説明

洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】ブラシ片の腰の強さを確保することができると共に、製造コストを低減できる洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機を提供する
【解決手段】 自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する回転体の外周に複数のブラシ片を固定した洗車機用洗浄ブラシ1において、前記ブラシ片は、前記回転体2に固定される下部ブラシ片5と、該下部ブラシ片5に接合されて先端部まで延びる不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体6とを有していることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンスタンド等に設置される洗車機と、この洗車機に使用される洗車機用洗浄ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の洗車機用洗浄ブラシとして、ブラシ片が、回転体に固定される取付基部から先端部まで延在する不織布片と、この不織布片の取付基部から中間部に渡る裏面に重ねられる発泡合成樹脂片とを有するものがある(特許文献1)。
また、ブラシ片が、回転体に固定される取付基部から中間部まで延在する発泡合成樹脂片と、この発泡合成樹脂片の延在端に接合されて先端部まで延在する不織布片とを有するものがある(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−62483号公報
【特許文献2】特開2006−62484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の特許文献1に記載された技術では不織布片をブラシ片全体に亘って使用し、実際には被洗浄面に当接しない回転体の取付基部まで不織布を使用しているので、無駄であり、コスト高となる。また、特許文献2に記載された技術では、発泡合成樹脂片と不織布とを縫製するのは難しく、これもコスト高となっている。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、ブラシ片の腰の強さを確保することができると共に、製造コストを低減できる洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する回転体の外周に複数のブラシ片を固定した洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は、前記回転体に固定される下部ブラシ片と、該下部ブラシ片に接合されて先端部まで延びる不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体とを有していることに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する回転体の外周に複数のブラシ片を固定した洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は、前記回転体に固定される下部ブラシ片と、該下部ブラシ片に接合されて先端部まで延びる水流絡合型不織布とを有していることに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された洗車機用洗浄ブラシにおいて、回転体の外周に固定されたブラシ片間に合成樹脂発泡体を配置したことに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載された洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、被洗浄面に当接する部分を不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体とし、請求項2の発明では、被洗浄面に当接する部分を水流絡合型不織布として、被洗浄面に当接しない部分はどちらも下部ブラシ片とすることによって、洗浄効果を向上しつつ、コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項3の発明は、複数のブラシ片の間に合成樹脂発泡体を配置することによって、ブラシ片の腰の強さを確保することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載された洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に特徴を有する。したがって、ブラシ片の腰の強さを確保することができると共に、製造コストを低減できる洗車機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に使用する洗車機用洗浄ブラシ1の斜視図である。洗車機用洗浄ブラシ1は回転体2の外周に4条の溝3が設けられており、この溝3に嵌め合わされるブラケット4を有する下部ブラシ片5と、この下部ブラシ片5の端部に溶着された上部ブラシ片6とを有するものである。
また、上部ブラシ片6にはスリット6aが設けられている。このスリット6aを設けることによって、洗浄性を高めることができるが、スリット6aを設けない構成であってもよい。
尚、下部ブラシ片5の端部と上部ブラシ片6との接合方法については、溶着以外にも縫製、ネジ止め、リベット止め、接着等、様々な接合方法を適用することができる。
【0014】
図2は本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第1実施形態を示す説明図である。この実施形態では、下部ブラシ片5に不織布を使用し、上部ブラシ片6に不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体を使用している。また、下部ブラシ片5とブラケット4とはリベット9によって結合されている。尚、下部ブラシ片5は、不織布の他に、織布、編物、熱可塑性エラストマーシート、フィルム状樹脂組成物等でもよい。
【0015】
また、不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体は、次の手順で製造される。まず、複数本の繊維を平板状に集積させて布状体を形成し、この布状体を複数枚重ね合わせた後、特殊な針を突き刺して3次元に絡合された不織布を形成する(これは通常、ニードルパンチと呼ばれている)。次に、不織布をポリウレタン溶液中に含浸させることにより、不織布にポリウレタン溶液を充填させる。次に、ポリウレタン溶液を充填させた不織布を水中に浸漬させることにより、不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体が形成されるのである。
【0016】
また、不織布はスパンボンド法で製造される。ここで、スパンボンド法とは、熱溶融したポリプロピレン樹脂を連続繊維状に延伸しながら捕集ネット上に集積して、熱ロールで加圧し、ポリプロピレン繊維を結合させて不織布が形成されるのである。
【0017】
図3は本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第2実施形態を示す説明図である。この実施形態では、下部ブラシ片5に第1実施形態と同様に不織布を使用し、上部ブラシ片6に水流絡合型不織布を使用している。また、下部ブラシ片5とブラケット4とはリベット9によって結合されている。
【0018】
ここで、水流絡合型不織布は、次の手順で製造される。まず、ナイロン繊維とポリエステル繊維をニードルパンチングにより機械的に絡合させてウエッブを得る。次いで、得られたウエッブに対して、高圧水流を当て、ナイロン繊維とポリエステル繊維を結合させて水流絡合型不織布が形成されるのである。この水流絡合型不織布は、高圧水流が当たる際、ナイロン繊維とポリエステル繊維が楔状に細分割される。その為、楔状のナイロン繊維とポリエステル繊維とが有する角部により、汚れの掻き出し性能が発揮されるのである。
【0019】
図4は本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第3実施形態を示す説明図である。この実施形態では、下部ブラシ片5は不織布であり、上部ブラシ片6は、第1実施形態の不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体か、第2実施形態の水流絡合型不織布のどちらでもよい。そして、隣り合う溝に取付けられた下部ブラシ片5、5の間を埋めるように合成樹脂発泡体7が4箇所に配置されている。この合成樹脂発泡体7によって、下部ブラシ片5、5の腰が強くなるのである。尚、合成樹脂発泡体7の他に、布帛、フィルム状樹脂組成物等でもよい。また、下部ブラシ片5とブラケット4とはリベット9によって結合されている。
【0020】
図5は本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第4実施形態を示す説明図である。この実施形態では、第3の実施形態に加えてさらに、同じ溝に取付けられたブラシ片5、5の間を埋めるように合成樹脂発泡体8が4箇所に配置されている。この合成樹脂発泡体8によって、第3実施形態よりも増して、下部ブラシ片5、5の腰が強くなるのである。尚、合成樹脂発泡体8の他に、布帛、フィルム状樹脂組成物等でもよい。また、下部ブラシ片5とブラケット4とはリベット9によって結合されている。
【0021】
次に、図6は本発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。洗車機67は、図6のように、本発明の洗車機用洗浄ブラシ66が搭載されており、この洗車機用洗浄ブラシ66は駆動源68より回転される。ノズル69からは、被洗浄面に対して洗浄剤及び水が散布され、洗車機用洗浄ブラシ66により、洗浄され、洗浄後は洗車機67の乾燥手段である乾燥機90により被洗浄面が乾燥される。
【0022】
洗車機67は、被洗浄面に傷を付けること無く、高い洗浄性を有すると共に、洗浄時の接触音を極力低減、或いは抑制でき、腰の強いブラシ片を有する洗車機用洗浄ブラシ66が搭載されているので、被洗浄面に対して傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる。その為、洗車機67は、洗車機用洗浄ブラシ66を高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシ66の回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機67に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けることが無いと共に、洗浄時の接触音を極力低減、或いは抑制できる非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機67を提供することができる。
【0023】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機は主に、自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機、及び洗車機に搭載される洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に使用する洗車機用洗浄ブラシの斜視図である。
【図2】本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第1実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第2実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第3実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第4実施形態を示す説明図である。
【図6】本発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 洗車機用洗浄ブラシ
2 回転体
3 溝
4 ブラケット
5 下部ブラシ片
6 上部ブラシ片
7、8 合成樹脂発泡体
9 リベット
66 洗車機用洗浄ブラシ
67 洗車機
68 駆動源
69 ノズル
90 乾燥機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する回転体の外周に複数のブラシ片を固定した洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は、前記回転体に固定される下部ブラシ片と、該下部ブラシ片に接合されて先端部まで延びる不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体とを有していることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項2】
自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する回転体の外周に複数のブラシ片を固定した洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は、前記回転体に固定される下部ブラシ片と、該下部ブラシ片に接合されて先端部まで延びる水流絡合型不織布とを有していることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項3】
回転体の外周に固定されたブラシ片間に合成樹脂発泡体を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載された洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載された洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−313037(P2007−313037A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146058(P2006−146058)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】