の流路は循環ポンプを搭載しない非循環一
回通過方式水路、いわゆるワンパス方式の流路が一般的に採用されている。ワンパス方式
の流路の場合、必要な除菌性能やオゾンを溶解させた水等の濃度を確保するために洗濯水
槽内への給水時は常時オゾン等を発生させるための電極への通電を必要とする。また、一
般に縦型の洗濯機は、洗濯水槽の形状上、洗濯水槽が横になっているドラム型のものに比
べて使用水量が多いため、オゾン等を発生させるための電極への通電時間は長くなり、液
体内に溶解しきれなかったり、除菌反応に使用されなかったりした余剰なオゾン等が多く
生じてしまうこととなる。そして、縦型の洗濯機には、余剰となったオゾン等が洗濯水槽
内に充満し、給水による水位の押し上げによって、構造的に気密性の低い箇所から漏れが
生じ、室内環境にオゾン臭が充満してしまうという課題が存在する。
【0008】
また、上記課題を解決するため、縦型の洗濯機に上記特許文献1に示されている電気洗
濯機の構成を取入れようとしても、縦型の洗濯機では扉が上向きに構成されており、さら
に扉の厚さが異なるため、そのまま採用することは困難であり、また、扉が横向きではな
いので、気体が漏れ出さないように扉の手前で気流を制御することも困難である。そのた
め、縦型の洗濯機においても、オゾン等の漏れを抑制する構成が必要となっている。
【0009】
そこで、発明者等は、種々実験を繰り返した結果、縦型の洗濯機において、余剰なオゾ
ン等の漏れを抑制するために、余剰オゾン等を洗濯槽内部から洗濯機の内部へ逃がすため
の風路を設け、この風路内にオゾン等を分解できる触媒を備えることで、排出されるオゾ
ン等の濃度を低濃度にすることができることを見出し、本発明を完成するに至ったもので
ある。
【0010】
すなわち、本発明は、洗濯槽の内部からオゾン等が漏れ出すことによる悪臭及び人体へ
の悪影響を抑制できる縦型の洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の洗濯機は、筐体内に設けた外槽内に
内槽が回転可能に設けられた洗濯水槽と、前記洗濯水槽内に洗濯物を出し入れするための
出入口が構成され、前記外槽を覆うカバー板と、前記洗濯水槽へ水道水等の液体を供給す
る給水ユニットと、前記洗濯水槽に気体を供給する送風ユニットと、前記洗濯水槽内に供
給される前記液体及び前記気体の少なくとも一方にオゾンを混合させるためのオゾン発生
装置と、を備える洗濯機において、前記外槽の外壁には、前記外槽の上下方向に沿って、
内部に中空の風路が形成された有底状のケースが少なくとも1つ装着され、前記ケースの
外表面には前記風路へつながる少なくとも一つの通気孔が設けられ、前記カバー板には前
記風路と連通される溝部が形成され、前記風路には、前記溝部と前記通気孔との間に、前
記オゾンを分解可能な触媒が配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、第2の態様の洗濯機においては、前記ケースは、前記筐体と前記外槽の外壁との
隙間が最も離れている部分に設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、第3の態様の洗濯機においては、前記ケースは、前記ケースの長さをLとし、前
記外槽の高さをXとしたとき、X/3≦L≦X/2の範囲の長さに形成されていることを
特徴とする。
【0014】
また、第4の態様の洗濯機においては、前記風路は、前記外槽の外壁と前記ケースによ
って形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、第5の態様の洗濯機においては、前記ケースに設けられた通気孔には、前記通気
孔の周囲を囲むように、前記風路内側にリブが設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、第6の態様の洗濯機においては、前記リブは、前記通気孔の前記風路の下流側に
対応する位置の一部が開放されていることを特徴とする。
【0017】
また、第7の態様の洗濯機においては、前記ケースの底部には、液体吸収材が設けられ
ていることを特徴とする。
【0018】
また、第8の態様の洗濯機においては、前記カバー板には前記溝部と連通される位置に
空間が設けられ、前記触媒は前記空間と前記通気孔との間に配置されていることを特徴と
する。
【0019】
また、第9の態様の洗濯機においては、前記触媒は、活性炭、金属酸化物、アルミナ、
シリカゲル又はゼオライトのいずれか1つであることを特徴とする。
【0020】
また、第10の態様の洗濯機においては、前記触媒は、平面視で、格子状又はハニカム
状に形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、第11の態様の洗濯機においては、前記触媒は、前記ケースに弾性体を介して固
定されていることを特徴とする。
【0022】
また、第12の態様の洗濯機においては、前記ケースには、前記ケースの内面の少なく
とも一面と前記触媒との間に隙間が形成されていることを特徴とする。
【0023】
また、第13の態様の洗濯機においては、前記隙間側の前記触媒には、前記弾性体が設
けられていないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の態様の洗濯機においては、洗濯水槽内のオゾンを含む空気は、洗濯水槽
の水位の上昇により、上方へ押し上げられた際、カバー板に形成された溝から流れ出すよ
うになり、この流れ出したオゾンを含む空気はケース内の風路へ流れ込む。そして、オゾ
ンを含む空気は、オゾンが風路内に備えられた触媒により分解されることとなる。そのた
め、本発明の洗濯機によれば、オゾンを含む空気が漏れ出すことが抑制され、使用者にオ
ゾン臭による不快感を与えることを抑制することができる。
【0025】
また、ケースが外槽の上下方向に沿って形成されているため、オゾンを含む空気は外槽
の上下方向に沿って形成された風路を流れるようなる。特に、オゾンは空気より重いため
、自重で流れさせることができ、オゾンを触媒で分解させることができるようになる。
【0026】
さらに、ケースは外槽の外壁に直接装着されているので、外槽から伝わる熱によって生
じる水蒸気や洗濯水槽内からの水蒸気等の結露を抑制でき、結露による洗濯機の故障を抑
制することができるようになる。
【0027】
なお、ケースは外槽の外壁に複数個装着されていてもよく、洗濯機の大きさやオゾンの
分解効率等を考慮して適宜に設定することができる。
【0028】
また、縦型の洗濯機においては、筐体と外槽との隙間が離れた部分では、内槽の回転中
に外槽に振動が生じても外槽が筐体と接触し難い。本発明の第2の態様の洗濯機において
は、ケースは筐体と外槽との隙間が離れた部分に設けられているので、中空の風路の横断
面積を大きくしてもケースと筐体とは接触し難くなる。そのため、本発明の洗濯機によれ
ば、ケースの中空の風路の横断面積を大きくすることができると共に、風路長を長く形成
することができるため、触媒の横断面積及び長さを大きくすることができ、オゾンの分解
効率を良好となすことができる。なお、縦型の洗濯機の筐体は一般的に方形状であるので
、この場合は、ケースを筐体の角部に対応する位置に形成することが望ましい。
【0029】
また、第3の態様の洗濯機によれば、オゾンを排気するケースは外槽の高さの1/3〜
1/2の範囲の長さに形成されている。このようにすることで、ケースの長さを十分にと
ることができ、オゾンの分解を効率よく行うことができる。なお、ケースの長さを外槽の
高さの1/2より長くすると、洗濯工程中に内槽の回転中に外槽が振動した際に、ケース
が他の部品、特に、洗濯水槽を支えるサスペンション機構に衝突し易く、このサスペンシ
ョン機構を破損するおそれが大きくなる。一方、ケースの長さを外槽の高さの1/3より
短くすると、触媒の長さをオゾンの分解に十分な長さとすることが困難となる。
【0030】
また、第4の態様の洗濯機によれば、風路の一部が外槽の外壁で形成されているので、
外槽の熱を効率よく利用することができ、より結露の発生を抑制することができるように
なる。さらに、ケースの一方の面を形成する必要がなくなるので、製造コストを減らせる
と共に設計の幅を広げることができる。なお、触媒が備えられる部分には、触媒と外槽の
外壁とが直接接触しないようにするための部材を設けてもよい。
【0031】
また、第5の態様の洗濯機によれば、風路内に生じた結露はリブに沿って風路の下流側
へ流れるため、結露が通気孔からケースの外部へ流出することを抑制することができる。
【0032】
また、第6の態様の洗濯機によれば、結露漏れの抑制に供しない風路の下流側に対応す
る位置のリブは形成する必要がないので、材料費の節約及び設計の幅を広げることができ
る。なお、リブの平面視の形状としては、逆U字状となるようにするとよい。
【0033】
また、第7の態様の洗濯機によれば、風路内で生じた結露をケースの底部に設けた液体
吸収材(例えば、スポンジ、多孔性高吸水性体等)により吸収することができるので、結
露漏れをさらに抑制することができる。なお、結露を吸収した液体吸収材は、外槽及び外
気から伝わる熱により水分が気化されるので、永続的に結露を吸収させることができる。
【0034】
また、第8の態様の洗濯機によれば、ケースの上部に設けられた空間によって、カバー
板の溝部からケースに流れ込むオゾンを含む空気の流れを安定させ、このオゾンを含む空
気を効率よく触媒に接触させることができるので、オゾンの分解効率を良好とすることが
できる。また、ケースの上部に設けられた空間によって、触媒が溝部を塞ぐことが抑制さ
れるので、洗濯機の内部からのオゾンを含む空気を確実に触媒内に通過させることができ
るようになる。
【0035】
また、活性炭、金属酸化物、アルミナ、シリカゲル及びゼオライトのいずれもオゾン分
解触媒として周知のものである。本発明の第9の態様の洗濯機によれば、洗濯機によれば
、これらのオゾンを分解可能な触媒を使用状況に応じて適宜選択することができる。
【0036】
また、第10の態様の洗濯機によれば、オゾンとの接触面積を大きくすることができる
ので、より効率よくオゾンを分解することができる。また、埃によるつまりも少なくなる
ので、長期間にわたって安定的にオゾンを分解することが可能となる。
【0037】
また、第11の態様の洗濯機によれば、触媒は弾性体(クッション)を介して固定され
ているので、触媒へ伝わる衝撃を吸収し、触媒が破損するのを抑制し、且つ、触媒がケー
スから離脱することを抑制することができる。
【0038】
また、第12の態様の洗濯機によれば、触媒とケースの内面との間に隙間(バイパス流
路)が形成されているので、例え触媒に埃がつまっても風路が全て塞がれることを抑制す
ることができ、少なくとも一部のオゾンの分解を継続することができるようになる。
【0039】
また、第13の態様の洗濯機によれば、隙間(バイパス流路)側に流れるオゾンも触媒
と接触させることができるので、オゾンの分解効率をより良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施例に係る洗濯機の蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例に係る洗濯機の内部構成の概略を説明する縦断側面図である。
【図3】本実施例に係る送風給水ユニットの機能を説明するための洗濯機の水路及び風路を中心とする構成を図解的に示す図である。
【図4】本実施例に係る送風給水ユニットを組み込んだ洗濯機の内部構成を説明する図である。
【図5】本実施例に係る外槽に装着したケースを示す斜視図である。
【図6】外槽からケースを外した状態を示す斜視図である。
【図7】本実施例のケースを示す平面図である。
【図8】図8Aはケースの内面側に何も装着されていない状態を示す平面図であり、図8Bは固定板を示す平面図である。
【図9】ケースを上から見た図である。
【図10】図5のX−X線での断面斜視図である。
【図11】図10に対応する他方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を実施するための形態について、実施形態及び図面を参照しながら詳細に
説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するために縦型の
洗濯機を例にとって説明するものであって、本発明をこの実施形態に記載された縦型の洗
濯機に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれるその他
の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。なお、本発明における「除菌」とは
、日本電機工業会の抗菌・除菌性能評価方法において、除菌前の菌数に比べて除菌後の菌
数が、100分の1以下になることを意味する。
【実施例1】
【0042】
以下に示す実施例に係る洗濯機としては、洗い・すすぎ・脱水・乾燥の一連の洗濯工程
を実施可能な縦型の洗濯機1を例にとり、各図面を参照してその詳細な構成について説明
する。
【0043】
図1及び図2において、洗濯機1は、筐体2内に洗濯水槽3が上面開口の縦型の回転ド
ラム5を備えた縦型のものである。筐体2内には縦型に配置された洗濯水槽3を備えてお
り、洗濯水槽3は、洗濯時に水を溜めるための回転しない上面開口の外槽4と、外槽4内
に回転自在に収容された内槽5(以下、ドラム5ともいう)とが含まれている。ドラム5
内の底面には、ドラム5内の水と衣類を撹拌する撹拌翼14(パルセータ14ともいう)
が配置されている。また、ドラム5の上面開口は上リング52Aと下リング52Bで構成
されたバランスリング52で形成されている。ドラム5は、その周側面に外槽4に溜めた
水が流通する多数の通水孔5Aが穿設されており、外槽4は回転しないが、撹拌翼14と
ドラム5は、外槽4の下方に備えられたモータ6で回転する垂直方向の回転軸7によって
垂直軸回りに回転される。この場合、洗い工程・すすぎ工程・脱水工程・乾燥工程の各洗
濯工程において、撹拌翼14とドラム5が同時に回転する状態や、撹拌翼14もしくはド
ラム5のみ回転する状態や、撹拌翼14とドラム5の回転方向が正逆切り替えられる状態
などを制御するために、クラッチ機構40を備えている。
【0044】
筐体2の上面前部には、操作・表示部2Pが配置されている。操作・表示部2Pには、
複数の操作キー及び表示器が配列されており、操作キーを操作することで洗濯機1の運転
を制御でき、表示部には洗濯機1の運転状況が表示されるようになっている。
【0045】
外槽4の上面開口の出入口9は、出入口9の周縁部に気密状態に取り付けたカバー板1
1と、このカバー板11に開閉可能に取り付けた内蓋12とで密閉される。このため、カ
バー板11と内蓋12によって、ドラム5の上面開口の出入口8も開閉される構成となっ
ている。このカバー板11には、カバー板11の一部が切りかかれた溝部11a(図10
参照)が設けられ、そして、図5に示すように、この溝部11aにはカバー板11の張出
し部11bが形成されている。この溝部11aはケース61に形成される風路62と連通
される部分となり、また、張出し部11bは、ケース61とカバー板11とが装着される
部分となる。
【0046】
また、外槽4の外壁4aには、ケース61が装着されている。外槽4の外壁4aに装着
されているケース61は、外槽4の外壁4aに上下方向に沿ってねじ止めにより固定され
ている。なお、このケース61の詳細な構成については後述する。
【0047】
内蓋12は、外側領域が不透明材で構成され、その内側領域が透明板12Aで構成され
ていて、閉じた状態でもドラム5内を透視できるようになっている。また、筐体2の上面
開口13は、筐体2の上面部に開閉可能に取り付けた外蓋10で開閉される。カバー板1
1と内蓋12との当接部分は、内蓋12の周縁部に取り付けたパッキンで密閉される構成
であり、それによって内蓋12を閉じた状態で、外槽4内は密閉状態となる。外蓋10を
開き、且つ内蓋12を開いた状態は、図1に示されており、この状態で、ドラム5と外槽
4の上面開口の出入口8及び9を通って、ドラム5内への衣類(洗濯物)の出し入れがさ
れる。また、図4に示すように、洗濯水槽3は振動を吸収するサスペンション機構SPに
よって略均等支持となるように、複数個所で筐体2に吊り下げ支持(実施例では外槽4が
4箇所支持)されている。
【0048】
外槽4の上面開口の出入口9及びドラム5の上面開口の出入口8よりも上方位置におい
て、筐体2内の上方後部には、送風ユニット16と、給水ユニット17と、オゾン発生装
置18とを含む送風給水ユニット15が収容配置されている。
【0049】
ここで、送風給水ユニット15を説明する前に、これと関連する各洗濯工程について図
2及び図3を用いて簡単に説明する。洗濯工程は、洗濯物を洗剤等を用いて洗う洗い工程
と、洗濯工程において使用した洗濯物についた洗剤等を除去するすすぎ工程と、洗濯物の
水気を取り除く脱水工程と、湿った洗濯物の乾燥、及び衣類等の除菌及び脱臭を行う乾燥
工程で構成されている。なお、これらの工程は、すべて連続して行う必要はなく、使用者
の任意で選択することができる。
【0050】
洗い工程では、上水道水管に連通接続された後述の給水バルブ23が開き、上水道水管
から供給される水道水が洗濯水槽3の外槽4内に溜められる。その際、水が後述の洗剤容
器25を通過して洗濯水槽3に至るようにされていることにより、洗剤が解けた水を洗濯
水槽3の内槽5と外槽4内に溜めることができる。その後、モータ6により、撹拌翼14
を回転させることによってドラム5内の洗濯物が洗濯される。このとき、ドラム5は回転
させない。そして、排水バルブ33を開いて洗濯水槽3の水を排水管34から排水させた
後、すすぎ工程が行われる。すすぎ工程は、再び給水バルブ23を開いて水道水を洗濯水
槽3の外槽4内に溜め、モータ6による撹拌翼14が回転され、この水によって洗濯物の
すすぎが行われる。このときもドラム5は回転させない。
【0051】
その後、排水バルブ33が開かれて洗濯水槽3のすすぎ水が排水管34から排水され、
モータ6によりドラム5と撹拌翼14を同時回転させて洗濯物の脱水を行う脱水工程が行
われる。このすすぎ工程と脱水工程が複数回繰り返され、洗濯・すすぎ・脱水工程を終え
る。なお、この洗濯工程において、洗い工程とすすぎ工程の間に洗濯物に付着した洗剤を
含んだ水を脱水させる中間脱水工程を設けてもよい。また、洗濯・すすぎ・脱水工程を終
えた後、必要に応じて乾燥工程が行われる。この乾燥工程では、後述のオゾン発生装置1
8を作動させて洗濯物の乾燥と共に、除菌・消臭を行なうこともできる。
【0052】
以下、送風給水ユニット15の各構成について図3を参照して説明する。給水ユニット
17は、水道水管に接続した管路を手動で開閉する水栓(図示せず)を通して供給される
水を下流の水路へ供給するのを制御するための給水バルブ23と、注水口ユニット24と
、風呂水ポンプ26と、これらに係る配管が備えられている。給水バルブ23には3つの
出口23A、23B、23Cがあり、いずれの出口から水を出すかを切換えることができ
る。給水バルブ23の第1出口23Aと第2出口23Bは注水口ユニット24に接続され
ている。注水口ユニット24内には、第1出口23Aから供給される水道水を洗剤容器2
5内に区画された洗剤収容室へと導く水路と、呼び水水路35へと導く水路とに分ける分
岐水路が含まれている。また、給水バルブ23の第2出口23Bから供給される水道水は
、洗剤容器25内に区画された柔軟剤収容室(ソフナー容器)を通り、給水路29から洗
濯水槽3へと給水する。さらに、注水口ユニット24には、風呂水ポンプ26から導かれ
る給水路28Aがベンチュリー管30を介して接続されている。また、給水バルブ23の
第3出口23Cは、ベンチュリー管37を経て給水路32から洗濯水槽3へと給水される

【0053】
また、送風ユニット16は、乾燥工程において回転駆動される電動機19Aと回転翼1
9Bからなる浄化用空気消滅手段及び送風手段としてのブロア19と、ブロア19により
洗濯水槽3内へ循環される空気を加熱するためのヒータ21を備え、乾燥工程において乾
燥風路22(循環風路)内で空気が循環される。この回転翼19B及びヒータ21は合成
樹脂製ケース16P内の風路に収容されており、合成樹脂製ケース16Pの上面に取り付
けた電動機19Aによって回転翼19Bが回転する構成である。
【0054】
乾燥風路22は、外槽4の外側に配置され、外槽4の上方部から洗濯水槽3内の高温多
湿の空気を空気吸い込み口となる接続パイプ41から吸い出し、その空気をヒータ21で
加熱して外槽4の上方部の空気吐出口となる接続パイプ42から洗濯水槽3内へ流入させ
るように空気を循環させるための風路である。
【0055】
次に、図3を参照して、洗濯機1の送風給水ユニット15を含む水路及び風路を中心と
する全体構成について説明をする。
【0056】
先ず、洗濯機1に設けられた送風給水ユニット15と水路の構成について説明する。上
述した水道水管の水栓が開かれた状態で、風呂水ポンプ26が稼動したときは、給水バル
ブ23の第1出口23Aが開いて、主として呼び水水路35を通り逆止弁35Aを経て風
呂水ポンプ26へ呼び水が流入すると共に、浴槽の残り湯(風呂水)が風呂水ホース27
を介して汲み上げられて、風呂水ポンプ26を経由して給水路28から注水口ユニット2
4へ流入し、洗剤容器25の洗剤収容室を通り、洗剤容器25の出口25Aから出て給水
路29から洗濯水槽3へと流入する。
【0057】
このとき、風呂水供給路26Rには、風呂水にオゾンを供給するためのオゾン混入部と
して、給水路28にベンチュリー管30が介在されており、このベンチュリー管30(気
液混合器またはエゼクタともいう)によって、給水路28を流れる風呂水にオゾン発生装
置18で発生したオゾンが混入される。流入原理は、オゾン発生装置18から発生したオ
ゾンが、ベンチュリー管30内を流れる水により生じる圧力差(負圧)によって、オゾン
出口に設けられた逆止弁31Aを通り、エアーチューブ31を介して接続されている空気
流入口30Aから、ベンチュリー管30内を流れる風呂水にオゾンを含む空気(浄化用空
気)が吸引され混入される。
【0058】
また、風呂水ポンプ26が稼動しないときは、給水バルブ23の第1出口23Aが開い
て注水口ユニット24へ供給される水は、洗剤容器25の洗剤収容室を通り、洗剤容器2
5の出口25Aから出て給水路29から洗濯水槽3へと流入する。給水バルブ23の第2
出口23Bも注水口ユニット24に接続されているが、第2出口23Bを開いたときには
第2出口23Bから供給される水は、洗剤容器25内に区画された柔軟剤収容室(ソフナ
ー容器)を通って給水路29から洗濯水槽3へと流れ込むようにされている。このように
、給水バルブ23から供給される水は給水路29によって、洗濯水槽3への給水が行われ
る。
【0059】
また、上述したように、給水バルブ23の第3出口23Cから供給される水は、ベンチ
ュリー管37を経て給水路32から洗濯水槽3へと給水され、洗濯水槽3から空気吸い込
み口用の接続パイプ41を通って送風ユニット16へ吸い込まれる高温多湿の空気の除湿
を行なうと共にこの空気の温度を低下させるため、この高温多湿の空気と熱交換するため
の除湿用水を供給する。このため、給水バルブ23の第3出口23Cは、給水路32を経
由して出口32Aから供給される相対的に少量の除湿用水を接続パイプ41内に供給する
構成である。
【0060】
給水路32の途中にベンチュリー管37が介在されており、オゾン発生装置18の出口
はエアーチューブ38を通って逆止弁38Aを経てベンチュリー管37の空気流入口37
Aへ接続されている。そのため、上記ベンチュリー管30と同様の流入原理によって、ベ
ンチュリー管37においてエアーチューブ38を介してオゾンを含む空気(浄化用空気)
が吸引され、給水路32を流れる水にオゾン発生装置18で発生するオゾンが混入される

【0061】
このように水路が構成されていることにより、上述したように、洗い工程及びすすぎ工
程において、排水バルブ33を閉じて上記の給水によって洗濯水槽3(具体的には外槽4
と内槽5内)に一定量の水が溜められる。洗い工程では、モータ6によりドラム5は回転
せず撹拌翼14の正逆回転によってドラム5内の衣類が洗濯され、排水バルブ33を開い
て洗濯水槽3の水が排水管34から排水された後、モータ6によりドラム5と撹拌翼14
が同時回転して、衣類の脱水を行う。この脱水の後、すすぎ運転を行う。すすぎ運転は、
再び排水バルブ33を閉じて、上記同様の給水によって洗濯水槽3に一定量の水を溜め、
モータ6により、ドラム5は回転せず、撹拌翼14が正逆回転して、この水によって衣類
のすすぎを行った後、排水バルブ33を開いて洗濯水槽3のすすぎ水が排水管34から排
水され、その後、モータ6によりドラム5と撹拌翼14が同時回転して衣類の脱水を行う
。なお、洗濯水槽3へ供給された水の水位が所定水位よりも高い場合は、オーバーフロー
口36Aからオーバーフロー管36を通して排水管34へ排出される。
【0062】
次に、洗濯機1に設けられた送風給水ユニット15と風路の構成について説明する。
【0063】
送風ユニット16は、ブロア19の空気吸い込み側に乾燥用フィルタ20を配置してい
る。乾燥用フィルタ20は、ブロア19により乾燥風路22を循環される空気中に含まれ
るリント等の異物を捕獲するためのものである。乾燥用フィルタ20は、回転翼19Bの
空気吸い込み側に配置されており、合成樹脂製ケース16Pに着脱自在に装着されること
により、乾燥用フィルタ20のフィルタ素子の清掃がし易い構成となっている。実施例で
は、乾燥用フィルタ20は、フィルタ素子を取り付けたフィルタケースで構成され、フィ
ルタケースが合成樹脂製ケース16Pに着脱自在に装着されている。ヒータ21は、小型
化のために公知のPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが採用されており
、回転翼19Bの空気吐出側に配置されている。
【0064】
乾燥風路22には、上述したように、送風ユニット16、空気吸い込み口となる接続パ
イプ41、及び空気吐出口となる接続パイプ42が含まれている。図2及び図3に示すよ
うに、接続パイプ41及び接続パイプ42は、外槽4の上面開口の出入口9周縁部に気密
状態に取り付けたカバー板11を貫通して取り付けられており、送風ユニット16の空気
吸い込み側には、可撓管である例えば蛇腹管を介して接続パイプ41が接続され、また、
送風ユニット16の空気吐出側には、可撓管である例えば蛇腹管を介して接続パイプ42
が接続されている。これによって、送風ユニット16の稼動によって、環状空間Kの上方
から空気吸い込み口用の接続パイプ41へ環状空間Kの空気を吸い込み、空気吐出口用の
接続パイプ42にてドラム5の上面開口上方からドラム5内へ空気を吐出することにより
、洗濯水槽3の空気が乾燥風路22によって循環される仕組みとなっている。
【0065】
洗濯機1には、乾燥工程を行うために、乾燥風路22が備えられている。乾燥工程にお
いて、ブロア19が運転されヒータ21が発熱状態となる。このため、外槽4とドラム5
との間の環状空間Kに連通した空気吸い込み用の接続パイプ41から環状空間Kの空気を
吸い込み、乾燥用フィルタ20を通過した空気は、回転翼19Bを通った後、ヒータ21
で加熱され、空気吐出用の接続パイプ42からドラム5内へ吐出され、ドラム5内の衣類
から湿気を蒸発させ、この蒸発した湿気を含む高温多湿の空気は、再び環状空間Kから接
続パイプ41を通って送風ユニット16へ吸い込まれる循環を行なう。
【0066】
この乾燥工程において、図3に示すように、この高温多湿空気の除湿を行なって乾燥効
果を促進するために、給水路32から除湿用水を供給する。この除湿用水の供給制御は、
給水バルブ23の第3出口23Cを間歇的に所定時間開くことにより、相対的に少量であ
る所定量の除湿水が所定回数に亘り給水路32の出口32Aから環状空間Kへ供給される
。第3出口23Cは相対的に小径の出口であり、給水路32の出口32Aは、空気吸い込
み口用の接続パイプ41内を通って環状空間Kへ臨んでおり、乾燥工程において除湿水が
複数回供給される仕組みである。このため、洗濯水槽3から吸い出される高温多湿の空気
が、給水路32を経由して供給される少量の除湿水と熱交換して、循環空気の除湿をする
と共に温度を低下させる。給水路32を経由して乾燥風路22に供給される除湿水を含め
た除湿によって生じる水滴は、洗濯水槽3の底面最下部、すなわち外槽4の底面最下部の
排水口に接続した排水管34へ流入し、排水バルブ33を介して排水管34の途中に形成
した後述する排水トラップ部39を経て外部の下水路等へ排水される。
【0067】
そして、乾燥工程において、オゾン発生装置18を作動させることにより、上述したベ
ンチュリー管37の流入原理によって、エアーチューブ38を介してオゾンを含む空気(
浄化用空気)が吸引され、ベンチュリー管37内を流れる水にオゾンが混入される。この
ため、乾燥工程において、洗濯水槽3から吸い出される高温多湿の空気を除湿するための
給水路32から供給される水は、オゾンによって浄化されているため、送風ユニット16
によって洗濯水槽3内へ循環する空気は浄化された空気となり、洗濯物の消臭や除菌をす
ることができる。
【0068】
なお、乾燥工程において、モータ6によりドラム5と撹拌翼14を、例えば1分間に1
0回転のように低速で同時回転することにより、衣類の乾燥及び除菌・消臭を促進するこ
とができる。
【0069】
上記のように、乾燥工程では、ブロア19が運転され、外槽4とドラム5との間の環状
空間Kの空気を送風ユニット16へ吸い込み、乾燥用フィルタ20を通過した空気は、ヒ
ータ21で加熱され、その温風(例えば、80℃〜90℃の温風)がドラム5内へ吐出さ
れ、ドラム5内の衣類から湿気を蒸発させ、この蒸発した湿気を含む高温多湿の空気が再
び環状空間Kから送風ユニット16へ吸い込まれる循環が行なわれる。この乾燥工程にお
いて、衣類から蒸発した湿気が外槽4とドラム5の壁に接触したとき結露し易くするため
に、洗濯機1の周囲の空気を外槽4に当てて、外槽4の温度を低下させるための冷却用フ
ァン60を運転している。
【0070】
また、乾燥工程において除菌モードを実行するために、送風ユニット16には、エアー
チューブ43を介してオゾン発生装置18が接続されている。このため、乾燥工程におい
て、オゾン発生装置18が作動される除菌モードにおいて、オゾン発生装置18が発生す
るオゾンを含む浄化用空気は、乾燥用フィルタ20を介して送風ユニット16内へ吸い込
まれ、洗濯水槽3へ循環される空気にオゾンを含む空気を混入することができる。この場
合、オゾン及びオゾンを含む空気のいずれもが浄化用空気とされる。この浄化用空気によ
って、乾燥する衣類等の除菌及び脱臭(エアウォッシュ)を行うことができる。なお、こ
のエアウォッシュとの称呼に関しては、浄化用空気(エア)によって衣類が洗われ、除菌
及び脱臭される様子から、本願の出願人は、浄化用空気を用いて行う衣類の除菌及び脱臭
をエアウォッシュと称している。そして、送風ユニット16、エアーチューブ43及びオ
ゾン発生装置18は、洗濯水槽3へ浄化用空気を供給するための浄化用空気供給手段とし
て機能する。
【0071】
なお、洗濯機1では、エアウォッシュを行なうために、排水管34に排水トラップ部3
9が設けられている。この排水トラップ部39は、排水の流通は確保するが、その排水の
一部が溜まることによって、排水管34を通る空気の流通が遮断される構成である。この
ため、この排水トラップ部39によって、下水からの臭気の逆流をも遮断できる。
【0072】
外槽4の上面開口の出入口9は、内蓋12で密閉され、排水管34は排水トラップ部3
9にて空気流通が遮断され、給水路29には図示しない給水トラップにて空気流通が遮断
される。
【0073】
次に、図5〜図11を参照して本実施例の洗濯機に装着されたケース61の構成及び機
能について説明する。
【0074】
上述したように、実施例の洗濯機1に係る洗濯工程において、オゾン発生装置18から
発生したオゾンは、給水ユニット17及び送風ユニット16から供給される水及び空気に
除菌及び脱臭作用を持たせるために混合され、洗濯水槽3内に多量に供給される。そして
、水内に溶解しきれなかったり、除菌反応に使用されなかったりした余剰なオゾンは洗濯
水槽3内に充満し、ここに給水及び送風がされることにより上方へ押し上げられる。本実
施例の洗濯機1では、余剰のオゾンがそのまま外気に漏れ出さないようにするため、カバ
ー板11に設けられた溝部11a(図10参照)と連通した、内部に中空の風路を有する
ケース61が備えられている。
【0075】
このケース61は、図5に示すように、矩形状の背面61aと、この背面61aの両側
から立設された側面61b、61cと、ケース61の地面側に設けられた底部61dとを
有し、底部61dと対向する上側には開口部61e(図7参照)が設けられ、外槽4の外
壁4aと接する側は開放された縦長の箱状体となっている。なお、ケース61の背面61
aには複数個の通気孔65が形成されている。そして、ケース61の内側は背面61a、
両側面61b、61c及び外槽4の外壁4aで囲まれて中空となり、この中空の部分が余
剰オゾンが流れ込む風路62となる。また、ケース61を外槽aと密着させて装着させる
ことで、外槽4から伝わる熱によって風路62内を通過する気体が結露し難くなる。
【0076】
また、図8に示すように、ケース61の内側には、触媒66が装着される触媒装着部6
3と、結露による水分を吸収する吸収材67が装着される吸収材装着部64が形成されて
いる。また、ケース61の背面61aに形成された複数の通気孔65の周囲にはリブ65
aが形成されている。
【0077】
触媒66は、触媒装着部63に装着可能な形状に形成されている。本実施例の場合、図
9及び図10に示したように、外観は直方体であり、その内部(断面)は通気可能な格子
状となっている。触媒66を格子状に形成することで風路62内を通過するオゾンを含む
気体の通気抵抗を小さくすると共に、接触面積を広くすることができ、効率よく分解をさ
せることができる。なお、触媒66の形状は格子状に限らず、ハニカム状等とすることも
できる。また、触媒66は、活性炭、金属酸化物、アルミナ、シリカゲル及びゼオライト
のいずれもオゾン分解触媒として周知のもので形成することができ、使用される除菌及び
脱臭作用のある気体に応じて変更可能である。
【0078】
さらに、この触媒66は、弾性体68を介在して装着されている。このようにすること
で、弾性体68がクッションとなり、触媒66の破損及び脱落を抑制することができる。
この弾性体は、スポンジやゴム等で形成することができる。
【0079】
通気孔65は、オゾンが分解された気体を排気するためのものである。そのため少なく
とも一つ形成されていればよいが、排気を円滑にするために、本実施例では通気孔は5個
設けられている。なお、その形状は円形のみならず、方形や矩形、ひし形、楕円形等とす
ることができ、また、その大きさも任意で変更可能である。
【0080】
風路62側の通気孔65の周囲には、ケース61の内側に突出させたリブ65aが形成
されている。このリブ65aが形成されていることによって、結露が発生したとしても、
結露はリブ65aを伝って流れることによって通気孔65から外側に漏れ出すのを抑制す
ることができ、結露による洗濯機1の故障を抑制することができる。このリブ65aの形
状は、図7及び図10に示すように通気孔65の周囲を囲む逆U字状に形成すると、上方
から流れてくる結露を効率よく下流側に流すことができる。
【0081】
吸収材67は、結露を吸収することができる材質で形成されたものを用いることができ
る。すなわち、水分を吸収可能な材質であればよく、例えばスポンジや綿等が挙げられる
。このとき、吸収された水分は、外槽4及び外気から伝わる熱によって蒸発させることが
できるので、吸収材67は、繰り返し使用することができる。なお、この吸収材67が装
着されるケース61の吸収材装着部64に吸収材67から蒸発する水分を通す蒸気孔61
iを形成することもできる。また、吸収材67を固定するための爪部61hを設けること
もできる。
【0082】
ケース61の組立ては、まず、ケース61の触媒装着部63に弾性体68を巻きつけた
触媒66を触媒66に形成された格子状の目が上側から確認できるように、すなわちオゾ
ンが上から下へ通過できるように装着させる。このとき、ケース61と触媒66を固定す
るために、固定板69を用いてケース61に固定する。固定板69は、ケース61に設け
られた係止溝61gと固定板69に形成した係止爪69cを係止させておこなう。このと
き、固定板69の設けられた弾性体片68aがあることにより触媒66を支持及び固定す
ることができる。また、触媒66を固定する位置は、ケース61の上部に空間62aが形
成される位置に装着させる。この空間62aが形成されることにより、カバー板11の溝
部11aから流れ出したオゾンの流れが安定し、風路62での流れを円滑にすることがで
きる。次に、ケース61の底部61dの吸収材装着部64に吸収材67を装着させ、ケー
ス61の組み立てが完了する。
【0083】
次に、ケース61を外槽4に装着させる。ケース61の外槽4との装着は、外槽4の外
壁4aに形成したねじ穴4cとケース61の両側面61b、61cにそれぞれ延設された
ねじ止め突起61kをねじにより螺合して行われる。このとき、外槽4の外壁4aに形成
された縦壁4bとケース61の縦溝61jを嵌め合わせることによりケース61と外槽4
の外壁4aとの間に隙間ができるのを抑制し、オゾン漏れを抑制することができる。
【0084】
また、ケース61の内側と触媒66との間には風路62のバイパスとなるような隙間6
9aがケース61の一側面側に形成されている。この隙間69aを形成することにより、
触媒66が埃によって詰まることを抑制することができる。なお、この隙間69aが形成
された側の触媒66には弾性体68を設けないようにすると、隙間69a側を通過したオ
ゾンも触媒66と接することができるので、オゾンの分解をさらに効率よくさせることが
できる。なお、本実施例では、この隙間69aは固定板69に形成されている。そして、
固定板69の隙間69aの間には、丘部69bが形成され、この丘部69bにより触媒6
6の一部が支持及び固定されている。このとき、丘部69bには、弾性体片68aが設け
られ,上記の弾性体68と同様に触媒66の損傷及び脱落を抑制することができる。
【0085】
その後、カバー板11を外槽4に取り付ける。このとき、カバー板11に形成された溝
部11aとケース61の風路62が連通するように取り付けられる。このとき、カバー板
11の張出し部11bに形成された嵌合溝11cとケース61の嵌合突起61fが嵌合さ
れることによりカバー板11とケース61が嵌合される。このようにすることで、密閉度
が増しオゾン漏れを抑制すると共に、取り付けを確実にすることができる。
【0086】
また、ケース61の装着位置は、外槽4と筐体2との隙間が最も広い箇所に装着すると
よく、本実施例では、筐体2は直方体の形状をしており外槽4は円柱状であるので外槽4
と筐体2との隙間が最も広い、筐体2の角部に対応する部分に装着されている。なお、こ
の部分は、図4及び図5に示すように、サスペンション機構SPが設けられる部分でもあ
るので、このサスペンション機構SPと接触を回避するために、ケース61はなるべく上
方に設けることが好ましい。このとき、あまり上方に設けすぎると、ケース61の長さが
短くなり、風路62に設ける触媒66を小さくしなければならなくなり、オゾンが十分に
分解されないおそれがある。そのため、ケース61の長さは、オゾンが十分に分解できる
大きさの触媒66が装着でき、且つサスペンション機構SPとの接触を回避できる長さが
好ましく、その長さは、外槽4の縦長の略1/3〜1/2程度となるようにするとよい。
なお、装着させるケースは一つに限らず、複数個装着してもよい。
【0087】
次に、この余剰オゾンが分解され、ケース61の通気孔65から排気されるまでの流れ
を図10及び図11を参照して説明する。なお、図11中の矢印は余剰オゾンの流れを示
している。余剰オゾンは、洗濯工程において液体に混合して使用されたり、また、エアウ
ォッシュにより使用したりしたオゾン等のうち、溶解及び除菌反応等にあずからなかった
ものであり、洗濯水槽3内に充満している。
【0088】
そして、この余剰オゾンが、洗濯工程等の水位の上昇及びエアウォッシュによる浄化用
空気の供給に伴い上に押し上げられると、余剰オゾンは、カバー板11に形成された溝部
11aから流れ出し、この溝部11aと連通されたケース61の風路62に流れ込む。そ
してケース61に装着された触媒66にオゾンが接することにより、オゾンは分解され、
オゾン濃度が減少される。その後、分解された気体は、ケース61の背面61aに形成さ
れた通気孔65より排気される。
【符号の説明】
【0089】
1:洗濯機 2:筐体 3:洗濯水槽 4:外槽 4a:外壁 4b:縦壁 4c:ねじ
穴 5:ドラム(内槽) 6:モータ 10:外蓋 11:カバー板 11a:溝部 1
1b:張出し部 11c:嵌合溝 13:上面開口 14:パルセータ(撹拌翼) 15
:送風給水ユニット 16:送風ユニット 17:給水ユニット 18:オゾン発生装置
19:ブロア 20:乾燥用フィルタ 21:ヒータ 22:乾燥風路 23:給水バ
ルブ 24:注水口ユニット 26:風呂水ポンプ 39:排水トラップ部 61:ケー
ス 61a:背面 61b、61c:側面 61d:底部 61e:開口部 61f:嵌
合突起 61g:係止溝 61h:爪部 61i:蒸気孔 61j:縦溝 61k:ねじ
止め突起 62:風路 62a:空間 63:触媒装着部 64:吸収材装着部 65:
通気孔 65a:リブ 66:触媒 67:吸収材 68:弾性体 68a:弾性体片
69:固定板 69a:隙間 69b:丘部 69c:係止爪 K:環状空間 SP:サ
スペンション機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けた外槽内に内槽が回転可能に設けられた洗濯水槽と、
前記洗濯水槽内に洗濯物を出し入れするための出入口が構成され、前記外槽を覆うカバ
ー板と、
前記洗濯水槽へ水道水等の液体を供給する給水ユニットと、
前記洗濯水槽に気体を供給する送風ユニットと、
前記洗濯水槽内に供給される前記液体及び前記気体の少なくとも一方にオゾンを混合さ
せるためのオゾン発生装置と、
を備える洗濯機において、
前記外槽の外壁には、前記外槽の上下方向に沿って、内部に中空の風路が形成された有
底状のケースが少なくとも1つ装着され、
前記ケースの外表面には前記風路へつながる少なくとも一つの通気孔が設けられ、
前記カバー板には前記風路と連通される溝部が形成され、
前記風路には、前記溝部と前記通気孔との間に、前記オゾンを分解可能な触媒が配置さ
れていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記ケースは、前記筐体と前記外槽の外壁との隙間が最も離れている部分に設けられて
いることを特徴とする請求項1に記載された洗濯機。
【請求項3】
前記ケースは、前記ケースの長さをLとし、前記外槽の高さをXとしたとき、X/3≦
L≦X/2の範囲の長さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記風路は、前記外槽の外壁と前記ケースによって形成されていることを特徴とする請
求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記ケースに設けられた通気孔には、前記通気孔の周囲を囲むように、前記風路内側に
リブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記リブは、前記通気孔の前記風路の下流側に対応する位置の一部が開放されているこ
とを特徴とする請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記ケースの底部には、液体吸収材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載
の洗濯機。
【請求項8】
前記カバー板には前記溝部と連通される位置に空間が設けられ、前記触媒は前記空間と
前記通気孔との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記触媒は、活性炭、金属酸化物、アルミナ、シリカゲル又はゼオライトのいずれか1
つであることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記触媒は、平面視で、格子状又はハニカム状に形成されていることを特徴とする請求
項1に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記触媒は、前記ケースに弾性体を介して固定されていることを特徴とする請求項1に
記載の洗濯機。
【請求項12】
前記ケースには、前記ケースの内面の少なくとも一面と前記触媒との間に隙間が形成さ
れていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項13】
前記隙間側の前記触媒には、前記弾性体が設けられていないことを特徴とする請求項1
2に記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−240004(P2011−240004A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115869(P2010−115869)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【Fターム(参考)】