説明

洗濯機

【課題】本発明は、高濃度洗剤の散布が偏りなく広範囲に散布できる洗剤投入装置7を備えた洗濯機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、洗濯物を収納して洗う洗濯槽61と、前記洗濯槽61を回転駆動する電動機と、洗濯水で溶いた洗剤を前記洗濯槽61の上側から注いで洗濯槽61内の洗濯物に散布する洗剤投入装置7を備え、前記洗剤投入装置7は前記洗濯槽61の上側に位置し、かつ洗濯槽61の内側に向けられた前記洗剤の注口を有し、前記注口は横方向に延在する隙間状の注口であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯時に清水を供給するときに溶解した洗剤液を洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤投入装置を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
この洗剤投入装置を備える洗濯機は、例えば、特開2006−255300号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
特許文献1に示す洗濯機はトップカバーに洗剤投入装置を備えている。洗剤投入装置は出し入れ自在の投入ケースを有し、この投入ケースに入れられた粉末洗剤は洗濯時に供給される清水で溶解されて洗濯槽内の洗濯物に散布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−255300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示す洗濯機では、洗濯時に供給される清水で溶解した洗剤液を乾いた洗濯物に散布する。清水で溶解した高濃度の洗剤液が部分的に散布されると、洗濯物に洗剤に含まれる蛍光剤や漂白剤により部分的に脱色されたりする不具合がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、高濃度の洗剤液の散布が偏りなく洗濯物に均一で広範囲に散布できる洗剤投入装置を備えた洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、洗濯物を収納して洗う洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動する電動機と、洗濯時に清水を給水して溶解した洗剤液を前記洗濯槽の上側から注いで洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤投入装置を備える。そして、前記洗剤投入装置は前記洗濯槽の上側に位置し、かつ洗濯槽の内側に向けられた前記洗剤液の注口を有し、前記注口は横方向に延在する隙間状の注口であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、洗濯物を収納して洗う洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動する電動機と、清水で溶解した洗剤液を前記洗濯槽の上側から注いで洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤投入装置を備え、前記洗剤投入装置には、ケース収納枠部と、前記ケース収納枠部に出し入れ自在に収まる注水ケースと、前記洗濯槽の上側で洗濯槽の内側に向けて前記ケース収納枠部に設けられた注水ケースが出し入れされる出入口とを有する洗濯機にあって、前記出入口の口縁下部に出入口の間口方向に延在する隙間状の注口を設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、洗濯物を収納して洗う洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動する電動機と、清水で溶解した洗剤液を前記洗濯槽の上側から注いで洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤投入装置を備え、前記洗剤投入装置には、ケース収納枠部と、前記ケース収納枠部に出し入れ自在に収まる注水ケースと、前記洗濯槽の上側で洗濯槽の内側に向けて前記ケース収納枠部に設けられた注水ケースが出し入れされる出入口とを有する洗濯機にあって、前記出入口は、口縁下部が間口方向の幅に亘って前方に突き出す庇状の注水案内部を有し、前記庇状の注水案内部の上面と注水ケースの下部との間で前記出入口の間口方向に延在する隙間状の注口を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶解された高濃度の洗剤液は、横方向に延在する隙間状の注口や、出入口の間口方向に延在する隙間状の注口から拡げて広範囲にかつ均一散布されるので、洗濯物に洗剤による化学的な脱色が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るもので、洗濯機の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係るもので、注水ケースをケース収納枠部から引き出したところを上側から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係るもので、ケース収納枠部に収まった注水ケースをケース収納枠部の天板がない状態で上側から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係るもので、注水ケースとケース収納枠部を有する洗剤投入装置を断面した縦断面図である。
【図5】本発明の実施例に係るもので、ケース収納枠部を前側から見た斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係るもので、図4のA部を拡大したA部拡大図である。
【図7】本発明の実施例に係るもので、洗剤投入装置7の注口から洗濯槽61に注いで、洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤や洗濯水の流下する態様を側面から見たところを示す図である。
【図8】本発明の実施例に係るもので、洗剤投入装置7の注口から洗濯槽61に注いで、洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤や洗濯水の流下する態様を真上から見たところを示す図である。
【図9】本発明の実施例に係るもので、洗濯機の制御回路を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例に係るもので、洗濯機の運転工程を最初の給水から最終の排水脱水に亘って示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係わる実施例について、図を引用して説明する。
【0013】
まず、図1に沿って洗濯機の概要を述べる。
【0014】
図1に示す洗濯機は、外枠1に外枠1を下から支持する外枠ベース2、外枠1の上に設けられたトップカバー3、トップカバー3に開閉自在に備わる蓋4を有する。
【0015】
洗濯槽(図示せず)は外枠1の内部に備わる。洗濯槽を収納する外槽(図示せず)は外枠1の内部にあって外枠1に吊り下げ支持される。吊り下げ支持する支持機構は、外槽内で高速回転する洗濯槽に起きるアンバランス振動を緩和する防振手段が備わる。
【0016】
洗濯脱水モータは外槽の外底部に設けられる。脱水時には、洗濯脱水モータはクラッチの制御操作により洗濯槽を高速回転駆動する。
【0017】
また、洗濯脱水モータは、洗濯時にはクラッチの制御操作により洗濯槽の中央底部に回転自在に備わる攪拌翼を攪拌回転する。脱水運転時には洗濯槽は一方向に回転する。洗濯時には攪拌翼は正逆の攪拌回転が繰り返される。
【0018】
洗濯槽は底部がある筒形状をしている。筒形状の胴体部には多数の脱水穴が設けられており、脱水時に洗濯物にふくまれている水分は遠心力により脱水穴から脱水される。洗濯槽は上部にバランサーが備わる。脱水時に洗濯槽が高速回転する時に発生する振動をバランサーで緩和する。
【0019】
図9に沿って洗濯機が自動運転する制御回路に基づいて説明する。
【0020】
制御回路は、図1に示すトップカバー3の前側に設けたコントロールパネル5の内部に設けたコントロール基板(図示せず)に備わる。
【0021】
制御回路は、マイコンで作られた制御ユニット部101、入力回路部102、出力駆動回路部103を有する。制御ユニット部101は、CPU(中央制御部)105、タイマー106、メモリー107、出力ポート108、入力ポート109を有する。CPU105は演算部105a、制御部105bを有する。メモリー107はRAM107aとROM107bを有する。
【0022】
入力回路部102には、電源スイッチ121、水位センサー122、ICホール素子123、蓋開閉センサー124、全自動選択キー125、マニアル設定キー126、布量センサー127が接続される各種のスイッチやセンサーの情報信号は入力回路部102、入力ポート108を通じてCPU(中央制御部)105に情報伝達が行われる。
【0023】
出力駆動回路部103には、洗濯脱水モータであるDCブラシレスモータ131、給水電磁弁132、排水電磁弁133、蓋ロックソレノイド134、終了ブザー135が接続される。
【0024】
これらのDCブラシレスモータ131、排水電磁弁135を含む各種電気機器などは制御ユニット部101(制御手段)の制御のもとで、出力駆動回路部103を通じて供給される電力で作動する。
【0025】
給水電磁弁132は、開閉により、水道水からの清水供給の制御をする。水道水からの清水は、洗剤投入装置7を通じて洗濯槽に洗濯水やすすぎ水として注水される。洗濯時には、洗剤投入装置7に使用量の洗剤を投入してあり、水道水からの清水により洗剤が溶解されて洗濯槽内の洗濯物に散布される。また、すすぎ時には柔軟仕上げ剤が洗剤投入装置7の柔軟仕上げ剤投入部を経由して洗濯槽内に供給されてすすぎ水として使用される。排水電磁弁133は、CPU(中央制御部)105の制御により開閉され、洗濯時に使用された洗濯水やすすぎ時に使用されたすすぎ水を機外へ排水する。
【0026】
図2〜図8に沿って洗剤投入装置7、及びその関連に関して説明する。
【0027】
洗剤投入装置7は水道水を洗濯水やすすぎ水として洗濯槽61に注水するもので、図1に示す洗濯出し入れ口50に設けられる。洗剤投入装置7はケース収納枠部31と注水ケース32を有する。注水ケース32はケース収納枠部31に出し入れ自在に収まる。
【0028】
図4に示すように、洗剤投入装置7は上流側に給水部33を有する。給水部33はケース収納枠部31を形成する天板34の上側に設けられる。給水部33の囲壁部35は天板34と一体に形成する。給水部33の上板34は囲壁部35と別体に作り、ネジまたは止手段で固定する。上板34を別体にすることで、ケース収納枠部31、給水部33の囲壁部35、トップカバー3を一体に形成するのが容易になる。
【0029】
給水部33は囲壁部35に外側に突出する導水筒37を有する。この導水筒37はパイプ(図示せず)を介して給水電磁弁132(図9に示す)に接続され、水道水を給水部33に導く。給水部33はスポンジ等の整流体38を内部に備える。給水部33に流入した水道水は整流体38で給水時の水圧による勢いが緩和され、天板34に設けられた複数の給水穴45から偏りなく注水ケース32に流れ込む。
【0030】
注水ケース32は、図3、図4に示すように、注水ケース32を出し入れ方向から見て左右隣り合わせの洗剤投入室40と仕上剤投入室41を有する。洗剤投入室40と仕上剤投入室41は注水ケース32内を前後方向に延在する仕切部42で分けられる。
【0031】
洗剤投入室40の底部は左右の両端側を高く、中央を低くして洗剤44が底部の中央に集るようにしている。洗剤投入室40は奥側に洗剤流出口48を有する。洗剤投入室40の底部は前側から奥側の洗剤流出口48に向かって下る傾きになっているので、溶けた洗剤は洗剤投入室40内に淀むことなく洗剤流出口48から流れ出る。また、洗剤投入室40内には、複数の給水穴45によって行き渡った給水が行われ、この給水で洗剤投入室40に入っている洗剤は全体に亘って溶かされる。溶けた洗剤は給水された洗濯水と一緒に洗剤流出口48から流れ出る。
【0032】
洗剤投入室40には、洗剤流出口48側に寄りに、底部から立つ複数の流止ピン43を有する。流止ピン43の数は洗剤流出口48から注水ケースの前側に行くに従い中央から両端側に向かって徐々に少なくなる。洗剤投入室40には、洗剤44が図4に示すように置かれる。洗剤44は流止ピン43と注水ケースの前側との間に置かれる。
【0033】
洗剤44は給水穴45から注がれる水で溶けて洗剤流出口48から流れ出る。溶けずに洗剤流出口48に向かう洗剤は流止ピン43で受け止められるので、未溶解洗剤の流出は阻止される。また、流止ピン43の数は中央が少なく、両端側が多い分布になっているので、溶けながら流れる洗剤流は水量の多い中央に集まり、洗剤は良く溶ける。
【0034】
仕上剤投入室41はサイホン機構46を有する。仕上剤投入室41の水位が所定水位値を超えるとサイホンの原理により、サイホン機構46から水に溶けた仕上剤がサイホン機構46を通じて仕上剤投入室41から排出される。
【0035】
注水ケース32は前側に前面パネル49を有する。前面パネル49は表面が平坦である。取っ手47は前面パネル49の表面中央に設ける。取っ手47を掴んで注水ケース32の出し入れをするので、前面パネル49の表面が平坦でも注水ケース32の出し入れは容易である。
【0036】
洗剤投入装置7のケース収納枠部31は、図2〜図5に示すように、トップカバー3に設けられる。トップカバー3は中央が大きく開口した洗濯物出入口50を有する。縦置きの洗濯槽61は洗濯物出入口50の下方に位置する。
【0037】
トップカバー3に設けられてケース収納枠部31は注水ケース32を出し入れする出入口51を有する。出入口51は洗濯物出入口50の後部側に位置するように設けられており、洗濯物出入口50を洗濯機の前方から覗くと矩形に縁取られた出入口51が良く見え、注水ケース32の出し入れ操作が容易である。
【0038】
注水ケース32がケース収納枠部31に収まると、前面パネル49は、図3、図4、図5、図6に示すように、トップカバー3の出入口51の内側に嵌る。
【0039】
図4に示すように、ケース収納枠部31は奥側からトップカバー3の出入口51に亘って延在する底部53を有する。底部53は出入口51に向かって下る傾斜になっており、出入口51に近い途中で落ち込む段部54を有する。そして、底部53は段部54の下端から出入口51に向かって延びている庇状の注水案内部55を有する。この庇状の注水案内部55も出入口51に向かって下る傾斜になっている。傾斜の角度は5°程度である。底部53は全体に亘り出入口51側に下る傾斜になっているので、洗剤流出口48、サイホン機構46から流れ出る洗剤、仕上げ剤、洗濯水、すすぎ水は出入口51に向かって良く流れる。
【0040】
洗剤投入室40の底部の外底面やケース収納枠部31の底部53で出来る隙間56は、図4に示すように、出入口51に向かって広がる形状になる。ケース収納枠部31の前側には、段部54、庇状の注水案内部55、前面パネル49で囲われる注水堰57が形成される。この注水堰57に洗剤を含んだ洗濯水や、仕上げ剤を含んだすすぎ水は、一次的に貯まり、間隙58から流出して洗濯槽61に注がれる。
【0041】
注水堰57の大きさは、次のとおりである。
【0042】
注水堰57は、出入口51の間口幅Wが130mm、段部54の丈H3(間口幅Wの中間で丈が最小のところ)が10〜20mm、段部54から前面パネル49までの奥行き長さL1が15mm程度の容積になる大きさである。
【0043】
また、間隙58は、前面パネル49の下端と庇状の注水案内部55との間にできる隙間で間隔T1は1〜5mm程度である。この隙間を形成する庇状の注水案内部55は、前面パネル49の表面より洗濯槽61の内側に向かって突き出るように延びている。突き出し長さL2は1〜3mmである。
【0044】
この間隙58とは逆に、前面パネル49の下端を除く前面パネル49の上端、および両側端には、図2に示す口縁枠52との間にほとんど間隙がなく、注水ケース32の出し入れが損なわれない程度の小さいギャップになっている。
【0045】
さらに間隙58は、図2、図3、図5に示すように、円弧形状をしている。間隙58が円弧形状になるのは、注水案内部55と前面パネル49の形状に依存する。庇状の注水案内部55は半径が100〜150mmの円弧形状で、中央が高位置に、両端が低位置になる構成になっている。前面パネル49の下端は、同じように、円弧形状で、中央が高位置に、両端が低位置になる構成になっている。
【0046】
注水案内部55と前面パネル49で形成される間隙58は、図5に示す出入口51の間口幅Wに亘って同じ寸法間隔(1〜5mm)に保たれている。切欠き溝59は隙間56の両端位置に設けられる。出入口51の口縁枠52を切り欠いて形成した切欠き溝59は、口縁枠52の両側下部コーナで注水案内部55の上面側に位置する。
【0047】
この切欠き溝59により、洗濯槽61内への注水は幅を広げた注水になる。間隙58を除く前面パネル49の回りに存在する小さなギャップからの漏水は少なく、洗濯槽61に注がれる大部分の注水は間隙58から行われる。
【0048】
間隙58からの注水は、図8に示すように、上から見えると扇状に拡がって洗濯槽61内の洗濯物に散布される。間隙58の両端には切欠き溝59があるので、注水は扇状の拡がりが更に拡大して洗濯槽61内の広範囲に散布される。
この洗濯物への散布について、図1、図7、図8、図9に沿い、更に詳しく説明する。
【0049】
注水が行われる間隙58を備える洗剤投入装置7は、洗濯槽61の上側に位置する。洗濯槽61は貯水槽となる外槽62の内側に回転自在に内置され、遠心脱水に際しては高速で回転する。流体バランサー63が洗濯槽61の上側周囲に設けられ、遠心脱水の高速回転で発生するアンバランス振動は、流体バランサー63で緩和される。
【0050】
槽上カバー64は洗濯槽61および流体バランサー63を上から覆うように、外槽62の上側内周に設けられ、洗濯物が外槽62と洗濯槽61の隙間に入らないようにしている。攪拌翼65は洗濯槽61の内底中央に回転自在に設けられる。洗濯やすすぎに際しては、電動機の駆動で攪拌翼65は正逆の攪拌回転が繰り返される。遠心脱水の高速回転では、攪拌翼65は洗濯槽61と一緒に回転する。
【0051】
さて、洗剤投入装置7の間隙58から吐出する注水(イ)は、図1に示すように、拡がった状態で洗濯槽61内の洗濯物に散布される。図7は散布される注水(イ)の流下する態様を側面から見たところを示している。図8は散布される注水(イ)の流下する態様を真上から見たところを示している。
【0052】
このように注水は扇状の拡がりになるので、背景技術で述べた部分的に偏る場合に比べ広範囲な散布になる。これにより、溶解された高濃度洗剤が洗濯物66に広範囲に散布され、部分的に片寄った注水にならない。このため、洗濯物の洗い斑が生じたり、洗剤成分がすすぎきれず洗濯物に残存したり、あるいは洗剤の種類によっては洗剤焼けを起こす不具合が解消される。
【0053】
また、この扇状の拡がりになる広範囲の散布は扇の中央では洗濯槽61の中央域まで達する遠方への飛散になっている。これに対し、扇の中央から両端に移ると散布は近いところに後退する。これは扇の吐出流(散布)を生成する間隙58が円弧形状で、中央が高位置に、両端が低位置にした構成による。この散布は球面状になるので見た目に良く、広く拡散した洗濯水の散布になるので洗濯物から跳ねる飛散水も少なく抑えられる。
【0054】
図9、図10に沿い、洗濯機の洗い工程から最終脱水工程に亘るフローについて説明する。
【0055】
洗濯は、給水工程、洗い工程、すすぎ1工程、すすぎ2工程、最終排水工程と推移して終了する。
【0056】
電源スイッチ121を入れ、スタートボタンを押すと、回転する攪拌翼65で洗濯物66の抵抗が検知される。この抵抗は洗濯物66の量に比例し、布量センサー127により洗濯量が算定される。
【0057】
また、洗濯量に応じた洗剤量が算定され、図3、図4に示す洗剤投入室40には、算定された量の洗剤44を投入する。また、洗濯量に応じて洗濯水量が算定され、給水電磁弁132が開放作動して水道水が洗濯水として算定量供給される。
【0058】
水道水は洗剤投入装置7を経て洗濯槽61に供給される。洗剤投入装置7にある洗剤が溶かれ洗濯槽61に供給される。この給水工程では途中まで洗濯槽61を回しながら給水をする槽回転給水をする。その後、攪拌翼65を回しながら給水する翼回転給水をする。
【0059】
先に布量センサー127で検知した洗濯物66の量に応じたい水量の洗濯水が洗濯槽61内に供給される。水位センサー122の検知水量が予め算定した洗濯水量に達すると、給水電磁弁132が閉成作動して給水が完了する。
【0060】
洗い工程に移って洗濯物66の洗いが行われる。DCブラシレスモータ131である洗濯脱水モータが正逆転して洗濯が行われる。この洗い工程では洗濯槽61を止めたままで攪拌翼65だけが正逆転し、洗濯物66を攪拌して洗濯が行われる。
【0061】
洗い工程を終えると、すすぎ1工程に移行する。すすぎ1工程では、まず排水脱水をする。排水脱水は排水電磁弁133を開放作動して洗濯槽61の洗濯水を抜いたら洗濯脱水モータの一方向の脱水回転で洗濯槽61を回す。この脱水回転では900〜1300RPM程度の高速で洗濯槽61を回す。洗濯物66に含まれる水分は遠心脱水されて排水脱水が行われる。
【0062】
排水脱水を終えると、脱水すすぎ2工程に移行する。すすぎ2工程では、すすぎ1工程と同様な脱水すすぎが行われる。
【0063】
すすぎ2工程での脱水すすぎを終えたら最終脱水工程に移行する。最終脱水工程ではすすぎ1工程と同様な排水脱水をする。最終脱水工程では洗濯物に残った水分を十分に脱水するので、すすぎ1工程の排水脱水よりも時間を長くする。
【0064】
さて、前述した給水工程について、図7を引用して更に詳しく述べる。
【0065】
槽回転給水では、洗濯槽61を(100〜150)RPMで回しながら給水する。この槽回転給水量は定格給水量の1/4程度である。すなわち、定格給水量の高さH2が400mmのときは、槽回転給水で供給される水の高さH1は100mmである。100mmの高さまで給水される間に洗剤投入室40内の洗剤44は全部が溶け出し、洗濯槽61の洗濯物66は高濃度洗剤に浸る。
【0066】
この槽回転給水には、洗濯槽61が脱水回転に比べてゆっくりした回転で回りながら高濃度洗剤が扇状の拡がりによる広範囲の散布のもとで行われる。これにより、洗濯槽61内の洗濯物66には高濃度洗剤が満遍なく振りかけられることになるので、洗濯物の洗い斑、すすぎ斑で洗濯物に残る洗剤成分、あるいは洗剤焼けをなくすることができる。
【0067】
槽回転給水後に続く翼回転給水ではH2の定格給水量まで給水する間に攪拌翼65の正逆転が繰り返される。高濃度洗剤が薄まるさなかに、攪拌翼65で攪拌するので、洗剤が迅速に満偏なく溶け、洗い工程で汚れを斑無く落とす事ができる。また、この定格給水量まで給水する間に行なう攪拌翼65の正逆転は、洗い工程の予備洗いにもなるので洗浄効果が高まる。
【符号の説明】
【0068】
1…外枠
2…外枠ベース
3…トップカバー
4…蓋4
5…コントロールパネル
101…制御ユニット部
102…入力回路部
103…出力駆動回路部
105…CPU(中央制御部)
106…タイマー
107…メモリー
108…入力ポート
109…出力ポート
105a…演算部
105b…制御部
107…メモリー
121…電源スイッチ
122…水位センサー
123…ICホール素子
124…蓋開閉センサー
125…全自動選択キー
126…マニアル設定キー
127…布量センサー
131…DCブラシレスモータ
132…給水電磁弁
133…排水電磁弁
134…蓋ロックソレノイド
135…終了ブザー
31…ケース収納枠部
32…注水ケース
33…給水部
34…天板
35…囲壁部
37…導水筒
38…整流体
40…洗剤投入室
41…仕上剤投入室
42…仕切部
48…洗剤流出口
45…給水穴
43…流止ピン
44…洗剤
46…サイホン機構
49…前面パネル
47…取っ手
50…洗濯物出入口
51…出入口
52…口縁枠
53…底部
54…段部
55…庇状の注水案内部
56…隙間
57…注水堰
58…間隙
59…切欠き溝
61…洗濯槽61
63…バランスリング
64…槽カバー
65…攪拌翼
66…洗濯物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収納して洗う洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動する電動機と、洗濯水で溶いた洗剤を前記洗濯槽の上側から注いで洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤投入装置を備え、前記洗剤投入装置は前記洗濯槽の上側に位置し、かつ洗濯槽の内側に向けられた前記洗剤の注口を有し、前記注口は横方向に延在する隙間状の注口であることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
洗濯物を収納して洗う洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動する電動機と、洗濯水で溶いた洗剤を前記洗濯槽の上側から注いで洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤投入装置を備え、前記洗剤投入装置は、ケース収納枠部と、前記ケース収納枠部に出し入れ自在に収まる注水ケースと、前記洗濯槽の上側で洗濯槽の内側に向けて前記ケース収納枠部に設けられた注水ケースが出し入れされる出入口とを有する洗濯機にあって、
前記出入口の口縁下部に出入口の間口方向に延在する隙間状の注口を設けたことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
洗濯物を収納して洗う洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動する電動機と、洗濯水で溶いた洗剤を前記洗濯槽の上側から注いで洗濯槽内の洗濯物に散布する洗剤投入装置を備え、前記洗剤投入装置は、ケース収納枠部と、前記ケース収納枠部に出し入れ自在に収まる注水ケースと、前記洗濯槽の上側で洗濯槽の内側に向けて前記ケース収納枠部に設けられた注水ケースが出し入れされる出入口とを有する洗濯機にあって、
前記出入口は、口縁下部が間口方向の幅に亘って前方に突き出す庇状の注水案内部を有し、前記庇状の注水案内部の上面と注水ケースの下部との間で前記出入口の間口方向に延在する隙間状の注口を形成したことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載された洗濯機にあって、
前記隙間状の注口は、中央が高位置に、両端が低位置になる円弧形状であることを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載された洗濯機にあって、
前記洗濯槽の内底に備えた攪拌翼を攪拌回転させて洗濯物を洗う洗い工程の前に洗濯槽に洗濯水を満たす洗い工程では、前段で前記洗濯槽を遠心脱水回転より低速で回しながら前記隙間状の注口から給水をする槽回転給水と、後段で前記攪拌翼を洗い工程の攪拌回転よりも低速で動かしながら前記隙間状の注口から給水をする翼回転給水をすることを特徴とする洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−130479(P2012−130479A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284030(P2010−284030)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】