説明

洗車受付システム

【課題】洗車受付装置での操作性を向上させるとともに、操作案内を係員が顧客の状況を確認しながら行えるようにした洗車受付システムを提供する。
【解決手段】洗車受付装置1と、洗車受付装置1と通信回線3を介して接続される端末装置2とからなり、洗車受付装置1は、端末装置2に操作案内要求と操作代行要求を行う呼出機能と、端末装置2からの音声を出力するスピーカ6と、顧客の音声を集音するマイク7と、端末装置2からの映像を表示する表示機能とを備え、端末装置2は、洗車受付装置1からの操作案内要求に応答する応答機能と、洗車受付装置2からの音声を出力するスピーカと、係員の音声を集音するマイク13と、係員の映像を撮像するカメラ14と、洗車受付装置1からの映像を表示する表示機能とを備え、端末装置2との映像及び音声によるやり取りを可能とするとともに、洗車受付装置1の操作を端末装置2から行えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車機で実行する洗車メニューを選択したり、選択した洗車メニューに応じた洗車料金を精算したりする洗車受付システムに関するものである。特に操作方法が分からない顧客に対して係員がわざわざ装置に出向くことなく、遠隔にて操作案内を行い、必要に応じて洗車受付を代行操作することができる洗車受付システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
顧客が自ら洗車受付をして洗車サービスを受ける、いわゆるセルフ洗車が知られている。セルフ洗車は、特許文献1に示すように、洗車機を備えた洗車エリアの入場口に設置した洗車受付装置で希望する洗車メニューを選択し、選択した洗車メニューの料金を支払った後、洗車エリアに自動車を乗り入れて洗車サービスを受けるものであり、顧客としては手軽な価格でスピーディな洗車が行え、店側としては洗車専属の係員を配置させる必要がなく省力化が図られるというメリットがある。
【0003】
さて、洗車受付装置での洗車メニュー選択は、不慣れな人にとっては非常に面倒で分かりにくい操作を必要とするものである。そうした顧客への対応として、現状では洗車受付装置にスタッフ呼出ボタンを設け、操作が分からなかったり、操作途中でトラブルが発生した場合等に係員を呼び出せるようにしている。しかし、係員が離れた場所にいたり、他の業務に従事している場合等には、洗車受付装置に出向くのが遅れ、顧客に不満や不安を抱かせることがあった。また、インターホンを取り付けて係員に操作方法を聞きながら操作する対策も施されている。しかし、係員は顧客がどの操作で迷っているのか、案内した通りに操作を行っているのかを認識することができず、スムーズなやり取りが図られないことがあった。更に、係員が常駐していない場合や操作に詳しくない係員が対応した場合等も同様であり、洗車受付が行えないという結果を招いていた。
【特許文献1】特許第2923824号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした洗車受付での煩わしさは、顧客がセルフ洗車を敬遠し諦めてしまう要因の一つとなるので、本発明の課題は、洗車受付装置での操作性を向上させるとともに、操作が分からない顧客に対しての操作案内を係員が顧客の状況を確認しながら行えるようにし、セルフ洗車における洗車受付の煩わしさを解消した洗車受付システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、洗車機を備えた洗車エリアへの入場口に設置され、洗車機で実行する洗車サービスの設定を行う洗車受付装置と、該洗車受付装置と通信回線を介して接続される端末装置とからなり、洗車受付装置は、端末装置に操作案内要求と操作代行要求を行う呼出機能と、端末装置からの音声を出力するスピーカと、顧客の音声を集音するマイクと、端末装置からの映像を表示する表示機能とを備え、端末装置は、洗車受付装置からの操作案内要求に応答する応答機能と、洗車受付装置からの音声を出力するスピーカと、係員の音声を集音するマイクと、係員の映像を撮像するカメラと、洗車受付装置からの映像を表示する表示機能とを備え、洗車受付装置からの操作案内要求に対して、端末装置との映像及び音声によるやり取りを可能とするとともに、洗車受付装置からの操作代行要求に対して、洗車受付装置の操作を端末装置から行えるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、洗車受付装置と端末装置は通信回線にて接続されているため、端末装置の設置場所に制限がなく、洗車エリアから離れた場所での対応や別の業務をしながらの対応が可能になる。また、洗車受付装置と端末装置とを画像と音声により中継することで、洗車受付中の顧客は係員がその場にいるような感覚で操作案内を受けることができる。一方、係員は顧客がどの操作に手間取っているを認識して顧客を誘導するように操作案内を行うことができる。更に、顧客が洗車受付を完了できない場合は、係員が端末装置から代行設定することができ、洗車が受けられないという事態を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(実施例)
以下、図面を用いて本発明の実施態様について説明する。図1は本発明の洗車受付システムが採用される洗車装置の構成図、図2は洗車受付システムの説明図である。
洗車受付システムは、洗車機Sが備えられる洗車エリアAの入場口に設置された洗車受付装置1と、管理室R内に設置された端末装置2とで構成され、洗車受付装置1と端末装置2とは通信回線3を介して接続されている。
【0008】
洗車受付装置1は、入力兼表示を行うタッチパネル4と、現金投入装置とカードリーダライタを備えた料金精算部5と、操作ガイダンスや端末装置2からの音声を出力するスピーカ6と、操作する顧客の音声を取得するマイク7と、操作する顧客の映像を取得するカメラ8と、自動車が乗り入れられたことを検出する車体検出センサ9と、各部の入出力を制御し洗車機Sと端末装置2との間で信号の送受を行う制御部10を備えている。
【0009】
端末装置2は、入力兼表示を行うタッチパネル11と、洗車受付装置1からの音声を出力するスピーカ12と、操作する係員の音声を取得するマイク13と、操作する係員の映像を取得するカメラ14と、各部の入出力を制御し洗車受付装置1との間で信号の送受を行う制御部15を備えている。
【0010】
通信回線3は、無線LANもしくはインターネット回線であり、洗車受付装置1と端末装置2との間、すなわち顧客と係員との間でカメラ映像付きの会話を可能にしている。この通信回線3を介した通信は、原則として洗車受付装置1のタッチパネル7に表示される『スタッフ呼出キー』を入力することで行われ、顧客が洗車受付装置1での操作方法が分からない場合等にこの『スタッフ呼出キー』を入力すると、端末装置2の係員に操作案内を受けることができる。
【0011】
この洗車受付システムでは、まず洗車受付装置1の車体検出センサ9において、自動車の乗り入れを検出すると、タッチパネル4が点灯するとともに、スピーカ6から音声ガイダンスを出力して洗車受付を促す。音声ガイダンスの内容とタッチパネル4に表示される内容に沿って洗車設定を行い、料金精算を済ますと洗車受付が完了となり、洗車エリアAに備えられる洗車機Sに移動して設定した内容の洗車サービスを受けるのである。
【0012】
さて、洗車受付装置1のタッチパネル4における洗車設定時の表示例について図3を用いて説明する。
タッチパネル4の画面上には、以下の画面が表示され、画面上の「OK」・「戻る」をタッチすることで前後の表示が切り替わる。
【0013】
(a)支払い方法選択画面
洗車料金の支払い方法を選択する画面が表示される。ここでは現金・プリカ・クレジットカードの選択ができる。尚、現金カードや携帯端末にチャージできる装置を付属した場合にはこの画面上で料金チャージの選択を可能にする。
(b)洗車メニュー選択画面
洗車機Sで実行可能な洗車メニューの選択キーと、洗車メニューの動作イメージが表示される。ここでは、洗車メニューとして水洗い洗車・シャンプー洗車・ワックス洗車・泡ワックス洗車の選択ができる。各洗車メニューに対応したメニューキーを入力すると、そのメニューがどのように実行されるかをイメージ動画で表示する。
(c)トッピング選択画面
通常の洗車メニューに追加するトッピングメニューの選択キーと、トッピングメニューの動作イメージが表示される。ここでは、トッピングメニューとして下部洗浄・ジェット洗浄・追加ブローの選択ができる。各トッピングメニューに対応したメニューキーを入力すると、そのメニューがどのように実行されるかをイメージ動画で表示する。
(d)装備品選択画面
洗車機Sのブラシ洗浄で回避したい自動車の装備品の選択キーと、自動車における装備品のイメージ画像が表示される。ここでは、カスタムミラー・サイドポール・キャリア・リアミラーが選択できる。各装備品に対応した装備品キーを入力すると、その装備品が自動車のどの部位に取り付けられているものなのかをイメージ動画で表示する。
(e)料金精算画面
ここまで選択した支払い方法・洗車メニュー・トッピングメニュー・装備品とその選択したメニューの料金とが表示された画面と、選択した支払い方法による料金精算を促す画面が表示される。この画面で適切な料金精算が行われると、洗車予約キーを入力して受付操作は終了となる。
(f)待機画面
洗車待機中であることを表示する画面と、オイル交換やタイヤチェック等のサービス購入を促す広告画像が表示される。
【0014】
前述した『スタッフ呼出キー』は、画面(a)〜(e)で表示される。このスタッフ呼出キーは、各画面での操作が分からなくなった場合等に入力され、このキー入力により端末装置2の係員と接続して操作案内等の説明を受けることができる。
【0015】
図4は洗車受付装置1と端末装置2との通信の状態を示す説明図である。ここでは、画面(d)において、顧客が装備品の選択方法が分からず係員に操作案内を受ける場合を例示している。
画面(d)において、顧客が洗車受付装置1のタッチパネル4に表示されるスタッフ呼出キーを入力すると、洗車受付装置1の制御部10から通信回線3を介して端末装置2の制御部15に係員呼出信号を送信する。この呼出信号を受信した端末装置2の制御部15は、タッチパネル11に係員呼出があったことを表示するとともに、スピーカ12で報知する(g)。
【0016】
係員が呼出に気づいて応答キーを入力すると、洗車受付装置1のタッチパネル4に端末装置2のカメラ14で撮影されている係員の映像を表示する(h)。一方、端末装置2のタッチパネル11には洗車受付装置1のカメラ8で撮影されている顧客の映像と、洗車受付装置1のタッチパネル4に表示されている画像(ここでは画面(d)の画像)が表示される(i)。同時に、双方の音声は互いのスピーカ6・12及びマイク7・13を通じて入出力され、顧客と係員は映像と音声により接続される。これにより、係員が洗車受付装置1で操作案内を行うのと同じような案内が受けられる。
【0017】
顧客が係員から操作案内を受けても洗車受付の操作が分からない場合には、洗車受付装置1のスタッフ代行キーを入力すると、係員が端末装置2のタッチパネル11から代行設定できるようになる。この場合、端末装置2のタッチパネル11に表示される画面の操作を有効にし、係員が聞き取りによって顧客が希望する洗車メニューの設定を代行する。端末装置2での洗車設定は、洗車受付装置1での洗車設定と全く同じ手順で実行され、端末装置2のタッチパネル11での表示と連動して洗車受付装置1のタッチパネル4の表示が切り替わっていくので、顧客は、代行設定された洗車メニューを見て、問題なければ前記画面(e)において料金精算した後、洗車予約キーを入力する。
【0018】
以上のように、洗車受付装置1と端末装置2とは通信回線3を介して通信可能に接続されており、洗車受付装置1で洗車設定する顧客からの要求によって端末装置2の係員と繋がり、映像と音声によって操作案内を受けることができる。通信回線3を通じた接続であるため、係員が操作する端末装置2を洗車受付装置1の近くに設置する必要もなく、例えばお客様相談窓口などのコールセンタと接続したり、洗車場のオーナーが所有する携帯端末と接続して操作案内を受けるといったことも可能である。また、端末装置2から洗車受付装置1を遠隔操作することができるため、どうしても洗車設定が上手く行うことができない顧客に対しても洗車を諦めさせることなく、洗車サービスを与えることができる。
【0019】
尚、本発明は以上の構成に限定されるものではなく、様々な実施態様が考えられる。例えば、端末装置から洗車受付装置を操作して顧客が次に操作すべきキーを点滅して誘導するようにしたり、図5に示すように、洗車受付装置の前に停車した自動車Vの全体を上方から撮像するカメラを設けて、自動車の汚れ具合や装備品を捉え、洗車メニューや装備品のアドバイスを行うといったことも可能である。また、スタッフ呼出のきっかけとしては、スタッフ呼出キーの入力に限らず、洗車受付装置に自動車が乗り入れられてから所定時間経過しても何の操作もされないとか、洗車受付完了までに所定時間以上を要しているとかでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の洗車受付システムが採用される洗車装置の構成図である。
【図2】本発明の本発明の洗車受付システムを示す説明図である。
【図3】洗車受付装置1のタッチパネル4における洗車設定時の表示例である。
【図4】洗車受付装置1と端末装置2との通信の状態を示す説明図である。
【図5】実施態様の応用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 洗車受付装置
2 端末装置
3 通信回線
4 タッチパネル
6 スピーカ
7 マイク
8 カメラ
12 スピーカ
13 マイク
14 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車機を備えた洗車エリアへの入場口に設置され、洗車機で実行する洗車サービスの設定を行う洗車受付装置と、該洗車受付装置と通信回線を介して接続される端末装置とからなり、
前記洗車受付装置は、端末装置に操作案内要求と操作代行要求を行う呼出機能と、端末装置からの音声を出力するスピーカと、顧客の音声を集音するマイクと、端末装置からの映像を表示する表示機能とを備え、
前記端末装置は、洗車受付装置からの操作案内要求に応答する応答機能と、洗車受付装置からの音声を出力するスピーカと、係員の音声を集音するマイクと、係員の映像を撮像するカメラと、洗車受付装置からの映像を表示する表示機能とを備え、
前記洗車受付装置からの操作案内要求に対して、端末装置との映像及び音声によるやり取りを可能とするとともに、洗車受付装置からの操作代行要求に対して、前記洗車受付装置の操作を端末装置から行えるようにしたことを特徴とする洗車受付システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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