説明

洗車機用ブラシ

【課題】ブラシ部材の交換を、工具を使用することなく短時間で行えるとともに、消耗や汚れに迅速に対処し得る洗車機用ブラシを提供する。
【解決手段】軸体31に対して、軸心31Aに沿った方向に複数のブラシユニット40を外嵌して配設した。各ブラシユニットは、軸体に対して軸心に沿った方向に摺動自在でかつ軸体と一体回転自在な筒状部材41と、筒状部材に対して、係脱操作によって外側から着脱自在なブラシ部材51とからなる。ブラシ部材の交換作業は、工具などを使用することなく短時間で行え、ガソリンスタンドのスタッフでも容易に迅速に行える。洗車機の停止時間を短くでき、洗車待ち時間を短くして好適な洗車を行え、常にきれいな状態で洗浄処理を行える。取り外したブラシ部材は、洗濯処理などすることで、次の交換用として準備でき、繰り返し綺麗な状態で使用できる。特に、すぐ汚れるので定期的に交換したい乾燥用のブラシ部材として好適に採用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両の洗浄を行う各種形式の洗車機に採用される洗車機用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとしては、次のような構成が提供されている。すなわち、回転軸の外周に1組のゴム製螺旋を設けるとともに、両螺旋の基部を接続して一体に形成し、この接続部をビスで回転軸に固定している。そして両螺旋間に吸水性独立スポンジ板の基部を挿入し、雌螺杆および雄螺杆、またはボルトなどで締着けて固定している(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭60−128050号公報(第2頁、第3図)
【特許文献2】特開平5−192225号公報
【特許文献3】特開2001−301586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した従来構成によると、吸水性独立スポンジ板の交換は容易に行えない。すなわち吸水性独立スポンジ板は、すぐに消耗したり汚れたりするために、たびたび交換しなければならず、この場合に、雌螺杆および雄螺杆、またはボルトなどに対する着脱の螺合操作を行うことになる。したがって、交換作業には工具が必要となり、また交換作業に時間がかかって洗車機の停止時間が長くなり、洗車待ち時間が長いものとなる。さらに交換作業は、専門的な技術者(メーカーのサービスマン)しかできない場合もあり、消耗や汚れに迅速に対処できないことになる。
【0004】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、ブラシ部材の交換を、工具を使用することなく短時間で行えるとともに、消耗や汚れに迅速に対処し得る洗車機用ブラシを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の洗車機用ブラシは、軸体に対して、軸心に沿った方向に複数のブラシユニットが外嵌して配設され、各ブラシユニットは、軸体に対して軸心に沿った方向に摺動自在でかつ軸体と一体回転自在な筒状部材と、この筒状部材に対して、係脱操作によって外側から着脱自在なブラシ部材とからなることを特徴としたものである。
【0006】
したがって請求項1の発明によると、洗車作業時には、軸体を軸心の周りに回転させ、軸体の回転力を各ブラシユニットの筒状部材に伝達するとともに、筒状部材の回転をブラシ部材に伝達し得、以て各ブラシユニットを軸体と一体状として軸心の周りに回転し得る。そして、この洗車機用ブラシを移動させることで、ブラシ部材を被洗浄車両の表面に接触(当接)させて洗浄処理し得る。このような洗浄処理を行うことで、ブラシ部材が消耗したり汚れたりしたとき、洗車作業を停止(ロック)した状態で、目的とするブラシ部材の交換を行う。すなわち離脱操作することにより、消耗したり汚れたりしているブラシ部材を、筒状部材から外側へ完全に分離して取り外し得る。そして係合操作することにより、準備していた新たなブラシ部材を、筒状部材に外側から装着し得る。
【0007】
また本発明の請求項2記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項1記載の構成において、筒状部材の外周面側で周方向の複数箇所には係合部が形成され、ブラシ部材は、筒状部材に外嵌状のリング状部と、このリング状部側に内端部分が支持されたブラシ単体とからなり、リング状部は、その内周面側に前記係合部に外側から係脱自在な被係合部が形成されるとともに、周方向の少なくとも1箇所が連結分離自在に構成されていることを特徴としたものである。
【0008】
したがって請求項2の発明によると、筒状部材に対して、その係合部群に被係合部群を係合させた状態でブラシ部材を外嵌して装着し得る。そして洗車作業時には、筒状部材の回転を、係合部に係合している被係合部群を介してリング状部に伝達し得、以て各ブラシユニットを軸体と一体状として軸心の周りに回転し得る。その際に、係合部群に被係合部群を係合していることで、回転しているブラシ部材の筒状部材に対する周方向の位置ずれを防止し得、また回転しているブラシ部材の筒状部材に対する長手方向(軸心に沿った方向)の位置ずれを防止し得る。これによりブラシ単体群が遠心力によって拡げられることになり、したがって、洗車機用ブラシを移動させることで、拡げられて回転しているブラシ単体群を被洗浄車両の表面に接触(当接)させて洗浄処理し得る。
【0009】
このような洗浄処理を行うことで、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしたとき、目的とするブラシ部材の交換を行う。すなわち離脱操作によりリング状部の1箇所を分離することで、被係合部を係合部から離脱(抜出)し得、これによって、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしているブラシ部材を、筒状部材から完全に分離して取り外せる。そして、新たなブラシ部材を筒状部材に外嵌させるとともに、係合部に被係合部を係合させ、次いで係合操作によりリング状部の1箇所を連結することで、準備していた新たなブラシ部材を、筒状部材に外側から装着し得る。
【0010】
そして本発明の請求項3記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項2記載の構成において、係合部は、外周に開放された溝状に形成され、リング状部は、それぞれ複数の分割体と係止具とからなり、各分割体は、筒状部材に当接自在な内板部と、この内板部の周方向の両端から外方へ連設された一対の側板部とにより型レール状に形成され、前記内板部には前記係合部に係脱自在な被係合部が突状に形成され、隣接される側板部間でブラシ単体の内端部分を挟持した状態で前記係止具にて固定することにより、前記分割体を周方向に連結してリング状部を構成したことを特徴としたものである。
【0011】
したがって請求項3の発明によると、筒状部材の回転を、係合部に係合している被係合部群を介して各分割体、すなわちリング状部に伝達し得、以て各ブラシユニットを軸体と一体状として軸心の周りに回転し得る。洗浄処理を行うことで、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしたとき、目的とするブラシ部材の交換を行う。すなわち係止具の離脱操作によりリング状部の1箇所、すなわち隣接した分割体間を分離することで、被係合部を係合部から離脱(抜出)し得、これによって、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしているブラシ部材を、筒状部材から完全に分離して取り外せる。そして、新たなブラシ部材を筒状部材に外嵌させるとともに、係合部に被係合部を係合させ、次いで係止具の係合操作により分割体を周方向に連結してリング状部を構成することで、準備していた新たなブラシ部材を、筒状部材に外側から装着し得る。
【0012】
さらに本発明の請求項4記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項3記載の構成において、一対の側板部には貫通孔が形成され、係止具は、当て板部とこの当て板部の一面から突出され前記貫通孔に挿通自在なピン部とを備える第1係止具と、前記ピン部の先端部分に係合自在な当て板部とこの当て板部の一面から突出された係脱操作部とを備える第2係止具とからなり、第1係止具のピン部を、隣接する側板部の両貫通孔とブラシ単体の内端部分に形成した孔部とに挿通させたのち、第2係止具の当て板部をピン部の先端部分に係合させることで、分割体を筒状部材の外周面に沿うように弾性変形させた状態で、隣接した側板部間の連結を行うように構成したことを特徴としたものである。
【0013】
したがって請求項4の発明によると、筒状部材に対するブラシ部材の外嵌しての装着は、分割体の内板部を筒状部材の外周面に沿うように弾性変形させた状態で、締め付け状(巻き付け状)に行える。目的とするブラシ部材の交換を行うに、第2係止具の当て板部を、係脱操作部を介して側板部上で内板部から離れる側(外側)に向けてスライドさせて、ピン部の先端部分に対して離脱させる。これにより、弾性変形させた状態のリング状部への締め付け作用力を開放し得、その弾性反発力(弾性開放力)によって、ピン部の先端部分側を隣接した側板部の貫通孔から抜出させて、リング状部の当該箇所を分離し得る。さらに、弾性反発力によってリング状部を拡径状とし得、以て分離箇所の近辺における被係合部を係合部から自動的に離脱(抜出)し得る。したがってリング状部を、その弾性力に抗して押し拡げる(さらに拡径させる)ことによって、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしているブラシ部材を、筒状部材から完全に分離して取り外し得る。
【0014】
そして、準備していた新たなブラシ部材を筒状部材に外嵌させるとともに、係合部に被係合部を係合させ、次いでリング状部を締め付け状に弾性変形させた状態で、一方の分割体の側板部における貫通孔から布製ブラシ単体の孔部に亘って挿通させた第1係止具のピン部を、他方の分割体の側板部における貫通孔に挿通させる。次いで、第2係止具の当て板部を他方の分割体の側板部に当接させたのち、係脱操作部を介して側板部上で内板部に向けてスライドさせて、ピン部の先端部分に外側から係合させることで、筒状部材に新たなブラシ部材を装着したブラシユニットを形成し得る。
【0015】
また、消耗しているブラシ部材は、第2係止具を離脱させたピン部から消耗しているブラシ単体を外したのち、新たなブラシ単体をピン部に取り付けることで、全てのブラシ単体を、または破損など消耗が激しい特定のブラシ単体を交換し得る。その際に交換作業は、ブラシ部材を筒状部材から分離して取り外した状態(洗濯可能状態)で、または、消耗しているブラシ単体の部分を分離した状態(拡径した状態)で行える。
【発明の効果】
【0016】
上記した本発明の請求項1によると、洗車作業時には、軸体を軸心の周りに回転させ、軸体の回転力を各ブラシユニットの筒状部材に伝達するとともに、筒状部材の回転をブラシ部材に伝達でき、以て各ブラシユニットを軸体と一体状として軸心の周りに回転できる。そして、この洗車機用ブラシを移動させることで、ブラシ部材を被洗浄車両の表面に接触(当接)させて洗浄処理できる。このような洗車機用ブラシによる洗浄処理を行うことで、ブラシ部材が消耗したり汚れたりしたとき、洗車作業を停止(ロック)した状態で、目的とするブラシ部材の交換を行うことができる。すなわち離脱操作することにより、消耗したり汚れたりしているブラシ部材を、筒状部材から外側へ完全に分離して取り外すことができる。そして係合操作することにより、準備していた新たなブラシ部材を、筒状部材に外側から装着することができる。
【0017】
このようにブラシ部材の交換作業は、工具などを使用することなく短時間で行うことができるとともに、ガソリンスタンドのスタッフでも容易に迅速に行うことができる。したがって、洗車機の停止時間を短くでき、洗車待ち時間を短くして好適な洗車を行うことができるとともに、常にきれいな状態で洗浄処理を行うことができる。また、筒状部材から完全に分離して取り外したブラシ部材は、洗濯処理などすることで、次の交換用として準備でき、以て繰り返し綺麗な状態で使用できる。特に、すぐ汚れるので定期的に交換したい乾燥用のブラシ部材として好適に採用できる。
【0018】
また上記した本発明の請求項2によると、筒状部材に対して、その係合部群に被係合部群を係合させた状態でブラシ部材を外嵌して装着できる。そして洗車作業時には、筒状部材の回転を、係合部に係合している被係合部群を介してリング状部に伝達でき、以て各ブラシユニットを軸体と一体状として軸心の周りに回転できる。その際に、係合部群に被係合部群を係合していることで、回転しているブラシ部材の筒状部材に対する周方向の位置ずれを防止でき、また回転しているブラシ部材の筒状部材に対する長手方向(軸心に沿った方向)の位置ずれを防止できる。これによりブラシ単体群が遠心力によって拡げられることになり、したがって、洗車機用ブラシを移動させることで、拡げられて回転しているブラシ単体群を被洗浄車両の表面に接触(当接)させて洗浄処理できる。
【0019】
このような洗浄処理を行うことで、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしたとき、目的とするブラシ部材の交換を行うことができる。すなわち離脱操作によりリング状部の1箇所を分離することで、被係合部を係合部から離脱(抜出)でき、これによって、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしているブラシ部材を、筒状部材から完全に分離して取り外すことができる。そして、新たなブラシ部材を筒状部材に外嵌させるとともに、係合部に被係合部を係合させ、次いで係合操作によりリング状部の1箇所を連結することで、準備していた新たなブラシ部材を、筒状部材に外側から装着することができる。
【0020】
そして上記した本発明の請求項3によると、筒状部材の回転を、係合部に係合している被係合部群を介して各分割体、すなわちリング状部に伝達でき、以て各ブラシユニットを軸体と一体状として軸心の周りに回転できる。洗浄処理を行うことで、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしたとき、目的とするブラシ部材の交換を行うことができる。すなわち係止具の離脱操作によりリング状部の1箇所、すなわち隣接した分割体間を分離することで、被係合部を係合部から離脱(抜出)でき、これによって、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしているブラシ部材を、筒状部材から完全に分離して取り外すことができる。そして、新たなブラシ部材を筒状部材に外嵌させるとともに、係合部に被係合部を係合させ、次いで係止具の係合操作により分割体を周方向に連結してリング状部を構成することで、準備していた新たなブラシ部材を、筒状部材に外側から装着できる。
【0021】
さらに上記した本発明の請求項4によると、筒状部材に対するブラシ部材の外嵌しての装着は、分割体の内板部を筒状部材の外周面に沿うように弾性変形させた状態で、締め付け状(巻き付け状)に行うことができる。目的とするブラシ部材の交換を行うに、第2係止具の当て板部を、係脱操作部を介して側板部上で内板部から離れる側(外側)に向けてスライドさせて、ピン部の先端部分に対して離脱させる。これにより、弾性変形させた状態のリング状部への締め付け作用力を開放でき、その弾性反発力(弾性開放力)によって、ピン部の先端部分側を隣接した側板部の貫通孔から抜出させて、リング状部の当該箇所を分離できる。さらに、弾性反発力によってリング状部を拡径状にでき、以て分離箇所の近辺における被係合部を係合部から自動的に離脱(抜出)できる。したがってリング状部を、その弾性力に抗して押し拡げる(さらに拡径させる)ことによって、ブラシ単体が消耗したり汚れたりしているブラシ部材を、筒状部材から完全に分離して取り外すことができる。
【0022】
そして、準備していた新たなブラシ部材を筒状部材に外嵌させるとともに、係合部に被係合部を係合させ、次いでリング状部を締め付け状に弾性変形させた状態で、一方の分割体の側板部における貫通孔から布製ブラシ単体の孔部に亘って挿通させた第1係止具のピン部を、他方の分割体の側板部における貫通孔に挿通させ、次いで第2係止具の当て板部を他方の分割体の側板部に当接させたのち、係脱操作部を介して側板部上で内板部に向けてスライドさせて、ピン部の先端部分に外側から係合させることで、筒状部材に新たなブラシ部材を装着したブラシユニットを形成できる。
【0023】
また、消耗しているブラシ部材は、第2係止具を離脱させたピン部から消耗しているブラシ単体を外したのち、新たなブラシ単体をピン部に取り付けることで、全てのブラシ単体を、または破損など消耗が激しい特定のブラシ単体を交換することができる。その際に交換作業は、ブラシ部材を筒状部材から分離して取り外した状態(洗濯可能状態)で、または、消耗しているブラシ単体の部分を分離した状態(拡径した状態)で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、据置型で連続洗浄形式の洗車機に採用した状態として、図に基づいて説明する。
【0025】
図2〜図4において、床面Fには、据置型の洗車機本体1と、前方から洗車機本体1を貫通して後方に達するコンベヤ(車両移動装置)2とが設置されている。前記洗車機本体1は門形状に形成され、この洗車機本体1内には、前部から順に洗浄部3と乾燥部4が形成されている。また、洗車機本体1の前端部には被洗浄車両Cの車高を検出するソニックセンサ5が取付けられ、前面と後面にはそれぞれ操作パネル6,7が設けられている。なお前記コンベヤ2は、被洗浄車両Cの搬送方向左側の車輪Tを介して移動力(搬送力)を付与するものである。
【0026】
前記洗浄部3は、被洗浄車両Cに高圧水を噴射するサイドスプレーノズル11、およびチルトスプレーノズル12と、被洗浄車両Cに洗剤を噴射する洗剤アーチ13と、被洗浄車両Cの両側面下部および前後の車輪Tの側面を洗浄する左右一対のロッカーブラシ14と、被洗浄車両Cの上面を洗浄する第1洗浄用トップブラシ15ならびに第2洗浄用トップブラシ16と、被洗浄車両Cに洗浄水を噴射するファイナルリンスアーチ(洗浄水アーチ)17と、被洗浄車両Cの前面および後面を洗浄する左右一対の第1洗浄用サイドブラシ18と、被洗浄車両Cの両側面を洗浄する左右一対の第2洗浄用サイドブラシ19と、被洗浄車両Cにフッソコート剤を噴射する撥水コートアーチ20と、被洗浄車両Cに液体ワックスを噴射(噴霧)するワックスアーチ21とが、この順で配設されることで構成されている。
【0027】
また前記乾燥部4は、被洗浄車両Cの上面を乾燥させる第1トップノズル25と、被洗浄車両Cの両側面を乾燥させる左右一対の第1サイドノズル26と、被洗浄車両Cの上面を乾燥させる第2トップノズル27と、被洗浄車両Cの両側面を乾燥させる左右一対の第2サイドノズル28と、被洗浄車両Cの両側面(表面)に付着した水滴を払拭する左右一対の乾燥用サイドブラシ(洗車機用ブラシの一例)30と、被洗浄車両Cの上面(表面)に付着した水滴を払拭する乾燥用トップブラシ(洗車機用ブラシの一例)29とが、この順で配設されることで構成されている。
【0028】
ここで洗浄部3において、左右一対のロッカーブラシ14は、左右揺動自在なアーム14Aの遊端に設けられ、揺動装置(図示せず。)によってアーム14Aを揺動させることで左右方向(車幅方向)に出退動自在に構成されている。また第1洗浄用トップブラシ15と第2洗浄用トップブラシ16は、左右に設けられたレールに案内されて垂直状に昇降自在に設けられ、昇降動装置(図示せず。)によって、車高の変化に追従して昇降動自在に構成されている。また第1洗浄用サイドブラシ18は、洗車機本体1の上部に設けられた左右方向のレール18Aに支持案内されて左右動(開閉動)自在に設けられ、左右動装置(図示せず。)によって左右動させることで、被洗浄車両Cの前面と後面の洗浄を行うとともに、移動装置(図示せず。)によってレール18Aを前後動させることで、コンベヤ2による被洗浄車両Cの搬送に追従移動可能に構成されている。そして第2洗浄用サイドブラシ19は、左右揺動自在なアーム19Aの遊端に設けられ、揺動装置(図示せず。)によりアーム19Aを揺動させて左右方向(車幅方向)に出退動させることで、被洗浄車両Cの側面の洗浄を行うように構成されている。
【0029】
さらに乾燥部4において、第1トップノズル25と第2トップノズル27は、昇降動装置(図示せず。)によって、車高の変化に追従して昇降動自在に構成されている。また乾燥用トップブラシ29は、左右に設けられたレールに案内されて垂直状に昇降自在に設けられ、昇降動装置(図示せず。)によって、車高の変化に追従して昇降動自在に構成されている。そして乾燥用サイドブラシ30は、左右揺動自在なアーム71(後述する。)の遊端に設けられ、揺動装置によってアーム71を揺動させることで左右方向(車幅方向)に出退動自在に構成されている。なお洗浄部3や乾燥部4において、ノズルなど他の装置は固定式とされている。また各ノズル25〜28は、エアを供給するブロワ装置(図示せず。)に連通されている。
【0030】
図1、図5〜図9において、前記乾燥用サイドブラシ30は、軸体31に対して、その軸心31Aに沿った方向に複数のブラシユニット40が外嵌して配設されることで構成されている。すなわち軸体31は筒状であって、その外周面で180度変位した2箇所(1箇所または3箇所以上)には軸心31Aに沿った方向の突条体32が一体状に形成されている。そして、軸心31Aに沿った方向における所定ピッチP(ブラシユニット40の配設ピッチに相当)置きの複数箇所でかつ周方向における90度変位した4箇所(単数箇所または複数箇所)には螺子孔33が形成されている。
【0031】
各ブラシユニット40は、軸体31に対して軸心31Aに沿った方向に摺動自在でかつ軸体31と一体回転自在な筒状部材41と、この筒状部材41に対して、係脱操作によって外側から着脱自在なブラシ部材51とからなる。
【0032】
すなわち筒状部材41は、軸体31に対して密状で外嵌自在な内筒部42と、この内筒部42の外周面で30度変位した12箇所(複数箇所)から放射方向に連設された突出板部43と、各突出板部43の外端に一体化された外板部44と、これら内筒部42から突出板部43ならびに外板部44の下面間に一体化されたリング状の底板部45とからなる。ここで外板部44は、内筒部42の外面に沿うように円弧状に形成されるとともに、円弧方向の中央部分が突出板部43の外端に一体化され、これにより外板部44の隣接した端部間に、外周に開放された溝状の係合部46が形成され、以て前記筒状部材41の外周面側で周方向の12箇所(複数箇所)に係合部46が形成される。
【0033】
そして内筒部42には、周方向における90度変位した4箇所(単数箇所または複数箇所)に、前記軸体31の螺子孔33に連通自在な通し孔47が形成されるとともに、周方向における180度変位した2箇所(単数箇所または複数箇所)には、前記軸体31の突条体32が嵌入自在な凹溝部48が軸心31Aに沿った方向の全長に形成されている。また底板部45には、各係合部46に対応してそれぞれ水抜き孔49が形成されている。以上の42〜49などにより、たとえば金属製の筒状部材41の一例が構成される。
【0034】
かかる構成の筒状部材41は、その凹溝部48を突条体32に嵌合させた状態で軸体31に外嵌させ、そして軸心31Aに沿った方向に摺動させて所定レベルの螺子孔33に通し孔47を連通させたのち、通し孔47に外側から通したボルト体(固定具の一例)35を螺子孔33に螺合させることで、筒状部材41を、軸体31の所定の位置に固定し得る。なお、外板部44の通し孔47に対向した位置には、ボルト体35を通過させるための切り欠き部分44aが形成されている。
【0035】
前記ブラシ部材51は、筒状部材41に外嵌状のリング状部52と、このリング状部52側に、折り畳んだ内端部分68aが支持された布製ブラシ単体(ブラシ単体の一例)68とからなり、そして前記リング状部52は、それぞれ複数の分割体53と係止具60とからなる。
【0036】
各分割体53は、筒状部材41に当接自在な内板部54と、この内板部54の周方向の両端から外方へ連設された一対の側板部55とにより、筒状部材41と同様の長さの型レール状に形成されるとともに、前記内板部54の内面側に、前記筒状部材41の係合部46に係脱自在な被係合部56が突状に形成される状態で、たとえば樹脂により一体成形されている。その際に内板部54は、筒状部材41の外板部44の外面に沿うように、この外面よりも僅かに大きい半径の円弧状に形成されるとともに、その内面が、外板部44の外面に当接されるように弾性変形自在に構成されている。そして一対の側板部55には、それぞれ長さ方向(軸心31Aに沿った方向)の2箇所に貫通孔57が形成されている。
【0037】
前記係止具60は、第1係止具61と第2係止具64とからなる。前記第1係止具61は、プレート状の当て板部62と、この当て板部62の一面から突出され前記貫通孔57に挿通自在なピン部63とからなり、このピン部63の先端部分には、凹入環状の係止部分63aが形成されている。前記第2係止具64は、プレート状の当て板部65と、この当て板部65の外端の一面から直角状に突出されたプレート状の係脱操作部66とからなり、前記当て板部65には、前記ピン部63の係止部分(先端部分)63aに外側から係合自在な凹入状の被係止部分65aが、内端側に開放される状態で形成されている。
【0038】
前記布製ブラシ単体68は、たとえば織布や長繊維を使用した不織布など布のみからなる一枚の長方形状(図9の実線参照)からなり、短尺の幅方向において二つ折りされる(図9の仮想線参照)とともに、その長尺の長さ方向における内端部分68aには、前記ピン部63が挿通自在な孔部69が形成されている。そして布製ブラシ単体68は、2つ(2枚)を1セットとして前記リング状部52側に支持され、その際に折り山部(折り線部)68bが上方に位置される。
【0039】
すなわち、分割体53群における周方向で隣接された側板部55間で、折り畳んだ布製ブラシ単体68の内端部分68aを、2枚重ね(1セット)として挟持した状態で、第1係止具61のピン部63を、両貫通孔57と各孔部69(内端部分68a)とに亘って挿通させて、当て板部62を一方の分割体53の側板部55に当接させる。この状態で、第2係止具64の当て板部65を他方の分割体53の側板部55に当接させ、そして係脱操作部66を介して側板部55上で内板部54に向けてスライドさせることで、被係止部分65aを係止部分63aに外側から係合させる。
【0040】
これにより、隣接された側板部55間で、折り畳んだ布製ブラシ単体68の内端部分68aを、2枚重ね(1セット)として挟持した状態で、隣接された側板部55間を、第1係止具61と第2係止具64とを介して固定し得る。その際に固定は、凹入環状の係止部分63aの凹入傾斜面(凹入円弧面)と凹入状の被係止部分65aの凹入傾斜面(凹入円弧面)との面ガイド作用(係合力)によって、隣接された側板部55間を互いに接近させる状態で、すなわち側板部55間で内端部分68aを強く挟持した状態で行われるとともに、その挟持反発力で係合力が強固に維持される。
【0041】
さらにリング状部52の形成寸法などにより、第2係止具64の当て板部65をピン部63の係止部分(先端部分)63aに外側から係合させることによる外側からの係合力によって、分割体53の内板部54を筒状部材41の外周面に沿うように弾性変形させた状態で、隣接した側板部55間の連結を行うように構成される。このように、分割体53群と布製ブラシ単体68の内端部分68a群とからなるリング状部52、すなわち前記係止具60にて固定することによって、前記分割体53群を周方向に連結して構成したリング状部52は、その内周面側に前記係合部46に外側から係脱自在な被係合部56が形成されるとともに、周方向の12箇所(少なくとも1箇所)が連結分離自在に構成される。なお軸体31の下端には、ブラシユニット40の落下を阻止する受け部材37が着脱自在に設けられている。以上の41〜69などにより、ブラシユニット40の一例が構成され、そして31〜69などにより、乾燥用サイドブラシ30の一例が構成される。
【0042】
このように構成された乾燥用サイドブラシ30は、その軸体31の上部が、アーム71の遊端に軸受72を介して回転自在に支持されている。そしてアーム71は、その基端が洗車機本体1側に縦軸73などを介して連結支持されることで、揺動装置(図示せず。)によって左右揺動自在に構成されている。さらに軸体31の上端は、回転駆動装置74に連動連結されている。なお乾燥用トップブラシ29は、その向きや揺動方向は異なるが、軸体やブラシユニットなどは乾燥用サイドブラシ30と同様に構成されている。
【0043】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
乾燥作用可能な状態の乾燥用サイドブラシ30は、図1、図4、図7に示すように、軸体31に対して複数のブラシユニット40が外嵌され、段積み状で固定されている。すなわち、各ブラシユニット40の筒状部材41は、その凹溝部48を突条体32に嵌合させた状態で軸体31に外嵌させ、そして軸心31Aに沿った方向に摺動させて所定レベルの螺子孔33に通し孔47を連通させたのち、切り欠き部分44aを介して通し孔47に外側から通したボルト体35を螺子孔33に螺合させることで、周方向の4箇所を結合して軸体31の所定の位置に固定させている。このとき上位のブラシユニット40における筒状部材41の底板部45は、下位のブラシユニット40における筒状部材41の内筒部42、突出板部43、外板部44の上面間に当接状(近接状)にある。また軸体31の下端には、ブラシユニット40の落下を阻止する受け部材37が設けられている。
【0044】
このようにして固定している筒状部材41に対して、その係合部46群に被係合部56群を係合させた状態で、ブラシ部材51が外嵌して装着されている。その際に装着は、分割体53の内板部54を筒状部材41の外周面に沿うように弾性変形させた状態で、締め付け状(巻き付け状)に行っている。
【0045】
洗車作業は次のようにして行われる。すなわち、前面の操作パネル6に被洗浄車両Cの洗車データ(洗車コース、付属メニュー)が入力され、そしてスタートスイッチにより洗車データに基づいた洗車が実行される。またソニックセンサ5により被洗浄車両Cの搬入が検出され、そして検出されてからの時間がカウントされる。
【0046】
コンベヤ2へ被洗浄車両Cが入ると、このコンベヤ2によって被洗浄車両Cを一定の速度で連続移動させ、この連続移動中において、まず洗浄部3で洗浄処理を行う。すなわち、被洗浄車両Cに対して、サイドスプレーノズル11ならびにチルトスプレーノズル12から高圧水を噴射して水洗を行ったのち、洗剤アーチ13から被洗浄車両Cに洗剤を噴射する。次いで、図3の実線に示すように外側に位置している左右一対のロッカーブラシ14を、アーム14Aの揺動によって、図3の仮想線に示すように左右方向(車幅方向)の内側に移動させることで、被洗浄車両Cの両側面下部および前後の車輪Tの側面を洗浄する。そして、図2の実線に示すように下降位置している第1洗浄用トップブラシ15ならびに第2洗浄用トップブラシ16を、図2の仮想線に示すように、車高の変化に追従して垂直状に昇降させることで、被洗浄車両Cの上面を洗浄する。
【0047】
次いで被洗浄車両Cに対して、ファイナルリンスアーチ17から洗浄水を噴射する。そして、図3の実線に示すように中央部分に位置(閉動位置)している左右一対の第1洗浄用サイドブラシ18を、レール18Aの案内により左右の外側に移動(開動)させながら被洗浄車両Cの前面を洗浄し、その際に同時にレール18Aとともに後方へ移動させることで、図3の仮想線イに示すように、コンベヤ2による被洗浄車両Cの移動に追従移動させながら前面を洗浄し得る。次いで、図3の実線に示すように外側に位置している左右一対の第2洗浄用サイドブラシ19を、アーム19Aの揺動によって、図3の仮想線に示すように左右方向(車幅方向)の内側に移動させることで、被洗浄車両Cの両側面を洗浄する。
【0048】
そして第2洗浄用サイドブラシ19による両側面の洗浄が終わりに近づいてきたとき、図3の仮想線イに、左右の外側に移動(開動)している左右一対の第1洗浄用サイドブラシ18を、レール18Aの案内により左右の内側(中央部分側)に移動させながら被洗浄車両Cの後面を洗浄し、その際に同時にレール18Aとともに後方へ移動させることで、図3の仮想線ロに示すように、コンベヤ2による被洗浄車両Cの搬送に追従移動させながら後面を洗浄し得る。さらに第2洗浄用サイドブラシ19により両側面を洗浄した被洗浄車両Cの表面に対して、撥水コートアーチ20からフッソコート剤を噴射したのち、ワックスアーチ21から液体ワックスを噴射(噴霧)する。
【0049】
このようにして洗浄部3で洗浄処理した被洗浄車両Cを乾燥部4で連続移動しながら、まず第1トップノズル25からのエアによって上面を乾燥させたのち、第1サイドノズル26からのエアによって両側面を乾燥させ、そして第2トップノズル27からのエアによって上面を乾燥させたのち、第2サイドノズル28からのエアによって両側面を乾燥させる。次いで、図3の実線に示すように外側に位置している左右一対の乾燥用サイドブラシ30を、アーム71の揺動によって、図3の仮想線に示すように左右方向(車幅方向)の内側に移動させることで、被洗浄車両Cの両側面(表面)に付着している水滴を払拭する。さらに、図2の実線に示すように上昇位置している乾燥用トップブラシ29を、図2の仮想線に示すように、車高の変化に追従して垂直状に昇降させることで、被洗浄車両Cの上面(表面)に付着している水滴を払拭する。
【0050】
ここで左右一対の乾燥用サイドブラシ30による水滴の払拭作用は、次のようにして行われる。すなわち、回転駆動装置74により軸体31を軸心31Aの周りに回転させ、軸体31の回転力を、ボルト体35群を介して各ブラシユニット40の筒状部材41に伝達する。そして筒状部材41の回転を、係合部46に係合している被係合部56群を介して各分割体53、すなわちリング状部52に伝達し得、以て各ブラシユニット40を軸体31と一体状として軸心31Aの周りに回転し得る。その際に係合部46群に被係合部56群を係合していることで、回転しているブラシ部材51の筒状部材41に対する周方向の位置ずれを防止でき、また上下の底板45間に被係合部56が位置していることで、回転しているブラシ部材51の筒状部材41に対する長手方向(軸心31Aに沿った方向)の位置ずれを防止できる。
【0051】
これにより布製ブラシ単体68群が遠心力によって拡げられることになり、したがって、アーム71の揺動によって乾燥用サイドブラシ30を、左右方向(車幅方向)の内側に移動させることで、拡げられて回転している布製ブラシ単体68群を被洗浄車両Cの両側面に接触(当接)させて、両側面(表面)に付着している水滴を払拭できる。このような水滴の払拭時に筒状部材41内に入り込んだ水は、水抜き孔49群を通して床面Fへと排水できる。なお、乾燥用トップブラシ29による被洗浄車両Cの上面(表面)に付着している水滴の払拭も、同様にして行うことができる。以上によって所期の洗車を終えた被洗浄車両Cは、コンベヤ2によって洗車機本体1の外へ移動できる。
【0052】
上述したような乾燥用サイドブラシ30による水滴の払拭作用を行うことで、布製ブラシ単体68が消耗したり汚れたりしたとき、洗車作業を停止(ロック)した状態で、目的とするブラシ部材51の交換を行う。すなわち、操作し易い好適な箇所(任意な箇所)における第2係止具64の当て板部65を、係脱操作部66を介して側板部55上で内板部54から離れる側(外側)に向けてスライドさせることで、被係止部分65aを係止部分63aに対して離脱させる。これにより、弾性変形させた状態のリング状部52への締め付け作用力を開放でき、その弾性反発力(弾性開放力)によって、図8に示すように、ピン部63の係止部分(先端部分)63a側を隣接した側板部55の貫通孔57から抜出させて、リング状部52の当該箇所を分離し得る。さらに、弾性反発力によってリング状部52を拡径状とし得、以て分離箇所の近辺における被係合部56を係合部46から自動的に離脱(抜出)できる。したがってリング状部52を、その弾性力に抗して押し拡げる(さらに拡径させる)ことによって、布製ブラシ単体68が消耗したり汚れたりしているブラシ部材51を、筒状部材41から完全に分離して取り外すことができる。
【0053】
そして、準備していた新たなブラシ部材51を、上述した分離して取り外す操作とは逆操作を行うことによって、筒状部材41に装着することができる。すなわち図8に示すように、新たなブラシ部材51を筒状部材41に外嵌させるとともに、係合部46に被係合部56を係合させ、次いでリング状部52を締め付け状に弾性変形させた状態で、一方の分割体53の側板部55における貫通孔57から布製ブラシ単体68の孔部69に亘って挿通させた第1係止具61のピン部63を、他方の分割体53の側板部55における貫通孔57に挿通させる。そして、第2係止具64の当て板部65を他方の分割体53の側板部55に当接させたのち、係脱操作部66を介して側板部55上で内板部54に向けてスライドさせて、被係止部分65aを係止部分63aに外側から係合させることで、図7に示すように、筒状部材41に新たなブラシ部材51を装着したブラシユニット40を形成できる。
【0054】
このようにブラシ部材51の交換作業は、工具などを使用することなく短時間で行うことができるとともに、ガソリンスタンドのスタッフでも容易に迅速に行うことができる。したがって、洗車機の停止時間を短くでき、洗車待ち時間を短くして好適な洗車を行うことができるとともに、常にきれいな状態で水滴の払拭作用を行うことができる。
【0055】
前述したように筒状部材41から完全に分離して取り外したブラシ部材51は、その布製ブラシ単体68群などを、洗濯し、乾燥させることで、次の交換用として準備でき、以て繰り返し綺麗な状態で使用できるとともに、すぐに汚れるので定期的に交換したい乾燥用のブラシ部材51として好適に採用できる。
【0056】
消耗しているブラシ部材51は、第2係止具64を離脱させたピン部63から消耗している布製ブラシ単体68を外したのち、新たな布製ブラシ単体68をピン部63に取り付けることで、全ての布製ブラシ単体68を、または破損など消耗が激しい特定の布製ブラシ単体68を交換することができる。その際に交換作業は、ブラシ部材51を筒状部材41から分離して取り外した状態(洗濯可能状態)で、または図8に示すように、消耗している布製ブラシ単体68の部分を分離した状態(拡径した状態)で行うことができる。
【0057】
上記した実施の形態1は、洗車機本体1を固定状態とし、コンベヤ(車両移動装置)2を用いて被洗浄車両Cを連続移動させて、相対移動するようにした形式が示されているが、これは洗車機本体のみを移動させることで、洗車機本体と被洗浄車両を相対移動させて、被洗浄車両の洗車を行う形式などであってもよい。また洗車機本体を、洗浄手段を備えた前部本体と乾燥手段を備えた後部本体とに分離し、これら前部本体と後部本体とを各別に移動可能とした形式などであってもよい。
【0058】
上記した実施の形態1では、ブラシユニット40群からなる洗車機用ブラシとして、乾燥用トップブラシ29や乾燥用サイドブラシ30が示されているが、これはロッカーブラシ14、第1洗浄用トップブラシ15、第2洗浄用トップブラシ16、第1洗浄用サイドブラシ18、第2洗浄用サイドブラシ19の一部または全てを同様な構成とした形式などであってもよい。
【0059】
上記した実施の形態1では、ブラシ単体として布製ブラシ単体68を使用した形式が示されているが、これはスポンジを帯状としたものや、ゴムを配合した樹脂を帯状としたものなどのブラシ単体を使用した形式などであってもよい。
【0060】
上記した実施の形態1では、ブラシ部材51として、周方向の12箇所(複数箇所)を連結分離自在とした形式が示されているが、これは周方向の1箇所(単数箇所)のみを連結分離自在とした形式などであってもよい。
【0061】
上記した実施の形態1では、ブラシ部材51として、分割体53間で布製ブラシ単体68を2枚重ね(1セット)として挟持する形式が示されているが、これは1枚の布製ブラシ単体68を挟持する形式や、3枚以上を重ね(1セット)て挟持する形式などであってもよい。なお、布製ブラシ単体68を波状に四つ折りした形式などであってもよい。
【0062】
上記した実施の形態1では、ブラシ部材51として、分割体53間で布製ブラシ単体68の内端部分68aを挟持する形式が示されているが、これは分割体53間を係止具などにより直接に連結分離自在とし、全てまたは一部の分割体53にブラシ単体を着脱自在とした形式などであってもよい。
【0063】
上記した実施の形態1では、係止具として、第1係止具61と第2係止具64とからなる形式が示されているが、これは、たとえば第1係止具61のピン部63の先端部分に折れ曲がり(揺動)自在なストッパー部が設けられた形式などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、洗車機用ブラシの分解状態での要部の一部切り欠き斜視図である。
【図2】同洗車機の概略側面図である。
【図3】同洗車機の概略平面図である。
【図4】同洗車機の概略背面図である。
【図5】同洗車機用ブラシの組み立て状態での正面図である。
【図6】同洗車機用ブラシの連結状態での要部の一部切り欠き正面図である。
【図7】同洗車機用ブラシの連結状態での要部の横断平面図である。
【図8】同洗車機用ブラシの分離状態での要部の横断平面図である。
【図9】同洗車機用ブラシのブラシ単体の斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 洗車機本体
2 コンベヤ(車両移動装置)
3 洗浄部
4 乾燥部
14 ロッカーブラシ
15 第1洗浄用トップブラシ
16 第2洗浄用トップブラシ
18 第1洗浄用サイドブラシ
19 第2洗浄用サイドブラシ
29 乾燥用トップブラシ(洗車機用ブラシ)
30 乾燥用サイドブラシ(洗車機用ブラシ)
31 軸体
31A 軸心
32 突条体
35 ボルト体(固定具)
40 ブラシユニット
41 筒状部材
42 内筒部
43 突出板部
44 外板部
45 底板部
46 係合部
47 通し孔
48 凹溝部
51 ブラシ部材
52 リング状部
53 分割体
54 内板部
55 側板部
56 被係合部
57 貫通孔
60 係止具
61 第1係止具
62 当て板部
63 ピン部
63a 係止部分(先端部分)
64 第2係止具
65 当て板部
65a 被係止部分
66 係脱操作部
68 布製ブラシ単体(ブラシ単体)
68a 内端部分
69 孔部
71 アーム
74 回転駆動装置
F 床面
C 被洗浄車両
T 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体に対して、軸心に沿った方向に複数のブラシユニットが外嵌して配設され、各ブラシユニットは、軸体に対して軸心に沿った方向に摺動自在でかつ軸体と一体回転自在な筒状部材と、この筒状部材に対して、係脱操作によって外側から着脱自在なブラシ部材とからなることを特徴とする洗車機用ブラシ。
【請求項2】
筒状部材の外周面側で周方向の複数箇所には係合部が形成され、ブラシ部材は、筒状部材に外嵌状のリング状部と、このリング状部側に内端部分が支持されたブラシ単体とからなり、リング状部は、その内周面側に前記係合部に外側から係脱自在な被係合部が形成されるとともに、周方向の少なくとも1箇所が連結分離自在に構成されていることを特徴とする請求項1記載の洗車機用ブラシ。
【請求項3】
係合部は、外周に開放された溝状に形成され、リング状部は、それぞれ複数の分割体と係止具とからなり、各分割体は、筒状部材に当接自在な内板部と、この内板部の周方向の両端から外方へ連設された一対の側板部とにより型レール状に形成され、前記内板部には前記係合部に係脱自在な被係合部が突状に形成され、隣接される側板部間でブラシ単体の内端部分を挟持した状態で前記係止具にて固定することにより、前記分割体を周方向に連結してリング状部を構成したことを特徴とする請求項2記載の洗車機用ブラシ。
【請求項4】
一対の側板部には貫通孔が形成され、係止具は、当て板部とこの当て板部の一面から突出され前記貫通孔に挿通自在なピン部とを備える第1係止具と、前記ピン部の先端部分に係合自在な当て板部とこの当て板部の一面から突出された係脱操作部とを備える第2係止具とからなり、第1係止具のピン部を、隣接する側板部の両貫通孔とブラシ単体の内端部分に形成した孔部とに挿通させたのち、第2係止具の当て板部をピン部の先端部分に係合させることで、分割体を筒状部材の外周面に沿うように弾性変形させた状態で、隣接した側板部間の連結を行うように構成したことを特徴とする請求項3記載の洗車機用ブラシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−274592(P2009−274592A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127790(P2008−127790)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】