説明

洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】洗車機用洗浄ブラシが正回転する際に被洗浄面に当接するブラシ片の表面、及び逆回転する際に被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の夫々に異なった洗浄機能を付与することにより、被洗浄面に付着している汚れを、迅速、且つ確実に除去することができる洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供する。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載されてある洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及び台座を有すると共に、正回転及び逆回転可能に装着されてあり、前記正回転時に前記ブラシ片の表面が被洗浄面に当接すると共に、前記逆回転時に前記ブラシ片の裏面が被洗浄面に当接するよう形成されてあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシ及び洗車機に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされている。一般的に、洗車機は、洗車機用洗浄ブラシにより、被洗浄面である車体を洗浄する際、車体にたいして前後に移動して往復する。洗車機が往復する際、洗車機用洗浄ブラシは、往路と復路において、洗車機の回転駆動手段により、回転方向が反転するよう構成されている。しかし、従来の洗車機用洗浄ブラシは、正回転時及び逆回転時においても同一機能を有するブラシ片が車体に当接していた。
【0003】
また、回転する洗車ブラシを車体に接触して洗車する洗車装置において、前記洗車ブラシのブラシ片は洗車時に車体に接触する表面に極細毛を密植した帯状体で構成され、該ブラシ片に付着した塵を取り除く塵取除手段と、該塵取除手段に取り込まれた塵を掻き取る塵掻取手段とが設けられていることを特徴とする洗車装置が、特開平9−39748号公報に開示されてある。
【0004】
さらに、門型に形成された洗車機本体内に、洗浄ブラシ、散水ノズル等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体の洗浄等の処理を行う洗車機において、洗浄ブラシに洗浄剤を散布する洗浄剤散布工程と、洗浄ブラシの汚れを落とす洗浄工程と、洗浄ブラシの汚れを洗い流す濯ぎ工程を順次行うことを特徴とする、洗車機における洗浄ブラシの洗浄方法および同方法を用いた洗車機が、特開平9−142266号公報に開示されてある。
【0005】
【特許文献1】 特開平9−39748号公報
【特許文献2】 特開平9−142266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機は、上記の如くの特徴を有する技術が開示されてあるが、一般的に、洗車機用洗浄ブラシの正回転時及び逆回転時において同一機能のブラシ片が被洗浄面である車体に当接する場合、例えば、ブラシ片の素材として、合成樹脂繊維が使用されている場合には被洗浄面に付着している汚れを掻き取り、フィルム状樹脂組成物が使用されている場合には被洗浄面に付着している汚れを掃き取り、布帛が使用されている場合には被洗浄面に付着している汚れを拭き取り、合成樹脂発泡体が使用されている場合には被洗浄面に付着している汚れを擦り取ることは可能であった。しかし、洗車機が車体にたいして前後に移動して往復し、洗車機用洗浄ブラシの回転方向が往路と復路において反転する一回の洗浄工程において、例えば、洗車機用洗浄ブラシに、擦り取りと拭き取り、掻き取りと拭き取り等の異なる機能を順次、組み合わせて付与することはできず、被洗浄面である車体に付着している汚れを、迅速、且つ確実に除去することができないという課題を有していた。
【0007】
また、特開平9−39748号公報に開示されてある技術においては、洗車が終わった後に、洗車ブラシの回転方向を逆転させることにより、ブラシ片に取り込まれた塵を掻き取るので、車体の塗装面に傷を付着させることは無いものの、洗車中に洗車ブラシが正回転、あるいは逆回転しても同一機能を有するブラシ片が車体に当接する為、迅速、且つ確実に被洗浄面である車体を洗浄することが難しいという課題を有していた。
【0008】
また、特開平9−142266号公報に開示されてある技術においては、洗浄ブラシを正転駆動、あるいは逆転駆動させて、洗浄ブラシのブラシ片に付着した汚れを落とす洗浄方法であり、被洗浄面である車体に付着している汚れを除去する際、ブラシ片に付着した汚れを車体に再付着させることは無いものの、洗車中に洗車ブラシが正回転、あるいは逆回転しても同一機能を有するブラシ片が車体に当接する為、迅速、且つ確実に被洗浄面である車体を洗浄することが困難であるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決する為になされたもので、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際に被洗浄面に当接するブラシ片の表面、及び逆回転する際に被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の夫々に異なった洗浄機能を付与することにより、被洗浄面に付着している汚れを、迅速、且つ確実に除去することができる洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成する為に、第1の課題解決手段は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載されてある洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及び台座を有すると共に、正回転及び逆回転可能に装着されてあり、前記正回転時に前記ブラシ片の表面が被洗浄面に当接すると共に、前記逆回転時に前記ブラシ片の裏面が被洗浄面に当接するよう形成されてある構成としたものである。
【0011】
また、第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面に合成樹脂発泡体が形成されてあると共に、前記ブラシ片の裏面に布帛が形成されてある構成としたものである。
【0012】
また、第3の課題解決手段は、第1の課題解決手段の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面に熱可塑性エラストマーが形成されてあると共に、前記ブラシ片の裏面に布帛が形成されてある構成としたものである。
【0013】
また、第4の課題解決手段は、第1の課題解決手段の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面あるいは裏面のいずれかに起毛部を有する不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体が形成されてある構成としたものである。
【0014】
また、第5の課題解決手段は、第1の課題解決手段の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面あるいは裏面のいずれかに起毛部を有する布帛が形成されてある構成としたものである。
【0015】
また、第6の課題解決手段は、前記洗車機用洗浄ブラシを正逆に回転駆動させる駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段と、第1から第5の課題解決手段のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機としたものである。
【0016】
上記第1の課題解決手段による作用は、次の通りである。すなわち、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載されてある洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及び台座を有すると共に、正回転及び逆回転可能に装着されてあり、前記正回転時に前記ブラシ片の表面が被洗浄面に当接すると共に、前記逆回転時に前記ブラシ片の裏面が被洗浄面に当接するよう形成されてある為、洗車機用洗浄ブラシが正回転時に被洗浄面に当接するブラシ片の表面、及び逆回転時に被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の夫々に異なった洗浄機能が付与される。例えば、被洗浄面に付着している汚れを掻き取る、掃き取る、拭き取る、擦り取る、叩き落とす等の複数の洗浄手段が、順次、組み合わせて用いられる。
【0017】
また、第2の課題解決手段による作用は、第1の課題解決手段の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面に合成樹脂発泡体が形成されてあると共に、前記ブラシ片の裏面に布帛が形成されてある為、最初に、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際、被洗浄面に当接するブラシ片の表面の合成樹脂発泡体により、被洗浄面に付着している汚れを擦り取り、次に、洗車機用洗浄ブラシが逆回転する際、被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の布帛により、被洗浄面に付着している汚れを拭き取る。
【0018】
また、第3の課題解決手段による作用は、第1の課題解決手段の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面に熱可塑性エラストマーが形成されてあると共に、前記ブラシ片の裏面に布帛が形成されてある為、最初に、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際、被洗浄面に当接するブラシ片の表面の熱可塑性エラストマーにより、被洗浄面に付着している汚れを叩き落とし、次に、洗車機用洗浄ブラシが逆回転する際、被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の布帛により、被洗浄面に付着している汚れを拭き取る。
【0019】
また、第4の課題解決手段による作用は、第1の課題解決手段の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面あるいは裏面のいずれかに起毛部を有する不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体が形成されてある為、最初に、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際、起毛部が被洗浄面である車体の細かな凹凸部に入り込み、凹凸部に付着、堆積している汚れを掻き取り、次に、洗車機用洗浄ブラシが逆回転する際、非起毛部が形成された洗浄面により、被洗浄面に付着している汚れを拭き取る。また、起毛部が形成された洗浄面は、非起毛部が形成された洗浄面に比べて、被洗浄面に当接する際の摩擦係数が高いので、起毛部が形成された洗浄面は、被洗浄面に当接する際、滑ること無く、的確に被洗浄面に当接する。その為、一段と優れた洗浄性が、被洗浄面にたいして付与される。
【0020】
また、第5の課題解決手段による作用は、第1の課題解決手段の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面あるいは裏面のいずれかに起毛部を有する布帛が形成されてある為、最初に、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際、起毛部が被洗浄面である車体の細かな凹凸部に入り込み、凹凸部に付着、堆積している汚れを掻き出すように除去し、次に、洗車機用洗浄ブラシが逆回転する際、非起毛部が形成された洗浄面により、被洗浄面に付着している汚れを拭き取ると共に、被洗浄面に付着した水滴等も拭き上げる。
【0021】
また、第6の課題解決手段による作用は、前記洗車機用洗浄ブラシを正逆に回転駆動させる駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段と、第1から第5の課題解決手段のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機である為、洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、表面と裏面の夫々に異なった洗浄機能を有しており、洗車機の駆動源により、洗車機用洗浄ブラシの回転方向を変えることで、使用目的に応じた洗浄機能が、被洗浄面にたいして付与され、洗浄性の向上が図られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、正回転時に被洗浄面に当接するブラシ片の表面、及び逆回転時に被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の夫々に異なった洗浄機能を順次、組み合わせて付与することができるので、被洗浄面に付着している汚れを、迅速、且つ確実に除去することができる非常に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
第1の発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載されてある洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及び台座を有すると共に、正回転及び逆回転可能に装着されてあり、前記正回転時に前記ブラシ片の表面が被洗浄面に当接すると共に、前記逆回転時に前記ブラシ片の裏面が被洗浄面に当接するよう形成されてある為、洗車機用洗浄ブラシが正回転時に被洗浄面に当接するブラシ片の表面、及び逆回転時に被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の夫々に異なった洗浄機能が付与される。例えば、被洗浄面に付着している汚れを掻き取る、掃き取る、拭き取る、擦り取る、叩き落とす等の複数の洗浄手段が順次、組み合わせて用いられる。その為、被洗浄面に付着している汚れを、極めて迅速、且つ確実に除去することができる。
【0024】
第2の発明は、前記ブラシ片の表面に合成樹脂発泡体が形成されてあると共に、前記ブラシ片の裏面に布帛が形成されてある為、最初に、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際、被洗浄面に当接するブラシ片の表面の合成樹脂発泡体により、被洗浄面に付着している汚れを擦り取り、次に、洗車機用洗浄ブラシが逆回転する際、被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の布帛により、被洗浄面に付着している汚れを拭き取る。その為、被洗浄面に付着した汚れを、的確に除去できるので、洗浄性の向上を図ることができる。
【0025】
第3の発明は、前記ブラシ片の表面に熱可塑性エラストマーが形成されてあると共に、前記ブラシ片の裏面に布帛が形成されてある為、最初に、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際、被洗浄面に当接するブラシ片の表面の熱可塑性エラストマーにより、被洗浄面に付着している汚れを叩き落とし、次に、洗車機用洗浄ブラシが逆回転する際、被洗浄面に当接するブラシ片の裏面の布帛により、被洗浄面に付着している汚れを拭き取る。その為、被洗浄面に強固に付着している汚れも、最初に、熱可塑性エラストマーにより、叩いて剥離させることができ、次に、布帛により、被洗浄面を拭くように洗浄することができるので、被洗浄面に付着した汚れを、効率よく強力に除去することができる。
【0026】
第4の発明は、前記ブラシ片の表面あるいは裏面のいずれかに起毛部を有する不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体が形成されてある為、最初に、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際、起毛部が被洗浄面である車体の細かな凹凸部に入り込み、凹凸部に付着、堆積している汚れを掻き取り、次に、洗車機用洗浄ブラシが逆回転する際、非起毛部が形成された洗浄面により、被洗浄面に付着している汚れを拭き取る。その為、車体の細かな凹凸部に付着、堆積している除去し難い汚れも、最初に、起毛部により、掻き出して洗浄することができ、次に、非起毛部が形成された洗浄面により、被洗浄面を拭くように洗浄することができるので、被洗浄面に付着した汚れを確実に除去することができる。また、起毛部が形成された洗浄面は、非起毛部が形成された洗浄面に比べて、被洗浄面に当接する際の摩擦係数が高いので、起毛部が形成された洗浄面は、被洗浄面に当接する際、滑ること無く、的確に被洗浄面に当接する。その為、一段と優れた洗浄性を、被洗浄面にたいして付与することができる。
【0027】
第5の発明は、前記ブラシ片の表面あるいは裏面のいずれかに起毛部を有する布帛が形成されてある為、最初に、洗車機用洗浄ブラシが正回転する際、起毛部が被洗浄面である車体の細かな凹凸部に入り込み、凹凸部に付着、堆積している汚れを掻き出すように除去し、次に、洗車機用洗浄ブラシが逆回転する際、非起毛部が形成された洗浄面により、被洗浄面に付着している汚れを拭き取ると共に、被洗浄面に付着した水滴等も拭き上げる。その為、被洗浄面に付着した汚れ、及び水滴等を順次、効率よく除去できると共に、車体を磨き上げることができる。
【0028】
第6の発明は、前記洗車機用洗浄ブラシを正逆に回転駆動させる駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段と、第1から第5の発明のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機である為、洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、表面と裏面の夫々に異なった洗浄機能を有しており、洗車機の駆動源により、洗車機用洗浄ブラシの回転方向を変えることで、使用目的に応じた洗浄機能が、被洗浄面にたいして付与され、洗浄性の向上が図られる。その為、洗車機用洗浄ブラシにより、被洗浄面に付着している汚れを、迅速、且つ確実に除去できるので、洗車機用洗浄ブラシを高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの無い非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機を提供することができる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0030】
図1から図8にて実施例1を示す。図1は、本発明の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図1において、1は洗車機用洗浄ブラシ、2はブラシ片、3は台座、5は溝部、6はスリットである。図2(a)は、図1の部分拡大側面図である。図2(a)において、7は合成樹脂発泡体、8は布帛、70は接合部である。図2(b)は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシの部分拡大側面図である。図2(b)において、76は芯線である。図2(c)は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシの部分拡大側面図である。図2(c)において、71は洗車機用洗浄ブラシ、73は台座、74は突起部、75はネジである。図3は、本発明の洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す断面図である。図3(a)において、9は車体、10は砂塵、72は膜層汚れ、Aは洗車機用洗浄ブラシの回転方向である。図3(b)において、Bは洗車機用洗浄ブラシの回転方向である。図4は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図4において、11は洗車機用洗浄ブラシ、12はブラシ片、13は台座、14は止め金具、15は溝部、16はスリット、17は合成樹脂発泡体、18は布帛である。図5(a)は、図4のブラシ片の平面図である。図5(a)において、19は気泡、20は接合部である。図5(b)は、図4の部分拡大断面図である。図5(c)は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシの部分拡大側面図である。図5(c)において、81は洗車機用洗浄ブラシ、82はブラシ片、83は台座、84は止め金具、87は合成樹脂発泡体、88は布帛である。図6(a)は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の平面図である。図6(a)において、92はブラシ片、97は合成樹脂発泡体、98は布帛、99は気泡である。図6(b)は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシの部分拡大断面図である。図6(b)において、91は洗車機用洗浄ブラシ、93は台座、94は帯状体、95は溝部、96は芯線である。図7は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図7において、41は洗車機用洗浄ブラシ、42はブラシ片、43は台座、44は止め金具、45は溝部、47は合成樹脂発泡体、48は布帛である。図8は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図8において、61は洗車機用洗浄ブラシ、62はブラシ片、63は台座、64は止め金具、65は溝部、67は合成樹脂発泡体、68は布帛である。
【0031】
洗車機用洗浄ブラシ1は、図1の如く、ブラシ片2、台座3、溝部5より構成されている。台座3は、略円筒形状からなり、外周面の等分4箇所には突起してなる溝部5が形成されてある。台座3は、アルミニウム等の金属材料からなるが、塩化ビニル、ポリアセタール、ポリプロピレン等の合成樹脂等も用いることができる。また、台座3の外周面に設けられている溝部5は、前記の如くの等分4箇所以外にも、6等分、8等分、12等分等、使用目的に応じて、適時、設定できる。また、ブラシ片2は、概長板形状であり、洗浄側近傍にスリット6を有し、溝部5に勘合挿入されてある。
【0032】
ブラシ片2は、図2(a)、図2(b)、及び図2(c)の如く、合成樹脂発泡体7が表面、布帛8が裏面となるように、接着により重ね合わされて一体的に形成されてある。合成樹脂発泡体7と布帛8の接合は、フィルム状のホットメルト接着剤を、合成樹脂発泡体7、及び布帛8の間に挟み付けて、重ね合わせた後、一体的に加熱しつつ、圧着させる。この時、ホットメルト接着剤は、合成樹脂発泡体7、及び布帛8に比べてより低い融点を有する為、溶融する。その後、所定温度に冷却することにより、合成樹脂発泡体7、及び布帛8にたいして、ホットメルト接着剤が溶融されて溶着して、合成樹脂発泡体7と布帛8が重ね合わされて一体化したブラシ片2が形成される。なお、ホットメルト接着剤以外でも、合成樹脂発泡体7と布帛8を重ね合わせて一体的に形成させることが可能な材質であるならば、何ら限定されることなく、使用できる。また、合成樹脂発泡体7と布帛8の接合方法は、前記の如くの接着に限らず、超音波溶着、熱溶着、レーザー波溶着等の溶着、縫製、ネジ止め等、合成樹脂発泡体7と布帛8が重ね合わされて一体的に形成される方法ならば、何ら差し支えなく採用できる。なお、合成樹脂発泡体7は、ポリオレフィン系樹脂を加熱発泡させた独立気泡発泡体であるが、材質に関しては、特に限定されるものではない。また、布帛8は、繊維にポリエステルとナイロンが混合して使用されてある不織布からなるが、材質に関しては、使用目的に応じて、適時、設定することができる。さらに、不織布以外にも、織布、編布等を用いることもできる。
【0033】
また、ブラシ片2は、図2(a)の如く、溝部5に挿入される端部の断面形状が概N形に折り曲げられて形成されると共に、縫製により接合部70を介して接合されてあり、溝部5の内壁面に接するように勘合挿入されてある。なお、接合部70は、縫製以外にも接着、溶着、ネジ止め等の方法を用いて形成することができる。また、ブラシ片2は、図2(b)の如く、溝部5に挿入される端部の断面形状が概丸形のリング状に形成されると共に、縫製により接合部70を介して接合した後、前記リング状の穴部に芯線76を通して、溝部5の内壁面に接するように勘合挿入して用いることもできる。芯線76が用いられている場合においては、洗車中にブラシ片2が車両のアンテナやワイパー等の装備品に絡まった時、ブラシ片2が溝部5から脱落することを防ぐことができる。
【0034】
なお、洗車機用洗浄ブラシ1は、ブラシ片2の一方の端部を、概コの字状断面を有する帯状体と、芯線76にて挟み付けてチャンネルブラシを形成した後、チャンネルブラシを溝部5に勘合挿入する形態等も採用できる。
【0035】
また、図2(c)の如く、ブラシ片2は、一方の端部に穴を設け、台座73の外周面に形成された穴部(図示せず)を有する突起部74にたいしてネジ75を用いて固定し、洗車機用洗浄ブラシ71として使用することもできる。台座73の外周面に形成される突起部74の本数は、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて、台座73の外周面にたいして、等分4箇所、6箇所、8箇所、12箇所等設けることができる。洗車機用洗浄ブラシ71は、突起部74に、ブラシ片2をネジ75にて固定して生産されているので、前記洗車機用洗浄ブラシ1の如く、縫製等の方法を用いて接合部70を有するブラシ片2を形成する必要が無く、簡便に生産することができる為、生産効率を高めることができる。
【0036】
次に、図3を用いて、洗車機用洗浄ブラシ1による車体9に付着、堆積している砂塵10、及び水垢等の膜層汚れ72の除去の仕組みについて説明する。洗車機用洗浄ブラシ1は、正回転及び逆回転可能に洗車機に装着されてある。洗車機用洗浄ブラシ1は、最初、往路において、矢印Aの方向に正回転し、ブラシ片2の表面である合成樹脂発泡体7が、被洗浄面である車体9に当接する。その際、合成樹脂発泡体7は、車体9に付着、堆積している砂塵10や膜層汚れ72等の汚れを擦り取るように除去し、粗洗浄する。次に、洗車機用洗浄ブラシ1は、復路において、往路の時と回転方向が反転して矢印Bの方向に逆回転し、ブラシ片2の裏面である布帛8が、被洗浄面である車体9に当接する。その際、布帛8は、往路において合成樹脂発泡体7により除去できずに車体9に残っている膜層汚れ72等の汚れを拭き取るように除去し、仕上げ洗浄する。また、ブラシ片2は、スリット6を有する為、スリット6が車体の細かな凹凸部分に入り込み、砂塵10等の汚れを掻き出すことができる。前記の如くの仕組みにより、車体9に付着、堆積している砂塵10、及び水垢等の膜層汚れ72は、洗車機用洗浄ブラシ1により、迅速、且つ確実に除去される。
【0037】
次に、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシ11について説明する。洗車機用洗浄ブラシ11は、図4の如く、ブラシ片12、台座13、止め金具14、溝部15より構成されている。台座13は、略円筒形状であり、アルミニウム等の金属材料により形成されてある。
【0038】
ブラシ片12は、図5(a)、及び図5(b)の如く、気泡19を有する合成樹脂発泡体17、及び布帛18が、フィルム状のホットメルト接着剤を介して、重ね合わされて一体化された平板形状が2枚、それぞれ合成樹脂発泡体17の面と布帛18の面が表面になるよう縫製により接合された接合部20を介して一体となった概長板形状にて形成されてあり、洗浄側近傍にはスリット16が形成されてある。なお、接合部20は、縫製の他、接着、溶着、ネジ止め等の方法により形成しても構わない。洗車機用洗浄ブラシ11は、図4、及び図5(b)の如く、ブラシ片12を接合部20にて断面形状が概U字形になるよう二つ折りし、台座13の外周面の等分4箇所に設けられている溝部15に挿入され、止め金具14にて固定して形成される。
【0039】
洗車機用洗浄ブラシ11は、ブラシ片12の断面形状が概U字形になるよう二つ折りされ、台座13の外周面の溝部15に取り付けられている為、前記洗車機用洗浄ブラシ1、71の如く、ブラシ片2が二つ折りされずに、一枚の概長板形状にて溝部5、あるいは突起部74に取り付けられている場合に比べて、ブラシ片12の毛腰を強く設定することができ、一段と優れた洗浄機能を被洗浄面にたいして付与することができる。また、正回転時に合成樹脂発泡体17が車体に当接して、車体に付着、堆積している砂塵などの汚れを擦り取り、逆回転時に布帛18が車体に当接して、車体に付着している水垢等の膜層汚れを拭き取ると共に、スリット16が車体の細かな凹凸部分に入り込み、汚れを掻き出すことができる。その為、車体に付着した汚れを、的確に除去できるので、洗浄性の向上を図ることができる。
【0040】
次に、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシ81について説明する。洗車機用洗浄ブラシ81は、図5(c)の如く、2枚のブラシ片82の一方の端部が重ね合わされ、台座83の外周面に止め金具84にて固定されてある。ブラシ片82は、合成樹脂発泡体87、及び布帛88が、フィルム状のホットメルト接着剤を介して、重ね合わされて一体化された概長板形状にて形成されてあり、洗車機用洗浄ブラシ81の正回転時には合成樹脂発泡体87が被洗浄面に当接し、洗車機用洗浄ブラシ81の逆回転時には布帛88が被洗浄面に当接するよう構成されてある。
【0041】
洗車機用洗浄ブラシ81は、上記の如くの構成となっている為、正回転時に合成樹脂発泡体87が車体に当接して、車体に付着、堆積している砂塵等の汚れを擦り取り、逆回転時に布帛88が車体に当接して、車体に付着している水垢等の膜層汚れを拭き取ることができるので、効率よく確実に車体に付着している汚れを除去することができる。また、ブラシ片82は、ブラシ片12の如く、縫製等による接合部20を有していないので、ブラシ片12に比べて、生産効率を向上させることができると共に、生産コストを抑えることができる。
【0042】
次に、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシ91について説明する。洗車機用洗浄ブラシ91は、図6(b)の如く、ブラシ片92を芯線96、及び概U字断面を有する帯状体94にて挟み付けて折り込んでチャンネルブラシを形成した後、台座93の外周面に形成された突起状の溝部95に挿入して、チャンネルブラシの両端部を止め金具(図示せず)にて固定し、形成されてある。溝部95は、台座93の外周面にたいして、例えば、円周4等分、6等分、8等分、12等分等、使用目的に応じて、適時、設定することができる。
【0043】
また、ブラシ片92は、図6(a)の如く、気泡99を有する合成樹脂発泡体97、及び布帛98が、フィルム状のホットメルト接着剤を介して、重ね合わされて一体化された概長板形状にて形成されてあり、中央部に捩りを加え、前記中央部が芯線96、及び帯状体94にて挟み付けられてある。
【0044】
洗車機用洗浄ブラシ91は、正回転時にブラシ片92の表面である合成樹脂発泡体97が車体に当接して、車体に付着、堆積している砂塵等の汚れを擦り取り、逆回転時にブラシ片92の裏面である布帛98が車体に当接して、車体に付着している水垢等の膜層汚れを拭き取ることができる為、迅速、且つ確実に車体に付着、堆積している汚れを除去することができる。
【0045】
次に、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシ41について説明する。洗車機用洗浄ブラシ41は、図7の如く、ブラシ片42、台座43、止め金具44、溝部45より構成されている。台座43は、略円筒形状からなり、外周の両端部には止め金具44が組み付けられてあると共に、等分4箇所に溝部45が形成されてある。台座43は、アルミニウム等の金属材料からなる。
【0046】
洗車機用洗浄ブラシ41は、ブラシ片42を溝部45に挿入し、止め金具44にて台座43に固定した後、台座43の周りにたいして捩りが加えられてある。その為、ブラシ片42は、台座43の周りに捩りが加わった螺旋状にて溝部45に挿入されている。また、台座43の周りに捩りを加えた後、ブラシ片42を溝部45に挿入固定しても何ら支障は無い。また、溝部45の本数、捩り角度については、使用目的に応じて、適時、設定することができる。
【0047】
ブラシ片42は、合成樹脂発泡体47、及び布帛48が、フイルム状のホットメルト接着剤を介して、重ね合わされて一体化された概長板形状にて形成されてある。洗車機用洗浄ブラシ41の正回転時には合成樹脂発泡体47が被洗浄面に当接し、洗車機用洗浄ブラシ41の逆回転時には布帛48が被洗浄面に当接するよう構成されてある。
【0048】
洗車機用洗浄ブラシ41は、台座43の周りに捩りが加わった螺旋状に形成されてあるブラシ片42が、被洗浄面である車体にたいして、連続的に滑らかに、且つ均一に当接する為、洗浄残りを発生させること無く、高い洗浄機能を発揮することができると共に、ブラシ片42が車体に当接する際の洗浄音の低減を図ることができる。また、正回転時にブラシ片42の表面である合成樹脂発泡体47が車体に当接して、車体に付着、堆積している砂塵等の汚れを擦り取り、逆回転時にブラシ片42の裏面である布帛48が車体に当接して、車体に付着している水垢等の膜層汚れを拭き取るので、効率よく、且つ確実に車体に付着、堆積している汚れを除去することができる。
【0049】
次に、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシ61について説明する。洗車機用洗浄ブラシ61は、図8の如く、ブラシ片62、台座63、止め金具64、溝部65より構成されている。台座63は、略円筒形状からなり、外周の両端部には止め金具64が組み付けられてあると共に、等分4箇所に溝部65が形成されてある。台座63は、アルミニウム等の金属材料からなる。
【0050】
洗車機用洗浄ブラシ61は、ブラシ片62の端部から中央部に向かって被洗浄面に当接するよう長手方向の中心にて概V字形状になるように、台座63の周りにたいして捩りを加えて形成されてある。その為、ブラシ片62は、台座63の長手方向の中心にて概V字形状になるように、台座63の周りに捩りが加わった螺旋状にて溝部65に挿入され、止め金具64にて台座63に固定されている。
【0051】
ブラシ片62は、合成樹脂発泡体67、及び布帛68が、フィルム状のホットメルト接着剤を介して、重ね合わされて一体化された概長板形状にて形成されてある。洗車機用洗浄ブラシ61の正回転時には合成樹脂発泡体67が被洗浄面に当接し、洗車機用洗浄ブラシ61の逆回転時には布帛68が被洗浄面に当接するよう構成されてある。
【0052】
洗車機用洗浄ブラシ61は、長手方向の中心にて概V字形状になるように、台座63の周りに捩りが加わった螺旋状に形成されてあるブラシ片62が、被洗浄面である車体の汚れを、効率よく的確に除去すると共に、中央部に汚れを集めることができるので、飛躍的に洗浄機能を向上させることができる。また、正回転時にブラシ片62の表面である合成樹脂発泡体67が車体に当接して、車体に付着、堆積している砂塵等の汚れを擦り取り、逆回転時にブラシ片62の裏面である布帛68が車体に当接して、車体に付着している水垢等の膜層汚れを拭き取ることができる。
【0053】
なお、洗車機用洗浄ブラシ41、61は、ブラシ片42、62の一方の端部を、概コの字状断面を有する帯状体と、芯線にて挟み付けてチャンネルブラシを形成した後、チャンネルブラシを溝部45、65に挿入して、止め金具44、64にて台座43、63に固定する形態等も採用できる。
【実施例2】
【0054】
図9にて実施例2を示す。図9は、本発明の洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す断面図である。図9(a)において、21は洗車機用洗浄ブラシ、22はブラシ片、23は台座、24は合成樹脂発泡体、25は凹部、26は凸部、27は熱可塑性エラストマー、28は布帛、29は車体、30は砂塵、102は膜層汚れ、Cは洗車機用洗浄ブラシの回転方向である。図9(b)において、Dは洗車機用洗浄ブラシの回転方向である。
【0055】
洗車機用洗浄ブラシ21は、図9(a)、及び図9(b)の如く、台座23の外周面の等分4箇所に設けられた突起状の溝部に、ブラシ片22が勘合挿入されて形成されてある。ブラシ片22は、熱可塑性エラストマー27が表面、合成樹脂発泡体24が中間層、及び布帛28が裏面となる3層構造の平板形状にて形成されてある。また、熱可塑性エラストマーの表面には、凹部25と凸部26が形成されてある。
【0056】
ブラシ片22は、次の手順にて、製造される。最初に、ポリエステル繊維を平織、または綾織して織布からなる布帛28を得る。得られた布帛28の片面にウレタン樹脂を主体として含有する極性有機溶剤を塗布し、次いで、水を主体とする凝固浴中に浸漬すると共に、二酸化炭素を注入して炭酸発泡させることにより、ウレタン樹脂を発泡化させて合成樹脂発泡体24の層を形成する。次に、布帛28と接していない側の合成樹脂発泡体24の面にたいして、ウレタンエラストマーのシートからなる熱可塑性エラストマー27を、接着剤を介して貼り合わせる。そして、熱可塑性エラストマー27の表面に、エンボスロール等によりエンボス加工を施すことにより、凹部25、及び凸部26が形成され、3層構造のブラシ片22が得られる。
【0057】
次に、図9を用いて、洗車機用洗浄ブラシ21による車体29に付着、堆積している砂塵30、及び水垢等の膜層汚れ102の除去の仕組みについて説明する。洗車機用洗浄ブラシ21は、正回転及び逆回転可能に洗車機に装着されてある。洗車機用洗浄ブラシ21は、最初、往路において、矢印Cの方向に正回転し、ブラシ片22の表面である熱可塑性エラストマー27が、被洗浄面である車体29に当接する。その際、熱可塑性エラストマー27は、車体29に付着、堆積している砂塵30、膜層汚れ102等の汚れを凹部25、及び凸部26により叩き落とすように剥離して除去し、粗洗浄する。次に、洗車機用洗浄ブラシ21は、復路において、往路の時と回転方向が反転して矢印Dの方向に逆回転し、ブラシ片22の裏面である布帛28が、被洗浄面である車体29に当接する。その際、布帛28は、往路において熱可塑性エラストマー27により除去できずに車体29に残っている膜層汚れ102等の汚れを拭き取るように除去し、仕上げ洗浄する。前記の如くの仕組みにより、車体29に付着、堆積している砂塵30、及び水垢等の膜層汚れ102は、洗車機用洗浄ブラシ21により、効率よく強力に除去される。
【0058】
また、ブラシ片22は、合成樹脂発泡体24、及び熱可塑性エラストマー27が弾力性を有している為、車体29に屈曲変形して当接し、車体29から離れた時に、元の平板形状に復元することができるので、屈曲変形したままの状態で洗車時に回転を続けることが無い。その為、屈曲変形した部分においてブラシ片22の破れ、切れ、ほつれ等が発生することが無いので、長期間に渡って、洗車機用洗浄ブラシ21の高い洗浄機能を維持することができる。
【実施例3】
【0059】
図10、及び図11にて実施例3を示す。図10は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の部分拡大図である。図10において、32はブラシ片、34は不織布、35は繊維、36は起毛部、37は気泡である。図11は、本発明の洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す断面図である。図11(a)において、31は洗車機用洗浄ブラシ、33は台座、38は非起毛部、39は車体、40は砂塵、112は膜層汚れ、Eは洗車機用洗浄ブラシの回転方向である。図11(b)において、Fは洗車機用洗浄ブラシの回転方向である。
【0060】
洗車機用洗浄ブラシ31は、図11(a)、及び図11(b)の如く、台座33の外周面の等分4箇所に設けられた突起状の溝部に、ブラシ片32が勘合挿入されて形成されてある。ブラシ片32は、洗車機用洗浄ブラシ31が正回転する際には、起毛部36が形成されてある表面が車体39に当接し、洗車機用洗浄ブラシ31が逆回転する際には、非起毛部38が形成されてある裏面が車体39に当接するよう構成されてある。
【0061】
ブラシ片32は、図10の如く、起毛部36を有する不織布34及び極微細な気泡37を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成されてある。ブラシ片32は、次の手順にて、製造される。最初に、複数本の繊維35を、平板状に集積させて布状体を形成し、前記布状体を複数枚、重ね合わせた後、特殊な針を突き刺して、3次元に絡合された不織布34を形成する。前記の製造方法は、一般的には、ニードルパンチングと呼ばれている。次いで、不織布34を、ポリウレタン溶液中に含浸させることにより、不織布34に、ポリウレタン溶液を充填させる。次に、ポリウレタン溶液を充填させた不織布34を、水中に浸漬させると共に、二酸化炭素を水中に注入することにより、炭酸発泡させ、不織布34、及び極微細な気泡37を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体が得られる。次に、前記二重構造体の片面を、研磨紙などを用いて研磨処理することにより、起毛部36を形成する。なお、繊維35の材質としては、ポリエステルが使用されているが、ナイロン、ポリプロピレン、ウレタン弾性糸と呼ばれているスパンデックス等を採用することもできる。
【0062】
次に、図11を用いて、洗車機用洗浄ブラシ31による車体39に付着、堆積している砂塵40、及び水垢等の膜層汚れ112の除去の仕組みについて説明する。洗車機用洗浄ブラシ31は、正回転及び逆回転可能に洗車機に装着されてある。洗車機用洗浄ブラシ31は、最初、往路において、矢印Eの方向に正回転し、ブラシ片32の表面である起毛部36が形成されてある洗浄面が、被洗浄面である車体39に当接する。その際、起毛部36が車体39の細かな凹凸部に入り込み、凹凸部に付着、堆積している砂塵40、膜層汚れ112等の汚れを掻き出すように除去し、粗洗浄する。次に、洗車機用洗浄ブラシ31は、復路において、往路の時と回転方向が反転して矢印Fの方向に逆回転し、ブラシ片32の裏面である非起毛部38が形成されてある洗浄面が、被洗浄面である車体39に当接する。その際、非起毛部38が形成されてある洗浄面は、往路において起毛部36が形成されてある洗浄面により除去できずに車体39に残っている膜層汚れ112等の汚れを拭き取るように除去し、仕上げ洗浄する。前記の如くの仕組みにより、車体39に付着、堆積している砂塵40、及び水垢等の膜層汚れ112は、洗車機用洗浄ブラシ31により、効率よく確実に除去される。また、起毛部36が形成された洗浄面は、非起毛部38が形成された洗浄面に比べて、車体39に当接する際の摩擦係数が高いので、起毛部36が形成された洗浄面は、被洗浄面である車体39に当接する際、滑ること無く、的確に車体39に当接する。その為、一段と優れた洗浄機能を、車体39にたいして付与することができる。
【0063】
また、ブラシ片32は、不織布34及び極微細な気泡37を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成されてあり、極微細な気泡37を有する多孔質化されたポリウレタンが弾力性を有している。その為、ブラシ片32は、洗車時に車体39に屈曲変形して当接し、車体39から離れた時に、元の平板形状に復元することができるので、屈曲変形したままの状態で洗車時に回転を続けることが無い。従って、屈曲変形した部分においてブラシ片32の破れ、切れ、ほつれ等が発生することが無いので、長期間に渡って、洗車機用洗浄ブラシ31の高い洗浄機能を維持することができる。
【0064】
また、ブラシ片32には、前記の如くの起毛部36を有する不織布34及び極微細な気泡37を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体以外にも、ブラシ片の表面に起毛部を有し、裏面に非起毛部を有する布帛を用いても、前記二重構造体からなるブラシ片32を用いた時と、同様の高い洗浄機能が得られる。前記布帛をブラシ片として用いた場合は、非起毛部を有する洗浄面において、被洗浄面である車体39に付着した水滴等も拭き上げられる。その為、車体39に付着、堆積した砂塵40や水垢等の膜層汚れ112、及び水滴等を順次、効率よく除去できると共に、車体39を磨き上げることができる。
【実施例4】
【0065】
図12にて実施例4を示す。図12は、本発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。図12において、50は洗車機、51は洗車機用洗浄ブラシ、52は駆動源、53はノズル、54は乾燥機である。
【0066】
洗車機50は、図12の如く、本発明の洗車機用洗浄ブラシ51が搭載されてあり、前記洗車機用洗浄ブラシ51は、駆動源52により、正回転、あるいは逆回転可能に回転駆動される。ノズル53からは、被洗浄面である車体にたいして、洗浄剤、及び水等が散布され、洗車機用洗浄ブラシ51により、車体は洗浄され、洗浄後は、洗車機50の乾燥手段である乾燥機54により、車体が乾燥される。
【0067】
洗車機50は、上記の如くの構成となっているので、洗車機用洗浄ブラシ51のブラシ片は、表面と裏面の夫々に異なった洗浄機能を有しており、洗車機50の駆動源52により、洗車機用洗浄ブラシ51の回転方向を変えることで、使用目的に応じた洗浄機能が、被洗浄面である車体にたいして付与され、洗浄性の向上が図られる。その為、洗車機用洗浄ブラシ51により、車体に付着、堆積している砂塵、水垢等の膜層汚れを、迅速、且つ確実に除去できるので、洗車機用洗浄ブラシ51を高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの無い非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機50を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】 本発明の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図
【図2】 (a)図1の部分拡大側面図、(b)本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシの部分拡大側面図、(c)本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシの部分拡大側面図
【図3】 本発明の洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す断面図
【図4】 本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図
【図5】 (a)図4のブラシ片の平面図、(b)図4の部分拡大断面図、(c)本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシの部分拡大側面図
【図6】 (a)本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の平面図、(b)本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシの部分拡大断面図
【図7】 本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図
【図8】 本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図
【図9】 本発明の洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す断面図
【図10】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の部分拡大図
【図11】 本発明の洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す断面図
【図12】 本発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図
【符号の説明】
【0070】
1、11、21、31、41、51、61、71、81、91 洗車機用洗浄ブラシ
2、12、22、32、42、62、82、92 ブラシ片
3、13、23、33、43、63、73、83、93 台座
5、15、45、65、95 溝部
6、16 スリット
7、17、24、47、67、87、97 合成樹脂発泡体
8、18、28、48、68、88、98 布帛
9、29、39 車体
10、30、40 砂塵
14、44、64、84 止め金具
19、37、99 気泡
20、70 接合部
25 凹部
26 凸部
27 熱可塑性エラストマー
34 不織布
35 繊維
36 起毛部
38 非起毛部
50 洗車機
52 駆動源
53 ノズル
54 乾燥機
72、102、112 膜層汚れ
74 突起部
75 ネジ
76、96 芯線
94 帯状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載されてある洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及び台座を有すると共に、正回転及び逆回転可能に装着されてあり、前記正回転時に前記ブラシ片の表面が被洗浄面に当接すると共に、前記逆回転時に前記ブラシ片の裏面が被洗浄面に当接するよう形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面に合成樹脂発泡体が形成されてあると共に、前記ブラシ片の裏面に布帛が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項3】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面に熱可塑性エラストマーが形成されてあると共に、前記ブラシ片の裏面に布帛が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項4】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面あるいは裏面のいずれかに起毛部を有する不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項5】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の表面あるいは裏面のいずれかに起毛部を有する布帛が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項6】
前記洗車機用洗浄ブラシを正逆に回転駆動させる駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段と、請求項1から5のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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