説明

洗車機用洗浄ブラシのブラシ片及び洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】スリットにより形成された分割片が長期間に亘り、洗浄水等により張り付くこと無く、洗い残しの発生が無い高い洗浄性能を有すると共に、凍結が防止される洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、及びそのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供する。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片1において、前記ブラシ片1は平板状の合成樹脂発泡体2を有し、前記合成樹脂発泡体2はスリット3により形成された分割片4を有すると共に、前記スリット3の形成領域8内に少なくとも一箇所以上の凹部5又は/及び凸部6が形成されてあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、及びそのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片、そのブラシ片を配した洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、例えば、無数の独立気泡を有する合成樹脂発泡体よりなるブロックをスライスして形成した複数のシート状洗浄体の基端部が回転体の外周にその回転軸線に略沿うように取付けられていて、その各洗浄体の自由端側が該回転体の略放射方向に延びており、前記各洗浄体の自由端部には、それを複数のスリットにより細分化して、互いに平行に並ぶ横断面方形状の複数のブラシ毛が形成されており、その各ブラシ毛の、前記ブロックのスライス面で形成される平坦な側面が、該各ブラシ毛の先端側から見て前記回転体の回転軸線に対し傾斜するように、前記各洗浄体基端部の前記回転体に対する取付位置が設定されていることを特徴とする洗車機が、特開2002−316622号公報に開示されてある。
【0003】
また、一側がフリンジ成形スリットで多数のフリンジ片に細分され、さらにこのフリンジ片の先端部が、先端分割スリットで複数の先端片に分割された合成樹脂発泡体製の自動洗車ブラシ用洗浄シートにおいて、先端分割スリットの内端部付近に窪み状の押し潰し痕である末端凹部が形成されていると共に、先端片の先端分割スリット側の側縁部に窪み状の押し潰し痕である中間凹部が形成されていることを特徴とする自動洗車ブラシ用洗浄シートが、実用新案登録第3089760号に開示されてある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−316622号公報
【特許文献2】実用新案登録第3089760号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、そのブラシ片を配した洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機は、例えば、上記の如くの特徴を有する技術が開示されてあるが、特開2002−316622号公報に開示されてある技術においては、シート状洗浄体の表面は、無数の独立気泡からなる小さな凹凸が無数に存在するものの、前記凹凸は、合成樹脂発泡体を製造する際に必然的に形成されるものであり、外径は一般的に30〜150μm程度の微細なものであることから、シート状洗浄体の表面は粗面というよりも、平滑面に近いものである。従って、シート状洗浄体の自由端部に、複数のスリットにより細分化され形成されたブラシ毛は、洗車中に洗浄ブラシが回転すると、隣り合うブラシ毛が互いの平滑面に乗り合うと共に、洗浄水等と接触すると、無数の独立気泡の凹部に保水された洗浄水等、あるいは平滑なブラシ毛の表面に付着した洗浄水等により容易に張り付き、一旦、張り付いたブラシ毛は、洗浄ブラシの回転によるブラシ毛の被洗浄面への衝撃力のみでは、互いに離れて、ばらけたものとすることはできなかった。その為、互いに張り付いた複数本のブラシ毛が一体化することから、洗浄ブラシは、ブラシ毛が被洗浄面に接触しない部分が発生し、ブラシ毛は均一に被洗浄面に当接することができないので、洗い残しが発生して、洗浄性能が劣るという課題を有していた。
【0006】
また、隣り合うブラシ毛は、洗浄水等により互いに張り付いて一体化する為、冬季、特に寒冷地においてブラシ毛が凍り付き、凍結して一体化したブラシ毛が被洗浄面にたいして洗車傷を付着させるという課題も有していた。
【0007】
また、実用新案登録第3089760号に開示されてある技術においては、複数の窪み状の押し潰し痕が先端分割スリットの内端部近傍、及び側縁部に形成されているので、押し潰し痕の残留歪みによる効果が発揮され、隣り合う先端片をV字形に開かせ、互いに離れて、ばらけたものとすることは可能である。しかしながら、先端片の表面は、平板状の平滑面として形成されている為、隣接し、相前後する概V字状の先端片が積層するように互いに重なり合った場合、洗浄水等により互いに張り付いてしまい、複数本の概V字形状の先端片が一体化し、被洗浄面に付着している汚れの掻き取り性能が劣り、洗浄性能が劣化するという課題を有していた。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、スリットにより形成された分割片が長期間に亘り、洗浄水等により張り付くこと無く、洗い残しの発生が無い高い洗浄性能を有すると共に、凍結が防止される洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、及びそのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決する為に、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は平板状の合成樹脂発泡体を有し、前記合成樹脂発泡体はスリットにより形成された分割片を有すると共に、前記スリットの形成領域内に少なくとも一箇所以上の凹部又は/及び凸部が形成されてあるもので、隣り合う分割片、あるいは隣接して相前後する分割片が、洗車中に仮に重なり合っても、分割片の表面には凹部又は/及び凸部が形成されている為、平滑面からなる分割片が重なり合う場合に比べて、接触面積が小さく、密着し難い。従って、重なり合った分割片は、ブラシ片の被洗浄面への接触時の衝撃力のみにて、再び容易に離れ、互いにばらけることが可能であり、長期間に亘り、洗浄水等による張り付きが防止される。その為、分割片は一体化すること無く、被洗浄面に当接するので、洗い残しの発生が抑制され、高い洗浄性能を有する。
【0010】
なお、本発明のブラシ片に形成されてある凹部又は/及び凸部は、合成樹脂発泡体を製造する際に必然的に形成される気泡による凹凸のことではなく、合成樹脂発泡体の製造後、前記合成樹脂発泡体にたいして、例えば、エンボスロール等を用いて、熱加圧等の加圧をすることにより形成される凹部、凸部のことである。また、合成樹脂発泡体の表面を、溶融変形させて凹部又は/及び凸部を形成する形態も採用できる。
【0011】
また、隣り合う分割片は洗浄水等により張り付き、一体化することが無いので、ブラシ片の凍結が防止される。
【0012】
また、合成樹脂発泡体の側縁部にたいして傾斜角度を有するスリットは、ブラシ片の被洗浄面への接触時に、傾斜角度分だけ斜めに分割片を移動させる為、傾斜角度を有していないスリットに比べて、より分割片の張り付きが抑制される。
【0013】
また、本発明の洗車機用洗浄ブラシは、軸体及び請求項1から3のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を有し、前記軸体の外周部に前記ブラシ片が形成されてあるもので、隣り合う分割片は洗浄水等により互いに張り付くことが無い為、洗い残しの無い、高い洗浄性能を有する。
【0014】
また、本発明の洗車機は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項4に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載したもので、洗い残しの無い高い洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシの回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片の凍結が防止されるので、被洗浄面にブラシ片による洗車傷を付着させることが無い。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明においては、ブラシ片は高い洗浄性能を有すると共に、優れた凍結防止性能を有することができる。
【0016】
請求項2の発明においては、分割片の全域に亘り形成されている凹部又は/及び凸部の有するエッジ部により、被洗浄面に強固に付着している汚れを掻き出すことができるので、洗浄性能が大幅に向上する。
【0017】
請求項3の発明においては、分割片は、合成樹脂発泡体の側縁部にたいして、スリットが略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合う分割片が重なり合っても、被洗浄面にたいして斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗い残しの発生が防止され、洗浄性能が飛躍的に向上する。
【0018】
請求項4の発明においては、洗い残しの無い高い洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシを提供することができる。
【0019】
請求項5の発明においては、被洗浄面にブラシ片による傷を付着させることが無く、優れた洗浄性能を有する洗車機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
第1の発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は平板状の合成樹脂発泡体を有し、前記合成樹脂発泡体はスリットにより形成された分割片を有すると共に、前記スリットの形成領域内に少なくとも一箇所以上の凹部又は/及び凸部が形成されてあるもので、隣り合う分割片、あるいは隣接して相前後する分割片が、洗車中に仮に重なり合っても、分割片の表面には凹部又は/及び凸部が形成されている為、平滑面からなる分割片が重なり合う場合に比べて、接触面積が小さく、密着し難い。従って、重なり合った分割片は、ブラシ片の被洗浄面への接触時の衝撃力のみにて、再び容易に離れ、互いにばらけることが可能であり、長期間に亘り、洗浄水等による張り付きが防止される。その為、分割片は一体化すること無く、被洗浄面に当接するので、洗い残しの発生が抑制され、高い洗浄性能を有することができる。
【0021】
また、隣り合う分割片は洗浄水等により張り付き、一体化することが無いので、ブラシ片の凍結を防止することができる。
【0022】
第2の発明は、特に、第1の発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、少なくとも前記スリットの形成領域内の全域に亘り、前記凹部又は/及び凸部が形成されてあるもので、分割片が被洗浄面に当接すると、分割片の全域に亘り形成されている凹部又は/及び凸部の有するエッジ部により、被洗浄面に強固に付着している汚れが掻き出される。その為、洗浄性能が大幅に向上する。
【0023】
第3の発明は、特に、第1から第2の発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記スリットは前記合成樹脂発泡体の側縁部にたいして傾斜角度を有して形成されてあるもので、分割片は、合成樹脂発泡体の側縁部にたいして、スリットが略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合う分割片が重なり合っても、被洗浄面にたいして斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗い残しの発生が防止される。その為、洗浄性能が飛躍的に向上する。
【0024】
第4の発明は、軸体及び第1から第3の発明のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を有し、前記軸体の外周部に前記ブラシ片が形成されてある洗車機用洗浄ブラシとしたもので、隣り合う分割片は洗浄水等により互いに張り付くことが無い為、洗車機用洗浄ブラシは、洗い残しの無い、高い洗浄性能を有することができる。
【0025】
第5の発明は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第4の発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機としたもので、洗い残しの無い高い洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシの回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片の凍結が防止されるので、被洗浄面にブラシ片による洗車傷を付着させることが無い。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
図1(a)は、本発明の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、図1(b)は、図1(a)の断面図、図2は、本発明の第1の実施例におけるブラシ片の部分平面図である。
【0028】
図1(a)、及び図1(b)において、洗車機用洗浄ブラシ9は、ブラシ片1が、アルミニウム等の金属材料からなる略円筒形状の軸体10の外周等分4箇所に設けられた溝部19に概V字断面を有するように挿入され、リベット20にて固定して形成されてある。ブラシ片1は、合成樹脂発泡体2からなり、洗浄側に段差状に設けられたスリット3により細分割された複数の分割片4を有し、分割片4の被洗浄面に当接する側の表面には、凸部6が形成されてあると共に、凸部6が形成されることにより、必然的に形成される凹部5が形成されている。凹部5、及び凸部6が形成されていない側の合成樹脂発泡体の表面は平滑面である。また、スリット3の軸体10側の端部には円孔7が設けられている。なお、軸体10の外周面に設けられた溝部19は、等分4箇所以外にも、6箇所、8箇所、12箇所等、使用目的に応じて、適時、設定できる。
【0029】
洗車機用洗浄ブラシ9は、次の手順にて製作される。最初に、予めトムソン型等によりスリット3、円孔7、長手方向の略中央部に取付孔(図示せず)が形成された平板状の合成樹脂発泡体2よりなるブラシ片1を用意する。次に、ブラシ片1を、長手方向の略中央部にて二つ折りして、概V字断面を有するよう形成する。概V字断面を有するよう形成されたブラシ片1は、軸体10の溝部19に挿入され、前記取付孔にリベット20が挿入されると共に、リベッター等でリベット20を打ち付け、軸体10にブラシ片1が固定されて洗車機用洗浄ブラシ9が製作される。
【0030】
次に、図2を用いて、ブラシ片1について詳述する。
【0031】
図2において、ブラシ片1は、平板状の合成樹脂発泡体2よりなり、段差状に設けられたスリット3により細分割された分割片4が形成されてあると共に、分割片4の片側の表面には凹部5、及び凸部6が形成されている。凹部5、及び凸部6は、スリット3のスリット形成領域8の範囲内において形成されている。合成樹脂発泡体2の厚みは、1〜5mm程度、スリット3の長さは、20〜200mm程度、分割片4の幅は、1〜10mm程度に設定される。合成樹脂発泡体2の厚みが1mm未満の場合、ブラシ片1は摩耗により擦り切れ等が発生しやすく耐久性が劣り、5mmを超える場合、洗浄音が増大する。また、スリット3の長さが20mm未満の場合、被洗浄面の細かな凹凸部分に分割片4が当接しにくく、洗浄性能が劣ることになり、200mmを超える場合、分割片4が車体のアンテナやワイパー等の装備品に絡み付きやすくなり、装備品の破損につながる。また、分割片4の幅が1mm未満の場合、分割片4が切れやすく、耐久性が劣り、10mmを超える場合、分割片4は被洗浄面の細かな凹凸部分に付着している汚れを除去しにくく、洗浄性能が劣ることになる。また、スリット3の一方の端部に形成されている円孔7は、ブラシ片1の裂けを防止する為に設けられているものである。
【0032】
次に、ブラシ片1の製造方法について説明する。
【0033】
最初に、直方体の型に、ペレット状、あるいは粉末状の合成樹脂を挿入すると共に、発泡剤、架橋剤等の添加剤を混入して、加熱することにより、合成樹脂を発泡させると共に、合成樹脂の分子間に自ずと共有架橋構造を形成する。合成樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された発泡体は、一般的には架橋発泡体と呼ばれ、分子間に橋架け構造が形成されているので、優れた弾力性を有している。次に、得られた立方形状の発泡体を所望の厚みにスライスして、平板状の合成樹脂発泡体2を形成する。
【0034】
次いで、合成樹脂発泡体2の一方の表面にたいして、エンボスロール等を用いて、加圧、熱加圧することにより、凹部5と凸部6を形成する。本実施例では、合成樹脂発泡体2の片面のみに、凹部5と凸部6が形成されてあるが、合成樹脂発泡体2の両面に凹部5と凸部6が形成されてある形態を採用してもよい。なお、凹部5、凸部6の形状は、特に限定されるものではなく、本実施例の如く、凸部6の横断面形状が略四角形に形成されている形態以外にも、分割片4の洗浄水等による張り付きが防止されるのであれば、概丸形、三角形、五角形、菱形、卍形等でも構わない。さらに、凹部5の深さ、あるいは凸部6の高さについても、分割片4の洗浄水等による張り付きと、洗い残しの発生が防止されるのであれば、特に限定されるものではないが、例えば、凸部6の高さは、0.1mm以上で、使用される合成樹脂発泡体2の厚みの1/2程度以内にて設定されると、分割片4の洗浄水等による張り付きが抑制されると共に、分割片4が被洗浄面にたいして密着しやすく、洗い残しの発生が防止されるので好ましい。また、エンボスロール等以外にも、例えば、研磨紙、研磨布等を、合成樹脂発泡体2の表面に擦り付け、細かい凹部5と凸部6を形成することもできる。
【0035】
次に、トムソン型等を用いて、切断刃により、合成樹脂発泡体2にスリット3、円孔7、取付孔(図示せず)を形成し、ブラシ片1が製造される。なお、凹部5、及び凸部6は、スリット形成領域8内にて形成されるようにする。また、合成樹脂発泡体2にスリット3、円孔7、取付孔(図示せず)を設けた後に、エンボスロール、研磨紙、研磨布等を用いて、凹部5と凸部6を形成しても何ら支障は無い。
【0036】
合成樹脂発泡体2の発泡倍率は、柔軟性を有し、ブラシ片1に毛腰を付与すると共に、被洗浄面に傷を付着させないという観点から、2倍から15倍にて調整されるのが好ましい。発泡倍率が2倍未満の場合には、硬すぎて柔軟性が損なわれると共に、被洗浄面に傷を付着させやすくなり、15倍を超える場合には、柔らかすぎてブラシ片1に毛腰を付与することが難しく、洗浄性能が劣ることになる。より優れた柔軟性と毛腰を兼ね備える為には、発泡倍率は5倍から12倍にて調整されるのが望ましい。
【0037】
なお、特に図示しないが、合成樹脂発泡体2の表面には、無数の微細な独立気泡が形成されており、前記の如くの合成樹脂発泡体2は、一般的に独立気泡発泡体と呼ばれている。独立気泡とは、気泡の壁面が完全に囲まれている気泡のことである。従って、隣接する気泡間は気泡の壁面によって仕切られて個々に独立して存在する為、気泡内には洗浄水等の液体は流通しない。その為、ブラシ片1は、洗車中に合成樹脂発泡体2の表面の独立気泡に一時的に洗浄水を貯水するのみで、洗車機用洗浄ブラシ9は、ブラシ片1の含水量を極力抑えることができるので、回転駆動源にたいする負荷が軽減され、洗車機用洗浄ブラシ9は、長期間に亘り、安定した回転を維持することができる。
【0038】
合成樹脂発泡体2を製造する際に用いられる前記合成樹脂としては、エチレン酢酸ビニル、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。なお、ポリオレフィン系樹脂以外にも、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いてもよい。前記合成樹脂は、単独使用、あるいは併用される。
【0039】
また、合成樹脂発泡体2を製造する際に用いられる前記発泡剤としては、従来から合成樹脂発泡体2の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の熱分解型発泡剤が好適に用いられ、前記材質は単独で用いられても併用されても構わない。
【0040】
また、合成樹脂発泡体2を製造する際に用いられる前記架橋剤としては、従来から合成樹脂発泡体2に弾力性を付与する目的で製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキセン、1,3−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物が好適に用いられ、前記材質は単独で用いられても併用されても差し支えない。
【0041】
次に、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の洗浄性能、及び分割片の洗浄水による張り付きについて試験した。表1に、試験に用いた試験片の組成を示した。下記に示した要領で測定し、その結果を表2に示した。なお、比較例として実施例と同じ合成樹脂発泡体の組成で、両面に凹部、及び凸部が形成されていない試験片を用いた。
【0042】
表面に無数の独立気泡を有し、断面が長方形である幅50mm×厚み2.5mm×長さ226mmの合成樹脂発泡体からなる帯状試験片を4本切り出した。また、前記帯状試験片の洗浄側に、長さ50mmのスリットを9本形成すると共に、一方の端部に外径2mmの円孔を設け、幅5mmの分割片を10本形成した。なお、実施例の試験片においては、スリット形成領域内に、縦2mm×横1mm×高さ0.9mmの凸部を、エンボスロールにて熱加圧して形成した。
【0043】
そして、直径が114mmで且つ長さが360mmの円柱状回転体の外周面における長さ方向の中央部に、各試験片をその長さ方向の中央部分から二つ折りした上で、幅方向が回転体の長さ方向に合致し且つ試験片の屈曲部外面が回転体の外周面に当接した状態にして、各試験片を4枚ずつ回転体の周方向に等間隔毎に取り付けた。
【0044】
次に、上記回転体を240rpmの一定の回転速度で回転させる一方、一面に人工汚れを塗布した白色ソリッド塗装鋼板を用意し、前記回転速度で回転している回転体の外周面に取り付けた各試験片の先端が描く仮想円上から30mmだけ回転体の回転軸方向に近接した位置に前記白色ソリッド塗装鋼板を、その汚れ面が回転体に対向した状態に配設すると共に、6L毎分の散布量にて洗浄水を吹き付けながら1分間に亘って鋼板の汚れ面に試験片を順次、摺接させることによって鋼板の汚れを除去した。なお、実施例の試験片においては、表面に凹部、及び凸部が形成されている面を、鋼板に当接させた。
【0045】
そして、鋼板の汚れ面における試験片によって汚れを除去した部分の明度を、日本電色工業株式会社製の色差計NR−1で測定して、下記基準により判断した。
○・・・明度の向上が+5以上
△・・・明度の向上が+2以上+5未満
×・・・明度の向上が+2未満
【0046】
また、試験後の分割片の洗浄水による張り付きを目視観察して、下記基準により判断した。
○・・・分割片の洗浄水による張り付きが無い
×・・・分割片の洗浄水による張り付きが有る
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
実施例の試験片においては、合成樹脂発泡体の分割片の表面に凹部、及び凸部が形成されているので、分割片の洗浄水による張り付きは無く、分割片は均一に白色ソリッド鋼板上の人工汚れにたいして当接する為、洗い残しの発生も無く、高い洗浄性能を有するものであった。
【0050】
一方、比較例の試験片においては、分割片の両面に凹凸が形成されていない平滑面であるので、隣り合う分割片は洗浄水により張り付き、互いに一体化しながら白色ソリッド鋼板上の人工汚れにたいして当接する為、分割片が当接しない部分については洗い残しが発生し、洗浄性能については劣るものであった。
【0051】
上記のように構成されたブラシ片1、及び洗車機用洗浄ブラシ9の動作、作用は下記の通りである。
【0052】
ブラシ片1は、隣り合う分割片4、あるいは隣接して相前後する分割片4が、洗車中に仮に重なり合っても、分割片4の表面には凹部5、及び凸部6が形成されている為、平滑面からなる分割片が重なり合う場合に比べて、接触面積が小さく、密着し難い。即ち、分割片4の平滑面側は、隣り合う分割片4、あるいは隣接して相前後する分割片4の凸部6に乗り上げることになる。従って、重なり合った分割片4は、ブラシ片1の被洗浄面への接触時の衝撃力のみにて、再び容易に離れ、互いにばらけることが可能であり、長期間に亘り、洗浄水等による張り付きが防止される為、分割片4は一体化すること無く、被洗浄面に当接するので、洗い残しの発生が抑制されると共に、分割片4が被洗浄面の細かな凹凸部分にも当接し、被洗浄面に付着している汚れを掻き取る。また、分割片4は、スリット3が段差状に形成されているので、異なる長さの分割片4が順次、被洗浄面に異なる押付力にて当接する為、汚れを一層除去しやすくなる。なお、本実施例では、分割片4の被洗浄面に当接する側の表面に凹部5、及び凸部6が形成されているが、分割片4の被洗浄面に当接する側の裏面に凹部5、及び凸部6が形成されている場合においても、分割片4の洗浄水等による張り付きが防止されるのは言うまでもない。
【0053】
また、隣接する分割片4が洗浄水等により張り付き、一体化することが無いので、ブラシ片1の冬季、特に寒冷地における凍結が防止される。
【0054】
また、洗車機用洗浄ブラシ9は、ブラシ片1に形成された分割片4が、洗浄水等により互いに張り付くことが無い為、洗い残しの無い、高い洗浄性能を有することができる。
【0055】
なお、本実施例では、ブラシ片1の材質として合成樹脂発泡体2のみを使用しているが、上記の如くの合成樹脂発泡体2を有しているのであれば、前記合成樹脂発泡体2と他の材質、例えば、織布、不織布、編物等の布帛、人工皮革、合成皮革、人造皮革等の擬革、本革、フィルム状樹脂組成物、合成樹脂繊維、合成樹脂シート、熱可塑性エラストマーシート等と接合、重ね合わせ、併用等をして、ブラシ片1を形成しても構わない。
【0056】
また、本実施例では、ブラシ片1を構成する合成樹脂発泡体2として独立気泡発泡体を用いているが、連続気泡発泡体を採用することもできる。連続気泡とは、気泡の壁面が完全に囲まれておらず、隣接する気泡と連通している気泡のことをいう。従って、隣接する気泡間は壁面の一部が欠けている為、洗浄水等の液体は発泡体の内部まで流通する。その為、ブラシ片1は、独立気泡に比べて、洗車中に洗浄水を多く含むことができるので、汚れにたいして界面張力を低下させて洗浄することが可能となる。なお、界面張力とは、固体と液体が接している境界面において、接触面積を小さくする方向に働く張力のことをいう。従って、界面張力が低下するということは、固体と液体の接触面積が大きくなることであり、固体である汚れと、ブラシ片1に吸収された液体である洗浄水との接触面積が大きくなり、汚れは除去しやすくなる。独立気泡、あるいは連続気泡の選択については、洗車機用洗浄ブラシ9の使用環境等に応じて、適宜、決定されるものである。
【0057】
また、洗車機用洗浄ブラシ9の構造に関しては、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて、適時、設定することができる。
【0058】
(実施例2)
図3(a)は、本発明の第2の実施例におけるブラシ片の部分平面図、図3(b)は、他の実施の形態におけるブラシ片の部分平面図、図4(a)は、他の実施の形態におけるブラシ片の斜視図、図4(b)は、図4(a)のブラシ片の分割片が重なり合った場合の部分側面図、図4(c)は、他の実施の形態におけるブラシ片の分割片が重なり合った場合の部分側面図である。
【0059】
図3(a)において、ブラシ片11は、平板状の合成樹脂発泡体12からなり、合成樹脂発泡体12にたいして、一方の端部に円孔17を有するスリット13により細分割された複数の分割片14が形成されてあると共に、スリット形成領域18内の全域に亘り、凹部15、及び凸部16が分割片14の表面に形成されている。
【0060】
ブラシ片11は、分割片14が被洗浄面に当接すると共に、凹部15、及び凸部16が被洗浄面にたいして当接するよう軸体(図示せず)に配設され、洗車機用洗浄ブラシ(図示せず)が構成される。
【0061】
ブラシ片11の動作、作用は下記の通りである。
【0062】
分割片14が被洗浄面に当接すると、分割片14の全域に亘り形成されている凸部16の有するエッジ部により、被洗浄面に強固に付着しているピッチ、タール、ワックスやシリコーン等を主成分とする油性の水垢汚れ、鉄粉等が掻き出される。その為、洗浄性能が大幅に向上する。
【0063】
また、一片の分割片14の表面には、複数の凸部16が形成されているので、上記実施例1の分割片4のように一片に一箇所の凸部6が形成されてある場合に比べて、分割片14が被洗浄面に当接して特定箇所の凸部16が摩耗しても、他の凸部16が摩耗していないならば、分割片14の洗浄水等による張り付きが防止され、さらに長期間に亘って、高い洗浄性能が維持される。
【0064】
次に、図3(b)を用いて、他の実施の形態におけるブラシ片について説明する。
【0065】
図3(b)において、ブラシ片21は、平板状の合成樹脂発泡体22からなり、合成樹脂発泡体22にたいして、一方の端部に円孔27を有するスリット23により細分割された複数の分割片24が形成されてあると共に、合成樹脂発泡体22の表面全域に亘り、凹部25、及び凸部26が形成されている。
【0066】
ブラシ片21は、分割片24が被洗浄面に当接すると共に、凹部25、及び凸部26が形成されてある合成樹脂発泡体22の表面が被洗浄面に当接する側となるよう軸体(図示せず)に配設され、洗車機用洗浄ブラシ(図示せず)が構成される。
【0067】
ブラシ片21の動作、作用は下記の通りである。
【0068】
分割片24が被洗浄面に当接すると、分割片24の全域に亘り形成されている凸部26の有するエッジ部により、被洗浄面に強固に付着している汚れが掻き出されると共に、合成樹脂発泡体22の表面全域に亘り、凹部25が形成されている為、洗車中に凹部25に洗浄水等を、一時的に保水しながら、洗車することができる。その為、洗浄性能が一段と向上する。
【0069】
次に、図4(a)、及び図4(b)を用いて、他の実施の形態におけるブラシ片について説明する。
【0070】
図4(a)において、ブラシ片31は、平板状の合成樹脂発泡体32からなり、合成樹脂発泡体32にたいして、一方の端部に円孔37を有するスリット33により細分割された複数の分割片34a、34bが形成されてあると共に、合成樹脂発泡体32の表面全域に亘り、凹部35、及び凸部36が形成されている。凸部36は、スリット33にたいして、斜向した格子状に形成されてあると共に、曲線部を有する波形状にて形成されている。なお、合成樹脂発泡体32の表面に凹部35、及び凸部36が形成されている面の裏面は、平滑面である。また、取付孔30は、ブラシ片31が概V字形状を有するよう折り曲げ、軸体(図示せず)にブラシ片31を固定する際に、リベットを挿入する為に設けられている。
【0071】
ブラシ片31は、分割片34a、34bが被洗浄面に当接すると共に、凹部35、及び凸部36が形成されてある合成樹脂発泡体32の表面が被洗浄面に当接する側となるよう軸体(図示せず)に配設され、洗車機用洗浄ブラシ(図示せず)が構成される。
【0072】
ブラシ片31は、洗車中に仮に隣り合う分割片34a、34bが重なり合っても、図4(b)に示すように、分割片34aの平滑面側は、分割片34bの凸部36に線接触にて乗り上げると共に、分割片34aの平滑面と、分割片34bの凹部35の間には空間が生じ、前記空間には空気が流入する。その為、隣り合う分割片34a、34bは、面接触にて重なり合う場合に比べて、接触面積が小さく、また、空気の抵抗により、重なり合っても迅速、且つ容易に離れることができるので、長期間に亘り、分割片34aと分割片34bは、互いにばらけて、洗浄水等により張り付いて一体化することを防ぐことが可能である。
【0073】
また、図4(c)に示すように、合成樹脂発泡体42からなるブラシ片41の片面に谷形状の凹部45、及び山形状の凸部46が形成され、隣り合う分割片44a、44bが、洗車中に仮に重なり合った場合には、分割片44aの平滑面側は、分割片44bの凸部46に点接触にて乗り上げると共に、分割片44aの平滑面と、分割片44bの凹部45の間には空間が生じ、前記空間には空気が流入する。その為、隣り合う分割片44a、44bは、面接触、あるいは線接触にて重なり合う場合に比べて、接触面積がさらに小さく、また、空気の抵抗により、重なり合っても非常に迅速、且つ容易に離れることができるので、一層長期間に亘り、分割片44aと分割片44bは、互いにばらけて、洗浄水等により張り付いて一体化することを防止することができる。
【0074】
なお、合成樹脂発泡体12、22、32、42の表面のみならず、裏面にも凹部15、25、35、45又は/及び凸部16、26、36、46を形成する形態も採用できる。
【0075】
(実施例3)
図5は、本発明の第3の実施例におけるブラシ片の部分拡大平面図である。
【0076】
図5において、ブラシ片51は、合成樹脂発泡体52からなり、合成樹脂発泡体52にたいして、一方の端部に円孔57を有するスリット53により細分割された複数の分割片54が形成されてあると共に、合成樹脂発泡体52の表面全域に亘り、凹部55、及び凸部56が形成されている。また、スリット53は、合成樹脂発泡体52の側縁部50にたいして鋭角をなす傾斜角度θを有して形成されてある。傾斜角度θは、90°未満ならば構わないが、分割片54の洗浄水等による張り付きの防止、及び洗浄性能の向上を図るという観点から、60°以上90°未満にて設定されるのが望ましい。
【0077】
ブラシ片51は、分割片54が被洗浄面に当接すると共に、凹部55、及び凸部56が形成されてある合成樹脂発泡体52の表面が被洗浄面に当接する側となるよう軸体(図示せず)に配設され、洗車機用洗浄ブラシ(図示せず)が構成される。
【0078】
ブラシ片51の動作、作用は下記の通りである。
【0079】
分割片54は、合成樹脂発泡体52の側縁部50にたいして、スリット53が略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合う分割片54が重なり合っても、斜向した洗浄軌跡を描きながら当接するので、一層容易に離れやすくなる。また、スリット53により細分割されたブラシ片51の複数の分割片54は、被洗浄面にたいして斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、分割片54により、被洗浄面の細かな凹凸部分の汚れが取り除かれると共に、被洗浄面に接触し難いスリット53による切り込み部分が描いた軌跡にも、隣り合わせの分割片54が、順次、当接し、汚れを取り除くので、筋状の洗い残しの発生が防止される。その為、洗浄性能が飛躍的に向上する。
【0080】
(実施例4)
図6は、本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図である。
【0081】
図6において、洗車機61は、本発明の洗車機用洗浄ブラシ69が搭載されてあり、洗車機用洗浄ブラシ69は駆動源62により回転駆動される。ノズル63からは、被洗浄面にたいして、洗浄剤、及び洗浄水等が散布され、洗車機用洗浄ブラシ69により、被洗浄面に付着している汚れが除去され、洗浄後は洗車機61の乾燥手段である乾燥機64により被洗浄面が乾燥される。
【0082】
なお、洗車機用洗浄ブラシ69に装着されているブラシ片は、上記実施例におけるブラシ片1、11、21、31、41、51のいずれかと同一である。
【0083】
上記のように構成された洗車機61の動作、作用は下記の通りである。
【0084】
洗車機61は、洗い残しの無い高い洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシ69が搭載されてある為、駆動源62により洗車機用洗浄ブラシ69の回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片の凍結が防止されるので、被洗浄面にブラシ片による洗車傷を付着させることが無い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片として使用する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)本発明の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、(b)図1(a)の断面図
【図2】本発明の第1の実施例におけるブラシ片の部分平面図
【図3】(a)本発明の第2の実施例におけるブラシ片の部分平面図、(b)他の実施の形態におけるブラシ片の部分平面図
【図4】(a)他の実施の形態におけるブラシ片の斜視図、(b)図4(a)のブラシ片の分割片が重なり合った場合の部分側面図、(c)他の実施の形態におけるブラシ片の分割片が重なり合った場合の部分側面図
【図5】本発明の第3の実施例におけるブラシ片の部分拡大平面図
【図6】本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図
【符号の説明】
【0087】
1、11、21、31、41、51 ブラシ片
2、12、22、32、42、52 合成樹脂発泡体
3、13、23、33、53 スリット
4、14、24、34a、34b、44a、44b、54 分割片
5、15、25、35、45、55 凹部
6、16、26、36、46、56 凸部
7、17、27、37、57 円孔
8、18 スリット形成領域
9、69 洗車機用洗浄ブラシ
10 軸体
19 溝部
20 リベット
30 取付孔
50 側縁部
61 洗車機
62 駆動源
63 ノズル
64 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は平板状の合成樹脂発泡体を有し、前記合成樹脂発泡体はスリットにより形成された分割片を有すると共に、前記スリットの形成領域内に少なくとも一箇所以上の凹部又は/及び凸部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、少なくとも前記スリットの形成領域内の全域に亘り、前記凹部又は/及び凸部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項3】
請求項1から2記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記スリットは前記合成樹脂発泡体の側縁部にたいして傾斜角度を有して形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項4】
軸体及び請求項1から3のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を有し、前記軸体の外周部に前記ブラシ片が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項5】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項4記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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