説明

洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】洗浄むらや洗浄痕の発生を防ぐことができると共に、製造コストも低減できる洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機を提供する。
【解決手段】自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、洗車機用洗浄ブラシは複数本の直線状の溝部1、2、3、4が形成されている回転軸6を有し、帯状のブラシ片の一端部にブラケットa、b、c、dを構成し、ブラケットa、b、c、dを順次回転軸の溝部1、2、3、4に挿入すると共に、少なくとも1つのブラシ片を波状に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンスタンド等に設置される洗車機と、この洗車機に使用される洗車機用洗浄ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の洗車機用洗浄ブラシとして、布製ブラシ単体とスポンジ製ブラシ単体とがブラシ回転軸の軸心方向に交互に複数配置されたものがある(特許文献1)。
また、ブラシの回転軸の外周に螺旋状の溝を設け、この溝に複数のブラシ単体を取り付けたものがある(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−48520号公報
【特許文献2】特開2005−170221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の特許文献1に記載された技術では、ブラシ回転軸に配置された布製ブラシ単体とスポンジ製ブラシ単体との間に隙間があるため、洗浄むらや、洗浄痕が車両に残り易かった。また、特許文献2に記載された技術では、ブラシ回転軸に複数の螺旋状の溝を形成しなければならず、精度が必要なことから、製造コストが高くなるものであった。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、洗浄むらや洗浄痕の発生を防ぐことができると共に、製造コストも低減できる洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、該洗車機用洗浄ブラシは複数本の直線状の溝部が形成されている回転軸を有し、帯状のブラシ片の一端部にブラケットを構成し、該ブラケットを順次前記回転軸の溝部に挿入すると共に、少なくとも1つのブラシ片を波状に配置したことに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、該洗車機用洗浄ブラシは複数本の直線状の溝部が形成されている回転軸を有し、帯状のブラシ片の一端部にブラケットを構成し、該ブラケットを順次前記回転軸の溝部に挿入すると共に、少なくとも1つのブラシ片を螺旋状に配置したことに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、該洗車機用洗浄ブラシは複数本の直線状の溝部が形成されている回転軸を有し、帯状のブラシ片の一端部にブラケットを構成し、該ブラケットを順次前記回転軸の溝部に挿入すると共に、少なくとも1つのブラシ片をV字状に配置したことに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載された洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、ブラシ片を波状にし、請求項2の発明では、ブラシ片を螺旋状にし、請求項3の発明では、ブラシ片をV字状にしたことによって被洗浄面である車体に面接触することから、従来のブラシのように、洗浄むらや洗浄痕が発生するのを防止できる。また、回転軸の溝は特殊な形状にする必要が無く、直線状で足りるので、コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載された洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に特徴を有する。したがって、洗浄むらや洗浄痕が発生するのを防止できると共にコスト安な洗車機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に使用する洗車機用ブラシの回転軸の断面図である。この図に示すように、回転軸の外周には90°間隔で4箇所に直線状の溝1、2、3、4が形成されている。
【0013】
図2は本発明に使用する洗車機用ブラシのブラシ片である布帛を示す説明図である。この図に示すように布帛5の一辺には所定の間隔をあけてブラケットa、b、c、dが取付けられている。このブラケットa、b、c、dは上述した直線状の溝1、2、3、4に嵌め合わせられるものである。
【0014】
図3は本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第1実施形態を示す説明図である。この実施形態では、ブラシ片である布帛5を波状に回転軸6に配置している。波状に配置する方法としては、ブラケットaを溝1に配置し、ブラケットbを溝2に配置し、ブラケットcを溝1に配置し、ブラケットdを溝2に配置すればブラシ片である布帛5を1つ回転軸6に波状に配置することができる。同様にして、ブラケットaを溝2に配置し、ブラケットbを溝3に配置し、ブラケットcを溝2に配置し、ブラケットdを溝3に配置することによって、布帛5を波状に配置することができる。同様にすれば、溝が4条の場合には4枚の布帛5を波状に配置することができる。
【0015】
そして、ブラケットa、b、c、dの断面形状は溝1、2、3、4に嵌め込まれるように、図4に示す形状にするのがよい。また、ブラケットa、b、c、dと、これに対応する溝1、2、3、4には各々ネジ穴を穿孔し、六角穴付ボルト9等でネジ止めして固定することもできる。さらに、図2に示すようにブラケットab間、bc間、cd間の各々にT字型のスリット7を設ければ溝への組付けが容易となる。尚、ブラケットa、b、c、dは布帛5にリベット8で固定される。
【0016】
ここで、溝へのブラシ片の組付方法としては、溝が1、2、3、4の4条の場合には、まず、1枚目のブラシ片のブラケットaを溝2に固定し、2枚目のブラシ片のブラケットaを溝1に固定し、3枚目のブラシ片のブラケットaを溝4に固定し、4枚目のブラシ片のブラケットaを溝3に固定する。次に、1枚目のブラシ片のブラケットbを溝1に固定し、2枚目のブラシ片のブラケットbを溝4に固定し、3枚目のブラシ片のブラケットbを溝3に固定し、4枚目のブラシ片のブラケットbを溝2に固定する・・・。という手順で順次ブラシ片を組付けて行けば、組付けが容易であると共に、ブラシ片が磨耗した時に交換することも容易である。
【0017】
図5は本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第2実施形態を示す説明図である。この実施形態では、ブラシ片である布帛5を螺旋状に回転軸6に配置している。螺旋状に配置する方法としては、ブラケットaを溝4に配置し、ブラケットbを溝3に配置し、ブラケットcを溝2に配置し、ブラケットdを溝1に配置すればブラシ片である布帛5を1つ回転軸6に螺旋状に配置することができる。同様にして、ブラケットaを溝3に配置し、ブラケットbを溝2に配置し、ブラケットcを溝1に配置し、ブラケットdを溝4に配置することによって布帛5を螺旋状に配置することができる。同様にすれば、溝が4条の場合には4枚の布帛5を螺旋状に配置することができる。
【0018】
図6は本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第3実施形態を示す説明図である。この実施形態では、ブラシ片である布帛5をV字状に回転軸6に配置している。V字状に配置する方法としては、ブラケットaを溝1に配置し、ブラケットb´を溝2に配置する。ここで、ブラケットb´は図2におけるブラケットbとブラケットcの中間の位置にあらたに取付けたものである。さらにブラケットdを溝1に配置すれば、ブラシ片である布帛5を1つ回転軸6にV字状に配置することができる。同様にして、ブラケットaを溝2に配置し、ブラケットb´を溝3に配置し、ブラケットdを溝2に配置することによって布帛5をV字状に配置することができる。同様にすれば、溝が4条の場合には4枚の布帛5をV字状に配置することができる。尚、ブラシ片は布帛5以外にも、ポリエチレン樹脂等からなる合成樹脂発泡体ブラシ片を使用できる。
【0019】
上述したように第1実施形態ではブラシ片である布帛5を波状に配置し、第2実施形態では布帛5を螺旋状に配置し、第3実施形態では布帛5をV字状に配置している。このことによって、被洗浄面である車体には布帛5が面で接触することになるので、洗浄むらや、洗浄痕が車体に残らないのである。
【0020】
ここで、ブラシ片である布帛は、ポリエステル繊維を平織した織布にて形成されている。尚、布帛は、ポリエステル繊維を綾織により織布として形成して用いることもできる。さらに、布帛は、ポリエステル繊維を水流絡合、熱圧着、ケミカルバインダー接着等の方法により不織布として形成しても良いし、ポリエステル繊維を編んで編布として形成して使用することもできる。また、繊維は前記ポリエステル以外にも、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の合成樹脂繊維、綿、レーヨン、絹等の天然繊維を単独、或いは併用して用いても何ら支障は無い。
【0021】
次に、ポリエチレン樹脂等からなる合成樹脂発泡体ブラシ片の製造方法について説明する。ブラシ片は、超低密度ポリエチレン樹脂を発泡すると共に、発泡の際に、発泡剤に架橋剤を添加して、超低密度ポリエチレン樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾力性を有する合成樹脂発泡体にて構成されている。超低密度ポリエチレン樹脂等の樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾力性を有する合成樹脂発泡体は、一般的には架橋発泡体と呼ばれている。合成樹脂発泡体の発泡倍率は、被洗浄面に傷を付けないという観点より、2倍から15倍が好ましく、2.5倍から12倍にて調整されるのがより一層好ましい。発泡倍率が2倍未満の場合には、硬すぎて被洗浄面に傷を付けることになり、15倍より大きい場合には、摩擦抵抗が大きくなり、洗車時の接触音が大きくなると共に、被洗浄面に対して傷を付けやすくなる。尚、合成樹脂発泡体に用いられる材質としては、前記超低密度ポリエチレンの他、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂を使用することもでき、これらの材質は単独で用いられても併用されても良い。
【0022】
また、前記発泡剤としては、従来から合成樹脂発泡の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の熱分解型発泡剤が好適に用いられ、前記材質は単独で用いられても併用されても構わない。
【0023】
また、前記架橋剤としては、従来から合成樹脂発泡体に弾力性を付与する目的で製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキセン、1,3−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物が好適に用いられ、前記材質は単独で用いられても併用されても差し支えない。
【0024】
次に、図7は本発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。洗車機67は、図7のように、本発明の洗車機用洗浄ブラシ66が搭載されており、この洗車機用洗浄ブラシ66は駆動源68より回転される。ノズル69からは、被洗浄面に対して洗浄剤及び水が散布され、洗車機用洗浄ブラシ66により、洗浄され、洗浄後は洗車機67の乾燥手段である乾燥機90により被洗浄面が乾燥される。
【0025】
洗車機67は、被洗浄面に傷を付けること無く、高い洗浄性を有すると共に、洗浄時の接触音を極力低減、或いは抑制できる洗車機用洗浄ブラシ66が搭載されているので、被洗浄面に対して傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる。その為、洗車機67は、洗車機用洗浄ブラシ66を高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシ66の回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機67に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けることが無いと共に、洗浄時の接触音を極力低減、或いは抑制できる非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機67を提供することができる。
【0026】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。例えば上述した洗浄ブラシは回転軸に溝を有するものについて説明しているが、これに限定されるものではなく、布帛を回転軸に配置するのに、リベット等を使用する場合には溝は必ずしも必要となるわけではない。尚、リベット等を打つ場合には布帛の交換は難しいが、上述したブラケットの場合には布帛を容易に交換することが可能である。
また、本発明における回転軸における直線状の溝は説明の簡易さから4条の場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、直線状の溝の数が8条でも、12条でも本発明を適用することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機は主に、自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機、及び洗車機に搭載される洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に使用する洗車機用洗浄ブラシの回転軸の断面図である。
【図2】本発明に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片である布帛を示す説明図である。
【図3】本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第1実施形態を示す説明図である。
【図4】ブラケットの断面図である。
【図5】本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第2実施形態を示す説明図である。
【図6】本発明に係る洗車機用洗浄ブラシの第3実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。
【符号の説明】
【0029】
1、2、3、4ブラシ取付け溝
5 布帛
6 回転軸
7 スリット
8 リベット
9 六角穴付ボルト
a、b、c、d ブラシ取付け金具(ブラケット)
66 洗車機用洗浄ブラシ
67 洗車機
68 駆動源
69 ノズル
90 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、該洗車機用洗浄ブラシは複数本の直線状の溝部が形成されている回転軸を有し、帯状のブラシ片の一端部にブラケットを構成し、該ブラケットを順次前記回転軸の溝部に挿入すると共に、少なくとも1つのブラシ片を波状に配置したことを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項2】
自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、該洗車機用洗浄ブラシは複数本の直線状の溝部が形成されている回転軸を有し、帯状のブラシ片の一端部にブラケットを構成し、該ブラケットを順次前記回転軸の溝部に挿入すると共に、少なくとも1つのブラシ片を螺旋状に配置したことを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項3】
自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、該洗車機用洗浄ブラシは複数本の直線状の溝部が形成されている回転軸を有し、帯状のブラシ片の一端部にブラケットを構成し、該ブラケットを順次前記回転軸の溝部に挿入すると共に、少なくとも1つのブラシ片をV字状に配置したことを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載された洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−313137(P2007−313137A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147517(P2006−147517)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】