説明

洗車支援装置

【課題】コストや設置スペース、及び洗車仕上がり具合において有利な人為洗車設備に着目し、洗剤や水等の洗浄液を簡単便利に使うことができて、人為操作による洗車作業効率を改善し、従来の欠点が解消された使い勝手の良い洗車支援装置を提供する。
【解決手段】洗浄液供給ホース20と、これの基端に接続される洗浄液供給源21と、洗浄液供給ホース20の先端に接続される噴出部22と、を有して成る第1ホース機構h1、水供給ホース23と、これの基端に接続される水供給源24と、水供給ホース23の先端に接続される噴出部25と、を有して成る第2ホース機構h2、及びエア供給ホース26と、これの基端に接続されるエア供給源27と、エア供給ホース26の先端に接続される噴出部28と、を有して成る第3ホース機構h3を備え、ガソリンスタンドに既設のコンプレッサ40と蛇口34とを用いて動作する洗車支援装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンスタンドやセルフ洗車場等における人為作業によって洗車を行う際に好適な洗車支援装置(人為作業による洗車を支援する装置)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の洗車支援装置の一種として、従来では洗車機や洗車装置が知られている。洗車機としては、特許文献1や2において開示されるように、地面に敷設された一対のレール上で往復移動自在な門型の洗車装置を備えた自動洗車機が知られている。その洗車装置は、左右一対と上方に配置される回転ブラシやエアブロー機構等を有しており、一対のレール間の所定位置に停車されている自動車に洗浄液や濯ぎ水を撒いて回転ブラシを回転させながら自動車の前後方向に往復移動させることにより、自動的に自動車の洗車及び乾燥を行うものである。このような自動洗車機は、一般には、ガソリンスタンド等に装備されている例が多い。
【0003】
上述の自動洗車機は、自動車を所定の位置に停車させてから起動スイッチを入れるだけで、自動車の外回りの洗浄から仕上げの乾燥迄の作業を自動的に、かつ、迅速に行える便利なものである。その洗車している間、運転者は車内に居て洗浄機械の動きを内側から眺めるも良し、待合室等でドリンクを飲みながら休憩しているも良しである。しかしながら、自動洗車機は当然に有料であるとともに、高速回転する回転ブラシによって自動車の塗装が痛み易いという慢性的な問題を有している。また、経営サイドとしては、自動洗車機を設置するに当っては、大きな敷設スペースを要し、かつ、コストも高く付くものであるとともに、その割りには収益率は芳しくない面があり、小型店等の収益率の低い店では導入し難いものであった。
【0004】
そこで、特許文献3において開示されるように、水道水利用の洗浄具と乾燥具とを、人為操作自在に移動可能なフレームに備えて成る手動式洗車装置を設けることも知られている。この人為作業によって洗車する手段は、必要スペースが自動洗車機を設置する場合に比べて明確に小さくて済むとともに、自動車ユーザー或いはガソリンスタンド店員のいずれが洗車作業するにしても、自動式に比べて塗装の傷みも無くきめ細かに洗車できる点で根強い人気があり、自動洗車機が装備されている店でも人為作業による洗車を頼む顧客が以外に多いという程である。この場合、店に頼む場合の洗車料金は自動洗車機の料金よりも高くなるが、ユーザー自ら行えば無料で済むという利点が選択できるためか、手動式洗車装置の設置を望む声も増えてきている。
【0005】
ところが、従来の手動式洗車装置による場合は、汚れをしっかりと落とすべく石鹸水等の洗浄液を自動車に撒いて供給する洗浄液散布作業については、その手動式洗車装置とは全く無関係な別作業になるため、洗車作業の効率改善にはならない面があった。特に、洗車が給油の次に重要なサービスになること多いガソリンスタンドにおいては、この問題は軽視できない。
【特許文献1】特開平7−81531号公報
【特許文献2】特開平9−290711号公報
【特許文献3】特開2004−231055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、コストや設置スペース、及び洗車仕上がり具合において有利な洗車支援装置(手動式洗車装置)に着目するものであり、洗車時に必要となる洗浄液の供給作業をも簡単便利に行うことができて、人為操作による洗車作業効率を改善し、従来の欠点が解消された使い勝手の良い洗車支援装置を開発して提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、洗車支援装置において、洗浄液供給ホース20と、これの基端に接続される洗浄液供給源21と、前記洗浄液供給ホース20の先端に接続される噴出部22と、を有して成る第1ホース機構h1と、
水供給ホース23と、これの基端に接続される水供給源24と、前記水供給ホース23の先端に接続される噴出部25と、を有して成る第2ホース機構h2と、
を有して成ることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の洗車支援装置において、エア供給ホース26と、これの基端に接続されるエア供給源27と、前記エア供給ホース26の先端に接続される噴出部28と、を有して成る第3ホース機構h3を有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の洗車支援装置において、前記第2ホース機構h2の噴出部25と前記第3ホース機構h3の噴出部28とは、前記水供給ホース23の接続部45と前記エア供給ホース26の接続部46と単一のノズル47と切換弁48とを有する単一の噴出部25によって兼用構成され、
前記水供給ホース23のみが前記ノズル47に連通する水供給状態と、前記エア供給ホース26のみが前記ノズル47に連通するエア供給状態とが、前記切換弁48の操作によって切換自在に構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の洗車支援装置において、前記切換弁48は、前記水供給ホース23と前記ノズル47との連通を断続自在な水用開閉弁48Aと、前記エア供給ホース26と前記ノズル47との連通を断続自在なエア用開閉弁48Bとで構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項2〜4の何れか一項に記載の洗車支援装置において、前記洗浄液供給源21は、水道水が供給される水受入れ部29と、その水受入れ部29に供給されてくる水道水に洗剤を混入すべく前記水受入れ部29に接続される洗剤タンク33と、を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の洗車支援装置において、前記洗剤タンク33に貯留されている洗剤を吸引して前記水受入れ部29の水道水に混入させる吸引ポンプ31が、水道水の流れを用いて動作する状態に構成されて前記水受入れ部29に装備されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に記載の洗車支援装置において、前記第1ホース機構h1における洗浄液の経路に、前記エア供給源27からのエアを混入させるエア混合機構30が装備されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の洗車支援装置において、前記水供給源24が、水道水の受け入れが自在な水受入口35を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項2〜8の何れか一項に記載の洗車支援装置において、前記エア供給源27が、コンプレッサ40からの高圧エアを受入れるエア導入部41を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載の洗車支援装置において、前記水供給源24は活水装置37を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、石鹸水等の洗浄液を噴出する第1ホース機構と、水を噴出する第2ホース機構とを有しているので、汚れている乗用自動車等の被洗車対象に対する洗浄液の散布作業と、最初に水を撒いて汚れを粗く落とす予備水洗いや洗浄後の濯ぎとしての水の散布作業とを機械化することができる。故に、人為作業によって洗車を行う場合において、労力を要する洗浄液散布作業及び水の散布作業の双方が簡単で楽に行えるものとなり、洗車作業を強力に補助して支援することができるようになる。
【0018】
その結果、コストや設置スペース、及び洗車仕上がり具合において有利な洗車支援装置(手動式洗車装置)に着目するものであり、洗車時に必要となる洗浄液の供給作業をも簡単便利に行うことができて、人為操作による洗車作業効率を改善し、従来の欠点が解消された使い勝手の良い洗車支援装置を提供することができた。
【0019】
請求項2の発明によれば、第3ホース機構が付設されて、洗浄液、水に加えてエアの噴出も機械化されるから、洗浄液や濯ぎ水の吹き飛ばし作業や洗浄後の乾燥作業等のエアを使った洗車作業も簡単で楽に行えるものとなり、請求項1の発明による前記効果が強化される洗車支援装置を提供することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、水の噴出部とエアの噴出部とが兼用化されて単一の噴出部に構成されているので、各別に構成されてそれぞれの噴出部が存在する場合に比べて、噴出部の選択の手間、片方の噴出部のみを用いる場合におけるもう片方の置き場所の確保や移動が省ける分、人為操作される部材を少なくできて洗車作業の簡略化を図ることが可能になる。この場合、請求項4のように、切換弁を水用開閉弁とエア用開閉弁とで構成すれば、水噴出状態とエア噴出状態との切換え以外に、水とエアの混合噴出状態を行うことも可能となる利点がある。
【0021】
請求項5の発明によれば、洗剤タンクに貯留されている洗剤と水道水との混合によって洗浄液とする手段であり、水と洗剤との双方を備えておく場合に比べて、極力長期に亘って洗浄液の供給が行えるとともに、効率良く洗浄液を供給できる利点がある。この場合、請求項6のように、水の流れで動作する吸引ポンプで洗剤を吸引して水に混ぜる構成とすれば、水道水を流すだけの外部動力を不要としながら、洗剤の混合も洗浄液の圧送も行える合理的かつ経済的な第1ホース機構が提供できる。さらに、請求項7のように、エア供給源空のエアを洗浄液に混ぜて、泡状の洗浄液として噴出部から噴出できるようにすれば、少ない洗浄液でより有効な汚れ落し作用が発揮できて、洗浄力のパワーアップや洗浄液の節約が行える利点が得られる。
【0022】
請求項8の発明によれば、第2ホース機構で使用される水が、どこにでも装備されている汎用性の高い水道水であって経済的に得られるとともに、請求項9の発明によれば、第3ホース機構で使用されるエアが、これまた汎用性に優れるコンプレッサによるものであり、これら水とエアとが経済性良く用いられる洗車支援装置を提供することができる。また、請求項10のように、水道水の供給経路に活水装置を介装させることにより、外部動力を用いることなく水の持つ洗浄力をパワーアップさせることができて、洗浄力強化や節水効果が得られるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明による洗車支援装置の実施の形態を、洗車支援設備に適用されたものとして図面を参照しながら説明する。図1〜図4は洗車支援設備の各部を示す図であり、図2,4は洗車用構造体のみを描いてある。図5は転動フックの構造図、図6は洗車支援設備の全体正面図、図7洗車支援装置の機能系統を示すブロック図、図8は人為操作グリップの構造を示す一部切欠きの側面図、図9は二人作業による洗車状況を示す作用図である。
【0024】
〔実施例1〕
図1〜図3,図6に洗車支援設備Aが示されている。この人為洗車設備とも言うべき洗車支援設備Aは、洗車用構造体Kと洗車支援装置Cとから成り、半自動半手動式の洗浄装置として機能するものであって、例えばガソリンスタンドの一角に配置される。洗車支援設備Aは、洗車ポート11の側脇に置かれた洗車支援装置Cと、この洗車支援装置Cから延設される三種のホース機構h1〜h3と、洗車ポート11の上方に宙吊り片持されて洗車用スペースSを形成する長円形の移動用レール7と、これに移動自在に支持されて各ホース機構h1〜h3を吊設支持する複数の駒部材10等から構成されている。
【0025】
まず、洗車用構造体Kは、防火塀W沿いに地面Gから立設された3本の縦支柱1と、これら縦支柱1の上下中間位置に一端が固定される3本の横支柱2と、各横支柱2の他端と対応する縦支柱1の上端部とを繋ぐ3本の吊りロッド3と、横支柱2の固定部位において隣合う縦支柱1どうしを連結すべく上下の夫々に設けられる一対の短連結部材4,4と、各横支柱2の他端どうしを連結一体化する1本の長連結部材5と、斜交いに装備される種々の補強部材6と、3本の横支柱2に跨る状態でそれらの下側に固定される移動用レール7と、を有して構成されている。移動用レール7には、複数の転動フック10が移動自在に吊設されている。尚、横支柱2の上側に、宣伝用(装飾用)の鋼板パネル8,9,8を装備する構成としても良い。
【0026】
縦支柱1は、図3に示すように、その下端部がコンクリート等のウェイト1Wが一体化された状態で地中に埋設することで立設姿勢に支持されている。オプションとして装備される一つの縦鋼板パネル9と二つの横鋼板パネル8,8は、いずれもそれらの裏側(内側)に配置された梯子状の支持枠部19,18によって起立姿勢で支持されており、横鋼板パネル8,8や縦鋼板パネル9の夫々の外表面には宣伝や広告、或いは意匠等が施される。尚、縦支柱1の数は2本であるとか、4本以上でも良い。
【0027】
図2、図5に示すように、移動用レール7は、一対の縦レール部7a,7aと、湾曲した一対の横レール部7b,7bとを有する上下方向視形状が長円のループ状を呈する状態にH形鋼(断面が逆T字状の形鋼でも良い)7Aを屈曲加工して構成されており、その下方において地面に区切り形成されている洗車ポート11との上下間に洗車用スペースSを形成している。移動用レール7には、これに沿っての移動が自在な状態に支持される複数の転動フック(駒部材)10が転がり移動自在に吊設されており、各転動フック10は、後述する三種で一対の各供給ホース20,23,26のホース長手方向の中間部分を挿通支持している。尚、一対の縦レール部7a,7aのみで成る移動用レール7でも良い。
【0028】
転動フック10は、図5に示すように、H形鋼7Aのウェブ7wの左右夫々において下側のフランジ7f上を転がり移動自在な左右及び前後一対の計4個のローラ15と、各供給ホース20,23,26の長手方向中間部分を挿通支持するホース支持部16とを転動枠17に有して構成されている。ホース支持部16は、転動枠17に上下軸心回りでの回動が可能に支承されており、各供給ホース20,23,26は挿通して係止固定する。従って、各供給ホース20,23,26を引張れば、それに追従して転動フック10が移動用レール7に対して軽快に転動移動するようになる。
【0029】
移動用レール7はある程度高さのある自動車(バンや小型トラック等)でも使用できるような高さ位置(地上3.5m前後位)で宙吊り支持されており、その下方の地面に設けられた洗車ポート11との上下間が洗車スペースSに形成されている。洗車ポート11は、幅及び深さが共に微小な側溝11aで囲むことで平面視で矩形形状を呈するように回りの地面から区別された敷地領域として形成されており、移動用レール7の中心域を下方投影された状態で洗車ポート11に示す表示手段Hが装備されている。
【0030】
表示手段Hは、図1等に示すように、周囲と異なった材料による平面部分、例えばモルタル仕上げの洗車ポート11において、部分的に色付コンクリートレンガ等の目印体57を縦列させて敷設する、といったことで構成される。洗車ポート11に洗車対象となる自動車を移動させる場合には、丁度表示手段Hの真上に位置するように自動車を移動させて駐車させることにより、洗車作業が行い易くなるように、平面視形状が長円形の移動用レール7の中心又はほぼ中心に自動車を比較的簡単に位置させることができる、という利点が得られる。
【0031】
次に、洗車支援装置Cは、図6,図7に示すように、隣合う縦支柱1,1間に配置される装置本体12、これに設けられる操作部13、第1〜第3ホース機構h1〜h3等を有して構成されている。第1ホース機構h1は、可撓ホースである洗浄液供給ホース20と、これの基端に接続される洗浄液供給源21と、洗浄液供給ホース20の先端に接続される噴出部22と、を有して構成されている。第2ホース機構h2は、可撓ホースである水供給ホース23と、これの基端に接続される水供給源24と、水供給ホース23の先端に接続される噴出部25と、を有して構成されている。第3ホース機構h3は、可撓ホースであるエア供給ホース26と、これの基端に接続されるエア供給源27と、エア供給ホース26の先端に接続される噴出部28と、を有して構成されている。
【0032】
装置本体12に収容される洗浄液供給源21は、洗浄液供給ホース20の基端が接続されるエア混合機構30に出力し、水道水の供給路(水受入れ部の一例)29を入力とするウォータポンプ(ウォータパワードポンプ)31と、ウォータポンプ31の吸引ホース32が挿入される洗剤タンク33と、を有して構成されている。つまり、供給路29から流入してくる水道水の流れによって作動するウォータポンプ31が洗剤タンク33に貯留されている液体洗剤を吸引して水道水に混合させ、その洗剤の混合された水道水、即ち洗浄液にエア混合機構30にてエアが混ぜられて泡状となった洗浄液が洗浄液供給ホース20を通して、噴出部22である先端ノズル構造の泡グリップ22から噴出させることが自在である。
【0033】
泡グリップ22には開閉弁(図示省略)が内装されており、その切換レバー22aをグリップ部22gと共握りすれば切換弁が「開」となって泡状洗浄液を噴出させることができ、切換レバー22aを握らなければ切換弁が「閉」となって泡状洗浄液の噴出が停止するように構成されている。尚、ウォータポンプ31には、水道水に混ぜる洗剤の量を調節するための洗剤混合比調節部33aが装備されている。また、図7における59は、適所に設けられる水抜きバルブである。
【0034】
装置本体12に収容される水供給源24は、水道水を供給自在な蛇口等の水吐出部34に接続される水ホース(水受入れ口の一例)35、水道水から異物等を取り除く装置であるストレーナ36、活水装置37等を設けて構成されている。これら三者35,36,37を直列に繋ぐ水流入路38に、分岐路39を介して水供給ホース23が接続されるとともに、洗浄液供給源21の供給路29が分岐路39に接続されている。つまり、水供給源24は第1及び第2ホース機構h1,h2双方に対する水の供給元として機能するものになっている。
【0035】
参考として活水装置37は、「水本来の持っている力(表面張力・溶解力・浸透力・熱伝導力)を甦らせる装置」であり、例えば、マイナス電荷傾向にある水道水を、磁気の力を使ってプラス電荷状態に活性化させる磁気活水装置が挙げられる。つまり、ファラデーの法則によって生じる磁気モーメントにより、水分子は電子の回転が盛んになって分子間のエネルギー運動が活発化され、分子と分子の衝突が激しくなることによって大きな水分子集団が小さな集団に生まれ変わり、水が活性化される。この活性化により、水による洗浄能力が向上することから洗浄液による汚れ落し作用、並びに水洗いによる洗浄液落し作用のいずれもが改善され、少ない水量でも十分な洗浄効果を得ることができる。その結果、洗車に掛かる経費を大幅に削減することが可能となる。
【0036】
装置本体12に収容されるエア供給源27は、コンプレッサ等の高圧エア(圧搾空気)の供給器40に接続されるエアホース(エア導入部の一例)41、エアクリーナ42、第1レギュレータ43、第2レギュレータ44から構成されている。第1レギュレータ43通過後のエアがエア供給ホース26に送られ、また、第2レギュレータ44通過後のエアがエア混合機構30に送られるように構成されている。ガソリンスタンドにおいては新たにエア供給器40を購入しなくても済むように、既設のコンプレッサがエア供給器40に兼用できるようになっている。
【0037】
図7,図8に示すように、第2ホース機構h2の噴出部25と第3ホース機構h3の噴出部28とは、水供給ホース23の接続部45と、エア供給ホース26の接続部46と、単一のノズル47と、切換弁48と、混合部49とを有する単一の人為操作グリップ(噴出部の一例)25によって兼用構成されている。人為操作グリップ25におけるグリップ部25gには、内部形成される水移送経路50における水の流れを断続自在な水用開閉弁48Aが装備されており、支点Pで揺動自在に枢支されている操作レバー25aのグリップ部25gとの共握りによる矢印イ方向への揺動移動によって水用開閉弁48Aが開操作され、共握り解除によって実線で描かれた位置へ復帰すべく矢印ロ方向への揺動移動によって水用開閉弁48Aが閉じ操作されるように構成されている。
【0038】
混合部49は、水移送経路50よりも大径なエア混合室49Aを有しており、根元に接続部46を有するエアノズル部52が混合部49の周壁49hを貫通する状態で設けられている。エア混合室49Aは、主混合室49aと、これよりも小容積で、かつ、環状の仕切り壁49cで主混合室49aから仕切られる安定室49bとを有して構成されており、安定室49bにノズル47が装着される。エアノズル部52は、エア混合室49Aからの水の逆流を阻止する逆止弁58と、エア混合室49Aにエアを勢い良く噴出させるためのノズル54とを備えている。エアノズル部52は、ノズル54から排出されるエアの向きがエア混合室49Aにおける水の流れに対して交差し、かつ、エアの流れ方向の下手側が水の流れ方向の下手側となる状態に角度θでもって傾斜配置されている。角度θとしては45度が好適であるが、それ以外の角度でも良い。
【0039】
エア供給ホース26の途中部位又はエアノズル部52に連設させてエア供給ホース26を断続切換自在なエア用開閉弁48Bが、水用開閉弁48Aとは別にば設けられている。従って、水用開閉弁48Aとエア用開閉弁48Bとの夫々の開閉操作により、水供給ホース23のみがノズル47に連通する水供給状態と、エア供給ホース26のみがノズル47に連通するエア供給状態とが、二つの開閉弁48A,48Bの操作によって切換自在に構成されており、これら水用開閉弁48Aとエア用開閉弁48Bとで切換弁48が構成されている。尚、図8の48bはエア用開閉弁48Bを開閉するためのスイッチレバーであり、実線で示す位置が閉」に、そして仮想線で示す位置が「開」にそれぞれ操作される。
【0040】
ところで、泡グリップ22と人為操作グリップ25とは夫々一対ずつ設けられており、移動用レール7に到達する手前において各ホース20,23,26は二本ずつの分岐ホース20h、23h、26hに分岐されている。装置本体12に設けられる操作部13には、水道水の供給を遮断する水全停止レバー55と、高圧エアの供給を遮断するエア全停止レバー56とが装備されている(図6参照)。尚、53は合成樹脂材等によって成形されている水桶である。
【0041】
次に、上述の洗車支援設備Aを用いた二人の作業者による洗車作業の例を図6に示す。図6は、洗車ポート11に駐車されている洗車対象である自動車Bの両サイドに作業者m、mが位置し、夫々が泡グリップ22を持って自動車Bに泡状の洗浄液(洗剤水)を吹き付けている状況を示している。尚、洗車作業の進行に伴い、作業者mは泡グリップ22に代えて水やエアを吹き付ける人為操作グリップ25を用いるようになる。
【0042】
一般的な人為洗車は、まず、人為操作グリップ25を用いて自動車全体に水を掛けて砂や泥等を落とすとともに、汚れを落とし易くすべく膨潤させる予備水洗い工程を行う。この予備水洗いの際には、水だけを噴出させても良いし、水流の勢いを増して節水すべくエアを混ぜて噴出させても良い。それから、泡グリップ22に持ち換え、洗剤水(洗浄液)を散布する洗浄液散布工程を行う(図9参照)。そして、洗浄液が塗された状態の自動車を、スポンジやウェス等の拭取り具を用いてボディーを拭き擦りして洗浄し、その拭取り工程の終了後に再び人為操作グリップ25に持ち換え、洗浄液や残りの汚れを落とすべく水を噴出させる濯ぎ工程を行う。この濯ぎ工程でも、エアを水に混ぜてパワーアップさせても良い。最後に、乾燥したウエス等を用いて拭取るか、又は人為操作グリップ25からエアのみを噴出させての送風によって迅速に残存水分を除去及び乾燥させるか、或いは自然乾燥させ、洗車支援設備を用いた一連の人為洗車作業が終了する。尚、汚れ具合によっては最初の予備水洗い工程を省いても良い。
【0043】
そして、使い終わった4個の各グリップ22,22,25,25及び各ホース20,23,26は、各グリップ22,22,25,25の先端部を水桶53に浸ける状態に後始末するだけで良く、地面に散らばっているゴムホース部分を巻き取る等の面倒で汚れる後片付けが不要である。従って、面倒臭がりな作業者であっても迅速にしかも汚したり散らかしたままにすることなくクリーンな状態で作業を終了したり、或いは次の作業者に交代したりすることができる。
【0044】
参考として、図8に示す45度傾斜混合型の人為操作グリップ25を用いての水・エア混合状態での水噴出動作における節水効果について説明する。水道水が、圧力4.2kg/cm2 で単位時間(分)当りの流量が17L/minに設定されている条件での節水率は、エア圧が2kg/cm2 では0%、エア圧が3kg/cm2 では24%、エア圧が4kg/cm2 では39%、エア圧が5kg/cm2 では57%であった。尚、節水率とは、ある定まった汚れ状態の自動車ボディをある定まったクリーンな状態にまで汚れを落とすに要する水の量として、水のみの噴出状態で達成するに必要な水量に対する、前述した各エア圧での水・エア混合での噴出状態で達成するに必要な水量の割合を百から減じた単位%の値、として定義することができるが、これには限られない。
【0045】
〔別実施例〕
各ホース機構h1〜h3ごとに独立した噴出部(ノズル、オリフィス等)を有する人為操作グリップを持つ洗車支援装置Cでも良い。また、洗浄液用噴出部と水用噴出部とエア用噴出部との三者が一体的に組み込まれた単一の人為操作グリップを設け、切換弁や切換機構等の操作により、洗浄液(エア混入による洗浄泡も含む)、水(水・エア混合液も含む)、エアを択一的に噴出させる構造のホース機構とすることも可能である。この場合、洗浄液供給ホースと水供給ホースとエア供給ホースとを、何れか一つのホース中に他の二つのホースが内臓されて見かけ上は単一のホースとなる複合構造のホース・イン・ホースを用いることも可能である。
【0046】
実施例1においては、ガソリンスタンドに既設のコンプレッサ40と水道水の蛇口34とをそれぞれ用いているが、このような設備が用意できない場合には、装置本体12内に、或いは別体のものとして、水タンクと水圧送機構等から成る水吐出部34や専用のコンプレッサ等による高圧エアの供給器40を設ける構成の洗車支援装置Cとしても良い。勿論これらのうちの何れか一方だけ装備するものでも良い。洗浄液供給源21としては、予め水と洗剤とが混ぜられた洗浄液体貯留タンクと洗浄液圧送機構とから成るものや、洗剤タンクの洗剤を重力によって滑落移送させて水道水に混ぜるようにする構成を持つものでも良い。また、エア供給用の第3ホース機構h3を持たない洗車支援装置でも良い。
【0047】
また、図示は省略するが、洗車支援装置Cは、洗浄液、水、エアの切換、或いはこれらのうちの二つ又は全部を同時に噴出自在な切換式の洗浄用ホース機構を、各縦レール部7aごとに計一対備える装置本体12を有する構成である。この場合、可撓ホースfを、洗浄液用と水用とエア用との3本を束ねたものとしても良い。例えば、噴出部である人為操作グリップeに装備される切換機構(図示省略)の操作により、洗浄液供給源21からの洗浄液を噴出する状態と、水供給源24からの水を噴出する状態と、エア供給源27からの高圧エアを噴出させる状態とを選択して用いるのである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】洗車支援設備の概略全体を示す見下ろしの斜視図
【図2】図1における洗車用構造体を示す見上げ斜視図
【図3】図1の洗車支援設備の断面側面図
【図4】図1における洗車用構造体を示す正面図
【図5】移動用レールと転動フックとの係合部分を示す図
【図6】洗車支援設備の正面図
【図7】洗車支援装置の概略の構造を示す機能系統図(実施例1)
【図8】人為操作グリップの内部構造を示す要部の一部切欠きの側面図
【図9】二人作業で自動車の洗車作業を行う状態を示す作用図
【符号の説明】
【0049】
20 洗浄液供給ホース
21 洗浄液供給源
22 噴出部
23 水供給ホース
24 水供給源
25 噴出部
26 エア供給ホース
27 エア供給源
28 噴出部
29 水受入れ部
30 エア混合機構
31 吸引ポンプ
33 洗剤タンク
35 水受入口
37 活水装置
40 コンプレッサ
41 エア導入部
45 水供給ホースの接続部
46 エア供給ホースの接続部
47 ノズル
48 切換弁
48A 水用開閉弁
48B エア用開閉弁
C 洗車支援装置
h1 第1ホース機構
h2 第2ホース機構
h3 第3ホース機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液供給ホースと、これの基端に接続される洗浄液供給源と、前記洗浄液供給ホースの先端に接続される噴出部と、を有して成る第1ホース機構と、
水供給ホースと、これの基端に接続される水供給源と、前記水供給ホースの先端に接続される噴出部と、を有して成る第2ホース機構と、
を有して成る洗車支援装置。
【請求項2】
エア供給ホースと、これの基端に接続されるエア供給源と、前記エア供給ホースの先端に接続される噴出部と、を有して成る第3ホース機構を有する請求項1に記載の洗車支援装置。
【請求項3】
前記第2ホース機構の噴出部と前記第3ホース機構の噴出部とは、前記水供給ホースの接続部と前記エア供給ホースの接続部と単一のノズルと切換弁とを有する単一の噴出部によって兼用構成され、
前記水供給ホースのみが前記ノズルに連通する水供給状態と、前記エア供給ホースのみが前記ノズルに連通するエア供給状態とが、前記切換弁の操作によって切換自在に構成されている請求項2に記載の洗車支援装置。
【請求項4】
前記切換弁は、前記水供給ホースと前記ノズルとの連通を断続自在な水用開閉弁と、前記エア供給ホースと前記ノズルとの連通を断続自在なエア用開閉弁とで構成されている請求項3に記載の洗車支援装置。
【請求項5】
前記洗浄液供給源は、水道水が供給される水受入れ部と、その水受入れ部に供給されてくる水道水に洗剤を混入すべく前記水受入れ部に接続される洗剤タンクと、を有して構成されている請求項2〜4の何れか一項に記載の洗車支援装置。
【請求項6】
前記洗剤タンクに貯留されている洗剤を吸引して前記水受入れ部の水道水に混入させる吸引ポンプが、水道水の流れを用いて動作する状態に構成されて前記水受入れ部に装備されている請求項5に記載の洗車支援装置。
【請求項7】
前記第1ホース機構における洗浄液の経路に、前記エア供給源からのエアを混入させるエア混合機構が装備されている請求項5又は6に記載の洗車支援装置。
【請求項8】
前記水供給源が、水道水の受け入れが自在な水受入口を有して構成されている請求項1〜7の何れか一項に記載の洗車支援装置。
【請求項9】
前記エア供給源が、コンプレッサからの高圧エアを受入れるエア導入部を有して構成されている請求項2〜8の何れか一項に記載の洗車支援装置。
【請求項10】
前記水供給源は活水装置を有する請求項1〜9の何れか一項に記載の洗車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−100538(P2008−100538A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282309(P2006−282309)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000114363)ムラキ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】